【解決手段】軒先庇部2を挟み込むことで固定される固定部10は、上押さえ部20と、下押さえ部30とを備えている。上押さえ部20と下押さえ部30とは、板幅方向の側端縁から板幅方向に延びた切り溝25、35を有し、切り溝同士の差し込みにて交差重合する連結構造とされている。切り溝同士で連結した部位を支点15として、支点15の後ろ側に、開閉自在な2片よりなる挟着部16が配され、支点15の前側に、開閉自在な2片よりなる操作部17が配され、挟着部16の2片間に軒先庇部2を配した状態で、操作部16が閉じることで、挟着部17が閉じて軒先庇部2を挟み込む。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、本発明の実施の形態に係る軒樋支持具1ついて、添付図面をもとに説明する。まず、種々の実施形態に係る軒樋支持具1の基本構成について記述する。以下では、軒先に軒樋支持具1が施工された状態を基準として、前後などの方向を規定して説明する。
【0019】
これらの軒樋支持具1は、屋根の軒先庇部2に固定される軒樋支持具1であり、軒樋3を支持する本体部11と、本体部11を吊り支持し、かつ軒先庇部2を挟み込むことで固定される固定部10とを備えている。
【0020】
固定部10は、軒先庇部2の上面側に配される帯板状の上押さえ部20と、上押さえ部20とは別体とした、軒先庇部2の下面側に配される帯板状の下押さえ部30とを備えている。上押さえ部20と下押さえ部30とは、板幅方向の側端縁から板幅方向に延びた切り溝25、35を有し、切り溝25、35同士の差し込みにて交差重合する連結構造とされている。なお、上押さえ部20および下押さえ部30は金属板で形成されることが望ましい。
【0021】
切り溝25、35同士で連結した部位を支点15として、支点15の後ろ側に、開閉自在な2片よりなる挟着部16が配され、支点15の前側に、開閉自在な2片よりなる操作部17が配されている。この軒樋支持具1は、挟着部16の2片間に軒先庇部2が配された状態で、操作部17が閉じることで、挟着部16が閉じて軒先庇部2を挟み込むことで、軒先庇部2に固定される固定構造とされている。
【0022】
ここで、軒先庇部2は軒先に突出した屋根材の一部とされ、屋根材としては例えば
図1に示すような平板状のスレート屋根材が挙げられるが、その他種々の屋根材であってもよい。折板屋根の軒先部であってもよい。
【0023】
ついで、各実施形態に係る軒樋支持具1を個別に、詳細に説明する。
【0024】
図1に示した軒樋支持具1は、上述したように上押さえ部20と下押さえ部30とで固定部10を構成しており、上押さえ部20と下押さえ部30とが連結された状態では、前側に2片よりなる操作部17が配され、後ろ側に2片よりなる挟着部16が配される。
【0025】
操作部17を構成する2片の一方は、下押さえ部30の前端部よりなる上操作片部33であり、他方は上押さえ部20の前端部よりなる下操作片部26である。挟着部16を構成する2片の一方は、上押さえ部20の後部側に配された上挟着片部21であり、他方は下押さえ部30の後部側に配された下挟着片部31である。
【0026】
ついで、上押さえ部20と下押さえ部30とを、
図1および
図2にもとづいて個別に説明する。
【0027】
上押さえ部20は、下操作片部26と、切り溝25を有した中間部24と、上挟着片部21とを備えている。下押さえ部30は、上操作片部33と、切り溝35を有した下挟着片部31と、下挟着片部31の後端より垂下した、軒樋3の高さ位置調整用の垂下片部40とを備えている。
【0028】
上押さえ部20の中間部24は、軒先庇部2の先端面にあてがわれる部位であり、軒先庇部2の厚みよりもやや長く形成されている。切り溝25は、この中間部24の下部に形成されており、上挟着片部21が軒先庇部2の上面に面接触し、中間部24の後面が軒先庇部2の先端面に当接または近接した状態では、軒先庇部2の下面よりも下側に配される。
【0029】
また、上押さえ部20の上挟着片部21の裏面には、中間部24の近傍部(前端部)において、幅方向の両端において長手方向に沿って間隔を空けて連続して配された下向き連続突起22aが形成され、後端部において、幅方向の中央に配された下向き突起22bが形成されている。これらの突起は軒先庇部2の上面を上方から押圧するものである。また、上挟着片部21の後部の板面には、軒先庇部2へ固定具止めするための固定具挿通孔23が開設されている。
【0030】
