【解決手段】本実施形態では、(1)遡及対象となった仕入明細毎に、遡及用仕入単価マスタの登録内容を参照し、(2)該当する遡及用仕入単価マスタが存在した場合、マスタ上の単価を採用して、金額・消費税の再計算を行い、(3)再計算した結果で、その伝票に関する仕入履歴情報・支払先に対する債務情報・支払予定情報も紐付けて洗い替える。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、本発明は本実施形態により限定されるものではない。
【0017】
[1.概要]
本実施形態は、先物商品を扱う業態における売上単価や仕入単価を遡及更新する機能に関するものである。
【0018】
例えば、本実施形態では、(A1)条件指定画面にて、今回遡及対象としたい売上伝票の条件を選択し、(A2)対象伝票の請求締済チェックを行い、(A3)対象となる売上伝票(明細)が排他状態となっていないかをチェックし、(A4)排他状態となっていない場合は、遡及対象の明細が含まれる、売上伝票(直送の場合、仕入伝票)を単価遡及処理実行中として排他状態とし、(A5)対象となった売上明細毎に、遡及売上単価マスタの登録内容を参照し、(A6)該当する遡及用売上単価マスタが存在した場合、マスタ上の単価を採用して金額及び消費税の再計算を行い、(A7)売上データの更新オペレータIDを単価遡及処理実行オペレータIDにて上書きし、(A8)対象売上伝票の排他状態を解除する(
図1参照)。なお、(A2)の処理において、請求仮締・確定状態の場合、その伝票は内部的に処理対象外としてエラーを発生させないようにしてもよい。また、(A3)の処理において、排他状態となっている伝票が存在した場合、エラーを発生させてもよい。また、(A6)の処理において、再計算した結果で、その伝票に関する売上履歴情報、請求先に対する債権情報及び回収予定情報も紐付けて洗い替えてもよい。また、(A6)の処理において、複数の明細をもつ伝票の内の一つの明細が遡及対象となった場合、当該一つの明細の金額が変更された後の内容で伝票情報も洗い替えてもよい。
【0019】
また、例えば、本実施形態では、(B1)条件指定画面にて、今回遡及対象としたい仕入伝票の条件を選択し、(B2)対象伝票の請求締済チェックを行い、(B3)対象となる仕入伝票(明細)が排他状態となっていないかをチェックし、(B4)排他状態となっていない場合は、遡及対象の明細が含まれる、仕入伝票(直送の場合、売上伝票)を単価遡及処理実行中として排他状態とし、(B5)遡及対象となった仕入明細毎に、遡及用仕入単価マスタの登録内容を参照し、(B6)該当する遡及用仕入単価マスタが存在した場合、マスタ上の単価を採用して金額及び消費税の再計算を行い、(B7)売上に紐付く直送仕入伝票の遡及の場合は売上データ内の原価及び粗利の金額も洗い替え、(B8)仕入データの更新オペレータIDを単価遡及処理実行オペレータIDにて上書きし、(B9)対象仕入伝票の排他状態を解除する(
図2参照)。なお、(B2)の処理において、支払締・確定状態の場合、その伝票は内部的に処理対象外としてエラーを発生させないようにしてもよい。また、(B3)の処理において、排他状態となっている伝票が存在した場合、エラーを発生させてもよい。また、(B6)の処理において、再計算した結果で、その伝票に関する仕入履歴情報、支払先に対する債務情報及び支払予定情報も紐づけて洗い替えてもよい。また、(B6)の処理において、複数の明細をもつ伝票の内の一つの明細が遡及対象となった場合、当該一つの明細の金額が変更された後の内容で伝票情報も洗い替えてもよい。
【0020】
[2.構成]
本実施形態に係る販売情報装置の構成の一例について、
図3等を参照して説明する。
図3は、販売情報装置100の構成の一例を示すブロック図である。
【0021】
販売情報装置100は、販売情報システム(販売管理システム)が導入されている、市販のデスクトップ型パーソナルコンピュータである。なお、販売情報装置100は、デスクトップ型パーソナルコンピュータのような据置型情報処理装置に限らず、市販されているノート型パーソナルコンピュータ、PDA(Personal Digital Assistants)、スマートフォン、タブレット型パーソナルコンピュータなどの携帯型情報処理装置であってもよい。
