【解決手段】方法は、ステビア・レバウディアナ・ベルトニ(Stevia rebaudiana Bertoni)由来のUDP−グルコース転移酵素(ある種のステビオールグリコシドをレバウジオシドA、D及びXに変換できる)の発現を含む。高度に精製されたレバウジオシドA、D及びXは、任意の飲料、菓子類、パン類、クッキー及びチューインガムなどの食用及びかみ砕ける組成物におけるノンカロリー甘味料として有用である。
基質ステビオールグリコシドが、ステビオールモノシド、ステビオールビオシド(steviolbioside)、ルブソシド(rubusoside)、ズルコシド(dulcoside)B、ズルコシドA、レバウジオシド(rebaudioside)B、レバウジオシドG、ステビオシド、レバウジオシドC、レバウジオシドF、レバウジオシドA、レバウジオシドI、レバウジオシドE、レバウジオシドH、レバウジオシドL、レバウジオシドK、レバウジオシドJ、レバウジオシドX、レバウジオシドD、レバウジオシドN、レバウジオシドO、合成ステビオールグリコシド、及びこれらの組合せからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
前記UDP−グルコース転移酵素が、ルブソシドからステビオシドへ、ステビオシドからreb Aへ、reb Aからreb Dへ及び/又はreb Dからreb Xへのグルコシル化を触媒できるUDP−グルコース転移酵素である、請求項1に記載の方法。
UDP−グルコース転移酵素が、基質ステビオールグリコシドがルブソシドであり、目標ステビオールグリコシドがステビオシドである場合にUGT91D2である、基質ステビオールグリコシドがステビオシドであり、目標ステビオールグリコシドがreb Aである場合にUGT76G1である、基質ステビオールグリコシドがreb Aであり、目標ステビオールグリコシドがreb Dである場合にUGT91D2である、又は基質ステビオールグリコシドがreb Dであり、目標ステビオールグリコシドがreb Xである場合にUGT76G1である、請求項1に記載の方法。
UDP−グルコース転移酵素が、大腸菌(e.coli)、酵母菌種(saccharomyces sp.)、アスペルギルス菌種(aspergillus sp.)、ピキア菌種(pichia sp.)、又はUDP−グルコース転移酵素遺伝子の宿主となり、続いてそれを発現するのに好適な別の好適な微生物からなる群から選択される微生物において発現される、請求項1に記載の方法。
ステップ(c)において、生体触媒が、大腸菌(e.coli)、酵母菌種(saccharomyces sp.)、アスペルギルス菌種(aspergillus sp.)、ピキア菌種(pichia sp.)、又はUDP−グルコース再利用酵素の遺伝子並びに続いて起こるその発現及び機能発揮に好適な別の微生物からなる群から選択される微生物において発現される、請求項1に記載の方法。
ステップ(b)におけるUDP−グルコース転移酵素及び/又はステップ(c)における生体触媒が、未精製、半精製及び精製された酵素調製物(単数又は複数)の遊離若しくは固定化形態、微生物生細胞、全微生物細胞、細胞可溶化物、及び/又は生体触媒の、当技術分野に公知の任意の他の形態として適用される、請求項1に記載の方法。
目標ステビオールグリコシドが、結晶化、膜による分離、遠心分離、抽出、クロマトグラフィー分離、又はそのような方法の組合せを使用して反応媒体から分離される、請求項1に記載の方法。
請求項1に記載の方法により調製される高度に精製された目標ステビオールグリコシド組成物であって、目標ステビオールグリコシド含有量が乾物基準で約95重量%より多い、上記高度に精製された目標ステビオールグリコシド組成物。
請求項1に記載の方法により調製される高度に精製された目標ステビオールグリコシド組成物であって、目標ステビオールグリコシドが多形性である、上記高度に精製された目標ステビオールグリコシド組成物。
請求項1に記載の高度に精製された標的グリコシド組成物を含む消費製品であって、食物、飲料、医薬組成物、タバコ製品、栄養補助組成物、口腔衛生組成物及び化粧用組成物からなる群から選択される、上記消費製品。
請求項1に記載の高度に精製された目標ステビオールグリコシド組成物を含む消費製品であって、前記製品が、食物、飲料、医薬組成物、タバコ製品、栄養補助組成物、口腔衛生組成物及び化粧用組成物からなる群から選択され、目標ステビオールグリコシドがreb Dである、上記消費製品。
請求項1に記載の高度に精製された目標ステビオールグリコシド組成物を含む消費製品であって、前記製品が、食物、飲料、医薬組成物、タバコ製品、栄養補助組成物、口腔衛生組成物及び化粧用組成物からなる群から選択され、目標ステビオールグリコシドがreb Xである、上記消費製品。
【発明を実施するための形態】
【0034】
本発明は、ステビオールグリコシド基質を含む出発組成物からの目標ステビオールグリコシドを含む組成物の調製のための生体触媒プロセスであって、目標ステビオールグリコシドがステビオールグリコシド基質よりも1つ又は複数の追加のグルコース単位を含むプロセスを提供する。
【0035】
本発明の1つの目的は、ステビオールグリコシド(特にステビオシド、reb A、reb D及びreb X)を他のステビオールグリコシド及び/又はこれらの組合せから調製するための効率的な生体触媒法を提供することである。
【0036】
本明細書において使用される「生体触媒作用」又は「生体触媒の」は、有機化合物に対する化学的転換を実施するためのタンパク質酵素などの天然触媒の使用を指す。生体触媒作用は、代替的に生体内変換又は生合成としても公知である。単離された及び全細胞の両方の生体触媒作用法は、当技術分野において公知である。生体触媒タンパク質酵素は、天然に存在する又は組換えのタンパク質であってよい。
【0037】
本明細書において使用される用語「ステビオールグリコシド(単数又は複数)」は、これだけに限らないが天然に存在するステビオールグリコシド(例えばステビオールモノシド、ステビオールビオシド、ルブソシド、ズルコシドB、ズルコシドA、レバウジオシドB、レバウジオシドG、ステビオシド、レバウジオシドC、レバウジオシドF、レバウジオシドA、レバウジオシドI、レバウジオシドE、レバウジオシドH、レバウジオシドL、レバウジオシドK、レバウジオシドJ、レバウジオシドX、レバウジオシドD、レバウジオシドN、レバウジオシドO)、合成ステビオールグリコシド(例えば酵素的にグリコシル化されたステビオールグリコシド)及びこれらの組合せを含むステビオールのグリコシドを指す。
【0038】
ステビオール及びそのグリコシドの化学構造
【化1】
【表1】
【0039】
出発組成物
本明細書において使用される「出発組成物」は、1つ又は複数のステビオールグリコシドを含有する任意の組成物(一般に水溶液)を指し、1つ又は複数のステビオールグリコシドは、生体内変換のための基質として作用する。
【0040】
一実施形態では、出発組成物は、ステビオールモノシド、ステビオールビオシド、ルブソシド、ズルコシドB、ズルコシドA、レバウジオシドB、レバウジオシドG、ステビオシド、レバウジオシドC、レバウジオシドF、レバウジオシドA、レバウジオシドI、レバウジオシドE、レバウジオシドH、レバウジオシドL、レバウジオシドK、レバウジオシドJ、レバウジオシドX、レバウジオシドD、レバウジオシドN、レバウジオシドO又は合成ステビオールグリコシドからなる群から選択される1つ又は複数のステビオールグリコシドを含む。特定の実施形態では、出発組成物は、2つ以上のステビオールグリコシドを含む。
【0041】
一実施形態では、出発組成物は、ステビオールグリコシド基質ルブソシドを含む。
【0042】
一実施形態では、出発組成物は、ステビオールグリコシド基質ステビオシドを含む。
【0043】
別の実施形態では、出発組成物は、ステビオールグリコシド基質レバウジオシドAを含む。
【0044】
さらに別の実施形態では、出発組成物は、ステビオールグリコシド基質レバウジオシドDを含む。
【0045】
出発組成物は、合成品又は精製(部分若しくは完全精製)、市販品又は調製品でもよい。本発明の方法において有用な出発組成物の一例は、ステビア・レバウディアナ植物材料(例えば葉)の精製から得られる抽出物である。出発組成物の別の例は、溶媒で溶液にした市販のステビア抽出物である。出発組成物のさらに別の例は、溶媒で溶液にした市販のステビオールグリコシドの混合物である。他の好適な出発組成物は、ステビオールグリコシドを単離及び精製するためのプロセスの副産物を含む。
【0046】
一実施形態では、出発組成物は、精製されたステビオールグリコシド基質を含む。例えば出発組成物は、乾物基準で約99重量%より多い特定の基質ステビオールグリコシドを含む場合もある。
【0047】
別の実施形態では、出発組成物は、部分精製された基質ステビオールグリコシド組成物を含む。例えば出発組成物は、乾物基準で約50重量%、約60重量%、約70重量%、約80重量%又は約90重量%より多い特定の基質ステビオールグリコシドを含有する。
【0048】
一実施形態では、出発組成物は、精製されたルブソシドを含む。特定の実施形態では、出発組成物は、乾物基準で>99重量%ルブソシドを含有する。別の実施形態では、出発組成物は、部分精製されたルブソシドを含む。特定の実施形態では、出発組成物は、乾物基準で約50重量%、約60重量%、約70重量%、約80重量%又は約90重量%より多いルブソシドを含有する。
【0049】
一実施形態では、出発組成物は、精製されたステビオシドを含む。特定の実施形態では、出発組成物は、乾物基準で>99重量%ステビオシドを含有する。別の実施形態では、出発組成物は、部分精製されたステビオシドを含む。特定の実施形態では、出発組成物は、乾物基準で約50重量%、約60重量%、約70重量%、約80重量%又は約90重量%より多いステビオシドを含有する。
【0050】
別の実施形態では、出発組成物は、精製されたレバウジオシドAを含む。特定の実施形態では、出発組成物は、乾物基準で約99重量%より多いレバウジオシドAを含有する。別の実施形態では、出発組成物は、部分精製されたレバウジオシドAを含む。特定の実施形態では、出発組成物は、乾物基準で約50重量%、約60重量%、約70重量%、約80重量%又は約90重量%より多いレバウジオシドAを含有する。
【0051】
さらに別の実施形態では、出発組成物は、精製されたレバウジオシドDを含む。特定の実施形態では、出発組成物は、乾物基準で約99重量%より多いレバウジオシドDを含有する。別の実施形態では、出発組成物は、部分精製されたレバウジオシドDを含む。特定の実施形態では、出発組成物は、乾物基準で約50重量%、約60重量%、約70重量%、約80重量%又は約90重量%より多いレバウジオシドDを含有する。
【0052】
出発組成物のステビオールグリコシド構成成分(単数又は複数)は、本明細書に記載のとおり目標ステビオールグリコシド(単数又は複数)の産生のための基質(単数又は複数)の役割を果たす。目標ステビオールグリコシド標的(単数又は複数)は、1つ又は複数のグルコース単位の付加によってその対応するステビオールグリコシド基質(単数又は複数)とは化学的に異なる。
【0053】
目標ステビオールグリコシド
