【解決手段】通貨収納装置は、開口部を有する筐体と、筐体内部に設けられ、現金通貨を収納する収納部と、開口部と収納部との間で現金通貨を搬送する搬送部と、筐体を移動可能に支持する移動部と、搬送部による現金通貨の搬送を制御する搬送制御部とを備える。
【発明を実施するための形態】
【0035】
〈第1の実施形態〉
図1は、第1の実施形態に係る棒金収納装置の外観を示す斜視図である。
第1の実施形態に係る棒金収納装置10は、1台で同一金種に係る複数の棒金を収納する。現金センター等で6金種を取り扱う場合には、少なくとも6台の棒金収納装置10を一組として使用する。棒金とは、同一金種に係るバラの硬貨を所定枚数ごとに包装したものである。棒金および硬貨は、現金通貨の一例である。以下の説明における「前」は棒金収納装置10の操作者側、「後」は棒金収納装置10の操作者とは反対側、「左」は棒金収納装置10の操作者から見て左、「右」は棒金収納装置10の操作者から見て右である。
【0036】
《棒金収納装置の構成》
棒金収納装置10は、筐体11、キャスター12、取手13を備える。筐体11は、棒金収納装置10の外殻をなす。キャスター12は、筐体11の下方に設けられ、筐体11を移動可能に支持する。キャスター12は、図示しないブレーキ機構を備える。ブレーキ機構は、例えば図示しないソレノイドなどによって駆動し、キャスター12の回転を阻止するロック状態と、キャスター12の回転を許容する解除状態とを切り替える。キャスター12は、移動部の一例である。取手13は、筐体11の後面に設けられる。作業者は、取手13を押し、または引くことによって筐体11を支持するキャスター12を回転させ、棒金収納装置10を移動させることができる。
【0037】
筐体11の前面には、払出口111および投入口112が開口している。払出口111は、筐体11の内部に収納された棒金を払い出すための開口部である。投入口112は、筐体11の内部に棒金を投入するための開口部である。投入口112は、装置の下方に設けられ、硬貨包装機の投出シュートから下方の払出口へ払い出される棒金を速やかに収納することができる。払出口111は投入口112の上方に設けられる。これにより、棒金の払出先の装置との接続距離を短くすることができる。
筐体11の後面には、タッチパネル113およびRFIDリーダ114が設けられる。タッチパネル113は、棒金収納装置10の状態を示し、棒金収納装置10への入力を受け付ける。RFIDリーダ114は、作業者が所有する図示しないRFIDチップを内蔵するカードやリストバンド等から情報を読み取る。RFIDチップには、作業者の識別情報が記憶される。
【0038】
図2は、第1の実施形態に係る棒金収納装置の内部構成を示す側面断面図である。
棒金収納装置10は、内部に収納部14、搬送部15、投入通路16、払出通路17、制御部18、無線通信部19、電源部20を備える。
【0039】
収納部14は、投入口112から投入された棒金を繰り出し可能に収納する。収納部14は、複数の収納カセット141を備える。収納カセット141は、上下方向に多段状に並設される。棒金収納装置10は、左右方向に複数の収納部14を並列に備えるものであってもよい。このとき、複数の収納部14のそれぞれに払出口111を設けるようにしてもよい。これにより、並行して複数の棒金を払い出すことが可能になる。
【0040】
搬送部15は、払出口111、投入口112および複数の収納カセット141の間で棒金を搬送する。具体的には、搬送部15は、投入口112から投入された棒金を収納カセット141へ選択的に搬送する。搬送部15は、収納カセット141に収納された棒金を、払出口111へ搬送する。搬送部15は、上下方向に伸びるように設けられた縦型ベルトコンベアである。なお、棒金収納装置10が左右方向に複数の収納部14を並列に備える場合、搬送部15は、ベルトコンベアに加え、複数の収納部14の間で棒金を受け渡す図示しない橋渡し搬送部を備える。
【0041】
投入通路16は、投入口112と搬送部15とを接続する通路である。投入口112から投入された棒金は、投入通路16によって搬送部15へ案内される。投入通路16には、投入口112を開閉する投入ゲート161が設けられる。投入ゲート161は、下端の支持軸を中心に回動し、投入口112を閉塞する閉状態と投入口112を開放する開状態とに切り替えられる。
【0042】
払出通路17は、払出口111と搬送部15とを接続する通路である。搬送部15によって搬送された棒金は、払出通路17によって払出口111に案内される。払出通路17には、払出口111を開閉する払出ゲート171が設けられる。払出ゲート171は、下端の支持軸を中心に回動し、払出口111を閉塞する閉状態と払出口111を開放する開状態とに切り替えられる。
【0043】
制御部18は、棒金収納装置10の動作を制御する。
無線通信部19は、外部の無線通信装置(例えば、無線LANのアクセススポット)との通信を行う。
電源部20は、棒金収納装置10に電源を供給する。
【0044】
図3は、第1の実施形態に係る棒金収納装置の開口部および着脱ユニットの構成を示す上面断面図である。
棒金収納装置10の開口部には、着脱ユニット30を装着することができる。着脱ユニット30は、棒金収納装置10の払出口111から払い出される棒金を受け、または棒金収納装置10の投入口112へ棒金を案内するためのアタッチメントである。棒金収納装置10には、様々な形状の着脱ユニット30を装着することができる。着脱ユニット30の例としては、棒金を受ける受け皿、並びに棒金を搬送するベルトコンベアおよびスライダーなどが挙げられる。
【0045】
棒金収納装置10の筐体11のうち、払出口111および投入口112の近傍には、着脱ユニット30の爪部31の挿入を受け入れる挿入穴21が設けられる。挿入穴21には、ラッチ211、押さえばね212、圧電センサ213、ソレノイド214が設けられる。
ラッチ211は、挿入穴21における爪部31の挿入方向に対して交差する方向へ摺動可能に設けられる。
押さえばね212は、ラッチ211が挿入穴21の内部方向へ突出するようにラッチ211を付勢する。これにより、着脱ユニット30は、棒金収納装置10に対して着脱可能となる。
【0046】
圧電センサ213は、押さえばね212に係る圧力を電気信号に変換する。挿入穴21に爪部31が挿入されているとき、押さえばね212には一定の圧力がかかるように構成される。すなわち、挿入穴21に爪部31が挿入されているとき、ラッチ211の先端部が爪部31の側壁に当接する。これによって、ラッチ211が押さえばね212を押し返すことで、圧電センサ213は、一定の圧力に相当する電気信号を生成する。これにより、制御部18は圧電センサ213の電気信号を読み取ることで、着脱ユニット30が装着されているか否かを判定することができる。圧電センサ213は、着脱ユニット30が装着されているか否かを検出する検出部の一例である。
