(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-183544(P2020-183544A)
(43)【公開日】2020年11月12日
(54)【発明の名称】限定された(defined)平均分子量を持つ生体高分子の生産方法
(51)【国際特許分類】
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A61K 47/36 20060101ALI20201016BHJP
【FI】
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A61K47/32
A61K47/36
【審査請求】有
【請求項の数】13
【出願形態】OL
【外国語出願】
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2020-127062(P2020-127062)
(22)【出願日】2020年7月28日
(62)【分割の表示】特願2017-236317(P2017-236317)の分割
【原出願日】2015年2月6日
(31)【優先権主張番号】14155840.3
(32)【優先日】2014年2月19日
(33)【優先権主張国】EP
(71)【出願人】
【識別番号】516239781
【氏名又は名称】メドスキン ソリューションズ ドクター スベラック アクチェンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】110000109
【氏名又は名称】特許業務法人特許事務所サイクス
(72)【発明者】
【氏名】クンツ ミヒャエル
(72)【発明者】
【氏名】クールマン ファビアン
(72)【発明者】
【氏名】エルジングホルシュト クラウディア
【テーマコード(参考)】
4C076
4C083
4C084
4C086
4C090
【Fターム(参考)】
4C076AA29
4C076BB31
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4C090DA23
4C090DA26
(57)【要約】 (修正有)
【課題】限定された(defined)分子量分布を持つ、純粋な生体高分子の効率的な製造方法、特に、追加精製の工程を必要としないヒアルロン酸の製造方法の提供。
【解決手段】以下の工程を含む限定された(defined)平均分子量を有する生体高分子の製造方法であって、生体高分子を含む組成物を凍結乾燥する工程;必要に応じて、前記生体高分子を精製及び/又は単離する工程を含み、ここで、前記凍結乾燥工程中の最高温度は、前記生体高分子の、制御及び限定された分解(defined degradation)を促進(facilitate)するように選択される、前記製造方法。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体高分子が限定された(defined)平均分子量を有する、生体高分子の製造方法であって、その方法は、以下を含む、
生体高分子を含む組成物を凍結乾燥すること
必要に応じて、生体高分子を、精製および/または単離すること、ここで、前記凍結乾燥プロセス中の最高温度は、当該生体高分子の、制御され、および、限定された分解(defined degradation)を促進(facilitate)するように選択される。
【請求項2】
前記生体高分子を含む組成物が、水溶液またはエマルションである、請求項1の方法。
【請求項3】
前記生体高分子を含む組成物が、限定された(defined)pH値を有する、請求項1または2のいずれか1項の方法。
【請求項4】
前記pH値が、1.5と8.5の範囲、好適には、2.5と6の範囲から選択される、請求項3の方法。
【請求項5】
前記昇華プロセス中に温度が、−40℃および150℃の範囲から選択される、先行する前記請求項のいずれか1項の方法。
【請求項6】
前記昇華プロセス中の圧力が、50μbarおよび800μbarの範囲から選択される、先行する前記請求項のいずれか1項の方法。
【請求項7】
前記生体高分子が、ヒアルロン酸、コラーゲン、グルコサミノ グリカン、多糖類およびフコダイン、を含む群から選択され、好適には、前記生体高分子がヒアルロン酸である、先行する前記請求項のいずれか1項の方法。
【請求項8】
生体高分子を含む組成物の製造方法であって、前記生体高分子は限定された(defined)平均分子量を有し、以下の方法を含む製造方法であって、
(i)ネイティブの高分子量を持つ生体高分子を含む基本(base)組成物を提供し、
(ii)当該基本(base)組成物を凍結乾燥する。
ここで、前記凍結乾燥プロセス中の最高温度が、前記生体高分子の制御され、および、限定された(defined)分解を促進するように選択される、製造方法。
【請求項9】
前記基本(base)組成物が、エマルジョンまたは水様液である、請求項8の製造方法。
【請求項10】
前記基礎組成物が、下記を含むエマルジョンである、請求項9の製造方法:
(i)前記生体高分、
(ii)水、
(iii)必要に応じて、薬学上、皮膚病学上、または化粧用許容されるオイル(pharmaceutically, dermatologically or cosmetically acceptable oil)、
(iv)必要に応じて、乳化剤、および
(v)必要に応じて、エモリエント剤。
【請求項11】
前記基本(base)組成物が、さらに、皮膚病学の、薬学上または化粧用の添加物を、追加で含む、請求項10の製造方法。
【請求項12】
前記基本組成物が、得られた凍結乾燥製品が容易に溶け、または、容易にエマルジョンを形成するように、追加のコンポーネントを含む、請求項8乃至11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記基本組成物が、凍結乾燥プロセスに適し、そして、一次包装として使用できる、適当な容器において製造される、請求項8乃至12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記生体高分子が、ヒアルロン酸、コラーゲン、グルコサミノ グリカン、多糖類および、フコダインを含む群から選択された、請求項8乃至13のいずれか1項の方法。
