【解決手段】被検査物Wを異物検出領域Rに搬送する搬送部30と、異物検出領域Rに搬送された被検査物Wに所定の波長範囲内の光を照射する光照射部10と、異物検出領域Rに搬送された被検査物Wからの拡散反射光の画像を撮像する撮像部20と、撮像部20により撮像された画像に基づいて被検査物Wにおける異物の有無を判定する処理部41と、を備え、所定の波長範囲は、800nm〜1200nmの第1波長範囲、又は、1600nm〜1800nmの第2波長範囲であり、処理部41は、撮像部20により撮像された画像における被検査物Wに対応する画像領域の各画素値と、異物に対応する画素値の閾値との比較に基づいて、被検査物Wにおける異物の有無を判定する判定部42を含む。
被検査物を異物検出領域に搬送する搬送部(30)と、前記異物検出領域に搬送された前記被検査物に所定の波長範囲内の光を照射する光照射部(10)と、前記異物検出領域に搬送された前記被検査物からの拡散反射光の画像を撮像する撮像部(20)と、前記撮像部により撮像された画像に基づいて前記被検査物における異物の有無を判定する処理部(41)と、を備える物品検査装置において、
前記所定の波長範囲は、800nm〜1200nmの第1波長範囲、及び、1600nm〜1800nmの第2波長範囲の少なくとも一方であり、
前記撮像部は、
前記光照射部から前記被検査物に照射されて拡散反射された拡散反射光を集光する集光器(21)と、
前記集光器により集光された前記所定の波長範囲内の光の光量に応じた電圧信号を出力する複数の受光素子を含む光電変換部(24a,24b)と、
前記光電変換部の各前記受光素子から出力される電圧信号から光パワーを検出する光パワー検出部(25a,25b)と、
前記光パワー検出部により前記受光素子ごとに検出された光パワーに応じた画素値の画素からなる画像を生成する画像生成部(26a,26b)と、を有し、
前記処理部は、前記画像生成部により生成された画像における前記被検査物に対応する画像領域の各画素値と、異物に対応する画素値の閾値との比較に基づいて、前記被検査物における異物の有無を判定する判定部(42)を含むことを特徴とする物品検査装置。
被検査物を異物検出領域に搬送する搬送部(30)と、前記異物検出領域に搬送された前記被検査物に所定の波長範囲内の光を照射する光照射部(10)と、前記異物検出領域に搬送された前記被検査物からの拡散反射光の画像を撮像する撮像部(20)と、前記撮像部により撮像された画像に基づいて前記被検査物における異物の有無を判定する処理部(41')と、を備える物品検査装置において、
前記所定の波長範囲は、800nm〜1200nmの第1波長範囲、及び、1600nm〜1800nmの第2波長範囲の少なくとも一方であり、
前記撮像部は、
前記光照射部から前記被検査物に照射されて拡散反射された拡散反射光を集光する集光器(21)と、
前記集光器により集光された前記所定の波長範囲内の光の光量に応じた電圧信号を出力する複数の受光素子を含む光電変換部(24a,24b)と、
前記光電変換部の各前記受光素子から出力される電圧信号から光パワーを検出する光パワー検出部(25a,25b)と、
前記光パワー検出部により前記受光素子ごとに検出された光パワーに応じた画素値の画素からなる画像を生成する画像生成部(26a,26b)と、を有し、
前記処理部は、
前記画像生成部により生成された画像における前記被検査物に対応する画像領域の各画素値から、前記被検査物の反射率を前記画素ごとに推定する反射率推定部(45)と、
前記反射率推定部により推定された前記画素ごとの反射率と、異物に対応する反射率との比較に基づいて、前記被検査物における異物の有無を判定する判定部(46)を含むことを特徴とする物品検査装置。
前記異物が、スズメバチ、アブ、ハチ、ヒナバッタ、トンボ、コガネムシ、セミ、オオスカシバ、カマキリ、ショウリョウバッタ、及びゴキブリのうちの少なくとも1つであることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の物品検査装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、毛髪と虫のスペクトル特性は大きく異なるため、特許文献1〜3に開示された技術を用いて、同一の測定スペクトルや測定画像から毛髪と虫とを検出するには、検査に時間を要するだけでなく、場合によっては正確に検出できないという問題があった。
【0007】
本発明は、このような従来の課題を解決するためになされたものであって、検査時間を短縮しつつ、毛髪や虫等の異物をより正確に検出することができる物品検査装置及び物品検査方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明に係る物品検査装置は、被検査物を異物検出領域に搬送する搬送部と、前記異物検出領域に搬送された前記被検査物に所定の波長範囲内の光を照射する光照射部と、前記異物検出領域に搬送された前記被検査物からの拡散反射光の画像を撮像する撮像部と、前記撮像部により撮像された画像に基づいて前記被検査物における異物の有無を判定する処理部と、を備える物品検査装置において、前記所定の波長範囲は、800nm〜1200nmの第1波長範囲、及び、1600nm〜1800nmの第2波長範囲の少なくとも一方であり、前記撮像部は、前記光照射部から前記被検査物に照射されて拡散反射された拡散反射光を集光する集光器と、前記集光器により集光された前記所定の波長範囲内の光の光量に応じた電圧信号を出力する複数の受光素子を含む光電変換部と、前記光電変換部の各前記受光素子から出力される電圧信号から光パワーを検出する光パワー検出部と、前記光パワー検出部により前記受光素子ごとに検出された光パワーに応じた画素値の画素からなる画像を生成する画像生成部と、を有し、前記処理部は、前記画像生成部により生成された画像における前記被検査物に対応する画像領域の各画素値と、異物に対応する画素値の閾値との比較に基づいて、前記被検査物における異物の有無を判定する判定部を含む構成である。
