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特開2020-184835住宅用給電システムおよびこれを備えた住宅
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-184835(P2020-184835A)
(43)【公開日】2020年11月12日
(54)【発明の名称】住宅用給電システムおよびこれを備えた住宅
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/00 20060101AFI20201016BHJP
   H02J 7/34 20060101ALI20201016BHJP
   H02H 3/08 20060101ALI20201016BHJP
   H02H 7/00 20060101ALI20201016BHJP
   B60L 55/00 20190101ALI20201016BHJP
   B60L 50/16 20190101ALN20201016BHJP
   B60L 50/60 20190101ALN20201016BHJP
【FI】
   H02J7/00 302B
   H02J7/00 PZHV
   H02J7/34 G
   H02H3/08 R
   H02H7/00 K
   H02H3/08 A
   H02H7/00 B
   B60L55/00
   B60L50/16
   B60L50/60
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2019-88210(P2019-88210)
(22)【出願日】2019年5月8日
(71)【出願人】
【識別番号】519084456
【氏名又は名称】株式会社あかりみらい
(74)【代理人】
【識別番号】100110766
【弁理士】
【氏名又は名称】佐川 慎悟
(74)【代理人】
【識別番号】100133260
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 基子
(74)【代理人】
【識別番号】100165515
【弁理士】
【氏名又は名称】太田 清子
(74)【代理人】
【識別番号】100169340
【弁理士】
【氏名又は名称】川野 陽輔
(74)【代理人】
【識別番号】100195682
【弁理士】
【氏名又は名称】江部 陽子
(74)【代理人】
【識別番号】100206623
【弁理士】
【氏名又は名称】大窪 智行
(72)【発明者】
【氏名】越智 文雄
【テーマコード(参考)】
5G004
5G053
5G503
5H125
【Fターム(参考)】
5G004AA01
5G004BA04
5G004DA01
5G004DA02
5G004DB01
5G004DB02
5G004DC11
5G053AA01
5G053BA01
5G053CA01
5G053EA05
5G053EB05
5G053EC01
5G053EC05
5G053FA05
5G503AA01
5G503BA01
5G503BB01
5G503DA05
5G503EA00
5G503FA06
5G503FA17
5H125AA01
5H125AC12
5H125BC24
5H125FF13
(57)【要約】
【課題】停電等の非常時において自動車の電源から電流を取り出して住宅内の外部電気機器を使用する際に、過電流によって自動車側のヒューズが切れたり、制御装置が破損するのを防止して自動車を守りつつ安心して自動車から電気を供給する。
【解決手段】自動車3の電源コンセント31に着脱可能なコード51を収納したコード収容ボックス5と、外部電気機器4のプラグが着脱可能な複数のコンセント61を有する給電装置6とを有し、給電装置6が、コンセント61で利用できる電流上限値を設定するための電流設定手段62と、コンセント61に流れる電流を検出するための電流検出手段63と、この電流検出手段63によって検出された電流値が電流上限値を超えたことに応じてコンセント61に供給する電源を遮断する電源遮断手段64と、コンセン61トに接続されている外部電気機器4の瞬間的な消費電力の合計を表示する消費電力表示手段65とを有する。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車から電気を供給するための住宅用給電システムであって、
ハイブリッド自動車または電気自動車の電源コンセントに着脱可能な電源プラグを備えているコードを収納したコード収容ボックスと、前記コードと電気的に接続しているとともに外部電気機器のプラグが着脱可能な複数のコンセントを有する給電装置とを有し、
前記給電装置が、
前記コンセントで利用できる電流上限値を設定するための電流設定手段と、
前記コンセントに流れる電流を検出するための電流検出手段と、
この電流検出手段によって検出された電流値が前記電流設定手段によって設定された電流上限値を超えたことに応じて前記コンセントに供給する電源を遮断する電源遮断手段と、
前記コンセントに接続されている外部電気機器の瞬間的な消費電力の合計を表示する消費電力表示手段と
