【解決手段】電気グリッドによってサービスが提供されている関心地域(ROI)に対するEV負荷需要(EVLD)モデルの構築を含み、EVLDモデルは、EVモデルと、ROIに対するEV交通状態をシミュレートする輸送シミュレータとを統合している。更に、方法は、EVLDモデルに基づき、ROI内の複数のEVのなかの各EVに対して、バッテリの充電状態(SOC)の観点で、時間及び空間おける負荷需要を計算することを含む。それに加えて、方法は、各EVの計算された負荷需要を、SOCの観点で時間ドメイン及び空間ドメインにおいて集約して、ROIに対する電気グリッド上の複数のEVによる負荷需要の時間的−空間的インパクトを構築することを含む。
前記EVモデルは、電気的モデルに結合された機械的モデルを含み、前記EVの各々の前記バッテリのSOCの観点で、前記EVの各々の負荷需要を提供する、請求項1に記載の方法。
前記計算された前記負荷需要を集約することは、エンドオブデイ、ホーム(EOD−H:End of Day,Home)充電方針、及びホームアンドアウェイ(HAA(q,ε):Home and Away)充電方針を含む、複数の予め定義された充電方針に基づき、前記HAA(q,ε)充電方針は、固有のEV普及レベルを提供する複数のレベルのqと、固有のSOC閾値を提供する複数のレベルのεとに基づいて差異化された複数のレベルを更に含む、請求項1に記載の方法。
前記EVモデルは、前記EVの各々の前記バッテリのSOCの観点で、前記EVの各々の負荷需要を提供する電気的モデルに結合された機械的モデルを含む、請求項5に記載のシステム(100)。
前記計算された前記負荷需要を集約することは、エンドオブデイ、ホーム(EOD−H)充電方針、及びホームアンドアウェイ(HAA(q,ε))充電方針を含む、複数の予め定義された充電方針に基づき、前記HAA(q,ε)充電方針は、固有のEV普及レベルを提供する複数のレベルのqと、固有のSOC閾値を提供する複数のレベルのεとに基づいて差異化された複数のレベルを更に含む、請求項5に記載のシステム(100)。
前記EVモデルは、電気的モデルに結合された機械的モデルを含み、前記EVの各々の前記バッテリのSOCの観点で、前記EVの各々の負荷需要を提供する、請求項9に記載の非一時的媒体。
前記計算された前記負荷需要を集約することは、エンドオブデイ、ホーム(EOD−H)充電方針、及びホームアンドアウェイ(HAA(q,ε))充電方針を含む、複数の予め定義された充電方針に基づいており、前記HAA(q,ε)充電方針は、固有のEV普及レベルを提供するqの複数のレベルと、固有のSOC閾値を提供するεの複数のレベルとに基づいて差異化された複数のレベルを更に含む、請求項9に記載の非一時的媒体。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本明細書のいかなるブロック図も、本明細書の主題の原理を具体化する例示的なシステム及びデバイスの概念的視点を表すことを当業者は理解されたい。同様に、コンピュータ又はプロセッサが明示的に示されていようがいまいが、いかなるフローチャート、フロー図等も、コンピュータ可読媒体内に実質的に表現されてもよく、よってコンピュータ又はプロセッサによって実行されてもよい様々なプロセスを示していることが理解されよう。
【0013】
例示的な実施形態を、添付の図面を参照して説明する。図面において、参照番号の最も左の桁は、参照番号が最初に現れる図を識別する。好都合な場合は、同じ又は類似の要素を示すために図面全体を通じて同じ参照符号が使用される。本明細書では開示された原理の例及び特徴を説明しているが、開示された実施形態の趣旨と範囲から逸脱しない範囲で、修正形態、適合形態、及び他の実現形態が可能である。以下の詳細な説明は例示としてのみ考慮され、真の範囲及び趣旨は以下の特許請求の範囲によって示されることを意図している。
【0014】
電気自動車(EV)のインパクトの理解は、文献による既存のアプローチによって提供されるが、主に以下の独立したエリアのそれぞれにおいて取り組まれている。あるエリアでは、車又は車両の設計イニシアチブの一部として個々の車両のモデル化を提供する、EVモデル生成を扱っている。別のエリアではバッテリのモデル化を扱っており、様々なタイプのバッテリケミストリ、バッテリ管理システムが研究されている。別のエリアでは、地域の交通動特性、混雑、車両間相互作用、道路ネットワーク変化のインパクト等を理解するための交通マイクロシミュレータを扱っている。更に、EV用の充電ステーション及び充電ターミナルに対する独立した研究が行われ、様々な到着モデル及びバッテリ状態モデルを想定してEVの充電負荷を見積もっている。
【0015】
しかし、これらエリアの各々は、関心地域(ROI)内の複数のEVにサービスを提供する電気グリッドに対するEVのインパクトに関する、完全に統合された描像をほとんど提供していない。
【0016】
上記のエリアのうちの1つ以上を統合してインパクトを見積もる既存のアプローチはほとんどない。それら統合化の試みは以下の種類に該当すると思われる。
1.詳細なドライブモデルを考慮しない、単純かつ/又は線形のEV/バッテリモデル
2.ファイングレインEVモデルを提供せず、車両の相互作用及びブレーキングを考慮しない単純フローに基づくモデル
3.基礎をなす、EVの人口統計/空間的/時間的分布を理解しない、スマートネットワークを介した充電の最適化
【0017】
より高い精度で負荷需要を計算するために、開示された方法及びシステムは、関心地域(ROI)における電気グリッドによってサービスが提供されている複数の電気自動車(EV)に起因する、電気グリッド上の負荷需要の時間的−空間的分布を予測するための方法及びシステムを提供する。この方法はROIに対するEV負荷需要(EVLD)モデルの構築を含み、EVLDモデルは、EVモデルと、ROIに対するEV交通状態をシミュレートする輸送シミュレータとを統合している。EVモデルは、回生制動を考慮に入れてEVのバッテリの充電状態(SOC)を計算することができるファイングレインEVモデルであり、回生制動はEVのSOCにとって考慮すべき重要な要素である。更に、この方法は、EVLDモデルに基づき、ROI内の複数のEVのなかの各EVに対してSOCの観点で、時間及び空間における負荷需要を計算することを含む。SOCの観点で負荷需要を計算した時点で、この方法は、各EVの負荷需要を、SOCの観点で時間ドメイン及び空間ドメインで集約することと、電気グリッド上の複数のEVによる負荷需要の時間的−空間的インパクトを構築することと、を含む。
【0018】
開示された方法は、EVの放電及び充電特性を、時間毎のウィンドウ上に(例えば、毎秒ベースのマイクロレベルで)捕捉する、非常に正確なSOC用のEVモデルを提供する。更に、開示された方法は、個々のEVが追跡されその運転挙動が捕捉されるマイクロスケールでの交通シミュレータを統合することにより、現実に近い運転挙動をより大きなスケールで提供する。更に、開示された方法はバッテリに対する電力需要の配置及び追跡を提供し、バッテリの状態はファイングレインEVモデル及び交通シミュレータ(交通モデル)により正確に捕捉される。
【0019】
ここで図面を、より具体的には
図1から
図4を参照するが、図面を通して、類似の参照文字は一貫して対応する特徴を表し、好ましい実施形態が示され、これら実施形態は以下の例示的システム及び/又は方法との関連において説明される。
【0020】
図1は、本開示のいくつかの実施形態による、EVLDモデルに基づく負荷需要の時間的−空間的予測を提供するシステム100の機能ブロックダイアグラムを示す。
