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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-183484(P2020-183484A)
(43)【公開日】2020年11月12日
(54)【発明の名称】真空プロセス用粘着テープ
(51)【国際特許分類】
   C09J 7/38 20180101AFI20201016BHJP
   C09J 7/25 20180101ALI20201016BHJP
   C09J 183/07 20060101ALI20201016BHJP
   C09J 11/04 20060101ALI20201016BHJP
   C09J 183/05 20060101ALI20201016BHJP
   B32B 27/00 20060101ALI20201016BHJP
【FI】
   C09J7/38
   C09J7/25
   C09J183/07
   C09J11/04
   C09J183/05
   B32B27/00 101
   B32B27/00 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
【全頁数】35
(21)【出願番号】特願2019-88440(P2019-88440)
(22)【出願日】2019年5月8日
(71)【出願人】
【識別番号】000005810
【氏名又は名称】マクセルホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【弁理士】
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100122297
【弁理士】
【氏名又は名称】西下 正石
(72)【発明者】
【氏名】楫山 健司
(72)【発明者】
【氏名】橋本 彩加
(72)【発明者】
【氏名】芹田 健一
【テーマコード(参考)】
4F100
4J004
4J040
【Fターム(参考)】
4F100AH06B
4F100AK42A
4F100AK52B
4F100AT00A
4F100BA02
4F100CA02B
4F100CB05B
4F100EH46
4F100EJ08
4F100EJ42
4F100JK07B
4J004AA06
4J004AB01
4J004CA04
4J004CA06
4J004CB03
4J004CC02
4J004CC03
4J004CE01
4J004DB02
4J004EA01
4J004EA05
4J004FA01
4J040EK042
4J040EK081
4J040HA066
4J040JA09
4J040JB09
4J040KA14
4J040LA06
4J040MA05
4J040MB03
4J040MB09
4J040NA17
4J040NA19
4J040PA20
4J040PA23
4J040PA42
4J040PB15
4J040QA05
(57)【要約】
【課題】成膜後の機能性薄膜の外観不良の原因となるアウトガスの発生量が低減された、真空成膜プロセスに使用する粘着テープを提供すること。
【解決手段】シリコーンガム(G)とシリコーンレジン(R)との質量比(G)/(R)=35/65〜100/0、アルケニル基の含有量が1.0×10−5〜1.0×10−3mol/g、He雰囲気下で測定した200℃の貯蔵弾性率が1.0×10〜1.0×10Paである粘着剤層を備え、真空度1.0×10−4Torr以下の雰囲気下において、昇温速度10℃/分で23℃から200℃まで昇温した後、さらに200℃で30分間維持した際に粘着テープから発生するアウトガスの総量が180mg/m以下である、真空プロセス用粘着テープ。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材と、基材の少なくとも一方の面に粘着剤層とを、備えた真空プロセス用粘着テープであって、
前記粘着剤層は、主成分として付加反応型シリコーン系樹脂、架橋剤として1分子中に少なくとも2個以上のケイ素原子結合水素原子(SiH)を有するオルガノポリシロキサン、および触媒として白金族金属系触媒を、含む樹脂組成物から成り、
前記付加反応型シリコーン系樹脂は、ケイ素原子結合アルケニル基を含有するオルガノポリシロキサンから成るシリコーンガム(G)とケイ素原子結合アルケニル基を含有しないオルガノポリシロキサンから成るシリコーンレジン(R)とが、該質量比(G)/(R)において、(G)/(R)=35/65〜100/0の範囲となるように配合されたものであり、且つ、ケイ素原子結合アルケニル基の含有量が1.0×10−5〜1.0×10−3mol/gの範囲であり、
前記粘着剤層は、He雰囲気下で測定した200℃の貯蔵弾性率が1.0×10〜1.
0×10Paの範囲であり、
前記粘着テープは、真空度1.0×10−4Torr以下の雰囲気下において、昇温速度10℃/分で23℃から200℃まで昇温した後、さらに200℃で30分間維持した際に発生するアウトガスの総量が180mg/m以下である、真空プロセス用粘着テープ。
【請求項2】
前記基材は、ポリエチレンテレフタレートフィルムである、請求項1に記載の真空プロセス用粘着テープ。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の真空プロセス用粘着テープであって、反射防止膜、防眩膜、防汚膜、着色膜の群から選ばれる一種の機能性薄膜を耐熱基板上に形成するために適用される真空プロセス用粘着テープ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、真空プロセス用粘着テープに関する。
【背景技術】
【0002】
スマートフォン、携帯電話、携帯情報端末PDA、デジタルカメラ等のフラットパネルディスプレイ装置やタッチパネルディスプレイ装置において、ディスプレイの保護、美観およびデザイン性を高めるために、画像表示部分よりも広い領域となるように薄い板状のカバーガラスがディスプレイの前面に配置されており、該カバーガラスには化学強化ガラスが用いられている。
【0003】
近年、特にスマートフォン等では、筐体よりも前面にはみ出し、端部に曲面加工がなされた、2.5Dタイプや擬似3Dタイプ、3Dタイプ等と呼ばれる形状のカバーガラスが上市されている。該カバーガラスは平坦部のみならず、その外周縁にある側面部も表面に露出しているため、側面部も平坦部と同様に強化処理をする必要がある。このような曲面加工されたカバーガラスの強化処理方法としては、後反応スパッタ法や、前処理を伴うスパッタ法によりカバーガラスの平坦部の全面と平坦部の外周縁に設けられた側面部の表面側から裏面側にかけて連続的に無機膜を積層する処理方法が知られている(特許文献1参照)。
【0004】
ところで、上記のようなカバーガラスに対して、強化用無機膜や反射防止膜等といった機能性薄膜を効率よく形成するためのスパッタ装置として、カルーセル型スパッタ装置が知られている(特許文献2参照)。カルーセル型スパッタ装置は、回転・バッチ型のスパッタ装置であり、チャンバー内に多角柱形の基板ホルダー(回転ドラム)が配置されるとともに、チャンバー壁内側に矩形ターゲットを保持するマグネトロンが設置された構造を有している。基板を取り付けた基板ホルダーを回転させながらマグネトロンに電力を投入し、ターゲット上面にプラズマを発生させるとともに、所定の反応ガスをチャンバー内に導入することによって成膜が行われる。
【0005】
この場合、カバーガラスを複数のホルダーに各々取り付けて成膜するのが一般的ではあるが、最近では、一回のバッチ処理でより多くの枚数のカバーガラスに成膜できるように、また、カバーガラスのホルダーへの取り付け・ホルダーからの取り外しの際にできる傷などを低減するために、キャリアガラス基板等に複数枚のカバーガラスを粘着テープで仮固定して、該キャリアガラス基板をホルダーに取り付けて成膜し、成膜後に粘着テープを剥離・除去する方法も検討されている。この方法による成膜の場合、ホルダーはカバーガラスに直接接触することが無いので、例えば、2.5D〜3Dタイプのカバーガラスの側面部も含めた表面の全面に機能性薄膜の成膜が可能となる。ホルダー上記の成膜時のカバーガラスの温度は、機能性薄膜の密着性向上の観点から、150〜200℃の高温に設定される場合がある。また、機能性薄膜の積層数や材質にも依存するが、成膜時間は30〜60分程度であることが多い。また、上記の成膜時の真空度は、通常10−4Torr以下である。したがって、上記粘着テープには、スパッタ工程において、(1)カバーガラスが脱落しない仮固定力、(2)成膜された機能性薄膜の外観、特性に影響を与えないレベルまでアウトガス発生量が抑制、制御されていること、(3)成膜後、カバーガラスがキャリアガラス基板等から破損、糊残することなく剥離できること、が要求される。
【0006】
真空雰囲気下や高温で使用されるテープや積層体として、基材と、基材の少なくとも片側に配置された粘着剤層とを備え、粘着剤層が、ベースポリマーと光重合開始剤とを含む活性エネルギー線硬化型粘着剤から構成され、光重合開始剤のTGA(熱重量解析)における5%重量減少温度が160℃以上である、真空プロセス用粘着テープ(特許文献3参照)や、基材と、基材の一の面上に積層された粘着剤層とを備えた積層体であって、粘着剤層は、シリコーン系粘着剤組成物から形成されたものであり、シリコーン系粘着剤組成物は、シロキサン結合を主骨格としアルケニル基を含有する付加型のオルガノポリシロキサンを構成成分として含むシリコーンゴムと、シリコーンゴム100質量部あたり0.01質量部以上3質量部以下の白金触媒と、シリコーンゴム100質量部あたり15質量部以上100質量部以下のシリコーンレジンとを含み、粘着剤層を、空気雰囲気内で、23℃から200℃まで5℃/分で加熱したときの、40℃における質量に対する200℃における質量の減少率が0.20質量%以下であることを特徴とする積層体(特許文献4参照)等が知られている。
【0007】
特許文献3には、具体的に、真空プロセスの一例として、フリップチップ実装時の半導体チップのバンプを補強・保護するために、アンダーフィル材としての粘着テープを該半導体チップに貼り付けるプロセスが例示されており、該プロセスにおいては、半導体チップ上方(バンプ形成面)に粘着テープを配置した状態で、粘着テープの上方および下方において別々の気密空間を形成し、上方の気密空間および下方の気密空間ともに減圧し、その後、上方の気密空間のみ大気圧に戻すことにより、差圧を利用して、被着体に粘着テープが貼り付けられる。上方の気密空間および下方の気密空間ともに減圧するプロセスが、真空プロセスに該当すると記載されており、実施例では、加温減圧環境下(100℃、1000Pa=7.5Torr)に1時間放置した時の粘着シートからのアウトガス量が100〜400μg/粘着シート1gの範囲であることが記載されている。
【0008】
特許文献4には、シリコーン系粘着剤組成物から形成された粘着剤層を備えた粘着シートの軽剥離型剥離シートを剥離して、粘着剤層の面を無アルカリのガラス基板からなる基材の一方の主面に貼付し、次いで、重剥離型剥離シートを剥離して、無アルカリのガラス基板からなる基材と粘着剤組成物層とを備えた積層体を作製し、該積層体を、温度が240℃の空気雰囲気を保持するオーブン内に投入し、60分間この雰囲気内に置いた後オーブンから取り出し、23℃、相対湿度50%の空気雰囲気内にて23℃まで放冷するアニール処理を行って、耐質量減少性を付与することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2017−171556号公報
【特許文献2】特開2006−265739号公報
【特許文献3】特開2017−214528号公報
【特許文献4】特開2014−195922号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、特許文献3に記載の粘着テープは、1.0×10−4Torr以下の高真空下で使用した場合には、粘着テープからのアウトガスの発生を十分に抑えることができず、例えば、カバーガラスに対して、強化用無機膜や反射防止膜等の機能性薄膜をスパッタリングにより成膜した際に、機能性薄膜の外観、特性に悪影響を及ぼすおそれがあった。
【0011】
また、特許文献4では、枚葉の積層体の作製・準備に続いて、240℃以上のオーブン内に投入し、60分間この雰囲気内に置いた後に、23℃、相対湿度50%空気雰囲気内にて放冷する長時間アニール処理工程を必要とするため、作業性・生産性に改善の余地があった。また、シリコーン系粘着剤組成物を、例えば、350℃で60分間以上アニール処理した場合に、粘着剤が変性したり分解したりすることがあり、被着体に糊残(粘着剤残り)するおそれがあった。
【0012】
このように、カバーガラス等の耐熱基板に機能性薄膜を成膜するために、スパッタリング、蒸着等の真空成膜プロセスを採用する場合、従来の活性エネルギー線硬化型アクリル系粘着剤やシリコーン系粘着剤を適用した粘着テープは必ずしも最適であるとは言えず、性能面や生産性について、まだ改善の余地を有していた。
