(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-181706(P2020-181706A)
(43)【公開日】2020年11月5日
(54)【発明の名称】電気コネクタ
(51)【国際特許分類】
H01R 13/6473 20110101AFI20201009BHJP
【FI】
H01R13/6473
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2019-83915(P2019-83915)
(22)【出願日】2019年4月25日
(71)【出願人】
【識別番号】000102500
【氏名又は名称】SMK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100182028
【弁理士】
【氏名又は名称】多原 伸宜
(74)【代理人】
【識別番号】100145023
【弁理士】
【氏名又は名称】川本 学
(74)【代理人】
【識別番号】100105887
【弁理士】
【氏名又は名称】来山 幹雄
(72)【発明者】
【氏名】林 耕平
(72)【発明者】
【氏名】桜田 英将
【テーマコード(参考)】
5E021
【Fターム(参考)】
5E021FA03
5E021FA09
5E021FA14
5E021FA16
5E021FB10
5E021FC23
5E021LA09
5E021LA15
(57)【要約】
【課題】外部絶縁体を除去して外部に露出した状態の内部の電線の特性インピーダンスの変化を抑制することにより、良好な伝送特性を得ること。
【解決手段】ケーブル100と接続する電気コネクタ1は、複数の電線103の各々の内部導体101と各々接続する導電性を有する複数のターミナル30と、複数のターミナル30が配置されると共に相手側コネクタと嵌合する嵌合部11と、嵌合部11の後方に設けられると共にターミナル30を保持するターミナル保持部51と、ターミナル保持部51の後方に設けられ、外部絶縁体104が除去されて露出した複数の電線103を左右方向において互いに密着した状態で整列させて保持する電線保持部52と、を備える絶縁性のハウジングと、を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
各々が内部導体と前記内部導体を被覆する内部絶縁体とから構成される複数の電線と、前記複数の電線を被覆する外部絶縁体と、を備えるケーブルと接続する電気コネクタであって、
前記複数の電線の各々の前記内部導体と各々接続する導電性を有する複数のターミナルと、
前記複数のターミナルが配置されると共に相手側コネクタと嵌合する嵌合部と、前記嵌合部の後方に設けられると共に前記ターミナルを保持するターミナル保持部と、前記ターミナル保持部の後方に設けられ、前記外部絶縁体が除去されて露出した前記複数の電線を左右方向において互いに密着した状態で整列させて保持する電線保持部と、を備える絶縁性のハウジングと、
を有することを特徴とする電気コネクタ。
【請求項2】
前記電線保持部は、
前記複数の電線を挿入可能な凹溝と、前後方向に沿って間隔を有して設けられると共に前記凹溝の内壁より突出して前記内部絶縁体と当接する複数のリブと、を備える、
ことを特徴とする請求項1記載の電気コネクタ。
【請求項3】
前記複数のリブは、
前記複数の電線のうちの単一の電線の外径の10倍以下の前記間隔で前記前後方向に沿って設けられている、
ことを特徴とする請求項2記載の電気コネクタ。
【請求項4】
前記複数のリブは、
前記複数の電線のうちの単一の電線の外径以上の前記間隔で前記前後方向に沿って設けられている、
ことを特徴とする請求項2又は請求項3記載の電気コネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各々が内部導体と内部導体を被覆する内部絶縁体とから構成される複数の電線と、複数の電線を被覆する外部絶縁体と、を備えるケーブルと接続する電気コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の電線を内包するケーブルと接続する電気コネクタが知られている。このような電気コネクタでは、ケーブルに内包されている複数の電線を導電端子に圧着等によって接続するために、複数の電線を被覆している外皮を除去して外部に露出させる必要がある。また、このような電気コネクタは、ケーブルと接続する際に、外部に露出させた複数の電線の移動を規制する構成を有さないもの、外部に露出させた複数の電線をテープ等によって固定する構成を有するもの、又は外部に露出させた複数の電線を予めテープ等で固定して組み付ける構成を有するものがある。更に、このような電気コネクタは、接続されるケーブルに内包される複数の電線の内部芯線同士を適切に配置することによって特性インピーダンスを調整して、良好な伝送特性を実現している。