を有する、前記住宅用給電システム。
【請求項2】
前記電流設定手段は、ハイブリット自動車または電気自動車の少なくとも一方で利用可能な電流上限値と、内燃機関エンジンを搭載した自動車で利用可能な電流上限値とに切り替え可能な切替スイッチを有している、請求項1に記載の住宅用給電システム。
【請求項3】
前記電源遮断手段は、前記電流検出手段によって検出された電流値が設定された電流上限値を超えた場合に、前記自動車のヒューズが切れない時間内に供給する電源を遮断する電子ブレーカーとして構成されている、請求項1または請求項2に記載の住宅用給電システム。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれかに記載の住宅用給電システムを備えた住宅であって、前記コード収容ボックスを設置したガレージと、前記給電装置のコンセントおよび前記消費電力表示手段を壁面に設置した居住空間とを有する、前記住宅。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車から電気を供給するための住宅用給電システムおよびこれを備えた住宅に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、携帯電話やスマートフォンの充電をするために自動車のシガーソケットから電源を取ることがある。この場合、一般的な普通自動車では電圧が12Vであって電流が10Aだと120Wの電力出力が限界である。従って、この程度の電圧と電力だと大きな電力を必要とする電気機器には使用できない。
【0003】
そこで、近年、一般的な普通自動車でも電気機器が使用できる例えば100V電圧の電源が搭載され始めており、特に電気自動車やハイブリッド自動車では15A(1500W)まで使用できる電源が搭載されている。
【0004】
ところで、近年、電気機器を使用することができる蓄電池を備えた住宅が普及し始めている。また、このような住宅用の蓄電池として、自動車に搭載された蓄電池(車載バッテリー)を用いた発明が提案されている。例えば、特開2017−46485号公報では、車両が接続された状態で車載蓄電池の蓄電電力を外部電気機器へ供給可能な給電手段を備えた建物の給電システムが提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2017−46485号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載された発明においては、仮に前記外部電気機器の消費電力が電気自動車やハイブリッド自動車の制限出力値を超えてしまうと車両のヒューズが切れてしまったり、制御機器に悪影響を及ぼしてしまうおそれがある。
【0007】
本発明は、以上のような問題点を解決するためになされたものであって、停電等の非常時において自動車の電源から電流を取り出して住宅内の外部電気機器を使用する際に、過電流によって自動車側のヒューズが切れたり、制御装置が破損するのを防止して自動車を守りつつ安心して自動車から電気を供給することのできる、住宅用給電システムおよびこれを備えた住宅を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る住宅用給電システムは、自動車の電源コンセントから電流を取り出して外部電気機器を使用する場合に、自動車側のヒューズが切れたり、制御装置が悪影響を受けたりしないようにすべく、給電している外部電気機器の消費電力の合計値を表示してコンセントに接続可能な外部電気機器を簡単に判別できるようにするという課題を解決するために、自動車から電気を供給するための住宅用給電システムであって、ハイブリッド自動車または電気自動車の電源コンセントに着脱可能な電源プラグを備えているコードを収納したコード収容ボックスと、前記コードと電気的に接続しているとともに外部電気機器のプラグが着脱可能な複数のコンセントを有する給電装置とを有し、前記給電装置が、前記コンセントで利用できる電流上限値を設定するための電流設定手段と、前記コンセントに流れる電流を検出するための電流検出手段と、この電流検出手段によって検出された電流値が前記電流設定手段によって設定された電流上限値を超えたことに応じて前記コンセントに供給する電源を遮断する電源遮断手段と、前記コンセントに接続されている外部電気機器の瞬間的な消費電力の合計を表示する消費電力表示手段とを有する。
【0009】
また、本発明の一態様として、電気自動車またはハイブリット車等の電動車両と内燃機関エンジン搭載の自動車との出力可能な瞬間的な消費電力量に応じて自動車側のヒューズが切れたり、制御装置が悪影響を受けないように、設定電流を切り替えるという課題を解決するために、前記電流設定手段は、ハイブリット自動車または電気自動車の少なくとも一方で利用可能な電流上限値と、内燃機関エンジンを搭載した自動車で利用可能な電流上限値とに切り替え可能な切替スイッチを有していてもよい。
【0010】