【0021】
システム100は、プロセッサ102などの1つ以上のハードウェアプロセッサ、メモリ104などの少なくとも1つのメモリ、及びI/Oインタフェース106を含むか、又はそうでない場合はそれらと通信状態にある。プロセッサ102(ハードウェアプロセッサ)、メモリ104、及びI/Oインタフェース106は、システムバス108などのシステムバス、又は類似のメカニズムにより結合されていてもよい。
【0022】
メモリ104は更に、モジュール110を含んでもよい。一実施形態では、モジュール110は
図2に関連して説明するEVLDモデルを含む。一実施形態では、モジュール110は、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)又は特定用途向け集積回路(ASIC)を使用して実装された、メモリ104の外部の集積回路(IC)であり得る。本明細書で参照されるメモリモジュール110内の機能ブロックのモジュール名は、説明のために使用される例であり、制限するものではない。更に、メモリ104は、プロセッサ102によって生成された処理データ及び中間データなどのデータを記憶し、一方でモジュール110内の命令を実行することにより機能性を実現する、リポジトリ112を含む。
【0023】
ハードウェアプロセッサ102は、1つ以上のマルチコアプロセッサ、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、マイクロコントローラ、デジタルシグナルプロセッサ、中央演算処理装置、ステートマシン、ロジック回路、及び/又は動作命令に基づきデータを操作する任意のデバイスとして実装され得る。他の機能のなかでも、ハードウェアプロセッサ102は、メモリ104内に記憶されたコンピュータ可読命令を取り出し実行し、メモリ104の外部又は内部のモジュール110と通信して、モジュール110によって実現される機能の実行をトリガするように構成されている。
【0024】
システム100内のI/Oインタフェース106は、様々なソフトウェアインタフェース及びハードウェアインタフェースを、例えば、ウェブインタフェース、すなわち、電気グリッド上の複数のEVの負荷需要の時間的−空間的インパクトを表示するためのグラフィカルユーザインタフェースを含んでもよい。インタフェース106は、様々なソフトウェアインタフェース及びハードウェアインタフェースを、例えば、キーボード、マウス、外部メモリ、並びにプリンタ及びディスプレイなどのインタフェース又は周辺装置を含んでもよい。更に、インタフェース106は、システム100が他のデバイス、例えばコンピューティング装置104、ウェブサーバ、及び必要なデータを収集するための外部データベースと通信することを可能にしてもよい。インタフェース106は、例えばローカルエリアネットワーク(LAN)、ケーブル等の有線ネットワーク、及び無線LAN(WLAN)、セルラー、又は衛星などの無線通信を含む、多種多様なネットワーク及びプロトコルタイプ内で複数の通信を促進することができる。その目的のために、インタフェース106は、複数のコンピューティングシステムを互いに接続するか、又は別のサーバコンピュータに接続するための1つ以上のポートを含んでもよい。I/Oインタフェース106は、複数のデバイスを互いに接続するか、又は別のサーバに接続するための1つ以上のポートを含んでもよい。
【0025】
メモリ104は、例えば、スタティック・ランダムアクセスメモリ(SRAM)、及びダイナミック・ランダムアクセスメモリ(DRAM)などの揮発性メモリ、及び/又は、読出し専用メモリ(ROM)、消去可能プログラマブルROM、フラッシュメモリ、ハードディスク、光学ディスク、及び磁気テープなどの不揮発性メモリを含む、当該技術分野において既知の任意のコンピュータ可読媒体を含んでもよい。更に、モジュール110は特定のタスクを実行し、又は特定の抽象データタイプを実現する、ルーチン、プログラム、オブジェクト、コンポーネンツ、データ構造等を含んでもよい。モジュール110は、システム100によって実施される用途又は機能を補足するコンピュータ可読命令を含んでもよい。
【0026】
リポジトリ112はまた、モジュール110内の1つ以上のモジュールの実行結果として、処理、受信、又は生成されたデータを記憶してもよい。更に、機能ビルディングブロックの境界は説明の便宜上、本明細書で任意に規定されたものである。特定の機能及びその関係が適切に実施される限り、代替の境界が規定され得る。代替形態(本明細書で説明される代替形態の等価物、拡張、変形、逸脱などを含む)が、本明細書内に含まれる教示に基づいて当業者には明らかとなるであろう。そのような代替形態は、開示される実施形態の範囲及び趣旨に含まれる。
【0027】
図2は、本開示のいくつかの実施形態による、
図1のシステム100のEVLDモデル114の詳細な機能ダイアグラムを示す。
【0028】
一実施形態では、ROIに対する交通のマイクロシミュレーションを提供する輸送シミュレータ202を、輸送シミュレータ202によって考慮されたROI内の各EVに対してEVモデルを提供するEVモデル204と統合することにより、EVLDモデル114が提供される。
【0029】
EVLDモデル114は、EVモデル204と統合された輸送シミュレータ202を利用して、ROI内の複数のEVのなかの各EVに対して、バッテリのSOCの観点で、時間及び空間における負荷需要を計算するように構成されている。輸送シミュレータ202は、EVが移動した複数の位置のなかの全ての位置において、規則的な時間ウィンドウで、空間ドメイン及び時間ドメインにおいて、対応するEVの速度及び加速度の観点で、ROIの各EVの位置を追跡するように構成されている。追跡は輸送シミュレータ202によってシミュレートされたROIの交通状態に基づいている。更に、EVモデル204は、対応するEVに対して、規則的な時間ウィンドウのなかの対応する時間ウィンドウに対して、バッテリのSOCの観点で、時間ドメインにおける各EVの負荷需要を提供するように構成されている。SOCは、対応する時間ウィンドウに対する、対応するEVの速度及び加速度に基づき見積もられる。EVモデル204は、電気的モデル208に結合された機械的モデル206を含み、各EVのバッテリのSOCの観点で、各EVの負荷需要を提供する。EVモデル204は、機械的モデル206を用いて、対応する時間ウィンドウに対する、対応するEVの速度及び加速度に基づき、各時間ウィンドウに対して、各EVの機械的電力(P
M(t))を見積もることにより、各EVに対するバッテリのSOCを計算するように構成されている。更に、電気的モデル208は、対応する時間ウィンドウに対する、各EVに対する機械的電力(P
M(t))の等価電気的電力(P
E(t))を見積もるように構成されている。計算された機械的電力がゼロよりも大きい場合は、見積もられた電気的電力(P
E(t))はバッテリを消耗させる放電電力に相当し、一方、計算された機械的電力(P
M(t))がゼロよりも小さい場合は、計算された電気的電力(P
E(t))はバッテリを充電する回生電力に相当する。更に、電気的モデル208は、計算された等価電気的電力(P
E(t))が回生電力であるか、又は放電電力であるかに基づき、対応する時間ウィンドウに対して、対応するEVのバッテリのSOCを更新するように構成されている。
【0030】