本方法の目標ステビオールグリコシドは、本明細書で開示するプロセスによって調製できる任意のステビオールグリコシドであってよい。一実施形態では、目標ステビオールグリコシドは、ステビオールモノシド、ステビオールビオシド、ルブソシド、ズルコシドB、ズルコシドA、レバウジオシドB、レバウジオシドG、ステビオシド、レバウジオシドC、レバウジオシドF、レバウジオシドA、レバウジオシドI、レバウジオシドE、レバウジオシドH、レバウジオシドL、レバウジオシドK、レバウジオシドJ、レバウジオシドX、レバウジオシドD、レバウジオシドN又はレバウジオシドOからなる群から選択される。
【0054】
一実施形態では、目標ステビオールグリコシドは、ステビオシドである。別の実施形態では、目標ステビオールグリコシドはreb Aである。さらに別の実施形態では、目標ステビオールグリコシドはreb Dである。またさらに別の実施形態では、目標ステビオールグリコシドはreb Xである。
【0055】
目標ステビオールグリコシドは、水和物、溶媒和物、無水物又はこれらの組合せを含む任意の多形性又はアモルファス形態であってよい。
【0056】
一実施形態では、本発明は、ルブソシドからのステビオシドの産生のための生体触媒プロセスであり、出発組成物はステビオールグリコシド基質ルブソシドを含む。特定の実施形態では、本発明は、ルブソシドからのステビオシドの産生のための生体触媒プロセスであり、出発組成物は部分精製されたルブソシドを含む。別の特定の実施形態では、本発明は、ルブソシドからのステビオシドの産生のための生体触媒プロセスであり、出発組成物は精製されたルブソシドを含む。
【0057】
一実施形態では、本発明は、ステビオシドからのreb Aの産生のための生体触媒プロセスであり、出発組成物はステビオールグリコシド基質ステビオシドを含む。特定の実施形態では、本発明は、ステビオシドからのreb Aの産生のための生体触媒プロセスであり、出発組成物は部分精製されたステビオシドを含む。別の特定の実施形態では、本発明は、ステビオシドからのreb Aの産生のための生体触媒プロセスであり、出発組成物は精製されたステビオシドを含む。
【0058】
別の実施形態では、本発明は、reb Aからのreb Dの産生のための生体触媒プロセスであり、出発組成物はステビオールグリコシド基質reb Aを含む。特定の実施形態では、本発明は、reb Aからのreb Dの産生のための生体触媒プロセスであり、出発組成物は部分精製されたreb Aを含む。別の特定の実施形態では、本発明は、reb Aからのreb Dの産生のための生体触媒プロセスであり、出発組成物は精製されたreb Aを含む。
【0059】
さらに別の実施形態では、本発明は、reb Dからのreb Xの産生のための生体触媒プロセスであり、出発組成物はステビオールグリコシド基質reb Dを含む。特定の実施形態では、本発明は、reb Dからのreb Xの産生のための生体触媒プロセスであり、出発組成物は部分精製されたreb Dを含む。別の特定の実施形態では、本発明は、reb Dからのreb Xの産生のための生体触媒プロセスであり、出発組成物は精製されたreb Dを含む。
【0060】
特定の実施形態では、目標ステビオールグリコシドは、混合物中に存在する。例えば一実施形態では、目標ステビオールグリコシドは、混合物中に存在するreb Xである。一実施形態では、目標ステビオールグリコシドの純度は、出発組成物中に存在する目標ステビオールグリコシドの純度と比較して高められている。例えば出発組成物中に存在するreb Xの純度は、本発明の方法を実行する結果として高められている。
【0061】
本発明の方法は、任意選択で、出発組成物から目標ステビオールグリコシドを分離するステップをさらに含む。目標ステビオールグリコシドは例えば、結晶化、膜による分離、遠心分離、抽出、クロマトグラフィー分離又はそのような方法の組合せなどの任意の好適な方法によって分離できる。
【0062】
特定の実施形態では、本明細書に記載のプロセスは、高度に精製された目標ステビオールグリコシド組成物を生じる。本明細書において使用される用語「高度に精製された」は、無水物として約80重量%より多い目標ステビオールグリコシドを含む組成物を指す。一実施形態では、高度に精製された目標ステビオールグリコシド組成物は、例えば乾物基準で91%、約92%超、約93%超、約94%超、約95%超、約96%超、約97%超、約98%超又は約99%超の目標ステビオールグリコシド含有量などの、無水物として約90重量%より多い目標ステビオールグリコシドを含有する。
【0063】
さらに特定の実施形態では、目標ステビオールグリコシドがreb Xである場合、本明細書に記載のプロセスは乾物基準で約90重量%より多いreb X含有量を有する組成物を提供する。別の特定の実施形態では、目標ステビオールグリコシドがreb Xである場合、本明細書に記載のプロセスは乾物基準で約95重量%より多いreb X含有量を含む組成物を提供する。
【0064】
別の特定の実施形態では、目標ステビオールグリコシドがreb Dである場合、本明細書に記載のプロセスは乾物基準で約90重量%より多いreb D含有量の組成物を提供する。別の特定の実施形態では、目標ステビオールグリコシドがreb Dである場合、本明細書に記載のプロセスは乾物基準で約95重量%より多いreb D含有量を含む組成物を提供する。
【0065】
さらに別の特定の実施形態では、目標ステビオールグリコシドがreb Aである場合、本明細書に記載のプロセスは乾物基準で約90重量%より多いreb A含有量を含む組成物を提供する。別の特定の実施形態では、目標ステビオールグリコシドがreb Aである場合、本明細書に記載のプロセスは乾物基準で約95重量%より多いreb A含有量を含む組成物を提供する。
【0066】
またさらに別の特定の実施形態では、目標ステビオールグリコシドがステビオシドである場合、本明細書に記載のプロセスは乾物基準で約90重量%より多いステビオシド含有量を含む組成物を提供する。別の特定の実施形態では、目標ステビオールグリコシドがステビオシドである場合、本明細書に記載のプロセスは乾物基準で約95重量%より多いステビオシド含有量を含む組成物を提供する。
【0067】
一実施形態では、本発明の生体触媒法は、1回より多く実行され、第一の生体触媒プロセスによって産生される目標ステビオールグリコシドは、目標ステビオールグリコシドが産生される第二の生体触媒プロセスのためのステビオールグリコシド基質(中間目標ステビオールグリコシドであるとも考えられる)としての役割を果たす。
【0068】
特定の実施形態では、本発明は、ステビオールグリコシド基質を含む出発組成物をUDP−グルコース転移酵素と接触させるステップ、それによりステビオールグリコシド基質よりも1つ又は複数の追加のグルコース単位を含む中間目標ステビオールグリコシドを含む組成物を産生するステップ;中間目標ステビオールグリコシドを含む組成物をUDP−グルコース転移酵素と接触させるステップ、それにより中間目標ステビオールグリコシドよりも1つ又は複数の追加のグルコース単位を含む目標ステビオールグリコシドを産生するステップによって、目標ステビオールグリコシドを含む組成物を調製するための生体触媒プロセスを提供する。方法が実行される回数に応じて、目標ステビオールグリコシドの産生に関与する1つ又は複数の中間目標ステビオールグリコシド(例えば、第一の中間目標ステビオールグリコシド、第二の中間目標ステビオールグリコシド、第三の中間目標ステビオールグリコシド)がある場合がある。
【0069】
UDP−グルコース転移酵素
本方法は生体触媒性である、すなわち生物学的触媒を利用する。一実施形態では、生体触媒は、タンパク質酵素である。特定の実施形態では、生体触媒は、UDP−グルコース転移酵素である。UDP−グルコース転移酵素は、目標ステビオールグリコシドをもたらすように少なくとも1つのグルコース単位をステビオールグリコシド基質に付加できる任意のUDP−グルコース転移酵素でもよい。
【0070】
一実施形態では、UDP−グルコース転移酵素は、微生物などの宿主において産生される。例えばUDP−グルコース転移酵素をコードするDNA配列は、発現ベクターにクローニングされ、微生物(例えば細菌)などの産生宿主に移入される。好適な宿主の非限定的例は、大腸菌、酵母菌種、アスペルギルス菌種、ピキア菌種を含む。過剰発現タンパク質は、その物理的及び化学的特性に基づいて当技術分野において公知の技術を使用して細胞抽出物から単離できる。宿主からUDP−グルコース転移酵素を単離するための代表的な非限定的技術は、遠心分離、電気泳動、液体クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、ゲルろ過クロマトグラフィー又は親和性クロマトグラフィーを含む。
【0071】
UDP−グルコース転移酵素は、未精製、半精製及び精製された酵素調製物(単数又は複数)として提供できる。
【0072】
一実施形態では、UDP−グルコース転移酵素は遊離している。別の実施形態では、UDP−グルコース転移酵素は固定されている。例えばUDP−グルコース転移酵素は、無機又は有機材料から作られた固体支持体に固定されている場合がある。UDP−グルコース転移酵素を固定するために好適な固体支持体の非限定的例は、誘導体化セルロース若しくはガラス、セラミックス、金属酸化物又は膜を含む。UDP−グルコース転移酵素は、例えば共有結合、吸着、架橋結合、封入又はカプセル化によって固体支持体に固定される場合がある。
【0073】
変換のための反応媒体は、一般に水性(例えば精製水、緩衝液又はこれらの組合せ)である。特定の実施形態では、反応媒体は緩衝液である。好適な緩衝液は、これだけに限らないがPIPES緩衝液、酢酸緩衝液及びリン酸緩衝液を含む。特定の実施形態では、反応媒体はリン酸緩衝液である。反応媒体は、代替的に有機溶媒であってもよい。
【0074】
一実施形態では、UDP−グルコース転移酵素は、微生物生細胞などの全細胞系の形態で提供される。全細胞系は、任意選択で、酵素の固定化に関して上に特定した技術を利用して同様に固定されていてもよい。
【0075】
一実施形態では、UDP−グルコース転移酵素は、ルブソシドに少なくとも1つのグルコース単位を付加でき、それによりステビオシドを産生できる任意のUDP−グルコース転移酵素である。UDP−グルコース転移酵素は、例えばUGT91D2であってもよい。
【0076】
別の実施形態では、UDP−グルコース転移酵素は、ステビオシドに少なくとも1つのグルコース単位を付加でき、それによりレバウジオシドAを産生できる任意のUDP−グルコース転移酵素である。UDP−グルコース転移酵素は、例えばUGT76G1であってもよい。
【0077】
さらに別の実施形態では、UDP−グルコース転移酵素は、レバウジオシドAに少なくとも1つのグルコース単位を付加でき、それによりレバウジオシドDを産生できる任意のUDP−グルコース転移酵素である。UDP−グルコース転移酵素は、例えばUGT91D2であってもよい。
【0078】
またさらに別の実施形態では、UDP−グルコース転移酵素は、レバウジオシドXを形成するようにレバウジオシドDに少なくとも1つのグルコース単位を付加できる任意のUDP−グルコース転移酵素である。UDP−グルコース転移酵素は、例えばUGT76G1であってもよい。
【0079】
本発明の方法は、任意選択で、UDPを再利用して、UDP−グルコースを得るステップをさらに含む。一実施形態では、該方法は、再利用触媒(すなわちUDP−グルコース過剰産生できる生体触媒)及び再利用基質を得ることによってUDPを再利用するステップを含み、それにより、基質ステビオールグリコシドの目標ステビオールグリコシドへの変換が触媒量のUDP−グルコース転移酵素及びUDP−グルコースを使用して実行される(