その上押さえ部20の下操作片部26は、中間部24の下端より前方へ折曲延出してなり、板面にはボルト用ネジ孔27が開設されている。また、下操作片部26は上挟着片部21よりも大きく下り傾斜しており、取付状態においては前方斜め上方向を向くように形成されている。
【0031】
一方、下押さえ部30は、上操作片部33と、下挟着片部31と、下挟着片部31の後端より下方に折曲延出した垂下片部40とを備えている。切り溝35は、下挟着片部31の前部に形成されており、この切り溝35と上押さえ部20の切り溝25とが、相互に差し込まれることで、上押さえ部20と下押さえ部30とは、切り溝25、35同士で連結した部位を支点15として、回動が可能なように連結される。
【0032】
下押さえ部30の下挟着片部31の上面には、切り溝35の後ろ近傍において、幅方向の両端において長手方向に沿って間隔を空けて連続して配された上向き連続突起32が形成されている。なお、上向き連続突起32と、上押さえ部20の下向き連続突起22aとは、すくなくともどちらか一方が形成されていることが望ましい。
【0033】
下押さえ部30の上操作片部33は、下挟着片部31の前端より下方へ折曲延出して形成されており、その上操作片部33にはボルト挿通孔34が開設されている。また、上操作片部33は下挟着片部31よりも大きく前方に下り傾斜している。
【0034】
上押さえ部20と下押さえ部30は、上挟着片部21と下挟着片部31が軒先庇部2を挟んで略平行な閉じた状態になれば、下操作片部26と上操作片部33も略平行に近接し閉じた状態となり、おおむね仮固定状態となる。この状態で、上操作片部33の上方よりボルト18を、ボルト挿通孔34を介して下操作片部26のボルト用ネジ孔27に螺着することで、上押さえ部20の下向き連続突起22aおよび下向き突起22bは軒先庇部2の上面に食い込み、かつ下押さえ部30の上向き連続突起32は軒先庇部2の下面に食い込み、軒樋支持具1はおおむね固定状態となる。
【0035】
これらの突起(下向き連続突起22a、下向き突起22b、上向き突起32)の形状は、図例のものには限らない。例えば、先細りのものや先端が尖ったものにすれば軒先庇部2の面にしっかりと食い込むため、より望ましい。また、連続突起に代えて、下向き突起22bのように1つの突起でもよい。また、これらの突起は、一部を折り曲げて形成してもよいし、切り起こしにより形成してもよい。さらに、突起は板面の押圧により膨出させたものであってもよい。例えば、図例で示した下向き連続突起22a、上向き連続突起32のそれぞれは対をなすが、これに代えて、板面の幅方向の中央の1箇所に膨出突起を設けてもよい。
【0036】
また、上押さえ部20の上挟着片部21の固定具挿通孔23より、ビスや釘などの固定具を挿通させて、軒先庇部2に固定すれば、軒樋支持具1はずれることなく、さらにしっかりと軒先庇部2に固定される。
【0037】
下押さえ部30の垂下片部40には、長手方向に沿って長孔41が開設されており、その長孔41の適所に樋支持具本体12(本体部11)が取り付けられる。
図1の樋支持具本体12は軒樋3を受け支持する湾曲形状のものとされ、その前後端には軒樋3の耳3aを係止する耳係止部11aが形成されている。後ろ側の耳係止部11aが垂下片部40の適切な高さ位置に、ボルト42、蝶ナット43で取り付けできるようになっている。
【0038】
以上のように、上押さえ部20は、上挟着片部21と下操作片部26とを有した1つの帯板部材で形成され、下押さえ部30は、下挟着片部31と上操作片部33と垂下片部40とを有した1つの帯板部材で形成されており、固定部10は以上のように2部材が連結された状態で、軒先庇部2に固定される。
【0039】
このようにして、2部材が連結されて軒先庇部2に固定された固定部10は、軒樋3を支持した本体部11を吊り支持する。
【0040】
図1の例では、軒先庇部2は厚みが略均一な平板状のスレート屋根材で形成されているため、挟着部16を構成する上挟着片部21、下挟着片部31は略平行な状態で固定されているが、厚みが均一でない、例えば前端側に向けて厚さが先細り形状の軒先庇部2に挟着するものであってもよい。その場合でも、軒樋支持具1は、固定された状態では操作部17の両片が平行となるように角度調整がなされればよい。例えば、
図1に示した下押さえ部30の上操作片部33と下挟着片部31との折曲部を、角度が小さくなるように曲げて利用することもできる。
【0041】
この軒樋支持具1は、切り溝25、35の溝間寸法にもよるが、両部材が連結状態にあるときには、操作部17および挟着部16は、それぞれの2片が、切り溝25、35同士の交差連結した部位を支点15として回動が可能とされ、いずれもが開閉自在とされる。例えば、上押さえ部20は、下押さえ部30が停止した状態でも