【0013】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであって、ガラスやフィルム等の薄膜基板に対して、スパッタリング、蒸着等の真空成膜プロセスにより機能性薄膜を形成する際に、粘着テープからのアウトガスの発生を、機能性薄膜の外観、特性に悪影響を及ぼさないレベルまで抑制することが可能で、さらに、ロール・ツー・ロール方式でも生産可能な真空プロセス用粘着テープを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明者らは、かかる目的のもと、真空プロセス用粘着テープの粘着剤層について鋭意検討した結果、粘着剤層として、(1)ケイ素原子結合アルケニル基を含有するシリコーンガム(G)とケイ素原子結合アルケニル基を含有しないシリコーンレジン(R)とが、該質量比(G)/(R)において、(G)/(R)=35/65〜100/0の範囲となるように配合され、且つ、ケイ素原子結合アルケニル基の含有量を1.0×10−5〜1.0×10−3mol/gの範囲とした付加反応型シリコーン系樹脂を主成分とし、該付加反応型シリコーン系樹脂を、(2)ケイ素原子結合水素原子(SiH)を有するオルガノポリシロキサンおよび白金族金属系触媒により架橋することで、He雰囲気下で測定した200℃の貯蔵弾性率が1.0×10〜1.0×10Paの範囲となるように設計した粘着剤組成物を使用し、該粘着剤層を備えた粘着テープについて、真空度1.0×10−4Torr以下の雰囲気下において、昇温速度10℃/分で23℃から200℃まで昇温した後、200℃で30分維持した際に発生するアウトガスの総量が180mg/m以下となるように調整すれば、該粘着テープを、スパッタリング、蒸着等の真空成膜プロセスにより耐熱基板上に機能性薄膜を形成する際の仮固定用粘着テープとして用いた場合に、成膜プロセス中に生じる粘着テープからのアウトガスの発生を抑制でき、得られる機能性薄膜の外観、特性に悪影響を及ぼさないこと、また再剥離性(加工被着体への糊残がない、剥離時に加工被着体を破損しない)に優れること、さらにロール・ツー・ロール方式でも生産可能なことを見出し、本発明をなすに至った。
【0015】
従来の高温の環境下に置かれてもアウトガスが発生しにくいシリコーン系粘着剤組成物を使用した積層体においては、積層体をアニール処理により200℃以上で60分間以上加熱して、該積層体の粘着剤層の内部に残留する揮発性成分(溶剤や低分子シロキサン成分)を粘着剤組成物層から除去する方法を採っていた。しかしながら、この方法では、一般的な粘着テープのようにロール・ツー・ロール方式で生産するのは極めて困難であり、作業性も劣る。また、処理温度や処理時間によっては、粘着剤が分解、劣化したり、逆にアウトガス要因となる分解物が増加してしまうおそれもある。
【0016】
本発明者らは、粘着テープから発生するアウトガス量を低減する方法として、高温、長時間のアニール処理以外の手法について種々検討する上で、粘着テープの使用環境が空気中ではなく高真空下である点に着目した。すなわち、粘着テープの使用環境が空気中の高温下ではなく、特殊な高真空下、つまり密閉下の高温においては、シリコーン系粘着剤中のシリコーンガムは、酸化分解は起こりにくいが、一方で、主鎖骨格中のケイ素原子と別の主鎖骨格中の酸素原子との間に相互作用が強く働いた場合、主鎖骨格の一部においてクラッキングが進行し、低分子量化を引き起こすことがある。また、シリコーンレジンも、同様に、酸化分解は起こりにくいが、特に末端にシラノールを有している場合等は、末端シラノールが同一主鎖骨格内のケイ素原子と酸素原子との間に相互作用が強く働き、環状を形成した場合、直鎖状低分子シロキサンや環状シロキサン等の低分子量成分が生じることがある。その結果、高真空、高温下で粘着テープを使用した場合、やはり粘着剤層からアウトガスが発生しやすくなると考えられる。これらのことから、シリコーンガムのアルケニル基の含有量の適正化により粘着剤層の高度な架橋構造化を図り、高真空、高温下におけるシリコーン系粘着剤の貯蔵弾性率を大きくすれば、シリコーンガムおよびシリコーンレジンの分子鎖の運動が制限され、主鎖骨格同士の相互作用や同一骨格内での相互作用を抑制できるので、通常のロール・ツー・ロール方式で製造された粘着テープであっても、上記のような低分子量成分の新たな発生を抑制することが可能となり、その結果、真空成膜プロセスにおいて粘着剤からのアウトガスの発生を抑制できるものと考える。
【0017】
本発明は次のような構成からなる。すなわち、本発明の真空プロセス用粘着テープは、
基材と、基材の少なくとも一方の面に粘着剤層とを、備え、
上記粘着剤層は、主成分として付加反応型シリコーン系樹脂、架橋剤として1分子中に
少なくとも2個以上のケイ素原子結合水素原子(SiH)を有するオルガノポリシロキサン、および触媒として白金族金属系触媒を、含む樹脂組成物から成り、
上記付加反応型シリコーン系樹脂は、ケイ素原子結合アルケニル基を含有するオルガノポリシロキサンから成るシリコーンガム(G)とケイ素原子結合アルケニル基を含有しないオルガノポリシロキサンから成るシリコーンレジン(R)とが、該質量比(G)/(R)=35/65〜100/0の範囲となるように配合されたものであり、且つ、ケイ素原子結合アルケニル基の含有量が1.0×10−5〜1.0×10−3mol/gの範囲であり、
上記粘着剤層は、He雰囲気下で測定した200℃の貯蔵弾性率が1.0×10〜1.0×10Paの範囲であり、
上記粘着テープは、真空度1.0×10−4Torr以下の雰囲気下において、昇温速度10℃/分で23℃から200℃まで昇温した後、さらに200℃で30分間維持した際に発生するアウトガスの総量が180mg/m以下である、ことを特徴とする。
【0018】
上記態様において、上記基材は、ポリエチレンテレフタレートフィルムであることが好ましい。
【0019】
また、上記粘着テープは、反射防止膜、防眩膜、防汚膜、着色膜の群から選ばれる一種の機能性薄膜を耐熱基板上に形成するために適用される真空プロセス用粘着テープである。
熱基板上に形成するための真空プロセス用粘着テープである。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、ガラスやフィルム等の薄膜基板に対して、スパッタリング、蒸着等の真空成膜プロセスにより機能性薄膜を形成する際に、粘着テープからのアウトガスの発生を、機能性膜の外観、特性に悪影響を及ぼさないレベルまで抑制することが可能で、さらに、ロール・ツー・ロールでも生産可能な真空プロセス用粘着テープを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本実施の形態が適用される片面粘着テープの構成の一例を示した図である。
図2】本実施の形態が適用される両面粘着テープの構成の一例を示した図である。
図3】本実施の形態が適用される両面粘着テープにより複数枚の薄膜基板がキャリア基板に仮固定された縦置き姿勢の状態の一例を示した図である。
図4】本実施の形態が適用される両面粘着テープにより複数枚の薄膜基板がキャリア基板に仮固定された縦置き姿勢の状態の別の一例を示した図である。
図5】本実施の形態が適用される片面粘着テープによる薄膜基板のキャリア基板に対する仮固定方法の一例を示した図である。
図6】本実施の形態が適用される片面粘着テープによる薄膜基板のキャリア基板に対する仮固定方法の別の一例を示した図である。
図7】本実施の形態が適用される両面粘着テープによる薄膜基板のキャリア基板に対する仮固定方法の一例を示した図である。
図8】本実施の形態が適用される両面粘着テープによる薄膜基板のキャリア基板に対する仮固定方法の別の一例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、添付図面を参照して本発明の実施の形態について詳細に説明する。
(粘着テープの構成)
図1は、本実施の形態が適用される真空プロセス用粘着テープの一例である片面粘着テープ10(以下、単に粘着テープ10と称する場合がある)の構成を示した図である。また、図2は、本実施の形態が適用される真空プロセス用粘着テープ別の一例である両面粘着テープ20(以下、単に粘着テープ20と称する場合がある)の構成を示した図である。本実施の形態の粘着テープ10、20は、具体的には、例えば、カバーガラスの表面に反射防止膜を形成する真空プロセスにおいて、真空装置内に保持されたキャリア基板(ガラス、SUS等)上に個片化されたカバーガラスを仮固定するために使用される。
【0023】
図1に示すように、粘着テープ10は、基材1の一方の面に、付加反応型シリコーン系樹脂を主成分とする粘着剤層の一例としての粘着剤層2が積層された片面粘着テープの構成を有している。また、図2に示すように、粘着テープ20は、基材1の両面に、付加反応型シリコーン系樹脂を主成分とする粘着剤層の一例としての粘着剤層2および粘着剤層3がそれぞれ積層された両面粘着テープの構成を有している。ここで、粘着剤層2と粘着剤層3は、同一であってもよいし、異なっていてもよい。
なお、図示は省略するが、粘着テープ10、20は、基材1と粘着剤層2との間、基材1と粘着剤層3との間に、必要に応じて、基材1と粘着剤層2との密着性、基材1と粘着剤層3との密着性を高めるためのアンカーコート層を備えていてもよい。また、粘着剤層2の表面(基材1に対向する面とは反対側の面)、粘着剤層3の表面(基材1に対向する面とは反対側の面)に、剥離フィルムを備えていてもよい。また、片面粘着テープ10の構成の場合、基材1の表面(粘着剤層2とは反対側の面)に、剥離性改良処理等の表面処理を施してもよい。
【0024】
<基材>
本実施の形態の基材1は、特に限定されないが、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリフェニレンサルファイド、二軸延伸ポリプロピレン、ポリイミド、脂肪族ポリイミド(透明性ポリイミド)、ポリシクロオレフィン、フッ素系樹脂、ポリオレフィン樹脂等の樹脂フィルムを用いることができる。また、用途に応じて基材2には、例えば、ポリエチレンテレフタレートとポリオレフィン樹脂フィルムとをラミネートした複合フィルム、およびこれらの複合フィルムをさらに樹脂フィルムとラミネートした複合フィルム、共押し出しで複層とした樹脂フィルム等を用いてもよい。この中でも、基材1としては、汎用性の観点から、ポリエチレンテレフタレートを主成分とする材料を用いることが好ましい。上記基材の厚さは、好ましくは12〜200μmの範囲であり、より好ましくは25〜100μmの範囲である。
【0025】
<粘着剤層>
本実施の形態の粘着剤層2、3は、付加反応型シリコーン系樹脂を主成分として含んでいる。具体的には、上記付加反応型シリコーン系樹脂は、ケイ素原子結合アルケニル基を有するオルガノポリシロキサンからなるシリコーンガム(G)とケイ素原子結合アルケニル基を有さないオルガノポリシロキサンからなるシリコーンレジン(R)とを、該質量比(G)/(R)が35/65〜100/0の範囲となるように配合された樹脂から成る。 以下、粘着剤層2、3を構成する各成分について詳細に説明する。
【0026】
[付加反応型シリコーン系樹脂]
付加反応型シリコーン系樹脂は、ケイ素原子結合アルケニル基を含有するポリジメチルシロキサン等のオルガノポリシロキサンから成るシリコーンガム(G)と、ケイ素原子結合アルケニル基を含有しないポリジメチルシロキサン等のオルガノポリシロキサンから成るシリコーンレジン(R)とを、該質量比(G)/(R)が35/65〜100/0の範囲となるように配合された樹脂から成る。また、上記付加反応型シリコーン系樹脂は、ケイ素原子結合アルケニル基の含有量が1.0×10−5〜1.0×10−3mol/gの範囲となるように設計される。
【0027】
上記ケイ素原子結合アルケニル基の含有量が1.0×10−5mol/g未満であると、粘着剤層2、3の架橋・硬化が不十分となりやすく、また、架橋密度も低くなる。その結果、粘着剤層2、3のHe雰囲気下での200℃の貯蔵弾性率が低下するため、アウトガスの発生量が多くなり、成膜された機能性薄膜の外観が悪くなるおそれがある。また、粘着剤層2、3の凝集力も低下するため、成膜後に粘着テープ10、20を剥離した際に薄膜基板に糊残が発生するおそれがある。一方、上記ケイ素原子結合アルケニル基の含有量が1.0×10−3mol/gを超えると、粘着剤層2、3の架橋・硬化が過度に進行しやすく、架橋密度も過度に高くなる。その結果、粘着剤層2、3の粘着力が極端に低下するため、薄膜基板の仮固定力が不十分となり、成膜中に薄膜基板が脱落するおそれがある。
【0028】
以下、付加反応型シリコーン系樹脂に含まれる、ケイ素原子結合アルケニル基を含有するポリジメチルシロキサン等のオルガノポリシロキサンから成るシリコーンガム(G)と、ケイ素原子結合アルケニル基を含有しないポリジメチルシロキサン等のオルガノポリシロキサンから成るシリコーンレジン(R)についてさらに詳しく説明する。
なお、以下の説明において、ケイ素原子結合アルケニル基を含有するポリジメチルシロキサン等のオルガノポリシロキサンから成るシリコーンガム(G)を、ケイ素原子結合アルケニル基を含有するシリコーンガム(G)、または、単にシリコーンガム(G)と表記する場合がある。同様に、ケイ素原子結合アルケニル基を含有しないポリジメチルシロキサン等のオルガノポリシロキサンから成るシリコーンレジン(R)を、ポリジメチルシロキサン等のオルガノポリシロキサンから成るシリコーンレジン(R)、または、単にシリコーンレジン(R)と表記する場合がある。
【0029】
[ケイ素原子結合アルケニル基を含有するポリジメチルシロキサン等のオルガノポリシロキサンからなるシリコーンガム(G)]