各EVのSOC(更新された、及び現在のSOC)を時間及び空間において計算した時点で、EVLDモデル114は、SOCの観点で、時間ドメイン及び空間ドメインにおいて、各EVの計算された負荷需要を集約して、ROIに対する電気グリッド上の複数のEVによる負荷需要の時間的−空間的インパクトを構築するように構成されている。負荷需要を集約することは、エンドオブデイ(End of Day)、ホーム(EOD−H)充電方針、及びホームアンドアウェイ(Home and Away)(HAA(q,ε))充電方針を含む、複数の予め定義された充電方針に基づいている。HAA(q,ε)充電方針は更に、固有のEV普及レベルを提供するqの複数のレベルと、EVユーザ(所有者)にとって快適な最低のSOCを示す固有のSOC閾値を提供するεの複数のレベルとに基づいて差異化された複数のレベルを含む。集約化は以下の実施例と関連させて詳細に説明される。
【0031】
システム100を、本明細書で説明される例示的実施形態を用いて説明する。例示的実施形態では、EVモデル204は、Tesla Model S(85kWh−RWD)EVに対して開発され、公開データベースにおいて利用可能なデータを使用し、更にTesla Model Sの航続距離からの情報を分析及び抽出した。生成されたEVモデル204は、対応する車両に任意の運転サイクルを課した後の、Tesla Model SのバッテリパックのSOCを見積もることができる。モデルパラメータは、公表されているグラウンドトルースデータを用いて較正及び実証されている。更に、EVモデル204は、輸送シミュレータ202、例えば本明細書ではSUMO(Simulation of Urban MObility)のモデルと統合されている。SUMOは、オープンソースの微視的、空間連続的、時間離散的な交通シミュレーションスイートであり、マルチモーダル及びインターモーダルの交通システム、公共輸送、及び歩行者をモデル化することができる。SUMOは、経路探索、視覚化、ネットワークインポート、及び需要モデル化のためのツール及びモジュールを含む。SUMOは、都市規模又は大都市規模の道路網における典型的な車両集団の挙動をシミュレートすることができる。開示されたシステム100は、ルクセンブルク(ROI)に対して開発され、ルクセンブルク(ROI)電気グリッドに対するEV普及率のインパクトを研究するモデルを使用している。交通モデルは較正され実証されているので、シミュレーション研究で実現された車両のパターンは適度に現実的である。この統合化されたEVLDモデル114シミュレータを使用して、電気グリッド上の集約された需要、及びEV充電に起因する様々な近隣地区における集約されていない需要の両方を取得して、ROI内のEVに起因する負荷需要の時間的−空間的分布を提供することができる。EVLDモデル114を有するシステム100は、EV採用の様々な程度と、EVユーザの異なる再充電方針とに対する充電需要を提供することができる。更に、EVLDモデル114を有する開示されたシステム100から取得した主要なインプットは、EVモデル204を用いて取得した航続距離が公開データからのものに近いことを示している。一定速度に対して、モデルが予測した航続距離における平均誤差は約1.83%である。速度が変化する場合は、我々のモデルと公開データとの間の相対誤差は、EPA 2−サイクルテストで−6.7%、EPA 5−サイクルテストで2.6%である。これらテストは車両の走行距離を報告するためにUS EPAによって指定されているベンチマークドライブサイクルである。更に、距離(又は平均速度)などの平均測定基準は放電深度の良好な指標ではないことが示されている。具体的には、移動距離が同じ場合、バッテリの放電は20%も変動し得る。集約された充電負荷は25%のEV普及レベルにおいてさえ、都市の集約されたピーク需要を大幅に増加させることはない(<13%)。しかし、全体的な充電負荷が空間的に集約されない場合、特定の近隣地区に対して近隣地区のピーク需要は77%を超える増加となる。更に、本明細書で開示されたシステム202によって考慮される充電方針のなかで、大部分のEVユーザが従っている毎日の自宅でのエンドオブデイ充電方針はベース需要のピーク又は最大値を増加させる。また、グリッド上の近隣地区によって生じたインパクトの観点でスキューが観察され、EV普及率が25%において、近隣地区の10%がインパクトのほぼ81.5%に寄与している。EV普及率が減少するにつれて、この空間的スキューは増加する。
【0032】
本明細書の例に対して機械的モデル206及び電気的モデル208を含むEVモデル204を生成するために、簡単化のための仮定として、1)道路は傾斜していないこと、2)向かい風又は追い風がないこと、3)エアコンシステムは停止していること、を含む。これら仮定は必要があれば容易に緩和することができ、仮定3はいくつかの時点で緩和される。更に、EVモデル204は、負でない加速と、減速のケースとを別々に取り扱っている。使用される表記法は以下の表1にまとめられている。
【0034】
輸送シミュレータ202とEVモデル204とが統合されたEVLDモデル114は、以下のような動作を実行する。(i)時間tにおいて、輸送シミュレータ202は、交通状態に応じて、EV速度v(t)及び[t;t+δ](時間ウィンドウ)にわたる加速度a(t)を提供する。(ii)EVモデルは、バッテリ特性及び現在のSOC、∈(t)、を想定して、v(t)及びa(t)が実現可能であるかどうかを決定する。実現可能であれば、EVモデル204は、[t;t+δ]にわたって消費されたエネルギーに応じて、新たなSOC(t+δ)を計算する。以降では、Tesla Model−Sを代わりにEVと呼び、そのバッテリパックを代わりにBEV(EVのバッテリ:Battery of the EV)と呼ぶ。
【0035】
本明細書の例におけるEVLDモデル114は、車両の速度v(t)及び加速度a(t)から必要な機械的電力P
M(t)を計算するために、自動車物理モデル(機械的モデル206)を利用している。更に、電気的モデル(208)を用いて、電気的電力P
E(t)が機械的電力から計算される。次に、電気的電力を使用してバッテリのSOCが更新される。
【0036】
EVモデル204用の自動車物理モデルは、機械的モデル206及び電気的モデル208を提供する。
【0037】
a)負でない加速:加速するか、又は現在の速度を維持するために、自動車又はEV内の電気モータは、タイヤトラクション及び空力抵抗に起因する摩擦力に打ち勝つ必要がある。正味の反力は次のように近似することができる。
【0039】
自動車を加速度aで移動させるために必要なのはモータが供給する力のF
O+maであり、モータから必要な機械的電力は以下である。
【0041】
モータに必要とされる機械的電力をバッテリから必要とされる電気的電力(P
E)に変換するために、速度及び加速度(例えばモータのRPM及びトルク)の関数である効率関数η(v,a)によって中間ブロックを抽象化する。従って、P
E(t)=P
M(t)/η(v,a)、となる。
【0042】
b)減速:自動車のドライバがEVのブレーキを踏むと、モータへのバッテリ電力は切断され、車両の慣性を利用して、電気を(再)生成させると同時に車両を遅らせる(内燃車両におけるエンジンブレーキに類似)。高速において迅速にブレーキを掛けるにはエンジンだけを使用するのは不十分なので、摩擦(すなわち通常のブレーキパッド)ブレーキも使用される。制御器が、エンジンブレーキと摩擦ブレーキとの間のブレーキトルクを即座に分配する。更に、高速では任意の高電流が回生制動によって扱えないので、そのような運動エネルギーは抵抗性回路又は摩擦ブレーキのいずれかによって失われなければならない。本明細書で開示されたシステム100では、上述の観察を考慮した後に、以下のように簡略化されたEVモデル再生成。減速の場合、a<0であり、従って、[t,t+δ]にわたって、自動車の初期運動量m.v(t)に依存して、バッテリは放電する(|a|が小さく、v(t)が高い場合は運動量を維持するために)か、又は充電する(|a|が大きく、v(t)が低い場合)かのいずれかであり得る。具体的には、P
