【課題】日々進捗する工事の収益認識について、工事の進捗に応じて成果の確実性が認められている場合に適用されていた工事完成基準だけでなく、原価回収基準を適用することができる収益認識装置、収益認識方法、および、収益認識プログラムを提供する。
【解決手段】収益認識装置100は、制御部102と通信インターフェース部104と記憶部106と入出力インターフェース部108と、を備えている。収益認識装置100が備えている各部は、任意の通信路を介して通信可能に接続されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1記載の発明においては、原価回収基準を採用して、工事の収益状況を認識することができなかったという課題があった。
【0005】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであって、日々進捗する工事の収益認識について、原価回収基準を適用することができる収益認識装置、収益認識方法、および、収益認識プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る収益認識装置は、記憶部と制御部とを備えた収益認識装置であって、前記記憶部は、工事の契約本体金額を含む工事契約データを記憶する工事記憶手段、を備え、前記制御部は、前記工事の仕入本体金額を含む仕入データを取得する仕入取得手段と、前記工事契約データ、および、前記仕入データに基づいて、原価回収基準による前記工事の進捗率を取得する原価回収基準進捗取得手段と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
また、本発明に係る収益認識装置において、前記制御部は、前記工事の予算金額を含む予算データを取得する予算取得手段と、前記予算金額に合理性があるか否かを判定する合理性判定手段と、を更に備え、前記原価回収基準進捗取得手段は、前記合理性判定手段により前記合理性がないと判定された場合、前記工事契約データ、および、前記仕入データに基づいて、前記原価回収基準による工事の進捗率を取得することを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係る収益認識装置において、前記制御部は、前記工事の予算金額を含む予算データを取得する予算取得手段と、前記予算データ、および、前記仕入データに基づいて、工事進行基準による前記工事の進捗率を取得する工事進行基準進捗取得手段と、を更に備えたことを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係る収益認識装置において、前記制御部は、前記契約本体金額と前記進捗率との積である累計売上本体金額を含む売上データを取得する売上取得手段、を更に備えたことを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係る収益認識装置において、前記制御部は、前記売上データを比較可能に表示させる売上表示手段、を更に備えたことを特徴とする。
【0011】
また、本発明に係る収益認識装置において、前記工事進行基準進捗取得手段は、更に、前記契約本体金額と前記原価回収基準による前記進捗率との積、および/または、前記予算金額と前記工事進行基準による前記進捗率との積を、累計原価として取得することを特徴とする。
【0012】
また、本発明に係る収益認識装置において、前記予算データは、前記予算金額の合理性を示す合理性識別子を含み、前記合理性判定手段は、前記合理性識別子に基づいて、前記予算金額に前記合理性があるか否かを判定することを特徴とする。
【0013】
また、本発明に係る収益認識装置において、前記原価回収基準進捗取得手段は、前記契約本体金額に対する、前記仕入本体金額の累計値である累計仕入本体金額の割合を、前記原価回収基準による工事の進捗率として取得することを特徴とする。
【0014】
また、本発明に係る収益認識装置において、前記工事進行基準進捗取得手段は、前記予算金額に対する、前記仕入本体金額の累計値である累計仕入本体金額の割合を、前記工事進行基準による工事の進捗率として取得することを特徴とする。
【0015】
また、本発明に係る収益認識装置において、前記売上取得手段は、更に、今回取得した前記売上データに含まれる前記累計売上本体金額から、前回取得した前記売上データに含まれる前記累計売上本体金額を差し引いた値を売上本体金額として取得することを特徴とする。
【0016】