本実施の形態におけるケイ素原子結合アルケニル基を含有するポリジメチルシロキサン等のオルガノポリシロキサンからなるシリコーンガム(G)は、付加反応型シリコーン系粘着剤や付加反応型シリコーン系剥離剤に使用されるもの、すなわち、平均して1分子中に少なくとも2個のケイ素原子結合アルケニル基を含有するものであればよく、特に限定されるものではない。具体的には、上記シリコーンガム(G)として、ケイ素原子結合アルケニル基の含有量が1.0×10−6〜1.0×10−1mol/gの範囲であるものを使用することができるが、粘着剤層2、3の貯蔵弾性率の制御の観点から、2.0×10−6〜1.0×10−2mol/gの範囲であるものを使用することが好ましい。上記シリコーンガム(G)は、上述した付加反応型シリコーン系樹脂におけるアルケニル基の含有量が1.0×10−5〜1.0×10−3mol/gの範囲となるように、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0030】
上記ケイ素原子結合アルケニル基を含有するポリジメチルシロキサン等のオルガノポリシロキサンの分子構造としては、例えば、主鎖部分がジオルガノシロキサン単位の繰り返しからなる直鎖状構造、該分子構造の一部に分枝鎖を含んだ構造、分岐鎖状構造、または環状体構造が挙げられる。中でも、粘着剤の機械的強度等、物性の点から、直鎖状構造のオルガノポリシロキサンが好ましい。
【0031】
上記ケイ素原子結合アルケニル基を含有するオルガノポリシロキサンからなるシリコーンガム(G)は、オイル状又は生ゴム状であってよいが、生ゴム状であるのが好ましい。
上記シリコーンガム(G)がオイル状である場合、オルガノポリシロキサンからなるシリコーンガム(G)の粘度は、25℃において、1,000mPa・s以上が好ましい。上記粘度が1000mPa・s未満では、粘着剤層2、3が所望の粘着特性や物性を発現できないおそれや、粘着剤層2、3と基材1との密着性が劣るおそれがある。上記シリコーンガム(G)が生ゴム状である場合、オルガノポリシロキサンからなるシリコーンガム(G)を、30質量%の濃度となるようにトルエンで溶解した時の粘度は、25℃において100,000mPa・s以下が好ましい。上記粘度が100,000mPa・sを超えると、粘着剤組成物を調製する時の撹拌が困難になるおそれや、均一塗工が困難になるおそれがある。なお、上記粘度はBM型回転粘度計を用いて測定することができる。
【0032】
ケイ素原子結合アルケニル基を含有するオルガノポリシロキサンからなるシリコーンガム(G)は、例えば、下記一般式(1)または一般式(2)で示すものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0033】
【化1】
【0034】
【化2】
【0035】
ここで、上記一般式(1)、一般式(2)において、R1は、互いに独立に、脂肪族不飽和結合を有さない1価炭化水素基であり、Xはアルケニル基含有有機基である。aは0〜3の整数であり、mは0以上の整数であり、nは100以上の整数であり、但しaとmは同時に0にならない。m+nは、上記オルガノポリシロキサンの25℃における粘度が1,000mPa・s以上となる値である。
【0036】
上記R1としては、炭素数1〜10、好ましくは炭素数1〜7の、脂肪族不飽和結合を有さない1価炭化水素基が好ましい。例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、及びブチル基などのアルキル基;シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;及びフェニル基、及びトリル基等のアリール基等が挙げられ、特に、メチル基又はフェニル基が好ましい。
【0037】
上記Xとしては、炭素数2〜10のアルケニル基含有有機基が好ましい。例えば、ビニル基、アリル基、ヘキセニル基、オクテニル基、アクリロイルプロピル基、アクリロイルメチル基、メタクリロイルプロピル基、アクリロキシプロピル基、アクリロキシメチル基、メタクリロキシプロピル基、メタクリロキシメチル基、シクロヘキセニルエチル基、及びビニルオキシプロピル基等が挙げられる。中でも、ビニル基、アリル基、ヘキセニル基等の低級アルケニル基が好ましく、工業的観点から、特にはビニル基が好ましく、架橋性の観点からは、特にはヘキセニル基が好ましい。上記アルケニル基の結合位置は特に限定されず、分子鎖末端、分子鎖側鎖又は分子鎖末端と分子鎖側鎖両方でもよい。
【0038】
上記アルケニル基の数は、付加反応型シリコーン系粘着剤に含まれるポリジメチルシロキサン等のオルガノポリシロキサンからなるシリコーンレジン(R)の含有量や架橋剤の添加量や他の添加成分との兼ね合いで適切な範囲が変わるので、一概には言えないが、例えば、オルガノポリシロキサンのオルガノ基100個に対して、通常0.02〜3.0個の範囲であることが好ましい。そして、この比率の範囲で、上述した粘度の範囲となるように分子量を調整して、平均してオルガノポリシロキサン1分子中の上記アルケニル基の数が少なくとも2個となるように調整するのが好ましい。
【0039】
上記アルケニル基の数がオルガノポリシロキサンのオルガノ基100個に対して0.02個未満であると、粘着剤層2、3の架橋・硬化が不十分となりやすく、また、架橋密度も低くなる。その結果、粘着剤層2、3の、He雰囲気下での200℃の貯蔵弾性率が低下するため、アウトガスの発生量が多くなり、凝集力も低下する。この場合、成膜された機能性薄膜の外観が悪くなるおそれや、成膜後に粘着テープ10、20を剥離した際に薄膜基板に糊残が発生するおそれがある。一方、上記アルケニル基の数がオルガノポリシロキサンのオルガノ基100個に対して3.0個を超えると、粘着剤層2、3の架橋・硬化が過度に進行し、架橋密度も過度に高くなる。その結果、粘着剤層2、3の粘着力が極端に低下するおそれがある。この場合、薄膜基板の仮固定力が不十分となり、成膜中に薄膜基板が脱落するおそれがある。
【0040】
上記ケイ素原子結合アルケニル基を含有するシリコーンガム(G)の具体例としては、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖メチルフェニルポリシロキサン、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルヘキセニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルヘキセニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルヘキセニルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルヘキセニルシロキサン共重合体等が挙げられる。
【0041】
[ポリジメチルシロキサン等のオルガノポリシロキサンからなるシリコーンレジン(R)]
本実施の形態におけるポリジメチルシロキサン等のオルガノポリシロキサンからなるシリコーンレジン(R)は、R23SiO0.5単位(M単位)およびSiO2単位(Q単位)を有するオルガノポリシロキサンであり、所謂MQレジンと称されるものである。このポリジメチルシロキサン等のオルガノポリシロキサンからなるシリコーンレジン(R)は、基本的には分子内にアルケニル基を有しておらず、従来公知のものを使用することができる。R2は炭素数1〜10の1価炭化水素基であり、上述のR1として例示したものが挙げられる。上記オルガノポリシロキサンは、R23SiO0.5単位およびSiO2単位を、R23SiO0.5単位/SiO2単位のモル比で0.5以上1.7以下の範囲となるように含有するのが好ましい。R23SiO0.5単位/SiO2単位のモル比が0.5未満では、得られる粘着剤層2、3の粘着力やタックが低下する場合があり、薄膜基板の仮固定力が不十分となり、成膜中に薄膜基板が脱落するおそれがある。一方、R23SiO0.5単位/SiO2単位のモル比が1.7を超えると、得られる粘着剤層2の粘着力や保持力が低下する場合があり、薄膜基板の仮固定力が不十分となり、成膜中に薄膜基板が脱落するおそれがある。なお、上記オルガノポリシロキサンはOH基を有していてもよいが、その場合、OH基の含有量は、上記オルガノポリシロキサンの総質量に対して4.0質量%以下であるのが好ましい。OH基の含有量が4.0質量%を超えると、低分子シラノールや環状シロキサン等の低分子量成分が生じやすくなるため、アウトガスの発生量が多くなり、成膜された機能性薄膜の外観が悪くなるおそれがある。
【0042】
上記ポリジメチルシロキサン等のオルガノポリシロキサンからなるシリコーンレジン(R)は、単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。また、上記オルガノポリシロキサンは、本発明の特性を損なわない範囲で、R2SiO1.5単位(T単位)及び/又はR22SiO単位(D単位)を有していてもよい。
【0043】
上記のケイ素原子結合アルケニル基を含有するポリジメチルシロキサン等のオルガノポリシロキサンからなるシリコーンガム(G)とポリジメチルシロキサン等のオルガノポリシロキサンからなるシリコーンレジン(R)とは単純に混合して使用してもよい。また、ケイ素原子結合アルケニル基を含有するポリジメチルシロキサン等のオルガノポリシロキサンからなるシリコーンガム(G)として、上記一般式(2)で示されるオルガノポリシロキサンを含有する場合には、本発明の特性を損なわない限りにおいては、ケイ素原子結合アルケニル基を含有するポリジメチルシロキサン等のオルガノポリシロキサンからなるシリコーンガム(G)とポリジメチルシロキサン等のオルガノポリシロキサンからなるシリコーンレジン(R)とを予め反応させて得られる(部分)縮合反応物として使用してもよい。
【0044】
[本実施形態の粘着剤層に含まれるシリコーンガム(G)とシリコーンレジン(R)との質量比(G)/(R)]
本実施形態の粘着剤層2、3に含まれる付加反応型シリコーン系樹脂におけるシリコーンガム(G)とシリコーンレジン(R)との質量比(G)/(R)は、35/65〜100/0の範囲であり、好ましくは50/50〜70/30の範囲である。ここで、シリコーンガム(G)を2種以上併用する場合は、それぞれのシリコーンガムの合計量を、付加反応型シリコーン系樹脂におけるシリコーンガム(G)の質量と見做す。同様に、シリコーンレジン(R)を2種以上併用する場合も、それぞれのシリコーンレジンの合計量を、付加反応型シリコーン系樹脂におけるシリコーンレジン(R)の質量と見做す。
【0045】
本実施形態の粘着剤層2、3に含まれるシリコーンガム(G)とシリコーンレジン(R)のとの質量比(G)/(R)が上記範囲の下限値未満であると、すなわち、シリコーンガク(G)の含有比率が小さいと、特に、シリコーンガム(G)のケイ素原子結合アルケニル基の含有量が少ない場合に、粘着剤層2、3の架橋・硬化が不十分となりやすく、また、架橋密度も低くなる。その結果、粘着剤層2、3の、He雰囲気下での200℃の貯蔵弾性率が低下するため、アウトガスの発生量が多くなり、シリコーンレジン(R)の量が多いことと相まって凝集力も低下する。この場合、成膜された機能性薄膜の外観が悪くなるおそれや、成膜後に粘着テープ10、20を剥離した際に薄膜基板に糊残が発生するおそれがある。また、シリコーンガム(G)のケイ素原子結合アルケニル基の含有量が本発明の好ましい範囲内であっても、やはり、シリコーンレジン(R)の量が多くなるので、粘着力が大きくなりすぎて、成膜後に粘着テープ10、20を剥離する際に、薄膜基板が破損するおそれや、薄膜基板に糊残が発生するおそれがある。
【0046】
これに対し、本実施形態の粘着剤層2、3に含まれる付加反応型シリコーン系樹脂におけるシリコーンガム(G)とシリコーンレジン(R)の質量比(G)/(R)を上述した範囲とし、付加反応型シリコーン系樹脂のケイ素原子結合アルケニル基の含有量を上述した1.0×10−5〜1.0×10−3mol/gの範囲とした場合に、粘着剤層において、He雰囲気下で測定した200℃の貯蔵弾性率を1.0×10〜1.0×10Paの範囲に設計することが可能となり、粘着テープ10、20において、真空度1.0×10−4Torr以下の雰囲気下において、昇温速度10℃/分で23℃から200℃まで昇温した後、さらに200℃で30分間維持した際に発生するアウトガスの総量を180mg/m以下、に抑制、制御することが容易となる。その結果、以下の効果を実現できる。すなわち、第一の効果として、機能性薄膜の成膜中にカバーガラス等の薄膜基板が脱落しない仮固定力を確保することができ、高真空・高温下においても粘着力の増大を抑制することができる。第二の効果として、アウトガスの影響が抑制され、成膜された機能性薄膜、例えば反射防止膜の外観、特性を良好なものとすることができる。第三の効果として、成膜後の薄膜基板をキャリアガラス基板等から破損、糊残することなく剥離することができる。
【0047】