【0009】
この構成により、本発明に係る物品検査装置は、被検査物に応じた波長範囲内の光を照射して得られる画像の各画素の強度比較を行うことにより、被検査物における異物の有無を判定するため、検査時間を短縮しつつ、毛髪や虫等の異物をより正確に検出することができる。
【0010】
また、本発明に係る物品検査装置においては、前記処理部は、前記被検査物の良品サンプルが前記異物検出領域に搬送された場合に、前記画像生成部により生成された画像における前記良品サンプルに対応する画像領域の画素値のヒストグラムを算出するヒストグラム算出部と、前記ヒストグラム算出部により算出されたヒストグラムに基づいて、前記閾値を算出する閾値算出部と、を更に含み、前記判定部は、前記被検査物が前記異物検出領域に搬送された場合に、前記画像生成部により生成された画像における前記被検査物に対応する画像領域の各画素値と、前記閾値算出部により算出された前記閾値との比較に基づいて、前記被検査物における異物の有無を判定する構成であってもよい。
【0011】
この構成により、本発明に係る物品検査装置は、被検査物の良品サンプルの画像の画素値のヒストグラムを算出することにより、異物の有無の判定に用いる画素値の閾値を決定するため、安価かつシンプルな構成にて毛髪や虫等の異物を検出することができる。
【0012】
また、本発明に係る物品検査装置は、被検査物を異物検出領域に搬送する搬送部と、前記異物検出領域に搬送された前記被検査物に所定の波長範囲内の光を照射する光照射部と、前記異物検出領域に搬送された前記被検査物からの拡散反射光の画像を撮像する撮像部と、前記撮像部により撮像された画像に基づいて前記被検査物における異物の有無を判定する処理部と、を備える物品検査装置において、前記所定の波長範囲は、800nm〜1200nmの第1波長範囲、及び、1600nm〜1800nmの第2波長範囲の少なくとも一方であり、前記撮像部は、前記光照射部から前記被検査物に照射されて拡散反射された拡散反射光を集光する集光器と、前記集光器により集光された前記所定の波長範囲内の光の光量に応じた電圧信号を出力する複数の受光素子を含む光電変換部と、前記光電変換部の各前記受光素子から出力される電圧信号から光パワーを検出する光パワー検出部と、前記光パワー検出部により前記受光素子ごとに検出された光パワーに応じた画素値の画素からなる画像を生成する画像生成部と、を有し、前記処理部は、前記画像生成部により生成された画像における前記被検査物に対応する画像領域の各画素値から、前記被検査物の反射率を前記画素ごとに推定する反射率推定部と、前記反射率推定部により推定された前記画素ごとの反射率と、異物に対応する反射率との比較に基づいて、前記被検査物における異物の有無を判定する判定部を含む構成である。
【0013】
この構成により、本発明に係る物品検査装置は、被検査物に応じた波長範囲内の光を照射して得られる画像から、被検査物の反射率を画素ごとに推定することにより、被検査物における異物の有無を判定するため、検査時間を短縮しつつ、毛髪や虫等の異物をより正確に検出することができる。
【0014】
また、本発明に係る物品検査装置においては、前記処理部は、前記被検査物の代わりに、前記第1波長範囲内で互いに異なる既知の反射率を示す複数のサンプル、又は、前記第2波長範囲内で互いに異なる既知の反射率を示す複数のサンプルが前記異物検出領域に搬送された場合に、前記画像生成部により生成された画像における各前記サンプルに対応する画像領域の画素値のヒストグラムを算出するヒストグラム算出部と、前記ヒストグラム算出部により算出されたヒストグラムに基づいて、各前記サンプルの前記既知の反射率に対応する画素値を算出する画素値算出部と、前記画素値算出部により算出された画素値に基づいて、前記被検査物に対応する画像領域の画素値と反射率との関係を示すテーブルを作成するテーブル作成部と、を更に含み、前記反射率推定部は、前記被検査物が前記異物検出領域に搬送された場合に、前記画像生成部により生成された画像における前記被検査物に対応する画像領域の各画素値に対応する反射率を前記テーブルに基づいて推定する構成であってもよい。
【0015】
この構成により、本発明に係る物品検査装置は、既知の反射率を示す複数のサンプルの画像の画素値のヒストグラムを算出して、異物の有無の判定に用いる画素値と反射率との関係を示すテーブルを作成するため、安価かつシンプルな構成にて毛髪や虫等の異物を検出することができる。
【0016】
また、本発明に係る物品検査装置においては、前記異物が、スズメバチ、アブ、ハチ、ヒナバッタ、トンボ、コガネムシ、セミ、オオスカシバ、カマキリ、ショウリョウバッタ、及びゴキブリのうちの少なくとも1つであってもよい。
【0017】
また、本発明に係る物品検査装置においては、前記異物が毛髪であってもよい。
【0018】
また、本発明に係る物品検査装置においては、前記光電変換部がラインイメージセンサであってもよい。
【0019】
また、本発明に係る物品検査装置においては、前記光電変換部がエリアイメージセンサであってもよい。
【0020】
