【解決手段】シール組立体20は、ゴムなどの一体化した弾性を有する材料より形成された主シール体と、補強材とを含む。シールは、補強材を受用できるサイズを有する補強材ポケットを有しており、これにより補強材を手でシール体に組み入れることができる。この組立体は、第1PVCO管12の受口端14及び第2PVCO管の差口端に挿入でき、さらに受口端に挿入し、シール組立体の主密閉ローブに係合し得る。シール組立体は、シール構造を損傷又は劣化させることなく、確実に挿入工程に耐えるよう構成されている。設置後、シール組立体は、シール組立体と第1及び第2管との間に生じうる全ての漏洩路に沿って、強固な液密シールをなす。
前記シール体は、前記シール体の受口側に係止フィンをさらに含み、前記係止フィンは、前記主密閉ローブの径方向内側広さよりも小さい量だけ、前記シール体から径方向内側に延びることを特徴とする、請求項1に記載のシール組立体。
前記係止フィンとは接触せず、前記シール体の残りの部分と接触するよう、前記主密閉ローブが変形及び撓むようなサイズを有することを特徴とする、請求項4に記載のシール組立体。
前記環状補強材が前記補強材ポケットの全体を占めるよう、前記補強材ポケットが、前記環状補強材の形状とサイズに一致する形状とサイズを有することを特徴とする、請求項6に記載のシール組立体。
シール組立体を内部に受用する溝を含む受口端を有する第1ポリマー管との結合において、前記受口端は、前記溝の上流側及び下流側に第1径方向域を有し、前記溝は、前記第1径方向域よりも大きい第2径方向域を有し、シール体は、前記第1径方向域の径方向内側に延びる前記溝及び前記主密閉ローブ内に受用されることを特徴とする、請求項1に記載のシール組立体。
前記シール体は、前記シール体の差口側終端に、鼻端をさらに含み、前記鼻端は、前記第1径方向域の径方向外側にあることを特徴とする、請求項12に記載のシール組立体。
前記シール組立体は、前記第1ポリマー管の前記受口端内に受用される差口端を有する第2ポリマー管をさらに含み、前記差口端は、前記主密閉ローブを前記シール体側に変形及び撓ませることを特徴とする、請求項13に記載のシール組立体。
前記受口側シール面は、前記補強材の両側に第1シール面及び第2シール面を備え、前記補強材ポケットが前記流路から密閉されるよう、前記溝の前記隣接面と係合することを特徴とする、請求項15に記載のシール組立体。
前記鼻端は、前記第1ポリマー管の前記第1径方向域からの距離を定め、前記距離は、少なくとも前記シール体の最小厚さの50%であることを特徴とする、請求項17に記載のポリマー管継手。
【発明を実施するための形態】
【0014】
各図面において、対応する符号は、対応する部位を表す。ここで模範として示されるものは、発明の実施形態を表すが、各形態において、下記実施形態は網羅的であることを意図したものではなく、また発明の範囲を開示通りの形態に制限するよう解釈されることを意図したものではない。
【0015】
本開示は、
図1乃至
図10に示されるシール組立体20を対象としたもので、シール組立体20は、第1管12の受口端14に形成した溝15内に、ユーザによって設置されるよう、設計されている(
図1)。下記に詳述するように、シール組立体20の一部は、受口端14を第2PVCO管16の差口端18に連結する際にシール組立体20にかかる力に対し、耐性を有する。これにより、効果的で信頼度が高く、耐久性のある液密シールを、管12、16間に設ける(
図2、
図6、及び
図8)。
【0016】
図2から最もよく分かるように、受口端14は、管12の本体と比較すると、拡張された直径を有しており、これにより、受口端14が第2管16の差口端18を受用する。通常の設置において、管12、16は同様の形を有し、それぞれが、受口端と差口端を備える。受口端14内では、拡張部分が溝15の上流及び下流に第1径方向域を有し、溝15が第1径方向域よりも大きい第2径方向域を有することで、シール組立体20が入る程の大きさの空間が設けられる。管12のその他の径方向域は、縦流動軸線Aに沿った流路となっており(
図1)、この流路の直径が、管組立体10の呼び径となる。本開示の適用上、軸方向は、軸線Aに沿った、あるいは平行な方向であり、径方向は、軸線Aに直交する方向である。内側や径方向内側は、軸線Aに相対的に近い、あるいは向かっていくものを指し、一方、外側や径方向外側は、軸線Aから相対的に遠い、あるいは離れていくものを指す。
【0017】
図4及び
