【実施例】
【0079】
続いて、実施例および比較例を用いて本発明をさらに具体的に説明する。なお、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。以下、各実施例および各比較例について詳細に説明する。
【0080】
本実施例および比較例に使用する各種粘着剤を調整するために、粘着剤の主成分として下記のシリコーン系樹脂(A)〜(D)、架橋剤として下記のケイ素原子結合水素原子(SiH)を有するオルガノポリシロキサン(オルガノハイドロジェンポリシロキサン)を用いた。シリコーン樹脂(A)および(B)は、シリコーンガム(G)とシリコーンレジン(R)の混合物[(G)/(R)質量比=40/60]であり、該シリコーンガム(G)には、重合平均分子量(Mw)が約50万の分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体を、該シリコーンレジン(R)には、重合平均分子量(Mw)が約5000のR
23SiO
0.5単位(M単位)およびSiO
2単位(Q単位)を有するオルガノポリシロキサン(MQレジン)を用いた。また、シリコーン系樹脂(C)および(D)は、シリコーンガム(G)単独の樹脂であり、シリコーン系樹脂(C)のシリコーンガム(G)には、重合平均分子量(Mw)が約20万の分子鎖両末端ジメチルヘキセニルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルヘキセニルシロキサン共重合体、シリコーン系樹脂(D)のシリコーンガム(G)には、重合平均分子量(Mw)が約60万の分子鎖両末端ジメチルヘキセニルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルヘキセニルシロキサン共重合体を用いた。またさらに、シリコーン系樹脂(E)は、シリコーンレジン(R)単独の樹脂であり、該シリコーンレジン(R)には、重合平均分子量(Mw)が約5000のR
23SiO
0.5単位(M単位)およびSiO
2単位(Q単位)を有するオルガノポリシロキサン(MQレジン)を用いた。
【0081】
・
シリコーン系樹脂(A)
シリコーンガム(G)/シリコーンレジン(R)=40質量%/60質量%の混合物
アルケニル基(ビニル基)含有量:2.0×10
−5mol/g
【0082】
・
シリコーン系樹脂(B)
シリコーンガム(G)/シリコーンレジン(R)=40質量%/60質量%の混合物
アルケニル基(ビニル基)含有量:2.0×10
−6mol/g
【0083】
・
シリコーン系樹脂(C)
シリコーンガム(G)
アルケニル基(ヘキセニル基)含有量:2.0×10
−4mol/g
【0084】
・
シリコーン系樹脂(D)
シリコーンガム(G)
アルケニル基(ヘキセニル基)含有量:1.0×10
−2mol/g
【0085】
・
シリコーン系樹脂(E)
シリコーンレジン(R)
【0086】
・
架橋剤(A)
オルガノハイドロジェンポリシロキサン
SiH基含有量:1.0×10
−2mol/g
【0087】
・
架橋剤(B)
オルガノハイドロジェンポリシロキサン
SiH基含有量:4.0×10
−2mol/g
【0088】
1.粘着テープの作製および薄膜基板12上への機能性薄膜(反射防止膜)の成膜
(実施例1)
シリコーン系樹脂(A)とシリコーン系樹脂(C)を該質量比(A)/(C)が83/17となるように混合した付加反応型シリコーン系樹脂(S1)をトルエンにて希釈・撹拌し、付加反応型シリコーン樹脂溶液(固形分濃度30質量%)を調整した。この付加反応型シリコーン系樹脂(S1)は、シリコーンガム(G)とシリコーンレジン(R)の質量比(G)/(R)は50/50であり、アルケニル基含有量は、5.0×10
−5mol/gであった。ちなみに、上記シリコーンガム(G)中のアルケニル基含有量は、1.0×10
−4mol/gであった。
【0089】
続いて、この付加反応型シリコーン系樹脂溶液333質量部(固形分換算100質量部)に対して、架橋剤(A)1.01質量部(SiH基/アルケニル基のモル比=2.02)をディスパーにて配合し、均一に撹拌・混合した。次いで、東レ・ダウコーニング株式会社製の白金系触媒“NC−25”(商品名)1.0質量部をディスパーにて配合し、均一に撹拌・混合して塗工用粘着剤溶液を作成した。
【0090】
続いて、この塗工用粘着剤溶液を、粘着剤層2の乾燥厚さが20μmになるように、東レ株式会社製ポリエステルフィルム基材1(厚さ75μm)に塗工し、乾燥炉の前半部において、40〜90℃の温度にて段階的に初期乾燥した。その後、乾燥炉の後半部に設けられた熱処理の最高温度が180℃となるゾーンで2分間乾燥することにより粘着剤層2を加熱・硬化させ、剥離フィルムを貼合し、総厚95μmの片面粘着テープ10を得た。また、基材1の厚さのみを38μmに変更した総厚58μmの片面粘着テープ10’も同様にして作製した。
【0091】
この片面粘着テープ10の粘着剤層2は、He雰囲気下で測定した200℃の貯蔵弾性率が2.2×10
5Paであった。また、この片面粘着テープ10は、真空度1.0×10
−4Torr以下の雰囲気下において、昇温速度10℃/分で23℃から200℃まで昇温した後、さらに200℃で30分間維持した際に発生するアウトガスの総量が72.5mg/m