また、本発明に係る物品検査方法は、被検査物を異物検出領域に搬送する搬送ステップと、前記異物検出領域に搬送された前記被検査物に所定の波長範囲内の光を照射する光照射ステップと、前記異物検出領域に搬送された前記被検査物からの拡散反射光の画像を撮像する撮像ステップと、前記撮像ステップにより撮像された画像に基づいて前記被検査物における異物の有無を判定する処理ステップと、を含む物品検査方法において、前記所定の波長範囲は、800nm〜1200nmの第1波長範囲、及び、1600nm〜1800nmの第2波長範囲の少なくとも一方であり、前記撮像ステップは、前記光照射ステップにより前記被検査物に照射されて拡散反射された拡散反射光を集光する集光ステップと、複数の受光素子を含む光電変換部から、前記集光ステップにより集光された前記所定の波長範囲内の光の光量に応じた電圧信号を出力する光電変換ステップと、前記光電変換部の各前記受光素子から出力される電圧信号から光パワーを検出する光パワー検出ステップと、前記光パワー検出ステップにより前記受光素子ごとに検出された光パワーに応じた画素値の画素からなる画像を生成する画像生成ステップと、を含み、前記処理ステップは、前記画像生成ステップにより生成された画像における前記被検査物に対応する画像領域の各画素値と、異物に対応する画素値の閾値との比較に基づいて、前記被検査物における異物の有無を判定する構成である。
【0021】
この構成により、本発明に係る物品検査方法は、被検査物に応じた波長範囲内の光を照射して得られる画像の各画素の強度比較を行うことにより、被検査物における異物の有無を判定するため、検査時間を短縮しつつ、毛髪や虫等の異物をより正確に検出することができる。
【0022】
また、本発明に係る物品検査方法は、被検査物を異物検出領域に搬送する搬送ステップと、前記異物検出領域に搬送された前記被検査物に所定の波長範囲内の光を照射する光照射ステップと、前記異物検出領域に搬送された前記被検査物からの拡散反射光の画像を撮像する撮像ステップと、前記撮像ステップにより撮像された画像に基づいて前記被検査物における異物の有無を判定する処理ステップと、を含む物品検査方法において、前記所定の波長範囲は、800nm〜1200nmの第1波長範囲、及び、1600nm〜1800nmの第2波長範囲の少なくとも一方であり、前記撮像ステップは、前記光照射ステップにより前記被検査物に照射されて拡散反射された拡散反射光を集光する集光ステップと、複数の受光素子を含む光電変換部から、前記集光ステップにより集光された前記所定の波長範囲内の光の光量に応じた電圧信号を出力する光電変換ステップと、前記光電変換部の各前記受光素子から出力される電圧信号から光パワーを検出する光パワー検出ステップと、前記光パワー検出ステップにより前記受光素子ごとに検出された光パワーに応じた画素値の画素からなる画像を生成する画像生成ステップと、を含み、前記処理ステップは、前記画像生成ステップにより生成された画像における前記被検査物に対応する画像領域の各画素値から、前記被検査物の反射率を前記画素ごとに推定する反射率推定ステップと、前記反射率推定ステップにより推定された前記画素ごとの反射率と、異物に対応する反射率との比較に基づいて、前記被検査物における異物の有無を判定する判定ステップを含む構成である。
【0023】
この構成により、本発明に係る物品検査方法は、被検査物に応じた波長範囲内の光を照射して得られる画像から、被検査物の反射率を画素ごとに推定することにより、被検査物における異物の有無を判定するため、検査時間を短縮しつつ、毛髪や虫等の異物をより正確に検出することができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明は、検査時間を短縮しつつ、毛髪や虫等の異物をより正確に検出することができる物品検査装置及び物品検査方法を提供するものである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明に係る物品検査装置及び物品検査方法の実施形態について図面を用いて説明する。本発明に係る物品検査装置及び物品検査方法は、菓子や食肉などの被検査物に混入した毛髪や虫などの異物を検出するためのものである。
【0027】
(第1の実施形態)
図1に示すように、本発明の第1の実施形態に係る物品検査装置1は、光照射部10と、撮像部20と、搬送部30と、制御部40と、表示部50と、操作部60と、を備える。
【0028】
光照射部10は、第1光源11と第2光源12を含む構成であり、異物検出領域Rに搬送された被検査物Wに所定の波長範囲内の光を照射するようになっている。第1光源11は、例えば白色光源と800nm〜1200nmの光を透過させるフィルタとの組合せや、複数のLEDを合波した光源等により構成され、800nm〜1200nmの第1波長範囲内の光を出力する。第2光源12は、例えば白色光源と1600nm〜1800nmの光を透過させるフィルタとの組合せや、複数のLEDを合波した光源等により構成され、1600nm〜1800nmの第2波長範囲内の光を出力する。なお、光照射部10は、第1光源11及び第2光源12の少なくとも一方から被検査物Wに光を照射する。
【0029】
これらの波長範囲(800nm〜1200nm、1600nm〜1800nm)は、水分の固有の吸収帯である1450nm付近(1400nm〜1550nm)と1940nm付近(1850nm〜2000nm)を避けた波長範囲であり、水の吸収による影響を受けにくいという特徴がある。
【0030】
撮像部20は、異物検出領域Rに搬送された被検査物Wからの拡散反射光の画像を撮像するようになっている。撮像部20は、例えば、集光器21と、光分岐器22と、第1フィルタ23aと、第2フィルタ23bと、第1イメージセンサ24aと、第2イメージセンサ24bと、第1光パワー検出部25aと、第2光パワー検出部25bと、第1画像生成部26aと、第2画像生成部26bと、を有する。
【0031】
集光器21は、光照射部10から被検査物Wに照射されて拡散反射された拡散反射光を集光するようになっている。
【0032】
