【解決手段】ポリオレフィンポリオールに由来する構成単位(A)及びダイマーポリオールに由来する構成単位(B)の少なくともいずれかを含むポリウレタン系樹脂と、化学修飾されている酸変性ポリオレフィン樹脂と、を含有し、前記化学修飾されている酸変性ポリオレフィン樹脂の含有量が、前記ポリウレタン系樹脂100質量部に対して、10〜1000質量部の範囲である樹脂組成物を提供する。
前記ポリウレタン系樹脂における前記構成単位(A)及び前記構成単位(B)の合計の含有割合が、前記ポリウレタン系樹脂の全質量を基準として、50〜98質量%である請求項1に記載の樹脂組成物。
前記化学修飾されている酸変性ポリオレフィン樹脂は、アミン化合物、カルボジイミド化合物、及びエポキシ化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物に由来する修飾基を含む請求項1〜5のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
イソシアネート架橋剤、ブロックイソシアネート架橋剤、カルボジイミド架橋剤、オキサゾリン架橋剤、エポキシ架橋剤、アジリジン架橋剤、シランカップリング剤、及びチタンカップリング剤からなる群から選ばれる少なくとも1種の架橋剤をさらに含有する請求項1〜6のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではない。
【0013】
<樹脂組成物>
本発明の一実施形態の樹脂組成物は、ポリオレフィンポリオールに由来する構成単位(A)及びダイマーポリオールに由来する構成単位(B)の少なくともいずれかを含むポリウレタン系樹脂と、化学修飾されている酸変性ポリオレフィン樹脂とを含有する。そして、化学修飾されている酸変性ポリオレフィン樹脂の含有量は、ポリウレタン系樹脂100質量部に対して、10〜1000質量部の範囲である。
【0014】
[ポリウレタン系樹脂]
ポリウレタン系樹脂は、ポリオレフィンポリオールに由来する構成単位(A)及びダイマーポリオールに由来する構成単位(B)の少なくともいずれかを含む。ポリオレフィンポリオール及びダイマーポリオールは、極性が低い構造であり、構成単位(A)及び/又は構成単位(B)を含むポリウレタン系樹脂は、化学修飾された酸変性ポリオレフィン樹脂との相溶性が良好であると考えられる。
【0015】
ポリオレフィンポリオールは、複数のヒドロキシ基を有する、ポリオレフィン骨格の重合体である。このようなポリオレフィンポリオールの具体例としては、ポリエチレンブチレンジオール(ポリエチレンブチレンポリオール)、ポリブタジエンジオール(ポリブタジエンポリオール)、及び水素化ポリブタジエンジオール(水素化ポリブタジエンポリオール)等を挙げることができる。ポリオレフィンポリオールは、1種単独で用いられてもよく、2種以上を組み合わせて用いられてもよい。ポリエチレンブチレンジオールの市販品としては、商品名「ポリテール」(三菱化学社製)等がある。また、ポリブタジエンジオールの市販品としては、商品名「KRASOL」(Cray Valley社製)等がある。さらに、水素化ポリブタジエンジオールの市販品としては、商品名「NISSO−PB」(日本曹達社製)等がある。
【0016】
ダイマーポリオールは、ダイマー酸に由来する又はダイマー酸とトリマー酸を含む混合物に由来するポリオールである。ダイマー酸は、オレイン酸やリノール酸等の炭素数18の不飽和脂肪酸を二量化して得られる炭素数36のジカルボン酸であり、植物由来の脂肪酸である。ダイマー酸の代表的な構造は下記式(1)で表される。トリマー酸は上記炭素数18の不飽和脂肪酸を三量化して得られる炭素数54のトリカルボン酸であり、ダイマー酸製造の際にも副生する。このため、市販のダイマー酸は、通常、ダイマー酸とトリマー酸を含む混合物である。
【0018】
ダイマー酸に由来するポリオールであるダイマージオールは、上記ダイマー酸のカルボキシ基を水酸基に還元して得られる炭素数36のポリオールであり、その分子中に不飽和結合を有しても有しなくてもよい。トリマートリオールも、ダイマージオールと同様にトリマー酸を還元して得られる炭素数54のポリオールであり、その分子中に不飽和結合を有しても有しなくてもよい。市販のダイマージオールは、通常、ダイマージオールとトリマートリオールを含む混合物である。
【0019】
ポリオレフィンポリオールに由来する構成単位(A)を含むポリウレタン系樹脂は、ポリオレフィンポリオールを重合成分として用いて得ることができ、構成単位(A)をその主骨格中に有することができる。すなわち、このポリウレタン系樹脂は、その分子構造中に、ポリオレフィンポリオールに由来する柔軟性の高い炭化水素部分をソフトセグメントとして含むことができる。このため、このポリウレタン系樹脂を含有する樹脂組成物は、一般に接着困難とされるポリオレフィン系樹脂製や金属製等のフィルムやシート等の基材に対して良好な接着性及び密着性を示すことができる。
【0020】
ダイマーポリオールに由来する構成単位(B)を含むポリウレタン系樹脂は、ダイマーポリオールを重合成分として用いて得ることができ、ダイマーポリオールに由来する構成単位(B)をその主骨格中に有することができる。すなわち、上記のポリウレタン系樹脂は、その分子構造中に、ダイマーポリオールに由来する柔軟性の高い炭化水素部分をソフトセグメントとして含むことができる。このため、このポリウレタン系樹脂を含有する樹脂組成物は、一般に接着困難とされるポリオレフィン系樹脂製や金属製等のフィルムやシート等の基材に対して良好な接着性及び密着性を示すことができる。
【0021】
本発明の一実施形態の樹脂組成物は、極性の高いウレタン結合を有するポリウレタン系樹脂を、後述する酸変性ポリオレフィン樹脂とともに主成分(好ましくはポリウレタン系樹脂及び酸変性ポリオレフィン樹脂の合計の含有量が樹脂組成物中に50〜100質量%)として含有する。そのため、その樹脂組成物は、ポリエステルや金属等の材質からなる種々の基材に対して良好な接着性及び密着性を示すことができるとともに、基材の変形や熱膨張等に追従しうる柔軟性を示す接着層やバインダー層を形成することができる。