図5から最もよく分かるように、シール組立体20は、シール体22及び補強材24を含んだ二片からなる嵌合物である。
図1に示す通り、シール体22及び補強材24は、環状構造を有する。シール体22は、ゴムなどの可撓性材料からなり、シール体22の断面積において、一定の密度とデュロメータ硬さを有する。
図5に示され、下記に記載されるように、補強材24は、シール体22の補強材ポケット32に受用されるようなサイズに構成され、シール体22よりも固い材料からなる。それにより、シール体22の使用時に、機械支持と力の分散を実現する。補強材24及びシール体22は、補強材24をシール体22のポケット32内に手で設置し、さらに組立体20を管12の受口端14の溝15内に手で設置できる程度の可撓性をもって設計される(
図1)。
【0018】
実施形態において、シール体22は、SBR、EPDM、やTPE、その他の適当な弾性材料より形成され得るとともに、ショア50Aからショア65Aのデュロメータ硬さを有する。補強材24は、PP、HDPEやPEといった、いずれの多種銘柄の設計作製熱可塑性樹脂から形成され得るとともに、所望の動作特性を実現させるため、種々の異なるフィラーや添加剤を、必要に応じて含み得る。補強材24は、ショアD65からショアD90のデュロメータ硬さを有し得る。これらの材料及び材料性質により、主シール体22のポケット32が補強材24の挿入を受用するよう、弾性的に変形する形状と構成を実現することができ、組みあがったシール組立体20が充分な可撓性を維持したまま、弾性的に変形した状態で、管12の受口端14の溝15内の位置で機能する(
図2)。
【0019】
再び
図3を参照すると、シール組立体20は、溝15内に設置されており、溝15は、互いに概直交する内向き傾斜面と、それら面間に丸みを帯びた移行部分を有する。図示のように、差口側溝シール面26は、溝15内のこれら傾斜面の一つと係合し、一方で、一対の受口側溝シール面28、29は、溝15のもう一方の傾斜面と係合する。差口側面26及び受口側面28、29は、互いに角度をつけて設けられ、溝15の内側面形状に合うよう丸みを帯びた移行部分を有しており、これにより、図示のように、径方向外側向きシール面26、28、及び29は、一体となって、溝15の形状に一致する。こうした一致と、下記に詳述する補強材24の作用とシール体20の他の特性とが相まって、シール体22の径方向外側向き面26、28、及び29と、これに当接する溝15の径方向内向き面との間の液密性が確保される。
【0020】
図5から最もよく分かるように、補強材ポケット32が、シール体22の受口側シール面に干渉することにより、第1及び第2シール面28,29が補強材ポケット32の反対側、つまり、設置後の補強材24の反対側となる(
図4)。
図3から最もよく分かるように、この配置により、補強材ポケット32に対して、差口側と受口側の両側から液密シールが設けられるとともに、以下に記載する通り、補強材24を、溝15の内向き面に直接接触させながら、シール体22が強固に機械支持される。さらに、この機械支持は、シール面26、28、及び29と溝15の面との一致と協働し、管組立体10により区画される流路(
図2)からの流体流出及びその流路への流体流入の両方の、シール組立体20による保護を、確実なものとする、
【0021】
補強材ポケット32は、補強材24の形状と大きさにと同程度の形状と大きさを有し、それにより、シール体22に設置した際、補強材24は補強材ポケット32の全体積を占める(
図4)。特に
図5を参照すると、補強材24は、中央部24A、差口端部24B、及び受口端部24Cの三部からなる外形を有している、中央部24Aは、略軸方向(例えば、軸線Aに平行な方向)に沿って延びる軸線ACを定め、一方、差口端部24Bは、中央部24Aから径方向内側に、軸線ASに沿って延びて、20度〜30度の角度βをなす。例えば、角度βは、約25度であり、図示の実施形態では、24度である。対向する受口端部24Cは、中央部24Aから解放項外側に、軸線ABに沿って延びて、角度βよりも大きい、30度〜50度の角度γをなす。例えば、角度γは、約40度であり、図示の実施形態では、42度である。上記で言及したように、補強材ポケット32は、断面で見ると、補強材24と同じ大きさと形状を有しており、それにより、補強材ポケット32は、軸線AC、AS、及びAB、並びに角度β及びγを定める。
【0022】