【0047】
ソレノイド214は、ラッチ211の摺動方向に対して交差する方向に伸縮する。ラッチ211の側面には爪が設けられており、ソレノイド214が伸びることでソレノイド214とラッチ211とが係合し、ラッチ211がロックされる。ソレノイド214が縮むとソレノイド214がラッチ211から外れ、ラッチ211のロックが解除される。ソレノイド214は、開口部に装着された着脱ユニット30をロックするユニットロック部の一例である。
【0048】
《制御装置の構成》
図4は、制御装置の構成を示す概略ブロック図である。
制御部18は、入力部51、作業者特定部52、装着状態特定部53、位置特定部54、収納時刻記憶部55、収納時刻記録部56、在高記憶部57、在高算出部58、搬送制御部59、履歴記憶部60、履歴記録部61、ロック制御部62、警報部63、表示制御部64、設定情報記憶部65を備える。
【0049】
入力部51は、タッチパネル113を介して作業者からの入力操作を受け付ける。
作業者特定部52は、RFIDリーダ114を介して作業者が所有するRFIDチップに記憶された作業者の識別情報を取得する。
装着状態特定部53は、圧電センサ213が出力する信号に基づいて、払出口111または投入口112に着脱ユニット30が取り付けられているか否かを判定する。
【0050】
位置特定部54は、無線通信部19を介して近傍のアクセスポイントとの通信を行い、アクセスポイントのIDに基づいて棒金収納装置10の位置を特定する。アクセスポイントは、例えば棒金収納装置10を移動し得る部屋ごとに設けられる。
【0051】
収納時刻記憶部55は、収納部14の収納カセット141ごとに、当該収納カセット141に最初に棒金が収納された時刻である収納時刻を記憶する。
収納時刻記録部56は、搬送制御部59が収納カセット141に棒金を搬送したときに、収納時刻記憶部55に収納時刻を記録する。
【0052】
在高記憶部57は、収納部14の収納カセット141ごとに、当該収納カセット141に収納された棒金の在高を記憶する。在高は、棒金の本数で表されてもよいし、硬貨の枚数で表されてもよいし、金額で表されてもよい。
在高算出部58は、搬送制御部59が棒金を搬送するたびに、在高記憶部57が搬送先または搬送元の収納カセット141に関連付けて記憶する在高を更新する。
【0053】
搬送制御部59は、入力部51に入力された入力操作に従って、搬送部15による棒金の搬送を制御する。
【0054】
履歴記憶部60は、棒金収納装置10による棒金の払出の履歴である払出履歴情報と、棒金収納装置10による棒金の収納の履歴である収納履歴情報と、棒金収納装置10の移動の履歴である位置履歴情報とを記憶する。払出履歴情報には、払出処理を実行した時刻、棒金収納装置10の位置、操作を行った作業者の識別情報、および払出された棒金の数量が含まれる。収納履歴情報には、収納処理を実行した時刻、棒金収納装置10の位置、操作を行った作業者の識別情報、および収納された棒金の数量が含まれる。位置履歴情報には、位置が変化した時刻、棒金収納装置10の位置、操作を行った作業者の識別情報、および棒金の在高が含まれる。
【0055】
履歴記録部61は、履歴情報を生成して履歴記憶部60に記録する。具体的には、履歴記録部61は、入力部51への入力操作に基づく搬送部15の制御がなされたときに、搬送履歴情報を生成して履歴記憶部60に記録する。また履歴記録部61は、位置特定部54が特定する位置情報が変化したときに、位置履歴情報を生成して履歴記憶部60に記録する。
【0056】
ロック制御部62は、キャスター12、投入ゲート161、払出ゲート171、および挿入穴21のロック状態を制御する。具体的には、ロック制御部62は、作業者が棒金収納装置10の権限を有しない場合に、キャスター12をロックし、投入ゲート161および払出ゲート171を閉状態にする。ロック制御部62は、投入口112に着脱ユニット30が装着されていない場合に、投入ゲート161を閉状態にする。ロック制御部62は、払出口111に着脱ユニット30が装着されていない場合に、払出ゲート171を閉状態にする。ロック制御部62は、搬送部15が棒金を搬送している間、着脱ユニット30が開口部から脱離しないように、ソレノイド214を伸長させて着脱ユニット30をロックする。
【0057】
警報部63は、棒金収納装置10に対する規定外の操作を検出したときに警報を発する。規定外の操作の例としては、操作権限のない作業員によって作業がなされたこと、移動先として予め設定されていない位置へ移動されたことなどが挙げられる。警報は、タッチパネル113に表示されてもよいし、図示しないスピーカから音声によって出力されてもよい。
表示制御部64は、タッチパネル113の表示を制御する。
設定情報記憶部65は、当該棒金収納装置10の操作権限を有する作業者の識別情報、および当該棒金収納装置10が移動可能な場所情報を含む設定情報を記憶する。設定情報は、予め棒金収納装置10の管理者によって設定される。移動可能な場所の例としては、精査場、金庫室、および払出場が挙げられ、棒金収納装置10が銀行ごとに使い分けられ、かつ銀行ごとに異なる金庫室に保管される場合に、当該棒金収納装置10に収納される棒金を管理する銀行に関連付けられた各金庫室などが挙げられる。
【0058】
《棒金収納装置の認証動作》
図5は、第1の実施形態に係る棒金収納装置の認証動作を示すフローチャートである。棒金収納装置10は、初期状態において、キャスター12がロックされ、投入ゲート161および払出ゲート171が閉状態となっている。
作業者は、棒金収納装置10を操作する場合、まず棒金収納装置10のRFIDリーダ114にRFIDカードを読み取らせる。例えば、RFIDリーダ114は、RFIDカードをかざされることによってRFIDカードが記憶する情報を読み出す。作業者特定部52は、RFIDリーダ114から作業者の識別情報を取得する(ステップS1)。
【0059】
作業者特定部52は、設定情報記憶部65が記憶する設定情報から読み出した識別情報を検索し、当該作業者が棒金収納装置10の操作する権限を有するか否かを判定する(ステップS2)。操作権限がない場合(ステップS2:NO)、ロック制御部62は、キャスター12のロック状態、投入ゲート161および払出ゲート171の閉状態を維持する(ステップS3)。
【0060】
操作権限がある場合(ステップS2:YES)、ロック制御部62は、キャスター12のロック状態を解除する(ステップS4)。また、表示制御部64は、タッチパネル113に操作ボタンおよび在高記憶部57が記憶する棒金の在高を表示する操作画面を表示させる(ステップS5)。
図6は、第1の実施形態に係るタッチパネルの操作画面の一例を示す図である。