【0022】
また、上記のポリウレタン系樹脂は、その主骨格中に分解性の結合を有しない構造とすることができる。そのポリウレタン系樹脂は、その主骨格中に分解性の結合を有しないため、このポリウレタン系樹脂を含有する樹脂組成物によって、耐溶剤性、耐加水分解性、耐薬品性、及び耐熱性に優れた接着層やバインダー層を形成することが可能となる。さらに、ポリウレタン系樹脂中の炭化水素部分は疎水性が高いため、このポリウレタン系樹脂を含有する樹脂組成物によって、水蒸気バリア性に優れた接着層やバインダー層を形成することができる。
【0023】
ポリウレタン系樹脂は、例えば、ポリオレフィンポリオール及びダイマーポリオールの少なくともいずれか一方と、ポリイソシアネートとを重合反応させることによって製造することができる。また、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて、ポリオレフィンポリオール及びダイマーポリオール以外のその他のポリオールをさらに反応させてもよい。その他のポリオールの具体例としては、ポリマー主鎖にカーボネート結合を有する両末端ポリオール(ポリカーボネートポリオール)、芳香族ポリエステルポリオール、脂肪族ポリエステルポリオール、脂環族ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、アクリルポリオール、及びエポキシポリオール等を挙げることができる。
【0024】
さらに、ポリウレタン系樹脂の粘度や強度を調整するため、必要に応じて、炭素数2〜10の短鎖ジオールをさらに反応させてもよい。短鎖ジオールの具体例としては、エチレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、及び1,6−ヘキサンジオール等を挙げることができる。なお、ポリウレタン系樹脂中の短鎖ジオールに由来する構成単位の導入量は限定されないが、その導入量が多すぎると、ポリオレフィンポリオール及び/又はダイマーポリオールを用いた効果が小さくなるため、適宜調整することが好ましい。
【0025】
また、樹脂組成物の各種基材に対する密着性を向上させるとともに樹脂組成物に架橋点を付与するため、必要に応じて、カルボキシ基を有する短鎖ジオールをさらに反応させてもよい。カルボキシ基を有する短鎖ジオールの具体例としては、ジメチロールプロパン酸及びジメチロールブタン酸等を挙げることができる。なお、ポリウレタン系樹脂中のカルボキシ基を有する短鎖ジオールに由来する構成単位の導入量は限定されないが、その導入量が多すぎると、ポリオレフィンポリオール及び/又はダイマーポリオールを用いた効果が小さくなるため、適宜調整することが好ましい。
【0026】
さらに、樹脂組成物から形成される接着層及びバインダー層等の物性向上を目的として、必要に応じて、ポリアミンをさらに反応させてもよい。すなわち、ポリウレタン系樹脂は、ポリアミンに由来する構成単位(C)をさらに含むことが好ましく、その構成単位(C)を含むことで分子構造中にウレア結合を有するポリウレタンウレア樹脂であることが好ましい。なお、本明細書において、「ポリウレタン系樹脂」の概念には、「ポリウレタン樹脂」だけでなく「ポリウレタンウレア樹脂」も含まれる。
【0027】
ポリアミンの具体例としては、エチレンジアミン、N−ヒドロキシエチルエチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、及びジエチレントリアミン等の脂肪族ジアミン;4,4−ジアミノジシクロヘキシルメタン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、イソホロンジアミン、及びダイマージアミン等の脂環式ジアミン;ヒドラジン、カルボジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド、及びフタル酸ジヒドラジド等のヒドラジン類;ジアリルアミン化合物等の不飽和基を含むポリアミン類;並びにN,N−ジメチルエタノールアミン、N,N−ジエチルエタノールアミン、N,N−ジブチルエタノールアミン、N−(β−アミノエチル)エタノールアミン、N−メチルエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、及びN−(β−アミノエチル)イソプロパノールアミン等のアミノアルコール等を挙げることができる。これらのポリアミンの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0028】
ポリウレタン系樹脂を得るための重合反応で用いるポリイソシアネートの種類は特に限定されず、公知のポリイソシアネートを用いることができる。ポリイソシアネートの具体例としては、4,4’−メチレンビス(フェニレンイソシアネート)(MDI)、トリレンジイソシアネート(TDI)、及びキシリレンジイソシアネート(XDI)等の芳香族ポリイソシアネート類;ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、トリメチレンジイソシアネート、1,4−テトラメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、及びリジンジイソシアネート等の脂肪族ポリイソシアネート類;イソホロンジイソシアネート(IPDI)、及び4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)(H12MDI)等の脂環式ポリイソシアネート類等を挙げることができる。これらのなかでも、耐久性を向上させる観点からは芳香族ポリイソシアネート類が好ましい。
【0029】
ポリウレタン系樹脂を得るための重合反応(ウレタン化反応)の条件は特に限定されず、公知のウレタン化反応の条件を適用させることができる。例えば、活性水素を含まない溶剤の存在下又は非存在下、ポリオレフィンポリオール及び/又はダイマーポリオール、ポリイソシアネート、並びに必要に応じて用いられる上述のポリアミン等を反応させることで、ポリウレタン系樹脂を得ることができる。また、ワンショット法と多段法のいずれの方式で反応させてもよい。