図4から最もよく分かるように、補強材24及び補強材ポケット32の空間配置により、シール体22の材料厚さを比較的一定とすることができ、断面域において、シール体22の最小呼び厚さを維持することができる。特に、
図4を参照すると、シール体22は、三個の最小厚さT1、T2、及びT3を有しており、それらは全て、互いにほぼ同じである。厚さT1は、補強材24の差口側部24Bの軸端と鼻端付近のシール体22の最近接外装面との間に形成される。厚さT2は、補強材24の差口側部24Bの径方向外側面と差口側シール面26との間に形成される。厚さT3は、補強材24の中央部24Aの径方向内側面と、密閉ローブ30に隣接した、シール体22の最近接外装面との間に形成される。密閉ローブ30。図示の実施形態において、厚さT1、T2、及びT3は全て、互いの差異が15%〜20%の範囲であり、それにより、シール体22が使用時に受ける力を均等に分散することが促進される。シール体22が使用時に受ける力には、シールの変形及び撓みによって生じる外力や、補強材24がシール体22に及ぼす内力が含まれる。例えば、図示の実施形態では(正確な縮尺としてここに記載される通り)、厚さT1は約0.1251インチ、厚さT2は約0.1493インチ、そして厚さT3は約0.1468インチであり、最大ばらつき量は約16%である。
【0023】
上述のように、シール体22及び補強材24は、手で組み立てられるように構成されている。差口端部24Bと補強材24の中央部24Aとの間に形成された、比較的小さい角度βと、それに合わせるように形成された補強材ポケット32の部分とで、その挿入を容易なものとしている。しかし、角度βはまた、設置後、補強材24がシール体22から抜けたり、動いたりしないような大きさを有し、それが、それらの相対的な幾何学形状による二つの部位間の機械的結合に寄与する。さらに、受口端部24Cと中央部24Aの間の、比較的大きい角度γもまた手で補強材24を補強材ポケット32内に組み込むことを許容しながら、この機械的結合を高める。
【0024】
シール組立体20の、二片からなる嵌合物は、補強材24が完全にポケット32を占めるよう、補強材24が、完全かつ正確に補強材ポケット32内に位置することを容易にさせつつ、シール体22内における補強材24の着実かつ確実な位置決めを実現させる。さらに、設置する間や、シール組立体20として使用される間、補強材24は、接着剤やその他の化学結合を用いずに、シール体22内にとどまり得る。一方、PVOC管に使用される従来のシール構造は、一般的に、接着剤、化学結合や、オーバーモールド構造を用いており、より高価で複雑なものとなっている
【0025】
さらに、シール体22及び補強材を別々に大量生産し、別個の部位として顧客や作業場に出荷することで、シール組立体20の二片構造は、無駄を最小限にまで省いた効率的な生産を容易にする。どちらかの部位に製造欠陥が認められた場合は、その部位のみを交換するだけで、シール組立体20を組み立てることができる。一体化され、密度が一定に保たれた構造を有するシール体22において、上述のように別個の生産を行うことにより、高い製造耐性を比較的安価に実現できる。同様に、補強材24も、一体化され、密度が一定に保たれた構造を有し得るとともに、それにより高い耐性基準で効率的に製作される。
【0026】
補強材24はまた、第2管16の第1管12に対する組付け中、及び組付け後のシール体22において、力の分散を均等にする。
図6に示すように、挿入工程において、第2管16の差口端18は、第1管12の受口端14に挿入される。差口端18が受口端14内に進入するに従い、差口端18の傾斜面17は、
図7に示すように、主密閉ローブ30に最初に接触する。そして、主密閉ローブ30は、傾斜面17を上に進むにつれ、次第に径方向外側に撓み、
図8に示すように、完全に変形し撓んだ形となる。この構成において、補強材24の径方向内側のシール体22の部分は、厚さT4となり、一方、補強材24の径方向外側のシール体22の部分は、厚さT5となる。図示のように、厚さT4及びT5は、互いに同程度であり、例えば、互いの差異が15%〜25%程度の範囲である。これにより、主密閉ローブ30と管16の差口端18との間の境界面と、溝15の径方向内側面とシール体22の径方向外側面26、28、及び29との間の境界面における液密を確保するとともに、補強材24によるシール体22内での均等な力の分散が容易になる。それに伴い、管12、16間の、いかなる潜在漏洩路からも、加圧流体が漏洩されることはない。
【0027】
前述及び、
図7及び