光分岐器22は、集光器21により集光された光を二分岐して、第1フィルタ23a及び第2フィルタ23bに入力するようになっている。第1フィルタ23aは、例えばバンドパスフィルタであり、光分岐器22により分岐された光の一方が入力され、第1波長範囲内の光を透過させ、他の波長範囲の光を阻止するようになっている。第2フィルタ23bは、例えばバンドパスフィルタであり、光分岐器22により分岐された光のもう一方が入力され、第2波長範囲内の光を透過させ、他の波長範囲の光を阻止するようになっている。このように第1フィルタ23a及び第2フィルタ23bを構成することにより、後段の第1イメージセンサ24aに第1波長範囲内の光が入力され、第2イメージセンサ24bに第2波長範囲内の光が入力される。また、例えば第1光源11と第2光源12から同時に被検査物Wに光を照射する場合であっても、後段の第1イメージセンサ24aに第2波長範囲内の光が入力されたり、逆に第2イメージセンサ24bに第1波長範囲内の光が入力されたりする事態を避けることができる。
【0033】
第1イメージセンサ24aは、集光器21により集光された第1波長範囲内の光の光量に応じた電圧信号を出力する複数の受光素子を含んでいる。第2イメージセンサ24bは、集光器21により集光された第2波長範囲内の光の光量に応じた電圧信号を出力する複数の受光素子を含んでいる。第1イメージセンサ24aと第2イメージセンサ24bは光電変換部を構成する。
【0034】
なお、第1光源11と第2光源12は半導体レーザで構成されていてもよい。例えば、第1光源11は980nmの光を出力する半導体レーザであってもよく、第2光源12は1650nmの光を出力する半導体レーザであってもよい。この場合、
図2(a)に示すように、光照射部10は、第1光源11及び第2光源12からの光をシリンドリカルレンズ13a,13bで1次元のライン状に集光して異物検出領域Rに搬送された被検査物Wに照射する構成であってもよい。また、この場合の第1イメージセンサ24aと第2イメージセンサ24bとしては、ラインイメージセンサを好適に用いることができる。あるいは、
図2(b)に示すように、光照射部10は、第1光源11及び第2光源12からの光をレンズ14a,14bで2次元的に集光して異物検出領域Rに搬送された被検査物Wに照射する構成であってもよい。また、この場合の第1イメージセンサ24aと第2イメージセンサ24bとしては、エリアイメージセンサを好適に用いることができる。
【0035】
第1光パワー検出部25aは、第1イメージセンサ24aの各受光素子から出力される電圧信号から光パワーを検出するようになっている。第2光パワー検出部25bは、第2イメージセンサ24bの各受光素子から出力される電圧信号から光パワーを検出するようになっている。
【0036】
第1画像生成部26aは、第1光パワー検出部25aにより受光素子ごとに検出された光パワーに応じた画素値の画素からなる画像を生成するようになっている。第2画像生成部26bは、第2光パワー検出部25bにより受光素子ごとに検出された光パワーに応じた画素値の画素からなる画像を生成するようになっている。
【0037】
搬送部30は、例えば、被検査物Wを所定の搬送方向(Y方向)に沿って所定間隔おきに異物検出領域Rに搬送するベルトコンベアである。搬送部30は、例えば無端状の搬送ベルト31が複数対の搬送ローラ32a,32b,33a,33bに巻回されてなり、その搬送ベルト31により形成される搬送路30a内で、複数の被検査物Wを異物検出領域Rに順次搬送させるようになっている。また、搬送部30は、搬送ベルト31を回転させるためのモータ34を、搬送ローラ32bの軸線方向一端部に備えている。モータ34は、制御部40によって駆動制御されるようになっている。
【0038】
制御部40は、撮像部20により撮像された画像に基づいて被検査物Wにおける異物の有無を判定する処理部41を含む。
図3に示すように、処理部41は、判定部42と、ヒストグラム算出部43と、閾値算出部44と、を含む。
【0039】
判定部42は、第1画像生成部26a又は第2画像生成部26bにより生成された画像における被検査物Wに対応する画像領域の各画素値と、異物に対応する画素値の閾値Thとの比較に基づいて、被検査物Wにおける異物の有無を判定するようになっている。
【0040】
図4は、第1画像生成部26a又は第2画像生成部26bにより生成される画像の一例を模式的に示す図であり、被検査物Wに異物Qが混入している様子を示している。図中の正方形の1枡は1画素を表している。また、図中の太線の四角形は、被検査物Wに対応する画像領域Aを表している。この画像領域Aの位置及びサイズは、例えばユーザによる操作部60の操作により入力される被検査物Wのサイズに応じてあらかじめ制御部40に設定しておくことが可能である。例えば、制御部40は、被検査物Wの全体が画像領域Aに収まるように、第1イメージセンサ24a又は第2イメージセンサ24bによる被検査物Wの撮像のタイミングを制御するようになっている。
【0041】
ヒストグラム算出部43と閾値算出部44は、判定部42で異物の有無の判定に用いられる閾値Thをあらかじめ決定しておくためのものである。まず、ヒストグラム算出部43の処理に先立って、搬送部30により異物検出領域Rに被検査物Wの良品サンプルが搬送される。ヒストグラム算出部43は、被検査物Wの良品サンプルが異物検出領域Rに搬送された場合に、第1画像生成部26a又は第2画像生成部26bにより生成された画像における良品サンプルに対応する画像領域の画素値のヒストグラムを算出するようになっている。閾値算出部44は、ヒストグラム算出部43により算出されたヒストグラムに基づいて、異物に対応する画素値の閾値Thを算出するようになっている。
【0042】