2であった。
【0092】
次いで、この片面粘着テープ10(大きさ310mm×340mm)および片面粘着テープ10’(大きさ20mm×360mm)を用いて、
図4に示したように、まず、剥離フィルムを剥離した片面粘着テープ10を、粘着剤層2が上面側となるように片面粘着テープ10’により、キャリア基板11(SUS、大きさ370mm×380mm、厚さ2mm)の上に固定した。次いで、薄膜基板12(カバーガラス、大きさ140mm×70mm、厚さ0.4mm)6枚を、片面粘着テープ10の粘着剤層2の上に、等間隔に載置し仮固定した。このように6枚の薄膜基板12を片面粘着テープ10により仮固定したキャリア基板11を計8セット(薄膜基板12:計48枚/1バッチ)用意し、機能性薄膜(反射防止膜)の成膜に供した。
【0093】
次いで、上記キャリア基板をカルーセル型ラジカルアシストスパッタ装置の回転ドラム上に配置された基板ホルダーにそれぞれ縦置き姿勢で取り付け、キャリア基板(薄膜基板)を200℃に加熱しながら真空ポンプにより排気し、装置内部を10
−6Torrの圧力とした。続いて、シリコン(Si)をターゲットとし、回転ドラムを回転させながら、以下の条件で後反応スパッタリング法により、高屈折率層(窒化ケイ素:SiNx)と低屈折率層(酸化ケイ素:SiO
2)の交互積層から成る計6層の反射防止層を薄膜基板12(カバーガラス)の表面に成膜・形成した。
【0094】
・
スパッタリング条件
高屈折率層(窒化ケイ素:SiNx)
N
2ガス:10sccm
Arガス:10sccm
スパッタリングパワー:2.0KW
低屈折率層(酸化ケイ素:SiO
2)
0
2ガス:10sccm
Arガス:10sccm
スパッタリングパワー:1.5KW
【0095】
・
反射防止膜(//薄膜基板)
SiO
2(110nm)/SiNx(60nm)/SiO
2(43nm)/SiNx(33nm)/SiO
2(50nm)/SiNx(140nm)(//薄膜基板)
【0096】
(実施例2)
付加反応型シリコーン系樹脂(S1)に代えて、シリコーン系樹脂(A)とシリコーン系樹脂(C)を該質量比(A)/(C)が50/50となるように混合した付加反応型シリコーン系樹脂(S2)を用い、架橋剤(A)の配合量を2.20質量部(SiH基/アルケニル基のモル比=2.00)に変更した以外は、実施例1同様にして、塗工用粘着剤溶液を作成した。この付加反応型シリコーン系樹脂(S2)は、シリコーンガム(G)とシリコーンレジン(R)の質量比(G)/(R)は70/30であり、アルケニル基含有量は、1.1×10
−4mol/gであった。ちなみに、上記シリコーンガム(G)中のアルケニル基含有量は、1.5×10
−4mol/gであった。
【0097】
続いて、この塗工用粘着剤溶液を、粘着剤層2の乾燥厚さが50μmになるように、東レ株式会社製ポリエステルフィルム基材1(厚さ75μm)に塗工し、乾燥炉の前半部において、40〜90℃の温度にて段階的に初期乾燥した。その後、乾燥炉の後半部に設けられた熱処理の最高温度が160℃となるゾーンで1分間乾燥することにより粘着剤層2を加熱・硬化させ、剥離フィルムを粘着剤層2に貼合し、総厚125μmの片面粘着テープ10を得た。
【0098】
この片面粘着テープ10の粘着剤層2は、He雰囲気下で測定した200℃の貯蔵弾性率が5.9×10
5Paであった。また、この片面粘着テープ10は、真空度1.0×10
−4Torr以下の雰囲気下において、昇温速度10℃/分で23℃から200℃まで昇温した後、さらに200℃で30分間維持した際に発生するアウトガスの総量が65.1mg/m
2であった。
【0099】
次いで、この片面粘着テープ10および実施例1で作製した片面粘着テープ10’を用いて、実施例1と同様にして、薄膜基板12(カバーガラス)の表面に反射防止膜を成膜・形成した。
【0100】
(実施例3)
付加反応型シリコーン系樹脂(S1)に代えて、シリコーン系樹脂(A)、シリコーン系樹脂(B)およびシリコーン系樹脂(E)を該質量比(A)/(B)/(E)が50/42/8となるように混合した付加反応型シリコーン系樹脂(S3)を用い、架橋剤(A)の配合量を0.22質量部(SiH基/アルケニル基のモル比=2.17)に、白金系触媒“NC−25”の配合量を0.5質量部に変更した以外は、実施例1同様にして、塗工用粘着剤溶液を作成した。この付加反応型シリコーン系樹脂(S2)は、シリコーンガム(G)とシリコーンレジン(R)の質量比(G)/(R)は35/65であり、アルケニル基含有量は、1.0×10
−5mol/gであった。ちなみに、上記シリコーンガム(G)中のアルケニル基含有量は、2.9×10
−5mol/gであった。
【0101】
続いて、この塗工用粘着剤溶液を、粘着剤層2の乾燥厚さが30μmになるように、東レ株式会社製ポリエステルフィルム基材1(厚さ75μm)に塗工し、乾燥炉の前半部において、40〜90℃の温度にて段階的に初期乾燥した。その後、乾燥炉の後半部に設けられた熱処理の最高温度が180℃となるゾーンで1分間乾燥することにより粘着剤層2を加熱・硬化させ、剥離フィルムを粘着剤層2に貼合し、総厚105μmの片面粘着テープ10を得た。
【0102】