図3)。
【0080】
一実施形態では、UDP−グルコース再利用触媒は、ショ糖合成酵素である。
【0081】
一実施形態では、再利用基質は、ショ糖である。
【0082】
ルブソシドのステビオシドへの変換
一実施形態では、ルブソシドを含む出発組成物は、ステビオシドを産生するためにUDP−グルコースとステビオシドとの反応を触媒できるUDP−グルコース転移酵素と接触される。一実施形態では、出発組成物は、部分精製されたルブソシドを含む。別の実施形態では、出発組成物は、精製されたルブソシドを含む。特定の実施形態では、出発組成物は、>99%のルブソシドを含む。特定の実施形態では、出発組成物は、約50%、約60%、約70%約80%又は約90%より多いルブソシドを含む。
【0083】
特定の実施形態では、UDP−グルコース転移酵素は、UGT91D2であり、Josephらによって記載されている(Genbank受託番号ACE87855)。類似の配列が後に特許出願PCT/US2011/038967に記載され、UGT91D2eと名付けられたことは記載されなければならない。UGT91D2eは、UGT91D11(Genbank受託番号AAR06918)と>95%同一性を、及びJosephらのUGT(Genbank受託番号ACE87855)と>99%同一性を共有している。
【0084】
いくつかの実施形態では、UGT91D2などのUDP−グルコース転移酵素は、宿主微生物における発現によって調製される。好適な宿主微生物は、これだけに限らないが大腸菌、酵母菌種、アスペルギルス菌種、ピキア菌種を含む。特定の実施形態では、UGT91D2は大腸菌において発現される。
【0085】
UGT91D2などのUDP−グルコース転移酵素は、遊離又は固定化形態で提供されてよい。酵素調製物は、未精製、半精製及び精製であってよい。一実施形態では、UDP−グルコース転移酵素は、全細胞系(例えば微生物生細胞若しくは全微生物細胞)、細胞可溶化物及び/又は当技術分野において公知の任意の他の形態として提供される。
【0086】
変換のための反応媒体は、一般に水性であり、精製水、緩衝液又はこれらの組合せであってよい。特定の実施形態では、反応媒体は緩衝液である。好適な緩衝液は、これだけに限らないがPIPES緩衝液、酢酸緩衝液及びリン酸緩衝液を含む。一実施形態では、反応媒体はリン酸緩衝液である。
【0087】
一実施形態では、ルブソシドのステビオシドへの変換は、UDP−グルコース、ルブソシド及びUDP−グルコース転移酵素以外の化合物の添加をさらに含む。例えばいくつかの実施形態では、反応媒体は、MgCl
2及び/又はMnCl
2を含む。
【0088】
反応は、例えば約10℃、約20℃、約30℃、約40℃、約50℃又は約60℃などの約0℃から約60℃の間の温度で実行できる。特定の実施形態では、反応は、約30℃で実行される。
【0089】
反応は、例えば約6時間、約12時間、約24時間、約48時間、約72時間、約120時間、約3日間、約4日間、約5日間、約6日間又は約7日間などの1時間から1週間の間の期間で進行できる。特定の実施形態では、反応は、約120時間実行される。
【0090】
グルコース供与体として使用されるUDP−グルコースは、任意選択で、酵素ショ糖合成酵素の使用によって再利用できる(
図3)。ルブソシドは、ショ糖とUDPとの間の反応によって再利用されるUDP−グルコースでステビオシドに転換される。結果としてルブソシド及びショ糖は化学量論量で使用されるが、UDPは触媒量で存在する。
【0091】
反応は、これだけに限らないが、HPLC、LCMS、TLC、IR又はNMRを含む好適な方法によってモニターできる。
【0092】
一実施形態では、ルブソシドのステビオシドへの変換は、上に述べた任意の方法によって決定されるとおり少なくとも約2%完了である。特定の実施形態では、ルブソシドのステビオシドへの変換は、少なくとも約10%完了、少なくとも約20%完了、少なくとも約30%完了、少なくとも約40%完了、少なくとも約50%完了、少なくとも約60%完了、少なくとも約70%完了、少なくとも約80%完了又は少なくとも約90%完了である。特定の実施形態では、ルブソシドのステビオシドへの変換は、少なくとも約95%完了である。
【0093】
ステビオシドのreb Aへの変換
一実施形態では、ステビオシドを含む出発組成物は、reb Aを産生するためにUDP−グルコースとステビオシドとの反応を触媒できるUDP−グルコース転移酵素と接触される。グルコース単位はreb Aをもたらすように、ステビオシドのC13位で二糖に化学的に付加される。一実施形態では、出発組成物は、部分精製されたステビオシドを含む。別の実施形態では、出発組成物は、精製されたステビオシドを含む。特定の実施形態では、出発組成物は、>99%のステビオシドを含む。特定の実施形態では、出発組成物は、約50%、約60%、約70%約80%又は約90%より多いステビオシドを含む。
【0094】
特定の実施形態では、UDP−グルコース転移酵素は、UGT76G1である。UGT76G1は、Richmanら(Richman、A.、Swanson、A.、Humphrey、T.、Chapman、R.、McGarvey、B.、Pocs、R.、Brandle、J.ゲノム機能解析は、ステビア・レバウディアナの主要な甘グルコシドの合成に関与する3種のグルコース転移酵素を明らかにする(Functional genomics uncovers three glucosyltransferases involved in the synthesis of the major sweet glucosides of Stevia rebaudiana.)The Plant Journal、2005、41、56〜67)によって記載されており、Genbank(ACT33422.1)及びUniprot(C7EA09)において利用可能である。酵素は、大腸菌で過剰発現され、ステビオシドをreb Aに転換することが示された。
【0095】
いくつかの実施形態では、UGT76G1などのUDP−グルコース転移酵素は、宿主微生物における発現によって調製できる。好適な宿主微生物は、これだけに限らないが大腸菌、酵母菌種、アスペルギルス菌種、ピキア菌種を含む。特定の実施形態では、UGT76G1は大腸菌において発現される。
【0096】
UGT76G1などのUDP−グルコース転移酵素は、遊離又は固定されていてよい。それは、未精製、半精製及び精製された酵素調製物(単数又は複数)の形態であってよい。UDP−グルコース転移酵素は、全細胞系(例えば微生物生細胞)、全微生物細胞若しくは細胞可溶化物及び/又は当技術分野において公知の任意の他の形態としても提供される場合がある。
【0097】
変換のための反応媒体は、一般に水性であり、精製水、緩衝液又はこれらの組合せであってよい。特定の実施形態では、反応媒体は緩衝液である。好適な緩衝液は、これだけに限らないがPIPES緩衝液、酢酸緩衝液及びリン酸緩衝液を含む。一実施形態では、反応媒体はリン酸緩衝液である。
【0098】
一実施形態では、ステビオシドのreb Aへの変換は、UDP−グルコース、ステビオシド及びUDP−グルコース転移酵素以外の化合物の添加をさらに含む。例えばいくつかの実施形態では、反応媒体はMgCl
2及び/又はMnCl
2を含む。
【0099】
反応は、例えば約10℃、約20℃、約30℃、約40℃、約50℃又は約60℃などの約0℃から約60℃の間の温度で実行できる。特定の実施形態では、反応は、約30℃で実行される。
【0100】
反応は、例えば約6時間、約12時間、約24時間、約48時間、約72時間、約120時間、約3日間、約4日間、約5日間、約6日間又は約7日間などの1時間から1週間の間の期間で進行できる。特定の実施形態では、反応は、約120時間実行される。
【0101】
任意選択で、グルコース供与体として使用されるUDP−グルコースは、酵素ショ糖合成酵素の使用によって再利用できる(
図3)。ステビオシドは、ショ糖とUDPとの反応によって再利用されるUDP−グルコースでreb Aに転換される。結果としてステビオシド及びショ糖は化学量論量で使用されるが、UDPは触媒量で存在する。
【0102】
反応は、これだけに限らないがHPLC、LCMS、TLC、IR又はNMRを含む好適な方法によってモニターできる。
【0103】
一実施形態では、ステビオシドのreb Aへの生体触媒変換又は生体内変換は、上に述べた任意の方法によって決定されるとおり、少なくとも約50%完了である。特定の実施形態では、ステビオシドのreb Aへの変換は、少なくとも約60%完了、少なくとも約70%完了、少なくとも約80%完了又は少なくとも約90%完了である。特定の実施形態では、ステビオシドのreb Aへの変換は、少なくとも約95%完了である。
【0104】
reb Aのreb Dへの変換
一実施形態では、reb Aを含む出発組成物は、reb Dを産生するためにUDP−グルコースとreb Aとの反応を触媒できるUDP−グルコース転移酵素と接触される。グルコース単位は、reb Dをもたらすようにreb AのC19位で単糖に化学的に付加される。一実施形態では、出発組成物は、部分精製されたreb Aを含む。別の実施形態では、出発組成物は、精製されたreb Aを含む。特定の実施形態では、出発組成物は、>99%のreb Aを含む。特定の実施形態では、出発組成物は、約50%、約60%、約70%約80%又は約90%より多いreb Aを含む。
【0105】
特定の実施形態では、UDP−グルコース転移酵素はUGT91D2であり、Josephらによって記載されている(Genbank受託番号ACE87855)。類似配列が後に特許出願PCT/US2011/038967に記載されUGT91D2eと名付けられたことは記載されなければならない。UGT91D2eは、UGT91D11(Genbank受託番号AAR06918)と>95%同一性を、及びJosephらのUGT(Genbank受託番号ACE87855)と>99%同一性を共有している。
【0106】
いくつかの実施形態では、UGT91D2などのUDP−グルコース転移酵素は、宿主微生物における発現によって調製される。好適な宿主微生物は、これだけに限らないが大腸菌、酵母菌種、アスペルギルス菌種、ピキア菌種を含む。特定の実施形態では、UGT91D2は大腸菌において発現される。
【0107】
UGT91D2などのUDP−グルコース転移酵素は、遊離又は固定化形態で提供されてよい。酵素調製物は、未精製、半精製及び精製であってよい。一実施形態では、UDP−グルコース転移酵素は、全細胞系(例えば微生物生細胞若しくは全微生物細胞)、細胞可溶化物及び/又は当技術分野において公知の任意の他の形態として提供される。
【0108】
変換のための反応媒体は、一般に水性であり、精製水、緩衝液又はこれらの組合せであってよい。特定の実施形態では、反応媒体は緩衝液である。好適な緩衝液は、これだけに限らないがPIPES緩衝液、酢酸緩衝液及びリン酸緩衝液を含む。一実施形態では、反応媒体はリン酸緩衝液である。
【0109】
一実施形態では、reb Aのreb Dへの変換は、UDP−グルコース、reb A及びUDP−グルコース転移酵素以外の化合物の添加をさらに含む。例えばいくつかの実施形態では、反応媒体はMgCl