図1の2点鎖線の位置まで回動する。
【0042】
したがって、軒樋支持具1の設置方法としては、まず下押さえ部30を軒先庇部2の下面側の定位置に配したうえで、上押さえ部20を2点鎖線で示した位置に配して切り溝25、35同士を差し込んで連結し、その後、上挟着片部21を軒先庇部2の上面まで回動させて挟着状態にすればよい。
【0043】
また、
図3に示すように、あらかじめ両部材を支点15で連結し、かつ上操作片部33、下操作片部26同士をわずかに開いた状態にボルト18で螺合しておき、挟着部16の先端が開いた状態で、その開いた空間に軒先庇部2が配されるように後方にずらし、その後、操作部17でのボルト18の螺着により挟着部16を閉じて挟着状態にしてもよい。
【0044】
また、まず上押さえ部20を定位置に配したうえで、下押さえ部30を、切り溝25、35同士を相互に差し込むようにして連結し、その後、下押さえ部30を持ち上げ、下挟着片部31を軒先庇部2の下面まで回動させて挟着状態にしてもよい。
【0045】
いずれにせよ、挟着部16は開いた状態で軒先庇部2に取り付けができるため、軒樋支持具1の取り付けの際に、軒樋支持具1の接触により軒先庇部2の先端を傷めるおそれはほとんどない。
【0046】
また、操作部17の2片が閉じれば挟着部16も軒先庇部2を挟着状態となるように閉じる構成であるため、作業者は、仮固定のためにまず操作部17を閉じる操作をし、さらに操作部17をボルト止めすればよい。いったん操作部17に対する作業が完了すれば、その後、軒樋支持具1がずり落ちたりするおそれはほとんどなく操作部17から手を離した状態でも安心して、上挟着片部21の軒先庇部2への固定作業を行うことができる。
【0047】
特に、上挟着片部21には下向き連続突起22a、下向き突起22bが形成され、下挟着片部22には上向き連続突起32が形成されているため、操作部17を閉じてから、操作部17をボルト止めする前であっても、ずれは発生しにくい。これらの突起のうち1つでも尖端状にすれば、さらに効果的である。
【0048】
また、操作部17はその上面が屋根面よりもさらに下り傾斜した状態に配されるため、操作部17の上面は斜め上前方を向く。そのため、作業者はボルト18の螺合操作をしやすくできる。特に、下操作片部26にボルト用ネジ孔27が設けてあるため、ナットを用いなくてもよく、螺着操作はさらにしやすくなる。もちろん、下操作片部26にも上操作片部33と同様の固定軸挿通孔を設けて、ボルト18、ナットで固定するようにしてもよい。
【0049】
ついで、挟着部16による軒先庇部2の挟着のための、操作部17の固定構造の他の実施形態について、
図4〜
図8を参照しながら説明する。
【0050】
図4および
図5〜
図7に示した2種の固定構造はいずれも、リベット51と、圧接手段50とを用いるものである。
【0051】
図4に示した固定構造は、
図4(a)に示したように、切り溝25、35同士が差し込みされ、かつ上挟着片部21と下挟着片部31とが軒先庇部2を挟着しない状態で、つまり上操作片部33と、下操作片部26とがわずかに開いた状態、つまり遊びをもって連結された状態で、上操作片部33と、下操作片部26とを連結できる長さのリベット51が用いられている。ようするに、両部材はわずかな回動が許容される程度の長さの軸部51bを有したリベット51で連結されている。なお、この場合、上操作片部33、下操作片部26のいずれにも固定軸挿通孔(不図示)が開設されている。
【0052】
この状態で、上操作片部33と下操作片部26とを閉じた状態にして、リベット51を上方に引き出し、上操作片部33の上面とリベット51の頭部51aとの隙間に、
図4(c)に示した固定部材52を圧入することで、操作部17を構成する両片は閉じた状態に固定され、軒樋支持具1を挟着部16が軒先庇部2を挟み込んだ状態で仮固定状態にすることができる。つまり、この固定部材52が圧接手段50を構成する。
【0053】
固定部材52は、
図4(c)に示すように、リベット51の上操作片部33側あるいは下操作片部26側(図例では上操作片部33側)に露出したネック部51cに嵌り込む凹部52aを有している。凹部52aの開口側には誘導部52bが形成され、その誘導部52bは、凹部52aの開口から先端に向けて広がった誘導路52cを有している。また、誘導部52bは、厚さが先細りのガイド形状とされている。
【0054】
この軒樋支持具1についても、