【0022】
販売情報装置100は、制御部102と通信インターフェース部104と記憶部106と入出力インターフェース部108と、を備えている。販売情報装置100が備えている各部は、任意の通信路を介して通信可能に接続されている。
【0023】
通信インターフェース部104は、ルータ等の通信装置及び専用線等の有線又は無線の通信回線を介して、販売情報装置100をネットワーク300に通信可能に接続する。通信インターフェース部104は、他の装置と通信回線を介してデータを通信する機能を有する。ここで、ネットワーク300は、販売情報装置100とサーバ200とを相互に通信可能に接続する機能を有し、例えばインターネットやイントラネット、LAN(Local Area Network)等である。
【0024】
記憶部106には、各種のデータベース、テーブル、及びファイルなどが格納される。記憶部106には、OS(Operating System)と協働してCPU(Central Processing Unit)に命令を与えて各種処理を行うためのコンピュータプログラムが記録される。記憶部106として、例えば、RAM(Random Access Memory)・ROM(Read Only Memory)等のメモリ装置、ハードディスクのような固定ディスク装置、フレキシブルディスク、及び光ディスク等を用いることができる。記憶部106は、遡及用売上単価マスタ106aと、遡及用仕入単価マスタ106bと、売上データテーブル106cと、仕入データテーブル106dとを備えている。
【0025】
遡及用売上単価マスタ106a(本発明の単価マスタに相当)は、売上区分(本発明の売上区分に相当)、配送区分(本発明の配送手配区分に相当)、得意先(本発明の売上先識別情報に相当)、納入先(本発明の納入先識別情報に相当)、商品(本発明の商品識別情報に相当)、自社倉庫、出荷基地(本発明の出荷元識別情報に相当)、適用開始日(本発明の適用開始日に相当)、適用終了日(本発明の適用終了日に相当)、及び売上本体単価(本発明の正式な単価に相当)などのデータを含むテーブルである(
図4参照)。ここで、売上区分として、「倉出売上」及び「直送売上」の2つが予め定義されている。また、配送手配の在り方を踏まえ、配送区分として、「得意先以前手配」、「自社手配」及び「仕入先手配」の3つが予め定義されている。ここで、「得意先以前手配」は、商流的に得意先より先の「商品の届く先」(例えば最終納入先等)からの配送手配依頼があることを指すものである。「自社手配」は、当社自身での配送手配を指すものである。「仕入先手配」は、直送時に油の卸先(主にメーカー)が配送方法を指定依頼してくるケースを指すものである。
【0026】
遡及用仕入単価マスタ106b(本発明の単価マスタに相当)は、仕入区分(本発明の仕入区分に相当)、配送手配区分(本発明の配送手配区分に相当)、仕入先コード(本発明の仕入先識別情報に相当)、倉庫(出荷基地)コード(本発明の出荷元識別情報に相当)、納入先コード(本発明の納入先識別情報に相当)、商品コード(本発明の商品識別情報に相当)、適用開始日(本発明の適用開始日に相当)、適用終了日(本発明の適用終了日に相当)、及び仕入本体単価(本発明の正式な単価に相当)などの情報を含むテーブルである(
図5参照)。ここで、仕入区分として、「倉入仕入」及び「直送仕入」の2つが予め定義されている。また、配送手配の在り方を踏まえ、配送手配区分として、「得意先以前手配」、「自社手配」及び「仕入先手配」の3つが予め定義されている。
【0027】
売上データテーブル106c(本発明の伝票を含む)は、レコードを識別するための番号、売上事業所、売上番号、行番号、売上日、売上区分、CD(配送手配区分コード)、配送手配区分、得意先、納入先、倉庫(自社倉庫)、商品、倉庫CD(出荷基地コード)、出荷基地、締状態、売上単価、売上金額及び売上数量などの情報を含むテーブルである(
図6参照)。ここで、出荷基地の情報は、仕入データテーブル106dから取得されるものである。また、売上番号は、売上伝票を識別するための番号である。また、行番号は、売上伝票に含まれる明細を識別するための番号である。
【0028】