M(t)によって供給される機械的電力は、式(1b)と同じ式を用いて計算される。P
M(t)<0の場合、瞬間的な回生電力は、ηR|P
M(t)|と決定される。a<0にも関わらずP
M(t)>0の場合、瞬間的な放電電力は、前述の通り、P
M(t)=ηη
D(v,a)と決定される。回生電流を最小にすることにより|P
M(t)|がおよそ0に等しい場合は、回生は回避される。時間tの所与の点において消費された又は回生された電力に対して、式(1b)は連続関数である。a=0の場合は、[t,t+δ]にわたって消費された電力は時間区間(時間ウィンドウ)にわたって一定であり、そのまま使用することができる。しかし、|a|>>0の場合、vは[t,t+δ]内においてさえも大幅に変化し得る。従って、式(1)を[t,t+δ]にわたって積分する必要がある。|a|が高い区間でバッテリを更新するために、式(1b)が積分され、平均の機械的電力
【0044】
は、以下に式(1c)、(1d)及び(1e)で定義したようになる。
【0047】
が>0の場合、バッテリからの放電電力は以下の通りである。
【0050】
が<0の場合、バッテリからの回生電力は以下の通りである。
【0052】
車を操作する地域に依存して、これら積分方程式を適切に離散化する数値的方法が用いられる。
【0053】
EVモデル204に対するバッテリモデル化:BEVに対して考慮した放電及び充電特性は、本明細書では例えば、
図4aに示すような、Teslaによって使用されたパナソニックのセルモデルNCR18650Bのものである。公開フォーラムにて提供されるデータから、BEVは直列(96)及び並列(74)に構成された単純な(74×96)セルから構成されて、400Vの設計完全充電電圧を供給することが推測される。TeslaによってModel−S85 RWD,85kWhに対して提供されるエネルギー仕様は、バッテリパックの公称(3.6V×3200mAh×96×74=81.8kWh)、及び完全充電(4.2V×3200mAh×96×74=95.4kWh)エネルギーの範囲内にあることに留意されたい。更に、バッテリの定格電圧である400Vは、直列のセル数に対する4.2V(×96)=403.2Vと整合している。以下の表2はバッテリの電気的モデルの表記法を提供する。(最初に見られる)設計定数はパナソニックのNCR18650Bからである。
【0055】
バッテリのモデル化に使用される表記法は表2にまとめている。Tesla BEVは、N
P×N
S個のセルで構成され、N
P個の並列ブロックとN
S個の直列セルからなる。従って、バッテリの全体的な内部抵抗はR
B=N
S×r
C/N
Pによって与えられ、バッテリの全体的な公称電圧は、V
B=V
C×N
Sで与えられる。セルの充電抵抗は、一般に放電抵抗と同一ではないが、セルに対して両方を表すために、本明細書で使用されるのは同一の表記法r
Cであることに留意されたい。実際は、バッテリパックはインテリジェントバッテリ管理システムによって制御され、所与の負荷(回生)電力に対してセルが放電(充電)されるようにスケジュールされている。しかし、本明細書の目的のために、我々はバッテリパックを、バッテリパック制御のモデル化を何ら行わず、全てのセルを、同一のレートで放電及び充電される均質な実体として取り扱っている。
【0056】
放電:
図4A(a)はパナソニックのNCR18650Bの仕様書から入手可能な、特定の電流におけるセルの放電プロファイルを示す。各曲線は、一定の放電電流I
Bに対する、様々な充電レベル(SOC)∈におけるバッテリ電圧V
B(∈,I
B)を示す。バッテリの開回路電圧V
OC(∈)は、SOC ∈のみの関数であり、放電電流I
Bには依存しないことに留意されたい。バッテリの内部抵抗を横切って電圧が降下するので、(端子)バッテリ電圧は放電電流に依存して、V
B=V
OC(∈)−R
BI
Bとなる。製造者の曲線では、I
Bの特定の値のみにV
Bが提供されている。I
Bの任意の値に対してV
BをI
Bの関数として計算する必要がある。そうするために、一定電流の曲線I
1、I
2に対する電圧の間のV
Bの値を、I
1<I<I
2となるように補間する。具体的には、所与の∈に対してI
1、I
2の範囲内では抵抗は一定であると仮定する。
【0057】
従って、2つの異なる電流値I
1及びI
2に対して、R
B(∈)は、{V
B(I
1,∈)−VB(I
2,∈)}/(I
1−I
2)と計算される。任意のI
Bに対してV
Bは、V
B(I
1)+(I
B−I
1)R
B、と推定することができる。モデル化はまた、製造者によって提供される最小及び最大の電流の曲線の外側にI
Bが位置する場合に扱うべき、いくつかの境界条件を必要とするが、簡潔にするために詳細は述べない。このモデルが、輸送シミュレーション内でバッテリを放電するために使用される。
【0058】
再充電:放電とは異なり、BEV内の再充電は、定電流及び定電圧の2つのモードで起こる。
図4A(b)はBEVの再充電プロファイルを示す。電圧が飽和電圧の4.2Vに至るまで、充電は定電流で行われ、いったん電圧がこの閾値を超えると、いわゆる細流充電と呼ばれる、定電圧モードで充電される。同様に、モデルは、バッテリ曲線からのサンプリングされたデータ点にフィッティングされ、我々のシミュレータで使用するために、様々な電圧及び電流に対して充電の式を見積もった。このモデルは電気グリッド上の需要を見積もるためのものである。
【0059】
バッテリ状態の進展:SOC ∈(t)が与えられた場合、必要なことは新しくSOC ∈(t+δ)を計算することである。物理モデルから、機械的電力、P
M(t)=P
M(v(t),a(t))を得ることができ、P
M(t)における効率から、必要な総電気的電力P
E(t)は、P
M(t)/η(P
M(t))となる。P
M>0は放電を示し、一方でP
M<0は回生を示す。
【0060】
放電:放電に関しては、バッテリから引き出される電流は、式(2)によって与えられるI
B(t)に関する以下の式を解くことにより計算される。
[V
OC(∈(t))−I
B(t)R
B(t)]×I
B(t)=P
E(t)] 式(2)
【0061】
よって、∈(t+δ)を{∈(t)−(I
B(t)×δ)/C}と計算することができる。式中、Cはバッテリの充電容量(例えばmAh単位の)である。
【0062】
回生:SOCがすでに高い場合は、再充電は使用可能にはならず、あらゆる回生電力はブレーキの抵抗体で散逸されるか又は摩擦ブレーキが使用可能になる。SOCが高くなく、依然として電荷をもっと取り込むことができる場合は、回生電力は、バッテリ電圧と内部抵抗に、すなわち、充電電流I
Cにおいて、V
OC+R
C.I
Cに打ち勝つ必要がある。パナソニックのバッテリ充電曲線から、所与のSOCにおけるR
C及びV
OCが得られる。従って、所与のSOCにおける回生電力P
Eが与えられ、I
Cに対して解くと、P
E=(V
OC+R
C.I
C)I
Cとなる。P
Eに対して、V
OC.R
C>0の場合、この方程式には一意の正値解があることに留意されたい。扱わなければならない境界条件は、充電電圧V
OC+R
CI
Cが指定された最大セル電圧V
maxを決して超えないことである。P
Eによってセル電圧が増加する場合、充電電流は、V
OC+I
*CR
C=V
maxとなるようなI