図8に示すように、補強材24の受口側部24Cは、受口側シール面28及び29間の溝15の内側面に当接する。この補強材24と管12の側面との間の直接接触により、シール組立体20の強度と弾性が高められる。特に、管16の差口端18が管12の受口端14に進入し、シール体22が撓んで変形し、補強材24の半硬質材と管12の硬質材との間の当接により、補強材24が、挿入圧の一部を管12の側壁に作用させる。これにより、シール体22に作用する全体の圧力が軽減され、よって、鼻端36が意図せず挿入路内に下向きに撓む可能性を低下させることができる(下記に詳述する)。
【0028】
シール体22の径方向内側部は、その内周にそって連続して延びる主密閉ローブ30を含む。ここで、主密閉ローブ30は、管16の差口端18及びシール組立体20の境界面において、1次シール面となる。主密閉ローブ30は、
図6に示すように、受口端14の内壁の径方向内側に延びる。密閉ローブ30の差口端側は、凹状であり、ローブ30の受口側は、通常、平面である。ローブ30は、軸方向に対して角度α(
図5)をなす縦ローブ軸線ALを定める向きにある。実施形態において、角度αは、約45度であり、これにより、管16の差口端18が最初にローブ30に接触してから(
図7)完全に設置されるまで(
図8)、進入するにつれて、密閉ローブ30がなめらかに変形及び撓みやすくなる。
【0029】
図4から最もよく分かるように、シール体22の差口側端は、シール面26とそれに隣接する、ローブ30に続く径方向内側面との間の移行部分をなす鼻端36を定める。鼻端36のすぐ近くに隣接するシール体22の径方向内側面に沿って、凹面38がシール体22の内周周りに環状の窪みをなす。
図3を参照すると、鼻端36及び凹面38は、溝15内の、受口端14の内壁よりも径方向外側に位置する。特に、鼻端36の先端は、受口端14の内壁からの距離がD1となる。管組立体10が8インチの呼び径を有する流路をなす実施形態において、D1は少なくとも0.05インチであり、それにより、下記に記載するような挿入時に、管16が引っかかることのない段差となる。図示の、正確な縮尺の実施形態において、D1は約0.189インチである。より一般的に、本開示によって作成されるシール組立体20(ただし、ここで記載するように、より小さい、あるいはより大きい呼びサイズを有する)は、例えば、厚さT1、T2、及びT3それぞれの、少なくとも50%、あるいは厚さT1、T2、及びT3のいずれかより最大20%大きい距離D1を有し得る。
【0030】
シール組立体20の他の面は、同様に、溝15に押し込まれる。例えば、距離D2は、凹面38の最も深い部位と受口端14の内壁との間に形成され、距離D3は、補強材24(差口端部24Bの軸端)の径方向最内側点と受口端14の内壁との間に形成される。つまり、径方向最内側点を含む鼻端36と補強材24の全体が溝15内かつ管16の挿入路の径方向外側に設置される。
図3に示すように、距離D2は距離D1よりも小さく、距離D3は距離D2よりも小さい。図示の、正確な縮尺の実施形態において、距離D2は少なくとも0.171インチであり、距離D3は少なくとも0.110インチである。
【0031】
さらに、凹面38がなす谷の両側の面を含む、シール体22の受口端側の径方向内側面は、受口端14の内側面(
図1に示す流動軸線Aと略平行)と共に、角度Θをなす。実施形態において、角度Θは、管16の差口端18及びシール体22の比較的小さい進入角をなす(
図7)。例えば、角度Θは、25度〜29度の間、例えば、27度である。
【0032】
図7乃至
図9に示すように、距離D1及び角度Θは協働して、鼻端36が、シール組立体20に接触するよう進むにつれ、管16の差口端18の移動路内に下向きに撓むのを防ぐように機能する。鼻端36が、管16の挿入の力により、下向き(つまり、径方向内側)に撓む場合、凹面38及び大きい呼び距離D1は、シール体22の鼻端36が管16に接触するのを防ぐ、もしくはその接触を最小限に抑える。これにより、鼻端36が管16の外側面に引っかかる可能性を軽減でき、さらに、設置時にシール組立体20が溝15から転がり出てしまう可能性を軽減できる。従来のシール構造において、設置時におけるこの種の欠陥は、シール体22の材料の柔軟性が低下する寒冷な接地環境や、挿入する管の差口端とシールとの間の潤滑が充分ではない状況において、特にリスクとなる。同様に、凹面38及び補強材24はそれぞれ、管16の挿入路の径方向外側に、上述の距離D2及びD3をあけて、位置する。したがって、これら二つの要素もまた、挿入過程における管16との接触から保護され、管16の外側面上にシール組立体20がひっかかる可能性が軽減される。
