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特開2020-184274制御装置、制御システム、制御方法及び制御プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-184274(P2020-184274A)
(43)【公開日】2020年11月12日
(54)【発明の名称】制御装置、制御システム、制御方法及び制御プログラム
(51)【国際特許分類】
   G05D 1/02 20200101AFI20201016BHJP
   A61G 5/04 20130101ALI20201016BHJP
【FI】
   G05D1/02 P
   A61G5/04 708
【審査請求】未請求
【請求項の数】21
【出願形態】OL
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2019-89130(P2019-89130)
(22)【出願日】2019年5月9日
(71)【出願人】
【識別番号】517182918
【氏名又は名称】ピクシーダストテクノロジーズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002815
【氏名又は名称】IPTech特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 誠幸
【テーマコード(参考)】
5H301
【Fターム(参考)】
5H301AA01
5H301CC03
5H301CC06
5H301CC10
5H301DD07
5H301DD15
5H301GG07
5H301KK03
5H301KK08
5H301KK18
5H301KK19
(57)【要約】
【課題】施設内を自由に走行する、電動車椅子のような移動体の動作を制御することが可能な制御装置、システム、方法及びプログラムを提供する。
【解決手段】制御システム1の制御装置100は、その機能として、移動体300を移動させる目的位置の入力を受け付ける入力受付部131と、センサ200による検知結果をセンサ200から受信する信号受信部132と、検知結果に基づき、センサ200から移動体300への検出距離を取得して移動体300の位置を特定する位置特定部133と、移動体300の走行速度を算出する速度算出部134と、構造物に対して移動体300が衝突しうる衝突時間を算出する衝突時間算出部135と、移動体300の位置に基づいて、移動体300の動作制御を行う動作制御部136と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の区域を自律走行可能な移動体の動作を制御する制御装置であって、
前記移動体を検出するセンサから、前記移動体を検出したことを示す信号を受信することにより、前記区域内における移動体の位置を特定し、
前記特定した前記移動体の位置に基づいて、前記区域内における移動体の走行を制御する、制御装置。
【請求項2】
前記センサから、前記移動体に衝突しうる対象物を検出したことを示す信号を受信することにより、前記対象物の位置を特定し、
異なる複数の時刻における前記移動体の位置から、前記移動体の速度を算出し、
前記移動体の速度と、前記特定した前記対象物の位置とに基づき、前記対象物に対する前記移動体の相対速度を算出し、
前記相対速度に基づき、前記対象物との衝突を回避するように、前記移動体の走行を制御する、請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記相対速度に基づき、前記移動体と前記対象物とが衝突しうる衝突時刻を算出し、
前記衝突時刻に基づき、前記対象物との衝突を回避するように、前記移動体の走行を制御する、請求項2に記載の制御装置。
【請求項4】
前記対象物は、前記区域に設置された構造物であり、
前記区域における前記構造物の位置を示す構造情報を記憶し、
前記特定した前記移動体の位置と、前記移動体の目的位置との間の経路上に前記構造物が存在する場合、前記構造物との衝突を回避するように、前記移動体の進行方向を変更させる、請求項2または請求項3に記載の制御装置。
【請求項5】
前記構造物は、第1の構造物と、前記第1の構造物とは異なる第2の構造物と、を含み、
前記移動体と前記第1の構造物との間の第1の距離と、前記移動体と前記第2の構造物との間の第2の距離とを異なる距離で前記第1の構造物との衝突及び前記第2の構造物との衝突を回避するように、前記移動体の走行を制御する、請求項4に記載の制御装置。
【請求項6】
前記第1の構造物は、動体であり、
前記第2の構造物は、静体であり、
前記第1の構造物との衝突を回避する際における前記第1の距離は、前記第2の構造物との衝突を回避する際における前記第2の距離より大きい距離である、請求項5に記載の制御装置。
【請求項7】
前記第1の構造物は、前記構造物が一定範囲内で動く動体であり、
前記第1の距離は、前記第1の構造物が動く一定範囲からの距離である、請求項6に記載の制御装置。
【請求項8】
前記対象物は、前記区域内で自由に移動しえる周辺物であり、
前記特定した前記移動体の位置と、前記移動体の目的位置との間の経路上に前記周辺物が存在する場合、前記周辺物との衝突を回避するように前記移動体の走行を制御する、請求項2から請求項7のいずれか1項に記載の制御装置。
【請求項9】
前記周辺物との衝突を回避するように、前記移動体の進行方向または前記移動体の速度を変更する、請求項8に記載の制御装置。
【請求項10】
前記センサから、前記周辺物を検出したことを示す信号を受信することにより、前記周辺物の属性情報を取得し、
前記周辺物の属性情報と前記周辺物の動作特性とを関連付ける周辺物特性情報に基づき、前記周辺物の属性情報から前記周辺物の動作特性を特定し、
前記特定された動作特性に基づいて、前記移動体の走行を制御する、請求項8または請求項9に記載の制御装置。
【請求項11】
前記センサから、前記周辺物を検出したことを示す信号を受信することにより、前記周辺物の動作特性を取得し、
前記周辺物の属性情報と、前記周辺物の動作特性とを関連付けて機械学習を行い、前記周辺物特性情報を生成する、請求項9に記載の制御装置。
【請求項12】
前記センサから、前記周辺物を検出したことを示す信号を受信することにより、前記周辺物の数を特定し、
前記周辺物の数に基づき、前記移動体の速度を変更する、請求項8から請求項11のいずれか1項に記載の制御装置。
【請求項13】
前記区域の所定の範囲内における前記周辺物の数が、所定の閾値以上の場合、前記移動体を減速させる、請求項12に記載の制御装置。
【請求項14】
前記区域の所定の範囲内における前記周辺物の数が、所定の閾値以上の場合、前記移動体の目的位置までの経路を変更する、請求項12または請求項13に記載の制御装置。
【請求項15】
前記区域の所定の範囲内において、前記移動体の速度を変更する制御を行う、請求項1から請求項13のいずれか1項に記載の制御装置。
【請求項16】
前記センサから、複数の前記移動体をそれぞれ検出したことを示す信号を受信することにより、複数の前記移動体の位置を特定し、
前記特定した複数の前記移動体の位置に基づいて、前記移動体の進行方向をそれぞれ変更し、前記移動体同士の衝突を回避するように、複数の前記移動体の走行を制御する、請求項1から請求項15のいずれか1項に記載の制御装置。
【請求項17】