図6に示すように、タッチパネル113の操作画面には、収納本数表示d1、収納開始ボタンd2、収納終了ボタンd3、払出開始ボタンd4、払出終了ボタンd5、連携接続ボタンd6、および連携切断ボタンd7が表示される。収納本数表示d1は、収納部14に収納可能な棒金の最大本数に対する現在の収納本数の割合を表すグラフメータである。
これにより、制御部18は、作業者が棒金収納装置10の操作権限を有する場合に限り、棒金収納装置10の移動を許可し、また棒金の投入または払出の操作を受け付ける。
【0061】
なお、制御部18は、作業者による操作(棒金収納装置10の移動を含む)が一定時間なされない場合に、タッチパネル113の表示を消し、またキャスター12をロック状態に切り替えてよい。または、制御部18は、作業者から作業終了の明示の指示を受け付けたときに、タッチパネル113の表示を消し、またキャスター12をロック状態に切り替えてよい。
【0062】
《棒金収納装置の移動時の動作》
図7は、第1の実施形態に係る棒金収納装置の移動時の動作を示すフローチャートである。
制御部18は、キャスター12のロック状態を解除している間、一定時間ごとに、以下の移動監視処理を実行する。
位置特定部54は、外部のアクセスポイントから信号を受信し、受信した信号から近傍のアクセスポイントの識別情報を読み出す(ステップS21)。位置特定部54は、読み出した識別情報に基づいて、棒金収納装置10が存在する位置(部屋)を特定する(ステップS22)。位置特定部54は、例えば最も信号強度が高いアクセスポイントが設けられた部屋を、棒金収納装置10が存在する位置として特定してよい。また位置特定部54は、例えば信号を受信した複数のアクセスポイントが設けられた位置の中間点を、棒金収納装置10が存在する位置として特定してよい。
【0063】
位置特定部54は、履歴記憶部60が記憶する移動履歴情報を参照し、棒金収納装置10の最後の位置と、ステップS22で特定した位置が所定の誤差範囲内で一致しているか否かを判定する(ステップS23)。特定した位置と最後の位置とが一致している場合(ステップS23:YES)、履歴記録部61は、棒金収納装置10の移動がなされていないと判定し、移動履歴情報を更新しない。
【0064】
他方、特定した位置と最後の位置とが一致しない場合(ステップS23:NO)、履歴記録部61は、棒金収納装置10が移動されたと判定し、現在時刻と、ステップS22で特定した位置と、在高記憶部57が記憶する在高の総和と、ステップS1で特定された作業者の識別情報とを関連付けて移動履歴情報として履歴記憶部60に記録する(ステップS24)。これにより、管理者は、棒金収納装置10の移動履歴情報を参照することで、棒金収納装置10の不正な移動の有無を確認することができる。
【0065】
特定した位置と最後の位置とが一致している場合(ステップS23:YES)、または移動履歴情報を記録した場合、位置特定部54は、設定情報記憶部65が記憶する設定情報を参照し、ステップS22で特定した位置が、当該棒金収納装置10の移動が許可された位置であるか否かを判定する(ステップS25)。
【0066】
ステップS22で特定した位置が、移動が許可された位置でない場合(ステップS25:NO)、警報部63は、移動が許可されていない旨の警報を発する(ステップS26)。これにより、例えば棒金収納装置10が他の銀行の金庫室に移動された場合などに、移動先が誤っている旨を作業者に伝えることができる。このとき、搬送制御部59は、移動が許可された位置へ移動するまで、入力部51への入力操作の有無に関わらず、搬送部15による棒金の搬送を禁止する。
他方、ステップS22で特定した位置が、移動が許可された位置である場合(ステップS25:YES)、警報部63は、警報を発しない。
【0067】
《棒金収納装置の収納動作》
図8は、第1の実施形態に係る棒金収納装置の収納動作を示すフローチャートである。
図6に示す操作画面において、作業者が収納開始ボタンd2を押下すると、入力部51は、収納開始指示の入力を受け付ける(ステップS81)。装着状態特定部53は、投入口112に設けられた圧電センサ213の出力信号に基づいて、投入口112に着脱ユニット30が装着されているか否かを判定する(ステップS82)。投入口112に着脱ユニット30が装着されていない場合(ステップS82:NO)、警報部63は、投入口112に着脱ユニット30が装着されていない旨の警報を発する(ステップS83)。またロック制御部62は、投入ゲート161の閉状態を維持する。
【0068】
他方、投入口112に着脱ユニット30が装着されている場合(ステップS82:YES)、ロック制御部62は、投入ゲート161を開状態にする指示を出力する(ステップS84)。またロック制御部62は、投入口112の着脱ユニット30およびキャスター12をロックする(ステップS85)。次に、入力部51は、収納本数の入力があるか否かを判定する(ステップS86)。
【0069】
収納本数の入力がある場合(ステップS86:YES)、制御部18は後述する棒金収納処理を実行する(ステップS87)。棒金収納処理は、1本ずつ棒金を投入口112から収納部14へ搬送する処理である。制御部18が棒金収納処理により棒金を収納部14へ収納すると、搬送制御部59は、収納した棒金の数がステップS86で入力された収納本数に達したか否かを判定する(ステップS88)。収納した棒金の数が収納本数に達していない場合(ステップS88:NO)、制御部18は処理をステップS87に戻し、棒金収納処理を続ける。操作画面には、収納した棒金の数がリアルタイムに表示される。
【0070】
収納本数の入力がない場合(ステップS86:NO)、制御部18は、棒金収納処理を実行する(ステップS89)。制御部18が棒金収納処理により棒金を収納すると、入力部51は、収納終了ボタンd3の押下がなされたか否かを判定する(ステップS90)。収納終了ボタンd3の押下がなされていない場合(ステップS91:NO)、制御部18は処理をステップS89に戻し、棒金収納処理を続ける。操作画面には、収納した棒金の数がリアルタイムに表示される。
【0071】
ステップS88で収納した棒金の数が収納本数に達した場合(ステップS88:YES)、またはステップS90で収納終了ボタンd3の押下がなされた場合(ステップS90:YES)、ロック制御部62は、投入ゲート161を閉状態にする指示を出力する(ステップS91)。またロック制御部62は、投入口112の着脱ユニット30およびキャスター12のロックを解除する(ステップS92)。そして、履歴記録部61は、現在時刻と、棒金収納処理による収納本数の総和と、ステップS1で特定された作業者の識別情報と、棒金収納装置10の位置とを関連付けて収納履歴情報として履歴記憶部60に記録する(ステップS93)。
【0072】
《棒金収納処理》
ここで、上述の棒金収納処理の詳細な動作を説明する。
図9は、第1の実施形態に係る棒金収納処理を示すフローチャートである。