【0033】
図3乃至
図9に示すように、シール体22はまた、係止フィン34を含む。係止フィン34は、シール体22の受口側に位置しており、差口端18の挿入路内に径方向内側に向かって、シール組立体20(
図3乃至
図6)の変形前の構成における主密閉ローブ30よりも、実質小さく延びる(
図8及び
図9)。図示のように、係止フィン34は、隣接する差口端点よりも大きな径を有する受口端面を含む。この点の反対側において、係止フィン34の差口端面は、通常、流動軸線A(
図1)に直交して延びる。
【0034】
図8を参照すると、係止フィン34の差口端点は、管16が
図7及び
図8で示した挿入路に沿って移動するにつれて、管16の外側面の差口端18と面接触する小さな領域を示している。しかし、
図9に示すように、管16を、受口端14から外れる方向に沿って移動させ、また、係止フィン34の凸状受口端面が差口端18の外装面と接触する、大きな面領域となるよう、係止フィン34は下向きに(つまり、径方向内側に)撓むように設計されている。これにより、接触面領域が増加し、管16が外れることを防ぐ。
【0035】
管16の差口端18(
図8)の接触による、主密閉ローブ30の撓み及び変形時に、主密閉ローブ30の係止フィン34との接触を避けるために、係止フィン34は、主密閉ローブ30と軸方向に離れて位置する。さらに、係止フィンは、主密閉ローブ30の縦変形に対する支えとなる。つまり、係止フィン34の差口端面と当接するまで、主密閉ローブ30は、縦方向に(つまり、軸方向に)のみ、所定の量だけ変形できる。ローブ30の変形の所定の量は、仮に主密閉ローブ30の縦方向の撓みが大きく許容された場合に生じうる損傷から、主密閉ローブ30を保護できる程度の低さに設定されている。これにより、管16と主密閉ローブ30との間の充分な潤滑、例えば、密閉ローブ30の隣接面が引っかかってしまいかねない管16の外装面の欠陥から、主密閉ローブ30を保護する。
【0036】
実施形態の、
図1及び
図2の説明において、管12、16は、飲料水の給送・運搬に一般的に採用されるサイズである、約8インチの呼び流路径を有している。図面を通して、正確な縮尺で示すように、シール組立体20の大きさは、この8インチ径に適するものとなっている。しかし、ここに記載し、示した全ての要素を含むシール組立体20の呼び寸法は、シール組立体を適用する、比例的もサイズを大きくした、あるいは小さくした管組立体におさまるよう、拡大したり、縮小したりし得ると考えられる。シール組立体20の要素や大きさを有するシール組立体との接続に使用することが想定される管の他の呼び径は、例えば、2インチ、3インチ、4インチ、5インチ、又は6インチほどの小ささでもよく、あるいは、10インチ、12インチ、14インチ、16インチ、18インチ、20インチ、又は24インチほどの大きさでもよい。
【0037】
異なる製造業者による製造、及び/又は、同一業者による異なる製造方法の採用により、管の規定直径にわずかな直径ばらつき量が生じる場合がある。例えば、単一の製造業者が、二つの異なる製造工程を用いて、同じ直径を有する管を作製するとする。しかし、これらの製造工程間の違いにより、製造過程において、管の一つあるいはそれ以上の直径(例えば、内径及び/又は外形)が、規定直径からわずかにずれてしまう可能性がある。
【0038】
図10には、管12の受口端14の内径及び/又は第2管16の差口端18の外径のばらつきを許容できる、補強材24の異なる直径(例えば、24、24’、及び24’’)が示される。正確なサイズを有する補強材24を使用することで、管12及び/又は第2管16の直径におけるばらつきを考慮しつつ、共用シール組立体20が受口端14の溝15内で水密シールを保つことができる。
【0039】