仕入データテーブル106d(本発明の伝票を含む)は、レコードを識別するための番号、仕入事業所、仕入番号、行番号、仕入日、仕入区分、CD(配送手配区分コード)、配送手配区分、仕入先、倉庫CD(出荷基地コード)、出荷基地、倉庫(自社倉庫)、商品、締状態、納入先、仕入単価、仕入金額及び仕入数量などの情報を含むテーブルである(
図7参照)。ここで、納入先の情報は、売上データテーブル106cから取得されるものである。また、仕入番号は、仕入伝票を識別するための番号である。また、行番号は、仕入伝票に含まれる明細を識別するための番号である。
【0029】
入出力インターフェース部108には、入力装置112及び出力装置114が接続されている。出力装置114には、モニタ(家庭用テレビを含む)の他、スピーカやプリンタを用いることができる。入力装置112には、キーボード、マウス、及びマイクの他、マウスと協働してポインティングデバイス機能を実現するモニタを用いることができる。なお、以下では、出力装置114をモニタ114とし、入力装置112をキーボード112またはマウス112として記載する場合がある。
【0030】
制御部102は、販売情報装置100を統括的に制御するCPU等である。制御部102は、OS等の制御プログラム・各種の処理手順等を規定したプログラム・所要データなどを格納するための内部メモリを有し、格納されているこれらのプログラムに基づいて種々の情報処理を実行する。制御部102は、機能概念的に、遡及対象データ取得部102aと、本発明の取得手段を含む遡及単価取得部102bと、本発明の算出手段及び変更手段を含む遡及処理部102cとを備えている。
【0031】
遡及対象データ取得部102aは、指定された条件に従って、売上データテーブル106cから、遡及対象とする売上伝票データを取得する。また、遡及対象データ取得部102aは、指定された条件に従って、仕入データテーブル106dから、遡及対象とする仕入伝票データを取得する。なお、遡及対象データ取得部102aが実施する処理については、以下の[4.処理の具体例]にて詳細に説明する。
【0032】
遡及単価取得部102bは、遡及用売上単価マスタ106aと遡及対象データ取得部102aが取得した遡及対象売上伝票データとを比較して、遡及用売上単価マスタ106aから、遡及対象売上伝票データに適用される単価を取得する。具体的には、遡及単価取得部102bは、遡及対象データ取得部102aが取得した遡及対象売上伝票データ(レコード)毎に、遡及用売上単価マスタ106aを参照して、各レコードに対応する遡及単価(売上本体単価)を取得する。
【0033】
遡及単価取得部102bは、遡及用仕入単価マスタ106bと遡及対象データ取得部102aが取得した遡及対象仕入伝票データとを比較して、遡及用仕入単価マスタ106bから、遡及対象仕入伝票データに適用される単価を取得する。具体的には、遡及単価取得部102bは、遡及対象データ取得部102aが取得した遡及対象仕入伝票データ(レコード)毎に、遡及用仕入単価マスタ106bを参照して、各レコードに対応する遡及単価(仕入本体単価)を取得する。
【0034】
なお、遡及単価取得部102bが実施する処理については、以下の[4.処理の具体例]にて詳細に説明する。
【0035】
遡及処理部102cは、遡及単価取得部102bが取得した売上本体単価と遡及対象売上伝票データに含まれる数量に基づいて、遡及対象売上伝票データに含まれる売上金額を再計算して、当該取得した売上本体単価と当該再計算した売上金額に基づいて、遡及対象売上伝票データに含まれる売上単価と売上金額を洗い替える(更新する)。
【0036】
遡及処理部102cは、遡及単価取得部102bが取得した仕入本体単価と遡及対象仕入伝票データに含まれる数量に基づいて、遡及対象仕入伝票データに含まれる仕入金額を再計算して、当該取得した仕入本体単価と当該再計算した仕入金額に基づいて、遡及対象仕入伝票データに含まれる仕入単価と仕入金額を洗い替える(更新する)。
【0037】
なお、遡及処理部102cが実施する処理については、以下の[4.処理の具体例]にて詳細に説明する。
【0038】
[3.画面構成例]
ここでは、条件指定画面Mの構成例について、
図8を参照して説明する。なお、
図8に示す画面は、後述する売上単価遡及処理において遡及対象とする売上伝票データをオペレータに選択させるためのものである。