【0030】
ポリウレタン系樹脂におけるポリオレフィンポリオールに由来する構成単位(A)とダイマーポリオールに由来する構成単位(B)の合計の含有割合は、ポリウレタン系樹脂の全質量を基準として、50〜98質量%であることが好ましい。構成単位(A)と構成単位(B)の合計の含有割合は、ポリウレタン系樹脂が構成単位(A)及び(B)のいずれか一方を含む場合、そのいずれか一方の含有割合を意味し、構成単位(A)及び(B)の両方を含む場合、その両方の合計の含有割合を意味する。ポリウレタン系樹脂は、化学修飾された酸変性ポリオレフィン樹脂との相溶性を高める観点から、構成単位(A)及び構成単位(B)の両方を含むことがより好ましい。なお、ポリウレタン系樹脂における構成単位(A)及び構成単位(B)の有無、並びにそれらの含有割合は、熱分解ガスクロマトグラフィーによる分析等の各種の構造解析手法を用いて確認することが可能である。
【0031】
ポリウレタン系樹脂におけるポリアミンに由来する構成単位(C)の含有割合は、ポリウレタン系樹脂の全質量を基準として、0〜10質量%であることが好ましく、より好ましくは0.5〜10質量%、さらに好ましくは耐久性と接着性とのバランスを考慮して0.5〜5質量%である。
【0032】
ポリウレタン系樹脂の分子量は、ポリオールのヒドロキシ基と、ポリイソシアネートのイソシアネート基との量比を変えることで適宜調整することができる。ポリウレタン系樹脂の重量平均分子量(Mw)は、2,000〜200,000であることが好ましく、より好ましくは4,000〜100,000である。Mwが2,000〜200,000の範囲にあるポリウレタン系樹脂は、接着剤やバインダーの材料として好適に用いることができる。ポリウレタン系樹脂のMwは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて測定したポリスチレン換算の値である。
【0033】
重合反応後に得られたポリマーの末端にイソシアネート基が残った場合、イソシアネート末端の停止反応を行ってもよい。具体的には、モノアルコールやモノアミン等の単官能性の化合物;イソシアネートに対して異なる反応性を有する二種の官能基を有する化合物を使用すればよい。このような化合物の具体例としては、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、tert−ブチルアルコール等のモノアルコール;モノエチルアミン、n−プロピルアミン、ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、ジ−n−ブチルアミン等のモノアミン;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、ジメチルピラゾール等のアルカノールアミン等を挙げることができる。なかでも、反応制御しやすい点でアルカノールアミンが好ましい。また、重合反応の温度は、通常20〜150℃、好ましくは50〜110℃である。
【0034】
ポリウレタン系樹脂は、無溶剤で合成しても、有機溶剤の存在下で合成してもよい。好適な有機溶剤としては、イソシアネート基に対して不活性であるか、又は反応成分よりも低活性なもの等を挙げることができる。このような有機溶剤の具体例としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒;トルエン、キシレン等の芳香族系炭化水素溶剤;n−ヘキサン等の脂肪族系炭化水素溶剤;ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル等のエステル系溶剤;エチレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、エチル−3−エトキシプロピオネート等のグリコールエーテルエステル系溶剤;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド系溶剤;N−メチル−2−ピロリドン等のラクタム系溶剤等を挙げることができる。これらの有機溶剤の1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0035】
ポリウレタン系樹脂の合成に際しては、必要に応じて触媒を用いることができる。触媒の具体例としては、ジブチルチンラウレート、ジオクチルチンラウレート、スタナスオクトエート、オクチル酸亜鉛、テトラn−ブチルチタネート等の金属と有機又は無機酸との塩;有機金属誘導体;トリエチルアミンなどの有機アミン;ジアザビシクロウンデセン系触媒等を挙げることができる。
【0036】
[酸変性ポリオレフィン樹脂]
本発明の一実施形態の樹脂組成物は、化学修飾されている酸変性ポリオレフィン樹脂を含有する。樹脂組成物に酸変性ポリオレフィン樹脂を含有させることで、ポリオレフィン系樹脂製基材との接着性をさらに向上させることができる。
【0037】
酸変性ポリオレフィン樹脂の具体例としては、無水マレイン酸変性ポリプロピレン等を挙げることができる。なお、酸変性ポリオレフィン樹脂は、溶剤に可溶であるものが好ましい。また、酸変性ポリオレフィン樹脂の融点は、耐熱性及びラミネーション加工の容易さ等を考慮すると、60〜160℃が好ましい。このような酸変性ポリオレフィン樹脂の市販品としては、商品名「アウローレン」(日本製紙社製)、及び商品名「ハードレン」(東洋紡社製)等を挙げることができる。
【0038】
本発明の一実施形態の樹脂組成物に使用される酸変性ポリオレフィン樹脂は、化学修飾によって誘導化されたもの(化学修飾されている酸変性ポリオレフィン樹脂)である。通常の(化学修飾されていない)酸変性ポリオレフィン樹脂はそれ自体の耐久性が乏しく、特に、その接着層を構成する熱可塑性樹脂に起因して、耐熱性が低い。耐久性等を向上させるために酸変性ポリオレフィン樹脂と他の樹脂とをブレンドする場合には、それらが相溶し難い場合が多く、それ故、ブレンドが困難である。これに対し、酸変性ポリオレフィン樹脂を化学修飾させることにより、前述のポリウレタン系樹脂との相溶性をさらに高めることができる。このように、化学修飾されている酸変性ポリオレフィン樹脂は、前述のポリウレタン系樹脂との親和性が良好となるため、相分離が生じ難くなり、その結果、良好な接着強度を得ることができると考えられる。