【0003】
しかしながら、外部に露出させた複数の電線の移動を規制する構成を有さない電気コネクタは、複数の電線の間に隙間を有して内部芯線間の距離が変化することにより、特性インピーダンスの上昇を招く。また、外部に露出させた複数の電線をテープ等によって固定する構成を有する電気コネクタ及び外部に露出させた複数の電線を予めテープ等で固定して組み付ける構成を有する電気コネクタは、組立性が悪い。
【0004】
このような状況において、特許文献1は、基板の電線接続部に接続される複数の単ケーブルを各々受容可能な複数の第1溝部及び第2溝部を備えるケーブル整列部品を開示している。また、特許文献2は、各々が絶縁ジャケットによって被覆されたケーブル導体が対で撚り合わされた撚り対ケーブルのジャケットの一部を、ハウジング区分の少なくとも一方において受容するプラグコネクタを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2014−127460号公報
【特許文献2】特表2016−524299号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1においては、一対の信号線を各々内包する複数の単ケーブルを整列させる構成を有し、一対の信号線の信号導体間の距離は一対の信号線を覆う内部遮蔽によって維持される。また、特許文献2においては、ジャケットから露出する線材の移動を規制する構成を有していない。従って、特許文献1及び特許文献2においては、内部遮蔽又はジャケット等の外部絶縁体を除去して、一対の信号線又は線材等の内部の電線を露出させた際に、内部の電線の芯線間の距離を適切な距離に維持して特性インピーダンスを調整することができず、良好な伝送特性を得ることができないという課題を有する。
【0007】
本発明の目的は、外部絶縁体を除去して外部に露出した状態の複数の電線の特性インピーダンスの変化を抑制することにより、良好な伝送特性を得ることができる電気コネクタを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る電気コネクタは、各々が内部導体と前記内部導体を被覆する内部絶縁体とから構成される複数の電線と、前記複数の電線を被覆する外部絶縁体と、を備えるケーブルと接続する電気コネクタであって、前記複数の電線の各々の前記内部導体と各々接続する導電性を有する複数のターミナルと、前記複数のターミナルが配置されると共に相手側コネクタと嵌合する嵌合部と、前記嵌合部の後方に設けられると共に前記ターミナルを保持するターミナル保持部と、前記ターミナル保持部の後方に設けられ、前記外部絶縁体が除去されて露出した前記複数の電線を左右方向において互いに密着した状態で整列させて保持する電線保持部と、を備える絶縁性のハウジングと、を有する。
【0009】
外部絶縁体が除去されて露出した複数の電線が電線保持部に保持された際に、複数の電線の各内部導体の距離を適正な距離にして、特性インピーダンスの変化を抑制する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、外部絶縁体を除去して外部に露出した状態の複数の電線の特性インピーダンスの変化を抑制することにより、良好な伝送特性を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の実施形態に係る電気コネクタの分解斜視図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る電気コネクタの側面図である。
【
図3】本発明の実施形態に係る電気コネクタの背面図である。
【
図5】本発明の実施形態に係る電気コネクタのホルダーの平面図である。
【
図6】本発明の実施形態に係る電気コネクタのホルダーの背面図である。
【
図7】本発明の実施形態に係る電気コネクタのカバーの底面図である。
【
図8】本発明の実施形態に係る電気コネクタのホルダーと電線との関係を示す図である。
【
図9】本発明の実施形態に係る電気コネクタの変形例のホルダーの平面図である。
【
図10】本発明の実施形態に係る電気コネクタの変形例のホルダーと電線との関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を適宜参照して、本発明の実施形態に係る電気コネクタにつき、詳細に説明する。図中、x軸、y軸及びz軸は、3軸直交座標系を成し、y軸の正方向を前方向、y軸の負方向を後ろ方向、x軸の正方向を左方向、x軸の負方向を右方向、z軸の正方向を上方向、及びz軸の負方向を下方向として説明する。
【0013】
<電気コネクタの構成>
本発明の実施形態に係る電気コネクタ1の構成につき、
図1から
図8を参照しながら、以下に詳細に説明する。
【0014】