*Cで遮断される。P
EとV
maxI
*Cとの間の差は、ブレーキの抵抗体で、又は機械的ブレーキで失われると想定される。
【0063】
HVAC電力:HVAC電力は次のように考慮される。Teslaは、一定速度で運転中にHVACが遮断されているかいないかを指示するフラグを航続距離計算機内に有する。様々な一定速度に対して、HVACエネルギー消費がある場合とない場合で、全体的なエネルギー消費を得た。入手可能なデータから、HVAC平均エネルギー消費は約1.516KW(3.8%の偏差を有する)であることが分かった。バッテリの放電のためのモデルは、必要であればHVAC電力を含めて厳密化される。
【0064】
EVモデル204の検証:3つのシナリオ、すなわち、1)一定速度、2)US EPA 2−サイクルテスト、及び3)US EPA 5−サイクルテスト、を考慮した。各EPAテストは、速度のビルディングブロックパターンPを、時間ブロックTに対する時間で除したものを指定している。試験車両は時間幅TにわたりPに従って運転され、次にビルディングブロックPは最初から繰り返され、車両が停止基準を満たさなくなるまで継続される。
図4B(a)及び
図4B(b)はそれぞれ、EPA 2−サイクル及び5−サイクルテストに対するビルディングブロックPの速度プロファイルを示す。これらテストは、都市、ハイウェイ、及び郊外の運転をHVAC使用の有り及び無しの組合せを表すことを意味し、製造者はこれらテストでのマイレージを報告することになっている。各シナリオに対して、我々は以下の指標、1)バッテリが最小SOCに至るまでの航続距離、2)テスト完了までの所要時間、3)バッテリから放電された総電力によって測定されたバッテリ容量、を考慮した。各指標に対して、以下のグラウンドトルースが確立された。
【0065】
航続距離については、グラウンドトルースは、テストシナリオの各々に対してTeslaが報告した値から利用可能である。
【0066】
完了までの所要時間については、グラウンドトルースは以下のように確立された。一定速度の場合は、時間は走行距離を速度で除して得た。パターンビルディングブロックPに伴う可変速度の場合は、以下のように行った。パターンPにおける移動距離を、∈[0,T]であるtに対して時間間隔[0,t]で除したものをdp(t)とする。式中、Tはパターンビルディングブロックの時間幅である。従って、dp(T)は1つのビルディングブロックの時間幅Tにおける走行距離である。走行距離Rが与えられると、カバーされたパターンのブロックの整数値は以下のようになる。
【0068】
最後の部分的なブロック内の残りの距離は、ΔR=R−ndpTで与えられる。従って、空になる所要時間は、nT+dp
-1ΔRで与えられる。最後に、バッテリのエネルギー容量は、85kWhがバッテリの公称値として全てのテストで採用されている。モデルにおいて、バッテリによって放電された正味エネルギーは回生を考慮した後に得る。
【0069】
更に、加速度に関係なく、η
D(v,a)=0.9を使用し、回生制動効率にはη
R=0.7を使用する。表1に与えられる物理定数を用いて物理モデルを作成する。η
D及びη
Rに関する仮定下で、一定速度プロファイルを得た。具体的には、所与の速度に対して、航続距離(バッテリが95%放電し空になるまでの距離)を得た。これを様々な速度に対して実施して、航続距離を速度の関数として得た。
図4Cは、様々な速度に対して得られた航続距離を、我々のモデルとTeslaによって与えられたものとの間で比較したものを示す。2つの曲線はよく合っており、相対誤差の絶対値は平均で1.83%、最大誤差は3.17%である。表3に示すようなバッテリによって放電される正味電力はバッテリ容量に近いことも認められ得る。
【0071】
このことは、効率及び物理モデル化の選択が、加速がない場合には適度に正確であることを示唆する。EPA 2−サイクルテストでは、バッテリから放電される正味エネルギーは実際の値に近い。しかし、航続距離は過小評価されている。このことは、開示された再充電モデルがアグレッシブではないか、又はバッテリを再充電するために使用される効率値が実際よりも小さいことを示唆する。EPA 5−サイクルテストでは、再充電モデルは同一であるが、航続距離は過大評価(2.6%)されている。このことは、得られたHVAC電力は一定と仮定したが、実際には、速度及び加速度に依存し得ることに起因し得る。モデルパラメータを更に弱めることはできるが、現実的なEVモデルとしては誤差は十分に許容できる。
【0072】
EVモデル204のSUMOとの統合(輸送シミュレータ202):SUMOの車両(MSVehicle)及びマイクロシミュレータ(MSNet)のクラスを変更することにより、EVモデルをSUMOに加えた。EVの物理モデル及びバッテリモデルが2つのクラス、すなわちTeslaPowerModel及びTeslaBatteryModel、として表現されている。物理モデルにより、所与の(v(t),a(t))の対が、バッテリによって供給される必要がある電力に変換される。バッテリクラスは、バッテリのSOCを常時監視し、電気的電力の必要条件を、バッテリSOCの対応する変化に変換する。これらクラスをMSVehicleクラス内のメンバ変数として加えた。SUMOの初期設定の自動車追随モデルを使用した。マイクロシミュレータは、時間ステップのループ内でアクティブな車両の各々を反復処理し、道路に沿って移動させる。そのような移動の速度及び加速度は自動車追随モデルによって決定した。時間ステップの速度及び加速度が計算される場合、シミュレータは車両の物理オブジェクト及びバッテリオブジェクトを呼び出しバッテリSOCを更新する。次に、シミュレータは車両を新しい位置に移動させる。バッテリSOCが最小の閾値を下回ると、車両にフラグが付けられネットワークから除外される。
【0073】
SUMO用の現実的交通モデルの例:LuST(ルクセンブルクSUMO交通シナリオ)は、ルクセンブルク市内の交通を27時間の時間幅にわたりシミュレートするSUMOシナリオである。シナリオは156km
2のエリア内の約931kmをカバーしている。シナリオは、現実的な人口統計分布、ルクセンブルク政府により出版された人口統計分布からの移動パターン及び交通需要(例えば、人口、年齢の分布)、並びにここ数年にわたる交通の特徴を説明する移動性に関する研究、を統合している。シミュレーションは、シミュレーションはシミュレーション時間内におよそ176,000台の車両を挿入する。車両が移動した累積距離は約170万キロメートルである。
【0074】
シミュレーション中に遭遇した問題(例えば、テレポーテーション、衝突、緊急停止)の数は0.05%未満であり、それによりシミュレーション中に交通渋滞又はボトルネックがなかったことを示す。シミュレーション結果の較正に関しては、結果から運行の平均距離は約7キロメートルであり、平均車両速度は約10m/sであることが示された。この結果が、ルクセンブルクの近隣地区から市中心部まで移動するのに必要な時間の現地観察結果と一致することを既知の方法で確認した。従って、開示されたシステム100を前述の交通モデルをSUMOと共に利用して、ルクセンブルクの電気グリッドへのEVのインパクトを研究した。交通モデルは較正され実証されているので、シミュレーション研究で実現された車両のパターンは適度に現実的であろう。
【0075】