前記センサは、前記移動体までの距離を測定する測距センサにより構成され、
前記移動体までの距離と、前記センサの垂直方向に対する向きの角度と、から前記移動体の水平方向の位置を特定する、請求項1から請求項16のいずれか1項に記載の制御装置。
【請求項18】
前記移動体は、電動車椅子である、請求項1から請求項17のいずれか1項に記載の制御装置。
【請求項19】
所定の区域を自律走行可能な移動体と、前記移動体を検出するセンサと、前記移動体の動作を制御する制御装置と、を備える制御システムであって、
前記センサは、
前記移動体を検知した場合、前記移動体を検出したことを示す信号を送信し、
前記制御装置は、
前記移動体を検出するセンサから、前記移動体を検出したことを示す信号を受信することにより、前記区域内における移動体の位置を特定し、
前記特定した前記移動体の位置に基づいて、前記区域内における移動体の走行を制御する、制御システム。
【請求項20】
移動体を検出するセンサが設置された所定の区域内を、自律走行可能な移動体の動作を制御する制御方法であって、
前記移動体を検出するセンサから、前記移動体を検出したことを示す信号を受信することにより、前記区域内における移動体の位置を特定し、
前記特定した前記移動体の位置に基づいて、前記区域内における移動体の走行を制御する、制御方法。
【請求項21】
移動体を検出するセンサが設置された所定の区域内を、自律走行可能な移動体の動作を制御する制御プログラムであって、
前記移動体を検出したことを示す信号を受信する信号受信ステップと、
前記移動体を検出したことを示す信号に基づき、前記区域内における前記移動体の位置を特定する位置特定ステップと、
前記移動体の位置に基づき、前記区域内における移動体の走行を制御する制御ステップと、を電子計算機に実行させるための、制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、制御装置、制御システム、制御方法及び制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、従来の手動で操作する車椅子に代わり、電動で動作する電動車椅子が普及しつつある。電動車椅子は、ユーザが手元等にある操作部を操作することで車椅子を稼働させるもので、脊椎損傷や筋萎縮性側索硬化症等の患者のような、下肢の運動機能だけではなく、上肢の運動機能にも制限があり、自力で手動の車椅子を動作させることが困難な患者の移動手段として、不可欠なものとなっている。
【0003】
しかしながら、ユーザ自身が操作する電動車椅子の場合、狭い通路でのすれ違い等では、繊細な操作が求められるので、ユーザによる操作で安全を担保するには限界がある。特に、上肢の運動機能に制限があるようなユーザの場合、繊細な操作を行うのは非常に困難である。そのため、例えば下記の特許文献1では、電動車椅子のようにユーザが搭乗して人の操作により走行可能な移動ロボットにおいて、危険が迫っているような緊急時にのみ自動運転が行われる移動ロボットが開示されている。
【0004】
この移動ロボットは、緊急時の判断を行い、緊急時にのみ自動運転を行う。また、緊急時に自動運転が行われると、ユーザが指示した方向と異なる方向に動作することもあり、ユーザは混乱してしまう。そのため、自動運転の移動方向を表示することで、このようなユーザの混乱を防止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2013−086234号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、ユーザの上肢の運動機能に制限があるような場合等のみならず、ユーザ自身が操作しなくても安全に自動運転制御される車椅子を使用することが望ましい。そのため、ユーザを安全に目的位置まで自動運転で移動させる自動運転車椅子が望まれている。しかしながら、ユーザの安全を確保するためには、走行する施設の構造物や周辺物の存在を検出し、これらの情報を総合的に考慮した移動制御が必要になる。
【0007】
そこで、本開示では、所定の区域内を自律走行する移動体の走行の安全性を向上させることができる制御装置、制御システム、制御方法及び制御プログラムについて説明する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の一態様における制御装置は、所定の区域を自律走行可能な移動体の動作を制御する制御装置であって、移動体を検出するセンサから、移動体を検出したことを示す信号を受信することにより、区域内における移動体の位置を特定し、特定した移動体の位置に基づいて、区域内における移動体の走行を制御する。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、所定の区域内を自律走行する移動体の安全性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本開示の一実施形態に係る制御システムを示す機能ブロック構成図である。
図2図1の制御システム1の外観の例を示す模式図である。
図3図1の位置特定部133における移動体300までの距離算出の一例を示す模式図である。
図4図2の移動体300の移動制御の第1の例を模式的に示す平面図である。
図5図2の移動体300の移動制御の第2の例を模式的に示す平面図である。
図6図2の移動体300の移動制御の第3の例を模式的に示す平面図である。
図7図1の制御システム1による移動体300の動作制御を示すフローチャートである。
図8図1の制御システム1による移動体300の回避制御を示すフローチャートである。
図9】本開示の一実施形態に係る制御システムにおける移動体300の移動制御の第4の例を模式的に示す平面図である。
図10】本実施形態の制御システム1による移動体300の回避制御を示すフローチャートである。
図11】本開示の一実施形態に係る制御システムを示す機能ブロック構成図である。
図12】本開示の一実施形態に係る制御システムの外観の例を示す模式図である。
図13】本実施形態の制御システムにおける移動体300の移動制御の第5の例を模式的に示す平面図である。
図14】本開示の一実施形態に係るコンピュータ700の例を示す機能ブロック構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示の実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下に説明する実施形態は、特許請求の範囲に記載された本開示の内容を不当に限定するものではない。また、実施形態に示される構成要素のすべてが、本開示の必須の構成要素であるとは限らない。
【0012】
(実施形態1)
<構成>
図1は、本開示の実施形態1に係る制御システム1を示す機能ブロック構成図である。この制御システム1は、所定の区域、例えば病院や介護施設のような施設内を自律走行する、電動車椅子のような移動体の動作を制御し、自動運転により移動体を目的位置まで移動させるシステムである。
【0013】
制御システム1は、制御装置100と、センサ200と、移動体300と、ネットワークNWとを有している。制御装置100と、センサ200と、移動体300とは、ネットワークNWを介して相互に接続される。
【0014】