搬送制御部59は、収納時刻記憶部55を参照し、最も新しい収納時刻に関連付けられた収納カセット141を特定する(ステップS101)。搬送制御部59は、在高記憶部57を参照し、ステップS101で特定した収納カセット141が満杯であるか否かを判定する(ステップS102)。特定した収納カセット141が満杯である場合(ステップS102:YES)、搬送制御部59は、在高記憶部57を参照し、空の収納カセット141のうち最下段に位置するものを特定する(ステップS103)。収納時刻記録部56は、収納時刻記憶部55がステップS103で特定した収納カセット141に関連付けて記憶する収納時刻を、現在時刻に書き換える(ステップS104)。
【0073】
次に、搬送制御部59は、投入口112からステップS101またはステップS103で特定した収納カセット141への棒金の搬送を指示する(ステップS105)。棒金が収納カセット141へ搬送されると、搬送制御部59は、搬送部15の停止指示を出力する。
【0074】
次に、在高算出部58は、在高記憶部57が記憶する、ステップS101またはステップS103で特定した収納カセット141の在高に、棒金1本分を加算し、在高記憶部57が記憶する情報を更新する(ステップS106)。
【0075】
表示制御部64は、ステップS106で更新した在高に基づいて、在高の総和を算出し、
図6に示す操作画面の収納本数表示d1を更新する(ステップS107)。表示制御部64は、ステップS107で算出した在高の総和が、予め定められたニアフル閾値以上であるか否かを判定する(ステップS108)。ニアフル閾値は、棒金収納装置10で保管可能な棒金が残り少ないことを報知するための閾値である。つまりニアフル閾値は、棒金収納装置10の最大収容数未満の値である。ニアフル閾値は例えば設定情報記憶部65に記憶される。
【0076】
在高の総和がニアフル閾値以上である場合(ステップS108:YES)、表示制御部64は、収納本数表示d1にニアフル状態である旨を示す情報を表示させる(ステップS109)。在高の総和がニアフル閾値以上でない場合(ステップS108:NO)、表示制御部64は、ニアフル状態である旨を示す情報を表示させない。
【0077】
《棒金収納装置の払出動作》
図10は、第1の実施形態に係る棒金収納装置の払出動作を示すフローチャートである。
図6に示す操作画面において、作業者が払出開始ボタンd4を押下すると、入力部51は、払出開始指示の入力を受け付ける(ステップS41)。装着状態特定部53は、払出口111に設けられた圧電センサ213の出力信号に基づいて、払出口111に着脱ユニット30が装着されているか否かを判定する(ステップS42)。払出口111に着脱ユニット30が装着されていない場合(ステップS42:NO)、警報部63は、払出口111に着脱ユニット30が装着されていない旨の警報を発する(ステップS43)。またロック制御部62は、払出ゲート171の閉状態を維持する。
【0078】
他方、払出口111に着脱ユニット30が装着されている場合(ステップS42:YES)、ロック制御部62は、払出ゲート171を開状態にする指示を出力する(ステップS44)。またロック制御部62は、払出口111の着脱ユニット30およびキャスター12をロックする(ステップS45)。次に、入力部51は、払出本数の入力があるか否かを判定する(ステップS46)。
【0079】
払出本数の入力がある場合(ステップS46:YES)、制御部18は後述する棒金払出処理を実行する(ステップS47)。棒金払出処理は、1本ずつ棒金を収納部14から払出口111へ搬送する処理である。制御部18が棒金払出処理により棒金を払い出すと、搬送制御部59は、払い出した棒金の数がステップS46で入力された払出本数に達したか否かを判定する(ステップS48)。払い出した棒金の数が払出本数に達していない場合(ステップS48:NO)、制御部18は処理をステップS47に戻し、棒金払出処理を続ける。操作画面には、払い出した棒金の数がリアルタイムに表示される。
【0080】
払出本数の入力がない場合(ステップS46:NO)、制御部18は、棒金払出処理を実行する(ステップS49)。制御部18が棒金払出処理により棒金を払い出すと、入力部51は、払出終了ボタンd5の押下がなされたか否かを判定する(ステップS50)。払出終了ボタンd5の押下がなされていない場合(ステップS51:NO)、制御部18は処理をステップS49に戻し、棒金払出処理を続ける。操作画面には、払い出した棒金の数がリアルタイムに表示される。
【0081】
ステップS48で払い出した棒金の数が払出本数に達した場合(ステップS48:YES)、またはステップS50で払出終了ボタンd5の押下がなされた場合(ステップS50:YES)、ロック制御部62は、払出ゲート171を閉状態にする指示を出力する(ステップS51)。またロック制御部62は、払出口111の着脱ユニット30およびキャスター12のロックを解除する(ステップS52)。そして、履歴記録部61は、現在時刻と、棒金払出処理による払出本数の総和と、ステップS1で特定された作業者の識別情報と、棒金収納装置10の位置とを関連付けて払出履歴情報として履歴記憶部60に記録する(ステップS53)。これにより、管理者は、棒金収納装置10の払出履歴情報を参照することで、棒金収納装置10の不正な払出の有無を確認することができる。
【0082】
《棒金払出処理》
ここで、上述の棒金払出処理の詳細な動作を説明する。
図11は、第1の実施形態に係る棒金払出処理を示すフローチャートである。
搬送制御部59は、収納時刻記憶部55を参照し、最も古い収納時刻に関連付けられた収納カセット141を特定する(ステップS61)。搬送制御部59は、ステップS61で特定した収納カセット141から、払出口111への棒金の搬送を指示する(ステップS62)。棒金の搬送速度は、予め定められたものであってもよいし、着脱ユニット30の種類に応じて設定されたものであってもよい。棒金が払出口111へ搬送されると、搬送制御部59は、搬送部15の停止指示を出力する。
【0083】
次に、在高算出部58は、在高記憶部57が記憶する、ステップS61で特定した収納カセット141の在高から、棒金1本分を減算し、在高記憶部57が記憶する情報を更新する(ステップS63)。収納時刻記録部56は、更新された在高を参照し、ステップS61で特定した収納カセット141が空になったか否かを判定する(ステップS64)。収納カセット141が空になった場合(ステップS64:YES)、収納時刻記録部56は、収納時刻記憶部55が当該収納カセット141に関連付けて記憶する収納時刻を削除する(ステップS65)。
【0084】
ステップS64において収納カセットが空でない場合(ステップS64:NO)、またはステップS65で収納時刻を削除した場合、表示制御部64は、ステップS63で更新した在高に基づいて、在高の総和を算出し、