さらに、本発明の一態様として、コンセントに接続された外部電気機器の合計の電流値が電流上限値を越えた場合に、自動車側のヒューズの切断や制御装置の故障を確実に防止するという課題を解決するために、前記電源遮断手段は、前記電流検出手段によって検出された電流値が設定された電流上限値を超えた場合に、前記自動車のヒューズが切れない時間内に供給する電源を遮断する電子ブレーカーとして構成されていてもよい。
【0011】
本発明に係る住宅は、自動車の電源コンセントから電流を取り出して外部電気機器を使用する場合に、自動車側のヒューズが切れたり、制御装置が悪影響を受けないように、消費電力を表示させてコンセントに接続可能な外部電気機器の判別を容易にするという課題を解決するために、前記住宅用給電システムを備えた住宅であって、前記コード収容ボックスを設置したガレージと、前記給電装置のコンセントおよび前記消費電力表示手段を壁面に設置した居住空間とを有する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、停電等の非常時において自動車の電源から電流を取り出して住宅内の外部電気機器を使用する際に、過電流によって自動車側のヒューズが切れたり、制御装置が破損するのを防止して自動車を守りつつ安心して自動車から電気を供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明に係る住宅用給電システムを備えた住宅の一実施形態を示す斜視図である。
図2】本実施形態の住宅用給電システムの各構成を示すブロック図である。
図3】本実施形態の給電装置収納ボックスを示す正面図である。
図4】本実施形態における給電装置の回路図である。
図5】本実施形態における電源検出回路の一部を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係る住宅用給電システムおよびこれを備えた住宅の一実施形態について図面を用いて説明する。
【0015】
本実施形態の住宅1は、図1に示すように、住宅用給電システム2を備えた一般的な住宅であって、少なくとも自動車3を駐車するためのガレージ11と、居住者が生活を行う居住空間12とを有する。
【0016】
ガレージ11は、主に、自動車3を駐車するための建物またはスペースであり、本実施形態では、図1に示すように、周囲を壁やシャッターなどで囲われた住宅1の一室として構成されている。なお、ガレージ11は、住宅1の一室として構成されるものに限定されるものではなく、一部の壁を有さず、建物外に対し開放されたオープンスペースとして構成されていてもよい。
【0017】
居住空間12は、居住者が生活を行う空間であって、例えば、リビング、ダイニング、寝室、浴室、トイレ、玄関、廊下などが例示される。外部電気機器4は、主に、居住空間12に配置されており、例えば、照明器具、テレビ、パーソナルコンピュータ、冷蔵庫、炊飯器、暖房器具、充電器、ドライヤーなどが例示されるが、これらに限定されるものではない。
【0018】
また、本実施形態の住宅用給電システム2は、図1および図2に示すように、主として、ガレージ11に設置されるコード収納ボックス5と、このコード収納ボックス5に収納されたコード51と電気的に接続しているとともに外部電気機器4のプラグが着脱可能なコンセント61を有する給電装置6と、この給電装置6を収納する給電装置収納ボックス7とを有する。
【0019】
コード収納ボックス5は、ハイブリッド自動車または電気自動車、または内燃機関エンジン搭載の自動車の電源コンセント31に着脱可能な電源プラグ511を備えているコード51を収納している。本実施形態におけるコード収納ボックス5は、開閉自在な蓋を有しておりガレージ11の壁面111に設置されている。
【0020】
コード51は、自動車3の電源コンセント31に着脱可能な長さを有しており、引き出しやすいように巻回されてまとめられボックス内にコンパクトに収納されている。一端側には、自動車3の電源コンセント31に着脱可能な電源プラグ511が備え付けられている。また、他端側は、給電装置6に電気的に接続されている。
【0021】
なお、コード収納ボックス5の設置場所は、ガレージ11の壁面111に限定されるものではなく、例えば、ガレージ11の床面や天井等に設置してもよく、壁面111や床面等に埋設させていてもよい。また、コード51は、リールなどによって巻き取り可能に構成されていてもよい。
【0022】
給電装置6は、コード収納ボックス5に収納されているコード51と電気的に接続しているとともに外部電気機器4のプラグが着脱可能なコンセント61を有するものであり、本実施形態では、コンセント61に差して利用できる電流上限値を設定するための電流設定手段62と、前記コンセント61に流れる電流を検出するための電流検出手段63と、前記電流検出手段63によって検出された電流値が前記電流設定手段62によって設定された電流上限値を超えたことに応じて前記コンセント61に供給する電源を遮断する電源遮断手段64と、前記コンセント61に接続されている外部電気機器4の瞬間的な消費電力の合計を表示する消費電力表示手段65とを有する。
【0023】
給電装置6は、居住空間12の壁面121に設置されている。図1において給電装置6は、開閉自在な蓋を備えた給電装置収納ボックス7に収納されているが、壁面121に埋設すると生活の邪魔にならずより好ましい。また、本実施形態におけるコンセント61は、図3に示すように、2口設けられている。なお、コンセント61の口数は2口に限定されるものではなく1口や3口以上であってもよい。