2及び/又はMnCl
2を含む。
【0110】
反応は、例えば約10℃、約20℃、約30℃、約40℃、約50℃又は約60℃などの約0℃から約60℃の間の温度で実行できる。特定の実施形態では、反応は、約30℃で実行される。
【0111】
反応は、例えば約6時間、約12時間、約24時間、約48時間、約72時間、約120時間、約3日間、約4日間、約5日間、約6日間又は約7日間などの1時間から1週間の間の期間で進行できる。特定の実施形態では、反応は、約120時間実行される。
【0112】
任意選択で、グルコース供与体として使用されるUDP−グルコースは、酵素ショ糖合成酵素の使用によって再利用できる(
図3)。reb Aは、ショ糖とUDPとの反応によって再利用されるUDP−グルコースでreb Dに転換される。結果としてreb A及びショ糖は化学量論量で使用されるが、UDPは触媒量で存在する。
【0113】
反応は、これだけに限らないが、HPLC、LCMS、TLC、IR又はNMRを含む好適な方法によってモニターできる。
【0114】
一実施形態では、reb Aのreb Dへの変換は、上に述べた任意の方法によって決定されるとおり少なくとも約2%完了である。特定の実施形態では、reb Aのreb Dへの変換は、少なくとも約10%完了、少なくとも約20%完了、少なくとも約30%完了、少なくとも約40%完了、少なくとも約50%完了、少なくとも約60%完了、少なくとも約70%完了、少なくとも約80%完了又は少なくとも約90%完了である。特定の実施形態では、reb Aのreb Dへの変換は、少なくとも約95%完了である。
【0115】
reb Dのreb Xへの変換
一実施形態では、出発組成物は、reb Dを含み、reb Xを産生するためにUDP−グルコースとreb Dとの反応を触媒できるUDP−グルコース転移酵素と接触される。グルコース単位は、reb Xをもたらすようにreb DのC19位で二糖に化学的に付加される。一実施形態では、出発組成物は、部分精製されたreb Dを含む。別の実施形態では、出発組成物は、精製されたreb Dを含む。特定の実施形態では、出発組成物は、>99%のreb Dを含む。特定の実施形態では、出発組成物は、約50%、約60%、約70%約80%又は約90%より多いreb Dを含む。特定の実施形態では、UDP−グルコース転移酵素は、UGT76G1である。
【0116】
いくつかの実施形態では、UGT91D2などのUDP−グルコース転移酵素は、宿主微生物における発現によって調製できる。好適な宿主微生物は、これだけに限らないが大腸菌、酵母菌種、アスペルギルス菌種、ピキア菌種を含む。特定の実施形態では、UGT91D2は大腸菌において発現される。
【0117】
UGT91D2などのUDP−グルコース転移酵素は、遊離又は固定されて提供されてよい。酵素調製物は、未精製、半精製及び精製であってよい。一実施形態では、UDP−グルコース転移酵素は、全細胞調製物(例えば微生物生細胞若しくは全微生物細胞の形態)、細胞可溶化物及び/若しくは当技術分野において公知の任意の他の形態として提供される。
【0118】
変換のための反応媒体は、一般に水性であり、精製水、緩衝液又はこれらの組合せであってよい。特定の実施形態では、反応媒体は緩衝液である。好適な緩衝液は、これだけに限らないがPIPES緩衝液、酢酸緩衝液及びリン酸緩衝液を含む。一実施形態では、反応媒体はリン酸緩衝液である。
【0119】
一実施形態では、reb Dのreb Xへの変換は、UDP−グルコース、reb D及びUDP−グルコース転移酵素に加えて化合物を用いる。例えばいくつかの実施形態では、反応媒体はMgCl
2及び/又はMnCl
2を含む。
【0120】
反応は、例えば約10℃、約20℃、約30℃、約40℃、約50℃又は約60℃などの約0℃から約60℃の間の温度で実行できる。特定の実施形態では、反応は、約30℃で実行される。
【0121】
反応は、例えば約6時間、約12時間、約24時間、約48時間、約72時間、約120時間、約3日間、約4日間、約5日間、約6日間又は約7日間などの1時間から1週間の間の期間で進行できる。特定の実施形態では、反応は、約120時間実行される。
【0122】
任意選択で、グルコース供与体として使用されるUDP−グルコースは、酵素ショ糖合成酵素の使用によって再利用できる(
図3)。reb Dは、ショ糖とUDPとの反応によって再利用されるUDP−グルコースでreb Xに転換される。結果としてreb D及びショ糖は化学量論量で使用されるが、UDPは触媒量で存在する。
【0123】
反応は、これだけに限らないが、HPLC、LCMS、TLC、IR又はNMRを含む好適な方法によってモニターできる。
【0124】
一実施形態では、reb Dのreb Xへの変換は、上に述べた任意の方法によって決定されるとおり少なくとも約50%完了である。特定の実施形態では、reb Dのreb Xへの変換は、少なくとも約60%完了、少なくとも約70%完了、少なくとも約80%完了又は少なくとも約90%完了である。特定の実施形態では、reb Dのreb Xへの変換は、少なくとも約95%完了である。
【0125】
目標ステビオールグリコシドは、得られた組成物から任意選択で精製される。反応媒体からの目標ステビオールグリコシドの精製は、高度に精製された目標ステビオールグリコシド組成物を提供するための任意の好適な方法によって達成できる。好適な方法は、結晶化、膜による分離、遠心分離、抽出(液相若しくは固相)、クロマトグラフィー分離、HPLC(分取若しくは分析)又はそのような方法の組合せを含む。
【0126】
一実施形態では、特定の生体触媒変換は、反応を停止するためにクエンチされる場合がある。次いで得られた混合物は、遠心分離される。上清は、一般に目標ステビオールグリコシドを含有し、次いで所望によりさらに精製される場合がある。例えば、分析又は分取HPLCは、残っている標的若しくは出発ステビオールグリコシド(単数又は複数)又は反応副産物を目標ステビオールグリコシドから分離するために使用できる。一実施形態では、分離は、分析HPLCで達成される。別の実施形態では、分離は、分取HPLCで達成される。当業者であれば、使用される特定のHPLC法を特定の系、溶媒及びカラムに基づいて変更できることを認識されよう。reb Xをreb Dから分離するための好適な系は、例20において提供される。
【0127】
本明細書で提供する方法が反復できることは予測され、最初のプロセスから得られる組成物(すなわち目標ステビオールグリコシドを含む組成物)は、次いで方法が2回目に実行される場合に出発組成物として使用でき、目標ステビオールグリコシドは、任意選択で、高度に精製された目標ステビオールグリコシド又はステビオールグリコシド組成物をもたらすように目標ステビオールグリコシドを含む組成物から精製できる。本実施形態により、方法が1回目に実行された際に産生された目標ステビオールグリコシドは、第一の目標ステビオールグリコシド又は中間目標ステビオールグリコシドと考えられ、第二の目標ステビオールグリコシド、第二の中間目標ステビオールグリコシド又は最終的な目標ステビオールグリコシドの産生のための基質として有用である。プロセスは、最終的な目標ステビオールグリコシドに達するように必要な回数反復できる。一実施形態では、方法は1回反復される。別の実施形態では、方法は、2回反復される。さらに別の実施形態では、方法は、3回反復される。またさらに他の実施形態では、方法は、4回。5回、6回、7回、8回又は9回反復される。当業者であれば、各反応で使用される特定のUDP−グルコース転移酵素は、グルコースが付加される、ステビオールグリコシド基質上の特定の部位に応じて、同じ又は異なるのいずれでもよいことを認識されよう。
【0128】
したがって一実施形態では、方法は1回反復され、第一の方法の出発組成物はreb Aを含み、目標ステビオールグリコシドはreb Dであり、第二の方法の出発組成物はreb Dを含み、目標ステビオールグリコシドはreb Xである。
【0129】
別の実施形態では、方法は、2回反復され、第一の方法の出発組成物はステビオシドを含み、目標ステビオールグリコシドはreb Aである;第二の方法の出発組成物はreb Aを含み、目標ステビオールグリコシドはreb Dである;及び第三の方法の出発組成物はreb Dを含み、目標ステビオールグリコシドはreb Xである。
【0130】
さらに別の実施形態では、方法は3回反復され、第一の方法の出発組成物はルブソシドを含み、目標ステビオールグリコシドはステビオシドである;第二の方法の出発組成物はステビオシドを含み、目標ステビオールグリコシドはreb Aである;第三の方法の出発組成物はreb Aを含み、目標ステビオールグリコシドはreb Dである;第四の方法の出発組成物はreb Dを含み、目標ステビオールグリコシドはreb Xである。
【0131】
一実施形態では、高度に精製された目標ステビオールグリコシド組成物を産生するための方法は:
a.ステビオールグリコシド基質を含む第一の出発組成物を第一のUDP−グルコース転移酵素と接触させて、第一の目標ステビオールグリコシドを含む組成物を産生するステップ;
b.任意選択で、第一の目標ステビオールグリコシドを培地から分離して、高度に精製された第一の目標ステビオールグリコシド組成物を得るステップ;
c.第一の目標ステビオールグリコシドを含む組成物又は高度に精製された第一の目標ステビオールグリコシド組成物を第二のUDP−グルコース転移酵素と接触させて、第二の目標ステビオールグリコシドを含む組成物を産生するステップ;
d.任意選択で、第二の目標ステビオールグリコシドを培地から分離して、高度に精製された第二の目標ステビオールグリコシド組成物を得るステップ;
e.第二の目標ステビオールグリコシドを含む組成物又は高度に精製された第二の目標ステビオールグリコシド組成物を第三のUDP−グルコース転移酵素と接触させて、第三の目標ステビオールグリコシドを含む組成物を産生するステップ;及び
f.任意選択で、第三の目標ステビオールグリコシドを培地から分離して、高度に精製された第三の目標ステビオールグリコシド組成物を得るステップ
を含む。
【0132】
一実施形態では、第一の出発組成物は、ステビオシドを含み、第一の目標ステビオールグリコシドはreb Aであり、第一のUDP−グルコース転移酵素はUGT76G1である。
【0133】
さらなる実施形態では、第二のUDP−グルコース転移酵素はUGT91D2であり、第二の目標ステビオールグリコシドはreb Dである。
【0134】
さらにさらなる実施形態では、第三のUDP−グルコース転移酵素はUGT91D2であり、第三の目標ステビオールグリコシドはreb Xである。
【0135】
一実施形態では、ステビオールグリコシド基質を含む組成物をUDP−グルコース転移酵素と接触させるステップの1つ又は複数は、UDPの過剰産生及び再利用をできる生体触媒並びに前記再利用のための基質を用意するステップをさらに含む。
【0136】
さらに特定の実施形態では、高度に精製された目標ステビオールグリコシド組成物を産生するための方法は:
a.ステビオールグリコシド基質を含む第一の出発組成物を第一のUDP−グルコース転移酵素と接触させて、第一の目標ステビオールグリコシドを含む組成物を産生するステップ;
b.任意選択で、UDPの過剰産生及び再利用をできる生体触媒並びに前記再利用のための基質を用意するステップ;