ネットワークNWは、通信を行うための通信網であり、限定ではなく例として、ワイヤレスLAN(Wireless LAN:WLAN)、LAN(Local Area Network)、インターネット、イントラネット、WAN(Wide Area Network)、ワイヤレスWAN(Wireless WAN:WWAN)、仮想プライベートネットワーク(Virtual Private Network:VPN)等を含む通信網により構成されている。例えば、制御装置100を移動体300に搭載させる場合、制御装置100と移動体300とは、限定ではなく例として、USB(Universal Serial Bus)ケーブル等の有線により直接接続してもよい。この場合、センサ200は、例えば無線により制御装置100へ信号を送信することとしてもよい。また、例えば、制御装置100を移動体300に搭載しない構成とする場合、センサ200は、有線又は無線により制御装置100へ信号を送信する。
【0015】
制御装置100は、1または複数の移動体300の動作制御を行う装置である。制御装置100は、移動体300の移動先の入力を受け付けることと、センサ200により移動体300を検知した際の検出信号を受信することと、受信した信号により所定の区域内における移動体300の位置を特定することと、特定した移動体300の位置に基づき、所定の区域内における移動体300の走行を制御することとを行う。
【0016】
この制御装置100は、限定ではなく例として、移動体300に搭載させる装置であってもよいし、各種Webサービスを提供するコンピュータ(デスクトップ、ラップトップ、タブレットなど)や、サーバ装置を含む装置等により構成されていてもよい。なお、サーバ装置は単体で動作するサーバ装置に限られず、ネットワークを介して通信を行うことで協調動作する分散型サーバシステムや、クラウドサーバでもよい。
【0017】
センサ200は、限定ではなく例として、対象物、本実施形態では移動体300の方向にパルス状にレーザを発光する、または、可視光を照射することを行い、これら光の照射に対する散乱光を光検出器にて検出する。また、センサ200は、後述する施設の構造物に対しても同様にレーザの発光または可視光の照射を行って検出する。センサ200は、このように一定範囲にわたって光の照射から反射光(散乱光)を検知するまでの時間を計測することで、移動体300までの距離を測定する光走査センサであるとしてもよい。
【0018】
このセンサ200は、測距装置であればどのような装置であってもよく、例えばLIDAR(Light Detection and Ranging)により構成してもよく、レーダ装置等により構成してもよい。また、センサ200は、レーザの発光または可視光の照射方向を可変に構成してもよく、固定であってもよい。以下の実施形態において、LIDARは、3D−LIDARに対して比較的安価な2D−LIDARを使用するものとして説明するが、これに限られない。
【0019】
移動体300は、制御装置100により動作制御され、例えば病院や介護施設のような施設を自律走行する装置であり、限定ではなく例として、病気やケガ等により下肢の運動機能に制限がある患者が移動手段として使用する電動車椅子により構成されている。すなわち、移動体300は、制御装置100の制御により自動運転制御される装置であり、下肢だけではなく、上肢の運動機能にも制限があり、自力で電動車椅子を操作させることが出来ないような者も搭乗することが可能な電動車椅子により構成されている。そのため、移動体300は、アクチュエータ等の駆動装置と、移動体300の前輪を舵制御することにより進行方向を制御する装置等を備えている。なお、移動体300は、センサ200の検知信号に基づき、制御装置100により動作制御されて自動運転制御される装置であればよい。
【0020】
また、本実施形態では移動体300を自動運転制御される電動車椅子として説明するが、限定ではなく例として、所定の区域内、例えば病院や介護施設のような施設内でのみ自動運転制御され、それ以外の場所、例えば屋外ではユーザによって手動操作される電動車椅子により構成されてもよい。
【0021】
図2は、図1の制御システム1の外観の例を示す模式図である。センサ200は、病院や介護施設のような施設内の壁や天井のように、施設内の上方から移動体300を検出しやすい箇所に配置されている。例えば、図2に示すように、施設の建物の壁Wにおける上側に、レーザの発光または可視光の照射を行う先端側を下方に向けて配置されている。センサ200は、病院や介護施設のような施設内のすべての空間を検出することが可能なように、一定間隔で複数配置されている。このセンサ200は、移動体300が施設の床面上を走行するので、照射光Lを移動体300に照射することで、移動体300を検出する。
【0022】
移動体300は、制御装置100の動作制御により、図2に示す現在位置Sから、経路Rを走行して目的位置Gまで移動する。この目的位置Gはユーザ等により、制御装置100、または制御装置100に接続された外部装置(図示は省略)から入力された位置であり、例えば施設のフロアマップが表示され、任意の位置をポイントすることにより決定される。また、経路Rは、制御装置100の動作制御により決定される。
【0023】
なお、制御装置100は、移動体300に搭載されている場合は、例えば移動体300の着座面の下部等に配置され、コンピュータやサーバ装置等により構成されている場合、施設内に設置されてもよく、施設の外部に設置されてもよい。図2では、その図示を省略する。
【0024】
図1に示すように、制御装置100は、通信部110と、記憶部120と、制御部130とを備える。
【0025】
通信部110は、ネットワークNWを介してセンサ200及び移動体300と有線または無線で通信を行うための通信インタフェースであり、互いの通信が実行できるのであればどのような通信プロトコルを用いてもよい。この通信部110は、限定ではなく例として、TCP/IP(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)等の通信プロトコルにより通信が行われる。
【0026】
記憶部120は、各種制御処理や制御部130内の各機能を実行するためのプログラム、入力データ等を記憶するものである。記憶部120は、限定ではなく例として、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等を含むメモリや、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、フラッシュメモリ等を含むストレージから構成される。また、記憶部120は、施設構造情報DB(構造情報)121を記憶する。さらに、記憶部120は、センサ200及び移動体300と通信を行ったデータや、後述する各処理にて生成されたデータを一時的に記憶する。
【0027】
施設構造情報DB121には、制御システム1が設置される、病院や介護施設のような施設の構造物に関する情報が格納されている。具体的には、施設の壁、柱、扉といった建物の間取りの情報、及び施設内に配置されている机、椅子、棚といった各種設備の配置情報が、例えばフロアマップとして格納されている。また、施設構造情報DB121には、施設内においてセンサ200が設置されている位置の情報が、例えばフロアマップ上の座標情報として格納されている。センサ200の位置情報は、後述するように、センサ200で移動体300を検出すると、検出したセンサ200からの水平方向に対する距離が測定されるので、センサ200の位置情報と、そのときのセンサ200の水平方向における照射方向により、移動体300の位置を特定するために使用される。