図4(a)に示すように挟着部16を開いた状態で軒先庇部2の挟着作業ができるため、軒先庇部2に簡易に取り付けでき、軒先庇部2の損傷を防止することができる。また、操作部17の2片が連結されているため、施工前、施工時のいずれにおいても取り扱いがしやすい。
【0055】
図5〜
図7に示した固定構造も、操作部17の一方片とリベット51との間に圧接手段50を介在させることで、操作部17の両片を閉じた状態にロック(固定)する構造とされている。リベット51は、後述する回転操作部材55を取り付けた状態で、
図4のものと同様に、上操作片部33と下操作片部26との間でわずかな回動が許容される程度の長さの軸部51bを有している。
【0056】
具体的には、この軒樋支持具1は、ロック/アンロックの切り替えをするための回転操作部材55をさらに備えた構成とされている。回転操作部材55は、金属等の薄板材で形成されており、
図5(a)に示すように、長方形状の基板部56と、その基板部56の両方の長辺縁より略垂直に延びた把持片部57を備えている。基板部56の中央には挿通孔56aが開設され、その長手方向の両側には、基板部56の長手方向に沿ってやや長い小孔56bが形成されている。
【0057】
この回転操作部材55は、基板部56の挿通孔56aにリベット51の軸部51bが挿通され、
図5(a)に示すように、上方に把持片部57を突出させた状態で上操作片部33側に連結されている。なお、
図5(a)、
図6(a)および
図7(a)は同一状態(後述するロック解除位置)の異なる方向から見た図であり、
図5(b)、
図6(b)および
図7(b)は同一状態(後述するロック位置)の異なる方向から見た図である。
【0058】
また、この軒樋支持具1では、上操作片部33の外面に、幅方向に沿って延びる2つの膨出部36が略平行に形成されている。各膨出部36は尾根状の頂部が延びてなり、全体として突湾曲形状とされている。膨出部36の頂部の中央には小突起37が形成されている。
【0059】
つまり、膨出部36は、軒樋支持具1を側方から見た場合には略半円形状とされ(
図5(a)参照)、正面(
図5(a)のA2方向)から見た場合には略半楕円形状とされている。それぞれの膨出部36はボルト挿通孔34より等距離に設けられている。また、2つの膨出部36の間隔は、回転操作部材55の2つの小孔56bの間隔に合致している。
【0060】
回転操作部材55は、操作部17に対し、リベット51の軸部51bを支軸として回転できるように取り付けられている。
図5(a)のように、軒樋支持具1を側方から見て回転操作部材55がコ字状に見える位置がアンロック位置とされ、このアンロック位置では、回転操作部材55が膨出部36間に挟まれるような位置に配されている。
【0061】
図5(a)、
図6(a)および
図7(a)では、上操作片部33と下操作片部26とが遊びを有し微回動可能な緩んだ状態にあり、かつ回転操作部材55が回転可能な状態にある。そして、回転操作部材55をリベット51の軸部51bを中心に回転させていくと基板部56は膨出部36に圧接状態で乗り上げ、約90度回転させたときには、圧接状態のまま、小突起37が基板部56の小孔56bに入り込んだ状態となる(
図5(b)、
図6(b)および
図7(b)参照)。
【0062】
図5(b)、
図6(b)および
図7(b)で示した回転操作部材55の位置がロック位置とされ、この状態では圧接により、操作部17の両片は閉じた状態でロック(固定)され、軒樋支持具1が軒先庇部2を挟み込んだ状態に仮固定状態とすることができる。つまり、回転操作部材55の基板部56と、膨出部36とにより圧接手段50が構成されている。
【0063】
また、回転操作部材55の回転移動により膨出部36の中央の小突起37と小孔56bとが合致するときに、「カチッ」と音がするため、ロック位置であることを確認できる。また、小突起37が小孔56bに入り込んでいれば、小突起37が回転操作部材55の回転動作の障壁となるため、把持片部57をつまんで操作しないかぎり、ロックが解除される可能性はほとんどない。
【0064】
このように軒樋支持具1が回転操作部材55を有した構成であるため、
図4の固定構造のものと同様、軒先庇部2への挟着取付操作を簡単に行うことができる。また、軒樋支持具1を構成する部品を一体とした連結状態にしておくことができるため、施工前、施工時のいずれにおいても取り扱いがしやすく、管理もしやすい。
【0065】
図8に示した固定構造は、固定クリップ60を用いて操作部17を固定する構造とされる。固定クリップ60は操作部17を閉じた状態で厚み方向より挟着する部材であり、