【0039】
条件指定画面Mは、売上事業所の範囲を入力するための領域1と、売上日の範囲を入力するための領域2と、売上区分の範囲を入力するための領域3と、配送手配区分の範囲を入力するための領域4と、売上担当者の範囲を入力するための領域5と、得意先の範囲を入力するための領域6と、納入先の範囲を入力するための領域7と、出荷基地の範囲を入力するための領域8と、自社倉庫の範囲を入力するための領域9と、商品の範囲を入力するための領域10と、売上番号の範囲を入力するための領域11と、制御部102の各処理部で実行される処理の進行状況を表示するための領域12と、を含んでいる。
【0040】
なお、後述する仕入単価遡及処理において遡及対象とする仕入伝票データをオペレータに選択させるための条件指定画面は、
図8に示す画面Mに対し以下の変更及び削除を行ったものであってもよい。
・領域1から領域3、領域5、及び領域11を、仕入事業所、仕入日、仕入区分、仕入担当者、及び仕入番号のそれぞれの範囲を入力させるためのものに変更。
・領域6及び領域9を削除。
【0041】
[4.処理の具体例]
本実施形態で実施される、売上単価遡及処理および仕入単価遡及処理の具体例について、
図9から
図13等を参照して説明する。
【0042】
[4−1.売上単価遡及処理の具体例]
売上単価遡及処理の具体例について、
図9から
図11等を参照して説明する。
図9は、本実施形態における販売情報装置100で実行されるメイン処理の一例を示すフローチャートである。なお、本説明では、売上データテーブル106cに、
図6に示すデータが格納されていることを前提とする。
【0043】
[ステップS1:遡及対象データ取得]
遡及対象データ取得部102aは、条件指定画面Mにて入力された条件に従って、売上データテーブル106cから、遡及対象とする売上伝票データを取得する。具体的には、遡及対象データ取得部102aは、入力された売上区分が「倉出売上」である場合、入力された売上事業所、売上日、売上区分、配送手配区分、売上担当者、得意先、納入先、自社倉庫、商品及び売上番号を条件として使用して、当該条件と同じデータを含む売上伝票データを絞り込む。また、遡及対象データ取得部102aは、入力された売上区分が「直送売上」である場合、入力された売上事業所、売上日、売上区分、配送手配区分、売上担当者、得意先、納入先、出荷基地、商品及び売上区分を条件として使用して、当該条件と同じデータを含む売上伝票データを絞り込む。
【0044】
例えば、条件指定画面Mに
図10に示す条件が指定された場合、売上データテーブル106cに格納されている売上伝票データのうち、
図11に示す太枠内のデータを含む売上伝票データが選択され取得される。なお、
図11において、No.4のレコードは、遡及対象として選択されるNo.3のレコードと同じ伝票だが、No.4のレコードに含まれる自社倉庫のデータは指定されたものと異なるため、No.4のレコードは遡及対象として選択されない。つまり、売上明細データとしてのNo.4のレコードは遡及対象にはならない。ただし、当該レコードを含む売上番号「A110」の伝票に対しては遡及が発生する。また、
図11において、No.8とNo.9のレコードについては売上入力時に出荷基地のデータを登録していないため、出荷基地のデータが未登録の状態となっている。そのため、そのため、条件指定画面M上で出荷基地の範囲を指定した場合、これらのレコードは選択対象にはならない。ただし、条件指定画面M上で出荷基地の範囲を未入力とした場合には、無条件で全ての出荷基地のデータが選択対象になる。
【0045】
[ステップS2:遡及単価取得]
遡及単価取得部102bは、ステップS1にて取得した売上伝票データ毎に遡及用売上単価マスタ106aを参照して、各売上伝票データに含まれる商品に適用される遡及単価(売上本体単価)を取得する。
【0046】
なお、売上伝票データに含まれる売上区分のデータによって、下記に示すように売上本体単価を取得するときの条件が異なる。
【0047】
具体的には、遡及単価取得部102bは、売上伝票データに含まれる売上区分=「倉出売上」である場合、「売上伝票データに含まれる売上区分、配送手配区分、得意先、納入先、倉庫(自社倉庫)及び商品が遡及用売上単価マスタに含まれるものと一致し、かつ、遡及用売上単価マスタ.適用開始日が売上日以前で且つ最新の日付である」という条件を満たす、遡及用売上単価マスタのレコードを取得する。