【0028】
また、施設構造情報DB121には、施設内の扉のように動く構造物(第1の構造物:動体)と、壁や柱のように固定されて動かない構造物(第2の構造物:静体)とが格納されている。さらに、動く構造物の場合、その構造物の動く範囲、及び衝突等のおそれがある一定の範囲が、マージン情報として格納されている。後述するように、移動体300を移動制御する場合、安全に移動させるためには、突然扉が開いたりした場合に衝突するのを回避する必要があるためである。例えば、ドアのように開閉する場合、人の出入りにより突然開いて人が出入りすることがあり、移動体300がドアや出入りする人に衝突するおそれがある。また、引き戸であっても人の出入りにより突然開いて人が出入りすることがあり、出入りする人に衝突するおそれがある。そのため、突然ドアが開いて人が出入りした場合であっても、移動体300を安全に回避させることが出来る範囲が、マージン情報として格納されている。
【0029】
制御部130は、記憶部120に記憶されているプログラムを実行することにより、制御装置100の全体の動作を制御するものである。制御部130は、限定ではなく例として、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、マイクロプロセッサ(Microprocessor)、プロセッサコア(Processor core)、マルチプロセッサ(Multiprocessor)、ASIC(Application-Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)を含む装置等から構成される。制御部130は、制御部130の機能として、入力受付部131と、信号受信部132と、位置特定部133と、速度算出部134と、衝突時間算出部135と、動作制御部136とを備えている。この入力受付部131、信号受信部132、位置特定部133、速度算出部134、衝突時間算出部135、及び動作制御部136は、記憶部120に記憶されているプログラムにより起動されて制御装置100にて実行される。
【0030】
入力受付部131は、病院や介護施設のような施設において、移動体300を移動させる目的位置の入力を受け付ける。限定ではなく例として、制御装置100、または制御装置100に接続されたタブレット端末やスマートフォン等の外部装置に、施設構造情報DB121に格納されている構造物の情報をフロアマップとして表示させる。そして、タブレット端末やスマートフォン等のタッチパネル上でタップさせることで、ユーザが希望する目的位置を入力させる。この入力情報が目的位置の座標情報として、外部装置から送信または制御装置100に入力されるので、入力受付部131で受け付ける。
【0031】
また、例えば入力受付部131では、入力された目的位置が、物理的に移動することが不可能な場合、具体的には異なるフロアであるため電動車椅子で構成されている移動体300では移動不可能な場合や、工事中であるため通行できない場合をチェックし、移動不可能である旨の信号を応答してもよい。
【0032】
信号受信部132は、センサ200による散乱光の検知結果(測距検知信号)を、通信部110を介してセンサ200から受信する。この検知結果は、限定ではなく例として、センサ200の光検出器による画像データを含む。また、センサ200の傾斜角度がセンサ200の動作により可動である場合、傾斜角度もパラメータとしてセンサ200から送信される(または、制御装置100がセンサ200の傾斜角度を設定し、設定した傾斜角度になるようセンサ200を駆動させることとしてもよい)。なお、センサ200は水平方向(ユーザから見て左右方向)に走査されるので、水平方向に可動であり、正面方向に対する走査角度もパラメータとして送信される。すなわち、走査角度は、移動体300を走行させる地面をx軸、y軸により定義される面と見立てた場合に、当該面に対して垂直なz軸(ヨー軸)に基づく角度のパラメータとして定義される。
【0033】
また、信号受信部132は、センサ200の検知結果に対して、送信波位相変調等の信号処理を行う。
【0034】
位置特定部133は、センサ200による検知結果に基づき、センサ200から移動体300への検出距離を取得する。その検出距離と、垂直方向に対するセンサ200の走査方向の角度とから、検出したセンサ200から移動体300への水平方向に対する距離を算出する。この距離と、センサ200の水平方向における照射方向とにより、施設内における移動体300の位置を特定する。
【0035】
図3は、図1の位置特定部133における移動体300までの距離算出の一例を示す模式図である。図3を参照しながら、位置特定部133が、センサ200から移動体300までの距離を算出する処理について説明する。センサ200は、図2に示すように移動体300より上方に配置されているので、移動体300を検知するために水平面に対して下方に傾けて配置されている。図3に示すように、センサ200は、移動体300を走行させる面に対して垂直方向の軸を定義した場合、当該垂直方向に対する走査方向の角度として角度θだけ傾斜して配置されている。
【0036】
例えば、センサ200の下方への傾斜角度が固定である場合、制御装置100の記憶部120にこの傾斜角度の値が既知の値として記憶されている。また、センサ200の傾斜角度が可動である場合、傾斜角度の値は、センサ200から出力され、信号受信部132で取得される(または、制御装置100がセンサ200の傾斜角度を設定し、設定された傾斜角度によりセンサ200が走査を行うこととしてもよい)。センサ200は、移動体300を検出する。信号受信部132は、センサ200から移動体300までの距離D1を示す信号を、センサ200から取得する。これらの値から、水平方向に対するセンサ200から移動体300までの距離がD1sinθと算出できる。
【0037】
また、センサ200が構造物を検出し、センサ200から構造物までの水平方向に対する距離を算出する場合も同様である。なお、後述するように、センサ200が周辺物を検出し、センサ200から周辺物までの水平方向に対する距離を算出する場合も同様である。
【0038】
速度算出部134は、移動体300の走行速度を算出する。位置特定部133では、移動体300の位置特定が複数回(例えば、1秒間に10回)行われる。速度算出部134は、異なる時刻において算出された位置情報の時間変化に基づいて、移動体300の走行速度を算出する。
【0039】
また、速度算出部134は、移動体300が施設内の構造物に向かって走行している場合、その構造物に対する相対速度を算出する。位置特定部133では、移動体300の位置特定と同じタイミングで構造物の位置特定が複数回(例えば、1秒間に10回)行われる。速度算出部134は、異なる時刻において算出された移動体300と構造物との位置情報の時間変化に基づいて、構造物に対する移動体300の相対速度を算出する。
【0040】
衝突時間算出部135は、構造物に対して移動体300が衝突しうる衝突時間を算出する。上記のように位置特定部133では、移動体300の位置特定と構造物の位置特定が行われるので、移動体300と構造物との相対距離が算出される。速度算出部134では、構造物に対する移動体300の相対速度を算出する。衝突時間算出部135は、算出した相対速度と相対距離とから、移動体300がそのまま走行した場合において移動体300と構造物とが衝突するまでの衝突時間を算出する。
