【解決手段】購買情報利用システム1000における調査・解析サーバ100は、パネラーのメールデータを収集する収集部120と、収集されたパネラーのメールデータを解析し、パネラーによる商品の購買情報を取得する取得部130と、取得された商品の購買情報に応じた特典を、パネラーに付与する特典付与部150とを具備する。
前記特典付与部は、少なくとも、取得された前記商品の購買情報に対する特典のほか、前記メールアカウントへのアクセス許可に対する特典を付与する、請求項2または3に記載の調査・解析サーバ。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態の1つについて詳細に説明する。なお、以下の実施の形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明をその実施の形態のみに限定する趣旨ではない。また、本発明は、その要旨を逸脱しない限り、さまざまな変形が可能である。さらに、当業者であれば、以下に述べる各要素を均等なものに置換した実施の形態を採用することが可能であり、かかる実施の形態も本発明の範囲に含まれる。またさらに、必要に応じて示す上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図示の表示に基づくものとする。さらにまた、図面における各種の寸法比率は、その図示の比率に限定されるものではない。
【0012】
A.本実施形態
(1)構成
図1は、本実施形態に係る購買情報利用システム1000のシステム構成図を示している。
図1に示すように、購買情報利用システム1000は、調査・解析サーバ100、パネラーの情報端末(以下、「パネル端末」という)200、パネラーに商品を提供する電子商取引サーバ(以下、「ECサーバ」という)300、パネラー等が利用する電子メールの送信・受信を管理するメールシステム400を含む。なお、「商品」とは、消費者に提供できる状態の物品やサービスを含む広い概念であり、「商品の購買」には、消費者が対価を払って物品を入手する場合のほか、サービスの利用を受ける場合なども含む。
【0013】
調査・解析サーバ100は、インターネットや専用線等のネットワークNに接続されたサーバコンピュータである。また、この調査・解析サーバ100と同じく、ネットワークNに有線または無線で接続された端末装置であるパネル端末200、ECサーバ300及びメールシステム400が、互いに通信可能に設定されることにより、購買情報利用システム1000を構成する。
【0014】
なお、本実施形態において、購買情報利用システム1000は、調査・解析サーバ100とパネル端末200とECサーバ300とメールシステム400とを含むものとして説明するが、例えば、購買情報利用システム1000は、クラウドコンピューティング形式のシステムとして構成されてもよい。また、本実施形態では、一例として、商品を提供する供給者であって、購買情報利用システム1000を用いて商品の購買を調査するユーザを、「クライアントユーザ」と呼ぶ。
【0015】
パネル端末200は、ネットワークNを介して様々な端末(例えば、調査・解析サーバ100、ECサーバ300、メールシステム400)と通信する機能を備えた情報処理装置である。具体的には、携帯電話やスマートフォン、PC(Personal Computer)、PDA(Personal Digital Assistants)、タブレット、ウェアラブル(Wearable)端末等が挙げられるが、これに限られない。
図1には図示しないが、パネル端末200は、プロセッサ及びメモリを含む制御部、ネットワークNと接続するための通信部、タッチパネル等の入力部、ディスプレイ等の表示装置を備えていることが好ましいが、これらを全て備えることは必須ではない。
ECサーバ300は、ネットワークNを介してパネラー(パネル端末200)からの要求に応じた商品を提供するサーバコンピュータである。
【0016】
メールシステム400は、購買情報利用システム内で行われる電子メールの送受信を管理する。詳細は後述するが、パネラーがECサーバ300にアクセスして商品を購買するときに、ECサーバ300とパネル端末200との間で送受信される電子メール(以下、これらを総称して「購買関連メール」という)には、パネラーが購買した商品の名称や数、金額、時間など、商品に関する様々な情報(以下、「購買情報」という)が含まれる。
【0017】
次に、調査・解析サーバ100の各構成について説明する。調査・解析サーバ100は、パネラーの購買関連メールを収集し、当該購買関連メールから購買情報を取得・解析することで、マーケティング戦略に重要な購買情報を、クライアントユーザに提供する。
【0018】
図2は、調査・解析サーバ100のブロック図である。調査・解析サーバ100は、通信装置10と、制御装置20と、入力装置30と、記憶装置40とを備えている。