【0048】
また、遡及単価取得部102bは、売上伝票データに含まれる売上区分=「直送売上」である場合、下記(11)及び(12)の順で、遡及用売上単価マスタ106aから、条件を満たすレコードを取得する。
(11)「売上伝票データに含まれる売上区分、配送手配区分、得意先、納入先及び商品が遡及用売上単価マスタに含まれるものと一致し、かつ、遡及用売上単価マスタ.倉庫(出荷基地)が未登録であり、かつ、遡及用売上単価マスタ.適用開始日が売上日以前で且つ最新の日付である」という条件を満たす、遡及用売上単価マスタのレコードを取得する。
(12)「売上伝票データに含まれる売上区分、配送手配区分、得意先、納入先、商品及び倉庫(出荷基地)が遡及用売上単価マスタに含まれるものと一致し、かつ、遡及用売上単価マスタ.適用開始日が売上日以前で且つ最新の日付である」という条件を満たす、遡及用売上単価マスタのレコードを取得する。
【0049】
[ステップS3:遡及処理]
遡及処理部102cは、売上伝票データに含まれる売上単価を、ステップS2にて取得した遡及単価(売上本体単価)に洗い替え(更新し)、売上伝票データに含まれる売上金額を、ステップS2にて取得した遡及単価(売上本体単価)と売上伝票データに含まれる数量の積に洗い替えることにより、売上伝票データ(売上明細データの場合を含む)に含まれる売上単価と売上金額のデータを再作成する。ここで、数量がゼロの場合、このような売上伝票データは処理対象外となる。また、ステップS2で遡及単価が取得できなかった場合又はステップS2で取得した遡及単価がゼロ円の場合、洗い替えは行わない。
【0050】
以上で、[4−1.売上単価遡及処理の具体例]の説明を終了する。
【0051】
[4−2.仕入単価遡及処理の具体例]
仕入単価遡及処理の具体例について、
図9、
図12および
図13等を参照して説明する。なお、本説明では、仕入データテーブル106dに、
図7に示すデータが格納されていることを前提とする。また、本説明では、[4−1.売上単価遡及処理の具体例]での説明と同様のものを省略する場合がある。
【0052】
[ステップS1:遡及対象データ取得]
遡及対象データ取得部102aは、条件指定画面Mにて入力された条件に従って、仕入データテーブル106dから、遡及対象とする仕入伝票データを取得する。具体的には、遡及対象データ取得部102aは、入力された仕入区分が「倉入仕入」である場合、入力された仕入事業所、仕入日、仕入区分、配送手配区分、仕入担当者、仕入先、出荷基地、商品及び仕入番号を条件として使用して、当該条件と同じデータを含む仕入伝票データを絞り込む。また、遡及対象データ取得部102aは、入力された仕入区分が「直送仕入」であり且つ配送手配区分が「仕入先手配」である場合、入力された仕入事業所、仕入日、仕入区分、配送手配区分、仕入担当者、仕入先、出荷基地、商品、納入先及び仕入番号を条件として使用して、当該条件と同じデータを含む仕入伝票データを絞り込む。また、遡及対象データ取得部102aは、入力された仕入区分が「直送仕入」であり且つ配送手配区分が「自社手配」又は「得意先以前手配」である場合、入力された仕入事業所、仕入日、仕入区分、配送手配区分、仕入担当者、仕入先、出荷基地、商品及び仕入番号を条件として使用して、当該条件と同じデータを含む仕入伝票データを絞り込む。
【0053】
例えば、条件指定画面Mに
図12に示す条件が指定された場合、仕入データテーブル106dに格納されている仕入伝票データのうち、
図13に示す太枠内のデータを含む仕入伝票データが選択され取得される。なお、
図13において、No.8のレコードは遡及対象として選択されるNo.7のレコードと同じ伝票だが、No.8のレコードに含まれる出荷基地のデータは指定されたものと異なるため、No.8のレコードは遡及対象として選択されない。つまり、仕入明細データとしてのNo.8のレコードは遡及対象にはならない。ただし、当該レコードを含む仕入番号「S120」の伝票に対しては遡及が発生する。また、