【0041】
動作制御部136は、移動体300の位置に基づいて、移動体300の動作制御を行う。入力受付部131では、移動体300を移動させる目的位置の入力が受け付けられる。位置特定部133では、センサ200による検知結果に基づき、移動体300の位置が特定される。動作制御部136は、特定された位置に基づいて、移動体300を目的位置まで移動させる制御が行われる。
【0042】
このとき、動作制御部136は、移動体300を目的位置まで移動させるための経路上に走行の障害となる構造物が存在する場合、その構造物を回避するよう動作制御を行う。例えば、図2に示す現在位置Sから目的位置Gまで移動する経路R上に、施設の壁、柱、扉といった建物の構造物や、施設内に配置されている机、椅子、棚が存在する場合、これらを回避するよう経路Rを変更して移動体300の動作制御を行う。このとき、施設構造情報DB121に格納されている構造物の情報が参照され、動かない構造物の場合はその構造物自体の範囲を、動く構造物の場合はその構造物自体とマージン情報の範囲を回避して走行するよう動作制御される。
【0043】
また、動作制御部136は、衝突時間算出部135で算出された衝突時間に基づき、移動体300の速度制御を行う。例えば、構造物と移動体300とが時間の経過と共に接近している場合、所定の値が衝突時間として算出されるので、電動車椅子駆動部300の進行速度を遅くなるように制御し、または進行速度を0に制御する、すなわち電動車椅子駆動部300を停止することで、周辺物との衝突を回避することが出来る。
【0044】
図4から図6を参照しながら、動作制御部136による移動体300の移動制御の詳細について説明する。図4は、図2の移動体300の移動制御の第1の例を模式的に示す平面図である。図2に示す現在位置S及び目的位置Gと同様に、移動体300は、施設内の壁Wで仕切られた通路T上において、位置特定部133によって現在位置Sに位置している状態で、その現在位置Sが特定される。この移動体300は、入力受付部131で受け付けられた目的位置Gへ移動する。
【0045】
図4に示すように、現在位置Sと目的位置Gとの直線上の経路R1には、壁Wが存在しているため、移動体300を現在位置Sから目的位置Gまで直線的に移動させることは出来ない。この壁Wの位置は、施設構造情報DB121に構造物の情報として格納されている。
【0046】
この壁Wの構造物としての位置情報は、静体(第2の構造物)の情報として施設構造情報DB121に格納されており、座標情報等によりその位置及び範囲が把握できるようになっている。そのため、動作制御部136では、現在位置Sと目的位置Gとの間を直線的に移動させず、壁Wを回避して通行可能な経路R2を採用し、移動体300を現在位置Sから目的位置Gまで移動させる。これにより、移動体300が壁Wに衝突するのを回避して移動させることが出来る。
【0047】
図5は、図2の移動体300の移動制御の第2の例を模式的に示す平面図である。移動体300は、施設内の壁Wで仕切られた通路T上において、位置特定部133によって現在位置Sに位置している状態で、その現在位置Sが特定される。この移動体300は、入力受付部131で受け付けられた目的位置Gへ移動する。
【0048】
図5に示すように、現在位置Sと目的位置Gとの直線上の経路R3には、載置物Oが存在しているため、移動体300を現在位置Sから目的位置Gまで直線的に移動させることは出来ない。この載置物Oの位置は、施設構造情報DB121に構造物の情報として格納されている。
【0049】
この載置物Oの構造物としての位置情報は、静体(第2の構造物)の情報として施設構造情報DB121に格納されており、座標情報等によりその位置及び範囲が把握できるようになっている。そのため、動作制御部136では、現在位置Sと目的位置Gとの間を直線的に移動させず、載置物Oを回避して通行可能な経路R4を採用し、移動体300を現在位置Sから目的位置Gまで移動させる。これにより、移動体300が載置物Oに衝突するのを回避して移動させることが出来る。
【0050】
図6は、図2の移動体300の移動制御の第3の例を模式的に示す平面図であり、ドアDが閉じた状態を示す図(a)、及びドアDが開いた状態を示す図(b)である。移動体300は、施設内の壁Wで仕切られた通路T上において、位置特定部133によって現在位置Sに位置している状態で、その現在位置Sが特定される。この移動体300は、入力受付部131で受け付けられた目的位置Gへ移動する。
【0051】
図6(a)に示すように、現在位置Sと目的位置Gとの直線上の経路R5には、特に構造物は存在していないため、移動体300を現在位置Sから目的位置Gまで直線的に移動させることは可能であるように思われる。しかしながら、図6(b)に示すように、経路R5上の近傍にはドアDが配置されており、ドアDは人の出入りの際に突然開くことが想定される。そのため、ドアDが開いた際にこのドアD及びそのときに出入りする人と衝突するおそれがあるため、移動体300を現在位置Sから目的位置Gまで直線的に移動させることは出来ない。このドアDの位置は、施設構造情報DB121に構造物の情報として格納されている。
【0052】
このドアDの構造物としての位置情報は、動体(第1の構造物)の情報として施設構造情報DB121に格納されており、座標情報等によりその位置、範囲及びマージン情報が把握できるようになっている。そのため、動作制御部136では、現在位置Sと目的位置Gとの間を直線的に移動させず、ドアDが開いた場合に衝突が想定されるマージンの範囲を回避して通行可能な経路R6を採用し、移動体300を現在位置Sから目的位置Gまで移動させる。これにより、移動体300がドアDや出入りする人に衝突するのを回避して移動させることが出来る。
【0053】
<処理の流れ>
まず、図7を参照しながら、制御システム1及び制御装置100が実行する制御方法の一例の処理の流れについて説明する。図7は、図1の制御システム1による移動体300の動作制御を示すフローチャートである。
【0054】
ステップS101の処理として、制御装置100、または制御装置100に接続されたタブレット端末やスマートフォン等の外部装置では、施設構造情報DB121に格納されている、病院や介護施設のような施設における構造物の情報がフロアマップとして表示され、目的位置が入力される。入力受付部131では、制御装置100または外部装置から、施設内において移動体300を移動させる目的位置の入力が受け付けられる。
【0055】
ステップS102の処理として、センサ200は、センサ200が移動体300を検知した検知結果を制御装置100に送信する。制御装置100の信号受信部132では、通信部110を介して当該検知結果が受信される。また、信号受信部132は、必要に応じて送信波位相変調等の信号処理が行われる。信号受信部132では、センサ200から、検知結果を逐次受信してメモリ等に記憶させる。
【0056】
ステップS103の処理として、位置特定部133では、ステップS102で受信されたセンサ200による検知結果に基づき、センサ200から移動体300への検出距離が取得される。位置特定部133では、その検出距離と、垂直方向に対するセンサ200の走査方向の角度とから、検出したセンサ200から移動体300への水平方向に対する距離が算出される。この距離と、センサ200の水平方向における照射方向とにより、施設内における移動体300の位置が特定される。
【0057】