c.任意選択で、第一の目標ステビオールグリコシドを培地から分離して、高度に精製された第一の目標ステビオールグリコシド組成物を得るステップ;
d.第一の目標ステビオールグリコシドを含む組成物又は高度に精製された第一の目標ステビオールグリコシド組成物を第二のUDP−グルコース転移酵素と接触させて、第二の目標ステビオールグリコシドを含む組成物を得るステップ;
e.任意選択で、UDPの過剰産生及び再利用をできる生体触媒並びに前記再利用のための基質を用意するステップ;
f.任意選択で、第二の目標ステビオールグリコシドを培地から分離して、高度に精製された第二の目標ステビオールグリコシド組成物を得るステップ;
g.第二の目標ステビオールグリコシドを含む組成物又は高度に精製された第二の目標ステビオールグリコシド組成物を第三のUDP−グルコース転移酵素と接触させて、第三の目標ステビオールグリコシドを含む組成物を得るステップ;並びに
h.任意選択で、第三の目標ステビオールグリコシドを培地から分離して、高度に精製された第三の目標ステビオールグリコシド組成物を得るステップ
を含む。
【0137】
一実施形態では、第一の出発組成物はステビオシドを含み、第一の目標ステビオールグリコシドはreb Aであり、第一のUDP−グルコース転移酵素はUGT76G1である。
【0138】
さらなる実施形態では、第二のUDP−グルコース転移酵素はUGT91D2であり、第二の目標ステビオールグリコシドはreb Dである。
【0139】
さらにさらなる実施形態では、第三のUDP−グルコース転移酵素はUGT91D2であり、第三の目標ステビオールグリコシドはreb Xである。
【0140】
別の特定の実施形態では、高度に精製された目標ステビオールグリコシド組成物を産生するための方法は:
a.ステビオールグリコシド基質を含む第一の出発組成物を第一のUDP−グルコース転移酵素と接触させて、第一の目標ステビオールグリコシドを含む組成物を産生するステップ;
b.任意選択で、UDPの過剰産生及び再利用をできる生体触媒並びに前記再利用のための基質を用意するステップ;
c.任意選択で、第一の目標ステビオールグリコシドを培地から分離して、高度に精製された第一の目標ステビオールグリコシド組成物を得るステップ;
d.第一の目標ステビオールグリコシドを含む組成物又は高度に精製された第一の目標ステビオールグリコシド組成物を第二のUDP−グルコース転移酵素に接触させて、第二の目標ステビオールグリコシドを含む組成物を産生するステップ;
e.任意選択で、UDPの過剰産生及び再利用をできる生体触媒並びに前記再利用のための基質を用意するステップ;
f.任意選択で、第二の目標ステビオールグリコシドを培地から分離して、高度に精製された第二の目標ステビオールグリコシド組成物を得るステップ;
g.第二の目標ステビオールグリコシドを含む組成物又は高度に精製された第二の目標ステビオールグリコシド組成物を第三のUDP−グルコース転移酵素と接触させて、第三の目標ステビオールグリコシドを含む組成物を得るステップ;及び
h.任意選択で、UDPの過剰産生及び再利用をできる生体触媒並びに前記再利用のための基質を用意するステップ;
i.任意選択で、第三の目標ステビオールグリコシドを培地から分離して、高度に精製された第三の目標ステビオールグリコシド組成物を得るステップ;
j.第三の目標ステビオールグリコシドを含む組成物又は高度に精製された第三の目標ステビオールグリコシド組成物を第四のUDP−グルコース転移酵素と接触させて、第四の目標ステビオールグリコシドを含む組成物を産生するステップ;及び
k.任意選択で、UDPの過剰産生及び再利用をできる生体触媒並びに前記再利用のための基質を用意するステップ;
l.任意選択で、第四の目標ステビオールグリコシドを培地から分離して、高度に精製された第四の目標ステビオールグリコシド組成物を得るステップ
を含む。
【0141】
一実施形態では、第一の出発組成物は、ルブソシドを含み、第一の目標ステビオールグリコシドはステビオシドであり、第一のUDP−グルコース転移酵素はUGT91D2である。
【0142】
さらなる実施形態では、第二のUDP−グルコース転移酵素はUGT76G1であり、第二の目標ステビオールグリコシドはreb Aである。
【0143】
さらなる実施形態では、第三のUDP−グルコース転移酵素はUGT91D2であり、第三の目標ステビオールグリコシドはreb Dである。
【0144】
さらにさらなる実施形態では、第四のUDP−グルコース転移酵素はUGT91D2であり第四の目標ステビオールグリコシドはreb Xである。
【0145】
本発明により調製される精製されたステビオールグリコシドは、これだけに限らないが、食物、飲料、医薬組成物、タバコ製品、栄養補助組成物、口腔衛生組成物及び化粧用組成物を含む種々の製品において使用できる。
【0146】
分子量1291.29、分子式C
56H
90O
33及び
図1に示す構造を有する本発明において得られる高純度reb Xは、白色、無臭の粉末形態である。化合物は、10%ショ糖溶液と比較した場合に砂糖よりも約200倍甘い。赤外吸収スペクトルは
図4に示されている。
【0147】
純粋なreb X化合物の他の特質は、249〜250℃の融点、50%エタノール(C=1.0)中での比旋光度[α]
D25−19.0°を含む。reb Xの水中での溶解度は、およそ0.3%であり、温度の上昇と共に増加する。
【0148】
reb Xは、メタノール、エタノール、n−プロパノール及びイソプロパノールの希釈溶液に可溶性である。しかし、アセトン、ベンゼン、クロロホルム及びエーテルには不溶性である。
【0149】
本発明により得られるreb Xは、熱及びpH安定性である。
【0150】
本発明により得られる高度に精製された標的グリコシド(単数又は複数)、特にreb D及び/又はreb Xは、他の甘味料、香料及び食品成分との組合せでそのまま使用できる。
【0151】
香料の非限定的例は、ライム、レモン、オレンジ、果実、バナナ、ブドウ、セイヨウナシ、パイナップル、マンゴー、苦扁桃、コーラノキ、シナモン、砂糖、綿菓子及びバニラ香料を含む。
【0152】
他の食物成分の非限定的例は、香料、酸味料、有機酸及びアミノ酸、着色料、増量剤、加工デンプン、ガム、食感付与剤、保存料、抗酸化物質、乳化剤、安定剤、増粘剤及びゲル化剤を含む。
【0153】
本発明により得られる高度に精製された標的グリコシド(単数又は複数)、特にreb D及び/又はreb Xは、これだけに限らないが水和物、溶媒和物、無水物、アモルファス形態及び/又はこれらの組合せを含む種々の多様な形態に調製できる。
【0154】
本発明により得られる高度に精製された目標ステビオールグリコシド(単数又は複数)、特にreb D及び/又はreb Xは、食糧、飲料、医薬組成物、化粧品、チューインガム、卓上製品、シリアル、乳製品、歯磨き粉及び他の口腔組成物などにおいて高甘味度天然甘味料として包含されてよい。
【0155】
甘味化合物としての高度に精製された目標ステビオールグリコシド(単数又は複数)、特にreb D及び/又はreb Xは、単独で甘味料として用いられる場合がある、又はステビオシド、reb A、reb B、reb C、reb D、reb E、reb F、ステビオールビオシド、ズルコシドA、ルブソシド、モグロシド(mogroside)、ブラゼイン(brazzein)、ネオヘスペリジンジヒドロカルコン、グリチルリチン酸及びその塩、タウマチン、ペリラルチン、ペルナンズルシン(pernandulcin)、ムクロジオシド(mukuroziosides)、バイユノシド(baiyunoside)、フロミソシド(phlomisoside)−I、ジメチル−ヘキサヒドロフルオレン−ジカルボン酸、アブルソシド(abrusoside)、ペリアンドリン(periandrin)、カルノシフロシド(carnosifloside)、シクロカリオシド(cyclocarioside)、ペテロカリオシド(pterocaryoside)、ポリポドシド(polypodoside)A、ブラジリン(brazilin)、ヘルアンダルシン(hernandulcin)、フィロズルシン(phillodulcin)、グリシフィリン(glycyphyllin)、フロリジン、トリロバチン(trilobatin)、ジヒドロフロボノール、ジヒドロケルセチン−3−アセテート、ネオアスチリビン(neoastilibin)、トランスシンナムアルデヒド(trans−cinnamaldehyde)、モナチン(monatin)及びその塩、セリグアイン(selligueain)A、ヘマトキシリン、モネリン、オスラジン(osladin)、ペテロカリオシド(pterocaryoside)A、ペテロカリオシド(pterocaryoside)B、マビンリン(mabinlin)、ペンタジン(pentadin)、ミラクリン、クルクリン(curculin)、ネオクリン(neoculin)、クロロゲン酸、シナリン(cynarin)、Luo Han Guo甘味料、モグロシド(mogroside)V、シアメノシド(siamenoside)などの他の天然に存在する高甘味度甘味料と共に使用される場合もある。
【0156】
高度に精製された目標ステビオールグリコシド(単数又は複数)、特にreb D及び/又はreb Xは、スクラロース、アセサルフェームカリウム、アスパルルテーム、アリターム、サッカリン、ネオヘスペリジンジヒドロカルコン、シクラミン酸、ネオテーム、ズルシン(dulcin)、スオサン、N−[N−[3−(3−ヒドロキシ−4−メトキシフェニル)プロピル]−L−α−アスパルチル]−L−フェニルアラニン1−メチルエステル、N−[N−[3−(3−ヒドロキシ−4−メトキシフェニル)−3−メチルブチル]−L−α−アスパルチル]−L−フェニルアラニン1−メチルエステル、N−[N−[3−(3−メトキシ−4−ヒドロキシフェニル)プロピル]−L−α−アスパルチル]−L−フェニルアラニン1−メチルエステル、これらの塩などの合成高甘味度甘味料との組合せでも使用される場合がある。
【0157】
さらに、高度に精製された目標ステビオールグリコシド(単数又は複数)、特にreb D及び/又はreb Xは、ギムネマ酸、ホズルシン、ジジフィン、ラクチゾール(lactisole)などの天然甘味抑制物質との組合せで使用できる。reb D及び/又はreb Xは、種々のうま味増強物質とも組合せられる。reb D及び/又はreb Xは、グルタミン酸、アスパラギン酸、グリシン、アラニン、スレオニン、プロリン、セリン、グルタミン酸及びトリプトファンなどのうま味及び甘味アミノ酸と混合できる。
【0158】
高度に精製された目標ステビオールグリコシド(単数又は複数)、特にreb D及び/又はreb Xはポリオール又は糖アルコールとも組合せられる。用語「ポリオール」は、複数のヒドロキシル基を含有する分子を指す。ポリオールは、2、3及び4個のヒドロキシル基をそれぞれ含有するジオール、トリオール又はテトラオールであってよい。ポリオールは、5、6又は7個のヒドロキシル基をそれぞれ含有するペンタオール、ヘキサオール、ヘプタオールなどの4個より多いヒドロキシル基を含有してもよい。その上、ポリオールは、炭水化物の還元形態である糖アルコール、多価アルコール又はポリアルコールであってもよく、ここでカルボニル基(アルデヒド又はケトン、還元糖)は、一級又は二級ヒドロキシル基に還元されている。ポリオールの例は、それだけに限らないが、エリスリトール、マルチトール、マンニトール、ソルビトール、ラクチトール、キシリトール、イノシトール、イソマルト、プロピレングリコール、グリセロール、スレイトール、ガラクチトール、水素化イソマルツロース、還元イソマルトオリゴ糖、還元キシロオリゴ糖、還元ゲンチオオリゴ糖、還元マルトースシロップ、還元グルコースシロップ、水素化デンプン加水分解物、ポリグリシトール(polyglycitol)及び糖アルコール、又は甘味料組成物の味に悪影響を与えない還元可能な任意の他の炭水化物を含む。