【請求項15】
薬学上、皮膚学上、または、化粧用、許容される生体高分子の生産のための、請求項1乃至7のいずれか1項の方法の使用。
【請求項16】
薬学上、皮膚学上、または、化粧用の許容される、生体高分子を含む組成物の生産のための、請求項8乃至14のいずれか1項の方法の使用。
【請求項17】
請求項8乃至14のいずれか1項で製造された組成物。
【請求項18】
医薬品、皮膚科または化粧品の製品として、請求項17の組成物の使用。
【請求項19】
請求項1乃至7の方法によって製造された、生体高分子、または医薬品、皮膚科または化粧品の製品の製造のための、請求項17の組成物の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、皮膚病学、薬学、および化粧品の分野における。特に、本発明は、薬学上、皮膚学上または化粧用の、適用される物質の生産の分野においてであり、そして、その使用および適用に関する。
【背景技術】
【0002】
コラーゲン、多糖類やヒアルロン酸などの生体高分子は、化粧品や皮膚病の組成物に、通常、使用される。多くの場合、これらの生体高分子は、保湿剤や抗酸化剤として使用される。投与の一般的な形式は、クリーム、血清、パッチ、マスク、クリーム(balms)、液体または軟膏としてである。
【0003】
たとえば、ヒアルロン酸やヒアルロナン(hyaluronan)は、人間の組織の間で広く分布している生体高分子である。それは、次の構造を含む、陰イオン性の、非硫酸化グリコサミノグリカンである。
【0004】
【化1】
ヒアルロン酸は、特に、皮膚病において、いくつかの医療用途を有し、そして、化粧品において、通常使用され、特に、いわゆる、抗老化製品で使用される。
【0005】
一般に、ヒアルロン酸などの生体高分子の生理活性は、直接、当該生体高分子の平均分子量に依存している。たとえば、ヒアルロン酸と、その皮膚科における使用を取り上げると、平均分子量は、皮膚浸透の深さ、および、ヒアルロン酸の潜在的な皮膚病上の効果を決定する(
図1参照)。
生体高分子の生物学的機能は、平均分子量に依存し、限定された(defined)平均分子量を持つ生体高分子を生成するいくつかの方法が開発されていることは知られている。
【0006】
EP 2 479 194 A2では、活性炭上で、ヒアルロン酸を加水分解することが記載されている。EP 2 463 309 B1とEP 1 992 645 A1には、ヒアルロン酸の酸性加水分解(hydrolysation)のいくつかの方法が記載されている。他の方法は、酵素加水分解と濾過(EP 0 138 572 B1)の使用や、高温および強い剪断力の使用を含む(EP 1 987 153 B1)。
【0007】
これらすべての方法の問題は、特に、ヒアルロン酸は、炎症性である低分子量のヒアルロン酸を除去する広範な精製工程を必要とすることである。
【0008】
したがって、限定された(defined)分子量分布を持つ、純粋な生体高分子の効率的な製造方法を提供することが、特に、生体高分子の平均分子量の制御を可能にし、さらに追加精製の工程を必要としないヒアルロン酸では、必要である。
【0009】
[発明の簡単な説明]
本発明は、生体高分子が限定された(defined)平均分子量を有する、生体高分子の製造方法に関し、その方法は、以下を含む
(i)生体高分子を含む組成物を凍結乾燥すること、
(ii)必要に応じて、生体高分子を、精製および/または単離すること、ここで、前記凍結乾燥プロセス中の温度は、当該生体高分子の制御され、および限定された分解(defined degradation)を促進するように選択される。
【0010】
好ましい実施形態において、本発明は、生体高分子が限定された(defined)平均分子量を有する、生体高分子の製造方法に関し、その方法は、以下を含む、
(i)生体高分子を含む組成物を提供すること、ここで、必要に応じて、前記組成物のpHは、pH1.5と8.5の間に調整される;
(ii)ネイティブの高分子量を持つ、生体高分子を含む組成物を凍結乾燥すること、ここで、凍結乾燥の温度は、−40℃と150℃の間である
(iii)必要に応じて、生体高分子を、精製および/または単離すること、
ここで、前記凍結乾燥プロセス中の温度は、当該生体高分子の制御され、および限定された(defined)分解を促進するように選択される。
【0011】
さらに、本発明は、生体高分子の生産のため当該方法の使用、および、その方法により製造された生体高分子に関する。
【0012】
別の態様において、本発明は、生体高分子を含む、組成物の製造方法に関し、前記生体高分子は、限定された(defined)平均分子量を有し、その方法は、以下を含む:
(i)生体高分子を含む基本(base)組成物を提供すること、
(ii)該組成物を凍結乾燥すること;
ここで、前記昇華(sublimation)プロセス中の温度は、当該生体高分子の制御され、および、限定された(defined)分解を促進するように選択される。
【0013】
さらに、本発明は、生体高分子を含む組成物の前記製造方法の使用、および、当該方法によって製造された組成物に関する。
【0014】
[定義]
本発明において、生体高分子は、生きている生物が作り出す高分子である。本発明は、好適には、生きている生物に起こった通常の、そしてネイティブな変更以外には、技術的にまたは化学的に変更されていない、ネイティブの高分子量の生体高分子のみに関する。高分子としては、反復的な単量体モチーフ(repetitive monomeric motives)が特徴である。
【0015】
一般的に、生体高分子は、3つの主要なクラスに分割される:ポリヌクレオチド、ポリペプチドおよび多糖類である。本発明の文脈において、「生体高分子」という用語は、ポリペプチドと多糖類のみを示す。本発明において、用語「生体高分子」は、たとえば、グリコシル化反応、部分的な加水分解、または、脂質のポリペプチドへの付加のような、生体高分子のすべての自然発生する変更を含む。