ステップS104の処理として、動作制御部136では、ステップS103で特定された移動体300の位置に基づき、移動体300の動作制御が行われる。移動体300では、ステップS101で入力された目的位置までの移動が開始される。
【0058】
ステップS105の処理として、移動体300が、ステップS101で入力された目的位置まで移動すると、動作制御部136では、移動体300をその位置に停止させ、移動制御が終了される。
【0059】
次に、図8を参照しながら、制御システム1及び制御装置100が実行する構造物の回避制御方法の一例の処理の流れについて説明する。図8は、図1の制御システム1による移動体300の回避制御を示すフローチャートである。
【0060】
ステップS201の処理として、センサ200は、センサ200が構造物を検知した検知結果を制御装置100に送信する。制御装置100の信号受信部132では、通信部110を介して当該検知結果が受信される。また、信号受信部132は、必要に応じて送信波位相変調等の信号処理が行われる。信号受信部132では、センサ200から、検知結果を逐次受信してメモリ等に記憶させる。
【0061】
ステップS202の処理として、位置特定部133では、ステップS201で受信されたセンサ200による検知結果に基づき、センサ200から構造物への検出距離が取得される。位置特定部133では、その検出距離と、垂直方向に対するセンサ200の走査方向の角度とから、検出したセンサ200から構造物への水平方向に対する距離が算出される。この距離と、センサ200の水平方向における照射方向とにより、施設内における構造物の位置が特定される。ステップS103で特定された移動体300の位置と、構造物の位置とから、構造物に対する移動体300の相対距離が算出される。
【0062】
なお、ステップS202で位置特定部133が移動体300と構造物との相対距離を算出することとしている。ここで、センサ200は水平方向(ユーザから見て左右方向)に走査され、この走査角度もパラメータとしてセンサ200から制御装置100に送信される。すなわち、走査角度は、移動体300を走行させる地面をx軸、y軸により定義される面と見立てた場合に、当該面に対して垂直なz軸(ヨー軸)に基づく角度のパラメータ(角度θy)として定義されるものである。よって、位置特定部133は、角度θyの範囲に応じて構造物との相対距離を算出することとしてもよい。
【0063】
すなわち、走査角度θyが角度θy1の場合に周辺物を検知したとすると、制御装置100は、当該角度θy1と対応付けて構造物との相対距離を算出する。この相対距離が時間変化に応じて小さくなる場合、ユーザの視点からは、相対的には、角度θy1の方向から構造物が接近してくるように見えることになる。このように、相対距離がベクトルの成分として表現されることになる。よって、制御装置100は、相対的に当該角度から接近する構造物を回避するように、移動体300を駆動制御して制御システム1を移動制御することができる。
【0064】
ステップS203の処理として、衝突時間算出部135では、ステップS202の相対距離の算出が複数回行われ、異なる時刻における相対距離から、構造物に対する移動体300の相対速度が算出される。衝突時間算出部135では、算出された相対速度と相対距離とから、移動体300がそのまま走行した場合において移動体300と構造物とが衝突するまでの衝突時間が算出される。例えば、時刻t1において相対距離x1メートル、時刻t1より1秒後の時刻t2において相対距離x2メートルであれば、相対速度は(x1−x2)メートル/秒で周辺物に接近していることになる。よって、この場合、時刻t2より{x2/(x1−x2)}秒後に周辺物に衝突するものと推定される。
【0065】
ステップS204の処理として、衝突時間算出部135では、ステップS203で算出された衝突時間が正の値であるか否かが判定される。衝突時間が0より大きい場合にはステップS205の処理が行われ、それ以外の場合には一連の処理が終了される。
【0066】
ステップS205の処理として、動作制御部136では、ステップS203で算出された衝突時間に基づき、移動体300の回避制御が行われる。
【0067】
<効果>
以上のように、本実施形態に係る制御装置、制御システム、及び制御方法は、施設内に移動体を検出するセンサ部が設置され、この施設内において、自律走行する移動体をセンサ部が検出する。センサ部が移動体を検出すると、移動体の位置を特定し、その位置に基づいて移動体の走行を制御する。これにより、自動運転で動作する自動運転車椅子のような移動体を提供することが可能となる。
【0068】
また、センサ部として高価な3D−LIDARのような装置を構成要素としない場合、2D−LIDARのように安価な構成により自動運転で動作する自動運転車椅子のような移動体を提供ことが可能となる。
【0069】
また、構造物に関する情報を記憶し、その情報に基づいて移動体の動作制御が行われるので、移動体を安全に動作制御することが可能になる。
【0070】
さらに、構造物に関する情報として、動く構造物に関する情報と、動かない構造物に関する情報とが記憶される。動く構造物に関する情報の場合、その構造物の動く範囲、及び衝突等のおそれがある一定の範囲に関する情報がマージン情報として記憶される。そのマージン情報に基づいて移動体の動作制御が行われるので、動く構造物が突然移動しても、移動体を安全に動作制御することが可能になる。
【0071】
(実施形態2)
本開示の実施形態2に係る制御システム1は、病院や介護施設のような施設内を自律走行する、電動車椅子のような移動体の動作を制御し、自動運転により移動体を目的位置まで移動させる点において、実施形態1に係る制御システム1と同様であるが、移動体300の周辺物を検出すると、検出した周辺物の位置に基づき、移動体300の走行を制御する点において、実施形態1に係る制御システム1と異なる。ここで、周辺物とは、所定の区域内で自由に移動しえるものであり、具体的には病院や介護施設のような施設の職員や、病院の患者、介護施設の入所者、来訪者といった人、または病院や介護施設で使用される台車、歩行補助具といった物体である。
【0072】
本実施形態における、図1に示すセンサ200は、移動体300の周辺物に対してレーザの発光または可視光の照射を行って検出する。センサ200は、このように一定範囲にわたって光の照射から反射光(散乱光)を検知するまでの時間を計測することで、周辺物までの距離を測定する光走査センサであるとしてもよい。
【0073】
本実施形態における位置特定部133は、センサ200による検知結果に基づき、センサ200から移動体300の周辺物への検出距離を取得する。その検出距離と、垂直方向に対するセンサ200の走査方向の角度とから、検出したセンサ200から周辺物への水平方向に対する距離を算出する。この距離と、センサ200の水平方向における照射方向とにより、施設内における周辺物の位置を特定する。
【0074】
本実施形態における速度算出部134は、移動体300が周辺物に向かって走行している場合、その周辺物に対する相対速度を算出する。具体的には、異なる時刻において算出された移動体300と周辺物との位置情報の時間変化に基づいて、周辺物に対する移動体300の相対速度を算出する。
【0075】