電気コネクタ1は、ケーブル100と接続する。ここで、ケーブル100は、各々が内部導体101と内部導体101を被覆する内部絶縁体102とから構成される一対の電線103と、一対の電線103を被覆する外部絶縁体104と、を備えている。また、一対の電線103は、左右方向において互いに密着して整列した状態で外部絶縁体104によって被覆されていると共に、外部絶縁体104を除去した際に分離可能になっている。なお、ケーブル100は、一対の電線103を内包する構成に限らず、互いに密着する3つ以上の電線を内包する構成を有していてもよい。
【0015】
具体的には、電気コネクタ1は、ケース本体10と、シールドケース20と、複数のターミナル30と、カバー40と、ホルダー50と、を備えている。ここで、ケース本体10と、カバー40と、ホルダー50と、はハウジングを構成している。
【0016】
ケース本体10は、絶縁性を有する材料によって形成されており、矩形且つ筒状である。ケース本体10は、前端開口部12に連通すると共に図示しない相手側コネクタと嵌合する嵌合部11と、中空の内部を前方に開放する前端開口部12と、中空の内部を後方に開放する後端開口部13と、前後方向に延設されていると共に後端が嵌合部11に連通する保持溝14と、を備えている。
【0017】
シールドケース20は、金属板を折り曲げて形成されている。シールドケース20は、本体部21と、突出部22と、接続部23と、圧着部24と、を備えている。
【0018】
本体部21は、後述のカバー40及びホルダー50を収納している。
【0019】
突出部22は、本体部21の左右の側面の前端から前方に突出しており、ケース本体10の保持溝14に挿入され、ケース本体10に対してシールドケース20の前方への移動を規制している。
【0020】
接続部23は、突出部22から内方に切り起こされて形成され、弾性変形可能な状態で嵌合部11に突出している。接続部23は、嵌合部11に嵌合する図示しない相手側コネクタのシールド部材に対して弾性変形して接続する。
【0021】
圧着部24は、本体部21の後端から後方に延設されており、ケーブル100の外部絶縁体104に加締められている。
【0022】
複数のターミナル30は、導電性を有する材料によって形成されており、一対の電線103の各々の内部導体101と各々接続している。複数のターミナル30は、接続部31と、係止部32と、圧着部33と、を備えている。
【0023】
接続部31は、嵌合部11に配置されている。
【0024】
係止部32は、接続部31と圧着部33との間に一対設けられており、外部側方に切り起こされている。
【0025】
圧着部33は、ケーブル100の内部導体101に圧着されている。
【0026】
カバー40は、絶縁性を有する材料によって形成されており、ホルダー50との間で複数のターミナル30及びケーブル100の一対の電線103を保持している。カバー40は、前方突起部41と、後方突起部42と、平坦部43と、を備えている。
【0027】
前方突起部41は、平坦部43から下方に突出している。
【0028】
後方突出部42は、前方突起部41よりも後方に設けられて、平坦部43から下方に突出している。
【0029】
平坦部43は、x−y平面に沿って平坦になっており、ホルダー50の上方を覆っている。
【0030】
ホルダー50は、絶縁性を有する材料によって形成されており、複数のターミナル30及び一対の電線103を保持している。ホルダー50は、ターミナル保持部51と、電線保持部52と、分岐部53と、圧着部保持部54と、係止溝55と、面取り部56と、前方係合溝57と、後方係合溝58と、を備えている。
【0031】
ターミナル保持部51は、嵌合部11の後方に設けられると共に一対のターミナル30を各々離間して保持する凹状の溝になっている。
【0032】
電線保持部52は、ターミナル保持部51及び分岐部53の後方に設けられ、外部絶縁体104が除去されて露出した一対の電線103を、左右方向において互いに密着した状態で整列させて保持する。電線保持部52は、一対の電線103を挿入可能な凹溝521と、前後方向に沿って間隔を有して設けられると共に、凹溝521の内壁より突出してケーブル100の内部絶縁体102と当接する複数のリブ522と、を備えている。凹溝521の内壁は、ケーブル100の内部絶縁体102と当接しない。
【0033】
ここで、
図8に示すように、上方から見た際の凹溝521のリブ522を設けた部分の左右方向の間隔L2は、上方から見た際の凹溝521のリブ522を設けていない部分の左右方向の間隔L1よりも小さい(L1>L2)。また、リブ522は、前後方向における間隔L4(
図5参照)が単一の電線103の外径R1の10倍以下(L4≦(10×R1))、単一の電線103の外径R1以上(R1≦L4)、又は単一の電線103の外径R1の10倍以下且つ単一の電線103の外径R1以上(R1≦L4≦(10×R1))となるように電線保持部52に設けられていることが好ましい。リブ522は、例えば、単一の電線103の外径R1が0.82mmの場合には、8.2mm(L4=8.2mm)の間隔で電線保持部52に設けられる。