この片面粘着テープ10の粘着剤層2は、He雰囲気下で測定した200℃の貯蔵弾性率が1.0×10
5Paであった。また、この片面粘着テープ10は、真空度1.0×10
−4Torr以下の雰囲気下において、昇温速度10℃/分で23℃から200℃まで昇温した後、さらに200℃で30分間維持した際に発生するアウトガスの総量が159.8mg/m
2であった。
【0103】
次いで、この片面粘着テープ10および実施例1で作製した片面粘着テープ10’を用いて、実施例1と同様にして、薄膜基板12(カバーガラス)の表面に反射防止膜を成膜・形成した。
【0104】
(実施例4)
付加反応型シリコーン系樹脂(S1)に代えて、シリコーン系樹脂(C)とシリコーン系樹脂(D)を該質量比(C)/(D)が92/8となるように混合した付加反応型シリコーン系樹脂(S4)を用い、架橋剤(A)1.01質量部を架橋剤(B)4.90質量部(SiH基/アルケニル基のモル比=1.97)に、白金系触媒“NC−25”の配合量を3.0質量部に変更した以外は、実施例1同様にして、塗工用粘着剤溶液を作成した。この付加反応型シリコーン系樹脂(S2)は、シリコーンガム(G)とシリコーンレジン(R)の質量比(G)/(R)は100/0であり、アルケニル基含有有量は、1.0×10
−3mol/gであった。
【0105】
続いて、この塗工用粘着剤溶液を、粘着剤層2の乾燥厚さが75μmになるように、東レ株式会社製ポリエステルフィルム基材1(厚さ75μm)に塗工し、乾燥炉の前半部において、40〜90℃の温度にて段階的に初期乾燥した。その後、乾燥炉の後半部に設けられた熱処理の最高温度が200℃となるゾーンで3分間乾燥することにより粘着剤層2を加熱・硬化させ、剥離フィルムを粘着剤層2に貼合し、総厚150μmの片面粘着テープ10を得た。
【0106】
この片面粘着テープ10の粘着剤層2は、He雰囲気下で測定した200℃の貯蔵弾性率が7.2×10
6Paであった。また、この片面粘着テープ10は、真空度1.0×10
−4Torr以下の雰囲気下において、昇温速度10℃/分で23℃から200℃まで昇温した後、さらに200℃で30分間維持した際に発生するアウトガスの総量が31.2mg/m
2であった。
【0107】
次いで、この片面粘着テープ10および実施例1で作製した片面粘着テープ10’を用いて、実施例1と同様にして、薄膜基板12(カバーガラス)の表面に反射防止膜を成膜・形成した。
【0108】
(実施例5)
架橋剤(A)の配合量を0.55質量部(SiH基/アルケニル基のモル比=0.50)に変更した以外は、実施例2と同様にして総厚125μmの片面粘着テープ10を得た。
【0109】
この片面粘着テープ10の粘着剤層2は、He雰囲気下で測定した200℃の貯蔵弾性率が1.5×10
5Paであった。また、この片面粘着テープ10は、真空度1.0×10
−4Torr以下の雰囲気下において、昇温速度10℃/分で23℃から200℃まで昇温した後、さらに200℃で30分間維持した際に発生するアウトガスの総量が122.3mg/m
2であった。
【0110】
次いで、この片面粘着テープ10および実施例1で作製した片面粘着テープ10’を用いて、実施例1と同様にして、薄膜基板12(カバーガラス)の表面に反射防止膜を成膜・形成した。
【0111】
(実施例6)
架橋剤(A)の配合量を1.65質量部(SiH基/アルケニル基のモル比=1.50)に変更した以外は、実施例2と同様にして、総厚125μmの片面粘着テープ10を得た。
【0112】
この片面粘着テープ10の粘着剤層2は、He雰囲気下で測定した200℃の貯蔵弾性率が4.7×10
5Paであった。また、この片面粘着テープ10は、真空度1.0×10
−4Torr以下の雰囲気下において、昇温速度10℃/分で23℃から200℃まで昇温した後、さらに200℃で30分間維持した際に発生するアウトガスの総量が70.3mg/m
2であった。
【0113】
次いで、この片面粘着テープ10および実施例1で作製した片面粘着テープ10’を用いて、実施例1と同様にして、薄膜基板12(カバーガラス)の表面に反射防止膜を成膜・形成した。
【0114】
(実施例7)
架橋剤(A)の配合量を5.55質量部(SiH基/アルケニル基のモル比=5.00)に変更した以外は、実施例2と同様にして、総厚125μmの片面粘着テープ10を得た。
【0115】
この片面粘着テープ10の粘着剤層2は、He雰囲気下で測定した200℃の貯蔵弾性率が6.0×10
5Paであった。また、この片面粘着テープ10は、真空度1.0×10
−4Torr以下の雰囲気下において、昇温速度10℃/分で23℃から200℃まで昇温した後、さらに200℃で30分間維持した際に発生するアウトガスの総量が84.2mg/m
2であった。
【0116】
次いで、この片面粘着テープ10および実施例1で作製した片面粘着テープ10’を用いて、実施例1と同様にして、薄膜基板12(カバーガラス)の表面に反射防止膜を成膜・形成した。
【0117】
(実施例8)
架橋剤(A)5.55質量部を、架橋剤(B)2.80質量部(SiH基/アルケニル基のモル比=10.00)に変更した以外は、実施例2と同様にして、総厚125μmの片面粘着テープ10を得た。
【0118】