本実施形態における衝突時間算出部135は、周辺物に対して移動体300が衝突しうる衝突時間を算出する。移動体300と周辺物との相対距離が算出され、周辺物に対する移動体300の相対速度が算出されるので、衝突時間算出部135は、算出した相対速度と相対距離とから、移動体300がそのまま走行した場合において移動体300と周辺物とが衝突するまでの衝突時間を算出する。なお、周辺物が移動体300に対して離隔するように動いている場合や、直近の時刻において周辺物が検出されなくなり、このときの相対距離が算出できないような場合には、衝突時間がマイナス値として算出される。この場合、周辺物と制御システム1との衝突のおそれがないことになる。
【0076】
本実施形態における動作制御部136は、移動体300を目的位置まで移動させるための経路上に走行の障害となる周辺物が存在する場合、その周辺物を回避するよう動作制御を行う。その他の構成及び処理の流れについては、実施形態1と同様である。
【0077】
図9は、本開示の実施形態2に係る制御システム1における移動体300の移動制御の第4の例を模式的に示す平面図である。図9に示す移動体300は、施設内の壁Wで仕切られた通路T上において、位置特定部133によって現在位置Sに位置している状態で、その現在位置Sが特定される。この移動体300は、入力受付部131で受け付けられた目的位置Gへ移動する。
【0078】
図9に示すように、現在位置Sと目的位置Gとの直線上の経路R7には、周辺物Hが存在しているため、移動体300を現在位置Sから目的位置Gまで直線的に移動させることは出来ない。そのため、動作制御部136では、現在位置Sと目的位置Gとの間を直線的に移動させず、周辺物Hを回避して通行可能な経路R8を採用し、移動体300を現在位置Sから目的位置Gまで移動させる。これにより、移動体300が周辺物Hに衝突するのを回避して移動させることが出来る。
【0079】
<処理の流れ>
図10を参照しながら、制御システム1及び制御装置100が実行する周辺物の回避制御方法の一例の処理の流れについて説明する。図10は、本開示の実施形態2に係る制御システム1による移動体300の回避制御を示すフローチャートである。なお、移動体300の動作制御については、図7に示すフローチャートと同様である。
【0080】
ステップS301の処理として、センサ200は、センサ200が周辺物を検知した検知結果を制御装置100に送信する。制御装置100の信号受信部132では、通信部110を介して当該検知結果が受信される。また、信号受信部132は、必要に応じて送信波位相変調等の信号処理が行われる。信号受信部132では、センサ200から、検知結果を逐次受信してメモリ等に記憶させる。
【0081】
ステップS302の処理として、位置特定部133では、ステップS301で受信されたセンサ200による検知結果に基づき、センサ200から周辺物への検出距離が取得される。位置特定部133では、その検出距離と、垂直方向に対するセンサ200の走査方向の角度とから、検出したセンサ200から周辺物への水平方向に対する距離が算出される。この距離と、センサ200の水平方向における照射方向とにより、施設内における周辺物の位置が特定される。ステップS103で特定された移動体300の位置と、周辺物の位置とから、周辺物に対する移動体300の相対距離が算出される。
【0082】
ステップS303の処理として、衝突時間算出部135では、ステップS302の相対距離の算出が複数回行われ、異なる時刻における相対距離から、周辺物に対する移動体300の相対速度が算出される。衝突時間算出部135では、算出された相対速度と相対距離とから、移動体300がそのまま走行した場合において移動体300と周辺物とが衝突するまでの衝突時間が算出される。
【0083】
ステップS304の処理として、衝突時間算出部135では、ステップS303で算出された衝突時間が正の値であるか否かが判定される。前述のように、周辺物が制御システム1に対して離隔するように動いている場合のように、周辺物と制御システム1との衝突のおそれがない場合には衝突時間がマイナス値として算出される。よって、衝突時間が正の値である場合に衝突のおそれありと判定される。衝突時間が0より大きい場合にはステップS305の処理が行われ、それ以外の場合には一連の処理が終了される。
【0084】
ステップS305の処理として、動作制御部136では、ステップS303で算出された衝突時間に基づき、移動体300の回避制御が行われる。
【0085】
なお、周辺物を検知した場合に、当該周辺物を検知した走査角度θyが一定時間内に所定量だけ変化することに応答して、移動体300の周囲を周辺物が通過するとみなしてもよい。例えば、移動体300の進行方向を遮ることなく移動体300の左右を周辺物が通過することがあり得る。この場合、制御装置100は、衝突の危険性が小さいものとして、移動体300を駆動することとしてもよい。
【0086】
また、周辺物を検知した場合に、当該周辺物を検知した走査角度θyの時間変化に基づいて、移動体300の進行方向を当該周辺物が横切るか否かを判断することとしてもよい。例えば、移動体300の進行方向を周辺物が横切る場合に、安全性を重視して、衝突時間算出部が算出する衝突時間が比較的大きい場合にも移動体300を減速させる等の制御を行うこととしてもよい。
【0087】
本実施形態によれば、上記実施形態1の効果に加え、センサ部が周辺物を検出すると、周辺物の位置を特定し、その位置に基づいて周辺物を回避するように移動体の走行を制御する。これにより、移動体を安全に動作制御することが可能になる。
【0088】
(実施形態3)
図11は、本開示の実施形態3に係る制御システム1Aを示す機能ブロック構成図である。図11に示す制御システム1Aは、病院や介護施設のような施設内を自律走行する、電動車椅子のような移動体の動作を制御し、自動運転により移動体を目的位置まで移動させる点において、実施形態2に係る制御システム1と同様であるが、記憶部120に記憶する周辺物特性DB(周辺物特性情報)122を備える点において、実施形態1に係る制御システム1と異なる。
【0089】
本実施形態では、センサ200が移動体300の周辺物を検出すると、動作制御部136では、周辺物の属性を取得し、周辺物の属性に基づく動作特性により、移動体300に対して異なる制御を行う例を示している。そのため、周辺物の属性及び動作特性を取得するための周辺物特性DB122を備え、センサ200が検出した周辺物から属性及び動作特性の情報を取得できるようになっている。
【0090】
周辺物特性DB122には、センサ200が検出した周辺物の特徴と、周辺物の属性と、周辺物の動作特性とが紐づけて格納されている。周辺物の特徴は、センサ200の検出結果から得られる特徴量を示す情報であり、周辺物の大きさ、形状、動く場合にはその速度等の情報である。周辺物の属性は、周辺物を動作特性により分類した属性を示す情報であり、病院や介護施設の職員、病院の入院患者等で通常歩行する者、杖を使用する歩行者、来訪者(患者等の家族)、台車等の人以外の物体を示す情報である。周辺物の動作特性は、周辺物をその動作により特徴づけた動作特性の情報であり、例えば、その周辺物自体に電動車椅子が近づいた場合に回避動作を行うことが可能であることを示す「回避可能」、その周辺物自体が回避動作を行う際に時間を要するが回避可能であることを示す「回避時間要」、その周辺物自体が回避動作を行うことが不可能であることを示す「回避不可」といった情報である。
【0091】