管の内径及び/又は外径のばらつきは、管12及び/又は第2管16で起こりうる。これらのばらつきにより、共用シール20を使用して、第2管18の差口端18が管12の受口端14に挿入される際に水密シールを保つことが困難になる。例えば、管12は、8インチ内径管として規定され得るが、製造過程で生じたばらつきにより、内径が規定(例えば、7.95インチ又は8.05インチ)より0.05インチずれてしまう可能性がある。シール組立体20は、8インチの内径を有する管12の溝15に嵌まるよう設計され得る。その場合、管12(例えば、8.05インチ内径)が大きすぎる、又は管12(例えば、7.95インチ内径)が小さすぎるとき、管12と第2管16との間の水密シールをシール組立体20によって実現することは困難である。これらの製造ばらつきは、第2管16の差口端18の外径にも生じうる。例えば、第2管16の差口端18は、8インチ外径管として規定され得るが、製造過程で生じたばらつきにより、差口端18の外径もまた、0.05インチ(例えば、7.95インチ又は8.05インチ)ずれてしまう可能性がある。これにより、シール20で、管12と第2管16との間の水密シールを保つことが困難になる。他にも、第1管12及び第2管16の両方においてばらつきが同時に生じる場合もあり、その場合は、共用シール20を利用して、両管間の水密シールを保つことがさらに困難になる。
【0040】
この場合、異なる直径を有する補強材24が共用シール体22と共に使用されることで、管12の内径及び/又は第2管16の外径におけるばらつきを補償できる。異なる直径を有する補強材24を使用することで、管の直径におけるばらつきを考慮し、受口端14と差口端18との間の充分な圧縮を実現し、水密シールをなすことができる。既述のように、シール組立体20は、二片からなる嵌合物であり、シール体22及び補強材24を含み、シール体22は可撓性材料(例えば、ゴム)から形成される。シール体22に使用される材料の弾力性により、シール組立体20は、補強材ポケット32内に、複数の直径を有する補強材24を受用することが可能になる。これにより、同じ(例えば、共用の)シール体22を、様々な直径を有する補強材24(例えば、D1、D2、D3)と共に使用することができ、異なる管12の内径及び/又は第2管16の外径を受用することができる。
【0041】
既述のように、補強材24の大きさを設定し、第2管16の差口端18が管12の受口端14に挿入されたときに、厚さT5及びT4が得られるよう、シール体22を変形させる。シール体22の厚さT5及びT4は、充分に圧縮されると、管12と第2管16との間に水密シールをなす。補強材24の大きさが、管12の内径及び管16の外径に対して正確に設定された場合(例えば、D1)、補強材24は、正確に圧縮してシール体22を変形させ、二管間に水密シールをなす。
【0042】
しかしながら、受口端14の内径が規定よりも大きい場合、直径D1を有する補強材24がシール体22を充分に圧縮できず、二つの管間の水密シールをなせないほど大きい隙間が、管12と第2管14との間に存在してしまう。この場合、大きい直径D2を有するより大きな補強材24’が、可撓性シール20の大きさを増加させるために使用される。例えば、補強材24の直径D1が、補強材24’の直径D2まで全体的に大きくなるよう、補強材24の天井はΔ1だけ増加し得る。この場合、補強材24’が補強材ポケット32に挿入されると、大きい直径D2を有する補強材24’が受口端14をより圧縮するので、受口端14と差口端18との間で充分な圧縮がなされ、水密シールがなされる。
【0043】
しかしながら、補強材24の天井高を、Δ1(例えば、補強材24’の直径D1)だけ増加させたとき、管12と第2管14との間で、充分な圧縮が行われない場合がある(例えば、補強材24’を有しているにも関わらず、受口端14と差口端18との間に大きすぎる隙間が存在している場合)。この場合、補強材24’の天井高がまた、直径D3に対してΔ2だけ増加している箇所に、より大きな補強材24’’を使用し得る。この場合、補強材24’’は、補強材ポケット32に挿入され、受口端14と差口端18との間のシール体22の充分な圧縮が実現され、二つの管間の水密シールがなされる。図示はしないが、仮に、充分な圧縮が依然として二つの管間で実現されない場合、充分な圧縮が二つの管間に実現するまで、より大きな直径を有する補強材24を補強材ポケット32に挿入し、水密シールをなす。より大きい内径を有する受口端14を考慮し、種々の直径を有する補強材24を補強材ポケット32に挿入する過程は、より小さい内径を有する受口端14を補償する際にも活用できる。この場合、シール体22が充分に圧縮され、二つの管間の水密シールがなされるまで、より小さい直径を有する補強材24が補強材ポケット32に挿入される。そして、補強材ポケット32に種々の直径を有する補強材24を挿入することで、差口端18の外径のばらつき(外径が小さい又は大きい)を補償し、シール体22を充分に圧縮し、管12と第2管16との間の水密シールをなすことができる。さらに、補強材ポケット32に種々の直径を有する補強材24を挿入することは、差口端18の外径及び受口端14の内径の両方が同時にばらつきを有していながら、シール体22を充分に圧縮し、二つの管間の水密シールをなす場合にも適用することができる。