この片面粘着テープ10の粘着剤層2は、He雰囲気下で測定した200℃の貯蔵弾性率が6.7×10
5Paであった。また、この片面粘着テープ10は、真空度1.0×10
−4Torr以下の雰囲気下において、昇温速度10℃/分で23℃から200℃まで昇温した後、さらに200℃で30分間維持した際に発生するアウトガスの総量が105.7mg/m
2であった。
【0119】
次いで、この片面粘着テープ10および実施例1で作製した片面粘着テープ10’を用いて、実施例1と同様にして、薄膜基板12(カバーガラス)の表面に反射防止膜を成膜・形成した。
【0120】
(実施例9)
まず、粘着剤層3用の塗工用粘着剤溶液として、実施例1と同一組成(付加反応型シリコーン系樹脂(S1)使用)から成る塗工用粘着剤溶液を準備した。続いて、この塗工用粘着剤溶液を、粘着剤層3の乾燥厚さが30μmになるように、東レ株式会社製ポリエステルフィルム基材1(厚さ75μm)の1面側に塗工し、乾燥炉の前半部において、40〜90℃の温度にて段階的に初期乾燥した。その後、乾燥炉の後半部に設けられた熱処理の最高温度が180℃となるゾーンで2分間乾燥することにより粘着剤層3を加熱・硬化させ、第一の剥離フィルムを粘着剤層3に貼合し、総厚105μmの中間積層体を得た。
【0121】
次いで、粘着剤層2用の塗工用粘着剤溶液として、実施例2と同一組成(付加反応型シリコーン系樹脂(S2)使用)から成る塗工用粘着剤溶液を準備した。続いて、この塗工用粘着剤溶液を、粘着剤層2の乾燥厚さが30μmになるように、上記中間積層体の粘着剤層3が形成された面とは反対側の面(基材の2面側)に塗工し、乾燥炉の前半部において、40〜90℃の温度にて段階的に初期乾燥した。その後、乾燥炉の後半部に設けられた熱処理の最高温度が160℃となるゾーンで1分間乾燥することにより粘着剤層2を加熱・硬化させ、第二の剥離フィルムを粘着剤層2に貼合し、総厚135μmの両面粘着テープ20を得た。
【0122】
この両面粘着テープ20の粘着剤層2および粘着剤層3は、He雰囲気下で測定した200℃の貯蔵弾性率が、それぞれ5.9×10
5Pa、2.5×10
5Paであった。また、この両面粘着テープ10は、真空度1.0×10
−4Torr以下の雰囲気下において、昇温速度10℃/分で23℃から200℃まで昇温した後、さらに200℃で30分間維持した際に発生するアウトガスの総量が128.3mg/m
2であった。
【0123】
次いで、この両面粘着テープ20(大きさ310mm×340mm)を用いて、
図6に示したように、まず、両面粘着テープ20の粘着剤層3側の第一の剥離フィルムを剥離して、粘着剤層3側をキャリア基板11(SUS、大きさ370mm×380mm、厚さ2mm)に貼り付け、両面粘着テープ20を固定した。次いで、両面粘着テープ20の粘着剤層2側の第二の剥離フィルムを剥離し、薄膜基板12(カバーガラス、大きさ140mm×70mm、厚さ0.4mm)6枚を、両面粘着テープ20の粘着剤層2の上に、等間隔に載置し仮固定した。このように6枚の薄膜基板12を両面粘着テープ20により仮固定したキャリア基板11を計8セット(薄膜基板12:計48枚/1バッチ)用意し、機能性薄膜(反射防止膜)の成膜に供した。
【0124】
次いで、実施例1と同様にして、薄膜基板12(カバーガラス)の表面に反射防止膜を成膜・形成した。
【0125】
(比較例1)
付加反応型シリコーン系樹脂(S1)に代えて、シリコーン系樹脂(A)とシリコーン系樹脂(B)を該質量比(A)/(B)が40/60となるように混合した付加反応型シリコーン系樹脂(S5)を用い、架橋剤(A)の配合量を0.18質量部(SiH基/アルケニル基のモル比=2.00)に変更した以外は、実施例1同様にして、塗工用粘着剤溶液を作成した。この付加反応型シリコーン系樹脂(S5)は、シリコーンガム(G)とシリコーンレジン(R)の質量比(G)/(R)は40/60であり、アルケニル基含有量は、9.2×10
−6mol/gであった。ちなみに、上記シリコーンガム(G)中のアルケニル基含有量は、2.3×10
−5mol/gであった。
【0126】
続いて、この塗工用粘着剤溶液を、粘着剤層2の乾燥厚さが20μmになるように、東レ株式会社製ポリエステルフィルム基材1(厚さ75μm)に塗工し、乾燥炉の前半部において、40〜90℃の温度にて段階的に初期乾燥した。その後、乾燥炉の後半部に設けられた熱処理の最高温度が180℃となるゾーンで2分間乾燥することにより粘着剤層2を加熱・硬化させ、剥離フィルムを粘着剤層2に貼合し、総厚95μmの片面粘着テープ10を得た。
【0127】
この片面粘着テープ10の粘着剤層2は、He雰囲気下で測定した200℃の貯蔵弾性率が7.4×10
4Paであった。また、この片面粘着テープ10は、真空度1.0×10
−4Torr以下の雰囲気下において、昇温速度10℃/分で23℃から200℃まで昇温した後、さらに200℃で30分間維持した際に発生するアウトガスの総量が193.3mg/m
2であった。
【0128】
次いで、この片面粘着テープ10および実施例1で作製した片面粘着テープ10’を用いて、実施例1と同様にして、薄膜基板12(カバーガラス)の表面に反射防止膜を成膜・形成した。
【0129】
(比較例2)