【0016】
生物ユニットから成る高分子であって、生体内で生産されていない高分子、たとえば、ポリ乳酸など、は、本発明の意味における生体高分子とは見なされない。本発明に従って処理された、上記の定義に従った、生体高分子が、本発明において生体高分子である。
【0017】
本発明による生体高分子の非制限例は、以下を含む:コラーゲン、デンプン、セルロース誘導体、グルコサミノ グルカン、多糖類、またはフコイダン。
【0018】
本発明において、「凍結乾燥lyophilization」または「凍結乾燥lyophilizing」は、昇華によって水分を除去する、脱水プロセスを指す。「凍結乾燥lyophilization」は、一般的に、「凍結乾燥freeze drying」と呼ばれる。一般的な凍結乾燥は、3つの段階を含む:
(i)脱水される組成物を凍結すること、ここで、前記組成物が、その三重点以下に冷却されていることが重要である。適切な凍結法は、該組成物のコンポーネントに依存する。
(ii)水のほとんどが除去される、一次乾燥段階、ここで、前記圧力は、数μbarまたは、さらに低く、低下される。この段階で、温度は、通常、水を昇華させる温度に調整される。好ましくは、しかし必須ではないが、この段階では、気温は、0℃未満に維持される。
(iii)二次乾燥段階、ここで、前記圧力は、必要に応じて低くされ、μbarの範囲にダウンする、そして、温度は、好適には、0℃よりも上昇させ、より強く結合する水を除去する。
【0019】
本発明の一実施形態において、第二乾燥段階の間、温度を調節する。別の実施形態では、一次乾燥段階の間、温度を調節する。特定の実施形態では、該組成物は、1回だけの乾燥ステップのみを使用して乾燥される。ここで、条件は、第2乾燥ステップの条件に対応する。別の実施形態では、該組成物は、1回だけの乾燥ステップを使用して乾燥される。ここで、その条件は、第1乾燥ステップの条件に対応する。
【0020】
本発明の意味で、「昇華プロセス中の温度」は、組成物が配置されている、ストレージ・プレート(storage plate)の温度を指す。
【0021】
本発明において、水溶液という用語は、溶媒が水である、溶液を指す。本発明において、該用語は、さらに、たとえば、非水溶性高分子または、非水溶性の化粧品の添加物のような、コンポーネントの粗い懸濁液またはコロイド状懸濁液 を指す。
【0022】
本発明において、エマルジョンという用語は、通常、混ざり合わない液体の混合物を指す。本発明において、エマルジョンという用語は、特に、油中水または水中油のエマルジョンを指す。好ましくは、本発明において、エマルジョンは、乳化剤(emulsifying agent)や乳化剤(emulsifier)を使用して安定される。乳化剤の非制限の例としては、レシチン、ナトリウム ステアロイル ラクチレート、 乳化機能を有する高分子または界面活性剤である。
【0023】
[発明の詳細な説明]
発明者が、驚いたことに、生体高分子は、凍結乾燥プロセスの間に、制御された分解を受け、限定された(defined)平均分子量を持つ生体高分子を齎すことを見出した。
【0024】
本発明の第1の態様は、生体高分子が、限定された(defined)平均分子量を有する、生体高分子の製造方法に関連し、その方法は、以下を含む、
(i)生体高分子を含む組成物を凍結乾燥すること、
(ii)必要に応じて、生体高分子を、精製および/または単離すること、ここで、前記凍結乾燥プロセス中の最高温度は、当該生体高分子の制御され、限定された(defined)分解を促進するように選択される。
【0025】
もし、当該組成物が、該生体高分子に加え、少なくとも少量の水を含むのであれば、生体高分子を含む組成物は、いかなる種類の組成物であってよい。当該組成物は、追加の生体高分子、すなわち、混合物を含むことができる。
【0026】
特に、本方法は、ヒアルロン酸、コラーゲン、グルコサミノ グリカン、多糖類およびフコダインを含む群から選択された、生体高分子に好適である。好ましい実施形態では、該生体高分子は、グルコサミノ グリカンまたは多糖類である。より好ましい実施形態では、生体高分子は、アルギン酸塩、リゾビアン(rhizobian)ガム、カルボキシメチル セルロース ナトリウム、プルラン、バイオサッカライドガム−1、グルコマンナン(glucomannane)、ベータ・グルカン、ペクチン(pectine)、タマリンド インディカ種多糖類およびヒアルロン酸からなる群から選択される。さらに、より好ましい実施形態では、生体高分子は、アルギン酸ナトリウムやヒアルロン酸である。最も好ましい実施形態では、生体高分子はヒアルロン酸である。
【0027】
好ましい実施形態では、生体高分子は、高分子量を持つ生体高分子である。より好ましい実施形態では、生体高分子は、ネイティブな高分子量を持つ生体高分子である。
【0028】
好ましい実施形態では、生体高分子を含む組成物は、水溶液またはエマルションである。
【0029】
本発明の別の実施形態では、 生体高分子を含む組成物は、低いから高い粘度を有するゲルまたは液体である。
【0030】
発明者は、特に、昇華プロセスにおける制御された条件および、たとえば、塩分濃度、pH 値、真空、使用された乳化剤のような組成物のパラメーターの制御により、分解した生体高分子の平均分子量を制御できることを見出した。
【0031】
本発明の一実施形態では、前記生体高分子を含む組成物は、1.5と8.5の範囲から選択されたpH値を有する。好ましい実施形態では、pH値は、2.5および6の範囲から選択される。
【0032】
発明者は、pH値、昇華プロセスの間の温度、および、生体高分子の平均分子量の間に、直接の相関関係を発見した。
図2は、分析されたヒアルロン酸について見出された相関関係を示す。
【0033】
処理された生体高分子の最終製品の平均分子量は、選択された温度とpH値の組み合わせに、直接、依存していることは明らかである。
【0034】