本実施形態における動作制御部136は、センサ200が周辺物を検出すると、検知結果の特徴から周辺物特性DB122を読み込み、周辺物の属性及び動作特性を取得する。そして、動作制御部136は、その動作特性に基づいて移動体300の動作制御を行う。例えば、周辺物の属性が病院や介護施設の職員の場合、動作特性は「回避可能」であり、電動車椅子が近づいた場合に回避動作を行うことが可能である。そのため、動作制御部136は、周辺物として検知した場合、一時停止して相手の回避動作を待ち、進行方向が空いたら走行を再開する動作制御を行う。また、周辺物の属性が病院の入院患者等で杖を使用する歩行者の場合、動作特性は「回避時間要」であり、電動車椅子が近づいた場合に回避動作を行う際に時間を要するが回避可能である。そのため、動作制御部136は、周辺物として検知した場合、減速した上で相手が回避動作を行うのを待ち、その回避動作の方向に対向するように進行方向を逆に回避する動作制御を行う。
【0092】
なお、周辺物特性DB122は、センサ200による周辺物の検知結果に基づき、検知結果の特徴から機械学習を行うことで生成してもよい。さらに、制御装置100の機能として、そのような機械学習を行う機械学習部を備えてもよい。その他の構成及び処理の流れについては、実施形態1及び2と同様である。
【0093】
本実施形態によれば、上記実施形態1及び2の効果に加え、センサ部が周辺物を検出すると、周辺物の属性及び動作特性を特定し、その動作特性に基づいて周辺物を回避するように移動体の走行を制御する。これにより、周辺物により異なる制御が可能になるため、移動体をより安全に動作制御することが可能になる。
【0094】
(実施形態4)
図12は、本開示の実施形態4に係る制御システム1Bの外観の例を示す模式図である。図12に示す制御システム1Bは、病院や介護施設のような施設内を自律走行する、電動車椅子のような移動体の動作を制御し、自動運転により移動体を目的位置まで移動させる点において、実施形態1に係る制御システム1と同様であるが、移動体300を複数備え、制御装置100は、複数の移動体300を同時に動作制御する点において、実施形態1に係る制御システム1と異なる。
【0095】
図12に示すように、例えば、制御システム1Bは、2つの移動体300a,300bを備え、センサ200からの照射光Lによりそれぞれ位置を特定しているとする。移動体300a,300bは、それぞれ異なる現在位置Sから、経路Rを走行して目的位置Gまで移動しようとする。このような場合、図12に示すように、2つの経路Rが交差する箇所Pのような箇所が生じることになる。このような箇所Pでは、移動体300aと移動体300bとが衝突するおそれがある。
【0096】
そのため、本実施形態における動作制御部136は、複数の移動体300を目的位置まで移動させるための経路が重なる場合、その重なる箇所を異なる時間に通るように制御したり、互いに回避したりするように動作制御を行う。その他の構成及び処理の流れについては、実施形態1ないし3と同様である。
【0097】
図13は、本開示の実施形態4に係る制御システム1における移動体300の移動制御の第5の例を模式的に示す平面図である。図13に示すように、施設内の壁Wで仕切られた通路T上において、位置特定部133によって2つの移動体300がそれぞれ現在位置S1,S2に位置している状態で、その現在位置Sが特定される。この移動体300は、入力受付部131で受け付けられた目的位置G(図示は省略)へ移動する。
【0098】
図13に示すように、現在位置S1,S2に位置している2つの移動体300は互いに対向しており、そのまま直線的に移動させると互いに衝突するおそれがある。そのため、動作制御部136では、現在位置Sと目的位置Gとの間を直線的に移動させず、2つの移動体300を互いに回避して通行可能な経路R9,R10を採用し、移動体300を現在位置Sから目的位置Gまで移動させる。これにより、複数の移動体300同士が衝突するのを回避して移動させることが出来る。
【0099】
本実施形態によれば、上記実施形態1ないし3の効果に加え、複数の移動体を互いに回避するように移動するように、移動体の走行を制御する。これにより、複数の移動体を同時に動作制御する場合であっても、移動体を安全に動作制御することが可能になる。
【0100】
(実施形態5(プログラム))
図14は、コンピュータ(電子計算機)700の構成の例を示す機能ブロック構成図である。コンピュータ700は、CPU701、主記憶装置702、補助記憶装置703、インタフェース704を備える。
【0101】
ここで、実施形態1ないし4に係る入力受付部131、信号受信部132、位置特定部133、速度算出部134、衝突時間算出部135、及び動作制御部136を構成する各機能を実現するための制御プログラム(車椅子制御プログラム)の詳細について説明する。これらの機能ブロックは、コンピュータ700に実装される。そして、これらの各構成要素の動作は、プログラムの形式で補助記憶装置703に記憶されている。CPU701は、プログラムを補助記憶装置703から読み出して主記憶装置702に展開し、当該プログラムに従って上記処理を実行する。また、CPU701は、プログラムに従って、上述した記憶部に対応する記憶領域を主記憶装置702に確保する。
【0102】
当該プログラムは、具体的には、コンピュータ700において、移動体を検出したことを示す信号を受信する信号受信ステップと、移動体を検出したことを示す信号に基づき、区域内における移動体の位置を特定する位置特定ステップと、移動体の位置に基づき、区域内における移動体の走行を制御する制御ステップと、をコンピュータによって実現する制御プログラムである。
【0103】
なお、補助記憶装置703は、一時的でない有形の媒体の一例である。一時的でない有形の媒体の他の例としては、インタフェース704を介して接続される磁気ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、DVD−ROM、半導体メモリ等が挙げられる。また、このプログラムがネットワークを介してコンピュータ700に配信される場合、配信を受けたコンピュータ700が当該プログラムを主記憶装置702に展開し、上記処理を実行してもよい。
【0104】
また、当該プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、当該プログラムは、前述した機能を補助記憶装置703に既に記憶されている他のプログラムとの組み合わせで実現するもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【0105】
以上、開示に係る実施形態について説明したが、これらはその他の様々な形態で実施することが可能であり、種々の省略、置換および変更を行なって実施することが出来る。これらの実施形態および変形例ならびに省略、置換および変更を行なったものは、特許請求の範囲の技術的範囲とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0106】
1,1A,1B 制御システム、100 制御装置、110 通信部、120 記憶部、121 施設構造情報DB(構造情報)、122 周辺物特性DB(周辺物特性情報)、130 制御部、131 入力受付部、132 信号受信部、133 位置特定部、134 速度算出部、135 衝突時間算出部、136 動作制御部、200 センサ、300 移動体、NW ネットワーク
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