また、本発明に係る収益認識方法は、記憶部と制御部とを備えた収益認識装置に実行させるための収益認識方法であって、前記記憶部は、工事の契約本体金額を含む工事契約データを記憶する工事記憶手段、を備え、前記制御部で実行させる、前記工事の仕入本体金額を含む仕入データを取得する仕入取得ステップと、前記工事契約データ、および、前記仕入データに基づいて、原価回収基準による前記工事の進捗率を取得する原価回収基準進捗取得ステップと、を含むことを特徴とする。
【0017】
また、本発明に係る収益認識プログラムは、記憶部と制御部とを備えた収益認識装置に実行させるための収益認識プログラムであって、前記記憶部は、工事の契約本体金額を含む工事契約データを記憶する工事記憶手段、を備え、前記制御部において、前記工事の仕入本体金額を含む仕入データを取得する仕入取得ステップと、前記工事契約データ、および、前記仕入データに基づいて、原価回収基準による前記工事の進捗率を取得する原価回収基準進捗取得ステップと、を実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、工事契約会計基準による会計処理が行われていた建設業において、収益認識に関する会計基準の導入に伴い変更された収益計上方法に対応することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、本発明は本実施形態により限定されるものではない。
【0021】
[1.概要]
まず、
図1を参照して、本発明の概要を説明する。
図1は、従来の売上金額計算処理の一例を示す図である。
【0022】
従来、工事の進捗に応じて成果の確実性が認められている場合、工事進行基準を適用して収益を認識し、認められない場合、工事完成基準を適用して収益を認識していたが、収益認識会計基準の導入に伴い、履行義務に着目した会計処理を行うことが必要となった。
【0023】
ここで、従来、
図1に示すように、施主データ等を含む基本工事データが入力され、契約本体金額(¥1,000,000)を含む工事契約データが入力され登録されていた(ステップSA−1)。そして、
図1に示すように、発注先からの見積書を既に受領している場合、または、見積書の取り交わしはまだないが単価に確実性がある場合、進捗率を算出するための除数(分母)となる合理的に見積もられた予算金額(¥800,000)を含む予算データが入力され登録されていた(ステップSA−2)。そして、
図1に示すように、発注先からの仕入が実行され、進捗率を算出するための被除数(分子)となる仕入本体金額(¥200,000)を含む仕入データが入力され登録された場合(ステップSA−3)、月次仮締処理に続いてプロジェクト原価計算処理が実行され、進捗率を算出するための分子および分母が確定する着地予想入力がされていた(ステップSA−4)。そして、
図1に示すように、予算金額(¥800,000)および原価(¥200,000)に基づいて、進捗率(25(%)/100)が算出され(ステップSA−5)、当該進捗率が登録されていた。そして、
図1に示すように、売上金額を算出する進行基準売上計算処理により原価(¥200,000)に係る売上本体金額(¥250,000)が算出され(ステップSA−6)、月次確定処理が実行されていた。すなわち、従来、予算金額とそれまでに発生した原価とに基づいて、進捗率が計算され、当該進捗率を請負金額に掛け合わせて売上金額が算出されていた。
【0024】
そのため、従来は、予算が入っていない場合、進捗率の計算できず、予算が入っていても、合理的な見積ができているか不明な場合があり、原価回収基準の考えである回収見込みである費用と同額の売上金額を求めるためには、都度運用上で確認作業が必要となっていた。
【0025】
そこで、本実施形態においては、一定期間にわたり充足される履行義務の要件に該当する場合、工事契約会計基準における工事進行基準を適用して収益を認識し、工事の進捗度が合理的に見積もれない場合、原価回収基準を適用して収益を認識する機能を実現させている。なお、本実施形態においては、原価回収基準の機能を実装において、進捗度が合理的に見積もられているかを、予算登録時に発注先の業者から正式な見積書を受領しているか、および/または、見積書の取り交わしは無いが継続した取引によって単価に確実性があるか等の要件によって判定され、予算登録時および着地予想登録時に合理性の有無を判定できるようにすることで、実務上、システムの利便性を向上させている。また、
図1に示す従来の処理に原価回収基準を採用した場合、「予算データ入力」を営業担当者が行い、その後の月次処理である「着地予想入力」、「進捗率計算処理」および「進捗率登録」については事務担当者や経理担当者が行うことになるため、該当のプロジェクトに対して部門間で都度内容を確認する必要があったが、本実施形態においては、システム内で自動的に見積額の合理性について判定し、原価回収基準を適用できる仕組みを提供している。