図6に示す操作画面の収納本数表示d1を更新する(ステップS66)。表示制御部64は、ステップS66で算出した在高の総和が、予め定められたニアエンプティ閾値以下であるか否かを判定する(ステップS67)。ニアエンプティ閾値は、棒金収納装置10が保管する棒金が残り少ないことを報知するための閾値である。つまりニアエンプティ閾値は、ゼロより大きい値である。ニアエンプティ閾値は例えば設定情報記憶部65に記憶される。
【0085】
在高の総和がニアエンプティ閾値以下である場合(ステップS67:YES)、表示制御部64は、収納本数表示d1にニアエンプティ状態である旨を示す情報を表示させる(ステップS68)。在高の総和がニアエンプティ閾値以下でない場合(ステップS67:NO)、表示制御部64は、ニアエンプティ状態である旨を示す情報を表示させない。
【0086】
《管理装置》
図12は、第1の実施形態に係る通貨処理システムの構成を示す図である。
第1の実施形態に係る棒金収納装置10は、無線通信によって
図12に示すように管理装置90と連携することができる。すなわち、棒金収納装置10と管理装置90との連携によって通貨処理システム1が構成される。管理装置90は、複数の棒金収納装置10と連携することができる。
【0087】
図13は、第1の実施形態に係る管理装置の構成を示す概略ブロック図である。
管理装置90は、指示入力部91、指示送信部92、情報受信部93、状態記憶部94、状態記録部95、出力部96を備える。
指示入力部91は、棒金収納装置10の管理者から、収納開始指示、払出開始指示および状態提示指示の入力を受け付ける。収納開始指示は、棒金収納装置10に棒金を収納させる指示である。払出開始指示は、棒金収納装置10に棒金を払出させる指示である。状態提示指示は、管理装置90に棒金収納装置10の状態を提示させる指示である。
指示送信部92は、指示入力部91に入力された指示を棒金収納装置10に送信する。
情報受信部93は、棒金収納装置10から情報を受信する。棒金収納装置10から受信する情報には、棒金収納装置10の位置および棒金の在高が含まれる。つまり、情報受信部93は、位置取得部および在高取得部の一例である。
状態記憶部94は、棒金収納装置10の状態を記憶する。例えば、状態記憶部94は、棒金収納装置10の識別情報、棒金収納装置10に収納される棒金の金種、棒金収納装置10が収納する棒金の本数、棒金収納装置10の位置、棒金収納装置10の動作状態、棒金収納装置10の操作中の作業者の識別情報を関連付けて記憶する。
状態記録部95は、情報受信部93が受信した情報に基づいて棒金収納装置10の状態を状態記憶部94に記録する。
出力部96は、管理装置90による計算結果を出力する。
【0088】
《棒金収納装置と管理装置との連携》
図14は、第1の実施形態に係る棒金収納装置と管理装置との連携動作を示すフローチャートである。
図6に示す操作画面において、作業者が連携接続ボタンd6を押下すると、入力部51は、連携開始指示の入力を受け付ける(ステップS121)。これにより、棒金収納装置10は、管理装置90からの指示の受け付けを開始する。
【0089】
管理装置90の入力部51が管理者より収納開始指示または払出開始指示の入力を受け付ける(ステップS122)。指示送信部92は、棒金収納装置10に入力された指示を送信する(ステップS123)。
【0090】
棒金収納装置10は、ステップS121において指示の受付状態となっている場合、管理装置90から指示を受信する(ステップS124)。棒金収納装置10は、受け付けた指示に従って処理を実行する(ステップS125)。すなわち、棒金収納装置10は、受け付けた指示が払出開始指示である場合、
図10に示す払出動作を実行し、受け付けた指示が収納開始指示である場合、
図8に示す収納動作を実行する。なお、管理装置90が指示を送信する時点で、複数の棒金収納装置10が指示の受付状態となっている場合、複数の棒金収納装置10がそれぞれ指示に従った処理を実行する。
【0091】
棒金収納装置10は、処理を終了すると、処理結果を管理装置90に送信する(ステップS126)。処理結果の例としては、警報部63が出力する警報、ニアエンプティまたはニアフルの通知、処理が正常に行われたか否かなどが挙げられる。管理装置90の情報受信部93は、棒金収納装置10から処理結果を受信する(ステップS127)。出力部96は、受信した処理結果をディスプレイなどに出力する(ステップS128)。
【0092】
《状態提示処理》
図15は、第1の実施形態に係る管理装置による棒金収納装置の状態管理動作を示すフローチャートである。
管理装置90の指示入力部91は、管理者から状態提示指示の入力を受け付ける(ステップS141)。指示送信部92は、連携された複数の棒金収納装置10に状態通知指示を送信する(ステップS142)。
【0093】
棒金収納装置10は、管理装置90から状態通知指示を受信すると(ステップS143)、履歴記憶部60が記憶する移動履歴情報、払出履歴情報、および収納履歴情報、ならびに棒金収納装置10の現在の動作状態を特定する(ステップS144)。動作状態は、停止中、移動中、払出中、および収納中の何れかである。棒金収納装置10は、動作状態が停止中であるか否かを判定する(ステップS145)。動作状態が停止中でない場合(ステップS145:NO)、ステップS1で取得した棒金収納装置10を操作している作業者の識別情報を特定する(ステップS146)。
【0094】
棒金収納装置10は、ステップS144およびステップS146で特定した棒金収納装置10の状態を示す状態情報を、管理装置90に送信する(ステップS147)。管理装置90の情報受信部93は、棒金収納装置10から状態情報を受信する(ステップS148)。状態記録部95は、受信した状態情報に基づいて、状態記憶部94が棒金収納装置10の識別情報に関連付けて記憶する状態情報を更新する(ステップS149)。すべての棒金収納装置10から状態情報を受信すると、出力部96は、各棒金収納装置10の状態情報のリストを出力する(ステップS150)。
【0095】
《棒金収納装置の移し替え動作》
棒金収納装置10は、例えば、作業者による操作を受け付けない状態が所定時間継続した場合、一定時間ごとに収納部14内での棒金の移し替え処理を実行することができる。
図16は、第1の実施形態に係る棒金収納装置による移し替え処理を示すフローチャートである。
制御部18の搬送制御部59は、在高記憶部57を参照し、空状態の収納カセット141があるか否かを判定する(ステップS161)。空状態の収納カセット141がある場合(ステップS161:YES)、搬送制御部59は、最下に位置する空状態の収納カセット141を特定する(ステップS162)。
【0096】