【0159】
高度に精製された目標ステビオールグリコシド(単数又は複数)、特にreb D及び/又はreb Xは、D−タガトース、L−糖類、L−ソルボース、L−アラビノースなどの低カロリー甘味料と組み合わせることができる。
【0160】
高度に精製された目標ステビオールグリコシド(単数又は複数)、特にreb D及び/又はreb Xは、種々の炭水化物と組み合わせることができる。用語「炭水化物」は、一般式(CH
2O)
n(式中nは3〜30)で、複数のヒドロキシル基で置換されたアルデヒド又はケトン化合物並びにそれらのオリゴマー及びポリマーを一般に指す。その上、本発明の炭水化物は、1つ又は複数の位置で置換又は脱酸素化される場合がある。本明細書において使用される炭水化物は、未修飾炭水化物、炭水化物誘導体、置換された炭水化物、及び修飾炭水化物を包含する。本明細書において使用される句「炭水化物誘導体」、「置換された炭水化物」及び「修飾された炭水化物」は、同義語である。修飾された炭水化物は、少なくとも1つの原子が付加、除去若しくは置換されている又はこれらの組合せである任意の炭水化物を意味する。したがって、炭水化物誘導体又は置換された炭水化物は、置換された及び未置換の単糖、二糖、オリゴ糖及び多糖を含む。炭水化物誘導体又は置換された炭水化物は、炭水化物誘導体又は置換された炭水化物が甘味料組成物の甘味を改善するように機能する限り、任意の対応するC−位置で任意選択で脱酸素化でき、及び/又は水素、ハロゲン、ハロアルキル、カルボキシル、アシル、アシルオキシ、アミノ、アミド、カルボキシル誘導体、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、アルコキシ、アリールオキシ、ニトロ、シアノ、スルホ、メルカプト、イミノ、スルホニル、スルフェニル、スルフィニル、スルファモイル、カルボアルコキシ、カルボキシアミド、ホスホニル、ホスフィニル、ホスホリル、ホスフィノ、チオエステル、チオエーテル、オキシイミノ、ヒドラジノ、カルバミル、ホスホ、ホスホナート若しくは任意の他の実用的な官能基などの1つ又は複数の成分で置換できる。
【0161】
本発明により使用できる炭水化物の例は、これだけに限らないが、タガトース、トレハロース、ガラクトース、ラムノース、種々のシクロデキストリン、環状オリゴ糖、種々の種類のマルトデキストリン、デキストラン、ショ糖、グルコース、リブロース、フルクトース、トレオース、アラビノース、キシロース、リキソース、アロース、アルトロース(altrose)、マンノース、イドース、乳糖、マルトース、転化糖、イソトレハロース、ネオトレハロース、イソマルツロース、エリトロース、デオキシリボース、グロース、イドース、タロース(talose)、エリトルロース(erythrulose)、キシルロース、プシコース(psicose)、ツラノース(turanose)、セロビオース、アミロペクチン、グルコサミン、マンノサミン、フコース、グルクロン酸、グルコン酸、グルコノラクトン、アベクオース(abequose)、ガラクトサミン、ビートオリゴ糖、イソマルト−オリゴ糖(イソマルトース、イソマルトトリオース、パノース(panose)など)、キシロ−オリゴ糖(キシロトリオース(xylotriose)、キシロビオースなど)、キシロ末端オリゴ糖、ゲンチオ−オリゴ糖(ゲンチオビオース、ゲンチオトリオース、ゲンチオテトラオースなど)、ソルボース、ニゲロ−オリゴ糖、パラチノースオリゴ糖、フルクトオリゴ糖(ケストース(kestose)、ニストースなど)、マルトテトラオール(maltotetraol)、マルトトリオール(maltotriol)、マルト−オリゴ糖(マルトトリオース、マルトテトラオース、マルトペンタオース、マルトヘキサオース、マルトヘプタオースなど)、デンプン、イヌリン、イヌロオリゴ糖、ラクツロース、メリビオース、ラフィノース、リボース、異性化液糖(高フルクトースコーンシロップ、カップリングシュガー及びダイズオリゴ糖など)を含む。その上、本明細書において使用される炭水化物は、D−又はL−立体配置のいずれであってもよい。
【0162】
本発明により得られる高度に精製された目標ステビオールグリコシド(単数又は複数)、特にreb D及び/又はreb Xは、種々の生理学的活性物質又は機能性成分との組合せで使用できる。機能性成分は、カロテノイド、食物繊維、脂肪酸、サポニン、抗酸化物質、栄養補助食品、フラボノイド、イソチオシアン酸、フェノール、植物ステロール及びスタノール(フィトステロール及びフィトスタノール);ポリオール;プレバイオティクス、プロバイオティクス;フィトエストロゲン;ダイズタンパク質;硫化物/チオール;アミノ酸;タンパク質;ビタミン;及びミネラルなどの部類に一般に分類される。機能性成分は、心血管系、コレステロール低減及び抗炎症性などのそれらの健康効果に基づいても分類できる。
【0163】
本発明により得られる高度に精製された目標ステビオールグリコシド(単数又は複数)、特にreb D及び/又はreb Xは、味覚特徴が改善されたゼロカロリー、低カロリー又は糖尿病用飲料及び食品を産生するための高甘味度甘味料として適用できる。それは、糖を使用できない飲料、食糧、医薬品及び他の製品においても使用できる。その上、高度に精製された目標ステビオールグリコシド(単数又は複数)、特にreb D及び/又はreb Xは、飲料、食糧及びヒトが消費するための他の製品だけでなく、特徴が改善された動物用餌及び飼料においても甘味料として使用できる。
【0164】
高度に精製された目標ステビオールグリコシド(単数又は複数)、特にreb D及び/又はreb Xを甘味化合物として使用できる製品の例は、これだけに限らないが、ウオッカ、ワイン、ビール、酒、及び日本酒などのアルコール性飲料;天然果汁;清涼飲料水;炭酸清涼飲料;ダイエット飲料;ゼロカロリー飲料;低カロリー飲料及び食品;ヨーグルト飲料;インスタント果汁;インスタントコーヒー;粉末型インスタント飲料;缶詰製品;シロップ;発酵ダイズペースト;醤油;ワイン酢;ドレッシング;マヨネーズ;ケチャップ;カレー;スープ;インスタントブイヨン;粉末醤油;粉末酢;ビスケット類;米菓;クラッカー;パン;チョコレート;キャラメル;飴;チューインガム;ゼリー;プディング;保存果実及び野菜;新鮮クリーム;ジャム;マーマレード;フラワーペースト;粉乳;アイスクリーム;シャーベット;瓶詰め野菜及び果実;茹で豆缶詰;甘いソースで煮た肉及び食品;農産植物性食品;海産物;ハム;ソーセージ;魚肉ハム;魚肉ソーセージ;魚すり身;揚げ魚製品;乾燥海産物;冷凍食品;保存海藻;保存食肉;タバコ;医薬品;などを含む。原則としてそれは、無条件で適用できる。
【0165】
食糧、飲料、医薬品、化粧品、卓上製品及びチューインガムなどの製品の製造の際に、混合、混練、溶解、酢洗い、浸透、浸出、散布、微粒化、注入及び他の方法などの従来法は使用できる。
【0166】
さらに、本発明において得られる高度に精製された目標ステビオールグリコシド(単数又は複数)、特にreb D及び/又はreb Xは、乾燥又は液体形態で使用できる。それは、食品の加熱処理の前又は後に添加できる。高度に精製された目標ステビオールグリコシド(単数又は複数)、特にreb D及び/又はreb Xの量は、使用目的に依存する。上に考察したとおりそれは、単独で又は他の化合物との組合せで添加できる。
【0167】
次の例は、高度に精製された目標ステビオールグリコシド(単数又は複数)、特にreb D及び/又はreb Xの調製のための本発明の好ましい実施形態を例示する。本発明が、単に例示的である例に示される材料、割合、条件及び手順に限定されないことは理解される。
【実施例】
【0168】
(例1)
UGT76G1のin−vivo産生
NcoI及びNdeI制限部位をGenbank受託番号AAR06912.1に記載のとおり元の核酸配列に付加した。コドン最適化後に、次の核酸配列(配列番号1)を得た:
配列表フリーテキスト
【化2】
【0169】
遺伝子の合成並びにNdeI及びXhoIクローニング部位を使用するpET30A+ベクターへのサブクローニング後に、UGT76G1_pET30a+プラスミドを大腸菌B121(DE3)及び大腸菌EC100に電気穿孔法によって導入した。得られた細胞をカナマイシンの存在下でペトリ皿で増殖させ、好適なコロニーを選択し、液体LB培地(三角フラスコ)中で増殖させた。グリセロールを懸濁液に凍結保護物質として加え、400μL一定分量を−20℃及び−80℃で保存した。
【0170】
pET30A+_UGT76G1プラスミドを含有する大腸菌BL21(DE3)の保存一定分量を融解し、LBGKP培地(20g/L Luria Broth Lennox;50mM PIPES緩衝液pH7.00;50mMリン酸緩衝液pH7.00;2.5g/Lグルコース及び50mg/Lカナマイシン)30mLに加えた。この培養物を135rpm、30℃で8時間振盪した。
【0171】
産生培地は、60g/L overnight express instant TB培地(Novagen)、10g/Lグリセロール及び50mg/Lカナマイシンを含有していた。OD及びpHを測定するために試料を採取する間、培地を20℃で撹拌した。培養物は、顕著な増殖を示し、良好なODが得られた。40時間後、細胞を遠心分離によって収得及び凍結し、湿重量12.7gの細胞を得た。
【0172】
溶解をBugbuster Master mix(Novagen)の添加によって実施し、可溶化物を遠心分離によって回収し、凍結保存した。融解した可溶化物を用いて活性試験を実施した。
【0173】
(例2)
UGT76G1のin−vitro 産生
PromegaからのS30 T7 High Yield Protein発現系キットを使用した。大腸菌EC100からのUGT76G1_pET30a+プラスミド4μgをS30 premix plus 80μLと混合し、S30 T7抽出物72μLを加えた。総容積200μLにするためにヌクレアーゼ不含有水を加え、得られた溶液を2時間、30℃でインキュベートした。180μLを触媒試験反応に使用した。
【0174】
(例3)
UGT91D2のin−vitro産生
NcoI及びNdeI制限部位をGenbank受託番号ACE87855.1に記載のとおり元の核酸配列に付加した。コドン最適化後に、次の核酸配列(配列番号2)を得た:
配列表フリーテキスト
【化3】
【0175】
遺伝子の合成並びにNcoI及びXhoIクローニング部位を使用するpET30A+ベクターへのサブクローニング後に、UGT91D2_pET30a+プラスミドを大腸菌EC100に電気穿孔法によって導入した。得られた細胞をカナマイシンの存在下で増殖させ、好適なコロニーを選択し、液体LB培地(三角フラスコ)中で増殖させた。グリセロールを懸濁液に凍結保護物質として加え、400μL一定分量を−20℃及び−80℃で保存した。
【0176】