図13において、No.5とNo.6のレコードについては仕入入力時に出荷基地のデータを登録しておらず、また、No.12とNo.13のレコードについては売上入力時に出荷基地のデータを登録していないため、出荷基地のデータが未登録の状態となっている。そのため、条件指定画面M上で出荷基地の範囲を指定した場合、これらのレコードは選択対象にはならない。ただし、条件指定画面M上で出荷基地の範囲を未入力とした場合には、無条件で全ての出荷基地のデータが選択対象になる。また、
図13において、No.19のレコードについては、締状態のデータが「支払締済」となっている為、選択対象にはならない。一方、No.20のレコードについては、締状態のデータが「請求締済」となっている(つまり、対応する売上伝票が請求締済となっている)が、選択対象とされる。すなわち、仕入データテーブル106dに含まれる締状態のデータが「支払締済」である場合、条件指定画面Mで指定された条件とは関係なく、選択対象から除外される。
【0054】
[ステップS2:遡及単価取得]
遡及単価取得部102bは、ステップS1にて取得した仕入伝票データ毎に遡及用仕入単価マスタ106bを参照して、各仕入伝票データに含まれる商品に適用される遡及単価(仕入本体単価)を取得する。
【0055】
なお、仕入伝票データに含まれる仕入区分のデータ及び配送手配区分のデータによって、下記に示すように仕入本体単価を取得するときの条件が異なる。
【0056】
具体的には、遡及単価取得部102bは、仕入伝票データに含まれる仕入区分=「倉入仕入」である場合、下記(21)及び(22)の順で、遡及用仕入単価マスタ106bから、条件を満たすレコードを取得する。
(21)「仕入伝票データに含まれる仕入区分、配送手配区分、仕入先及び商品が遡及用仕入単価マスタに含まれるものと一致し、かつ、遡及用仕入単価マスタ.倉庫(出荷基地)が未登録であり、かつ、遡及用仕入単価マスタ.適用開始日が仕入伝票データに含まれる仕入日以前で且つ最新の日付である」という条件を満たす、遡及用仕入単価マスタのレコードを取得する。
(22)「仕入伝票データに含まれる仕入区分、配送手配区分、仕入先、商品、倉庫(出荷基地)が遡及用仕入単価マスタに含まれるものと一致し、かつ、遡及用仕入単価マスタ.適用開始日が仕入伝票データに含まれる仕入日以前で且つ最新の日付である」という条件を満たす、遡及用仕入単価マスタのレコードを取得する。
【0057】
また、遡及単価取得部102bは、仕入伝票データに含まれる仕入区分=「直送仕入」であり、かつ、仕入伝票データに含まれる配送手配=「仕入先」である場合、下記(31)から(34)の順で、遡及用仕入単価マスタ106bから、条件を満たすレコードを取得する。
(31)「仕入伝票データに含まれる仕入区分、配送手配区分、仕入先及び商品が遡及用仕入単価マスタに含まれるものと一致し、かつ、遡及用仕入単価マスタ.倉庫(出荷基地)と遡及用仕入単価マスタ.納入先がいずれも未登録であり、かつ、遡及用仕入単価マスタ.適用開始日が仕入伝票データに含まれる仕入日以前で且つ最新の日付である」という条件を満たす、遡及用仕入単価マスタのレコードを取得する。
(32)「仕入伝票データに含まれる仕入区分、配送手配区分、仕入先、商品及び倉庫(出荷基地)が遡及用仕入単価マスタに含まれるものと一致し、かつ、遡及用仕入単価マスタ.納入先が未登録であり、かつ、遡及用仕入単価マスタ.適用開始日が仕入伝票データに含まれる仕入日以前で且つ最新の日付である」という条件を満たす、遡及用仕入単価マスタのレコードを取得する。
(33)「仕入伝票データに含まれる仕入区分、配送手配区分、仕入先、商品、倉庫(出荷基地)及び納入先が遡及用仕入単価マスタに含まれるものと一致し、かつ、単価マスタ.倉庫(出荷基地)が未登録であり、かつ、遡及用仕入単価マスタ.適用開始日が仕入伝票データに含まれる仕入日以前で且つ最新の日付である」という条件を満たす、遡及用仕入単価マスタのレコードを取得する。
(34)「仕入伝票データに含まれる仕入区分、配送手配区分、仕入先、商品、倉庫(出荷基地)及び納入先が一致し、かつ、遡及用仕入単価マスタ.適用開始日が仕入伝票データに含まれる仕入日以前で且つ最新の日付である」という条件を満たす、遡及用仕入単価マスタのレコードを取得する。