【0026】
[2.構成]
本実施形態に係る収益認識装置100の構成の一例について、
図2を参照して説明する。
図2は、本実施形態における収益認識装置100の構成の一例を示すブロック図である。
【0027】
図2に示すように、収益認識装置100は、市販のデスクトップ型パーソナルコンピュータである。なお、収益認識装置100は、デスクトップ型パーソナルコンピュータのような据置型情報処理装置に限らず、市販されているノート型パーソナルコンピュータ、PDA(Personal Digital Assistants)、スマートフォン、タブレット型パーソナルコンピュータなどの携帯型情報処理装置であってもよい。
【0028】
収益認識装置100は、制御部102と通信インターフェース部104と記憶部106と入出力インターフェース部108と、を備えている。収益認識装置100が備えている各部は、任意の通信路を介して通信可能に接続されている。
【0029】
通信インターフェース部104は、ルータ等の通信装置および専用線等の有線または無線の通信回線を介して、収益認識装置100をネットワーク300に通信可能に接続する。通信インターフェース部104は、他の装置と通信回線を介してデータを通信する機能を有する。ここで、ネットワーク300は、収益認識装置100とサーバ200とを相互に通信可能に接続する機能を有し、例えばインターネットやLAN(Local Area Network)等である。
【0030】
記憶部106には、各種のデータベース、テーブル、およびファイルなどが格納される。記憶部106には、OS(Operating System)と協働してCPU(Central Processing Unit)に命令を与えて各種処理を行うためのコンピュータプログラムが記録される。記憶部106として、例えば、RAM(Random Access Memory)・ROM(Read Only Memory)等のメモリ装置、ハードディスクのような固定ディスク装置、フレキシブルディスク、および光ディスク等を用いることができる。記憶部106は、工事データベース106aを備えている。
【0031】
工事データベース106aは、工事の契約本体金額を含む工事契約データを記憶する。ここで、工事契約データは、プロジェクト番号等のプロジェクト識別子、契約番号等の契約識別子、契約費目、および/または、消費税額等を含んでいてもよい。また、工事データベース106aは、工事の予算金額を含む予算データを記憶していてもよい。ここで、予算データは、プロジェクト識別子、契約識別子、予算種別、原価科目、および/または、予算金額の合理性を示す合理性識別子(例えば、合理性フラグ)等を含んでいてもよい。また、工事データベース106aは、工事の仕入本体金額を含む仕入データを記憶していてもよい。ここで、仕入データは、プロジェクト識別子、契約識別子、会計年月、伝票番号等の伝票識別子、原価費目、累計仕入本体金額、および/または、消費税額等を含んでいてもよい。また、工事データベース106aは、プロジェクト進捗データを記憶していてもよい。ここで、プロジェクト進捗データは、プロジェクト識別子、契約識別子、会計年月、進捗率、原価、今後予定原価、累計原価、および/または、合理性識別子等を含んでいてもよい。また、工事データベース106aは、工事の売上本体金額を含む売上データを記憶していてもよい。ここで、売上データは、プロジェクト識別子、契約識別子、会計年月、伝票識別子、契約費目、売上本体金額、累計売上本体金額、および/または、消費税額等を含んでいてもよい。
【0032】
入出力インターフェース部108には、入力装置112および出力装置114が接続されている。出力装置114には、モニタ(タッチパネルを含む)の他、スピーカやプリンタを用いることができる。入力装置112には、キーボード、マウス、およびマイクの他、マウスと協働してポインティングデバイス機能を実現するモニタを用いることができる。なお、以下では、出力装置114をモニタ114またはプリンタ114とし、入力装置112をキーボード112またはマウス112として記載する場合がある。
【0033】
制御部102は、収益認識装置100を統括的に制御するCPU等である。制御部102は、OS等の制御プログラム・各種の処理手順等を規定したプログラム・所要データなどを格納するための内部メモリを有し、格納されているこれらのプログラムに基づいて種々の情報処理を実行する。制御部102は、機能概念的に、予算取得部102aと、仕入取得部102bと、合理性判定部102cと、進捗取得部102dと、売上取得部102eと、売上表示部102fとを備えている。