実験設定:現実の交通データが利用可能な地理的領域は、拡大ルクセンブルク市とも呼ばれる、ルクセンブルク市及びその周辺エリアをカバーする。評価目的で、この領域は500m×500mのサイズの725個のセルに分割される。このセルサイズは、近隣地区(いくつかのストリートを含む)を近似するために選んだ。ルクセンブルクの国有電気ユーティリティ事業者であるCREOSによって出版されたレポートは、ルクセンブルクが冬に需要ピークを迎える管轄区域であることを示している。ルクセンブルクの冬の典型的な一日の需要プロファイルから、ルクセンブルク全体でのピーク需要は約753.9MWであると理解されている。この需要プロファイルは、EV普及率が無視できるほどの時のものである。500×500mの単一セルに対するベースライン需要は以下のように計算される。ルクセンブルクは国全体で約562,958人の人口を有し、拡大ルクセンブルク市エリアは約112,600人の人口を有する。よって、拡大ルクセンブルクエリアのピーク需要は150.78MWと見積もられる。これをセルにわたって除して、(500×500m)セルのベースラインピーク需要が得られる。各セル内の電気グリッドの分配インフラストラクチャは、このピーク需要を満足するように提供されていると仮定する。
【0076】
EV選択及び充電:拡大ルクセンブルク地域内の176,000台の車から、ランダムに車両のX%がEVと想定される。ここでXは所望のEV普及レベルである。シミュレーションの過程で、システム100によって予め定義された複数の充電方針に基づき、EVが再充電される。従って、負荷需要を集約することは、エンドオブデイ、ホーム(EOD−H)充電方針、及びホームアンドアウェイ(HAA(q,ε))充電方針を含む、複数の予め定義された充電方針に基づく。HAA(q,ε)充電方針は、固有のEV普及レベルを提供するqの複数のレベルと、EVユーザにとって快適な最低のSOCを示す固有のSOC閾値を提供するεの複数のレベルとに基づいて差異化された複数のレベルを含む。
【0077】
a)EOD−H充電方針:EV所有者は毎日、全ての運行の終了時に車両を充電するとTeslaは観察している。EVLDモデル114は、そのような充電がEV所有者の自宅で生じると想定している。全ての運行後の一日の終了時にEVが停車される場所が自宅であると考えられる。
【0078】
b)確率論的なHAA充電方針:全てのEV充電の84%が自宅で生じる一方で、EV所有者の13%のみが自宅だけで充電する。よって、ある割合q(0≦q≦100%)のEVが自宅だけで充電されるシナリオが考えられる。これら所有者の充電挙動はEOD−Hに従う。EV所有者の残りの割合(100−q)は自宅並びに他の充電場所で充電する。EV所有者は、あらゆる運行の終了時に車両を充電するとは限らない場合がある(一日の間にいくつかの運行があり得る)。EV所有者がその車両を充電するという選択はEVバッテリの充電状態に依存し、充電状態が低いほどその可能性は高い。この挙動は確率論的に以下のようにモデル化される。
【0080】
ここで、εはEVユーザ(所有者)が快適と感じる最低又は最小のSOC(SOC閾値)である。この方針においては、任意の運行後に車両が停車され得る全ての場所にEVチャージャが存在すると想定している。それゆえ、この方針は、所与のqの値及びEVチャージャ特性に対してHAA(q,ε)と呼ばれる。個々のEVの負荷はEVチャージャの電力定格に依存する。現在、異なる電力定格のチャージャが存在し、3.3kW、5kW、9.6kW、20kW、及びTeslaの40kWスーパーチャージャがある。チャージャは9.6kWのメジアン定格を有すると想定される。EVが充電される場合、充電を行っているセルに充電負荷が追加される。EVが充電される場合、充電負荷は一定である必要はないことに留意されたい。定電流又は定電圧の充電モードに依存して負荷は時間と共に変化する場合があり、その結果、負荷は所与の時点でのバッテリのSOCに依存する。詳細はシミュレーション内にモデル化されている。
【0081】
実施されたシミュレーション:5つの異なるEV普及レベル、すなわち5%、10%、15%、20%、及び25%における電気グリッドに対するEVのインパクト。いったんEVがランダムに選択されると、(EV及び他の車両の両方から構成される)交通シミュレーションを、連続する60日間にわたって実施して、存在し得る何らかの初期過渡状態の影響を緩和させる(すなわち、バーンイン期間後に)。各EVは完全に充電されたバッテリからシミュレーションを開始し、充電方針に従ってシミュレーション中に再充電される。各普及レベルに対して、EOD−Hと、qの値が25%、50%、及び75%の3個、εの値が0.2、0.5、及び0.8の3個であるHAA(q,ε)とを含む、10の異なる充電方針をシミュレートした。従って、9個の異なるHAA(q,ε)変数が利用可能である。この組み合わせた輸送及びEVシミュレーションから、全ての時間におけるEV負荷の空間的分布(すなわち、拡大ルクセンブルクエリアの各セル内の)が得られる。
【0082】
結果:既存の方法では、EVエネルギー消費の代わりとしての移動距離を、ある一定時間で除したものなどの平均指標を使用してきた。前述した通り、EVによって消費される電力は、式(1b)で与えられるように、速度及び加速度に対して非線形であり、この近似は有効でない場合がある。
図4Dは消費エネルギーの近似として移動距離を考慮した結果を示す。X軸は移動距離を、Y軸はシミュレータ内の様々なEVによって消費されたエネルギーを示す。同一の距離に対して約20%の消費エネルギーのばらつきがあることが観察される。これは次に、グリッド上の需要に影響を及ぼす。なぜならEVがグリッド上の負荷として現れ得る時間幅、及びEVが負荷として現れる時間インスタンスが、この誤差により影響を受けることになるからである。よって、需要の確実に見積もるためには、各EVによって消費されるエネルギーを個別に追跡することが役立つであろう。
【0083】
EV充電負荷(EV負荷需要)の集約:負荷需要の集約は、エンドオブデイ、ホーム(EOD−H)充電方針、及びホームアンドアウェイ(HAA(q,ε))充電方針を含む、複数の予め定義された充電方針に基づいている。HAA(q,ε)充電方針は更に、固有のEV普及レベルを提供するqの複数のレベルと、EVユーザにとって快適な最低のSOCを示す固有のSOC閾値を提供するεの複数のレベルとに基づいて差異化された複数のレベルを含む。
図4E(a)は拡大ルクセンブルクエリア全体に対するベース需要(EV無し)を示す。
図4E(b)及び
図4E(c)はそれぞれ、15%及び25%のEV普及レベルに対するベース需要の合計及びEV充電負荷を示す。交通シミュレーション、従ってEVの電力レベルは毎秒更新されているが、EV需要は15分間隔にわたって平均化されている。15分間隔が選択されているのは、ユーティリティは典型的には15分ウィンドウで需要(特に充電のピーク需要)を見積もり生成を手配するからである。集約されたEV負荷は、4つの異なる充電方針、すなわち、EOD−H、HAA(0.25;0.5)、HAA(0.5;0.5)、及びHAA(0.75;0.5)に対して示されている。ここに示されるグラフはシミュレーション上の(バーンイン期間後の)一日に相当する。以下の観察がなされた。全ての充電方針のもとで、EVはグリッドの集約されたピークを増加させる。従ってEV充電はベース需要のピーク時間の間に発生する。予想通り、EV負荷はEV普及レベルが増加するにつれて増加する。考慮した充電方針のなかで、所与のEV普及レベルに対して、EOD−Hがグリッドのピークを最も大きく増加させる。EOD−H充電方針のもとでは、全てのEV所有者は一日において全ての運行の終了時に充電する。最終運行の終了時間がグリッドのベース需要のピーク時間と一致する場合、グリッドの全体的需要は増加することになる。