次に、搬送制御部59は、ステップS162で特定した空状態の収納カセット141より上方に、棒金が収納された収納カセット141があるか否かを判定する(ステップS163)。空状態の収納カセット141より上方に棒金が収納された収納カセット141がある場合(ステップS163:YES)、搬送制御部59は、収納時刻記憶部55を参照し、空状態の収納カセット141より上方に位置する最も収納時刻が古いものを特定する(ステップS164)。
【0097】
搬送制御部59は、搬送部15に、ステップS164で特定した収納カセット141に収納されたすべての棒金を、ステップS162で特定した空状態の収納カセット141へ搬送する指示を出力する(ステップS165)。収納時刻記録部56は、ステップS162で特定した収納カセット141に係る収納時刻を、ステップS164で特定した収納カセット141に係る収納時刻に書き換え、ステップS164で特定した収納カセット141に係る収納時刻を削除する(ステップS166)。また、在高算出部58は、ステップS162で特定した収納カセット141に係る在高を、ステップS164で特定した収納カセット141に係る在高に書き換え、ステップS164で特定した収納カセット141に係る在高をゼロにする(ステップS167)。
上記処理により、棒金収納装置10は、棒金を上方の収納カセット141から下方の収納カセット141へ移動させることができる。これにより、棒金収納装置10の重心を下げることができ、棒金収納装置10の安定性を向上させることができる。
【0098】
なお、空状態の収納カセット141がない場合(ステップS161:NO)、および空状態の収納カセット141より上方に棒金が収納された収納カセット141がない場合(ステップS163:NO)には、搬送制御部59は棒金の搬送を行わない。
【0099】
〈使用態様〉
ここで、第1の実施形態に係る棒金収納装置10のいくつかの使用態様について説明する。
【0100】
《第1の使用態様》
図17は、棒金収納装置の第1の使用態様に係る構成例である。
第1の使用態様によれば、棒金収納装置10は、複数の硬貨包装機80に、着脱ユニット30を介して接続される。第1の使用態様に係る着脱ユニット30は、並列に並べられた複数の硬貨包装機80の払出口81と、棒金収納装置10の投入口112とを接続するベルトコンベアである。複数の硬貨包装機80は着脱ユニット30の長手方向に並べられ、それぞれ払出口81が着脱ユニット30に向けて配置される。着脱ユニット30のベルトコンベアは、棒金収納装置10の投入口112へ向けてベルトを駆動させる。これにより、棒金収納装置10は、複数の硬貨包装機80が払い出した棒金を、順次収納することができる。
なお、他の使用態様においては、棒金収納装置10は、着脱ユニット30を介して1つの硬貨包装機80に接続されてもよい。
【0101】
《第2の使用態様》
図18は、棒金収納装置の第2の使用態様に係る構成例である。
第2の使用態様によれば、棒金収納装置10は、シュリンクパック装置70に、着脱ユニット30を介して接続される。第2の使用態様に係る着脱ユニット30は、棒金収納装置10の払出口111と、シュリンクパック装置70の作業台とを接続するベルトコンベアである。着脱ユニット30のベルトコンベアは、棒金収納装置10の投入口112から作業台へ向けてベルトを駆動させる。これにより、シュリンクパック装置70は、棒金収納装置10から払い出された複数の棒金を、順次シュリンクパックにまとめることができる。
なお、他の使用態様においては、棒金収納装置10は、釣銭作成装置、棒金箱詰め装置、棒金トレーセットロボットなどの他の処理装置に接続されてもよい。
【0102】
《第3の使用態様》
図19は、棒金収納装置の第3の使用態様に係る構成例である。
第3の使用態様によれば、通貨処理システム1は、複数の棒金収納装置10が着脱ユニット30を介して連結される。第1の使用態様に係る着脱ユニット30は、複数の棒金収納装置10の払出口111を接続するベルトコンベアである。複数の棒金収納装置10は、着脱ユニット30の長手方向に並べられ、それぞれ払出口111が着脱ユニット30に接続される。着脱ユニット30の一端の下方には容器Bが設けられ、着脱ユニット30のベルトコンベアは、容器Bへ向けてベルトを駆動させる。
これにより、作業者は、複数の棒金収納装置10の連携接続ボタンd6を押下した後に、管理装置90に払出開始指示を入力することで、複数の棒金収納装置10から一括で棒金の払出を行うことができる。
【0103】
《第4の使用態様》
図20は、棒金収納装置の第4の使用態様に係る構成例である。
第4の使用態様によれば、2つの棒金収納装置10が互いに対向した状態で、一方の棒金収納装置10(第1の棒金収納装置10−1)の払出口111と他方の棒金収納装置10(第2の棒金収納装置10−2)の投入口112とが着脱ユニット30を介して連結される。第4の使用態様に係る着脱ユニット30は、第1の棒金収納装置10−1の払出口111と第2の棒金収納装置10−2の投入口112を接続するベルトコンベアである。着脱ユニット30のベルトコンベアは、第1の棒金収納装置10−1から第2の棒金収納装置10−2へ向けてベルトを駆動させる。管理装置90は、第1の棒金収納装置10−1および第2の棒金収納装置10−2に指示を出力する。
【0104】
作業者は、第1の棒金収納装置10−1および第2の棒金収納装置10−2の連携接続ボタンd6を押下し、管理装置90から第1の棒金収納装置10−1に払出開始指示を、第2の棒金収納装置10−2に収納開始指示を入力することで、第1の棒金収納装置10−1から第2の棒金収納装置10−2へ棒金を移送することができる。これにより、例えば第1の棒金収納装置10−1が収容する棒金の残量が少ない場合に、第2の棒金収納装置10−2に残りの棒金をすべて移し替えることができる。またこれにより、例えば第1の棒金収納装置10−1が収容する棒金の残量が多い場合に、第2の棒金収納装置10−2に収容する棒金の一部を分配することができる。
【0105】
このとき、管理装置90は、第1の棒金収納装置10−1から受信した処理結果から、払い出した棒金の収納時刻を読み出し、当該収納時刻を第2の棒金収納装置10−2に通知する。第2の棒金収納装置10−2は、棒金を収納した収納カセット141の収納時刻を、管理装置90から受信した収納時刻に書き換える。これにより、第2の棒金収納装置10−2は、棒金の移送後にも、古い順に棒金を払い出すことができる。
【0106】
《作用・効果》
このように、第1の実施形態によれば、棒金収納装置10は、現金通貨を搬送する搬送部15を備える筐体11を移動可能に支持するキャスター12を備える。これにより、筐体11内部の収納部14に収納された棒金は、キャスター12の移動によって運搬される。したがって、棒金収納装置10は、棒金の運搬にあたって作業者の負荷を低減することができる。
【0107】
また、第1の実施形態によれば、棒金収納装置10は、筐体11の位置を特定する位置特定部を備える。これにより、棒金収納装置10は、キャスター12の移動に伴って変化する筐体11の位置を特定することができる。