【0034】
予算取得部102aは、工事の予算金額を含む予算データを取得する。ここで、予算取得部102aは、予算データを工事データベース106aに格納してもよい。また、予算金額は、合理的に見積もられた金額であってもよく、合理性が無い場合、0であってもよい。
【0035】
仕入取得部102bは、工事の仕入本体金額を含む仕入データを取得する。ここで、仕入取得部102bは、仕入データを工事データベース106aに格納してもよい。
【0036】
合理性判定部102cは、予算金額に合理性があるか否かを判定する。ここで、合理性判定部102cは、合理性識別子に基づいて、予算金額に合理性があるか否かを判定してもよい。
【0037】
進捗取得部102dは、プロジェクト進捗データを取得する。ここで、進捗取得部102dは、工事契約データ、および、仕入データに基づいて、原価回収基準による工事の進捗率を取得してもよい。また、進捗取得部102dは、合理性判定部102cにより合理性がないと判定された場合、工事契約データ、および、仕入データに基づいて、原価回収基準による工事の進捗率を取得してもよい。また、進捗取得部102dは、予算データ、および、仕入データに基づいて、工事進行基準による工事の進捗率を取得してもよい。また、進捗取得部102dは、契約本体金額と原価回収基準による進捗率との積、および/または、予算金額と工事進行基準による進捗率との積を、累計原価として取得してもよい。また、進捗取得部102dは、契約本体金額に対する、仕入本体金額の累計値である累計仕入本体金額の割合を、原価回収基準による工事の進捗率として取得してもよい。また、進捗取得部102dは、予算金額に対する、仕入本体金額の累計値である累計仕入本体金額の割合を、工事進行基準による工事の進捗率として取得してもよい。また、進捗取得部102dは、プロジェクト進捗データを工事データベース106aに格納してもよい。
【0038】
売上取得部102eは、売上データを取得する。ここで、売上取得部102eは、契約本体金額と進捗率との積である累計売上本体金額を含む売上データを取得してもよい。また、売上取得部102eは、今回取得した売上データに含まれる累計売上本体金額から、前回取得した売上データに含まれる累計売上本体金額を差し引いた値を売上本体金額として取得してもよい。また、売上取得部102eは、売上データを工事データベース106aに格納してもよい。
【0039】
売上表示部102fは、売上データを表示させる。ここで、売上表示部102fは、売上データを比較可能に表示させてもよい。また、売上表示部102fは、売上データを時系列で表示させてもよい。また、売上表示部102fは、仕入データ、および/または、プロジェクト進捗データ等を表示させてもよい。
【0040】
[3.具体例]
本実施形態の具体例について、
図3から
図7を参照して説明する。
【0041】
[収益認識処理]
ここで、
図3から
図7を参照して、本実施形態における収益認識処理の一例について説明する。
図3は、本実施形態における収益認識装置100の処理の一例を示すフローチャートである。
【0042】
図3に示すように、制御部102は、ユーザにより入力装置112を介して工事の契約本体金額を含む工事契約データが入力された場合、当該工事契約データを取得し、工事データベース106aに格納する(ステップSB−1)。
【0043】
そして、予算取得部102aは、期末(例えば、月度末等)が到来したか否かを判定する(ステップSB−2)。
【0044】
そして、予算取得部102aは、期末が到来していないと判定した場合(ステップSB−2:No)、所定時間(例えば、1日等)待機して、処理をステップSB−2に移行させる。
【0045】
一方、予算取得部102aは、期末が到来したと判定した場合(ステップSB−2:Yes)、処理をステップSB−3に移行させる。
【0046】
そして、予算取得部102aは、工事データベース106aに登録された工事の予算金額、および、予算金額の合理性を示す合理性識別子を含む予算データを取得する(ステップSB−3)。
【0047】
そして、仕入取得部102bは、工事データベース106aに登録された今期迄の工事の累計仕入本体金額を含む仕入データを取得する(ステップSB−4)。
【0048】
そして、合理性判定部102cは、予算データに含まれる合理性識別子に基づいて、予算金額に合理性があるか否かを判定する(ステップSB−5)。
【0049】