図4Fは、全てのEVユーザに対し、一日の様々な時間で充電しているEVの数を示す。EOD−Hに対する18:45頃のEV計数のピークは、
図4E(a)に示すベース負荷のピーク時間と一致することに留意されたい。一群のHAA( , )方針において、確率論的充電に起因して、全てのユーザが毎日充電するわけではなく、所与の日にEVを充電したユーザは最終運行の終了時に充電しない場合がある。これは、
図4Fで見ることができる。その結果、グリッドの集約されたピーク需要は、これら方針のもとでは大幅に増加することはない。従って、25%のEV普及率において、集約されたグリッド需要は20MWだけ増加し、これは適度な相対的増加の13%に相当する。
【0084】
EV負荷の空間的分布:EV充電負荷が様々なセルにわたって空間的にどのように分布するか、及び各セルのピークベース需要への相対的インパクトに関する分析が提供される。
図4G(a)及び
図4G(b)は、所与のセル(#253)の総需要を示し、15%及び25%のEV普及レベルに対するEV充電を含む。総需要は、4つの異なる充電方針、すなわち、EOD−H、HAA(0.25;0.5)、HAA(0.5;0.5)、及びHAA(0.75;0.5)に対して示される。比較が容易なように、プロットはまた、(EV充電が一切ない)セルに対するベースラインピーク需要の0.753MWを示している。EV充電がある場合は、個別のセルにおける新たなピーク需要はベースラインピークを大幅に超え得ることに留意されたい。需要が図に示されるセル#253に対して、15%及び25%のEV普及レベルに対して、ピーク需要の相対増加量はそれぞれ、51%及び77%である。セルレベルのピーク需要における、そのような大きな増加は、集約されたピークにおいて観察される適度な13%の増加とは際立って対照的である。このことは、グリッドプロビジョニングにとってEV負荷の空間的分布を取得することが不可欠であることを示唆する。高需要期間の持続時間:極めて高い需要を有するセルに対して、高需要の時間幅を調査した。増加した需要が一過性である場合、既存の分配インフラストラクチャは大きな影響を受けない場合がある。これに対して、これら期間が永続的な場合、熱的イベント(ケーブル及び変圧器の過熱)により分配インフラストラクチャは影響を受ける場合がある。この場合、ユーティリティ事業者は影響を受けたセル内の既存のインフラストラクチャを増強するために投資する必要があり得る。15分の時間スロットtの間にセルcにおける総需要が大幅に増加したかを示す指標変数Ic(t)を定義する。新たな需要がベースピークの1.30倍を超える場合、需要増加は顕著であるとラベルを付ける。変圧器のヒューズなどのグリッド資産は、適切な絶縁が存在すれば資産の寿命に影響を及ぼすことなく、最大130%の過負荷を吸収でき得るので、30%の過負荷閾値を選択した[26]。形式上は以下になる。
【0086】
式中、Pc(t)及びEVc(t)はそれぞれ、セルc内の時間スロットtにおけるベース需要及びEV充電負荷である。PGはベースラインピーク需要である。所与のセルcに対して、Ic(t)の値が全てのtにわたって1になるような部分が、cが高需要を経験する時間幅を与える。表4は、25%のEV普及率に対して、様々な充電方針のもとで平均化した場合に、高需要の時間幅(日毎の分単位での)の観点で順序付けした上位5つのセルを示す。
【0088】
現在のシナリオでは、ユーティリティ事業者のCREOSは、典型的には休止時間を年毎に約10分と見積もっている。EV充電に起因する需要の増加は一過性ではなく、上位にランクされたセルにわたって、より長い時間幅にわたり持続する。このことは、これら近隣地区にサービスを提供する変圧器に、ヒューズ溶断及び/又は過熱が繰り返し起こり得ることを意味する。その結果、これらは休止時間を増加させ得るだけでなく、更に設備の期待寿命を縮小させる。典型的には、地理的に一緒にクラスタ化されたセルは、共通の上流分配網インフラストラクチャを共有している場合がある。従って、インパクト(すなわち、過負荷)を受ける上位のセルを全て一緒にクラスタ化される場合は、影響を受けたセル内のインフラストラクチャに加えて、共通の上流インフラストラクチャも増強する必要があり得る。
図4Hは、上位20のセルの地理的分布を、拡大ルクセンブルクエリアの地図上に重ね合わせたものを示す。影響を受けた上位のセルはクラスタ化されておらず、空間的に分離されている。従って、ユーティリティ事業者は影響を受けたセルを超えてインフラストラクチャに投資する必要はない場合がある。セルにわたる増強の優先順位付け。EV充電が複数のセルに影響を与えると想定すると、セルを跨ぐインパクトの観点で、何らのスキューが存在するかどうかを調べるために更なる分析を行う。セルのインパクトは、そのセルの需要がベース需要から大幅に増加する、日毎の分単位の時間幅と定義される。その時、ネットワーク全体のインパクトは、個々のセルのインパクトの合計になるであろう。
図4Iは、セルのどれだけの割合が全体のインパクトのどれだけの割合に寄与するかを示す。インパクトの観点でスキューが存在することが観察される。15%のEV普及率に対しては、およそ10%のセルが88%のインパクトに寄与する。25%のEV普及率に対してはスキューは減り、10%のセルが81.5%のインパクトに寄与する。EV普及率が増加するにつれて、追加のセルが影響を受け、その結果、スキューは減るが、一方で全体的に影響を受ける時間幅は増加するので、この結果は理解できる。
【0089】
図3は、本開示のいくつかの実施形態による、EVLDモデル114に基づく負荷需要の時間的−空間的予測を提供する方法300を示すフロー図を示す。
【0090】
一実施形態では、システム100は、1つ以上のマイクロプロセッサ102に動作可能に結合され、方法300のステップを1つ以上のプロセッサ102によって実行するように構成された命令を記憶するように構成された、1つ以上のデータ記憶デバイス又はメモリ104を含む。ここで、方法300のステップを、
図1のシステム100の構成要素を参照して詳細に説明する。プロセスステップ、方法ステップ、技術等が順次説明され得るが、そのようなプロセス、方法及び技術は入れ替えた順序で機能するように構成され得る。換言すれば、説明され得るステップのいかなるシーケンス又は順序も、そのステップがその順序で実施される必要があることを必ずしも意味しない。本明細書で記載されるプロセスのステップは任意の順序で実施されてもよい。更に、いくつかのステップは同時に実施されてもよい。ステップ302において、方法300は、輸送シミュレータ202を統合することによってEVLDモデル114を提供することと、EVモデル204と統合された、ROIに対する交通のマイクロシミュレーションを提供することと、ROI内の各EVに対して、輸送シミュレータ202によって考慮されたEVモデルを提供することと、を可能にする。ステップ304において、方法は、EVLDモデル114が、EVモデル204と統合された輸送シミュレータ202を利用して、ROI内の複数のEVのなかの各EVに対して、バッテリのSOCの観点で、時間及び空間における負荷需要を計算することを可能にすることを含む。輸送シミュレータ202は、EVが移動した複数の位置のなかの全ての位置において、規則的な時間ウィンドウで、空間ドメイン及び時間ドメインにおいて、対応するEVの速度及び加速度の観点で、ROIの各EVの位置を追跡するように構成されている。追跡は輸送シミュレータ202によってシミュレートされた、ROIの交通状態に基づいている。更に、EVモデル204は、対応するEVに対して、規則的な時間ウィンドウのなかの対応する時間ウィンドウに対して、バッテリのSOCの観点で、時間ドメインにおける各EVの負荷需要を提供するように構成されている。SOCは、対応する時間ウィンドウに対する、対応するEVの速度及び加速度に基づき見積もられる。EVモデル204は、電気的モデル208に結合された機械的モデル206を含み、各EVのバッテリのSOCの観点で、各EVの負荷需要を提供する。EVモデル204は、機械的モデル206を用いて、対応する時間ウィンドウに対する、対応するEVの速度及び加速度に基づき、各時間ウィンドウに対して、各EVの機械的電力(P