また、本発明の付加反応型シリコーン系樹脂としては、シリコーンガム(G)とシリコーンレジン(R)があらかた混合された市販の付加反応型シリコーン系樹脂や市販のシリコーンガム(G)を使用することもできる。市販の付加反応型シリコーン系樹脂としては、例えば、信越化学工業株式会社製のKR3700、KR3701、KR3704、X−40−3237−1、X−40−3240、X−40−3291−1、X−40−3270、X−40−3306、KSN−320A、KSN−3002、KS−776L、KS−841、KS−3601、KS−830E、X−62−2825、X−62−2829、X−92−128(いずれも商品名)や、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製のTSR1512、TSR1516、XR37−B9204、TSE−201、XE−25−511、SL6210、SL6510、SL6562、SL6962、SL6062、SL6162(いずれも商品名)や、東レ・ダウコーニング株式会社製のSD4580、SD4584、SD4585、SD4586、SD4587L、SD4560、SD4570、SD4600FC、SD4593、DC7651ADHESIVE、SRX357、BY23−749、SRX211、SD7320、BY24−312、LTC−310、LTC−450A、LTC−750A、SD7292、BY−15−701A(商品名)等が挙げられる。これらは、付加反応型シリコーン系樹脂における、シリコーンガム(G)とシリコーンレジン(R)の質量比(G)/(R)およびケイ素原子結合アルケニル基の含有量を上述した本発明の範囲となるように、1種を単独、または2種以上を併用して用いればよい。なお、東レ・ダウコーニング社製のSD4600FC等の型番等の、後述する架橋剤が内添されていないタイプの付加反応型シリコーン系樹脂については、粘着剤層において、He雰囲気下で測定した200℃の貯蔵弾性率が1.0×10〜1.0×10Paの範囲となるように、架橋剤を後から添加して使用すればよい。
【0048】
[架橋剤]
本実施の形態における架橋剤は、付加反応型シリコーン系樹脂に含まれるシリコーンガム(G)のケイ素原子結合アルケニル基を架橋させるために用いられる。架橋剤としては、1分子中に少なくとも2個、好ましくは3個以上のケイ素原子結合水素原子(SiH)を有するオルガノポリシロキサン(オルガノハイドロジェンポリシロキサン)が使用される。なお、以下の説明において、ケイ素原子結合水素原子(SiH)を有するオルガノポリシロキサンを、単にオルガノハイドロジェンポリシロキサンと表記する場合がある。
【0049】
上記架橋剤として使用されるオルガノハイドロジェンポリシロキサンの分子構造としては、例えば、直鎖状、一部分枝を有する直鎖状、分枝鎖状、網状が例示される。オルガノハイドロジェンポリシロキサンは、25℃における粘度が1〜5,000mPa・sの範囲であることが好ましい。なお、上記粘度はBM型回転粘度計を用いて測定することができる。
【0050】
上記架橋剤として使用されるオルガノハイドロジェンポリシロキサンは、従来公知のものを用いることができる。例えば、このオルガノハイドロジェンポリシロキサンとしては、下記一般式(3)または一般式(4)で示すものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0051】
【化3】
【0052】
【化4】
【0053】
ここで、一般式(3)、一般式(4)において、Rは、炭素数1〜10の1価炭化水素基であり、bは0または1であり、p及びqは整数であり、該オルガノハイドロジェンポリシロキサンの25℃における粘度が1〜5,000mPa・sとなる値である。rは2以上の整数であり、sは0以上の整数であり、かつr+s≧3であり、好ましくは8≧r+s≧3である。オルガノハイドロジェンポリシロキサンは2種以上の混合物であってもよい。
【0054】
上記R3は、炭素数1〜10、好ましくは炭素数1〜7の1価炭化水素基である。例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、及びブチル基等のアルキル基;シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;及びフェニル基、及びトリル基等のアリール基、ビニル基及びアリル基等のアルケニル基が挙げられる。特には、メチル基又はフェニル基が好ましい。
【0055】
上記架橋剤として使用されるオルガノハイドロジェンポリシロキサンの含有量は、シリコーンガム(G)のケイ素原子結合アルケニル基の含有量およびオルガノハイドロジェンポリシロキサンが有するケイ素原子結合水素原子の含有量との兼ね合いで適切な範囲が変わるので、一概には言えないが、通常は、例えば、ケイ素原子結合アルケニル基を含有するポリジメチルシロキサン等のオルガノポリシロキサンからなるシリコーンガム(G)中のアルケニル基の総量に対するオルガノハイドロジェンポリシロキサン中のケイ素原子結合水素原子(SiH)の総量のモル比(SiH基/アルケニル基)が0.15〜15.0の範囲となる量が好ましく、0.5〜10.0以下の範囲となる量がより好ましく、1.5〜5.0以下の範囲となる量が最も好ましい。
【0056】
オルガノハイドロジェンポリシロキサンの含有量が上記下限値未満である場合、粘着剤層2、3の架橋・硬化が不十分となり、He雰囲気下での200℃の貯蔵弾性率が低下するため、アウトガスの発生量が多くなり、凝集力も低下する。この場合、成膜された機能性薄膜の外観が悪くなるおそれや、成膜後に粘着テープ10、20を剥離した際に薄膜基板に糊残が発生するおそれがある。一方、オルガノハイドロジェンポリシロキサンの含有量が上記上限値を超える場合、残存するケイ素原子結合水素原子(SiH)がシラノール化(Si−OH)し、成膜中に脱水縮合反応した際に生成する水分がアウトガスとなり、成膜された機能性薄膜の外観が悪くなるおそれがある。また、薄膜基板との密着力が大きくなり、成膜後に粘着テープ10、20を剥離する際に、薄膜基板が破損するおそれや、薄膜基板に糊残が発生するおそれがある。
【0057】
本実施形態の粘着剤層2、3における架橋剤の含有量は、上述したように、ケイ素原子結合アルケニル基を含有するポリジメチルシロキサン等のオルガノポリシロキサンからなるシリコーンガム(G)中のアルケニル基の総量に対するオルガノハイドロジェンポリシロキサン中のケイ素原子結合水素原子(SiH)の総量が上述した0.15〜15.0mol当量の範囲内になるように調整すればよい。この範囲を満たす架橋剤の好ましい含有量を添加質量部として示すとすれば、架橋剤が有するケイ素原子結合水素原子(SiH)の数等の兼ね合いで適切な範囲が変わるので、一概には言えないが、通常は、例えば、付加反応型シリコーン系樹脂の固形分100質量部に対して、架橋剤を固形分で0.1〜15.0質量部の範囲となるように添加すればよい。
【0058】
付加反応型シリコーン系樹脂に対する架橋剤の含有量を上記0.15〜15.0mol当量の範囲とすることで、シリコーンガム(G)のアルケニル基と架橋剤のSiH基の間でヒドロシリル化反応、すなわち、粘着剤層2、3の架橋・硬化が十分に進み、凝集力、He雰囲気下での200℃の貯蔵弾性率を適切なものとすることができる。また、余剰の残存SiH基量が粘着剤層2、3に対して上述したような悪影響を与えないレベルとすることができる。
【0059】
好ましい一形態においては、粘着剤層に含まれるケイ素原子結合水素原子の個数はケイ素原子結合アルケニル基の個数よりも多くなるように調節される。かかる場合、ケイ素原子結合アルケニル基の含有量が架橋の量に対応するので、貯蔵弾性率を適切に調節し易くなる。
【0060】
したがって、このように架橋・硬化された付加反応型シリコーン系樹脂からなる粘着剤層2、3を備えた粘着テープ10、20を、スパッタリング、蒸着等の真空成膜プロセスにより機能性薄膜を薄膜基板に形成する際の薄膜基板の仮固定用テープとして使用した場合、粘着テープ10、20からのアウトガスの発生量を低減できるので、成膜された機能性薄膜の外観を良好なものとすることができる。また、成膜後に粘着テープ10、20を剥離する際に、薄膜基板の破損や薄膜基板への糊残の発生を大幅に抑制することができる。
【0061】
架橋剤としては、付加反応型シリコーン系樹脂の架橋剤として使用されるもの、すなわち、1分子中に少なくとも2個のケイ素原子結合水素原子(SiH)を有するオルガノポリシロキサン(オルガノハイドロジェンポリシロキサン)であればよく、特に限定されるものではない。具体的には、例えば、信越化学株式会社製のX−92−122(商品名)、東レ・ダウコーニング株式会社製のBY24−741(商品名)等が挙げられる。
【0062】
[触媒]
付加反応型シリコーン系樹脂におけるシリコーンガム(G)のアルケニル基と架橋剤のSiH基との間でヒドロシリル化反応を進行させるためには、白金族金属系の触媒が必要となる。触媒の中心金属としては、例えば、白金、パラジウム、イリジウム、ロジウム、オスミウム、ルテニウム等が挙げられ、これらの中でも白金が好適に用いられる。白金系触媒としては、特に限定されるものではないが、例えば、塩化白金酸、塩化白金酸のアルコール溶液、塩化白金酸とアルコールとの反応物、塩化白金酸とオレフィン化合物との反応物、塩化白金酸とビニル基含有シロキサンとの反応物等が挙げられる。上記白金系触媒としては、市販の触媒を用いることもできる。市販の触媒としては、例えば、信越化学工業株式会社製CAT-PL-50Tや、東レ・ダウコーニング株式会社製のSRX-212Cat、NC-25等が挙げられる。上記白金族金属系の触媒の含有量としては、特に限定されるものではないが、シリコーンガム(G)の質量に対し、金属質量が1〜500ppmの範囲となる量が好ましい。金属質量が1ppm未満では、反応が遅く、粘着剤層2、3の架橋・硬化不十分となり、He雰囲気下での200℃の貯蔵弾性率が低下するため、アウトガスの発生量が多くなり、凝集力も低下する。この場合、成膜された機能性薄膜の外観が悪くなるおそれや、成膜後に粘着テープ10を剥離した際に薄膜基板に糊残が発生するおそれがある。一方、金属質量が500ppmを超えると、付加反応型シリコーン系樹脂を含む樹脂組成物の溶液が増粘やゲル化を起こすおそれがある。また、コストが高くなり不経済である。
【0063】
[反応遅延剤]
本実施形態の付加反応型シリコーン系樹脂を含む樹脂組成物には、反応遅延剤を任意に添加することができる。反応遅延剤は、上記樹脂組成物の溶液を調合ないし基材に塗工する際に、加熱硬化の以前に付加反応が開始して溶液が増粘やゲル化を起こさないようにするために任意に添加する成分で、樹脂組成物の溶液中で、付加反応触媒である白金族金属に配位して付加反応を抑制し、塗工した粘着剤層を硬化するために加熱した際に、その配位がはずれて触媒活性が発現し、上述したヒドロシリル化反応を進行させる。上記反応遅延剤としては、付加反応型シリコーン系粘着剤に従来から使用されている1−エチニルシクロヘキサノール等の反応遅延剤を使用することができる。上記遅延剤としては、市販の反応遅延剤を用いることもできる。市販の反応遅延剤としては、例えば、信越化学工業株式会社製CAT PLR−2、東レ・ダウコーニング株式会社製BY24−808等が挙げられる。上記反応遅延剤の含有量としては、特に限定されるものではないが、シリコーンガム(G)100質量部に対し0.01〜5質量部の範囲が好ましい。反応遅延剤の添加量が0.01質量部未満であると、反応を抑制できず、付加反応型シリコーン系樹脂を含む樹脂組成物の溶液が増粘やゲル化を起こすおそれがある。一方、反応遅延剤の添加量が5質量部を超えると、反応が遅くなり架橋・硬化が不十分となるおそれがある。
【0064】
[厚さ]
粘着剤層2、3の厚さは、特に限定されるものではないが、粘着剤層2、3の厚さが厚くなると、高真空、高温下におけるアウトガスの発生量は当然のことながら増大する傾向にある。したがって、真空度1.0×10−4Torr以下の雰囲気下において、粘着テープ10、20を、昇温速度10℃/分で23℃から200℃まで昇温した後、さらに200℃で30分間維持した際に発生するアウトガスの総量が180mg/m以下となるように設定する必要がある。粘着剤層2、3のHe雰囲気下での200℃の貯蔵弾性率等の兼ね合いで粘着剤層2、3の厚さの適切な範囲が変わるので、一概には言えないが、例えば、通常は、上記厚さの下限値は、仮固定力確保の観点からは、3μm以上であることが好ましく、10μm以上がより好ましい。一方、上記厚さの上限値は、アウトガスの総量の抑制、粘着剤層の均一塗工性および残存溶剤量の抑制、ならびに粘着テープ10、20の易剥離性の観点から、200μm以下であることが好ましく、100μm以下であることがより好ましい。
【0065】
(粘着テープ)
本実施形態の粘着テープは、基材1の片面に粘着剤層2を備えた片面粘着テープ10、基材1の両面にそれぞれ粘着剤層2、粘着剤層3を備えた両面粘着テープ20のいずれの形態においても、真空度1.0×10−4Torr以下の雰囲気下において、昇温速度10℃/分で23℃から200℃まで昇温した後、さらに200℃で30分間維持した際に発生するアウトガスの総量が180mg/m以下であり、100mg/m以下であることがより好ましい。上記アウトガスの総量が180mg/mを超えると、該アウトガスの存在が、成膜材料のターゲットからはじき出された原子が成膜用薄膜基板へ輸送される過程や堆積される過程において、本来の原子の動きを阻害し、機能性薄膜の成長に影響を与えるため、真空プロセスにより薄膜基板に成膜された機能性薄膜の外観や特性が悪くなるおそれがある。
【0066】
(粘着テープの製造方法)
続いて、図1において説明した片面粘着テープ10の構成を例に挙げて、その製造方法の一例について説明する。片面粘着テープ10は、従来のシリコーン系粘着テープ、例えば、特開2012−107125等に記載されているプラスチックレンズ成型用シリコーン系粘着テープを製造する方法と同様にロール状にて製造することができ、基材1の一方の面に粘着剤層2を積層し、ロール状の原反として巻き取ることで製造される。
【0067】
<粘着剤層の形成>