【0044】
管12及び第2管16が有する製造時に生じた直径のばらつきを考慮して行われる、種々の直径を有する補強材24を補強材ポケット32に挿入する手段は、いつ行ってもよく、設置前でも設置時でもよい。この場合、補強材24を補強材ポケット32に挿入するタイミングは、現場において管設置に必要な時間への影響を最小限にとどめるものとする。
【0045】
例えば、管12の製造業者が、規定よりも0.05センチメートル大きい内径を有する受口端14を含む管12を製造しているとする。この場合、設置現場に管を出荷する前に、より大きな受口端14を受用できるサイズの直径を有する補強材24を、補強材ポケット32内にあらかじめ設置できる。これにより、管12及び第2管16がオンサイトで設置される際には、すでに製造ばらつきが考慮されていることになる(例えば、補強材24があらかじめ設置されている場合)。管の直径ばらつきが一般に知られている場合、異なる直径を有する補強材24をあらかじめ設置することで、既知の製造ばらつきを考慮した同様の工程を、小さいサイズを有する受口端14及び/又は大きい又は小さいサイズを有する差口端14にも適用できる。しかしながら、管の内径及び外径のばらつきは、一般的に知られていない場合がある。この場合、現場の技術者が、管12及び/又は第2管14の直径のばらつきを考慮して、種々の直径を有する補強材24の反復設置を行ってもよい。現場での管設置前に設置された、正確なサイズを有さない、いかなる補強材24に対しても、この工程を活用することができる。
(態様)
【0046】
態様1は、ポリマー管継手用のシール組立体であって、該シール組立体は、環状の可撓性を有するシール体を備え、該シール体は、流動軸にそった流路を定めるよう、前記ポリマー管継手の内周まわりに設置され、前記シール体は、差口側シール面と;前記差口側シール面に対して角度をなし、前記差口側シール面と共に前記流動軸から径方向外側に面している受口側シール面と;前記シール体から径方向内側に延びる主密閉ローブと;前記受口側シール面から前記シール体内に延びる補強材ポケットと;前記補強材ポケット内に受用され、該補強材ポケットを占めるようなサイズを有する環状補強材とを、含む。
【0047】
態様2は、態様1に記載のシール組立体であり、前記シール体が、前記シール体の差口側端に鼻端をさらに含むことを特徴とする。
【0048】
態様3は、態様2に記載のシール組立体であり、前記鼻端から離れる方向に延びる径方向内側面は凹面を含むことを特徴とする。
【0049】
態様4は、態様1〜3のいずれかに記載のシール組立体であり、前記シール体は、前記シール体の受口側に係止フィンをさらに含み、前記係止フィンは、前記主密閉ローブの径方向内側広さよりも小さい量だけ、前記シール体から径方向内側に延びることを特徴とする。
【0050】
態様5は、態様4に記載のシール組立体であり、前記係止フィンとは接触せず、前記シール体の残りの部分と接触するよう、前記主密閉ローブが変形及び撓むようなサイズを有することを特徴とする。
【0051】
態様6は、態様1〜5のいずれかに記載のシール組立体であり、前記環状補強材が:中央部と;中央部から離れるように径方向内側に延びる差口端部と;前記中央部から離れるように径方向外側に延びる受口端部とを備えることを特徴とする。
【0052】
態様7は、態様6に記載のシール組立体であり、前記環状補強材が前記補強材ポケットの全体を占めるよう、前記補強材ポケットが、前記環状補強材の形状とサイズに一致する形状とサイズを有することを特徴とする。
【0053】
態様8は、態様1〜7のいずれかに記載のシール組立体であり、補強材の両側に第1シール面と第2シール面とを備えることを特徴とする。
【0054】
態様9は、態様1〜8のいずれかに記載のシール組立体であり、前記シール体は、その断面積において、略一定のデュロメータ硬さを有することを特徴とする。
【0055】
態様10は、態様1〜9のいずれかに記載のシール組立体であり、 前記シール体のデュロメータ硬さは、ショアA55からショアA70の間であることを特徴とする。
【0056】