【0039】
また、化学修飾されている酸変性ポリオレフィン樹脂の使用によって、前述のポリウレタン系樹脂と、酸変性ポリオレフィン樹脂における化学修飾させた官能基とを架橋反応させることが可能となる。それによって、樹脂組成物から形成される接着層及びバインダー層等の耐溶剤性、耐薬品性、及び耐熱性等をさらに向上させることが可能であるとともに、基材に対する初期密着性及び高温下での接着力を向上させることが可能である。
【0040】
修飾方法は、特に限定されないが、酸変性ポリオレフィン樹脂と、化学修飾剤とを反応させる方法を挙げることができる。化学修飾剤としては、アミン化合物、カルボジイミド化合物、及びエポキシ化合物等を挙げることができ、これらの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。樹脂組成物を接着剤として用いる場合、化学修飾剤として2官能以上の化合物を用いると三次元化反応が起こり、接着剤として使用し難くなる場合があるため、1官能の化合物を用いることが好ましい。化学修飾されている酸変性ポリオレフィン樹脂は、アミン化合物、カルボジイミド化合物、及びエポキシ化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物に由来する修飾基を含むことが好ましい。
【0041】
アミン化合物の具体例としては、メチルアミン、ジメチルアミン、トリエチルアミン、モノメタノールアミン、モノエタノールアミン、N−メチルエタノールアミン、プロパノールアミン、ジエタノールアミン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、及びモルホリン等を挙げることができる。
【0042】
カルボジイミド化合物の具体例としては、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド、N,N’−ジイソプロピルカルボジイミド、及び1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩等を挙げることができる。
【0043】
エポキシ化合物の具体例としては、2−[(ドデカン−1−イルオキシ)メチル]オキシラン、2−[(テトラデシルオキシ)メチル]オキシラン、2−{[(1−メチルヘプチル)オキシ]メチル}オキシラン、ヘキサデシルオキシメチルオキシラン、オクタデシルオキシラン、グリシジルアクリレート、及びグリシジルメタクリレート等を挙げることができる。
【0044】
本発明の一実施形態の樹脂組成物中の化学修飾されている酸変性ポリオレフィン樹脂の含有量は、前述のポリウレタン系樹脂100質量部に対して、10〜1000質量部の範囲である。化学修飾されている酸変性ポリオレフィン樹脂の含有割合が、ポリウレタン系樹脂100質量部に対して1000質量部を超えると、樹脂組成物から形成される膜の柔軟性が低下し、さらに、耐久性が乏しくなる傾向にある。特に、その接着層等の膜を構成する熱可塑性樹脂に起因して、耐熱性が低下する傾向にある。一方、化学修飾されている酸変性ポリオレフィン樹脂の含有割合がポリウレタン系樹脂100質量部に対して10質量部未満であると、化学修飾されている酸変性ポリオレフィン樹脂による効果が得られ難い場合があり、基材と密着し難い場合がある。化学修飾されているポリオレフィン樹脂の含有量は、ポリウレタン系樹脂100質量部に対して、15質量部以上であることが好ましく、より好ましくは20質量部以上、さらに好ましくは50質量部以上である。
【0045】
[架橋剤]
本発明の一実施形態の樹脂組成物は、架橋剤をさらに含有することが好ましい。樹脂組成物に架橋剤を含有させることで、その樹脂組成物から形成される接着層及びバインダー層等の耐溶剤性、耐薬品性、及び耐熱性をさらに向上させることが可能であるとともに、初期密着性及び高温下での接着力を向上させることができる。架橋剤としては、公知のものを用いることができる。架橋剤として、例えば、イソシアネート架橋剤、ブロックイソシアネート架橋剤、カルボジイミド架橋剤、オキサゾリン架橋剤、エポキシ架橋剤、アジリジン架橋剤、シランカップリング剤、及びチタンカップリング剤を挙げることができる。これらの架橋剤の1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0046】
イソシアネート架橋剤の具体例としては、MDI、TDI、HDI、IPDI、並びにこれらのトリメチロールプロパンアダクト体、ビウレット変性体、及びヌレート変性体;ポリメリックMDI、及び末端イソシアネートプレポリマー等を挙げることができる。ブロックイソシアネート架橋剤の具体例としては、イソシアネート架橋剤のブロック剤(例えば、アルコール系化合物、フェノール系化合物、オキシム系化合物、ラクタム系化合物、ピラゾール系化合物、及び活性メチレン化合物等)によるブロック体を挙げることができる。カルボジイミド架橋剤の市販品としては、商品名「カルボジライト」(日清紡ケミカル社製)等を挙げることができる。オキサゾリン架橋剤の市販品としては、商品名「エポクロス」(日本触媒社製)等を挙げることができる。エポキシ架橋剤の市販品としては、商品名「jER」(三菱化学社製)等を挙げることができる。アジリジン架橋剤の市販品としては、商品名「ケミタイト」(日本触媒社製)等を挙げることができる。シランカップリング剤の具体例としては、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン等を挙げることができる。また、チタンカップリング剤の具体例としては、チタニウムジ2−エチルヘキソキシビス(2−エチル−3−ヒドロキシヘキソキシド)等を挙げることができる。
【0047】