つまり、遡及用仕入単価マスタ側で、納入先=「登録なし」を許可している為、納入先が未登録のマスタにて当て込みをまず行い、そして、再度、遡及対象伝票に対して、納入先を含めた詳細な条件を設定したマスタとの当て込みを行う。
【0058】
また、遡及単価取得部102bは、仕入伝票データに含まれる仕入区分=「直送仕入」であり、かつ、仕入伝票データに含まれる配送手配=「自社」または「得意先以前」である場合、下記(41)および(42)の順で、遡及用仕入単価マスタ106bから、条件を満たすレコードを取得する。
(41)「仕入伝票データに含まれる仕入区分、配送手配区分、仕入先、商品及び倉庫(出荷基地)が遡及用仕入単価マスタに含まれるものと一致し、かつ、遡及用仕入単価マスタ.納入先が未登録であり、かつ、遡及用仕入単価マスタ.適用開始日が仕入伝票データに含まれる仕入日以前で且つ最新の日付である」という条件を満たす、遡及用仕入単価マスタのレコードを取得する。
(42)「仕入伝票データに含まれる仕入区分、配送手配区分、仕入先、商品、倉庫(出荷基地)、納入先が遡及用仕入単価マスタに含まれるものと一致し、かつ、遡及用仕入単価マスタ.適用開始日が仕入伝票データに含まれる仕入日以前で且つ最新の日付である」という条件を満たす、遡及用仕入単価マスタのレコードを取得する。
【0059】
[ステップS3:遡及処理]
遡及処理部102cは、仕入伝票データに含まれる仕入単価を、ステップS2にて取得した遡及単価(仕入本体単価)に洗い替え(更新し)、仕入伝票データに含まれる仕入金額を、ステップS2にて取得した遡及単価(仕入本体単価)と仕入伝票データに含まれる数量の積に洗い替えることにより、仕入伝票データ(仕入明細データの場合を含む)に含まれる仕入単価と仕入金額のデータを再作成する。ここで、数量がゼロの場合、このような仕入伝票データは処理対象外となる。また、ステップS2で遡及単価が取得できなかった場合又はステップS2で取得した遡及単価がゼロ円の場合、洗い替えは行わない。また、仕入伝票データに含まれる仕入区分が「直送仕入」の場合、対応する売上伝票データに含まれる原価及び粗利の項目も併せて更新する。
【0060】
以上で、[4−2.仕入単価遡及処理の具体例]の説明を終了する。
【0061】
[5.本実施形態のまとめおよび他の実施形態]
以上詳細に説明した通り、本実施形態は、先物商品を扱う業態における、「売上・仕入単価」に対しての遡及更新機能に関するものである。先物商品を扱う企業業態の場合、一定の期間が経過した後に単価が確定(決定)されるが、本実施形態では、仮で登録した受払の単価に対して一定の条件で一括洗い替え処理を行うことが可能となる。具体的には、本実施形態では、(1)売上単価に対して遡りバッチ更新処理にて洗い替えること、(2)仕入単価に対して遡りバッチ更新処理にて洗い替えること、(3)単価を取り付ける条件(遡及用単価マスタ)を作成すること、が可能となる。
【0062】
これまで、先物関係(例えば、エネルギー、砂糖、または、小麦等)の商品を扱う業態の場合、一定の期間の売上伝票に対して一定の規則で洗い替える必要があるが、一括で一定の条件で単価を洗い替える処理機能はなかった。そのため、手動で過去の伝票を呼び出して一点一点修正しなければならないため、手間が掛かっていた。
【0063】
そこで、本実施形態では、上述した構成および処理を採用することにより、これまで掛かっていた手間を大幅に削減することに成功した。
【0064】
本発明は、上述した実施形態以外にも、特許請求の範囲に記載した技術的思想の範囲内において種々の異なる実施形態にて実施されてよいものである。
【0065】
例えば、実施形態において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を手動的に行うこともでき、あるいは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。
【0066】
また、本明細書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各処理の登録データや検索条件等のパラメータを含む情報、画面例、データベース構成については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
【0067】