【0034】
リブ522は、一対の電線103の内部絶縁体102を押圧すると共に、内部絶縁体102に対する押圧力を内部絶縁体102によって吸収可能なように構成されている。
【0035】
分岐部53は、ターミナル保持部51に連通すると共にターミナル保持部51と電線保持部52との間に設けられており、分岐された一対の電線103を保持する凹状の溝になっている。分岐部53は、前後方向に対して所定の角度を有して前方に向けて外方に拡がるように設けられている。
【0036】
圧着部保持部54は、ターミナル保持部51と分岐部53との間に設けられており、圧着部33を保持する凹状の溝になっている。
【0037】
係止溝55は、ターミナル30の係止部32を係止させ、ホルダー50に対するターミナル30の前後方向への移動を規制している。
【0038】
面取り部56は、上方から見てホルダー50の左右方向の幅が後方に向けて徐々に狭くなるように左右の側面部を面取りして形成されている。
【0039】
前方係合溝57は、カバー40の前方突起部41と係合している。
【0040】
後方係合溝58は、前方係合溝57よりも後方に設けられており、カバー40の後方突起部42と係合している。
【0041】
<電気コネクタの製造方法>
本発明の実施形態に係る電気コネクタ1の製造方法につき、以下に詳細に説明する。
【0042】
まず、シールドケース20にケーブル100を挿通した後に、ケーブル100の前端の外部絶縁体104を除去して一対の電線102を露出させると共に、露出させた一対の電線102の前端の内部絶縁体102を各々除去して内部導体101を各々露出させる。
【0043】
次に、一対の電線102の露出させた内部導体101を複数のターミナル30の圧着部33で各々圧着して、内部導体101とターミナル30とを接続する。
【0044】
次に、ホルダー50のターミナル保持部51の係止溝55に、ターミナル30の係止部32を係止させて、ターミナル保持部51にターミナル30を保持させる。
【0045】
また、ホルダー50の電線保持部52に、左右方向において整列した状態の一対の電線102を保持させる。
【0046】
この際に、
図8に示すように、一対の電線103を左右方向に整列した状態にした際の左右方向の幅L3は、電線103の外径R1の2倍になる(L3=2×R1)。また、幅L3は、間隔L2よりも大きく(L2<L3)、且つ、間隔L1よりも小さい(L1>L3)。従って、一対の電線103は、内部絶縁体102が凹溝521の内壁に当接しない一方、内部絶縁体102がリブ522に当接して電線保持部52に保持される。
【0047】
これにより、内部絶縁体102が凹溝521の内壁からの押圧力及び摩擦力を受けないと共にリブ522から軽干渉を受けるのみであり、電線保持部52に対して一対の電線103を容易に挿入することができると共にホルダー50に対してカバー40を容易に取り付けることができるため、負荷の少ない低荷重での組み立てを実現することができる。また、電線保持部52に保持される一対の電線103は、リブ522からの押圧力を内部絶縁体102のみで吸収して、リブ522からの押圧力が内部導体101まで及ばないことにより、内部導電体101同士の距離が変化しない程度の押圧力をリブ522から受けるため、特性インピーダンスに悪影響を及ぼすことがなく、良好な伝送特性を得ることができる。
【0048】
また、電線保持部52においてリブ522を前後方向に沿って間隔を有して設けることにより、一対の電線103の間に隙間を生じることを防ぐことができ、左右方向において密着した状態で整列して一対の電線103を電線保持部52に保持することができると共に、一対の電線103の間の距離をケーブル100に内包されている際と略同じにすることができるため、特性インピーダンスに悪影響を及ぼすことがなく、良好な伝送特性を得ることができる。
【0049】
特に、
図5に示す間隔L4が単一の電線103の外径R1の10倍以下となるように電線保持部52にリブ522を設けることにより、隣り合うリブ522の間において一対の電線103が撓んで一対の電線103の間に隙間を生じることを確実に防ぐことができるため、特性インピーダンスを適正に維持することができる。また、間隔L4が単一の電線103の外径R1以上となるように電線保持部52にリブ522を設けることにより、一対の電線103を電線保持部52に容易に挿入することができる。更に、間隔L4が単一の電線103の外径R1の10倍以下且つ単一の電線103の外径R1以上となるように電線保持部52にリブ522を設けることにより、一対の電線103を電線保持部52に容易に挿入することができる効果と、特性インピーダンスに悪影響を及ぼすことがなく、良好な伝送特性を得ることができる効果と、の両立を図ることができる。
【0050】