態様11は、態様1〜10のいずれかに記載のシール組立体であり、前記補強材は、接着剤や他の化学結合を用いずに、前記シール体と機械的結合することを特徴とする。
【0057】
態様12は、態様1〜11のいずれかに記載のシール組立体であり、シール組立体を内部に受用する溝を含む受口端を有する第1ポリマー管との結合において、該受口端は、前記溝の上流側及び下流側に第1径方向域を有し、前記溝は、前記第1径方向域よりも大きい第2径方向域を有し、シール体は、前記第1径方向域の径方向内側に延びる前記溝及び前記主密閉ローブ内に受用されることを特徴とする。
【0058】
態様13は、態様12に記載のシール組立体であり、前記シール体の差口側終端に、鼻端をさらに含み、該鼻端は、前記第1径方向域の径方向外側にあることを特徴とする。
【0059】
態様14は、態様12又は態様13に記載のシール組立体であり、前記シール組立体は、前記第1ポリマー管の前記受口端内に受用される差口端を有する第2ポリマー管をさらに含み、前記差口端は、前記主密閉ローブを前記シール体側に変形及び撓ませることを特徴とする。
【0060】
態様15は、態様12〜14のいずれかに記載のシール組立体であり、前記補強材が、前記溝の隣接面と当接することを特徴とする。
【0061】
態様16は、態様12〜15のいずれかに記載のシール組立体であり、前記受口側シール面は、前記補強材の両側に第1シール面及び第2シール面を備え、前記補強材ポケットが前記流路から密閉されるよう、前記溝の前記隣接面と係合することを特徴とする。
【0062】
態様17は、シール組立体を含むポリマー管継手であって、該シール組立体は、環状の可撓性を有するシール体を備え、該シール体は、流動軸にそった流路を定めるよう、前記ポリマー管継手の内周まわりに設置され、前記シール体は、差口側シール面と;前記差口側シール面に対して角度をなし、前記差口側シール面と共に前記流動軸から径方向外側に面している受口側シール面と;前記シール体から径方向内側に延びる主密閉ローブと;前記シール体の差口側終端に位置する鼻端と;第1ポリマー管とを備え、該第1ポリマー管は、シール組立体を内部に受用する溝を含む受口端を有し、該受口端は、前記溝の上流側及び下流側に第1径方向域を有し、前記溝は、前記第1径方向域よりも大きい第2径方向域を有し、シール体は、前記第1径方向域の径方向内側に延びる前記溝及び前記主密閉ローブ内に受用され、前記シール体の前記鼻端は前記第1径方向域の径方向外側にあることを特徴とする。
【0063】
態様18は、態様17に記載の前記ポリマー管継手であり、前記鼻端は、前記第1ポリマー管の前記第1径方向域からの距離を定め、該距離は、少なくとも前記シール体の最小厚さの50%であることを特徴とする。
【0064】
態様19は、第1管の受口と第2管の差口端とを密閉するの使用されるシール組立体を構成する方法であり、該方法は:差口側シール面、受口側シール面、主密閉ローブ、及び補強材ポケットを含むシール組立体を設け;各補強材が異なる環状径サイズを有する、二つ又はそれ以上の環状補強材を設け;前記受口の環状径及び前記差口の環状径をもとに、前記一つ又はそれ以上の環状補強材のうちの一つを選択し;選択された前記環状補強材を前記シール体の前記補強材ポケットに挿入し;選択された前記環状補強材を前記補強材ポケットに挿入後、前記受口側シール面、前記差口側シール面、及び前記ローブ間に水密シールがなされたかを判断することを含む。
【0065】
態様20は、態様19に記載の方法であり、該方法は:選択された前記環状補強材の挿入後、前記受口側シール面、前記差口側シール面、及び前記ローブ間に前記水密シールがなされていないと判断し;前記第1環状補強材を前記補強材ポケットから取り出し;前記受口の環状径及び前記差口の環状径をもとに、前記一つ又はそれ以上の環状補強材から第2環状補強材を選択し;選択された前記第2環状補強材を前記シール体の前記補強材ポケットに挿入し;選択された前記第2環状補強材を前記補強材ポケットに挿入後、前記受口側シール面、前記差口側シール面、及び前記ローブ間に水密シールがなされたかを判断することをさらに含む。
【0066】
以上、代表例を参照して本発明を説明したが、本発明は本開示の主旨・範囲内において、さらに変更可能である。したがって、本出願は、一般原則を用いた発明のあらゆるバリエーション、用途、又は適応を包含する。また、本出願は、本発明が属する技術における既知又は慣行の実践に基づき、添付の請求項の範囲を逸脱しない、本開示からの新発展を包含することを意図する。