【0019】
通信装置10は、ネットワークNを介して様々なデータを授受する。通信装置10は、例えばLANカード、アナログモデム、ISDNモデム等の通信インタフェースを備えている。
【0020】
制御装置20は、CPUやMPUなどの演算処理装置、RAMなどのメモリ、及び画像処理装置(いずれも不図示)を備えている。演算処理装置は、メモリに格納された各種プログラムを実行することで、調査・解析サーバ100の各部を中枢的に制御する。制御装置20によって実行されるプログラムは、CD−ROM等の記憶媒体に記憶され、もしくはネットワークNを介して配布され、コンピュータにインストールされるものであってもよい。
入力装置30は、外部からネットワークNを介して様々な入力操作を受け付ける。
記憶装置40は、ハードディスク等の記憶装置によって構成され、制御装置20における処理の実行に必要な各種プログラムや、各種データ等を記憶する。
【0021】
図3は、調査・解析サーバ100の機能構成を示す図である。
図3に示す各部が提供する機能は、調査・解析サーバ100の制御装置20が各種プログラムを実行することによって実現される。
調査・解析サーバ100は、受付部110と、収集部120と、取得部130と、出力部140と、特典付与部150とを備えている。
【0022】
受付部110は、パネル端末200から、パネラーのメールデータが蓄積されるメールアカウントへのアクセス許可の指示(以下、アカウント設定と略称する。)を受け付ける。パネラーのメールデータには、上述した購買関連メール以外のメール、すなわちパネラーが友人や家族等との間で行うプライベートメールなどを含んでいてもよい。
図4は、アカウント設定の受付画面P1を例示した図である。
【0023】
パネラーは、パネル端末200を利用して調査・解析サーバ100にアクセスし、所定の操作を行うと、パネル端末200にアカウント設定の受付画面P1が表示される。
【0024】
パネラーは、パネル端末200を操作して、購買関連メールが送受信されるメールアドレスA1などを入力することで、アカウント設定を行う。正常にアカウントが設定されると、認証ステータスの欄に「正常」である旨のメッセージが表示される。設定されたアカウントに関する情報(パネラーの名前や、ID、メールアドレスなど)は、アカウント情報としてアカウントデータベースDB1に登録される。
【0025】
収集部120は、アカウントデータベースDB1に登録されているアカウント情報(メールアドレスなど)を利用して、各パネラーのメールボックスにアクセスし、メールデータを収集する。収集部120は、収集したメールデータを取得部130に供給する。
【0026】
取得部130は、収集部120によって収集されたパネラーのメールデータを解析することで購買関連メールを特定し、購買関連メールから当該パネラーによる商品の購買情報を取得する。取得部130は、取得した商品の購買情報を出力部140に供給する。なお、メールデータの中から購買関連メールを特定する方法として、特定のキーワード(例えば、「ご注文の確認」、「領収書」、「注文内容」など)が件名やメール本文に含まれるか否か等を判断する方法が挙げられるが、いかなる方法を採用するかは任意である。
【0027】
出力部140は、取得部130が取得したパネラーによる商品の購買情報を、適宜加工してクライアントユーザに提供する。例えば、ある特定の商品について、販売開始から6ヶ月間における、販売数量や、販売価格、主要な購買層、主要な販売地域などをまとめてリスト形式で提供する、といった方法が挙げられるが、もちろんこれに限る趣旨ではない。
【0028】
特典付与部150は、アカウント設定を行い、購買関連メールによる購買情報を提供したパネラー等に対し、所定の特典を付与する。特典としては、例えば、所定の商品と交換できるポイントやクーポン、電子マネー、旅行券等が挙げられる。付与する特典は、例えば、パネラーによって提供される購買情報の種類や数、内容に応じて決定すればよい。
【0029】
(2)動作
図5は、購買情報利用システム1000の処理概要を示すシーケンス図である。
パネラーは、購買情報利用システム1000の利用に先立ち、パネル端末200を利用して調査・解析サーバ100にアカウント設定を行う(ステップS1)。具体的には、パネラーは、パネル端末200を適宜操作し、購買関連メールが送受信されるメールボックスを特定するためのメールアドレス、パネラーの氏名、IDなどの入力を行う(
図3参照)。調査・解析サーバ100の受付部110は、アカウント設定を受け付けると、設定されたアカウントに関する情報を、アカウント情報としてアカウントデータベースDB1に登録する。
【0030】
その後、パネラーは、パネル端末200を利用してECサーバ300にアクセスし、所望の商品を購買する(ステップS2)。かかる商品を購買する際に、パネラー(パネル端末200)とECサーバ300との間で送受信される購買関連メールは、当該パネラーのメールボックスに格納される(ステップS3)。