付加反応型シリコーン系樹脂(S1)に代えて、シリコーン系樹脂(C)とシリコーン系樹脂(D)を該質量比(C)/(D)が70/30となるように混合した付加反応型シリコーン系樹脂(S6)を用い、架橋剤(A)1.01質量部を架橋剤(B)15.7質量部(SiH基/アルケニル基のモル比=2.09)に変更した以外は、実施例1同様にして、塗工用粘着剤溶液を作成した。この付加反応型シリコーン系樹脂(S6)は、シリコーンガム(G)とシリコーンレジン(R)の質量比(G)/(R)は100/0であり、アルケニル基含有量は、3.0×10
−3mol/gであった。
【0130】
続いて、この塗工用粘着剤溶液を、粘着剤層2の乾燥厚さが40μmになるように、東レ株式会社製ポリエステルフィルム基材1(厚さ75μm)に塗工し、乾燥炉の前半部において、40〜90℃の温度にて段階的に初期乾燥した。その後、乾燥炉の後半部に設けられた熱処理の最高温度が180℃となるゾーンで1分間乾燥することにより粘着剤層2を加熱・硬化させ、剥離フィルムを粘着剤層2に貼合し、総厚115μmの片面粘着テープ10を得た。
【0131】
この片面粘着テープ10の粘着剤層2は、He雰囲気下で測定した200℃の貯蔵弾性率が1.9×10
7Paであった。また、この片面粘着テープ10は、真空度1.0×10
−4Torr以下の雰囲気下において、昇温速度10℃/分で23℃から200℃まで昇温した後、さらに200℃で30分間維持した際に発生するアウトガスの総量が33.6mg/m
2であった。
【0132】
次いで、この片面粘着テープ10および実施例1で作製した片面粘着テープ10’を用いて、実施例1と同様にして、薄膜基板12(カバーガラス)の表面に反射防止膜を成膜・形成した。
【0133】
(比較例3)
付加反応型シリコーン系樹脂(S1)に代えて、シリコーン系樹脂(A)、シリコーン系樹脂(C)およびシリコーン系樹脂(E)を該質量比(A)/(C)/(E)が63/5/32となるように混合した付加反応型シリコーン系樹脂(S7)を用い、架橋剤(A)の配合量を0.45質量部(SiH基/アルケニル基のモル比=1.97)に変更した以外は、実施例1同様にして、塗工用粘着剤溶液を作成した。この付加反応型シリコーン系樹脂(S6)は、シリコーンガム(G)とシリコーンレジン(R)の質量比(G)/(R)は30/70であり、アルケニル基含有量は、2.3×10
−5mol/gであった。ちなみに、上記シリコーンガム(G)中のアルケニル基含有量は、7.3×10
−5mol/gであった。
【0134】
続いて、この塗工用粘着剤溶液を、粘着剤層2の乾燥厚さが15μmになるように、東レ株式会社製ポリエステルフィルム基材1(厚さ75μm)に塗工し、乾燥炉の前半部において、40〜90℃の温度にて段階的に初期乾燥した。その後、乾燥炉の後半部に設けられた熱処理の最高温度が180℃となるゾーンで1分間乾燥することにより粘着剤層2を加熱・硬化させ、剥離フィルムを粘着剤層2に貼合し、総厚90μmの片面粘着テープ10を得た。
【0135】
この片面粘着テープ10の粘着剤層2は、He雰囲気下で測定した200℃の貯蔵弾性率が1.5×10
5Paであった。また、この片面粘着テープ10は、真空度1.0×10
−4Torr以下の雰囲気下において、昇温速度10℃/分で23℃から200℃まで昇温した後、さらに200℃で30分間維持した際に発生するアウトガスの総量が135.7mg/m
2であった。
【0136】
次いで、この片面粘着テープ10および実施例1で作製した片面粘着テープ10’を用いて、実施例1と同様にして、薄膜基板12(カバーガラス)の表面に反射防止膜を成膜・形成した。
【0137】
(比較例4)
架橋剤(A)を添加しなかった以外は、実施例2と同様にして、塗工用粘着剤溶液を作成した。この付加反応型シリコーン系樹脂(S2)は、シリコーンガム(G)とシリコーンレジン(R)の質量比(G)/(R)は70/30であり、アルケニル基含有量は、1.1×10
−4mol/gであった。
【0138】
続いて、この塗工用粘着剤溶液を、粘着剤層2の乾燥厚さが50μmになるように、東レ株式会社製ポリエステルフィルム基材1(厚さ75μm)に塗工し、乾燥炉の前半部において、40〜90℃の温度にて段階的に初期乾燥した。その後、乾燥炉の後半部に設けられた熱処理の最高温度が200℃となるゾーンで2分間乾燥することにより粘着剤層2を加熱・乾燥させ、総厚125μmの片面粘着テープ10を得ようとしたが、粘着剤層2のベタツキが大きく、搬送ロールに貼り付く等の不具合が発生したため、良好な片面粘着テープ10を製造することができなかった。
【0139】
上記の乾燥条件と同様にして枚葉で作製した片面粘着テープ10について、粘着剤層2のHe雰囲気下における200℃の貯蔵弾性率を評価したところ、温度の上昇とともに急激に弾性率の低下が見られ、200℃付近での貯蔵弾性率を確認することはできなかった。また、この片面粘着テープ10は、真空度が1.0×10−4Torr以下、室温から200℃、200℃で30分維持した際のアウトガスの発生量は、251.1mg/m
2であった。
【0140】
(比較例5)