そして、合理性判定部102cは、予算金額に合理性がないと判定した場合(ステップSB−5:No)、処理をステップSB−6に移行させる。
【0050】
そして、進捗取得部102dは、工事契約データに含まれる契約本体金額に対する、仕入データに含まれる今期迄の累計仕入本体金額の割合を、原価回収基準による工事の進捗率として取得し、契約本体金額と原価回収基準による進捗率との積を累計原価として取得し、当該進捗率および当該累計原価を含むプロジェクト進捗データを取得し、当該プロジェクト進捗データを工事データベース106aに格納し(ステップSB−6)、処理をステップSB−8に移行させる。
【0051】
一方、合理性判定部102cは、予算金額に合理性があると判定した場合(ステップSB−5:Yes)、処理をステップSB−7に移行させる。
【0052】
そして、進捗取得部102dは、予算データに含まれる予算金額に対する、仕入データに含まれる今期迄の累計仕入本体金額の割合を、工事進行基準による工事の進捗率として取得し、予算金額と工事進行基準による進捗率との積を、累計原価として取得し、当該進捗率および当該累計原価を含むプロジェクト進捗データを取得し、当該プロジェクト進捗データを工事データベース106aに格納し(ステップSB−7)、処理をステップSB−8に移行させる。
【0053】
そして、売上取得部102eは、契約本体金額と進捗率との積を今期迄の累計売上本体金額として取得し、今期迄の累計売上本体金額から、前期迄の累計売上本体金額を差し引いた値を今期の売上本体金額として取得し、今期の売上本体金額を含む売上データを工事データベース106aに格納する(ステップSB−8)。
【0054】
そして、売上表示部102fは、累計売上本体金額、および、累計原価を時系列で比較可能に出力装置114に表示させる(ステップSB−9)。
【0055】
そして、制御部102は、工事が竣工したか否かを判定する(ステップSB−10)。
【0056】
そして、制御部102は、工事が竣工していないと判定した場合(ステップSB−10:No)、処理をステップSB−2に移行させる。
【0057】
一方、制御部102は、工事が竣工したと判定した場合(ステップSB−10:Yes)、処理を終了する。
【0058】
ここで、
図4から
図6を参照して、本実施形態における収益認識処理の具体例について説明する。
図4から
図6は、本実施形態における収益認識処理の一例を示すフロー図である。
【0059】
図4に示すように、本実施形態においては、2018年4月に工事契約が締結された場合、工事の契約本体金額(¥1,000,000)を含む工事契約データが取得される(ステップSC−1)。そして、
図4に示すように、本実施形態においては、予算金額が合理的な見積であるか否かを示す合理性フラグ(0:無フラグ)、ならびに、見積もられた予算本体金額(¥0)を含む予算データが取得され(ステップSC−2)、4月中に実行された仕入の仕入本体金額(¥200,000)を含む仕入データが取得される(ステップSC−3)。そして、
図4に示すように、本実施形態においては、予算データに含まれる合理性フラグに基づいて、予算金額に合理性が無と判定されるため、「累計仕入本体金額(¥200,000)/契約本体金額(¥1,000,000)」の式により、原価回収基準による進捗率(20(%)/100)、すなわち、原価に売上本体金額を一致させる進捗率が算出され、当該進捗率(20(%)/100)および合理性フラグ(0:無フラグ)を含むプロジェクト進捗データが取得される(ステップSC−4)。そして、
図4に示すように、本実施形態においては、「契約本体金額(¥1,000,000)*進捗率(20(%)/100)」の式により、累計売上本体金額(¥200,000)が算出され、前期迄の累計売上本体金額が無いため、累計売上本体金額を4月の売上本体金額(¥200,000)として含む売上データが取得される(ステップSC−5)。
【0060】
このように、本実施形態においては、予算金額が登録されておらず、予算金額に合理性が無い場合、原価(仕入金額)と契約金額とから原価回収基準による進捗率が求められ、原価と同額の売上金額が求められてもよい。また、本実施形態においては、予算金額が登録されていたとしても、合理性が無い場合、原価回収基準による進捗率が求められてもよい。
【0061】
そして、
図5に示すように、2018年9月時点で、本実施形態においては、合理性フラグ(0:無フラグ)、ならびに、見積もられた予算本体金額(¥0)を含む予算データが取得され(ステップSC−6)、9月中に実行された仕入の仕入本体金額(¥300,000)を含む仕入データが取得される(ステップSC−7)。そして、