基材1の一方の面に対して、まず、粘着剤層2に対する密着性向上のためのアンカーコート剤を塗布、乾燥してアンカーコート層を形成し、該アンカーコート層の上に続けて、付加反応型シリコーン系樹脂を主成分とする粘着剤層2用の樹脂組成物(粘着剤組成物)溶液を塗布、乾燥し、粘着剤層2を形成する。続いて、基材1のもう一方の面に対して、粘着剤層2に対する剥離性改良処理剤を塗布、乾燥して剥離処理層を形成し、ロール状の粘着テープ原反として巻き取る。なお、上記剥離処理層を形成せずに、剥離フィルムを粘着剤層2に貼合して、ロール状の粘着テープ原反として巻き取ってもよい。粘着剤層2の形成について、もう少し具体的に説明すると、まず、アルケニル基を含有するシリコーンガム(G)と、ケイ素原子結合アルケニル基を含有しないシリコーンレジン(R)を主成分とする粘着剤をトルエン、キシレン等の有機溶剤に溶解した溶液に、架橋剤、触媒等を添加して粘着剤層2用の樹脂組成物溶液を作製、準備する。次いで、この樹脂組成物溶液を、基材1のアンカーコート層に対して、乾燥後の厚さが均一となるように、コンマコーターやリップコーター等で塗布する。その後、塗布した粘着剤組成物を所定温度で加熱・乾燥させることで、基材1上にアンカーコート層を介して粘着剤層2を形成する。以上の工程により、図1に示した片面粘着テープ10が得られる。なお、図1では、アンカーコート層および剥離処理層は図示していない。
【0068】
上記粘着剤組成物の加熱・乾燥の条件としては、例えば、上述した特開2012−107125等に開示されている条件を参照にすることができる。具体的には、例えば、基材1にアンカーコート層を介して粘着剤層2用の樹脂組成物溶液を塗布し、乾燥炉の前半ゾーン部において、40〜90℃の温度で段階的に温度を上げて初期乾燥した後、乾燥炉の後半ゾーン部において、130〜200℃の温度範囲で、1〜5分間の加熱乾燥を行い、ロール状の原反として巻き取ればよい。特に、乾燥炉の後半ゾーン部での加熱乾燥の処理により、付加反応型シリコーン系樹脂の材料中に最初から含有されていた低分子量のジメチルポリシロキサンが乾燥の処理条件に応じて粘着剤層2から揮発、低減するとともに、付加反応型シリコーン系樹脂におけるシリコーンガム(G)のヒドロシリル化反応が促進され、粘着剤層2が架橋・硬化する。ここで、本実施形態の片面粘着テープ10の粘着剤層2は、上述したように、真空プロセス用として、付加反応型シリコーン系樹脂におけるシリコーンガム(G)のアルケニル基およびシリコーンガム(G)の含有量の適正化を図っているので、上記の加熱乾燥により、従来の一般的なシリコーン系粘着テープと比べて、粘着剤層2を高度に架橋構造化することが可能となり、高真空、高温下における粘着剤層2の貯蔵弾性率、言い換えれば、He雰囲気下で測定した200℃の貯蔵弾性率を1.0×10〜1.0×10Paの範囲まで大きくすることができる。すなわち、上述したように、シリコーンガム(G)およびシリコーンレジン(R)の分子鎖の運動は、高度な架橋構造により制限され、主鎖骨格同士の相互作用や同一骨格内での相互作用を抑制できるので、真空成膜プロセス中にアウトガスの要因となる低分子量成分が新たに発生する現象を大幅に抑制することが可能となる。その結果、従来技術のように粘着シートの枚葉による高温、長時間アニール処理工程を行わなくても、ロール・ツー・ロール方式により、片面粘着テープ10を真空度1.0×10−4Torr以下の雰囲気下において、昇温速度10℃/分で23℃から200℃まで昇温した後、さらに200℃で30分間維持した際に発生するアウトガスの総量を180mg/m以下にする設計が容易となり、該粘着テープ10を、スパッタリング、蒸着等の真空成膜プロセスにより耐熱基板上に機能性薄膜を形成する際の仮固定用粘着テープとして用いた場合に、真空成膜プロセス中に生じる粘着テープ10からのアウトガスの発生を抑制でき、得られる機能性薄膜の外観を良好なものとすることができる。また、真空成膜中に薄膜基板が脱落しない仮固定力を確保した上で、成膜後に粘着テープ10を剥離する際に、薄膜基板の破損や薄膜基板への糊残の発生を大幅に抑制することができる。
【0069】
次に、図2において説明した両面粘着テープ20の構成を例に挙げて、その製造方法の一例について説明する。基材1の一方の面(1面側)に対して、粘着剤層3に対する密着性向上のためのアンカーコート剤を塗布、乾燥してアンカーコート層を形成し、該アンカーコート層の上に続けて、付加反応型シリコーン系樹脂を主成分とする粘着剤層3用の樹脂組成物溶液を塗布、乾燥し、粘着剤層3を形成する。次いで、粘着剤層3の面に第一の剥離フィルムを貼合して、ロール状の原反として巻き取る。さらに、上記方法と同様にして、粘着剤層3が形成された基材1のもう一方の面(2面側)に対して、アンカーコート層、粘着剤層2を形成し、粘着剤層2の面に第二の剥離フィルムを貼合して、ロール状の原反として巻き取る。以上の工程により、図2に示した両面粘着テープ20が得られる。塗布、乾燥の条件としては、上述した条件と同様に設定すればよい。なお、図2では、第一および第二の剥離フィルムは図示していない。
【0070】
(キャリア基板に対する薄膜基板の粘着テープによる仮固定方法)
上述したように、本実施の形態の粘着テープ10、20は、例えば、カルーセル型スパッタ装置等を用いた真空成膜プロセスにより、スマートフォンのカバーガラスに代表される薄膜基板に、反射防止膜等の機能性薄膜をバッチ処理にて成膜形成する際に、図3、4に示したように、ガラス、SUS等から成るキャリア基板11に複数枚のカバーガラス等の薄膜基板12を仮固定するために使用される。機能性薄膜の成膜に際しては、この複数枚の薄膜基板12が仮固定されたキャリア基板11をカルーセル型スパッタ装置の回転ホルダーに取り付けて、各々の薄膜基板12の表面に反射防止膜等の機能性薄膜を一括して成膜形成する。次いで、本実施の形態の片面粘着テープ10を用いた、薄膜基板11の仮固定方法の一例について説明する。
【0071】
<片面粘着テープ10による仮固定方法>
図5は、本実施の一形態である片面粘着テープ10を用いたキャリア基板11の仮固定方法の一例の概要50を示した図である。まず、キャリア基板11の上に,片面粘着テープ10の剥離フィルムを剥離し、粘着剤層2が上面側になるように片面粘着テープ10を載置し、該片面粘着テープ10の両端部を本実施の形態の短冊状の片面粘着テープ10’(片面粘着テープ10と同一であっても異なっていてもよい)を用いてキャリア基板11に貼り付け、キャリア基板11と片面粘着テープ10を固定する。次いで、片面粘着テープ10の粘着剤層2の面上に、複数枚の薄膜基板12を等間隔に載置して貼り付け(仮固定)、真空プロセスによる成膜に供する。
【0072】
図6は、本実施の一形態である片面粘着テープ10を用いた薄膜基板の仮固定方法の別の一例の概要60を示した図である。まず、キャリア基板11の上に、本実施の形態の2本の短冊状の両面粘着テープ20を粘着剤層3側の第二の剥離フィルムを剥離して並行に貼り付ける。次いで、両面粘着テープ20の粘着剤層2側の第一の剥離フィルムを剥離して、該両面粘着テープ20の粘着剤層2の面上に、片面粘着テープ10(剥離フィルム付き)の粘着剤層2が上側になるように片面粘着テープ10を貼り付ける。次いで、片面粘着テープ10の粘着剤層2側の剥離フィルムを剥離し、該片面粘着テープ10の粘着剤層2の面上に、複数枚の薄膜基板12を等間隔に載置して貼り付け(仮固定)、真空プロセスによる成膜に供する。
【0073】
<両面粘着テープ20による仮固定方法>
図7は、本実施の別の一形態である両面粘着テープ20を用いた薄膜基板11の仮固定方法の一例の概要70を示した図である。まず、キャリア基板11の上に、両面粘着テープ20を粘着剤層3側の第一の剥離フィルムを剥離して貼り付ける。次いで、両面粘着テープ20の粘着剤層2側の第二の剥離フィルムを剥離し、該両面テープ20の粘着剤層2の面上に、複数枚の薄膜基板12を等間隔に載置して貼り付け(仮固定)、真空プロセスによる成膜に供する。
【0074】
図8は、本実施の別の一形態である両面粘着テープ20を用いた薄膜基板11の仮固定方法の別の一例の概要80を示した図である。まず、両面粘着テープ20を薄膜基板11と同じ大きさに打ち抜き加工する。続いて、キャリア基板11の上に、打ち抜き加工した両面粘着テープ20を粘着剤層3側の第二の剥離フィルムを剥離して等間隔に貼り付ける。次いで、両面粘着テープ20の粘着剤層2側の第一の剥離フィルムを剥離し、該両面粘着テープ20の粘着剤層2の面上に、複数枚の薄膜基板12をそれぞれ貼り付け(仮固定)、真空プロセスによる成膜に供する。
【0075】
(真空プロセスによる機能性薄膜の成膜)
真空プロセスによる反射防止膜等の機能性薄膜の成膜方法としては、特に制限されるものではないが、例えば、真空蒸着法、イオンビームアシスト蒸着法、イオンプレーティング法、スパッタリング法等が挙げられる。これらの中でも、得られる機能性薄膜の硬度や密着性の観点から、スパッタリング法が好適に用いられる。カルーセル型スパッタ装置等を用いたスパッタリング法においては、図5〜8に例示したような複数枚の薄膜基板12が仮固定されたキャリア基板11を、図3、4に示したような縦置き姿勢30、40でカルーセル型スパッタ装置の回転ドラム上に配置された基板ホルダーに取り付け・載置した後、キャリア基板11(薄膜基板12)を、例えば、150〜200℃の温度まで加熱しながら、チャンバー内を10−5〜10−6Torr程度の圧力にする。次いで、チャンバー内を円軌道に沿って回転する縦置き姿勢に保持された薄膜基板12に向けて、円軌道の外側に配置されたターゲットから機能性薄膜の材料(ターゲットを構成する原子)をスパッタリングにより飛散させ、円軌道の外側に面した薄膜基板12の表面および側面に機能性薄膜として材料を堆積させて所望の機能性薄膜を成膜する。上記機能性薄膜としては、反射防止膜以外に、防眩膜、防汚膜、着色膜、耐摩耗性付与膜、耐腐食性付与膜、導電性付与膜、強化膜、赤外線反射膜等、真空プロセスで形成可能な薄膜が挙げられる。
【0076】
(成膜後の粘着テープの剥離方法)
次に、成膜後の粘着テープの剥離方法について説明する。チャンバー内を放冷し、圧力を大気圧に戻した後、基板ホルダーから、成膜処理された薄膜基板12が仮固定されたキャリア基板11を取り外す。図5のように薄膜基板12を片面粘着テープ10により仮固定している場合は、まず、片面粘着テープ10の両端の片面粘着テープ10’を剥離し、成膜処理された薄膜基板12が仮固定された状態のまま、片面粘着テープ10をキャリア基板11から取り外す。最後に、該片面粘着テープ10を成膜処理された薄膜基板12から、薄膜基板12が破損しないように注意しながら剥離する。この際、薄膜基板12の成膜処理面をクリーンな定盤に真空吸着させて、該片面粘着テープ10を成膜処理された薄膜基板12から剥離してもよい。以上により、機能性薄膜が成膜された薄膜基板12が得られる。
【0077】
図6のように薄膜基板12を片面粘着テープ10により仮固定している場合は、まず、成膜処理された薄膜基板12が仮固定された状態のまま、片面粘着テープ10を両面粘着テープ20からゆっくりと剥離する。最後に、該片面粘着テープ10を成膜処理された薄膜基板12から、薄膜基板12が破損しないように注意しながら剥離する。この際、薄膜基板12の成膜処理面をクリーンな定盤に真空吸着させて、該片面粘着テープ10を成膜処理された薄膜基板12から剥離してもよい。以上により、機能性薄膜が成膜された薄膜基板12が得られる。
【0078】
図7、8のように薄膜基板12を両面粘着テープ20により仮固定している場合は、キャリア基板11をクリーンな定盤の真空吸着させた状態で、成膜処理された薄膜基板12のコーナー部と両面粘着テープ20の粘着剤層2との間に、鋭利なステンレス製刃物をゆっくりと差し込み、薄膜基板12と粘着剤層2との間に剥離のきっかけを与える。次いで、真空吸着パッドを用い、薄膜基板12のコーナー部からゆっくりと持ち上げるようにして、成膜処理された薄膜基板12を粘着剤層2から剥離する。剥離のきっかけを与えなくても真空吸着パッドのみを用いて剥離できる場合は、この限りではない。以上により、機能性薄膜が成膜された薄膜基板12が得られる。
【実施例】
【0079】
続いて、実施例および比較例を用いて本発明をさらに具体的に説明する。なお、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。以下、各実施例および各比較例について詳細に説明する。
【0080】
本実施例および比較例に使用する各種粘着剤を調整するために、粘着剤の主成分として下記のシリコーン系樹脂(A)〜(D)、架橋剤として下記のケイ素原子結合水素原子(SiH)を有するオルガノポリシロキサン(オルガノハイドロジェンポリシロキサン)を用いた。シリコーン樹脂(A)および(B)は、シリコーンガム(G)とシリコーンレジン(R)の混合物[(G)/(R)質量比=40/60]であり、該シリコーンガム(G)には、重合平均分子量(Mw)が約50万の分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体を、該シリコーンレジン(R)には、重合平均分子量(Mw)が約5000のR23SiO0.5単位(M単位)およびSiO2単位(Q単位)を有するオルガノポリシロキサン(MQレジン)を用いた。また、シリコーン系樹脂(C)および(D)は、シリコーンガム(G)単独の樹脂であり、シリコーン系樹脂(C)のシリコーンガム(G)には、重合平均分子量(Mw)が約20万の分子鎖両末端ジメチルヘキセニルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルヘキセニルシロキサン共重合体、シリコーン系樹脂(D)のシリコーンガム(G)には、重合平均分子量(Mw)が約60万の分子鎖両末端ジメチルヘキセニルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルヘキセニルシロキサン共重合体を用いた。またさらに、シリコーン系樹脂(E)は、シリコーンレジン(R)単独の樹脂であり、該シリコーンレジン(R)には、重合平均分子量(Mw)が約5000のR23SiO0.5単位(M単位)およびSiO2単位(Q単位)を有するオルガノポリシロキサン(MQレジン)を用いた。