【0031】
調査・解析サーバ100の収集部120は、アカウントデータベースDB1にアクセスし、アカウント情報を参照する。調査・解析サーバ100の収集部120は、アカウント情報に含まれるパネラーのメールアドレス等を利用して、メールボックスにアクセスし、パネラーのメールデータを収集する(ステップS4)。
【0032】
調査・解析サーバ100の取得部130は、収集部120によって収集されたパネラーのメールデータを解析することで購買関連メールを特定し(ステップS5)、購買関連メールから当該パネラーによる商品の購買情報を取得する(ステップS6)。
【0033】
調査・解析サーバ100の特典付与部150は、購買関連メールによる購買情報を提供したパネラー(パネル端末200)に対し、所定の特典(例えば、所定のポイントやクーポン、電子マネーなど)を付与する(ステップS7)。なお、特典付与部150は、提供される購買情報の量や種類に応じて特典を付与するほか、上述したメールアカウントの設定時(初回登録)に対して特典を付与(例えば、ボーナスポイントの付与)する、さらには、メールアカウントが正常に維持されていることに対して特典を付与(例えば、月額固定のポイントを付与)するようにしてもよい。
【0034】
一方、調査・解析サーバ100の出力部140は、取得部130が取得したパネラーによる商品の購買情報を、適宜加工してクライアントユーザの端末に提供し(ステップS8)、処理を終了する。
【0035】
かかる構成によれば、調査・解析サーバ100は、パネラーによって登録されたアカウント情報に基づき、パネラーの購買関連メールを収集し、当該購買関連メールから購買情報を取得・解析することで、マーケティング戦略に重要な購買情報を、クライアントユーザに提供する。
【0036】
このため、調査・解析サーバ100は、従来のごとく、パネラーに対して購買した商品ごとにバーコードをスキャンするといった作業を強いることなく、詳細な購買情報を迅速に収集することが可能となる。
【0037】
B.応用例
以下に示す応用例1〜3は、パネラーのプライバシーを考慮しつつも、調査・解析に必要な当該パネラーの購買情報の取得を可能とする。
<応用例1>
例えば、ECサーバ300に登録するパネラーのメールアドレスに関し、当該パネラーが利用するプライベートなメールアドレスに代えて、調査・解析サーバ100が発行する購買専用のメールアドレスを利用するようにしてもよい。
図6は、応用例1に係る購買情報利用システム1000の処理概要を示すシーケンス図である。
【0038】
パネラーは、購買情報利用システム1000の利用に先立ち、パネル端末200を利用して調査・解析サーバ100にアクセスし、当該パネラー向けの購買専用のメールアドレスの発行を依頼する(ステップSA1)。メールアドレスの発行の際に、購買専用のメールアドレスに送られてきたメールをコピー(複製)し、転送先となる自分のプライベートなメールアドレスを登録する。
【0039】
調査・解析サーバ100の受付部110は、パネラー(パネル端末200)からの依頼に応じて、購買専用のメールアドレスを発行し、パネル端末200に通知する(ステップSA2)。調査・解析サーバ100の受付部110は、発行した購買専用のメールアドレスに関する情報(例えば、メールアドレス、パネラーの氏名、IDなど)を、アカウント情報としてアカウントデータベースDB1に登録する。
【0040】
その後、パネラーは、パネル端末200を利用してECサーバ300にアクセスし、商品を購買する際に利用するメールアドレスとして、通知された購買専用のメールアドレスを登録する(ステップSA3)。
【0041】
パネラーは、パネル端末200を利用してECサーバ300にアクセスし、所望の商品を購買する(ステップSA4)。かかる商品を購買する際に、パネラー(パネル端末200)とECサーバ300との間で送受信される購買関連メールは、当該パネラーの購買専用のメールアドレスによって指定されたメールボックスに格納される(ステップSA5)。それと同時に、登録してある自分のプライベートなメールアドレスに、購買関連メールのコピー(複製)を送信する。
【0042】
調査・解析サーバ100の収集部120は、購買専用のメールアドレスによって指定されたメールボックスからメールデータを収集する。なお、この場合、メールデータは、購買関連メールに限られるため(すなわち、パネラーのプライベートなメールなどは含まれない)、購買情報以外の情報を第三者に共有する必要がなくなる。すなわち、調査・解析サーバ100の取得部130は、収集部120によって収集されたパネラーの購買関連メールから、当該パネラーによる商品の購買情報を取得する(ステップSA6)。なお、この後の動作については、上述した本実施形態と同様に説明することができるため、説明を割愛する。