ポリウレタン系樹脂100質量部に対する架橋剤の量は、0.1〜50質量部であることが好ましい。ポリウレタン系樹脂100質量部に対する架橋剤の量が50質量部を超えると、形成される接着層やバインダー層が脆くなる場合があるか、又は架橋剤の官能基が残留しやすくなる傾向にある。
【0048】
なお、本発明の一実施形態の樹脂組成物には、テルペン系樹脂、及びロジン系樹脂等の粘着付与剤を含有させることができる。
【0049】
本発明の一実施形態の樹脂組成物は、例えば、塗料、インク、接着剤、粘着剤、バインダー、包装材、及び各種分野の製品を成形するための成形材料等として用いることができる。これらのうち、樹脂組成物は、接着剤やバインダーとして用いられることがより好ましい。樹脂組成物が接着剤やバインダーとして用いられる場合、その被着対象となる基材の材質は特に限定されない。基材の材質としては、例えば、PP樹脂及びPE樹脂等のポリオレフィン系樹脂、ナイロン、ポリエステル、及び金属等を挙げることができる。基材の形態は特に限定されず、例えば、フィルム、シート、及び成形体等を挙げることができる。
【0050】
本発明の一実施形態の樹脂組成物は、非極性の基材に対しても良好な接着性を示すとともに耐久性に優れた接着層やバインダー層を形成することが可能であるため、ポリオレフィン系樹脂製の基材同士の接着に用いられることが好ましい。そのようなポリオレフィン系樹脂製の基材同士を接着する用途としては、例えば、自動車用内装部品を挙げることができる。より具体的な一例としては、PP樹脂等のポリオレフィン系樹脂製の基材(成形体)にポリオレフィン系樹脂製の表皮材が貼付された自動車内装部品を挙げることができる。
【0051】
樹脂組成物の形態は、固体状であっても、液体状であってもよい。固体状の場合、例えば、粒子状、粉末状、ペレット状、フィルム状、及びシート状等の形態をとることができる。液体状の場合、前述の溶剤によって、溶剤を含有する溶液状及び分散液状等の形態をとることができる。本発明の一実施形態の樹脂組成物は、接着剤やバインダーとしてより好適に用いられることから、液体状であることが好ましい。液体状の樹脂組成物は、前述の溶剤を含有することができ、前述のポリウレタン系樹脂及び化学修飾された酸変性ポリオレフィン樹脂を含有するポリマー溶液の形態をとることができる。
【0052】
以上詳述した本発明の一実施形態の樹脂組成物は、ポリオレフィンポリオールに由来する構成単位(A)及び/又はダイマーポリオールに由来する構成単位(B)を含むポリウレタン系樹脂と、化学修飾されている酸変性ポリオレフィン樹脂とを特定の割合で含有する。そのため、ポリオレフィン系樹脂等の非極性の基材に対しても、良好な接着性を示すとともに耐久性に優れた接着剤やバインダーとして有用である。また、その樹脂組成物によって、ポリオレフィン、金属、ナイロン、及びポリエステル等の種々の材質の基材に対し、良好な接着性を示すとともに、耐溶剤性、耐加水分解性、耐薬品性、及び耐熱性等に優れた接着層やバインダー層を形成することも可能となる。
【0053】
以上の通り、本発明の一実施形態の樹脂組成物は、以下の構成をとることも可能である。
[1]ポリオレフィンポリオールに由来する構成単位(A)及びダイマーポリオールに由来する構成単位(B)の少なくともいずれかを含むポリウレタン系樹脂と、化学修飾されている酸変性ポリオレフィン樹脂と、を含有し、前記化学修飾されている酸変性ポリオレフィン樹脂の含有量が、前記ポリウレタン系樹脂100質量部に対して、10〜1000質量部の範囲である樹脂組成物。
[2]前記ポリウレタン系樹脂における前記構成単位(A)及び前記構成単位(B)の合計の含有割合が、前記ポリウレタン系樹脂の全質量を基準として、50〜98質量%である前記[1]に記載の樹脂組成物。
[3]前記ポリウレタン系樹脂の重量平均分子量が2,000〜200,000である前記[1]又は[2]に記載の樹脂組成物。
[4]前記ポリウレタン系樹脂は、前記構成単位(A)及び前記構成単位(B)の両方を含む前記[1]〜[3]のいずれかに記載の樹脂組成物。
[5]前記ポリウレタン系樹脂は、ポリアミンに由来する構成単位(C)をさらに含む前記[1]〜[4]のいずれかに記載の樹脂組成物。
[6]前記化学修飾されている酸変性ポリオレフィン樹脂は、アミン化合物、カルボジイミド化合物、及びエポキシ化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物に由来する修飾基を含む前記[1]〜[5]のいずれかに記載の樹脂組成物。
[7]イソシアネート架橋剤、ブロックイソシアネート架橋剤、カルボジイミド架橋剤、オキサゾリン架橋剤、エポキシ架橋剤、アジリジン架橋剤、シランカップリング剤、及びチタンカップリング剤からなる群から選ばれる少なくとも1種の架橋剤をさらに含有する前記[1]〜[6]のいずれかに記載の樹脂組成物。
[8]接着剤又はバインダーとして用いられる前記[1]〜[7]のいずれかに記載の樹脂組成物。
【0054】
<接着構造体>
次に、本発明の一実施形態の接着構造体について説明する。その接着構造体は、ポリオレフィン系樹脂製の基材同士を接着する接着剤層を備え、その接着剤層が、前述の樹脂組成物を用いて形成されたものである。以下、
図1を参照しながら、本実施形態の接着構造体の構成を詳述する。
図1は、本実施形態の接着構造体の一例を模式的に示す断面図であり、その接着構造体の積層構成の一例を説明するための図である。
【0055】
図1に示すように、接着構造体10は、第1のポリオレフィン系樹脂製基材11と、第2のポリオレフィン系樹脂製基材12と、それらを接着する接着剤層13とを備える。接着剤層13は、前述の樹脂組成物を用いて形成されたものである。
【0056】
第1のポリオレフィン系樹脂製基材11としては、例えば、PE樹脂、PP樹脂、及びオレフィン系熱可塑性エラストマー等のポリオレフィンを主成分(50質量%以上の含有量)として含有するポリオレフィン系樹脂組成物の成形体が好ましい。そのポリオレフィン系樹脂組成物の成形体は、例えば、射出成形、押出成形、及び圧縮成形等によって得ることができる。
【0057】