図5に示すように、本実施形態においては、予算データに含まれる合理性フラグに基づいて、予算金額に合理性が無と判定されるため、「累計仕入本体金額(¥200,000+¥300,000)/契約本体金額(¥1,000,000)」の式により、原価回収基準による進捗率(50(%)/100)、すなわち、原価に売上本体金額を一致させる進捗率が算出され、当該進捗率(50(%)/100)および合理性フラグ(0:無フラグ)を含むプロジェクト進捗データが取得される(ステップSC−8)。そして、
図5に示すように、本実施形態においては、「契約本体金額(¥1,000,000)*進捗率(50(%)/100)」の式により、累計売上本体金額(¥500,000)が算出され、今期迄の累計売上本体金額(¥500,000)から、前期迄の累計売上本体金額(¥200,000)を差し引いた値が9月の売上本体金額(¥300,000)として取得され、9月の売上本体金額(¥300,000)を含む売上データが取得される(ステップSC−9)。
【0062】
そして、
図6に示すように、2018年12月時点で、本実施形態においては、合理性フラグ(1:有フラグ)、ならびに、見積もられた予算本体金額(¥800,000)を含む予算データが取得され(ステップSC−10)、12月中に実行された仕入の仕入本体金額(¥100,000)を含む仕入データが取得される(ステップSC−11)。そして、
図6に示すように、本実施形態においては、予算データに含まれる合理性フラグに基づいて、予算金額に合理性が有と判定されるため、「累計仕入本体金額(¥500,000+¥100,000)/予算本体金額(¥800,000)」の式により、工事進行基準による進捗率(75(%)/100)、すなわち、予算と原価とから算出される従来と同じ進捗率が算出され、当該進捗率(75(%)/100)および合理性フラグ(1:有フラグ)を含むプロジェクト進捗データが取得される(ステップSC−12)。そして、
図6に示すように、本実施形態においては、「契約本体金額(¥1,000,000)*進捗率(75(%)/100)」の式により、累計売上本体金額(¥750,000)が算出され、今期迄の累計売上本体金額(¥750,000)から、前期迄の累計売上本体金額(¥500,000)を差し引いた値が12月の売上本体金額(¥250,000)として取得され、12月の売上本体金額(¥250,000)を含む売上データが取得される(ステップSC−13)。
【0063】
このように、本実施形態においては、予算金額が登録されており、予算金額に合理性が有る場合、予算金額と原価(仕入金額)とから工事進行基準による進捗率が求められてもよい。
【0064】
また、
図7を参照して、本実施形態における売上表示の一例について説明する。
図7は、本実施形態における売上表示の一例を示す図である。
【0065】
図7に示すように、本実施形態においては、着工当初から工事の進捗度が合理的に見積もられている場合の累計売上金額である「売上(工事進行基準)」、工事完成まで工事の進捗度が合理的に見積もられていない場合の累計売上金額である「売上(原価回収基準)」、着工当初は工事の進捗度が合理的に見積もれず、工事完成前に合理的な見積もりができるようになった場合の累計売上金額である「売上」、および、累計原価を比較可能に表示させることができるため、原価回収基準と工事進行基準の売上金額差のインパクトをユーザに容易に理解させることができる。
【0066】
このように、本実施形態においては、対象工事の履行義務に対して進捗度を合理的に見積もることができないが、発生する費用を回収する見込みがあると判断した場合、回収見込費用の額で売上金額を認識することができる。また、本実施形態においては、当初合理的な見積もりでなかった予算が、工事の進行につれて合理的な見積もりに着地した場合、それまでの原価回収基準による進捗率から、予算および原価とから求まる工事進行基準による進捗率に変更され、売上金額が算出・計上される。
【0067】
[4.他の実施形態]
本発明は、上述した実施形態以外にも、特許請求の範囲に記載した技術的思想の範囲内において種々の異なる実施形態にて実施されてよいものである。
【0068】
例えば、実施形態において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を手動的に行うこともでき、あるいは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。
【0069】