【0043】
ここで、購買専用のメールアドレスに届いた購買関連メールについては、例えばパネラーの要求に応じて、当該パネラーのプライベートなメールアドレスに転送するようにしてもよい。
【0044】
<応用例2>
メールデータの取得に関し、収集部120が収集可能なメールデータの種類をあらわすプライバシー情報を設定してもよい。例えば、当該パネラーの全てのメールの収集を許可する第1のプライバシー情報、当該パネラーの購買関連メールのみ、収集を許可する第2のプライバシー情報、当該パネラーの特定のメール(例えば、所定のラベルが付与されているメール)のみ、収集を許可する第3のプライバシー情報を設定してもよい。なお、パネラーに付与する特典は、設定されるプライバシー情報に応じて軽重をつけてもよい。
【0045】
<応用例3>
パネラーのプライバシーを考慮し、商品の購買履歴のページのスクリーンショットをパネラーに撮影してもらい、スクリーンショットした画像データ(以下、「購買画像データ」という)から、購買情報を取得するようにしてもよい。
図7は、応用例3に係る購買情報利用システム1000の処理概要を示すシーケンス図である。
パネラーは、パネル端末200を利用してECサーバ300にログインし(ステップSB1)、当該パネラーの商品の購買履歴を閲覧する(ステップSB2)。
パネラーは、パネル端末200を利用して商品の購買履歴のページのスクリーンショットを撮影し、購買画像データを取得する(ステップSB3)。
パネラーは、パネル端末200を利用して、取得した購買画像データを調査・解析サーバ100にアップロードする(ステップSB4)。
【0046】
調査・解析サーバ100の取得部130は、アップロードされた購買画像データを、画像解析し(ステップSB5)、購買画像データから購買情報を取得する(ステップSB6)。画像解析については、例えば購買画像データにOCR(Optical Character Recognition)処理を施し、ディープラーニングなどを適用して学習させ、購買画像データから購買情報を正規化して取得する方法等が挙げられる。なお、この後の動作については、上述した本実施形態と同様に説明することができるため、説明を割愛する。
かかる構成によれば、パネラーのプライバシーを重視しつつも、マーケティング戦略に重要な購買情報を取得することが可能となる。
【0047】
<応用例4>
本実施形態では、特に言及しなかったが、パネラーのメールアカウントへのアクセス頻度(すなわち、新着メールのチェック頻度)を適宜設定・変更してもよい。例えば、パネラーの購買履歴を分析し、商品が購買されそうな日時にアクセスする、あるいは通信トラフィックが大きい時間帯(例えば12時や17時〜0時など)のアクセス頻度を高く設定する等が挙げられる。かかる構成によれば、通信トラフィックを考慮した効率のよい購買情報の取得が可能となる。
【0048】
C.その他
本発明は、上述した本実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、他の様々な形で実施することができる。このため、上記実施形態はあらゆる点で単なる例示にすぎず、限定的に解釈されるものではない。例えば、上述した各処理ステップは処理内容に矛盾を生じない範囲で任意に順番を変更し、または並列に実行することができる。
【0049】
また、パネラー(パネル端末200)とECサーバ300の間のデータの授受を全て閲覧することができれば、その内容を解析することでパネラーの購買情報や、閲覧した商品の情報などを取得することができる。これを実現するために、調査・解析サーバ200にHTTPフォワードプロキシサーバの機能を搭載してもよい。なお、ECサーバ300とパネラー(パネル端末200)の間は、セキュアな通信を実現するためにSSL(TLS)によって暗号化されていることが一般的である。このような場合には、SSLフォワードプロキシを利用することで、パネラー(パネル端末200)とECサーバ300の間のデータの授受を閲覧・解析し、パネラーの購買情報等を取得すればよい。
また、本明細書において、「部」とは、単に物理的構成を意味するものではなく、その「部」が実行する処理をソフトウェアによって実現する場合も含む。また、1つの「部」が実行する処理を2つ以上の物理的構成や装置により実現されても、2つ以上の「部」が実行する処理を1つの物理的手段や装置により実現されてもよい。
【0050】
本明細書において説明した各処理を実施するプログラムは、記憶媒体に記憶させてもよい。この記憶媒体を用いれば、調査・解析サーバ100を構成するコンピュータに、上記プログラムをインストールすることができる。ここで、上記プログラムを記憶した記憶媒体は、非一過性の記憶媒体であっても良い。非一過性の記憶媒体は特に限定されないが、例えば、CD−ROM等の記憶媒体であっても良い。