まず、粘着剤層3用の塗工用粘着剤溶液として、実施例3と同一組成(付加反応型シリコーン系樹脂(S3)使用)から成る塗工用粘着剤溶液を準備した。続いて、この塗工用粘着剤溶液を、粘着剤層3の乾燥厚さが30μmになるように、東レ株式会社製ポリエステルフィルム基材1(厚さ75μm)の1面側に塗工し、乾燥炉の前半部において、40〜90℃の温度にて段階的に初期乾燥した。その後、乾燥炉の後半部に設けられた熱処理の最高温度が180℃となるゾーンで1分間乾燥することにより粘着剤層3を加熱・硬化させ、第一の剥離フィルムを粘着剤層3に貼合し、総厚105μmの中間積層体を得た。
【0141】
次いで、粘着剤層2用の塗工用粘着剤溶液として、実施例1と同一組成(付加反応型シリコーン系樹脂(S1)使用)から成る塗工用粘着剤溶液を準備した。続いて、この塗工用粘着剤溶液を、粘着剤層2の乾燥厚さが20μmになるように、上記中間積層体の粘着剤層3が形成された面とは反対側の面(基材の2面側)に塗工し、乾燥炉の前半部において、40〜90℃の温度にて段階的に初期乾燥した。その後、乾燥炉の後半部に設けられた熱処理の最高温度が180℃となるゾーンで2分間乾燥することにより粘着剤層2を加熱・硬化させ、第二の剥離フィルムを粘着剤層2に貼合し、総厚125μmの両面粘着テープ20を得た。
【0142】
この両面粘着テープ20の粘着剤層2および粘着剤層3は、He雰囲気下で測定した200℃の貯蔵弾性率が、それぞれ2.2×10
5Pa、1.3×10
5Paであった。また、この両面粘着テープ20は、真空度1.0×10
−4Torr以下の雰囲気下において、昇温速度10℃/分で23℃から200℃まで昇温した後、さらに200℃で30分間維持した際に発生するアウトガスの総量が201.2mg/m
2であった。
【0143】
次いで、この両面粘着テープ20(大きさ310mm×340mm)を用いて、実施例9と同様にして、粘着剤層2の上に仮固定された薄膜基板12(カバーガラス)の表面に反射防止膜を成膜・形成した。
【0144】
2.評価方法
(1)シリコーン系樹脂のアルケニル基含有量および架橋剤のSiH基含有量の定量
本発明のケイ素原子結合アルケニル基を含有するオルガノポリシロキサンから成るシリコーンガム(G)とケイ素原子結合アルケニル基を含有しないオルガノポリシロキサンから成るシリコーンレジン(R)とが、該質量比(G)/(R)=35/65〜100/0の範囲となるように配合された付加反応型シリコーン系樹脂において、そのアルケニル基含有量は、500MHzの
1H−NMRスペクトルを測定することにより算出した。具体的には、上記付加反応型シリコーン系樹脂の不揮発成分を、内部標準試料としてジメチルスルホキシドを含む重クロロホルムに十分に溶解させ、日本電子株式会社製NMR装置“JNM・ECA500”(製品名)を用いて
1H−NMRスペクトルを測定した。次いで、測定スペクトルにおける内部標準試料のジメチルスホキシドの共鳴シグナル面積(積分値)とアルケニル基の共鳴シグナル面積(積分値)を求め、その比率から、付加反応型シリコーン系樹脂1g当たりのアルケニル基の含有量を算出した。また、オルガノハイドロジェンポリシロキサンから成る架橋剤についても、同様にして、
1H−NMRスペクトルを測定し、測定スペクトルにおける内部標準試料のジメチルスホキシドの共鳴シグナル面積(積分値)とSiH基の共鳴シグナル面積(積分値)を求め、その比率から、架橋剤1g当たりのSiH基の含有量を算出した。なお、架橋剤が付加反応型シリコーン系樹脂に最初から内添されている場合は、その
1H−NMRスペクトルからアルケニル基とSiH基の含有量を同時に算出すればよい。
【0145】
(2)粘着剤層の貯蔵弾性率
実施例1〜9および比較例1〜5の粘着テープ10、20について、粘着剤層2、3の貯蔵弾性率を以下の方法で測定した。まず、各実施例および比較例で調整した塗工用粘着剤溶液について、それぞれ第一の剥離フィルム上に塗工し、各実施例および比較例と同一の条件で乾燥、硬化させ、第二の剥離フィルムを貼合し、粘着テープ(基材レス)を得た。続いて、得られたそれぞれの粘着テープを小片に切断し、剥離フィルムを剥離し、約500μmの厚さとなるように粘着剤層のみを重ね合わせた試料を準備した。これらの試料について、株式会社日立ハイテクサイエンス社製の粘弾性測定装置“DMA6100”(製品名)を用いて、動的粘弾性を測定し、粘着剤層の貯蔵弾性率を求めた。測定条件は、He雰囲気下において、周波数1Hzのせん断ひずみを与えながら、昇温速度2℃/分とし、30℃から280℃まで温度を変化させ、動的粘弾性スペクトルを測定した。得られたスペクトルの200℃における貯蔵弾性率の値を、その粘着剤層のHe雰囲気下で測定した200℃の貯蔵弾性率とした。
【0146】
(3)粘着テープから発生するアウトガスの総量
実施例1〜9および比較例1〜5の粘着テープ10、20について、粘着テープ10、20から発生するアウトガスの総量を、加熱発生ガス質量分析(TPD−MS)を用いて測定した。まず、粘着テープ10、20を4mm×20mmの大きさに裁断した試料(剥離フィルムは除く)を準備した。続いて、それぞれの粘着テープ試料を、株式会社リガク社製の赤外線加熱炉付水平差動型示差熱天秤“MB6”(製品名)の石英試料管内に入れ、真空ポンプで排気し、試料管内を1.0×10
−5〜1.0×10