PromegaからのS30 T7 High Yield Protein発現系キットをタンパク質のin−vitro合成のために使用した。
【0177】
UGT91D2_pET30a+プラスミド4μgをS30 premix plus 80μLと混合し、S30 T7抽出物72μLを加えた。総容積200μLにするためにヌクレアーゼ不含有水を加え、得られた溶液を2時間、30℃でインキュベートした。5μLをSDS−page分析に使用し、残りの45μLを触媒試験反応に使用した。
【0178】
(例4)
in−vivo産生UGT76G1を用いた触媒反応
反応の総容量は5.0mLであり、次の組成を有していた:50mMリン酸ナトリウム緩衝液pH7.2、3mM MgCl
2、2.5mM UDP−グルコース、0.5mMステビオシド及びUGT76G1融解可溶化物500μL。反応は30℃、オービタリー振盪機、135rpmで実行した。各試料について、反応混合物460μLを2N H
2SO
4 40μL及びメタノール/水(6/4)420μLでクエンチした。試料を直ちに遠心分離し、HPLC(CAD)による分析まで10℃で保存した。HPLCは、ステビオシドのレバウジオシドAへのほぼ完全な変換を示した。
【化4】
【0179】
(例5)
in−vitro産生UGT91D2を用いた触媒反応
反応の総容量は0.5mLであり、次の組成を有していた:50mMリン酸ナトリウム緩衝液pH7.2、3mM MgCl
2、3.8mM UDP−グルコース、0.1mMレバウジオシドA及びin−vitro産生UGT91D2 180μL。反応は30℃、オービタリー振盪機、135rpmで実行した。各試料について、反応混合物450μLを2N H
2SO
4 45μL及び60%MeOH 405μLでクエンチした。遠心分離後、上清をHPLC(CAD)で分析した。HPLCは、120時間後にレバウジオシドAのレバウジオシドDへの4.7%変換を示した。
【0180】
(例6)
in−vitro産生UGT76G1を用いた触媒反応
反応の総容量は2mLであり、次の組成を有していた:50mMリン酸ナトリウム緩衝液pH7.2、3mM MgCl
2、3.8mM UDP−グルコース、0.5mMレバウジオシドD及びin−vitro産生UGT76G1 180μL。反応は30℃、オービタリー振盪機、135rpmで実行した。各試料について、反応混合物400μLを2N H
2SO
4 40μL及び60%MeOH 360μLでクエンチした。遠心分離後、上清をHPLC(CAD)で分析した。HPLCは、120時間後にレバウジオシドDのレバウジオシドXへの80%変換を示した。
【化5】
例7〜12について、次の略号を使用した:
LBGKP培地:20g/L Luria Broth Lennox;50mM PIPES緩衝液pH7.00;50mMリン酸緩衝液pH7.00;2.5g/Lグルコース及び50mg/Lカナマイシン又はアンピシリン
LB培地:(20g/L Luria Broth Lennox)
【0181】
(例7)
pET30a+プラスミド及びBL21(DE3)発現株によって調製されたUGT76G1の調製及び活性
pET30a+_UGT76G1プラスミドをBL21(DE3)発現株(Lucigen E. Cloni(登録商標)EXPRESS Electrocompetent Cells)に形質転換した。得られた細胞をカナマイシンの存在下でペトリ皿中のLB Agar培地で増殖させた。好適なコロニーを選択し、カナマイシンを含有する液体LBGKP培地中で増殖させた。グリセロールを加え、400μL一定分量を−20℃及び−80℃で保存した。
【0182】
保存一定分量を融解し、LBGKP培地30mLに加えた。この培養物を30℃で8時間振盪し、続いて「Overnight express instant TB medium」(Novagen、参照番号71491−5)60g/L、10g/Lグリセロール及び50mg/Lカナマイシンを含有する産生培地400mLに接種するために使用した。OD(600nm)及びpHを測定するために試料を採取する間、培地を20℃で撹拌した。40時間後、細胞を遠心分離によって回収し、凍結した。得られた細胞湿重量は10.58gであった。
【0183】
得られた沈殿の3.24gを「Bugbuster Master mix」(Novagen、参照番号71456)8.1mL及び水3.5mLの添加によって溶解した。可溶化物を遠心分離によって回収し、凍結保存した。
【0184】
(例8)
pET30a+プラスミド及びTuner(DE3)発現株によって調製されたUGT76G1の調製及び活性
pET30a+_UGT76G1プラスミドをTuner(DE3)発現株(Novagen Tuner(商標)(DE3)コンピテント細胞)に熱ショック処理によって形質転換した。得られた細胞をカナマイシンの存在下でペトリ皿中のLB Agar培地で増殖させた。好適なコロニーを選択し、カナマイシンを含有する)液体LBGKP培地中で増殖させた。グリセロールを加え、400μL一定分量を−20℃及び−80℃で保存した。
【0185】
保存一定分量を融解し、50mg/Lカナマイシンを含有するLB培地100mLに加えた。この培養物を30℃で15時間振盪した。この培養物4.4mLをLBを含有する産生培地200mLに接種するために使用した。この培地をOD(600nm)0.9が得られるまで37℃で撹拌し、その後100mM IPTG溶液400μLを加え、培地を30℃で4時間撹拌した。細胞を遠心分離によって回収し、凍結した。得られた細胞湿重量は1.38gであった。
【0186】
得られた沈殿を「Bugbuster Master mix」(Novagen、参照番号71456)4.9mL及び水2.1mLの添加によって溶解した。可溶化物を遠心分離によって回収し、凍結保存した。
【0187】
(例9)
pMALプラスミド及びBL21発現株によって調製されたUGT76G1の調製及び活性
Nde1及びSal1クローニング部位を使用する合成UGT76G1遺伝子のpMALプラスミドへのサブクローニング後に、pMAL_UGT76G1プラスミドをBL21発現株(New England Biolabs BL21コンピテント大腸菌)に熱ショック処理によって形質転換した。得られた細胞をアンピシリンの存在下でペトリ皿中のLB Agar培地で増殖させた。好適なコロニーを選択し、アンピシリンを含有する)液体LBGKP培地中で増殖させた。グリセロールを加え、400μL一定分量を−20℃及び−80℃で保存した。
【0188】
保存一定分量を融解し、LBGKP培地30mLに加えた。この培養物を30℃で8時間振盪し、次いで「Overnight express instant TB medium」(Novagen、参照番号71491−5)60g/L、10g/Lグリセロール及び50mg/Lアンピシリンを含有する産生培地400mLに接種するために使用した。OD及びpHを測定するために試料を採取する間、培地を20℃で撹拌した。40時間後、細胞を遠心分離によって回収し、凍結した。得られた細胞湿重量は5.86gであった。
【0189】
得られた沈殿の2.74gを「Bugbuster Master Mix」(Novagen、参照番号71456)9.6mL及び水4.1mLの添加によって溶解した。可溶化物を遠心分離によって回収し、凍結保存した。
【0190】
(例10)
pMALプラスミド及びArcticExpress発現株によって調製されたUGT76G1の調製及び活性
pMAL_UGT76G1プラスミドをArcticExpress発現株(Agilent ArcticExpressコンピテント細胞)に熱ショック処理によって形質転換した。得られた細胞をアンピシリン及びジェネテシンの存在下でペトリ皿中のLB Agar培地で増殖させた。好適なコロニーを選択し、アンピシリン及びジェネテシンを含有する液体LBGKP培地中で増殖させた。グリセロールを加え、400μL一定分量を−20℃及び−80℃で保存した。
【0191】
保存一定分量を融解し、LBGKP培地30mL(アンピシリン及びジェネテシンを含有する)に加えた。この培養物を30℃で8時間振盪し、次いで「Overnight express instant TB medium」(Novagen、参照番号71491−5)60g/L、10g/Lグリセロール及び50mg/Lアンピシリンを含有する産生培地400mLに接種するために使用した。OD(600nm)及びpHを測定するために試料を採取する間、培地を12℃で撹拌した。68時間後、細胞を遠心分離によって回収し、凍結した。得られた細胞湿重量は8.96gであった。
【0192】
得られた沈殿の2.47gを「Bugbuster Master Mix」(Novagen、参照番号71456)8.73mL及び水3.79mLの添加によって溶解した。可溶化物を遠心分離によって回収し、凍結保存した。
【0193】
(例11)
pCOLDIIIプラスミド及びArcticExpress発現株によって調製されたUGT76G1の調製及び活性
Nde1及びXho1クローニング部位を使用する合成UGT76G1遺伝子のpCOLDIIIプラスミドへのサブクローニング後に、pCOLDIII_UGT76G1プラスミドをArcticExpress発現株(Agilent ArcticExpressコンピテント細胞)に熱ショック処理によって形質転換した。得られた細胞をアンピシリン及びジェネテシンの存在下でペトリ皿中のLB Agar培地で増殖させた。好適なコロニーを選択し、アンピシリン及びジェネテシンを含有する液体LBGKP培地中で増殖させた。グリセロールを加え、400μL一定分量を−20℃及び−80℃で保存した。
【0194】
保存一定分量を融解し、LBGKP培地30mL(アンピシリン及びジェネテシンを含有する)に加えた。この培養物を30℃で8時間振盪し、次いで「Overnight express instant TB medium」(Novagen、参照番号71491−5)60g/L、10g/Lのグリセロール及び50mg/Lのカナマイシンを含有する産生培地400mLに接種するために使用した。OD(600nm)及びpHを測定するために試料を採取する間、培地を12℃で撹拌した。63時間後、細胞を遠心分離によって回収し、凍結した。得られた細胞湿重量は6.54gであった。
【0195】
得られた沈殿の2.81gを「Bugbuster Master Mix」(Novagen、参照番号71456)9.8mL及び水4.2mLの添加によって溶解した。可溶化物を遠心分離によって回収し、凍結保存した。
【0196】
(例12)
pCOLDIIIプラスミド及びOrigami2(DE3)発現株によって調製されたUGT76G1の調製及び活性
pCOLDIII_UGT76G1プラスミドをOrigami2(DE3)発現株(Novagen Origami(商標)2(DE3)コンピテント細胞)に熱ショック処理によって形質転換した。得られた細胞をアンピシリンの存在下でペトリ皿中のLB Agar培地で増殖させた。好適なコロニーを選択し、アンピシリンを含有する液体LBGKP培地中で増殖させた。グリセロールを加え、400μL一定分量を−20℃及び−80℃で保存した。
【0197】