本発明の一実施形態では、昇華プロセス中の最高温度は、−40℃から150℃の範囲から選択される。好ましい実施形態では、温度は、0から140℃の範囲から選択される。より好ましい実施形態では、温度は、60から130℃の範囲から選択される。最も好ましい実施形態では、温度は、120℃である。
【0035】
他の実施形態では、昇華プロセス中の温度は、凍結乾燥プロセス中に変えた。好ましい第1の実施形態では、昇華は、2つの温度で実施された。好ましい温度プロファイルの概要を
図3に示す。
【0036】
本発明の一実施形態では、昇華プロセスは、2つの異なる温度で実施される。好適には、最初の温度が、−30℃から40℃の範囲から選択され、そして、2番目の温度は、60℃から130℃の範囲から選択される。好ましい実施形態では、最初の温度は、−20から20℃の範囲から選択され、そして、2番目の温度範囲は、80から120℃の範囲から選択される。最も好ましい実施形態では、最初の温度は10℃で、2番目の温度は120℃である。
【0037】
別の実施形態では、温度プロファイルは、2つ以上の異なる温度を含む。別の実施形態では、温度プロファイルは、連続的な温度勾配を含む。
【0038】
本発明の一実施形態では、昇華ステップの間の圧力は、50μbarと800μbarの間である。本発明の好ましい実施形態では、圧力は、75μbarと600μbarの間であり、より好ましくは、100μbarと400μbarの間であり、さらにもっと好ましくは、150μbarと300μbarの間である。最も好ましい実施形態では、昇華ステップの間の圧力は、300μbarである。
【0039】
前記プロセスで生成される生体高分子は、組成物から、精製され、または分離されたかもしれないが、好適には、それ以上の精製や分離のステップは実行されない。最も好ましい実施形態では、生体高分子は、直接、更なる処理および/または使用に適している。
【0040】
本発明は、限定された(defined)平均分子量を有する、生体高分子の製造方法に関するだけでなく、限定された(defined)平均分子量を持つ生体高分子の生産のため当該方法の使用、および、前記方法により製造された、限定された(defined)平均分子量を持つ生体高分子にも関する。
【0041】
好ましい実施形態では、前記方法は、限定された(defined)平均分子量を持つ生体高分子を生産するために使用され、生体高分子は、ヒアルロン酸、コラーゲン、グルコサミノ グリカン、多糖類およびフコダインを含む群から選択される。より好ましい実施形態では、生体高分子は、グルコサミノ グリカンである。より好ましい実施形態では、前記方法は、限定された(defined)平均分子量を持つ生体高分子を生産するために使用され、生体高分子は、アルギン酸塩、リゾビアン(rhizobian)ガム、カルボキシメチル セルロース ナトリウム、プルラン、バイオサッカライド(Biosaccharide)ガム−1、グルコマンナン(glucomannane)、ベータ グルカン、ペクチン、タマリンド インディカ種多糖類、およびヒアルロン酸から選択される。さらに、より好ましい実施形態では、前記方法は、限定された(defined)平均分子量を持つ生体高分子を生産するために使用され、アルギン酸ナトリウムまたはヒアルロン酸から選択される。最も好ましい実施形態では、前記方法は、限定された(defined)平均分子量を有する、ヒアルロン酸の製造のために使用される。
【0042】
本発明の別の態様において、本発明は、生体高分子を含む、組成物の製造方法に関し、前記生体高分子は、限定された(defined)平均分子量を有し、その方法は、以下を含む:
(i)生体高分子を含む基本(base)組成物を提供すること、
(ii)該組成物を凍結乾燥すること;
ここで、前記凍結乾燥プロセス中の最高温度は、当該生体高分子の制御され、限定された(defined)分解を促進するように選択される。
【0043】
本発明者は、本発明は、生体高分子を含む、組成物の生産に適していることを見出した。これらの組成物は、限定された(defined)平均分子量を有する生体高分子と、皮膚病学、薬学または化粧品の成分のような他のオプショナルのコンポーネントを含み、そして、使用のために、乳化または溶解するだけである。
【0044】
本発明の一実施形態では、昇華プロセス中の最高温度は、−40℃から150℃の範囲から選択される。好ましい実施形態では、温度は、0から140℃の範囲から選択される。より好ましい実施形態では、温度は、60から130℃の範囲から選択される。最も好ましい実施形態では、温度は、120℃である。
【0045】
他の実施形態では、昇華プロセス中の温度は、凍結乾燥プロセスの間に変化する。好ましい最初の実施形態では、昇華は、2つの温度で実施される。好ましい温度プロファイルを、
図3に示す。
【0046】
本発明の一実施形態では、昇華プロセスは、2つの異なる温度で実施される。好適には、最初の温度は、−40℃から40℃の範囲から選択され、そして、2番目の温度は、60から130℃の範囲から選択される。好ましい実施形態では、最初の温度は、−20から20℃の範囲から選択され、そして、2番目の温度は、80から120℃の範囲から選択される。最も好ましい実施形態では、最初の温度は、10℃で、2番目の温度は、120℃である。
【0047】
本発明の一実施形態では、昇華のステップの間の圧力は、50μbarから800μbarの間である。本発明の好ましい実施形態では、圧力は、75μbarから600μbarの間であり、より好ましくは、100 μbarから400μbarの間で、さらにもっと好ましくは、150μbarから300μbarの間である。最も好ましい実施形態では、昇華ステップの間の圧力は、200μbarである。
【0048】