図5(a)は、被検査物Wが菓子の良品サンプルである場合にヒストグラム算出部43により算出されるヒストグラムの一例を示している。菓子(例えば、柿の種、ピーナッツ、ガム、飴)は、第1波長範囲(800nm〜1200nm)内の光が照射された場合に80〜90%程度の反射率を示すことが知られている。これに対して、異物としての毛髪の反射率は、800nm〜1200nmの波長範囲で10%程度である。また、
図6に示すように、異物としての虫(スズメバチ、アブ、ハチ、ヒナバッタ、トンボ、コガネムシ、セミ、オオスカシバ、カマキリ、ショウリョウバッタ、及びゴキブリ)の反射率は、800nm〜1200nmの波長範囲で5〜50%程度である。
【0043】
つまり、菓子は、波長範囲800nm〜1200nmの反射率が80〜90%と高いのに対して、毛髪の反射率は10%程度、また虫の反射率も5〜50%と低い。このため、画像領域Aにおいて、毛髪や虫に対応する箇所の画素値は、菓子の画素値よりも小さくなる。よって、閾値算出部44は、ヒストグラム算出部43により得られたヒストグラムの情報(例えば、平均値μ、偏差σ、最大値max、最小値min)を用いて、例えば平均値μよりも低い画素値を菓子用の閾値Thとして算出する。閾値算出部44により算出される閾値Thは、例えば、μ−3σ、μ−5σ、係数k(例えば0.9)×maxなどとすることができる。
【0044】
図5(b)は、被検査物Wが食肉の良品サンプルである場合にヒストグラム算出部43により算出されるヒストグラムの一例を示している。食肉(例えば、牛肉、豚肉、鶏肉)は、第2波長範囲(1600nm〜1800nm)内の光が照射された場合に5%程度の反射率を示すことが知られている。これに対して、異物としての毛髪の反射率は、1600nm〜1800nmの波長範囲では、800nm〜1200nmの波長範囲での値の2倍程度でおよそ20%程度である。また、
図6に示すように、異物としての虫の反射率は、1600nm〜1800nmの波長範囲で5〜45%程度である。
【0045】
つまり、食肉は、波長範囲1600nm〜1800nmの反射率が5%程度と低いのに対して、毛髪の反射率は約20%程度と高く、また虫の反射率も5〜45%と高い。このため、画像領域Aにおいて、毛髪や虫に対応する箇所の画素値は、食肉の画素値よりもおおむね大きくなる。よって、閾値算出部44は、ヒストグラム算出部43により得られたヒストグラムの情報(例えば、平均値μ、偏差σ、最大値max、最小値min)を用いて、例えば平均値μよりも高い画素値を食肉用の閾値Thとして算出する。閾値算出部44により算出される閾値Thは、例えば、μ+3σ、μ+5σ、係数k(例えば1.2)×minなどとすることができる。
【0046】
判定部42は、菓子や食肉などの被検査物Wが異物検出領域Rに搬送された場合に、第1画像生成部26a又は第2画像生成部26bにより生成された画像における被検査物Wに対応する画像領域Aの各画素値と、閾値算出部44により算出された閾値Thとの比較に基づいて、被検査物Wにおける異物の有無を判定する。被検査物Wが菓子の場合には、判定部42は、例えば画像領域Aにおいて閾値Th以下となる画素値の画素が複数個連続している場合に、被検査物Wに異物が混入していると判定する。一方、被検査物Wが食肉の場合には、判定部42は、例えば画像領域Aにおいて閾値Th以上となる画素値の画素が複数個連続している場合に、被検査物Wに異物が混入していると判定する。
【0047】
制御部40は、例えばCPU、ROM、RAM、HDDなどを含むマイクロコンピュータ又はパーソナルコンピュータ等で構成され、物品検査装置1を構成する上記各部の動作を制御する。また、制御部40は、ROM等に記憶された所定のプログラムをRAMに移して実行することにより、処理部41をソフトウェア的に構成することが可能である。なお、処理部41は、FPGA(Field Programmable Gate Array)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)などのディジタル回路で構成することも可能である。あるいは、処理部41は、ディジタル回路によるハードウェア処理と所定のプログラムによるソフトウェア処理とを適宜組み合わせて構成することも可能である。
【0048】
表示部50は、例えばLCDやCRTなどの表示機器で構成され、制御部40から出力される制御信号に応じて、処理部41による異物の有無の判定結果などの各種表示内容を表示するようになっている。さらに、表示部50は、各種条件を設定するためのボタン、ソフトキー、プルダウンメニュー、テキストボックスなどの操作対象の表示を行うようになっている。
【0049】
操作部60は、ユーザによる操作入力を受け付けるためのものであり、例えば表示部50に設けられたタッチパネルで構成される。あるいは、操作部60は、キーボード又はマウスのような入力デバイスを含んで構成されてもよい。また、操作部60は、リモートコマンドなどによる遠隔制御を行う外部制御装置で構成されてもよい。操作部60への操作入力は、制御部40により検知されるようになっている。例えば、操作部60により、被検査物Wのサイズや種類などをユーザが任意に設定することなどが可能である。
【0050】
以下、本実施形態に係る物品検査装置1を用いる物品検査方法について、
図7のフローチャートを参照しながらその処理の一例を説明する。
【0051】
まず、ユーザによる操作部60への操作により、被検査物Wの種類が菓子であるか食肉であるかが選択される(ステップS1)。
【0052】
次に、搬送部30は、被検査物Wを異物検出領域Rに搬送する(搬送ステップS2)。
【0053】
次に、光照射部10は、異物検出領域Rに搬送された被検査物Wに、ステップS1で選択された被検査物Wの種類に応じた波長範囲内の光を照射する(光照射ステップS3)。