【0024】
電流設定手段62は、コンセント61で利用できる電流上限値を設定するためのものであり、本実施形態では、図3に示すように、電流上限値を切り替える切替スイッチ621と、設定した電流以上使用すると通電のみ停止してランプを点灯させるための通電停止表示ランプ622と、通電停止状態を音で知らせるブザー623と、電源遮断手段64が遮断した状態を復帰させるためのリセットスイッチ624とを有する。切替スイッチ621は、ハイブリット自動車または電気自動車の少なくとも一方で利用可能な電流上限値(例えば、15A)と、内燃機関エンジンを搭載した自動車で利用可能な電流上限値(例えば、1A)との2つの電流上限値を任意に切り替えられるように構成されている。具体的には、電流設定手段62は、後述する可変抵抗器632や抵抗器633を切り替えることにより、コンセント61への電源供給を遮断するための電流を設定し、あるいは抵抗値を切り替えられるようになっている。また、切替スイッチ621の一例としては、図2に示すように、スライド式の切替スイッチ621が挙げられるが、この構成に限定されることはなく、トグルスイッチ等でもよい。スライドスイッチは平面的な形状であるため誤操作しにくいメリットがあり、トグルスイッチは切り替え操作が明確であって操作しやすいメリットがある。
【0025】
また、本実施形態の電流設定手段62では、定格電圧が単相125V、定格電流8Aに設定されており、設定範囲が15Aまたは1Aに可変可能である。つまり、前記切替スイッチ621では、ハイブリット自動車または電気自動車で利用可能な電流上限値として15A(1500W)が設定されているとともに、内燃機関エンジン搭載の自動車に利用可能な電流上限値としては1A(100W)が設定されている。なお、電流上限値は、これらの数値に限定されるものではなく、必要に応じて適宜電流上限値を変更して設定してもよい。また、これら以外の自動車3の使用可能な上限電力値に応じて電流上限値が設定できるように切替スイッチ621の選択肢を3つ以上に増設してもよい。
【0026】
電流検出手段63は、コンセント61に流れる電流を検出するものである。本実施形態では、2口のコンセント61が設けられているので、これらが外部電気機器4に接続されている場合には、2つの電流値を合計した総電流値が検出されるようになっている。
【0027】
電源遮断手段64は、電流検出手段63により検出された電流値が電流設定手段62によって設定された電流上限値を超えたことに応じてコンセント61に供給する電源を遮断するものである。このために電源遮断手段64は、設定された電流上限値と検出された電流値とを比較する比較部を備えているとともに、検出された電流値が設定された電流上限値を超えたことが判別されたことに応じてコンセント61への電流供給を遮断するリレー641を備えている。また、電源遮断手段64の動作時間は、電源を供給している自動車3のヒューズが遮断しない時間内に設定されており、本実施形態では0.5〜0.9秒に設定されている。なお、本実施形態の電流検出手段63および電源遮断手段64はいわゆる電子ブレーカーにより構成されている。
【0028】
消費電力表示手段65は、コンセント61に接続されている外部電気機器4の瞬間的な消費電力の合計を表示するものである。つまり、コンセント61に接続した外部電気機器4の合計の消費電力をリアルタイムで表示することにより、消費電力が設定された電流上限値を超えないように接続可能な外部電気機器4を簡単に判別するためのものである。本実施形態における消費電力表示手段65は、コンセント61に接続されている外部電気機器4の瞬間的な消費電力を計測できる消費電力計651と、この消費電力計651により計測された消費電力を表示するモニター652とを有する。
【0029】
本実施形態におけるモニター652は、液晶画面により構成されているが、特に限定されるものではなく、デジタル・アナログ問わず各種の表示手段を用いることができる。また、本実施形態では、モニター652に消費電力計651により計測された消費電力値を表示させているが、例えば、設定された電流上限値に基づく最大の消費電力から計測された消費電力を減算して、最大の消費電力に対して使用することのできる残りの消費電力を表示させるようにしてもよい。
【0030】
次に、本発明の一実施形態で使用されている回路図について説明する。図3に示すように、電源入力端子10には、コード51が接続され、このコード51から交流電源が漏洩遮断器8を介してコンセント61に供給される。この経路の一方には、変流器9が挿入されていて、コンセント61に流れる電流が検出される。また、経路の他方にはリレー接点641が挿入されている。このリレー接点641は変流器9で検出された電流が所定の値以上になると開かれ、コンセント61に供給されている交流電源が遮断される。
【0031】