本発明のこの側面の一実施形態では、組成物中の生体高分子は、ヒアルロン酸、コラーゲン、グルコサミノ グリカン(glucosamino)、多糖類およびフコイダン(fucoidanes)を含む群から選択される。より好ましい実施形態では、生体高分子は、アルギン酸塩、リゾビアン(rhizobian)ガム、カルボキシメチル セルロース ナトリウム、プルラン、バイオサッカライド(Biosaccharide)ガム−1、グルコマンナン(glucomannane)、ベータ−グルカン(glucane)、ペクチン(pectine)、タマリンド インディカ種多糖類およびヒアルロン酸からなる群から選択される。さらに、より好ましい実施形態では、生体高分子は、アルギン酸ナトリウムまたはヒアルロン酸である。最も好ましい実施形態では、生体高分子は、ヒアルロン酸である。
【0049】
好ましい実施形態では、生体高分子は、高分子量を持つ生体高分子である。より好ましい実施形態では、生体高分子は、ネイティブの高分子量を持つ生体高分子である。
【0050】
生体高分子を含む組成物は、追加の生体高分子またはその他の高分子を含むことができる。前記組成物が、追加で、水を含む限り、任意の組成物が好ましい。
【0051】
好ましい実施形態では、基本(base)組成物は、生体高分子を含む、水溶液またはエマルションである。
【0052】
より好ましい実施形態では、基本(base)組成物は、以下を含む;
(i)前記生体高分、
(ii)水、
(iii)所望により、1つ以上の薬学的、皮膚学的、および/または化粧学的に許容される化合物および/またはオイル、
(iv)所望により、乳化剤、
(v)所望により、追加の薬学的、皮膚病学的および/または化粧学的に活性コンポーネント。
【0053】
別の実施形態では、基本(base)組成物は、低いから高い粘度のゲルまたは液体である。
好ましくは、本組成物は、さらに、追加の化粧学的、皮膚病学的または薬学的な成分または添加剤を含む。これらの成分の非限定の例は、エモリエント(emollients)、美容上許容できる、成分および染料、香水またはパンテノールのような薬学的活性物質である。
【0054】
当該成分や添加物の非限定の例は: 皮膚コンディショニング剤、皮膚平滑化剤、パンテノールまたはパントテノールのような、肌の水和剤(agents for skin hydration,)、グリセリン、乳酸または尿素などの天然保湿因子などである。また、代替としては、物理的または化学的日焼け止め、α- または β−ヒドロキシ酸、α−またはβ-ケト酸などの角質溶解剤(keratolitics)である。さらに、可能な成分は、ラジカル キャッチャー、老化防止剤、ビタミンC (アスコルビン酸) またはエステルやその配糖体などのビタミンやその誘導体、カテキンやフラボノイドなどの抗酸化物質を含む。
【0055】
さらに、潜在的な成分は、レスベラトロール、グルタチオン(gluthation)、フェルラ酸(ferulic acid)、Q10、ポリフェノール、セラミド、飽和及び/又は不飽和脂肪酸およびグリセリドを含む。さらに、ホホバ油などワックスエステルなどのエステル、一般のトリグリセリド (中性油(neutral oil)、アルガン油(argan oil)、シアバター(shea butter)) または植物オイルからの不鹸化成分(unsaponifiable components)である。
【0056】
さらに、野菜、バイオテクノロジーまたは海洋の起源の多糖類と、その加水分解物である。他の成分は、例えば、ブロメライン(bromelain)のような酵素、補酵素、酵素阻害剤、アミノ酸、天然および合成オリゴペプチド、コラーゲンやエラスチンなどのペプチド同様、その加水分解物、神経ペプチド、成長因子、アルカロイドである。いくつかの実施形態では、成分は、必要に応じて エスチン(aescin)、ジンセノ サイド、ルスコゲニン(ruscogenine)、またはアロイン(aloin)などの フィトファルマカ(phytopharmaca)を含む。さらに、高分子は、アルギン酸塩、セルロース誘導体、澱粉、キトサン、コンドロイチン硫酸、さらに、生物学的機能と互換性を有する合成生体高分子である。
【0057】
化粧品の添加剤の非制限例は、美白剤、無機または合成フィラーまたは、着色顔料、または染料、または粒子などの装飾的な物質を含む。本発明のいくつかの実施形態では、目、唇または顔の化粧品美容のため物質を含む。
【0058】
いくつかの実施形態では、さらに、組成物は、抗にきびまたは、抗酒さ剤、銀またはその誘導体のような抗微生物剤、ヨウ素またはPVPヨウ素、制汗剤(antiperspirants)、リドカインまたはイブプロフェンのような痛み緩和物質、収斂性(adstringent)の物質、消臭化合物、抗脂漏剤(antiseborrhoeic)または防腐剤などの治療的に活性な物質を含む。 さらに、自家細胞(autologous cells)、同種細胞(allogenic cells)、幹細胞や血小板血漿 (PRP).のようなセルまたはセルコンポーネントを含む。
【0059】
組成物は、好適には、溶解性や乳化性、機械的安定性、製品の粘度や触覚(haptics)のような、製品の最終的なパラメーターをコントロールするために、例えば、安定剤、保存剤のような、他の成分を含む。
【0060】
本発明の特別な実施形態では、基本(base)組成物は調整され、適当な容器で提供される。該容器は、凍結および凍結乾燥プロセスとして好ましく、同時に、必要に応じて、定義されている平均分子量を持つ生体高分子を含む凍結乾燥組成物の包装として使用できる、適切な容器で提供される。
【0061】
さらに、本発明の実施態様は、当該限定された(defined)平均分子量を持つ生体高分子を含む組成物の前記製造方法の使用、および、本発明の方法によって生成される生体高分子を含む組成物に関する。
【0062】
本発明の一実施形態では、最終組成物は、水溶液の液体、低粘度のエマルジョン、血清のような液体、マスク、クリーム、クリーム マスク、パッチまたは局所アプリケーションのセグメントのための基礎として使用できる。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【
図1】平均分子量と、ヒアルロン酸の肌の浸透および生物活性との相関。
【
図2】本発明による、ヒアルロン酸を含有する組成物を処理するときの、pH、温度および得られた平均分子量の相関。