また、本明細書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各処理の登録データや検索条件等のパラメータを含む情報、画面例、データベース構成については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
【0070】
また、収益認識装置100に関して、図示の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。
【0071】
例えば、収益認識装置100が備える処理機能、特に制御部102にて行われる各処理機能については、その全部または任意の一部を、CPUおよび当該CPUにて解釈実行されるプログラムにて実現してもよく、また、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現してもよい。尚、プログラムは、本実施形態で説明した処理を情報処理装置に実行させるためのプログラム化された命令を含む一時的でないコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されており、必要に応じて収益認識装置100に機械的に読み取られる。すなわち、ROMまたはHDD(Hard Disk Drive)などの記憶部などには、OSと協働してCPUに命令を与え、各種処理を行うためのコンピュータプログラムが記録されている。このコンピュータプログラムは、RAMにロードされることによって実行され、CPUと協働して制御部を構成する。
【0072】
また、このコンピュータプログラムは、収益認識装置100に対して任意のネットワークを介して接続されたアプリケーションプログラムサーバに記憶されていてもよく、必要に応じてその全部または一部をダウンロードすることも可能である。
【0073】
また、本実施形態で説明した処理を実行するためのプログラムを、一時的でないコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納してもよく、また、プログラム製品として構成することもできる。ここで、この「記録媒体」とは、メモリーカード、USB(Universal Serial Bus)メモリ、SD(Secure Digital)カード、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(登録商標)(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)、CD−ROM(Compact Disk Read Only Memory)、MO(Magneto−Optical disk)、DVD(Digital Versatile Disk)、および、Blu−ray(登録商標) Disc等の任意の「可搬用の物理媒体」を含むものとする。
【0074】
また、「プログラム」とは、任意の言語または記述方法にて記述されたデータ処理方法であり、ソースコードまたはバイナリコード等の形式を問わない。なお、「プログラム」は必ずしも単一的に構成されるものに限られず、複数のモジュールやライブラリとして分散構成されるものや、OSに代表される別個のプログラムと協働してその機能を達成するものをも含む。なお、本実施形態に示した各装置において記録媒体を読み取るための具体的な構成および読み取り手順ならびに読み取り後のインストール手順等については、周知の構成や手順を用いることができる。
【0075】
記憶部106に格納される各種のデータベース等は、RAM、ROM等のメモリ装置、ハードディスク等の固定ディスク装置、フレキシブルディスク、および、光ディスク等のストレージ手段であり、各種処理やウェブサイト提供に用いる各種のプログラム、テーブル、データベース、および、ウェブページ用ファイル等を格納する。
【0076】
また、収益認識装置100は、既知のパーソナルコンピュータまたはワークステーション等の情報処理装置として構成してもよく、また、任意の周辺装置が接続された当該情報処理装置として構成してもよい。また、収益認識装置100は、当該装置に本実施形態で説明した処理を実現させるソフトウェア(プログラムまたはデータ等を含む)を実装することにより実現してもよい。
【0077】
更に、装置の分散・統合の具体的形態は図示するものに限られず、その全部または一部を、各種の付加等に応じてまたは機能負荷に応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。すなわち、上述した実施形態を任意に組み合わせて実施してもよく、実施形態を選択的に実施してもよい。