【0054】
次に、撮像部20は、異物検出領域Rに搬送された被検査物Wからの拡散反射光の画像を撮像する(撮像ステップS4)。
【0055】
次に、処理部41は、撮像ステップS4により撮像された画像に基づいて被検査物Wにおける異物の有無を判定する(処理ステップS5)。例えば、処理部41は、後述する画像生成ステップS14により生成された画像における被検査物Wに対応する画像領域Aの各画素値と、異物に対応する画素値の閾値Thとの比較に基づいて、被検査物Wにおける異物の有無を判定する。
【0056】
次に、制御部40は、全ての被検査物Wが異物検出領域Rに搬送されたか否かを判断する(ステップS6)。全ての被検査物Wが異物検出領域Rに搬送された場合には、制御部40は処理を終了する。一方、全ての被検査物Wが異物検出領域Rに搬送されていない場合には、制御部40は再びステップS2以降の処理を実行する。
【0057】
なお、上記のステップS1〜S6の処理では、被検査物Wの種類に応じて第1光源11又は第2光源12のいずれかのみが使用されるとしているが、本発明はこれに限定されない。例えば、ステップS1を省略して、光照射ステップS3で第1光源11及び第2光源12から被検査物Wに同時に第1及び第2波長範囲内の光を照射してもよい。
【0058】
以下、
図8のフローチャートを参照しながら、
図7の撮像ステップS4の処理の一例を説明する。
【0059】
まず、集光器21は、光照射ステップS3で光照射部10から被検査物Wに照射されて拡散反射された拡散反射光を集光する(集光ステップS11)。
【0060】
次に、ステップS1で選択された被検査物Wの種類に応じた光電変換部(第1イメージセンサ24a又は第2イメージセンサ24b)は、集光ステップS11により集光された第1又は第2波長範囲内の光の光量に応じた電圧信号を出力する(光電変換ステップS12)。
【0061】
次に、ステップS1で選択された被検査物Wの種類に応じて、第1光パワー検出部25a又は第2光パワー検出部25bは、第1イメージセンサ24a又は第2イメージセンサ24bの各受光素子から出力される電圧信号から光パワーを検出する(光パワー検出ステップS13)。
【0062】
次に、ステップS1で選択された被検査物Wの種類に応じて、第1画像生成部26a又は第2画像生成部26bは、光パワー検出ステップS13により受光素子ごとに検出された光パワーに応じた画素値の画素からなる画像を生成する(画像生成ステップS14)。
【0063】
なお、光照射ステップS3で第1光源11及び第2光源12から被検査物Wに同時に第1及び第2波長範囲内の光が照射される場合には、上記のステップS12の処理では、第1イメージセンサ24a及び第2イメージセンサ24bの両方から電圧信号が出力されてもよい。同様に、上記のステップS13の処理では、第1光パワー検出部25a及び第2光パワー検出部25bの両方で光パワーが検出されてもよい。同様に、上記のステップS14の処理では、第1画像生成部26a及び第2画像生成部26bの両方で画像が生成されてもよい。
【0064】
以下、
図9のフローチャートを参照しながら、
図7の処理ステップS5で用いられる閾値Thを決定するための処理の一例を説明する。
【0065】
まず、ユーザによる操作部60への操作により、被検査物Wの良品サンプルの種類が菓子であるか食肉であるかが選択される(ステップS21)。
【0066】
次に、搬送部30は、被検査物Wの良品サンプルを異物検出領域Rに搬送する(ステップS22)。
【0067】
次に、光照射部10は、異物検出領域Rに搬送された被検査物Wの良品サンプルに、ステップS21で選択された被検査物Wの良品サンプルの種類に応じた波長範囲内の光を照射する(ステップS23)。
【0068】
次に、撮像部20は、異物検出領域Rに搬送された被検査物Wの良品サンプルからの拡散反射光の画像を撮像する(ステップS24)。なお、ステップS24の詳細な処理は、
図8のステップS11〜S14の処理の説明において、「被検査物W」を「被検査物Wの良品サンプル」に読み替えたものとなる。
【0069】
次に、ヒストグラム算出部43は、第1画像生成部26a又は第2画像生成部26bにより生成された画像における、被検査物Wの良品サンプルに対応する画像領域の画素値のヒストグラムを算出する(ヒストグラム算出ステップS25)。
【0070】
次に、閾値算出部44は、ヒストグラム算出ステップS25により算出されたヒストグラムに基づいて、異物に対応する画素値の閾値Thを算出する(閾値算出ステップS26)。
【0071】
以上説明したように、本実施形態に係る物品検査装置1は、被検査物Wに応じた波長範囲内の光を照射して得られる画像の各画素の強度比較を行うことにより、被検査物Wにおける異物の有無を判定するため、検査時間を短縮しつつ、毛髪や虫等の異物をより正確に検出することができる。
【0072】
また、本実施形態に係る物品検査装置1は、被検査物Wの良品サンプルの画像の画素値のヒストグラムを算出することにより、異物の有無の判定に用いる画素値の閾値Thを決定するため、安価かつシンプルな構成にて毛髪や虫等の異物を検出することができる。
【0073】
また、本実施形態に係る物品検査装置1は、虫の異物として、スズメバチ、アブ、ハチ、ヒナバッタ、トンボ、コガネムシ、セミ、オオスカシバ、カマキリ、ショウリョウバッタ、及びゴキブリなどを検出することができる。
【0074】
また、本実施形態に係る物品検査装置1は、第1イメージセンサ24a及び第2イメージセンサ24bとして、ラインイメージセンサやエリアイメージセンサを用いることができる。
【0075】
(第2の実施形態)