図8(b)に示すように略コ字形状とされている。
【0066】
この固定クリップ60は、基部61と弾性を有した2つの脚片62とを備えており、2つの脚片62で操作部17の両片を挟着する構成とされている。脚片62は、内面側に突出した圧接部62aを有し、先端部には相互に開いたガイド部62bを備えている。
【0067】
このような固定クリップ60を用いれば、作業者は固定クリップ60を操作部17に嵌め込むだけで、簡単に操作部17を仮固定状態とすることができる。また、ボルト18やリベット51などが不要とされ、上操作片部33、下操作片部26には固定軸挿通孔を設けなくてもよい。
【0068】
また、この固定クリップ60とリベット51とを組み合わせて、操作部17の2片を挟み込むとともに、上操作片部33の上面とリベット51の頭部51aとの間に、固定クリップ60の一方の脚片62を圧入する構造にしてもよい。この場合の圧入用の脚片62は
図4(c)に示すような形状にすればよい。
【0069】
図9(a)〜(c)は、下操作片部26の幅方向の両端部に、規制片65または挟み片66を設けた軒樋支持具1の説明図である。なお、
図9(a)は、規制片65を設けた図例であるが、挟み片66を設けた例については斜視図を省略する。
【0070】
規制片65は、
図9(a)(b)に示すように平板状のものが幅方向の端部より起立するように配され、
図9(b)に示すように、両規制片がやや開いた逆ハ字状に設けられることが望ましい。
【0071】
図9(b)のように、下操作片部26が規制片65を有していれば、上操作片部33のぶれを防止できる。特に、上押さえ部20と下押さえ部30とを切り溝25、35だけで連結した状態では、ぶれが生じやすいため、規制片65で上操作片部33のぶれを規制すれば、ボルト18止めがしやすくなる。この規制片65は板幅方向のすくなくとも一方の端部に設けられていてもよい。また、規制片65は、操作部17のうちのすくなくとも1片に設ければよい。
【0072】
また、それぞれの挟み片66は、
図9(c)のように、先端部が「く字」状に外側に折曲されている。両挟み片66の折曲形状により、開口が徐々に広くなったガイド部66aと、両挟み片66間が窄まるように形成された折曲部66bとが形成されている。
【0073】
開口より挟み片66間に入ってきた上操作片部33は、折曲部66bを外側に弾性的に押圧しながら折曲部66b間を通り、下操作片部26に重なる位置に入り込む。このようにして操作部17の2片は仮固定状態に固定される。さらに2片をボルト18で固定してもよい。
【0074】
このように挟み片66を有した構成によれば、軒樋支持具1を簡易に仮固定状態とすることができる。操作部17の両片をさらにボルト18で固定してもよいが、挟着部16が軒先庇部2を挟着し、さらに、上挟着片部21が軒先庇部2に固定されるため、操作部17のボルト18止めはしなくてもよい。
【0075】
図10は、軒樋3を吊り支持する軒樋支持具1の側面図である。この軒樋支持具1は、本体部11が樋支持具本体12と、取付足部13とを有して構成されている。取付足部13は、後部に固定片部13aを備えており、この固定片部13aを垂下片部40の適宜な高さ位置にボルト42、蝶ナット43で固定することで、軒樋3の高さ調節ができるようになっている。
【0076】
また、樋支持具本体12には前後方向に延びる長孔(不図示)が形成されており、長孔の前後方向の適宜な位置に取付足部13の先端に設けた軸孔(不図示)を合わせてボルト11b、蝶ナット11cで固定することで、軒樋3を適切な出具合位置に調節できるようになっている。なお、出具合調節ができない、つまり取付足部13を有しないものであれば、樋支持具本体12の後ろ側の耳係止部11aを垂下片部40に固定できるようにすればよい。
【0077】
この軒樋支持具1の軒先庇部2に対する取付構造は、
図1のものと同様であるため、説明は割愛する。また、
図4〜
図9の態様については、本軒樋支持具1にも適用が可能とされる。
【0078】
以上では、軒樋支持具1は、本体部11が垂下片部40に取り付けられる構造とされるが、本体部11が下押さえ部30に一体となったものであってもよい。なお、軒樋3を受け支持する本体部11の場合には、本体部11が下押さえ部30と一体化されればよい。また、軒樋3を吊り支持する本体部11の場合には、出具合調整が可能なものであれば、取付足部13が下押さえ部30に一体化されればよく、出具合調整ができないものであれば、樋支持具本体12が下押さえ部30と一体化されればよい。