また、販売情報装置100に関して、図示の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。
【0068】
例えば、販売情報装置100が備える処理機能、特に制御部にて行われる各処理機能については、その全部または任意の一部を、CPUおよび当該CPUにて解釈実行されるプログラムにて実現してもよく、また、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現してもよい。尚、プログラムは、本実施形態で説明した処理を情報処理装置に実行させるためのプログラム化された命令を含む一時的でないコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されており、必要に応じて販売情報装置100に機械的に読み取られる。すなわち、ROMまたはHDD(Hard Disk Drive)などの記憶部などには、OSと協働してCPUに命令を与え、各種処理を行うためのコンピュータプログラムが記録されている。このコンピュータプログラムは、RAMにロードされることによって実行され、CPUと協働して制御部を構成する。
【0069】
また、このコンピュータプログラムは、販売情報装置100に対して任意のネットワークを介して接続されたアプリケーションプログラムサーバに記憶されていてもよく、必要に応じてその全部または一部をダウンロードすることも可能である。
【0070】
また、本実施形態で説明した処理を実行するためのプログラムを、一時的でないコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納してもよく、また、プログラム製品として構成することもできる。ここで、この「記録媒体」とは、メモリーカード、USB(Universal Serial Bus)メモリ、SD(Secure Digital)カード、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(登録商標)(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)、CD−ROM(Compact Disk Read Only Memory)、MO(Magneto−Optical disk)、DVD(Digital Versatile Disk)、および、Blu−ray(登録商標) Disc等の任意の「可搬用の物理媒体」を含むものとする。
【0071】
また、「プログラム」とは、任意の言語または記述方法にて記述されたデータ処理方法であり、ソースコードまたはバイナリコード等の形式を問わない。なお、「プログラム」は必ずしも単一的に構成されるものに限られず、複数のモジュールやライブラリとして分散構成されるものや、OSに代表される別個のプログラムと協働してその機能を達成するものをも含む。なお、実施形態に示した各装置において記録媒体を読み取るための具体的な構成および読み取り手順ならびに読み取り後のインストール手順等については、周知の構成や手順を用いることができる。
【0072】
記憶部に格納される各種のデータベース等は、RAM、ROM等のメモリ装置、ハードディスク等の固定ディスク装置、フレキシブルディスク、及び、光ディスク等のストレージ手段であり、各種処理やウェブサイト提供に用いる各種のプログラム、テーブル、データベース、及び、ウェブページ用ファイル等を格納する。
【0073】
また、販売情報装置100は、既知のパーソナルコンピュータまたはワークステーション等の情報処理装置として構成してもよく、また、任意の周辺装置が接続された当該情報処理装置として構成してもよい。また、販売情報装置100は、当該装置に本実施形態で説明した処理を実現させるソフトウェア(プログラムまたはデータ等を含む)を実装することにより実現してもよい。
【0074】
更に、装置の分散・統合の具体的形態は図示するものに限られず、その全部または一部を、各種の付加等に応じてまたは機能負荷に応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。すなわち、上述した実施形態を任意に組み合わせて実施してもよく、実施形態を選択的に実施してもよい。