−6Torrの圧力に調整した。次いで、試料管を室温から200℃まで昇温速度10℃/minで加熱し、さらに、200℃で30min保持した際に、試料から発生したガス成分について、Hewlett Packard社製の質量分析装置“Q−MS5973A”(製品名)を用いて質量分析を行い、MSトータルイオンカレント(TIC)クロマトグラムを得た。なお、標準試料として、蓚酸カルシウムを加熱した際に発生するCO
2(炭酸ガス)を用い、調整濃度とピーク面積とから検量線を作成し、この検量線と粘着テープ試料から発生したガス成分のTICのピーク総面積とから、粘着テープを、真空度1.0×10
−4Torr以下の雰囲気下において、昇温速度10℃/分で23℃から200℃まで昇温した後、さらに200℃で30分間維持した際に、粘着テープから発生するアウトガスの総量をCO
2換算で求めた。
【0147】
(4)真空成膜プロセスにおける評価
実施例1〜9および比較例1〜5の粘着テープ10、20について、それぞれの粘着テープ10、20の粘着剤層2の上に仮固定された薄膜基板12(カバーガラス)の表面に対して、カルーセル型ラジカルアシストスパッタ装置を用いて、後反応スパッタリング法により反射防止膜を成膜した際に、以下の4つの項目について、A〜Cの3段階の基準で評価した。
【0148】
<薄膜基板に対する仮固定力>
反射防止膜の成膜終了後、縦置き姿勢の48枚の薄膜基板について、脱落の有無を確認した。
A:脱落した薄膜基板は0枚であった。
B:脱落した薄膜基板は1枚であった。
C:脱落した薄膜基板は2枚以上であった。
【0149】
<薄膜基板の再剥離性>
反射防止膜の成膜終了後、上述した方法で、薄膜基板から粘着テープを剥離する際、あるいは粘着テープから薄膜基板を剥離する際に、薄膜基板が破損することなく、再剥離できたか否かについて評価した。
A:剥離時に破損した薄膜基板は0枚で、すべて再剥離できた。
B:剥離時に破損した薄膜基板は1枚で、その他はすべて再剥離できた。
C:剥離時に破損した薄膜基板は2枚以上であった。
【0150】
<糊残の発生>
反射防止膜の成膜終了後、上述した方法で、薄膜基板から粘着テープを剥離した際、あるいは粘着テープから薄膜基板を剥離した際の、薄膜基板に対する糊残の平均的な状態を目視により確認した。
A:明確な糊残は観察されなかった。
B:わずかに糊残は観察されるが、洗浄により容易に除去できるレベルであった。
C:明確な糊残が観察された。
【0151】
<反射防止膜の外観>
薄膜基板に成膜された反射防止膜の外観の平均的な状態を目視により観察した。
A:明確な成膜ムラが観察されなかった。
B:視野角度によっては、わずかに成膜ムラが観察されたが目立たないレベルであった。
C:明確な成膜ムラが観察された。
いずれの項目においても、AまたはBの評価を実用上問題のないレベルと判定した。
【0152】
3.試験結果
実施例1〜9および比較例1〜5の粘着テープ10、20の構成および評価結果について、表1〜4示す。
【0153】
【表1】
【0154】
【表2】
【0155】
【表3】
【0156】
【表4】
【0157】
表1〜3に示すように、ロール・ツー・ロール方式で製造した実施例1〜8の片面粘着テープ10、実施例9の両面粘着テープ20は、He雰囲気下で測定した200℃における粘着剤層の貯蔵弾性率が1.0×10
5〜1.0×10
7Paの範囲であり、真空度1.0×10
−4Torr以下の雰囲気下において、昇温速度10℃/分で23℃から200℃まで昇温した後、さらに200℃で30分間維持した際に発生するアウトガスの総量が180mg/m
2以下であるため、これらの粘着テープを、カルーセル型スパッタ装置を用いた真空成膜プロセスにより、薄膜基板上に反射防止膜を形成する際の仮固定用粘着テープとして適用した場合に、縦置き姿勢においても薄膜基板の仮固定力は十分であり、成膜プロセス中に生じる粘着テープからのアウトガスの発生を抑制でき、得られる反射防止膜の外観に悪影響を及ぼさないこと、また成膜後において薄膜基板と粘着テープとの再剥離性(薄膜基板への糊残がない、剥離時に薄膜基板を破損しない)に優れていることが分かる。また、反射防止膜の特性として必要な可視光反射率も1.0%以下であり、実用上、特に問題はなかった。
【0158】
薄膜基板上の反射防止膜の外観については、粘着テープから発生するアウトガスの総量が少ないほど良好な結果が得られる傾向にあり、その中でも、アウトガスの総量が100mg/m
2以下である実施例1〜2、実施例4、実施例6〜7の片面粘着テープ10を用いた場合に特に良好であった。
【0159】
また、架橋剤のSiH基と付加反応型シリコーン系樹脂のアルケニル基とのモル比以外はすべて同じである粘着剤層を用いた実施例2、実施例5〜8の比較において、SiH基/アルケニル基のモル比が1.5〜5.0の範囲である実施例2,実施例6〜7の片面粘着テープ10を用いた場合に、薄膜基板の仮固定力、薄膜基板の再剥離性、薄膜基板に対する糊残、薄膜基板上の反射防止膜の外観の全ての評価において良好な結果が得られた。SiH基/アルケニル基のモル比が0.5である実施例5の片面粘着テープ10を用いた場合は、粘着剤層の架橋・硬化がやや不十分で、貯蔵弾性率がやや小さくなったため、アウトガスの総量がやや多くなり、薄膜基板上の反射防止膜の外観がやや劣っていた。また、粘着剤層の粘着力がやや大きく、薄膜基板の再剥離性もやや劣っていた。しかし、いずれも実用上問題のないレベルであった、また、SiH基/アルケニル基のモル比が10.0である実施例8の片面粘着テープ10を用いた場合は、残存するSiH基の量がやや多くなり、該SiHがシラノール化してSiOHとなり、加熱・成膜中に脱水縮合反応した際に生成する水分がアウトガスとなったため、アウトガスの総量がやや増加し、薄膜基板上の反射防止膜の外観がやや劣っていた。また、粘着剤層の粘着力がやや大きく、薄膜基板の再剥離性もやや劣っていた。しかし、いずれも実用上問題のないレベルであった。