次に、ターミナル30及び一対の電線103を保持したホルダー50に対してカバー40を被せて、カバー40の前方突起部41をホルダー50の前方係合溝57に係合すると共に、カバー40の後方突起部42をホルダー50の後方係合溝58に係合して、カバー40とホルダー50とを一体にする。この際に、ターミナル保持部51、電線保持部52及び分岐部53をカバー40の平坦部43によって上方より覆うことにより、複数のターミナル30をターミナル保持部51に保持した状態、及び一対の電線103を電線保持部52に保持した状態で、複数のターミナル30及び一対の電線103を、カバー40とホルダー50との間に保持する。
【0051】
次に、ケーブル100の外部絶縁体104にシールドケース20の圧着部24を圧着して、シールドケース20にケーブル100を固定する。これにより、シールドケース20に対するカバー40及びホルダー50の後方への移動をシールドケース20によって規制することができる。
【0052】
次に、ケース本体10の後端開口部13からシールドケース20を前方に向けて挿入することにより、シールドケース20の突出部22がケース本体10の保持溝14に挿入されて、ケース本体10に対するシールドケース20の前方への移動が規制される。
【0053】
このように、本実施形態によれば、外部絶縁体104が除去されて露出した複数の電線103を左右方向において互いに密着した状態で整列させて保持することにより、外部絶縁体104を除去して外部に露出した状態の複数の電線103の特性インピーダンスの変化を抑制することができ、良好な伝送特性を得ることができる。
【0054】
(その他の実施形態)
本発明のその他の実施形態に係る電気コネクタの構成につき、
図9及び
図10を参照しながら、以下に詳細に説明する。
【0055】
なお、
図9及び
図10において、
図1から
図8と同一構成の部分については同一符号を付して、その説明を省略する。また、本発明のその他の実施形態に係る電気コネクタは、上記の電気コネクタ1においてホルダー50に代えてホルダー60を設ける以外は電気コネクタ1と同一構成であるため、ホルダー60以外の構成の説明を省略する。
【0056】
ホルダー60は、絶縁性を有する材料によって形成されており、複数のターミナル30及び一対の電線103を保持している。ホルダー60は、ターミナル保持部51と、分岐部53と、圧着部保持部54と、係止溝55と、面取り部56と、電線保持部62と、を備えている。
【0057】
電線保持部62は、ターミナル保持部51及び分岐部53の後方に設けられ、外部絶縁体104が除去されて露出した一対の電線103を、左右方向において互いに密着した状態で整列させて保持する凹状の溝になっている。
【0058】
ここで、上方から見た電線保持部62の左右方向の間隔L5(
図10参照)は、間隔L3よりも小さい(L3>L5)。従って、一対の電線103は、内部絶縁体102が電線保持部62の内壁部に当接して電線保持部62に保持される。
【0059】
また、電線保持部62に保持される一対の電線103は、電線保持部62の内壁部からの押圧力を内部絶縁体102のみで吸収して内部導体101まで及ばない。これにより、一対の電線103は内部導電体101同士の距離が変化しない程度の押圧力を電線保持部62の内壁から受けるため、特性インピーダンスに悪影響を及ぼすことがなく、良好な伝送特性を得ることができる。
【0060】
また、電線保持部62の内壁部によって一対の電線103の間に隙間を生じることを防ぐことができ、左右方向において密着した状態で整列して一対の電線103を電線保持部62に保持することができると共に、一対の電線103をケーブル100に内包されている際の状態と略同じ状態にすることができるため、特性インピーダンスに悪影響を及ぼすことがなく、良好な伝送特性を得ることができる。
【0061】
このように、その他の実施形態によれば、外部絶縁体104が除去されて露出した複数の電線103を左右方向において互いに密着した状態で整列させて保持することにより、外部絶縁体104を除去して外部に露出した状態の複数の電線103の特性インピーダンスの変化を抑制することができ、良好な伝送特性を得ることができる。
【0062】
本発明は、部材の種類、配置、個数等は前述の実施形態に限定されるものではなく、その構成要素を同等の作用効果を奏するものに適宜置換する等、発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能であることはもちろんである。
【0063】
具体的には、上記実施形態において、シールドケース20を設けなくてもよい。
【0064】