第2のポリオレフィン系樹脂製基材12としては、ポリオレフィン系樹脂製の表皮材を用いることが好ましい。表皮材は、表皮材が貼付される対象(ここでは第1のポリオレフィン系樹脂製基材11)に対し、良好な触感や意匠を付与するための加飾素材として用いられており、市販品を用いることができる。なお、第2のポリオレフィン系樹脂製基材12として、第1のポリオレフィン系樹脂製基材11と同様の素材を用いることもできる。
【0058】
前述の樹脂組成物を接着剤として用いて接着剤層13を形成する方法は特に限定されない。接着剤は、第1のポリオレフィン系樹脂製基材11に設けてもよいし、第2のポリオレフィン系樹脂製基材12に設けてもよく、また、それら両方に設けてもよい。接着剤の塗布方法としては、例えば、ロールコート、グラビアコート、コンマコート、ナイフコート、ダイコート、及びスプレーコート等を挙げることができる。
【実施例】
【0059】
以下、実施例に基づいて、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、以下の説明において、「部」及び「%」と記載しているものは特に断らない限り質量基準である。
【0060】
<ポリウレタン系樹脂の合成>
(合成例1:PU1の合成)
撹拌機、還流冷却管、温度計、窒素吹き込み管、及びマンホールを備えた反応容器を用意した。反応容器の内部を窒素ガスで置換しながら、ポリブタジエンポリオール(商品名「G−1000」、日本曹達社製、水酸基価(OHv)=70.7mgKOH/g、1,2−vinyl=90.8%、trans−1,4=9.2%)100.0g、ダイマージオール(商品名「Pripol2033」、クローダジャパン社製、OHv=207mgKOH/g)34.2g、メチルエチルケトン(MEK)33.1g、及びメチルシクロヘキサン(MCH)8.3gを仕込んだ。加熱撹拌を開始して系内が均一となった後、50℃で4,4’−メチレンビス(フェニレンイソシアネート)(MDI)31.5gを添加し、次いで、80℃に昇温して反応させた。赤外吸収スペクトル分析で測定される遊離イソシアネート基による2,270cm
−1の吸収が消失するまで反応を進行させた。その後、MEK99.4g及びMCH24.9gを添加して、ポリウレタン樹脂PU1の溶液(固形分50%)を得た。
【0061】
(合成例2:PU2の合成)
撹拌機、還流冷却管、温度計、窒素吹き込み管、及びマンホールを備えた反応容器を用意した。反応容器の内部を窒素ガスで置換しながら、ポリブタジエンポリオール(商品名「G−3000」、日本曹達社製、OHv=31.1mgKOH/g、1,2−vinyl=90.6%、trans−1,4=9.4%)100.0g、ダイマージオール(商品名「Pripol2033」、クローダジャパン社製、OHv=207mgKOH/g)15.0g、MEK25.8g、及びMCH6.4gを仕込んだ。加熱撹拌を開始して系内が均一となった後、50℃でMDI13.9gを添加し、次いで、80℃に昇温して反応させた。赤外吸収スペクトル分析で測定される遊離イソシアネート基による2,270cm
−1の吸収が消失するまで反応を進行させた。その後、MEK77.4g及びMCH19.3gを添加して、ポリウレタン樹脂PU2の溶液(固形分50%)を得た。
【0062】
(合成例3:PU3の合成)
撹拌機、還流冷却管、温度計、窒素吹き込み管、及びマンホールを備えた反応容器を用意した。反応容器の内部を窒素ガスで置換しながら、水素化ポリブタジエンポリオール(商品名「GI−1000」、日本曹達社製、OHv=66mgKOH/g)100.0g、ダイマージオール(商品名「Pripol2033」、クローダジャパン社製、OHv=207mgKOH/g)50.0g、MEK39.9g、及びトルエン39.9gを仕込んだ。加熱撹拌を開始した後、50℃でMDI36.2gを添加し、次いで、80℃に昇温して反応させた。赤外吸収スペクトル分析で測定される遊離イソシアネート基による2,270cm
−1の吸収が消失するまで反応を進行させた。その後、MEK53.6g及びトルエン53.6gを添加して、ポリウレタン樹脂PU3の溶液(固形分50%)を得た。
【0063】
(合成例4:PU4の合成)
撹拌機、還流冷却管、温度計、窒素吹き込み管、及びマンホールを備えた反応容器を用意した。反応容器の内部を窒素ガスで置換しながら、ポリブタジエンポリオール(商品名「G−1000」、日本曹達社製、OHv=70.7mgKOH/g、1,2−vinyl=90.8%、trans−1,4=9.2%)100.0g、ダイマージオール(商品名「Pripol2033」、クローダジャパン社製、OHv=207mgKOH/g)34.2g、ジメチロールプロパン酸(DMPA)5.0g、MEK36.0g、及びMCH9.0gを仕込んだ。加熱撹拌を開始して系内が均一となった後、50℃でMDI40.8gを添加し、次いで、80℃に昇温して反応させた。赤外吸収スペクトル分析で測定される遊離イソシアネート基による2,270cm
−1の吸収が消失するまで反応を進行させた。その後、MEK108.0g及びMCH27.0gを添加して、酸価(Av)=11.6mgKOH/gのポリウレタン樹脂PU4の溶液(固形分50%)を得た。
【0064】
(合成例5:PU5の合成)
撹拌機、還流冷却管、温度計、窒素吹き込み管、及びマンホールを備えた反応容器を用意した。反応容器の内部を窒素ガスで置換しながら、ポリブタジエンポリオール(商品名「G−1000」、日本曹達社製、OHv=70.7mgKOH/g、1,2−vinyl=90.8%、trans−1,4=9.2%)100.0g、MEK23.2g、及びMCH5.8gを仕込んだ。加熱撹拌を開始して系内が均一となった後、50℃でMDI15.8gを添加し、次いで、80℃に昇温して反応させた。赤外吸収スペクトル分析で測定される遊離イソシアネート基による2,270cm
−1の吸収が消失するまで反応を進行させた。その後、MEK69.4g及びMCH17.4gを添加して、ポリウレタン樹脂PU5の溶液(固形分50%)を得た。
【0065】
(合成例6:PU6の合成)