【0160】
さらに、シリコーンガム(G)とシリコーンレジン(R)の質量比(G)/(R)が本発明の下限の35/65である実施例3の片面粘着テープ10を用いた場合、粘着剤層の貯蔵弾性率も本発明の下限値となっており、アウトガスの総量がやや多くなったため、薄膜基板上の反射防止膜の外観がやや劣っていた。また、シリコーンレジン(R)の比率が65質量%と多く、粘着剤層の粘着力もやや大きくなったため、薄膜基板の再剥離性、薄膜基板に対する糊残もやや劣っていた。しかし、いずれも実用上問題のないレベルであった。
【0161】
さらにまた、シリコーンガム(G)とシリコーンレジン(R)の質量比(G)/(R)が本発明の上限の100/0である実施例4の片面粘着テープ10を用いた場合、粘着剤層の貯蔵弾性率も本発明の上限値となっており、粘着剤層がやや硬く、粘着力がやや小さくなったため、薄膜基板の仮固定力のみがやや劣っていた。しかし、実用上問題のないレベルであった。
【0162】
さらにまた、基材の1面側に実施例1の粘着剤層、基材の2面側に実施例2の粘着剤層を設けた実施例9の両面粘着テープ20を用いた場合、粘着剤層の総厚さが厚くなった分、両面粘着テープ20としてのトータルのアウトガスの総量がやや増加したため、薄膜基板上の反射防止膜の外観がやや劣る結果となったが、その他の評価は良好であり、いずれも実用上問題のないレベルであった。
【0163】
これにより、粘着剤層として、「アルケニル基を含有するシリコーンガム(G)とアルケニル基を含有しないシリコーンレジン(R)とを、質量比(G)/(R)=35/65〜100/0の範囲となるように配合し、且つ、アルケニル基の含有量を1.0×10
−5〜1.0×10
−3mol/gの範囲とした付加反応型シリコーン系樹脂を、SiH基を有するオルガノポリシロキサンおよび白金族金属系触媒により加熱・硬化した樹脂組成物」を用い、「He雰囲気下で測定した200℃の粘着剤層の貯蔵弾性率を1.0×10
5〜1.0×10
7Paの範囲、且つ、真空度1.0×10
−4Torr以下の雰囲気下において、昇温速度10℃/分で23℃から200℃まで昇温した後、さらに200℃で30分間維持した際に粘着テープから発生するアウトガスの総量を180mg/m
2以下」となるように設計した実施例1〜8の片面粘着テープ10、実施例9の両面粘着テープ20は、真空プロセス用粘着テープとして好適であることが確認された。
【0164】
これに対し、表3〜4に示すように、比較例1〜4の片面粘着テープ、比較例5の両面粘着テープ20を用いた場合は、本発明の構成を満たさないため、薄膜基板の仮固定力、薄膜基板の再剥離性、薄膜基板に対する糊残、薄膜基板上の反射防止膜の外観の少なくともいずれかの評価結果が、実施例1〜9よりも劣っていることが分かる。
【0165】
具体的には、比較例1の片面粘着テープ10は、付加反応型シリコーン系樹脂のアルケニル基の含有量が少なく、架橋・硬化後の粘着剤層の貯蔵弾性率が小さかったため、アウトガスの総量が多くなり、薄膜基板上の反射防止膜の外観が実施例と比較して劣っていた。また、粘着剤層の粘着力も大きかったため、薄膜基板の再剥離性も実施例と比較して劣っていた。
【0166】
また、比較例2の片面粘着テープ10は、付加反応型シリコーン系樹脂のアルケニル基の含有量が多く、架橋・硬化後の粘着剤層の貯蔵弾性率が過度に大きかったため、粘着剤層の粘着力が小さくなりすぎて、薄膜基板を十分に仮固定することができず、成膜プロセスの際中に薄膜基板が脱落してしまい、反射防止膜を成膜・形成できなかった。
【0167】
さらに、比較例3の片面粘着テープ10は、シリコーンガム(G)とシリコーンレジン(R)の質量比(G)/(R)が30/70で、シリコーンレジン(R)の比率が多く、粘着剤層の粘着力が大きくなりすぎたため、薄膜基板の再剥離性、薄膜基板に対する糊残が実施例と比較して劣っていた。
【0168】
さらにまた、比較例4の片面粘着テープ10は、架橋剤が配合されておらず、粘着剤層の架橋・硬化が進行しなかったため、凝集力が小さく、ロール・ツー・ロール方式で良好な粘着テープを作製することはできなった。なお、枚葉で作製した粘着テープのアウトガス量はやはり多かった。
【0169】
さらにまた、比較例5の両面粘着テープ20は、基材の1面側に実施例3の粘着剤層、基材の2面側に実施例1の粘着剤層を設けた両面粘着テープであるが、基材の1面側の粘着剤層からのアウトガスの量がやや多いため、基材の2面側の粘着剤層のアウトガスの量と合わせた両面粘着テープ20としてのトータルのアウトガスの総量が多くなったため、薄膜基板上の反射防止膜の外観が実施例と比較して劣っていた。