続いて、本発明の第2の実施形態に係る物品検査装置について図面を参照しながら説明する。なお、第1の実施形態と同様の構成については同一の符号を付して適宜説明を省略する。また、第1の実施形態と同様の動作についても適宜説明を省略する。
【0076】
本実施形態の物品検査装置は、第1の実施形態の物品検査装置1の処理部41の構成を変更したものである。
図10に示すように、本実施形態における処理部41'は、反射率推定部45と、判定部46と、ヒストグラム算出部47と、画素値算出部48と、テーブル作成部49と、を含む。
【0077】
反射率推定部45は、第1画像生成部26a又は第2画像生成部26bにより生成された画像における被検査物Wに対応する画像領域Aの各画素値から、被検査物Wの反射率を画素ごとに推定するようになっている。
【0078】
判定部46は、反射率推定部45により推定された画素ごとの反射率と、異物に対応する反射率との比較に基づいて、被検査物Wにおける異物の有無を判定するようになっている。
【0079】
ヒストグラム算出部47、画素値算出部48、及びテーブル作成部49は、判定部46で異物の有無の判定に用いられる反射率の値をあらかじめ決定しておくためのものである。まず、ヒストグラム算出部47の処理に先立って、被検査物Wの代わりに、第1波長範囲(800nm〜1200nm)内で互いに異なる既知の反射率を示す複数のサンプル、又は、第2波長範囲(1600nm〜1800nm)内で互いに異なる既知の反射率を示す複数のサンプルが搬送部30により異物検出領域Rに順次搬送される。ヒストグラム算出部47は、上記の各サンプルが異物検出領域Rに搬送された場合に、第1画像生成部26a又は第2画像生成部26bにより生成された画像における各サンプルに対応する画像領域の画素値のヒストグラムを算出するようになっている。
【0080】
図11は、第1画像生成部26a又は第2画像生成部26bにより生成される各サンプルSaの画像の一例を模式的に示す図である。図中の太線の四角形は、各サンプルSaに対応する画像領域Bを表している。この画像領域Bの位置及びサイズは、例えばユーザによる操作部60の操作により入力される各サンプルSaのサイズに応じてあらかじめ制御部40に設定しておくことが可能である。例えば、制御部40は、各サンプルSaの全体が画像領域Bに収まるように、第1イメージセンサ24a又は第2イメージセンサ24bによる各サンプルSaの撮像のタイミングを制御するようになっている。
【0081】
画素値算出部48は、ヒストグラム算出部47により算出されたヒストグラムに基づいて、各サンプルの既知の反射率に対応する画素値を算出するようになっている。例えば、画素値算出部48は、ヒストグラム算出部47により得られた各サンプルのヒストグラムの情報から平均値μを抽出して、この平均値μを各サンプルの既知の反射率に対応する画素値として算出する。
【0082】
テーブル作成部49は、画素値算出部48により算出された画素値に基づいて、被検査物Wに対応する画像領域Aの画素値と反射率との関係を示すテーブルを作成するようになっている。
【0083】
図12は、テーブル作成部49により作成されるテーブルの内容を説明するためのグラフである。ここでは、上記の複数のサンプルが、第1波長範囲内で反射率α(例えば90%)のサンプルと、第1波長範囲内で反射率β(例えば10%)のサンプルであるとする。このとき、画素値算出部48は、ヒストグラム算出部47により得られた反射率αのサンプルのヒストグラムの情報から平均値μ
αを画素値として抽出する。また、画素値算出部48は、ヒストグラム算出部47により得られた反射率βのサンプルのヒストグラムの情報から平均値μ
βを画素値として抽出する。
【0084】
テーブル作成部49は、画素値算出部48により抽出された平均値μ
α及び平均値μ
βと反射率α及び反射率βとの関係を、例えば直線近似することにより、任意の反射率と画素値との関係を示すテーブルを作成する。同様に、テーブル作成部49は、第2波長範囲内で互いに反射率の異なる複数のサンプルについても、任意の反射率と画素値との関係を示すテーブルを作成する。
【0085】
反射率推定部45は、被検査物Wが異物検出領域Rに搬送された場合に、第1画像生成部26a又は第2画像生成部26bにより生成された画像における被検査物Wに対応する画像領域Aの各画素値に対応する反射率を、テーブル作成部49により作成されたテーブルに基づいて推定する。
図12のグラフに示すように、画像領域Aにおけるある画素の画素値がPvであった場合には、反射率推定部45により推定される反射率はRfとなる。
【0086】
判定部46は、菓子や食肉などの被検査物Wが異物検出領域Rに搬送された場合に、反射率推定部45により推定された画素ごとの反射率と、
図6の表に示したような異物に対応する反射率との比較に基づいて、被検査物Wにおける異物の有無を判定する。以下に、判定部46による異物の有無の判定例を示す。
【0087】
被検査物Wが菓子の場合には、判定部46は、画像領域Aにおいて反射率が5%程度の画素が複数個連続している場合に、被検査物Wにスズメバチ、アブ、トンボのいずれかが混入している可能性があると判定する。また、判定部46は、画像領域Aにおいて反射率が10%程度の画素が複数個連続している場合に、被検査物Wにスズメバチ、アブ、ハチ、トンボ、コガネムシ、セミ、オオスカシバ、毛髪のいずれかが混入している可能性があると判定する。また、判定部46は、画像領域Aにおいて反射率が20%程度の画素が複数個連続している場合に、被検査物Wにハチ、ヒナバッタ、コガネムシ、セミ、オオスカシバのいずれかが混入している可能性があると判定する。また、判定部46は、画像領域Aにおいて反射率が30%程度の画素が複数個連続している場合に、被検査物Wにカマキリ、ショウリョウバッタ、ゴキブリのいずれかが混入している可能性があると判定する。また、判定部46は、画像領域Aにおいて反射率が50%程度の画素が複数個連続している場合に、被検査物Wにゴキブリが混入している可能性があると判定する。