【
図3】凍結乾燥プロセスの実行中の、示唆された温度プロファイル(suggested temperature profiles)の概要。
【
図4】本発明に従って処理された、ヒアルロン酸の平均分子量を決定するための検量線。
【
図5a-1】本発明に従って処理された、ニュートラルオイル(5A)の、Elugramと、分子質量プロファイル(molecular mass profiles)。
【
図5a-2】本発明に従って処理された、ニュートラルオイル(5A)の、Elugramと、分子質量プロファイル(molecular mass profiles)。
【
図5b-1】本発明に従って処理された、セピノブ(Sepinov)EMT−10(5B)の、Elugramと、分子質量プロファイル(molecular mass profiles)。
【
図5b-2】本発明に従って処理された、セピノブ(Sepinov)EMT−10(5B)の、Elugramと、分子質量プロファイル(molecular mass profiles)。
【
図6a】ネイティブのヒアルロン酸と、120℃で凍結乾燥したヒアルロン酸との、溶出プロファイル(6A)の比較。
【
図6b】ネイティブのヒアルロン酸と、120℃で凍結乾燥したヒアルロン酸との、分子質量プロファイル(6B)。
【
図7a】異なる温度で凍結乾燥した、ヒアルロン酸、セピノブEMT−10とニュートラルオイルの混合物の、溶出プロファイルの比較。
【
図7b】異なる温度で凍結乾燥した、ヒアルロン酸、セピノブEMT−10とニュートラルオイルの混合物の、分子質量プロファイル(7B)の比較。
【
図8】1重量%の高分子量HAサンプルの、pHを6.21から2.9の範囲で調整した、凍結乾燥サンプルの分子量。
【
図9】1重量%の高分子量HAサンプルの、pHを6.21および2.9に調整した、凍結乾燥サンプルの分子量分布。
【
図10】別のプロセス温度で、凍結乾燥したエマルジョンを含むヒアルロン酸の分子量。
【0064】
[実施例]
実施例1:ヒアルロン酸の制御分解
脱イオン水を、1Lのラボ反応器に移動し、75℃で撹拌した。ヒアルロン酸パウダーを加え、75℃、700rpmで、15分間、材料を溶解するまで攪拌した。乳化剤成分を追加し、減圧下(200μbar)、1400rpmで、15分間、50℃で撹拌した。油成分を加えて、1400rpm/45℃/200μbarで、10分撹拌し、その後、5分間、 2100rpm/45℃/200μbarで撹拌した。生成したエマルジョンは室温に冷却され、10mlのガラスバイアルに移し、周囲条件下で、一夜保管した。サンプルは、最短で16時間、ディープ フリーザーの中で冷凍され、その後、最高ターゲット温度になるまで凍結乾燥した。
【0065】
原理の証拠のため、ヒアルロン酸は、発明された方法に従って処理された。ここで、純粋なヒアルロン酸と、MCTニュートラルオイルとセピノブEMT−10を有するヒアルロン酸の組成物を、温度を変化させて凍結乾燥した。
【0066】
以下のサンプルを分析した。
1.ニュートラルオイル、未処理
2.セピノブEMT−10、未処理
3.ヒアルロン酸、未処理
4.セピノブEMT−10、120℃で凍結乾燥
5.ヒアルロン酸、120℃で凍結乾燥
6.混合物(ヒアルロン酸、ニュートラルオイルとセピノブEMT−10)、40℃で凍結乾燥
7.混合物、60℃で凍結乾燥
8.混合物、80℃で凍結乾燥
9.混合物、100℃で凍結乾燥
10.混合物、120℃で凍結乾燥
【0067】
サンプルは、3つの分析カラムを用いた高速液体クロマトグラフィー システムで、サイズ排除クロマトグラフィーを用いて分析した。サンプルは、pH7.4のPBSバッファーに溶解し、非溶性部分を濾過により除去した。
【0068】
カラムは、デキストラン/プルラン標準品を使用して校正されました。サンプルの分子質量は、当該検量線(検量線は、
図4を参照) に基づき決定された。
【0069】
純粋なヒアルロン酸サンプルだけが完全に溶解性であった。セピノブ(Sepinov)EMT−10またはニュートラルオイルの溶解するコンポーネントは、分析中に、問題のあるいかなる信号を生成しない(
図5aおよび5bを参照)。
【0070】
結果は、その組成物および凍結乾燥温度が、ヒアルロン酸の平均分子量に影響を与えることを明確に示した。純粋なヒアルロン酸の、高温での凍結乾燥の効果が起こり、平均分子量の減少を齎す一方(
図6a、b)、その効果は、混合物においてより強かった(
図7a、b を参照)。
【0071】
全体的には、凍結乾燥処理中のパラメーターの選択は、凍結乾燥後のヒアルロン酸の平均分子量を制御するのに適切であることを、明確に目視できる。
【0072】
実施例 2: 分解に及ぼす pH 値の影響
1.478 Mio Da(Contipro、ゲル浸透クロマトグラフィーによる分子量) の分子量を有するヒアルロン酸を、蒸留水に、80℃で5分間かけて溶解し、1重量%の水溶液にした。pHを、塩酸で、2.9から6.21の範囲に調整された。
【0073】
7.5mlのHA溶液を、10mlのガラスバイアルに入れ、サンプルを、−20℃で、一夜、凍結し、HTデバイスを、キリスト イプシロン 2−10 D LSCプラス(Christ Epsilon 2-10D LSC plus)に置き、
図3に示すように 10/120℃の温度プロファイルに従って、約20時間処理した。
【0074】
凍結乾燥したサンプルは、GPCバッファー(pH7.4)で、0.3重量%の濃度に、希釈され、プルランおよびデキストランの分子量標準に対して、ゲル浸透クロマトグラフィーにより、分析された。
【0075】
調整したpHと独立に、すべてのサンプルは開裂し、pH6.21で、最高766kDa、そして、pH2.9で、最小84.75kDaを示した(
図7)。高分子におけるフリーの酸の機能(functionality)の量が高くなればなるほど、高分子の開裂傾向が高くなる。低分子量のサンプルと同様に、高分子量の、相当するelugramを
図8に示した。
【0076】
実施例 3: 異なる分子量を持つヒアルロン酸の分解