さらに、第1の実施形態によれば、棒金収納装置10は、特定された位置を含む履歴情報を履歴記憶部60に記憶する。これにより、管理者は、履歴情報を参照することで、棒金収納装置10が不正に移動されていないかを確認することができる。
さらに、第1の実施形態に係る棒金収納装置10は、払出履歴情報および収納履歴情報として、筐体11の位置および在高を記憶する。これにより、管理者は、払出履歴情報および収納履歴情報を参照することで、棒金収納装置10による不正な払出等の処理がなされていないかを確認することができる。
【0108】
また、第1の実施形態によれば、棒金収納装置10は、搬送部15による棒金の搬送がなされたときに、払出履歴情報または収納履歴情報を記録する。これにより、払出履歴情報および収納履歴情報には棒金の投入または払出がなされたときの位置情報が記録され、棒金の搬送がなされていないときの位置情報が含まれない。そのため、管理者は、棒金の搬送処理がなされたときの棒金収納装置10の位置を容易に特定することができる。
【0109】
また、第1の実施形態によれば、棒金収納装置10は、特定された位置に基づいて、棒金の搬送を許可するか否かを決定する。具体的には、棒金収納装置10は、特定された位置が、移動が許可された位置でない場合に、入力部51への入力操作の有無に関わらず、搬送部15による棒金の搬送を禁止する。これにより、棒金収納装置10は、棒金の搬送を予め定められた位置においてのみ許可することができる。したがって、棒金収納装置10は、棒金収納装置10が不正に持ち出されて棒金の払出がなされることを防止することができる。
【0110】
また、第1の実施形態によれば、棒金収納装置10は、特定された位置が、移動が許可された位置でない場合に、警報を発する。これにより、棒金収納装置10は、不正に持ち出されること、および誤った位置に移動されることを防止することができる。
【0111】
また、第1の実施形態によれば、複数の収納カセット141のうち相対的に上方の収納カセット141に収納された棒金を、相対的に下方に位置する収納カセット141へ搬送する。これにより、棒金収納装置10は、棒金収納装置10の重心が相対的に低くなるように、棒金の収納状態を変更することができる。したがって、棒金収納装置10は、棒金収納装置10の移動の際における転倒の可能性を低減することができる。
【0112】
また、第1の実施形態によれば、棒金収納装置10は、複数の収納カセット141ごとに、収納された棒金の収納時刻を記憶し、複数の収納カセット141のうち、収納時刻が最も古い棒金が収納された収納カセット141から、払出口111へ棒金を搬送する。これにより、棒金収納装置10は、棒金が収納された順に棒金の払出を行うことで、棒金の崩壊が生じる可能性を低減することができる。
【0113】
また、第1の実施形態によれば、棒金収納装置10が、開口部に着脱ユニット30が装着されているか否かを検出し、開口部に着脱ユニット30が装着されていない場合に、現金通貨の搬送を禁止する。これにより、棒金収納装置10は、着脱ユニット30の装着がないときに誤って棒金の搬送処理を行うことを防ぐことができる。
【0114】
また、第1の実施形態によれば、棒金収納装置10は、搬送部15による棒金の搬送中に収納カセット141のロックを有効にし、搬送部15による棒金の搬送が終了したときに収納カセット141のロックを無効にする。これにより、棒金収納装置10は、搬送処理中に誤って着脱ユニット30が外されてしまうことを防ぐことができる。
【0115】
また、第1の実施形態によれば、棒金収納装置10は、着脱ユニット30が投入口112に装着されていない場合に、搬送部15による収納処理を禁止し、着脱ユニット30が払出口111に装着されていない場合に、搬送部15による払出処理を禁止する。これにより、棒金収納装置10は、投入口112に着脱ユニット30が装着されていたとしても、払出口111に着脱ユニット30が装着されていなければ棒金の払出を禁止し、払出口111に着脱ユニット30が装着されていたとしても、投入口112に着脱ユニット30が装着されていなければ棒金の投入を禁止することができる。
【0116】
また、第1の実施形態によれば、棒金収納装置10は、作業者の識別情報を取得し、識別情報に基づいて棒金収納装置10の移動および棒金の搬送を許可するか否かを決定する。これにより、棒金収納装置10は、棒金収納装置10の不正な移動および棒金の不正な払出を防ぐことができる。
【0117】
また、第1の実施形態によれば、管理装置90は、複数の棒金収納装置10の位置と棒金の在高とを取得し、在高と位置とを関連付けて記録する。これにより、管理装置90は、複数の棒金収納装置10の所在および在高を容易に確認することができる。
【0118】
一般的に、現金センターでは、精査機で計数されたバラ硬貨を硬貨袋に入れて金庫室で収納し、釣銭が必要なときに作業員が金庫室から硬貨袋を運搬し、硬貨包装機にバラ硬貨を投入して棒金を作成する。このため、バラ硬貨を硬貨袋に入れる手間や、硬貨袋の運搬等の力作業が発生し、作業員の大きな負担となっている。この棒金収納装置10を用いることにより、棒金収納装置10ごと金庫室に収納することが可能になり、一旦硬貨袋に収納する手間を省くことができる。これにより、釣銭作成システム等で棒金が必要なときにすぐに棒金が準備できるようになり、作業員の負担を軽減することが可能になる。
【0119】
〈他の実施形態〉
以上、図面を参照して一実施形態について詳しく説明してきたが、具体的な構成は上述のものに限られることはなく、様々な設計変更等をすることが可能である。例えば、他の実施形態においては、上述の処理の順序が適宜変更されてもよい。また、一部の処理が並列に実行されてもよい。
【0120】
上述の実施形態に係る棒金収納装置10は、同一金種に係る複数の棒金を収納するが、これに限られない。例えば、他の実施形態に係る棒金収納装置10は、2以上の収納部14を備え、収納部14別に異なる金種の棒金を収納してもよい。この場合、投入口112に棒金の金種を検出するセンサを設け、搬送部15は、検出された金種に対応する収納部14へ棒金を搬送する。例えば、例えば、1円および5円用の棒金収納装置10、10円および50円用の棒金収納装置10、100円および500円用の棒金収納装置10を設けることで、3台で6金種を取り扱うことが可能になる。また、1台の棒金収納装置10の収納部14に6金種の収納カセット141を設け、投入口112で検出された金種に対応する収納カセット141へ棒金を搬送するようにしてもよい。
【0121】
上述の実施形態に係る棒金収納装置10は、払出口111と投入口112とを備えるが、これに限られない。例えば、他の実施形態に係る棒金収納装置10は、棒金の投入および払出を行う1つまたは複数の開口部を有するものであってよい。このとき、投入および払出の両方の用途に用いることができる複数の開口部が上下方向に配置されていれば、下方に払出口がある硬貨包装機や、作業台の位置が高いシュリンクパック装置等の他の装置との接続性が向上する。