【0088】
被検査物Wが食肉の場合には、判定部46は、画像領域Aにおいて反射率が5%程度の画素が複数個連続している場合に、被検査物Wにアブ、カマキリのいずれかが混入している可能性があると判定する。また、判定部46は、画像領域Aにおいて反射率が10%程度の画素が複数個連続している場合に、被検査物Wにスズメバチ、アブ、カマキリのいずれかが混入している可能性があると判定する。また、判定部46は、画像領域Aにおいて反射率が15%程度の画素が複数個連続している場合に、被検査物Wにスズメバチ、ハチ、トンボ、ショウリョウバッタのいずれかが混入している可能性があると判定する。また、判定部46は、画像領域Aにおいて反射率が20%程度の画素が複数個連続している場合に、被検査物Wにハチ、ヒナバッタ、ショウリョウバッタ、毛髪のいずれかが混入している可能性があると判定する。また、判定部46は、画像領域Aにおいて反射率が40%程度の画素が複数個連続している場合に、被検査物Wにオオスカシバ、ゴキブリのいずれかが混入している可能性があると判定する。
【0089】
以下、本実施形態に係る物品検査装置を用いる物品検査方法について説明する。本実施形態に係る物品検査装置は、
図7のフローチャートのステップS1〜S6の処理と、
図8のフローチャートのステップS11〜S14の処理を実行する。以下、
図13のフローチャートを参照しながら、本実施形態における
図7の処理ステップS5の処理の一例を説明する。
【0090】
まず、反射率推定部45は、テーブル作成部49により作成されたテーブルに基づいて、画像生成ステップS14により生成された画像における被検査物Wに対応する画像領域Aの各画素値から、被検査物Wの反射率を画素ごとに推定する(反射率推定ステップS31)。
【0091】
次に、判定部46は、反射率推定ステップS31により推定された画素ごとの反射率と、異物に対応する反射率との比較に基づいて、被検査物Wにおける異物の有無を判定する(判定ステップS32)。
【0092】
以下、
図14のフローチャートを参照しながら、
図13の反射率推定ステップS31で用いられるテーブルを作成するための処理の一例を説明する。
【0093】
まず、ユーザによる操作部60への操作により、第1波長範囲(菓子用)又は第2波長範囲(食肉用)のいずれかが選択される(ステップS41)。
【0094】
次に、搬送部30は、ステップS41で選択された波長範囲内で反射率αのサンプルを異物検出領域Rに搬送する(ステップS42)。
【0095】
次に、光照射部10は、異物検出領域Rに搬送された反射率αのサンプルに、ステップS41で選択された波長範囲内の光を照射する(ステップS43)。
【0096】
次に、撮像部20は、異物検出領域Rに搬送された反射率αのサンプルからの拡散反射光の画像を撮像する(ステップS44)。なお、ステップS44の詳細な処理は、
図8のステップS11〜S14の処理の説明において、「被検査物W」を「反射率αのサンプル」に読み替えたものとなる。
【0097】
次に、ヒストグラム算出部47は、ステップS41で選択された波長範囲に対応する第1画像生成部26a又は第2画像生成部26bにより生成された画像における、反射率αのサンプルに対応する画像領域Bの画素値のヒストグラムを算出する(ヒストグラム算出ステップS45)。
【0098】
次に、搬送部30は、ステップS41で選択された波長範囲内で反射率βのサンプルを異物検出領域Rに搬送する(ステップS46)。
【0099】
次に、光照射部10は、異物検出領域Rに搬送された反射率βのサンプルに、ステップS41で選択された波長範囲内の光を照射する(ステップS47)。
【0100】
次に、撮像部20は、異物検出領域Rに搬送された反射率βのサンプルからの拡散反射光の画像を撮像する(ステップS48)。なお、ステップS48の詳細な処理は、
図8のステップS11〜S14の処理の説明において、「被検査物W」を「反射率αのサンプル」に読み替えたものとなる。
【0101】
次に、ヒストグラム算出部47は、ステップS41で選択された波長範囲に対応する第1画像生成部26a又は第2画像生成部26bにより生成された画像における、反射率βのサンプルに対応する画像領域Bの画素値のヒストグラムを算出する(ヒストグラム算出ステップS49)。
【0102】
次に、画素値算出部48は、ヒストグラム算出ステップS45,S49により算出されたヒストグラムに基づいて、反射率αのサンプルと反射率βのサンプルの反射率に対応する画素値を算出する(画素値算出ステップS50)。
【0103】
次に、テーブル作成部49は、画素値算出ステップS50により算出された反射率α及び反射率βと画素値の関係を例えば直線近似することにより、被検査物Wに対応する画像領域Aの画素値と反射率との関係を示すテーブルを作成する(テーブル作成ステップS51)。
【0104】
以上説明したように、本実施形態に係る物品検査装置は、被検査物Wに応じた波長範囲内の光を照射して得られる画像から、被検査物Wの反射率を画素ごとに推定することにより、被検査物Wにおける異物の有無を判定するため、検査時間を短縮しつつ、毛髪や虫等の異物をより正確に検出することができる。
【0105】
また、本実施形態に係る物品検査装置は、既知の反射率を示す複数のサンプルの画像の画素値のヒストグラムを算出して、異物の有無の判定に用いる画素値と反射率との関係を示すテーブルを作成するため、安価かつシンプルな構成にて毛髪や虫等の異物を検出することができる。