ヒアルロン酸の4つの異なるタイプ(Contipro/GfN 3010(分子量:1478kDa)、Principium Cube3(分子量:733kDa)、Principium シグナル−10(分子量:25kDa)およびフリーダ ミニ−HA(分子量:27kDa))を、5分間、80℃で、蒸留水に溶かし、1重量%の溶液にした。溶液は、そのまま使用されるか、または、pHは、約3.5に調節された。
【0077】
7.5mlのHA溶液は、10mlのガラスバイアルに分配され、サンプルは、−20℃で、一夜、凍結され、HTデバイスは、キリスト イプシロン 2−10D LSCプラス に置かれ、
図3に示すように、約20時間、10/120℃、または、代替として、120℃の温度プロファイルに従って処理された。
【0078】
凍結乾燥サンプルは、GPCバッファー(pH7.4)で、0.3重量%の濃度に希釈され、プルランおよびデキストランの分子量標準に対して、ゲル浸透クロマトグラフィーによる分析された。
【0079】
中高の分子量のHAは、次の表に示すように、蒸留水に溶解した、オリジナルのpHで分子量の緩やかな崩壊を示した。一方、物質の分子量は、低いpHで、劇的に崩壊した
【0080】
【表1】
【0081】
実施例 4:ヒアルロン酸を含むエマルジョン
高分子量のヒアルロン酸(GfN/Contipro 3010、1.5MDa)5グラムを、蒸留水465gに溶解した。80℃に加熱して、そして、Somakon MP−LB(1L)混合機で、15分間、1400rpmで、常圧で撹拌した。
【0082】
7.5gのSepinov EMT−10(INCI名:ヒドロキシエチル アクリレート(および)ナトリウム アクリロイル ジメチル タウリン共重合体)を加え、pHを3.05に調整し、そして、混合物を、1400rpm/200μbarで、80℃で、さらに、15分間攪拌した。
【0083】
モデルオイル化合物として、中鎖トリグリシデリド(triglyciderides)(MCTs)の25gを追加し、5分間、2100rpm/200μbarで、ホモジナイズされた。
【0084】
得られたエマルション、7.5mlを、10mlガラスバイアルに分配された。サンプルは、−20℃で、一夜、凍結され、HTデバイスは、キリスト イプシロン 2−10D LSCプラスに置かれ、そして、最高40、60、80、100および120℃で、約20時間、処理された。
【0085】
凍結乾燥サンプルは、GPCバッファー(pH7.4)で、0.3重量%の濃度に希釈され、そして、GPCの手段で分析された。
図9は、最高のプロセス温度の上昇とともに、ヒアルロン酸の分子量(Mw)が減少するという、温度依存性を示す。
実施例5:異なる生体高分子の凍結乾燥
【0086】
高分子は、80℃で、5分間、蒸留水で溶解し、1重量%の溶液にした。溶液のpHを測定し、未処理の高分子溶液の分子量分布を、プルランとデキストランの分子量標準に対して、PBSバッファー(pH7.4)で、0.3重量%に、サンプルを希釈して、サイズ排除クロマトグラフィーによって、決定した。
【0087】
7.5mlの高分子溶液を、10mlのガラスバイアルに分配された。サンプルは、−20℃で、一夜、凍結され、キリスト イプシロン 2−10D LSCプラスに、HTデバイスを置き、
図3に示すように、10/120℃の温度プロファイルに従って、約20時間、処理された。
【0088】
凍結乾燥サンプルは、GPCバッファー(pH7.4)で、0.3重量%の濃度に希釈され、そして、GPCの手段で分析された。結果は、次の表のとおりである
【0089】
【表2】
【0090】
【表3】
【0091】
実施例 6: 異なる乳化高分子コンポーネントを含む、ヒアルロン酸エマルジョンの凍結乾燥
高分子量ヒアルロン酸(GfN/Contipro 3010、1.5MDa)3gを、277.5gの80℃に加熱した蒸留水に溶解し、Somakon MP−LB(1L)混合機により、15分間で、1400rpmおよび常圧で攪拌した。
【0092】
4.5gの乳化高分子を追加し、そして、pHを約3に調整した。そして、混合物は、1400rpm/200mbarで、80℃で、さらに15分間攪拌した。
【0093】
15gの中鎖トリグリシデリド(triglyciderides)(MCTs)を添加し、2100rpm/200mbarで、5分間、ホモジナイズされた。
【0094】
得られたエマルション7.5mlを、10mlガラスバイアルに分配され、サンプルは、−20℃で、一夜、凍結され、キリスト イプシロン 2−10D LSCプラスに、HTデバイスを置き、そして、最高120℃で、約20時間、処理された。
次の表は、使用された乳化高分子、凍結乾燥に先立つエマルジョンの粘度(手持ちHAAKE Viscotester 2 プラスで測定)と、そのpH値を示す。すべての凍結乾燥サンプルは、早い再水和による乳白色のエマルジョンを提供した
【0095】
【表4】
【0096】
実施例 7: 異なったオイルのコンポーネントを含む、ヒアルロン酸エマルジョンの凍結乾燥
3gの高分子量HA(GfN/Contipro 3010、1.5MDa)、277.5gの蒸留水、4.5gのEMT−10、および15gのオイル成分(MCT(Cosnaderm)、マルラ オイル(Seatons)、Jojobaoil(J.H.ミュラーGmbH)またはアルガン オイル(Seatons))を、実施例6で説明されているように処理した。
【0097】
得られたエマルション7.5mlを、10mlガラスバイアルに分配し、サンプルを、−20℃、一夜、凍結し、キリスト イプシロン 2−10D LSCプラスに、HTデバイスを置き、そして、最高120℃で、約20時間、処理された。すべての凍結乾燥サンプルは、早い再水和によって、乳白色のエマルジョンを提供した。
実施例8:UVフィルターのブレンドを含む、ヒアルロン酸エマルジョンの凍結乾燥