【0081】
シリコーン系樹脂(A)
シリコーンガム(G)/シリコーンレジン(R)=40質量%/60質量%の混合物
アルケニル基(ビニル基)含有量:2.0×10−5mol/g
【0082】
シリコーン系樹脂(B)
シリコーンガム(G)/シリコーンレジン(R)=40質量%/60質量%の混合物
アルケニル基(ビニル基)含有量:2.0×10−6mol/g
【0083】
シリコーン系樹脂(C)
シリコーンガム(G)
アルケニル基(ヘキセニル基)含有量:2.0×10−4mol/g
【0084】
シリコーン系樹脂(D)
シリコーンガム(G)
アルケニル基(ヘキセニル基)含有量:1.0×10−2mol/g
【0085】
シリコーン系樹脂(E)
シリコーンレジン(R)
【0086】
架橋剤(A)
オルガノハイドロジェンポリシロキサン
SiH基含有量:1.0×10−2mol/g
【0087】
架橋剤(B)
オルガノハイドロジェンポリシロキサン
SiH基含有量:4.0×10−2mol/g
【0088】
1.粘着テープの作製および薄膜基板12上への機能性薄膜(反射防止膜)の成膜
(実施例1)
シリコーン系樹脂(A)とシリコーン系樹脂(C)を該質量比(A)/(C)が83/17となるように混合した付加反応型シリコーン系樹脂(S1)をトルエンにて希釈・撹拌し、付加反応型シリコーン樹脂溶液(固形分濃度30質量%)を調整した。この付加反応型シリコーン系樹脂(S1)は、シリコーンガム(G)とシリコーンレジン(R)の質量比(G)/(R)は50/50であり、アルケニル基含有量は、5.0×10−5mol/gであった。ちなみに、上記シリコーンガム(G)中のアルケニル基含有量は、1.0×10−4mol/gであった。
【0089】
続いて、この付加反応型シリコーン系樹脂溶液333質量部(固形分換算100質量部)に対して、架橋剤(A)1.01質量部(SiH基/アルケニル基のモル比=2.02)をディスパーにて配合し、均一に撹拌・混合した。次いで、東レ・ダウコーニング株式会社製の白金系触媒“NC−25”(商品名)1.0質量部をディスパーにて配合し、均一に撹拌・混合して塗工用粘着剤溶液を作成した。
【0090】
続いて、この塗工用粘着剤溶液を、粘着剤層2の乾燥厚さが20μmになるように、東レ株式会社製ポリエステルフィルム基材1(厚さ75μm)に塗工し、乾燥炉の前半部において、40〜90℃の温度にて段階的に初期乾燥した。その後、乾燥炉の後半部に設けられた熱処理の最高温度が180℃となるゾーンで2分間乾燥することにより粘着剤層2を加熱・硬化させ、剥離フィルムを貼合し、総厚95μmの片面粘着テープ10を得た。また、基材1の厚さのみを38μmに変更した総厚58μmの片面粘着テープ10’も同様にして作製した。
【0091】
この片面粘着テープ10の粘着剤層2は、He雰囲気下で測定した200℃の貯蔵弾性率が2.2×10Paであった。また、この片面粘着テープ10は、真空度1.0×10−4Torr以下の雰囲気下において、昇温速度10℃/分で23℃から200℃まで昇温した後、さらに200℃で30分間維持した際に発生するアウトガスの総量が72.5mg/mであった。
【0092】
次いで、この片面粘着テープ10(大きさ310mm×340mm)および片面粘着テープ10’(大きさ20mm×360mm)を用いて、図4に示したように、まず、剥離フィルムを剥離した片面粘着テープ10を、粘着剤層2が上面側となるように片面粘着テープ10’により、キャリア基板11(SUS、大きさ370mm×380mm、厚さ2mm)の上に固定した。次いで、薄膜基板12(カバーガラス、大きさ140mm×70mm、厚さ0.4mm)6枚を、片面粘着テープ10の粘着剤層2の上に、等間隔に載置し仮固定した。このように6枚の薄膜基板12を片面粘着テープ10により仮固定したキャリア基板11を計8セット(薄膜基板12:計48枚/1バッチ)用意し、機能性薄膜(反射防止膜)の成膜に供した。
【0093】
次いで、上記キャリア基板をカルーセル型ラジカルアシストスパッタ装置の回転ドラム上に配置された基板ホルダーにそれぞれ縦置き姿勢で取り付け、キャリア基板(薄膜基板)を200℃に加熱しながら真空ポンプにより排気し、装置内部を10−6Torrの圧力とした。続いて、シリコン(Si)をターゲットとし、回転ドラムを回転させながら、以下の条件で後反応スパッタリング法により、高屈折率層(窒化ケイ素:SiNx)と低屈折率層(酸化ケイ素:SiO)の交互積層から成る計6層の反射防止層を薄膜基板12(カバーガラス)の表面に成膜・形成した。
【0094】
スパッタリング条件
高屈折率層(窒化ケイ素:SiNx)
ガス:10sccm
Arガス:10sccm
スパッタリングパワー:2.0KW
低屈折率層(酸化ケイ素:SiO
ガス:10sccm
Arガス:10sccm
スパッタリングパワー:1.5KW
【0095】
反射防止膜(//薄膜基板)
SiO(110nm)/SiNx(60nm)/SiO(43nm)/SiNx(33nm)/SiO(50nm)/SiNx(140nm)(//薄膜基板)
【0096】
(実施例2)
付加反応型シリコーン系樹脂(S1)に代えて、シリコーン系樹脂(A)とシリコーン系樹脂(C)を該質量比(A)/(C)が50/50となるように混合した付加反応型シリコーン系樹脂(S2)を用い、架橋剤(A)の配合量を2.20質量部(SiH基/アルケニル基のモル比=2.00)に変更した以外は、実施例1同様にして、塗工用粘着剤溶液を作成した。この付加反応型シリコーン系樹脂(S2)は、シリコーンガム(G)とシリコーンレジン(R)の質量比(G)/(R)は70/30であり、アルケニル基含有量は、1.1×10−4mol/gであった。ちなみに、上記シリコーンガム(G)中のアルケニル基含有量は、1.5×10−4mol/gであった。
【0097】
続いて、この塗工用粘着剤溶液を、粘着剤層2の乾燥厚さが50μmになるように、東レ株式会社製ポリエステルフィルム基材1(厚さ75μm)に塗工し、乾燥炉の前半部において、40〜90℃の温度にて段階的に初期乾燥した。その後、乾燥炉の後半部に設けられた熱処理の最高温度が160℃となるゾーンで1分間乾燥することにより粘着剤層2を加熱・硬化させ、剥離フィルムを粘着剤層2に貼合し、総厚125μmの片面粘着テープ10を得た。
【0098】
この片面粘着テープ10の粘着剤層2は、He雰囲気下で測定した200℃の貯蔵弾性率が5.9×10Paであった。また、この片面粘着テープ10は、真空度1.0×10−4Torr以下の雰囲気下において、昇温速度10℃/分で23℃から200℃まで昇温した後、さらに200℃で30分間維持した際に発生するアウトガスの総量が65.1mg/mであった。
【0099】
次いで、この片面粘着テープ10および実施例1で作製した片面粘着テープ10’を用いて、実施例1と同様にして、薄膜基板12(カバーガラス)の表面に反射防止膜を成膜・形成した。
【0100】
(実施例3)
付加反応型シリコーン系樹脂(S1)に代えて、シリコーン系樹脂(A)、シリコーン系樹脂(B)およびシリコーン系樹脂(E)を該質量比(A)/(B)/(E)が50/42/8となるように混合した付加反応型シリコーン系樹脂(S3)を用い、架橋剤(A)の配合量を0.22質量部(SiH基/アルケニル基のモル比=2.17)に、白金系触媒“NC−25”の配合量を0.5質量部に変更した以外は、実施例1同様にして、塗工用粘着剤溶液を作成した。この付加反応型シリコーン系樹脂(S2)は、シリコーンガム(G)とシリコーンレジン(R)の質量比(G)/(R)は35/65であり、アルケニル基含有量は、1.0×10−5mol/gであった。ちなみに、上記シリコーンガム(G)中のアルケニル基含有量は、2.9×10−5mol/gであった。
【0101】
続いて、この塗工用粘着剤溶液を、粘着剤層2の乾燥厚さが30μmになるように、東レ株式会社製ポリエステルフィルム基材1(厚さ75μm)に塗工し、乾燥炉の前半部において、40〜90℃の温度にて段階的に初期乾燥した。その後、乾燥炉の後半部に設けられた熱処理の最高温度が180℃となるゾーンで1分間乾燥することにより粘着剤層2を加熱・硬化させ、剥離フィルムを粘着剤層2に貼合し、総厚105μmの片面粘着テープ10を得た。
【0102】
この片面粘着テープ10の粘着剤層2は、He雰囲気下で測定した200℃の貯蔵弾性率が1.0×10Paであった。また、この片面粘着テープ10は、真空度1.0×10−4Torr以下の雰囲気下において、昇温速度10℃/分で23℃から200℃まで昇温した後、さらに200℃で30分間維持した際に発生するアウトガスの総量が159.8mg/mであった。
【0103】
次いで、この片面粘着テープ10および実施例1で作製した片面粘着テープ10’を用いて、実施例1と同様にして、薄膜基板12(カバーガラス)の表面に反射防止膜を成膜・形成した。
【0104】
(実施例4)
付加反応型シリコーン系樹脂(S1)に代えて、シリコーン系樹脂(C)とシリコーン系樹脂(D)を該質量比(C)/(D)が92/8となるように混合した付加反応型シリコーン系樹脂(S4)を用い、架橋剤(A)1.01質量部を架橋剤(B)4.90質量部(SiH基/アルケニル基のモル比=1.97)に、白金系触媒“NC−25”の配合量を3.0質量部に変更した以外は、実施例1同様にして、塗工用粘着剤溶液を作成した。この付加反応型シリコーン系樹脂(S2)は、シリコーンガム(G)とシリコーンレジン(R)の質量比(G)/(R)は100/0であり、アルケニル基含有有量は、1.0×10−3mol/gであった。
【0105】
続いて、この塗工用粘着剤溶液を、粘着剤層2の乾燥厚さが75μmになるように、東レ株式会社製ポリエステルフィルム基材1(厚さ75μm)に塗工し、乾燥炉の前半部において、40〜90℃の温度にて段階的に初期乾燥した。その後、乾燥炉の後半部に設けられた熱処理の最高温度が200℃となるゾーンで3分間乾燥することにより粘着剤層2を加熱・硬化させ、剥離フィルムを粘着剤層2に貼合し、総厚150μmの片面粘着テープ10を得た。
【0106】
この片面粘着テープ10の粘着剤層2は、He雰囲気下で測定した200℃の貯蔵弾性率が7.2×10Paであった。また、この片面粘着テープ10は、真空度1.0×10−4Torr以下の雰囲気下において、昇温速度10℃/分で23℃から200℃まで昇温した後、さらに200℃で30分間維持した際に発生するアウトガスの総量が31.2mg/mであった。
【0107】
次いで、この片面粘着テープ10および実施例1で作製した片面粘着テープ10’を用いて、実施例1と同様にして、薄膜基板12(カバーガラス)の表面に反射防止膜を成膜・形成した。
【0108】
(実施例5)
架橋剤(A)の配合量を0.55質量部(SiH基/アルケニル基のモル比=0.50)に変更した以外は、実施例2と同様にして総厚125μmの片面粘着テープ10を得た。
【0109】
この片面粘着テープ10の粘着剤層2は、He雰囲気下で測定した200℃の貯蔵弾性率が1.5×10Paであった。また、この片面粘着テープ10は、真空度1.0×10−4Torr以下の雰囲気下において、昇温速度10℃/分で23℃から200℃まで昇温した後、さらに200℃で30分間維持した際に発生するアウトガスの総量が122.3mg/mであった。
【0110】
次いで、この片面粘着テープ10および実施例1で作製した片面粘着テープ10’を用いて、実施例1と同様にして、薄膜基板12(カバーガラス)の表面に反射防止膜を成膜・形成した。
【0111】
(実施例6)
架橋剤(A)の配合量を1.65質量部(SiH基/アルケニル基のモル比=1.50)に変更した以外は、実施例2と同様にして、総厚125μmの片面粘着テープ10を得た。
【0112】
この片面粘着テープ10の粘着剤層2は、He雰囲気下で測定した200℃の貯蔵弾性率が4.7×10Paであった。また、この片面粘着テープ10は、真空度1.0×10−4Torr以下の雰囲気下において、昇温速度10℃/分で23℃から200℃まで昇温した後、さらに200℃で30分間維持した際に発生するアウトガスの総量が70.3mg/mであった。
【0113】
次いで、この片面粘着テープ10および実施例1で作製した片面粘着テープ10’を用いて、実施例1と同様にして、薄膜基板12(カバーガラス)の表面に反射防止膜を成膜・形成した。
【0114】
(実施例7)
架橋剤(A)の配合量を5.55質量部(SiH基/アルケニル基のモル比=5.00)に変更した以外は、実施例2と同様にして、総厚125μmの片面粘着テープ10を得た。
【0115】
この片面粘着テープ10の粘着剤層2は、He雰囲気下で測定した200℃の貯蔵弾性率が6.0×10Paであった。また、この片面粘着テープ10は、真空度1.0×10−4Torr以下の雰囲気下において、昇温速度10℃/分で23℃から200℃まで昇温した後、さらに200℃で30分間維持した際に発生するアウトガスの総量が84.2mg/mであった。