保存一定分量を融解し、LBGKP培地(アンピシリンを含有する)30mLに加えた。この培養物を30℃で8時間振盪し、次いで「Overnight express instant TB medium」(Novagen、参照番号71491−5)60g/L、10g/Lグリセロール及び50mg/Lカナマイシンを含有する産生培地400mLに接種するために使用した。OD(600nm)及びpHを測定するために試料を採取する間、培地を12℃で撹拌した。68時間後、細胞を遠心分離によって回収し、凍結した。得られた細胞湿重量は2.53gであった。
【0198】
得られた沈殿の1.71gを「Bugbuster Master mix」(Novagen、参照番号71456)6.0mL及び水1.9mLの添加によって溶解した。可溶化物を遠心分離によって回収し、凍結保存した。
【0199】
(例13)
活性の決定
活性試験を、50mMリン酸ナトリウム緩衝液pH7.2中の0.5mM基質、2.5mM UDP−グルコース及び3mM MgCl
2を使用して、ステビオシドからレバウジオシドAへ及びレバウジオシドDからレバウジオシドXへの転換について融解した可溶化物500μLで5mLスケールで実施した。試料を採取し、HPLCによって分析した。UGT76G1のさまざまな調製物についての結果を次の表に要約する。
【表2】
【0200】
(例14)
レバウジオシドDからレバウジオシドXへの転換についての50mLスケール反応
例12の可溶化物5mLをレバウジオシドDからレバウジオシドXへの転換のために50mLスケールで使用した。反応媒体は、50mMリン酸ナトリウム緩衝液pH7.2、3mM MgCl
2、2.5mM UDP−グルコース及び0.5mMレバウジオシドDからなった。反応物を30℃、90時間振盪した後、エタノール50mLを加え、生じた混合物を−20℃で1h撹拌させた。5000g、10分間の遠心分離後、上清を限外ろ過(Vivaflow MWCO 30000)を介して精製した。透過液78mLを得て、残余分9mLをエタノール9mLで希釈し、限外ろ過(Vivaflow MWCO 30000)に再度供した。別にろ液14mLを得て、最初の透過液と合わせた。合わせた透過液を減圧下、30℃で32mLの清澄溶液が得られるまで濃縮した。
【0201】
生成混合物のHPLCトレースを
図5に示す。HPLCはバイナリーポンプ、オートサンプラー及び恒温装置カラムコンパートメントを備えたAgilent1200シリーズで実行した。方法は、70%水(0.1%ギ酸):30%アセトニトリルからなる移動相での均一濃度であった。流速は0.1μL/分であった。使用したカラムはPhenomenex Prodigy 5μ ODS(3)100A;250x2mmであった。カラム温度は40℃に維持した。注入容量は20〜40μlであった。
【0202】
(例15)
pMALプラスミド及びBL21発現株を使用するUGT91D2の調製
Nde1及びSal1クローニング部位を使用して合成UGT91D2遺伝子をpMALプラスミド中にサブクローニングした後に、pMAL_UGT91D2プラスミドをBL21発現株(New England Biolabs BL21コンピテント大腸菌)中に熱ショック処理によって形質転換した。得られた細胞をアンピシリンの存在下でペトリ皿中のLB Agar培地で増殖させた。好適なコロニーを選択し、アンピシリンを含有する液体LBGKP培地中で増殖させた)。グリセロールを加え、400μL一定分量を−20℃及び−80℃で保存した。
【0203】
保存一定分量を融解し、LBGKP培地30mLに加えた。この培養物を30℃で8時間振盪し、次いで「Overnight express instant TB medium」(Novagen、参照番号71491−5)60g/L、10g/Lのグリセロール及び50mg/Lのアンピシリンを含有する産生培地400mLに接種するために使用した。OD及びpHを測定するために試料を採取する間、培地を20℃で撹拌した。40時間後、細胞を遠心分離によって回収し、凍結した。得られた細胞湿重量は12.32gであった。
【0204】
得られた沈殿の2.18gを「Bugbuster Master Mix」(Novagen、参照番号71456)7.7mL及び水3.2mLの添加によって溶解した。可溶化物を遠心分離によって回収し、活性試験に直ちに使用した。
【0205】
(例16)
pMALプラスミド及びArcticExpress発現株を使用するUGT91D2の調製
pMAL_UGT91D2プラスミドをArcticExpress発現株(Agilent ArcticExpressコンピテント細胞)に熱ショック処理によって形質転換した。得られた細胞をアンピシリン及びジェネテシンの存在下でペトリ皿中のLB Agar培地で増殖させた。好適なコロニーを選択し、アンピシリン及びジェネテシンを含有する液体LBGKP培地中で増殖させた。グリセロールを加え、400μL一定分量を−20℃及び−80℃で保存した。
【0206】
保存一定分量を融解し、LBGKP培地(アンピシリン及びジェネテシンを含有する)30mLに加えた。この培養物を30℃で8時間振盪し、次いで「Overnight express instant TB medium」(Novagen、参照番号71491−5)60g/L、10g/Lグリセロール及び50mg/Lアンピシリンを含有する産生培地400mLに接種するために使用した。OD(600nm)及びpHを測定するために試料を採取する間、培地を20℃、16時間、次にさらに50時間、12℃で撹拌した。細胞を遠心分離によって回収し、凍結した。得られた細胞湿重量は15.77gであった。
【0207】
得られた沈殿の2.57gを「Bugbuster Master Mix」(Novagen、参照番号71456)9.0mL及び水3.8mLの添加によって溶解した。可溶化物を遠心分離によって回収し、活性試験に直ちに使用した。
【0208】
(例17)
pET30a+プラスミド及びTuner(DE3)発現株を使用するUGT91D2の調製
pET30a+_UGT91D2プラスミドをTuner(DE3)発現株(Novagen Tuner(商標)(DE3)コンピテント細胞)に熱ショック処理によって形質転換した。得られた細胞をカナマイシンの存在下でペトリ皿中のLB Agar培地で増殖させた。好適なコロニーを選択し(カナマイシンを含有する)液体LBGKP培地中で増殖させた。グリセロールを加え、400μL一定分量を−20℃及び−80℃で保存した。
【0209】
保存一定分量を融解し、50mg/Lカナマイシンを含有するLB培地100mLに加えた。この培養物を30℃で15時間振盪した。この培養物6.2mLをLBを含有する産生培地500mLに接種するために使用した。この培地をOD(600nm)0.9が得られるまで37℃で撹拌し、その後100mM IPTG溶液500μLを加え(培地中のIPTG濃度は100μM)、培地を30℃で4時間撹拌し、細胞を遠心分離によって回収し、凍結した。得られた細胞湿重量は4.02gであった。
【0210】
得られた沈殿の1.92gを「Bugbuster Master mix」(Novagen、参照番号71456)6.8mL及び水2.8mLの添加によって溶解した。可溶化物を遠心分離によって回収し、直ちに活性の試験をした。
【0211】
(例18)
pET30a+プラスミド及びArcticExpress発現株を使用するUGT91D2の調製
pET30a+_UGT91D2プラスミドをArcticExpress(DE3)発現株(Agilent ArcticExpressコンピテント細胞)に熱ショック処理によって形質転換した。得られた細胞をカナマイシン及びジェネテシンの存在下でペトリ皿中のLB Agar培地で増殖させた。好適なコロニーを選択し、カナマイシン及びジェネテシンを含有する液体LBGKP培地中で増殖させた。グリセロールを加え、400μL一定分量を−20℃及び−80℃で保存した。
【0212】
保存一定分量を融解し、LBGKP培地(カナマイシン及びジェネテシンを含有する)30mLに加えた。この培養物を30℃、8時間振盪し、次いで「Overnight express instant TB medium」(Novagen、参照番号71491−5)60g/L、10g/Lグリセロール及び50mg/Lアンピシリンを含有する産生培地400mLに接種するために使用した。OD(600nm)及びpHを測定するために試料を採取する間、培地を20℃で16時間、次にさらに50時間12℃で撹拌した。60時間後、細胞を遠心分離によって回収し、凍結した。得られた細胞湿重量は16.07gであった。
【0213】
得られた沈殿の3.24gを「Bugbuster Master mix」(Novagen、参照番号71456)11.4mL及び水4.8mLの添加によって溶解した。可溶化物を遠心分離によって回収し、活性試験に直ちに使用した。
【0214】
(例19)
UGT91D2のin−vivo調製物の活性の決定
活性試験を、50mMリン酸ナトリウム緩衝液pH7.2中の0.5mM基質、2.5mM UDP−グルコース及び3mM MgCl
2を使用して、ルブソシドからステビオシドへの転換について可溶化物1000μLで5mLスケールで実施した。試料を採取し、HPLCによって分析した。UGT91D2のさまざまな調製物についての結果を次の表に要約する。
【表3】
【0215】
(例20)
レバウジオシドXの単離
例14の産生混合物の量は、分取HPLC法を介して分離するためには十分でなかった。したがって、一連の注入で分析HPLCを混合物の構成成分を分離するために使用した。分離は、上の例14に記載の方法に従って行い、
図5のHPLCトレースにおける2つの主要なピークに対応する2つの画分をもたらした:画分A(保持時間24.165分)及び画分B(保持時間31.325分)。
【0216】
画分Aの保持時間は、reb Dと一致し、生体内変換反応由来の未反応出発材料を示した。
【0217】
精製された画分Bの保持時間(
図6)は、reb Xと一致し、reb Dからの順調な生体内変換を示した。画分Bで回収された材料のreb Xとの同一性は精製された画分Bとreb X標準品(Pure Circleから入手可能、reb X標準品のHPLCトレースは
図7に示される)との同時注射によって確認した。画分B及びreb X標準品の両方は、同じ保持時間で溶出されたことが見出され(
図8)、画分Bがreb Xであることを示した。
【0218】
画分Bとreb Xとの同一性は、NMR及びHRMSによっても別に確認した。試料採取のために画分Bは、ロトベーパー(rotovapor)で濃縮し、凍結乾燥し、40時間、40℃で乾燥した。
【0219】
NMR試料を重水素化ピリジン(C
5D
5N)に溶解し、スペクトルを標準的パルス列を使用してVarian Unity Plus 600MHz装置で取得した。画分BのNMRスペクトルをreb XのNMRスペクトルと比較した。重ね合わせた2つのスペクトル(
図9)は、画分Bとreb Xのピークとの一致を示した。reb XについてのNMR帰属の表を下に示す:
【表4-1】
【表4-2】
【表4-3】
【0220】
HRMS(
図10)は、陽イオンモードで操作されるエレクトロスプレーイオン化源を備えたWaters Premier Quadropole Time−of−Flight(Q−TOF)質量分析計で作成した。試料をメタノールに溶解し、2:2:1のメタノール:アセトニトリル:水で溶出し、内蔵シリンジポンプを使用する注入で導入した。reb Xの存在は、m/z 1313.5265の[M+Na]
+付加体によって確認したが、これは分子式C
56H
90O
33に対応する:
【化6】