高分子量ヒアルロン酸(GfN/Contipro 3010、1.5MDa)の3gを、80℃に加熱した蒸留水277.5gに溶解し、Somakon MP−LB(1L)混合機で、15分間、1400rpmと常圧で、攪拌した。4.5gのSepinov EMT−10が追加され、混合物を、80℃で、さらに15分間、1400rpm/200mbarで攪拌した。
【0098】
6gのEusolex 9010(Avobenzone)、15gのEusolex OCR(オクトクリレン)および、7.5gのEusolex OR(サリチル酸エチルヘキシル)を、15gの中鎖トリグリシデリド(triglyciderides)(MCTs)に溶解し、そして、UVフィルター混合物を、高分子溶液に添加し、5分間、2100rpm/200mbarでホモジナイズされた。
【0099】
得られたエマルション7.5mlを、10mlガラスバイアルに分配し、サンプルを、−20℃で、一夜、凍結され、キリスト イプシロン 2−10D LSCプラスに、HTデバイスを置き、
図3に示されるように、10/120℃で処理された。凍結乾燥サンプルは、GPCバッファー(pH7.4)で、0.3重量%の濃度に希釈され、そして、GPCの手段によって分析された。凍結乾燥の分子量は、975kDaとして測定された。
【0100】
実施例9:微結晶銀を含む、ヒアルロン酸エマルジョンの凍結乾燥
高分子量ヒアルロン酸(GfN/Contipro 3010、1.5MDa)の3gを、80℃に加熱した蒸留水277.5gに溶解し、Somakon MP−LB(1L)混合機で、15分間、1400rpmと常圧で、攪拌した。
【0101】
4.5gのSepinov EMT−10が追加され、混合物は、80℃で、さらに15分間、1400rpm/200mbarで攪拌された。微結晶銀700mgは、15gの中鎖トリグリシデリド(triglyciderides)(MCTs)に分散され、そして、混合物は、高分子溶液に添加され、5分間、2100rpm/200mbarで、ホモジナイズされた。
【0102】
得られたエマルション7.5mlを、10mlガラスバイアルに分配され、サンプルは、−20℃で、一夜、凍結され、キリスト イプシロン 2−10D LSCプラスに、HTデバイスが置かれ、
図3に示されるように、10/120℃で処理された。すべての凍結乾燥サンプルには、早い再水和によって、無色のゲルを提供した。
【手続補正書】
【提出日】2020年8月24日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体高分子の製造方法であって、
前記生体高分子が限定された(defined)平均分子量を有し、
前記方法は、以下を含む、
・前記生体高分子を含む組成物を凍結乾燥すること
・必要に応じて、前記生体高分子を、精製および/または単離すること、
ここで、前記凍結乾燥プロセス中の最高温度は、当該生体高分子の、制御され、および、限定された分解(defined degradation)を促進(facilitate)するように、120℃であり、
前記生体高分子が、ヒアルロン酸であり、
前記生体高分子が、120℃で、少なくとも10時間処理される方法。
【請求項2】
前記生体高分子を含む組成物が、水溶液またはエマルションである、請求項1の方法。
【請求項3】
前記生体高分子を含む組成物が、4〜8.5から選択されるpH値を有する、請求項1または2のいずれか1項の方法。
【請求項4】
前記昇華プロセス中の圧力が、50μbar〜800μbarの範囲から選択される、請求項1または3のいずれか1項の方法。
【請求項5】
生体高分子を含む組成物の製造方法であって、
前記生体高分子は限定された(defined)平均分子量を有し、そして、
以下の方法を含む製造方法であって、
(i)ネイティブの高分子量を持つ生体高分子を含む基本(base)組成物を提供し、そして、
(ii)当該基本(base)組成物を凍結乾燥する。
ここで、
・ネイティブの高分子量を持つ生体高分子を含む基本(base)組成物は、4以上の限定されたpHを有し、
・前記凍結乾燥プロセス中の最高温度は、当該生体高分子の、制御され、および、限定された分解(defined degradation)を促進(facilitate)するように、120℃であり、
・前記生体高分子が、ヒアルロン酸であり、
・前記生体高分子が、120℃で、少なくとも10時間処理される方法。
【請求項6】
前記基本(base)組成物が、エマルジョンまたは水溶液である、請求項5の製造方法。
【請求項7】
前記基本組成物が、下記を含むエマルジョンである、請求項6の製造方法:
(i)前記生体高分、
(ii)水、
(iii)必要に応じて、薬学上、皮膚病学上、または化粧用許容されるオイル(pharmaceutically, dermatologically or cosmetically acceptable oil)、
(iv)必要に応じて、乳化剤、および
(v)必要に応じて、エモリエント剤。
【請求項8】
前記基本(base)組成物が、さらに、皮膚病学の、薬学上または化粧用の添加物を、追加で含む、請求項7の製造方法。
【請求項9】
前記基本組成物が、得られた凍結乾燥製品が容易に溶け、または、容易にエマルジョンを形成するように、追加のコンポーネントを含む、請求項5乃至8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記基本組成物が、凍結乾燥プロセスに適し、そして、一次包装として使用できる、適当な容器において製造される、請求項5乃至9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
薬学上、皮膚学上、または、化粧用、許容される生体高分子の生産のための、請求項1乃至4のいずれか1項の方法の使用であって、前記生体高分子が、ヒアルロン酸である使用。
【請求項12】
薬学上、皮膚学上、または、化粧用の許容される、生体高分子を含む組成物の生産のための、請求項5乃至11のいずれか1項の方法の使用であって、前記生体高分子が、ヒアルロン酸である使用。
【請求項13】
請求項1乃至4のいずれか1項の方法によって製造されたヒアルロン酸の、医薬品、皮膚科または化粧品の製品の製造のための使用。
【外国語明細書】