また、上記実施形態において、ハウジング10とカバー40とホルダー50とを設けたが、ハウジングを上下に分割可能な構成にすると共に、上側のハウジングがカバー40と同一構成を含み、且つ、下側のハウジングがホルダー50と同一構成を含むようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明に係る電気コネクタは、各々が内部導体と内部導体を被覆する内部絶縁体とから構成される複数の電線と、複数の電線を被覆する外部絶縁体と、を備えるケーブルと接続するのに好適である。
【符号の説明】
【0066】
1 電気コネクタ
10 ケース本体
11 嵌合部
12 前端開口部
13 後端開口部
14 保持溝
20 シールドケース
21 本体部
22 突出部
23 接続部
24 圧着部
30 ターミナル
31 接続部
32 係止部
33 圧着部
40 カバー
41 前方突起部
42 後方突起部
43 平坦部
50 ホルダー
51 ターミナル保持部
52 電線保持部
53 分岐部
54 圧着部保持部
55 係止溝
56 面取り部
57 前方係合溝
58 後方係合溝
60 ホルダー
62 電線保持部
100 ケーブル
101 内部導体
102 内部絶縁体
103 電線
104 外部絶縁体
521 凹溝
522 リブ
【手続補正書】
【提出日】2020年3月9日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0042
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0042】
まず、シールドケース20にケーブル100を挿通した後に、ケーブル100の前端の外部絶縁体104を除去して一対の電線
103を露出させると共に、露出させた一対の電線
103の前端の内部絶縁体102を各々除去して内部導体101を各々露出させる。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0043
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0043】
次に、一対の電線
103の露出させた内部導体101を複数のターミナル30の圧着部33で各々圧着して、内部導体101とターミナル30とを接続する。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0045
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0045】
また、ホルダー50の電線保持部52に、左右方向において整列した状態の一対の電線
103を保持させる。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0047
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0047】
これにより、内部絶縁体102が凹溝521の内壁からの押圧力及び摩擦力を受けないと共にリブ522から軽干渉を受けるのみであり、電線保持部52に対して一対の電線103を容易に挿入することができると共にホルダー50に対してカバー40を容易に取り付けることができるため、負荷の少ない低荷重での組み立てを実現することができる。また、電線保持部52に保持される一対の電線103は、リブ522からの押圧力を内部絶縁体102のみで吸収して、リブ522からの押圧力が内部導体101まで及ばないことにより、
内部導体101同士の距離が変化しない程度の押圧力をリブ522から受けるため、特性インピーダンスに悪影響を及ぼすことがなく、良好な伝送特性を得ることができる。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0059
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0059】
また、電線保持部62に保持される一対の電線103は、電線保持部62の内壁部からの押圧力を内部絶縁体102のみで吸収して内部導体101まで及ばない。これにより、一対の電線103は
内部導体101同士の距離が変化しない程度の押圧力を電線保持部62の内壁から受けるため、特性インピーダンスに悪影響を及ぼすことがなく、良好な伝送特性を得ることができる。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0064
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0064】
また、上記実施形態において、
ケース本体10とカバー40とホルダー50とを設けたが、ハウジングを上下に分割可能な構成にすると共に、上側のハウジングがカバー40と同一構成を含み、且つ、下側のハウジングがホルダー50と同一構成を含むようにしてもよい。
【手続補正7】
【補正対象書類名】図面
【補正方法】変更
【補正の内容】
【手続補正8】
【補正対象書類名】図面
【補正方法】変更
【補正の内容】
【手続補正9】
【補正対象書類名】図面
【補正方法】変更
【補正の内容】