【0116】
次いで、この片面粘着テープ10および実施例1で作製した片面粘着テープ10’を用いて、実施例1と同様にして、薄膜基板12(カバーガラス)の表面に反射防止膜を成膜・形成した。
【0117】
(実施例8)
架橋剤(A)5.55質量部を、架橋剤(B)2.80質量部(SiH基/アルケニル基のモル比=10.00)に変更した以外は、実施例2と同様にして、総厚125μmの片面粘着テープ10を得た。
【0118】
この片面粘着テープ10の粘着剤層2は、He雰囲気下で測定した200℃の貯蔵弾性率が6.7×10Paであった。また、この片面粘着テープ10は、真空度1.0×10−4Torr以下の雰囲気下において、昇温速度10℃/分で23℃から200℃まで昇温した後、さらに200℃で30分間維持した際に発生するアウトガスの総量が105.7mg/mであった。
【0119】
次いで、この片面粘着テープ10および実施例1で作製した片面粘着テープ10’を用いて、実施例1と同様にして、薄膜基板12(カバーガラス)の表面に反射防止膜を成膜・形成した。
【0120】
(実施例9)
まず、粘着剤層3用の塗工用粘着剤溶液として、実施例1と同一組成(付加反応型シリコーン系樹脂(S1)使用)から成る塗工用粘着剤溶液を準備した。続いて、この塗工用粘着剤溶液を、粘着剤層3の乾燥厚さが30μmになるように、東レ株式会社製ポリエステルフィルム基材1(厚さ75μm)の1面側に塗工し、乾燥炉の前半部において、40〜90℃の温度にて段階的に初期乾燥した。その後、乾燥炉の後半部に設けられた熱処理の最高温度が180℃となるゾーンで2分間乾燥することにより粘着剤層3を加熱・硬化させ、第一の剥離フィルムを粘着剤層3に貼合し、総厚105μmの中間積層体を得た。
【0121】
次いで、粘着剤層2用の塗工用粘着剤溶液として、実施例2と同一組成(付加反応型シリコーン系樹脂(S2)使用)から成る塗工用粘着剤溶液を準備した。続いて、この塗工用粘着剤溶液を、粘着剤層2の乾燥厚さが30μmになるように、上記中間積層体の粘着剤層3が形成された面とは反対側の面(基材の2面側)に塗工し、乾燥炉の前半部において、40〜90℃の温度にて段階的に初期乾燥した。その後、乾燥炉の後半部に設けられた熱処理の最高温度が160℃となるゾーンで1分間乾燥することにより粘着剤層2を加熱・硬化させ、第二の剥離フィルムを粘着剤層2に貼合し、総厚135μmの両面粘着テープ20を得た。
【0122】
この両面粘着テープ20の粘着剤層2および粘着剤層3は、He雰囲気下で測定した200℃の貯蔵弾性率が、それぞれ5.9×10Pa、2.5×10Paであった。また、この両面粘着テープ10は、真空度1.0×10−4Torr以下の雰囲気下において、昇温速度10℃/分で23℃から200℃まで昇温した後、さらに200℃で30分間維持した際に発生するアウトガスの総量が128.3mg/mであった。
【0123】
次いで、この両面粘着テープ20(大きさ310mm×340mm)を用いて、図6に示したように、まず、両面粘着テープ20の粘着剤層3側の第一の剥離フィルムを剥離して、粘着剤層3側をキャリア基板11(SUS、大きさ370mm×380mm、厚さ2mm)に貼り付け、両面粘着テープ20を固定した。次いで、両面粘着テープ20の粘着剤層2側の第二の剥離フィルムを剥離し、薄膜基板12(カバーガラス、大きさ140mm×70mm、厚さ0.4mm)6枚を、両面粘着テープ20の粘着剤層2の上に、等間隔に載置し仮固定した。このように6枚の薄膜基板12を両面粘着テープ20により仮固定したキャリア基板11を計8セット(薄膜基板12:計48枚/1バッチ)用意し、機能性薄膜(反射防止膜)の成膜に供した。
【0124】
次いで、実施例1と同様にして、薄膜基板12(カバーガラス)の表面に反射防止膜を成膜・形成した。
【0125】
(比較例1)
付加反応型シリコーン系樹脂(S1)に代えて、シリコーン系樹脂(A)とシリコーン系樹脂(B)を該質量比(A)/(B)が40/60となるように混合した付加反応型シリコーン系樹脂(S5)を用い、架橋剤(A)の配合量を0.18質量部(SiH基/アルケニル基のモル比=2.00)に変更した以外は、実施例1同様にして、塗工用粘着剤溶液を作成した。この付加反応型シリコーン系樹脂(S5)は、シリコーンガム(G)とシリコーンレジン(R)の質量比(G)/(R)は40/60であり、アルケニル基含有量は、9.2×10−6mol/gであった。ちなみに、上記シリコーンガム(G)中のアルケニル基含有量は、2.3×10−5mol/gであった。
【0126】
続いて、この塗工用粘着剤溶液を、粘着剤層2の乾燥厚さが20μmになるように、東レ株式会社製ポリエステルフィルム基材1(厚さ75μm)に塗工し、乾燥炉の前半部において、40〜90℃の温度にて段階的に初期乾燥した。その後、乾燥炉の後半部に設けられた熱処理の最高温度が180℃となるゾーンで2分間乾燥することにより粘着剤層2を加熱・硬化させ、剥離フィルムを粘着剤層2に貼合し、総厚95μmの片面粘着テープ10を得た。
【0127】
この片面粘着テープ10の粘着剤層2は、He雰囲気下で測定した200℃の貯蔵弾性率が7.4×10Paであった。また、この片面粘着テープ10は、真空度1.0×10−4Torr以下の雰囲気下において、昇温速度10℃/分で23℃から200℃まで昇温した後、さらに200℃で30分間維持した際に発生するアウトガスの総量が193.3mg/mであった。
【0128】
次いで、この片面粘着テープ10および実施例1で作製した片面粘着テープ10’を用いて、実施例1と同様にして、薄膜基板12(カバーガラス)の表面に反射防止膜を成膜・形成した。
【0129】
(比較例2)
付加反応型シリコーン系樹脂(S1)に代えて、シリコーン系樹脂(C)とシリコーン系樹脂(D)を該質量比(C)/(D)が70/30となるように混合した付加反応型シリコーン系樹脂(S6)を用い、架橋剤(A)1.01質量部を架橋剤(B)15.7質量部(SiH基/アルケニル基のモル比=2.09)に変更した以外は、実施例1同様にして、塗工用粘着剤溶液を作成した。この付加反応型シリコーン系樹脂(S6)は、シリコーンガム(G)とシリコーンレジン(R)の質量比(G)/(R)は100/0であり、アルケニル基含有量は、3.0×10−3mol/gであった。
【0130】
続いて、この塗工用粘着剤溶液を、粘着剤層2の乾燥厚さが40μmになるように、東レ株式会社製ポリエステルフィルム基材1(厚さ75μm)に塗工し、乾燥炉の前半部において、40〜90℃の温度にて段階的に初期乾燥した。その後、乾燥炉の後半部に設けられた熱処理の最高温度が180℃となるゾーンで1分間乾燥することにより粘着剤層2を加熱・硬化させ、剥離フィルムを粘着剤層2に貼合し、総厚115μmの片面粘着テープ10を得た。
【0131】
この片面粘着テープ10の粘着剤層2は、He雰囲気下で測定した200℃の貯蔵弾性率が1.9×10Paであった。また、この片面粘着テープ10は、真空度1.0×10−4Torr以下の雰囲気下において、昇温速度10℃/分で23℃から200℃まで昇温した後、さらに200℃で30分間維持した際に発生するアウトガスの総量が33.6mg/mであった。
【0132】
次いで、この片面粘着テープ10および実施例1で作製した片面粘着テープ10’を用いて、実施例1と同様にして、薄膜基板12(カバーガラス)の表面に反射防止膜を成膜・形成した。
【0133】
(比較例3)
付加反応型シリコーン系樹脂(S1)に代えて、シリコーン系樹脂(A)、シリコーン系樹脂(C)およびシリコーン系樹脂(E)を該質量比(A)/(C)/(E)が63/5/32となるように混合した付加反応型シリコーン系樹脂(S7)を用い、架橋剤(A)の配合量を0.45質量部(SiH基/アルケニル基のモル比=1.97)に変更した以外は、実施例1同様にして、塗工用粘着剤溶液を作成した。この付加反応型シリコーン系樹脂(S6)は、シリコーンガム(G)とシリコーンレジン(R)の質量比(G)/(R)は30/70であり、アルケニル基含有量は、2.3×10−5mol/gであった。ちなみに、上記シリコーンガム(G)中のアルケニル基含有量は、7.3×10−5mol/gであった。
【0134】
続いて、この塗工用粘着剤溶液を、粘着剤層2の乾燥厚さが15μmになるように、東レ株式会社製ポリエステルフィルム基材1(厚さ75μm)に塗工し、乾燥炉の前半部において、40〜90℃の温度にて段階的に初期乾燥した。その後、乾燥炉の後半部に設けられた熱処理の最高温度が180℃となるゾーンで1分間乾燥することにより粘着剤層2を加熱・硬化させ、剥離フィルムを粘着剤層2に貼合し、総厚90μmの片面粘着テープ10を得た。
【0135】
この片面粘着テープ10の粘着剤層2は、He雰囲気下で測定した200℃の貯蔵弾性率が1.5×10Paであった。また、この片面粘着テープ10は、真空度1.0×10−4Torr以下の雰囲気下において、昇温速度10℃/分で23℃から200℃まで昇温した後、さらに200℃で30分間維持した際に発生するアウトガスの総量が135.7mg/mであった。
【0136】
次いで、この片面粘着テープ10および実施例1で作製した片面粘着テープ10’を用いて、実施例1と同様にして、薄膜基板12(カバーガラス)の表面に反射防止膜を成膜・形成した。
【0137】
(比較例4)
架橋剤(A)を添加しなかった以外は、実施例2と同様にして、塗工用粘着剤溶液を作成した。この付加反応型シリコーン系樹脂(S2)は、シリコーンガム(G)とシリコーンレジン(R)の質量比(G)/(R)は70/30であり、アルケニル基含有量は、1.1×10−4mol/gであった。
【0138】
続いて、この塗工用粘着剤溶液を、粘着剤層2の乾燥厚さが50μmになるように、東レ株式会社製ポリエステルフィルム基材1(厚さ75μm)に塗工し、乾燥炉の前半部において、40〜90℃の温度にて段階的に初期乾燥した。その後、乾燥炉の後半部に設けられた熱処理の最高温度が200℃となるゾーンで2分間乾燥することにより粘着剤層2を加熱・乾燥させ、総厚125μmの片面粘着テープ10を得ようとしたが、粘着剤層2のベタツキが大きく、搬送ロールに貼り付く等の不具合が発生したため、良好な片面粘着テープ10を製造することができなかった。
【0139】
上記の乾燥条件と同様にして枚葉で作製した片面粘着テープ10について、粘着剤層2のHe雰囲気下における200℃の貯蔵弾性率を評価したところ、温度の上昇とともに急激に弾性率の低下が見られ、200℃付近での貯蔵弾性率を確認することはできなかった。また、この片面粘着テープ10は、真空度が1.0×10−4Torr以下、室温から200℃、200℃で30分維持した際のアウトガスの発生量は、251.1mg/mであった。
【0140】
(比較例5)
まず、粘着剤層3用の塗工用粘着剤溶液として、実施例3と同一組成(付加反応型シリコーン系樹脂(S3)使用)から成る塗工用粘着剤溶液を準備した。続いて、この塗工用粘着剤溶液を、粘着剤層3の乾燥厚さが30μmになるように、東レ株式会社製ポリエステルフィルム基材1(厚さ75μm)の1面側に塗工し、乾燥炉の前半部において、40〜90℃の温度にて段階的に初期乾燥した。その後、乾燥炉の後半部に設けられた熱処理の最高温度が180℃となるゾーンで1分間乾燥することにより粘着剤層3を加熱・硬化させ、第一の剥離フィルムを粘着剤層3に貼合し、総厚105μmの中間積層体を得た。
【0141】
次いで、粘着剤層2用の塗工用粘着剤溶液として、実施例1と同一組成(付加反応型シリコーン系樹脂(S1)使用)から成る塗工用粘着剤溶液を準備した。続いて、この塗工用粘着剤溶液を、粘着剤層2の乾燥厚さが20μmになるように、上記中間積層体の粘着剤層3が形成された面とは反対側の面(基材の2面側)に塗工し、乾燥炉の前半部において、40〜90℃の温度にて段階的に初期乾燥した。その後、乾燥炉の後半部に設けられた熱処理の最高温度が180℃となるゾーンで2分間乾燥することにより粘着剤層2を加熱・硬化させ、第二の剥離フィルムを粘着剤層2に貼合し、総厚125μmの両面粘着テープ20を得た。
【0142】
この両面粘着テープ20の粘着剤層2および粘着剤層3は、He雰囲気下で測定した200℃の貯蔵弾性率が、それぞれ2.2×10Pa、1.3×10Paであった。また、この両面粘着テープ20は、真空度1.0×10−4Torr以下の雰囲気下において、昇温速度10℃/分で23℃から200℃まで昇温した後、さらに200℃で30分間維持した際に発生するアウトガスの総量が201.2mg/mであった。
【0143】
次いで、この両面粘着テープ20(大きさ310mm×340mm)を用いて、実施例9と同様にして、粘着剤層2の上に仮固定された薄膜基板12(カバーガラス)の表面に反射防止膜を成膜・形成した。
【0144】
2.評価方法
(1)シリコーン系樹脂のアルケニル基含有量および架橋剤のSiH基含有量の定量