撹拌機、還流冷却管、温度計、窒素吹き込み管、及びマンホールを備えた反応容器を用意した。反応容器の内部を窒素ガスで置換しながら、ダイマージオール(商品名「Pripol2033」、クローダジャパン社製、OHv=207mgKOH/g)100.0g、MEK36.5gを仕込んだ。加熱撹拌を開始して系内が均一となった後、50℃でMDI46.1gを添加し、次いで、80℃に昇温して反応させた。赤外吸収スペクトル分析で測定される遊離イソシアネート基による2,270cm
−1の吸収が消失するまで反応を進行させた。その後、MEK109.6gを添加して、ポリウレタン樹脂PU6の溶液(固形分50%)を得た。
【0066】
(合成例7:PU7の合成)
撹拌機、還流冷却管、温度計、窒素吹き込み管、及びマンホールを備えた反応容器を用意した。反応容器の内部を窒素ガスで置換しながら、ポリブタジエンポリオール(商品名「G−1000」、日本曹達社製、OHv=70.7mgKOH/g、1,2−vinyl=90.8%、trans−1,4=9.2%)100.0g、炭酸ジメチル(DMC)12.2g、及びMCH17.8gを仕込んだ。加熱撹拌を開始して系内が均一となった後、50℃で水添化MDIを19.8g添加し、80℃に昇温して、NCO%が理論値となるまで反応を進行させた。その後、30℃まで冷却を行い、イソプロピルアルコール(IPA)24.4gにイソホロンジアミン(IPDA)を2.1g溶解させた溶液を添加し、60℃に昇温して、赤外吸収スペクトル分析で測定される遊離イソシアネート基による2,270cm
−1の吸収が消失するまで反応を進行させた。その後、MCH67.5gを添加して、ポリウレタンウレア樹脂PU7の溶液(固形分50%)を得た。
【0067】
(合成例8:PU8の合成)
撹拌機、還流冷却管、温度計、窒素吹き込み管、及びマンホールを備えた反応容器を用意した。反応容器の内部を窒素ガスで置換しながら、ポリブタジエンポリオール(商品名「G−1000」、日本曹達社製、OHv=70.7mgKOH/g、1,2−vinyl=90.8%、trans−1,4=9.2%)100.0g、DMC12.2g、及びMCH17.8gを仕込んだ。加熱撹拌を開始して系内が均一となった後、50℃で水添化MDI19.8gを添加し、80℃に昇温して、NCO%が理論値となるまで反応を進行させた。その後、30℃まで冷却を行い、ダイマージアミン(商品名「Priamine1074」、クローダジャパン社製、AHEW=136g/eq)を6.9g溶解させた溶液を添加し、60℃に昇温して、赤外吸収スペクトル分析で測定される遊離イソシアネート基による2,270cm
−1の吸収が消失するまで反応を進行させた。その後、MCH72.3gを添加して、ポリウレタンウレア樹脂PU8の溶液(固形分50%)を得た。
【0068】
(合成例9:PU9の合成)
撹拌機、還流冷却管、温度計、窒素吹き込み管、及びマンホールを備えた反応容器を用意した。反応容器の内部を窒素ガスで置換しながら、ポリブタジエンポリオール(商品名「G−1000」、日本曹達社製、OHv=70.7mgKOH/g、1,2−vinyl=90.8%、trans−1,4=9.2%)100.0g、DMC12.2g、及びMCH17.8gを仕込んだ。加熱撹拌を開始して系内が均一となった後、50℃で水添化MDI19.8gを添加し、80℃に昇温して、NCO%が理論値となるまで反応を進行させた。その後、30℃まで冷却を行い、N−(β−アミノエチル)エタノールアミンを1.3g溶解させた溶液を添加し、60℃に昇温して、赤外吸収スペクトル分析で測定される遊離イソシアネート基による2,270cm
−1の吸収が消失するまで反応を進行させた。その後、MCH66.2gを添加して、ポリウレタンウレア樹脂PU9の溶液(固形分50%)を得た。
【0069】
(比較合成例1:PU10の合成)
撹拌機、還流冷却管、温度計、窒素吹き込み管、及びマンホールを備えた反応容器を用意した。反応容器の内部を窒素ガスで置換しながら、ポリエステルポリオール(アジピン酸と1,4−ブタンジオールの縮合物、OHv=112mgKOH/g、Av=0.1mgKOH/g)100.0g、MEK26.8g、及びトルエン26.8gを仕込んだ。加熱撹拌を開始して系内が均一となった後、50℃でMDI25.0gを添加し、次いで、80℃に昇温して反応させた。赤外吸収スペクトル分析で測定される遊離イソシアネート基による2,270cm
−1の吸収が消失するまで反応を進行させた。その後、MEK35.7g及びトルエン35.7gを添加して、ポリウレタン樹脂PU10の溶液(固形分50%)を得た。
【0070】
<酸変性ポリオレフィン樹脂の化学修飾>
(合成例10:PO1の合成)
撹拌機、還流冷却管、温度計、窒素吹き込み管、及びマンホールを備えた反応容器を用意した。反応容器の内部を窒素ガスで置換しながら、酸変性ポリオレフィン(商品名「アウローレン500S」、日本製紙社製)100.0g、MCH300.0gを仕込んだ。加熱撹拌を開始して系内が均一となった後、90℃に昇温して、酸変性ポリオレフィンが溶解しきったことを確認した後、30℃まで冷却を行い、モノエタノールアミン2.0gをIPA50.0g中に溶解させた溶液を添加し、赤外吸収スペクトル分析で測定される環状無水酸基による1,780cm
−1、1,860cm
−1の吸収が消失するまで反応を進行させた。その後、MCH50.0gを添加して、アミン化合物で化学修飾された酸変性ポリオレフィン樹脂PO1の溶液(固形分20%)を得た。
【0071】
(合成例11:PO2の合成)
撹拌機、還流冷却管、温度計、窒素吹き込み管、及びマンホールを備えた反応容器を用意した。反応容器の内部を窒素ガスで置換しながら、酸変性ポリオレフィン(商品名「アウローレン500S」、日本製紙社製)100.0g、MCH100.0g、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド2.0gを仕込んだ。加熱撹拌を開始して系内が均一となった後、100℃に昇温して、赤外吸収スペクトル分析で測定される環状無水酸基による1,780cm
−1、1,860cm
−1の吸収が消失するまで反応を進行させた。その後、MCH300.0gを添加して、カルボジイミド化合物で化学修飾された酸変性ポリオレフィン樹脂PO2の溶液(固形分20%)を得た。