M(t))を見積もることにより、各EVに対するバッテリのSOCを計算するように構成されている。更に、電気的モデル208は、対応する時間ウィンドウに対する、各EVに対する機械的電力(P
M(t))の等価電気的電力(P
E(t))を見積もるように構成されている。計算された機械的電力がゼロよりも大きい場合は、見積もられた電気的電力(P
E(t))はバッテリを消耗させる放電電力に相当し、一方、計算された機械的電力(P
M(t))がゼロよりも小さい場合は、計算された電気的電力(P
E(t))はバッテリを充電する回生電力に相当する。更に、電気的モデル208は、計算された等価電気的電力(P
E(t))が回生電力であるか、又は放電電力であるかに基づき、対応する時間ウィンドウに対して、対応するEVのバッテリのSOCを更新するように構成されている。
【0091】
各EVのSOC(更新された、及び現在のSOC)を時間及び空間において計算した時点で、ステップ306において、方法300は、EVLDモデル114が、SOCの観点で、時間ドメイン及び空間ドメインにおいて、各EVの計算された負荷需要を集約して、ROIに対する電気グリッド上の複数のEVによる負荷需要の時間的−空間的インパクトを構築することを可能にすることを含む。計算された負荷需要を集約することは、エンドオブデイ、ホーム(EOD−H)充電方針、及びホームアンドアウェイ(HAA(q,ε))充電方針を含む、複数の予め定義された充電方針に基づいている。HAA(q,ε)充電方針は更に、固有のEV普及レベルを提供するqの複数のレベルと、EVユーザにとって快適な最低のSOCを示す固有のSOC閾値を提供するεの複数のレベルとに基づいて差異化された複数のレベルを含む。方法300は
図2に関連して説明した例によって更に理解することができ、簡潔さを維持するために繰り返さない。
【0092】
当業者であれば実施形態を製造及び利用することが可能なように、本明細書の記載は主題を説明している。主題の実施形態の範囲は、特許請求の範囲によって規定され、当業者が思い付く他の修正形態を含み得る。そのような他の修正形態は、請求項の字義通りの文言とは異ならない類似の要素を有するならば、又は請求項の字義通りの文言から実質的ではない差異を有する等価な要素を含むならば、請求項の範囲内にあることを意図している。
【0093】
保護範囲は、そのようなプログラムに、加えて内部にメッセージを有するコンピュータ可読手段に拡張されることを理解されたい。そのようなコンピュータ可読記憶手段は、プログラムがサーバ又はモバイルデバイス又は任意の好適なプログラマブルデバイス上で動作する時、方法の1つ以上のステップを実現するためのプログラムコード手段を含む。ハードウェアデバイスは、例えば、サーバ又はパーソナルコンピュータ等、又はそれらの任意の組合せのような任意の種類のコンピュータを含む、プログラム可能な任意の種類のデバイスであり得る。デバイスはまた、例えば特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)のようなハードウェア手段、又は例えばASIC及びFPGAであるか、若しくは少なくとも1つのマイクロプロセッサとソフトウェアモジュールがそのなかに配置された少なくとも1つのメモリである、ハードウェア手段とソフトウェア手段との組合せ、などであり得る手段を含み得る。従って、手段はハードウェア手段とソフトウェア手段の両方を含み得る。本明細書で説明される方法の実施形態は、ハードウェア及びソフトウェアとして実現され得る。デバイスはまた、ソフトウェア手段を含み得る。代替として、実施形態は、例えば複数のCPUを使用して、様々なハードウェアデバイス上で実現され得る。
【0094】
本明細書の実施形態は、ハードウェア要素及びソフトウェア要素を含み得る。ソフトウェアとして実現される実施形態は、ファームウェア、常駐ソフトウェア、マイクロコードなどを含むが、これらに限定されない。本明細書で説明される様々なモジュールによって実施される機能は、他のモジュール、又は他のモジュールの組合せとして実現され得る。本明細書の目的において、コンピュータ使用可能媒体又はコンピュータ可読媒体は、プログラムを含み、記憶し、通信し、伝播し、又は伝送することができ、命令実行システム、装置、又はデバイスによって使用される、又はそれらに関連して使用される、任意の装置であり得る。
【0095】
図示されたステップは、示される例示的実施形態を説明するために提示されており、進行中の技術的開発により、特定の機能が実施される方式が変更されることになることを予想すべきである。これらの例は、限定のためではなく、例示のために本明細書で提示されている。更に、機能ビルディングブロックの境界は説明の便宜上、本明細書で任意に規定されたものである。特定の機能及びその関係が適切に実施される限り、代替の境界が規定され得る。代替形態(本明細書で説明される代替形態の等価物、拡張、変形、逸脱などを含む)が、本明細書内に含まれる教示に基づいて当業者には明らかとなるであろう。そのような代替形態は、開示される実施形態の範囲及び趣旨に含まれる。更に、「備える(comprising)」、「有する(having)」、「含有する(containing)」、「含む(including)」、及び他の同様の形態の語は意味において等価であり、これらの語のうちのいずれか1つの後に続く項目がそのような項目の網羅的な列挙であることを意味せず、又は列挙された項目だけに限定されることを意味しないという点で非限定的であることを意図している。本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用する場合、別段の明確な指示がない限り、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」、及び「前記(the)」は複数の指示対象を含むことも留意すべきである。
【0096】
それに加えて、1つ以上のコンピュータ可読記憶媒体が、本開示に適合する実施形態を実現する際に利用され得る。コンピュータ可読記憶媒体とは、プロセッサによって読み取り可能な情報又はデータがその上に記憶され得る任意のタイプの物理メモリを指す。従って、コンピュータ可読記憶媒体は、本明細書で説明される実施形態に適合するステップ又はステージをプロセッサに実施させるための命令を含む、1つ以上のプロセッサによる実行のための命令を記憶し得る。「コンピュータ可読媒体」という用語は、有形の物品を含み、搬送波及び一時的信号を除外する、すなわち非一時的であることを理解されたい。例には、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み取り専用メモリ(ROM)、揮発性メモリ、不揮発性メモリ、ハードドライブ、CD ROM、DVD、フラッシュドライブ、ディスク、及び任意の他の既知の物理記憶媒体が含まれる。
【0097】
開示及び例は例示としてのみ考慮され、開示された実施形態の真の範囲及び趣旨は以下の特許請求の範囲によって示されることを意図している。