本発明のケイ素原子結合アルケニル基を含有するオルガノポリシロキサンから成るシリコーンガム(G)とケイ素原子結合アルケニル基を含有しないオルガノポリシロキサンから成るシリコーンレジン(R)とが、該質量比(G)/(R)=35/65〜100/0の範囲となるように配合された付加反応型シリコーン系樹脂において、そのアルケニル基含有量は、500MHzのH−NMRスペクトルを測定することにより算出した。具体的には、上記付加反応型シリコーン系樹脂の不揮発成分を、内部標準試料としてジメチルスルホキシドを含む重クロロホルムに十分に溶解させ、日本電子株式会社製NMR装置“JNM・ECA500”(製品名)を用いてH−NMRスペクトルを測定した。次いで、測定スペクトルにおける内部標準試料のジメチルスホキシドの共鳴シグナル面積(積分値)とアルケニル基の共鳴シグナル面積(積分値)を求め、その比率から、付加反応型シリコーン系樹脂1g当たりのアルケニル基の含有量を算出した。また、オルガノハイドロジェンポリシロキサンから成る架橋剤についても、同様にして、H−NMRスペクトルを測定し、測定スペクトルにおける内部標準試料のジメチルスホキシドの共鳴シグナル面積(積分値)とSiH基の共鳴シグナル面積(積分値)を求め、その比率から、架橋剤1g当たりのSiH基の含有量を算出した。なお、架橋剤が付加反応型シリコーン系樹脂に最初から内添されている場合は、そのH−NMRスペクトルからアルケニル基とSiH基の含有量を同時に算出すればよい。
【0145】
(2)粘着剤層の貯蔵弾性率
実施例1〜9および比較例1〜5の粘着テープ10、20について、粘着剤層2、3の貯蔵弾性率を以下の方法で測定した。まず、各実施例および比較例で調整した塗工用粘着剤溶液について、それぞれ第一の剥離フィルム上に塗工し、各実施例および比較例と同一の条件で乾燥、硬化させ、第二の剥離フィルムを貼合し、粘着テープ(基材レス)を得た。続いて、得られたそれぞれの粘着テープを小片に切断し、剥離フィルムを剥離し、約500μmの厚さとなるように粘着剤層のみを重ね合わせた試料を準備した。これらの試料について、株式会社日立ハイテクサイエンス社製の粘弾性測定装置“DMA6100”(製品名)を用いて、動的粘弾性を測定し、粘着剤層の貯蔵弾性率を求めた。測定条件は、He雰囲気下において、周波数1Hzのせん断ひずみを与えながら、昇温速度2℃/分とし、30℃から280℃まで温度を変化させ、動的粘弾性スペクトルを測定した。得られたスペクトルの200℃における貯蔵弾性率の値を、その粘着剤層のHe雰囲気下で測定した200℃の貯蔵弾性率とした。
【0146】
(3)粘着テープから発生するアウトガスの総量
実施例1〜9および比較例1〜5の粘着テープ10、20について、粘着テープ10、20から発生するアウトガスの総量を、加熱発生ガス質量分析(TPD−MS)を用いて測定した。まず、粘着テープ10、20を4mm×20mmの大きさに裁断した試料(剥離フィルムは除く)を準備した。続いて、それぞれの粘着テープ試料を、株式会社リガク社製の赤外線加熱炉付水平差動型示差熱天秤“MB6”(製品名)の石英試料管内に入れ、真空ポンプで排気し、試料管内を1.0×10−5〜1.0×10−6Torrの圧力に調整した。次いで、試料管を室温から200℃まで昇温速度10℃/minで加熱し、さらに、200℃で30min保持した際に、試料から発生したガス成分について、Hewlett Packard社製の質量分析装置“Q−MS5973A”(製品名)を用いて質量分析を行い、MSトータルイオンカレント(TIC)クロマトグラムを得た。なお、標準試料として、蓚酸カルシウムを加熱した際に発生するCO(炭酸ガス)を用い、調整濃度とピーク面積とから検量線を作成し、この検量線と粘着テープ試料から発生したガス成分のTICのピーク総面積とから、粘着テープを、真空度1.0×10−4Torr以下の雰囲気下において、昇温速度10℃/分で23℃から200℃まで昇温した後、さらに200℃で30分間維持した際に、粘着テープから発生するアウトガスの総量をCO換算で求めた。
【0147】
(4)真空成膜プロセスにおける評価
実施例1〜9および比較例1〜5の粘着テープ10、20について、それぞれの粘着テープ10、20の粘着剤層2の上に仮固定された薄膜基板12(カバーガラス)の表面に対して、カルーセル型ラジカルアシストスパッタ装置を用いて、後反応スパッタリング法により反射防止膜を成膜した際に、以下の4つの項目について、A〜Cの3段階の基準で評価した。
【0148】
<薄膜基板に対する仮固定力>
反射防止膜の成膜終了後、縦置き姿勢の48枚の薄膜基板について、脱落の有無を確認した。
A:脱落した薄膜基板は0枚であった。
B:脱落した薄膜基板は1枚であった。
C:脱落した薄膜基板は2枚以上であった。
【0149】
<薄膜基板の再剥離性>
反射防止膜の成膜終了後、上述した方法で、薄膜基板から粘着テープを剥離する際、あるいは粘着テープから薄膜基板を剥離する際に、薄膜基板が破損することなく、再剥離できたか否かについて評価した。
A:剥離時に破損した薄膜基板は0枚で、すべて再剥離できた。
B:剥離時に破損した薄膜基板は1枚で、その他はすべて再剥離できた。
C:剥離時に破損した薄膜基板は2枚以上であった。
【0150】
<糊残の発生>
反射防止膜の成膜終了後、上述した方法で、薄膜基板から粘着テープを剥離した際、あるいは粘着テープから薄膜基板を剥離した際の、薄膜基板に対する糊残の平均的な状態を目視により確認した。
A:明確な糊残は観察されなかった。
B:わずかに糊残は観察されるが、洗浄により容易に除去できるレベルであった。
C:明確な糊残が観察された。
【0151】
<反射防止膜の外観>
薄膜基板に成膜された反射防止膜の外観の平均的な状態を目視により観察した。
A:明確な成膜ムラが観察されなかった。
B:視野角度によっては、わずかに成膜ムラが観察されたが目立たないレベルであった。
C:明確な成膜ムラが観察された。
いずれの項目においても、AまたはBの評価を実用上問題のないレベルと判定した。
【0152】
3.試験結果
実施例1〜9および比較例1〜5の粘着テープ10、20の構成および評価結果について、表1〜4示す。
【0153】
【表1】
【0154】
【表2】
【0155】
【表3】
【0156】
【表4】
【0157】
表1〜3に示すように、ロール・ツー・ロール方式で製造した実施例1〜8の片面粘着テープ10、実施例9の両面粘着テープ20は、He雰囲気下で測定した200℃における粘着剤層の貯蔵弾性率が1.0×10〜1.0×10Paの範囲であり、真空度1.0×10−4Torr以下の雰囲気下において、昇温速度10℃/分で23℃から200℃まで昇温した後、さらに200℃で30分間維持した際に発生するアウトガスの総量が180mg/m以下であるため、これらの粘着テープを、カルーセル型スパッタ装置を用いた真空成膜プロセスにより、薄膜基板上に反射防止膜を形成する際の仮固定用粘着テープとして適用した場合に、縦置き姿勢においても薄膜基板の仮固定力は十分であり、成膜プロセス中に生じる粘着テープからのアウトガスの発生を抑制でき、得られる反射防止膜の外観に悪影響を及ぼさないこと、また成膜後において薄膜基板と粘着テープとの再剥離性(薄膜基板への糊残がない、剥離時に薄膜基板を破損しない)に優れていることが分かる。また、反射防止膜の特性として必要な可視光反射率も1.0%以下であり、実用上、特に問題はなかった。
【0158】
薄膜基板上の反射防止膜の外観については、粘着テープから発生するアウトガスの総量が少ないほど良好な結果が得られる傾向にあり、その中でも、アウトガスの総量が100mg/m以下である実施例1〜2、実施例4、実施例6〜7の片面粘着テープ10を用いた場合に特に良好であった。
【0159】
また、架橋剤のSiH基と付加反応型シリコーン系樹脂のアルケニル基とのモル比以外はすべて同じである粘着剤層を用いた実施例2、実施例5〜8の比較において、SiH基/アルケニル基のモル比が1.5〜5.0の範囲である実施例2,実施例6〜7の片面粘着テープ10を用いた場合に、薄膜基板の仮固定力、薄膜基板の再剥離性、薄膜基板に対する糊残、薄膜基板上の反射防止膜の外観の全ての評価において良好な結果が得られた。SiH基/アルケニル基のモル比が0.5である実施例5の片面粘着テープ10を用いた場合は、粘着剤層の架橋・硬化がやや不十分で、貯蔵弾性率がやや小さくなったため、アウトガスの総量がやや多くなり、薄膜基板上の反射防止膜の外観がやや劣っていた。また、粘着剤層の粘着力がやや大きく、薄膜基板の再剥離性もやや劣っていた。しかし、いずれも実用上問題のないレベルであった、また、SiH基/アルケニル基のモル比が10.0である実施例8の片面粘着テープ10を用いた場合は、残存するSiH基の量がやや多くなり、該SiHがシラノール化してSiOHとなり、加熱・成膜中に脱水縮合反応した際に生成する水分がアウトガスとなったため、アウトガスの総量がやや増加し、薄膜基板上の反射防止膜の外観がやや劣っていた。また、粘着剤層の粘着力がやや大きく、薄膜基板の再剥離性もやや劣っていた。しかし、いずれも実用上問題のないレベルであった。
【0160】
さらに、シリコーンガム(G)とシリコーンレジン(R)の質量比(G)/(R)が本発明の下限の35/65である実施例3の片面粘着テープ10を用いた場合、粘着剤層の貯蔵弾性率も本発明の下限値となっており、アウトガスの総量がやや多くなったため、薄膜基板上の反射防止膜の外観がやや劣っていた。また、シリコーンレジン(R)の比率が65質量%と多く、粘着剤層の粘着力もやや大きくなったため、薄膜基板の再剥離性、薄膜基板に対する糊残もやや劣っていた。しかし、いずれも実用上問題のないレベルであった。
【0161】
さらにまた、シリコーンガム(G)とシリコーンレジン(R)の質量比(G)/(R)が本発明の上限の100/0である実施例4の片面粘着テープ10を用いた場合、粘着剤層の貯蔵弾性率も本発明の上限値となっており、粘着剤層がやや硬く、粘着力がやや小さくなったため、薄膜基板の仮固定力のみがやや劣っていた。しかし、実用上問題のないレベルであった。
【0162】
さらにまた、基材の1面側に実施例1の粘着剤層、基材の2面側に実施例2の粘着剤層を設けた実施例9の両面粘着テープ20を用いた場合、粘着剤層の総厚さが厚くなった分、両面粘着テープ20としてのトータルのアウトガスの総量がやや増加したため、薄膜基板上の反射防止膜の外観がやや劣る結果となったが、その他の評価は良好であり、いずれも実用上問題のないレベルであった。
【0163】
これにより、粘着剤層として、「アルケニル基を含有するシリコーンガム(G)とアルケニル基を含有しないシリコーンレジン(R)とを、質量比(G)/(R)=35/65〜100/0の範囲となるように配合し、且つ、アルケニル基の含有量を1.0×10−5〜1.0×10−3mol/gの範囲とした付加反応型シリコーン系樹脂を、SiH基を有するオルガノポリシロキサンおよび白金族金属系触媒により加熱・硬化した樹脂組成物」を用い、「He雰囲気下で測定した200℃の粘着剤層の貯蔵弾性率を1.0×10〜1.0×10Paの範囲、且つ、真空度1.0×10−4Torr以下の雰囲気下において、昇温速度10℃/分で23℃から200℃まで昇温した後、さらに200℃で30分間維持した際に粘着テープから発生するアウトガスの総量を180mg/m以下」となるように設計した実施例1〜8の片面粘着テープ10、実施例9の両面粘着テープ20は、真空プロセス用粘着テープとして好適であることが確認された。
【0164】
これに対し、表3〜4に示すように、比較例1〜4の片面粘着テープ、比較例5の両面粘着テープ20を用いた場合は、本発明の構成を満たさないため、薄膜基板の仮固定力、薄膜基板の再剥離性、薄膜基板に対する糊残、薄膜基板上の反射防止膜の外観の少なくともいずれかの評価結果が、実施例1〜9よりも劣っていることが分かる。
【0165】
具体的には、比較例1の片面粘着テープ10は、付加反応型シリコーン系樹脂のアルケニル基の含有量が少なく、架橋・硬化後の粘着剤層の貯蔵弾性率が小さかったため、アウトガスの総量が多くなり、薄膜基板上の反射防止膜の外観が実施例と比較して劣っていた。また、粘着剤層の粘着力も大きかったため、薄膜基板の再剥離性も実施例と比較して劣っていた。
【0166】
また、比較例2の片面粘着テープ10は、付加反応型シリコーン系樹脂のアルケニル基の含有量が多く、架橋・硬化後の粘着剤層の貯蔵弾性率が過度に大きかったため、粘着剤層の粘着力が小さくなりすぎて、薄膜基板を十分に仮固定することができず、成膜プロセスの際中に薄膜基板が脱落してしまい、反射防止膜を成膜・形成できなかった。
【0167】
さらに、比較例3の片面粘着テープ10は、シリコーンガム(G)とシリコーンレジン(R)の質量比(G)/(R)が30/70で、シリコーンレジン(R)の比率が多く、粘着剤層の粘着力が大きくなりすぎたため、薄膜基板の再剥離性、薄膜基板に対する糊残が実施例と比較して劣っていた。
【0168】
さらにまた、比較例4の片面粘着テープ10は、架橋剤が配合されておらず、粘着剤層の架橋・硬化が進行しなかったため、凝集力が小さく、ロール・ツー・ロール方式で良好な粘着テープを作製することはできなった。なお、枚葉で作製した粘着テープのアウトガス量はやはり多かった。
【0169】
さらにまた、比較例5の両面粘着テープ20は、基材の1面側に実施例3の粘着剤層、基材の2面側に実施例1の粘着剤層を設けた両面粘着テープであるが、基材の1面側の粘着剤層からのアウトガスの量がやや多いため、基材の2面側の粘着剤層のアウトガスの量と合わせた両面粘着テープ20としてのトータルのアウトガスの総量が多くなったため、薄膜基板上の反射防止膜の外観が実施例と比較して劣っていた。
【符号の説明】
【0170】
1…基材、
2、3…粘着剤層、
10、10’…片面粘着テープ、
11…キャリア基板、
12…薄膜基板、
20…両面粘着テープ、
30、40…薄膜基板が仮固定されたキャリア基板の縦置き姿勢の概要図、
50、60、70、80…薄膜基板が仮固定されたキャリア基盤の概要図。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8