【0122】
上述の実施形態に係る棒金収納装置10が備えるキャスター12は、作業者が加える力によって受動的に移動するが、これに限られない。例えば、他の実施形態に係る移動部は、ラインやレールの上を走行する自動走行装置など、自律走行するものであってもよい。この場合、管理装置90は、予め棒金収納装置10の位置のスケジュールを組んでおき、棒金収納装置10が当該スケジュールに従って自動的に移動してもよい。
【0123】
上述の実施形態に係る棒金収納装置10は、RFIDチップが記憶する識別情報によって作業者を特定するが、これに限られない。例えば、他の実施形態においては、パスワードの入力や生体認証によって作業者を特定してもよい。
【0124】
上述の実施形態に係る棒金収納装置10は、作業者による操作がなされていないときに自動的に
図16に示す移し替え処理を実行するが、これに限られない。例えば、他の実施形態に係る棒金収納装置10は、棒金の偏りが生じていることを検知したときに、タッチパネル113に移し替え処理の開始ボタンを表示させ、作業者によって移し替え処理の開始ボタンが押下されたときに
図16に示す移し替え処理を実行してもよい。
【0125】
他の実施形態に係る棒金収納装置10は、投入口112に棒金の状態を検出するセンサを設け、投入された棒金の破損等の有無を判定してもよい。棒金収納装置10は、棒金の破損を検出した場合、警報を発し、また搬送部15による搬送を停止する。
【0126】
他の実施形態に係る棒金収納装置10は、投入口112に棒金の金種を検出するセンサを設けてもよい。棒金収納装置10は、予め定められた金種と検出した金種とを比較し、一致していない場合に、警報を発し、また搬送部15による搬送を停止する。
【0127】
他の実施形態においては、複数の棒金収納装置10に着脱ユニット30を接続し、移動時に着脱ユニット30をロックすることで、複数台の棒金収納装置10が同時に移動できるものであってもよい。この場合、着脱ユニット30は、制御部18は、取手13が押され、または引かれたときに、着脱ユニット30をロックし、取手13に力がかかっていないときに着脱ユニット30のロックを外す。また、この場合、棒金収納装置10は、筐体11の側面など、開口部でない部分に着脱ユニット30を接続するための挿入穴21を備えてもよい。
【0128】
上述の実施形態においては、通貨収納装置として棒金を収納する棒金収納装置10について説明したが、これに限られない。例えば、他の実施形態に係る通貨収納装置は、バラの硬貨、結束された紙幣、またはバラの紙幣など、棒金以外の現金通貨を収納するものであってよい。
【0129】
上述の実施形態に係る通貨処理システム1においては、棒金収納装置10が当該棒金収納装置10の位置を特定し、これを管理装置90に送信するが、これに限られない。例えば、他の実施形態に係る管理装置90は、棒金収納装置10からアクセスポイントの情報を受信し、当該情報に基づいて各棒金収納装置10の位置を特定するものであってもよい。また、棒金収納装置10の位置は、フロアを撮像したカメラ映像から特定してもよいし、フロアやゲート等に配置した無線タグを棒金収納装置10に搭載したタグリーダで読み取ることにより特定してもよい。
【0130】
〈コンピュータ構成〉
図21は、少なくとも1つの実施形態に係るコンピュータの構成を示す概略ブロック図である。
コンピュータ900は、プロセッサ901、メインメモリ902、ストレージ903、インタフェース904を備える。
上述の棒金収納装置10の制御部18および管理装置90は、それぞれコンピュータ900に実装される。そして、上述した各処理部の動作は、プログラムの形式でストレージ903に記憶されている。プロセッサ901は、プログラムをストレージ903から読み出してメインメモリ902に展開し、当該プログラムに従って上記処理を実行する。また、プロセッサ901は、プログラムに従って、上述した各記憶部に対応する記憶領域をメインメモリ902に確保する。プロセッサ901の例としては、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphic Processing Unit)、マイクロプロセッサなどが挙げられる。
【0131】
プログラムは、コンピュータ900に発揮させる機能の一部を実現するためのものであってもよい。例えば、プログラムは、ストレージに既に記憶されている他のプログラムとの組み合わせ、または他の装置に実装された他のプログラムとの組み合わせによって機能を発揮させるものであってもよい。なお、他の実施形態においては、コンピュータ900は、上記構成に加えて、または上記構成に代えてPLD(Programmable Logic Device)などのカスタムLSI(Large Scale Integrated Circuit)を備えてもよい。PLDの例としては、PAL(Programmable Array Logic)、GAL(Generic Array Logic)、CPLD(Complex Programmable Logic Device)、FPGA(Field Programmable Gate Array)が挙げられる。この場合、プロセッサ901によって実現される機能の一部または全部が当該集積回路によって実現されてよい。このような集積回路も、プロセッサの一例に含まれる。
【0132】
ストレージ903の例としては、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM(Compact Disc Read Only Memory)、DVD−ROM(Digital Versatile Disc Read Only Memory)、半導体メモリ等が挙げられる。ストレージ903は、コンピュータ900のバスに直接接続された内部メディアであってもよいし、インタフェース904または通信回線を介してコンピュータ900に接続される外部メディアであってもよい。また、このプログラムが通信回線によってコンピュータ900に配信される場合、配信を受けたコンピュータ900が当該プログラムをメインメモリ902に展開し、上記処理を実行してもよい。少なくとも1つの実施形態において、ストレージ903は、一時的でない有形の記憶媒体である。
【0133】
また、当該プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、当該プログラムは、前述した機能をストレージ903に既に記憶されている他のプログラムとの組み合わせで実現するもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。