【0072】
(合成例12:PO3の合成)
撹拌機、還流冷却管、温度計、窒素吹き込み管、及びマンホールを備えた反応容器を用意した。反応容器の内部を窒素ガスで置換しながら、酸変性ポリオレフィン(商品名「アウローレン500S」、日本製紙社製)100.0g、MCH100.0g、グリシジルメタクリレート2.0gを仕込んだ。加熱撹拌を開始して系内が均一となった後、100℃に昇温して、赤外吸収スペクトル分析で測定される環状無水酸基による1,780cm
−1、1,860cm
−1の吸収が消失するまで反応を進行させた。その後、MCH300.0gを添加して、エポキシ化合物で化学修飾された酸変性ポリオレフィン樹脂PO3の溶液(固形分20%)を得た。
【0073】
(比較合成例2:PO4の調製)
撹拌機、還流冷却管、温度計、窒素吹き込み管、及びマンホールを備えた反応容器を用意した。反応容器の内部を窒素ガスで置換しながら、酸変性ポリオレフィン(商品名「アウローレン500S」、日本製紙社製)100.0g、MCH400.0gを仕込んだ。加熱撹拌を開始して系内が均一となった後、90℃に昇温して、酸変性ポリオレフィンが溶解しきったことを確認した後、30℃まで冷却を行い、酸変性ポリオレフィン樹脂PO4の溶液(固形分20%)を得た。
【0074】
<樹脂組成物の調製>
上記合成例で得られたポリウレタン系樹脂(PU1〜10)の溶液及びポリオレフィン樹脂(PO1〜4)の溶液を使用し、実施例1〜11及び比較例1〜5として、表1−1及び表1−2に示す処方にしたがって各成分を配合し、樹脂組成物1〜16を調製した。なお、表1−1及び表1−2中の配合量(単位:部)は、固形分換算である。
【0075】
【0076】
【0077】
<接着剤の調製>
実施例12〜26及び比較例6〜10として、後記表2−1及び表2−2に示す処方にしたがって各成分を配合し、接着剤1〜20を調製した。なお、表2−1及び表2−2中の配合量(単位:部)は固形分換算である。また、表中の架橋剤としては、以下のものを用いた。
・イソシアネート架橋剤:Baxenden社製の商品名「7960」(ジメチルピラゾールブロックタイプ、ヘキサメチレンジイソシアネートのビウレット体、NV:70%、有効NCO%:10.2%)
・カルボジイミド架橋剤:日清紡ケミカル社製の商品名「カルボジライトV−05」(NV:100%、カルボジイミド当量:260)
・エポキシ架橋剤:三菱化学社製の商品名「jER 1001」(エポキシ当量:470)
・オキサゾリン架橋剤:日本触媒社製の商品名「エポクロス RPS−1005」(オキサゾリン基含有樹脂)
・アジリジン架橋剤:日本触媒社製の商品名「ケミタイト PZ−33」(アジリジン含有量:6.3meq/g)
【0078】
<接着構造体の作製>
実施例12〜26及び比較例6〜10では、上記のように調製した接着剤を、オレフィン系熱可塑性エラストマー(TPO)製の表皮材に乾燥膜厚40μmになるように塗布し、100℃で1分乾燥させ、プレコート表皮材(TPO/接着剤)を得た。接着剤の塗布には、バーコーターを用いた。乾燥させたプレコート表皮材を180℃で3分加温させながら、PP基板を重ね合わせ、0.05MPaの荷重にて30秒間圧着させることで、接着構造体(TPO製表皮材/接着剤層/PP基板)を得た。接着構造体は、後述する「初期密着性」と「耐熱クリープ」の試験に供するため、TPO製表皮材及びPP基板の各寸法を幅50mm×長さ100mmとし、接着剤層をTPO製表皮材及びPP基板の一端から幅50mm×長さ90mmの領域に設けた。そして、これを裁断して、幅25mm×長さ100mm(接着剤層は幅25mm×長さ90mmの領域)の試験片とし、後述する「初期密着性」と「耐熱クリープ」の試験では、試験片の他端側の接着剤層が設けられていない領域(幅25mm×長さ10mmの領域)から剥離する試験を行った。
【0079】
<評価>
(接着剤の状態)
調製した接着剤1〜20の状態を目視にて観察し、流動性があれば状態良好と評価して表中「○」と示し、ゲル化等により流動性がなければ状態不良と評価して表中「×」と示した。
【0080】
(初期密着性)
作製した接着構造体の試験片を10分間、室温(25℃)下に置いた後、素手でPP基板からプレコート表皮材を90°方向に剥がす試験を行い、以下の基準にしたがって初期密着性(接着性)を評価した。その評価結果を表2−1及び表2−2に示す。
A:プレコート表皮材が破壊したため、優れた密着性を有していた。
B:プレコート表皮材が部分的に破壊したため、良好に密着していた。
C:プレコート表皮材は破壊しなかったが、接着していた。
D:プレコート表皮材がPP基板から容易に剥離したため、ほとんど接着していなかった。
【0081】
(耐熱クリープ)
初期密着性の評価において、評価結果が「D」以外の接着構造体の試験片について、JIS K6859に準拠した90°方向の耐熱クリープ試験を行った。具体的には、接着構造体の試験片を40℃下で1日養生させた後、80℃の環境下で100g/25mmの荷重を90°方向に加え、24時間後の剥離距離長さを測定し、以下の基準にしたがって耐熱クリープを評価した。その評価結果を表2−1及び表2−2に示す。なお、表2−2において、「*」は測定不可能であったことを表す。
A:剥離距離が5mm未満であった。
B:剥離距離が5mm以上10mm未満であった。
C:剥離距離が10mm以上であった。
D:表皮材が剥がれ落ちた。
【0082】
【0083】
【0084】
以上の結果より、PU1〜9のいずれかのポリウレタン系樹脂と、PO1〜3のいずれかの化学修飾された酸変性ポリオレフィン樹脂とを含有する樹脂組成物1〜11を用いた接着剤1〜15の使用により、初期密着性及び耐熱クリープが良好な接着構造体を作製できることが認められた。よって、ポリオレフィンポリオールに由来する構成単位及び/又はダイマーポリオールに由来する構成単位を含むポリウレタン系樹脂と、化学修飾されている酸変性ポリオレフィン樹脂とを特定の割合で含有する樹脂組成物は、ポリオレフィン系樹脂製基材に対し、良好な接着性を示すとともに耐久性に優れた接着剤やバインダーとして有用であることが確認された。