さらに、コード51から供給された交流電源は電流検出回路631にも供給される。電流検出回路631に関連して、電源表示ランプ625と、通電停止表示ランプ622と、ブザー623と、リセットスイッチ624と、リレーコイル626とが接続されている。なお、電流検出回路631は、詳細は説明しないが例えば特開2001−143537号に記載の公知技術により実現される。この場合、交流電圧が図示しない整流ダイオードおよび平滑回路によって整流、平滑化されて直流電圧となり、定電圧ダイオードによって定電圧化される。そして、定電圧化された直流電圧は図5に示すような可変抵抗器632と抵抗器633の直列回路に与えられ、可変抵抗器632との接続点から基準電圧が取り出されて切替抵抗器634a,634bを通り、図示しないコンパレータの基準入力端に与えられる。可変抵抗器632は設定可能な電流の上限値を決定するためのものである。前記可変抵抗器632によって基準電圧が変化する。また、切替抵抗器634a,634bはコンセント61への電源供給を遮断するための電流を設定するものであり、切替スイッチ621を切り替えることによって抵抗値を変えるようになっている。抵抗器633は設定可能な電流の下限値を決定するものである。
【0032】
また、消費電力表示手段65の消費電力計651は、図3に示すように、電流検出回路631に接続されており、前記電流検出回路631により検出された電流値に対し、定格電圧値(100V)を掛け算することで消費電力を算出する。そして、モニター652は消費電力計651により算出された消費電力値を表示する。
【0033】
つぎに、本実施形態の住宅用給電システム2およびこれを備えた住宅1の作用について説明する。
【0034】
まず自動車3から電源を取りたい状況が発生した場合、例えば停電時や災害による非常時の場合、ガレージ11に駐車している自動車3の電源コンセント31に、コード収納ボックス5から取り出したコード51の電源プラグ511を接続する。
【0035】
給電装置6側では、電源を取る自動車3の種類に応じて電流設定手段62の切替スイッチ621を切り替えることにより使用可能な電流上限値を設定する。例えば、電気自動車またはハイブリット自動車の場合であって100V、15A(1500W)対応の電源コンセント31を備えた自動車の場合には、切替スイッチ621により15Aに設定する。一方、そのような大きな容量のない普通自動車の100V、1A(100W)対応の電源コンセント31の場合には、切替スイッチ621により1Aに設定する。そして、使用したい外部電気機器4をコンセント61に接続して電源をオンにすれば使用を開始できる。
【0036】
外部電気機器4を使用している間、消費電力表示手段65のモニター652には、コンセント61に接続されている外部電気機器4の瞬間的な消費電力の合計が表示される。例えば、図2に示す、一方のコンセント61に外部電気機器4aのみが接続されている場合には、モニター652に「60W」と表示される。ここで、他方のコンセント61に外部電気機器4bを接続すると、その消費電力の合計である「1260W」が表示される。切替スイッチ621により電流上限値が15A(1500W)に設定されている場合には、消費電力の合計(使用電流値)は設定された電流上限値を超えていないため、ユーザは安心して使用を継続することができる。一方、切替スイッチ621により電流上限値が1A(100W)に設定されている場合には、消費電力の合計(使用電流値)は設定された電流上限値を超えている。よって、このまま使用すると電源遮断手段64により電源が遮断される。そこで、ユーザは、接続した外部電気機器4bのプラグをコンセント61から抜き、消費電力の合計(使用電流値)が設定された電流上限値を超えないようにする。
【0037】
このように、ユーザは、コンセント61に接続する外部電気機器4の数をモニター652を確認しながら増やすことで、残りの消費電力値の目安を知ることができ、設定された電流上限値に基づく最大の消費電力を超える外部電気機器4の使用を回避することができる。
【0038】
なお、本実施形態のコンセント61は、2口にそれぞれ外部電気機器4を接続することができるが、前記コンセント61にいわゆるタップを接続して、接続可能な外部電気機器4を増やすこともできる。
【0039】
また、仮に消費電力が設定された電流上限値に基づく最大の消費電力を超えた場合には、電流検出手段63がコンセント61に接続されている外部電気機器4の消費電力の合計(使用電流値)を検出するとともに、電源遮断手段64が、検出された消費電力の合計(使用電流値)と、設定された電流上限値と比較し、当該使用電流値が前記電流上限値を超えた場合にはリレー接点641を開いてコンセント61に供給されている交流電源を遮断する。これにより自動車3側のヒューズが切れることを防止することができる。交流電源が遮断された場合には、通電停止表示ランプ622が点灯するとともに、ブザー623が鳴りユーザに警告する。ユーザは遮断状況を確認した場合、使用電流値が電流上限値以下になるようにコンセント61に接続される外部電気機器4を減らし、電流設定手段62のリセットスイッチ624を押すことで再び自動車3からコンセント61に接続された各外部電気機器4へ給電可能な状態に復帰させる。
【0040】
以上のような本実施形態の住宅用給電システム2およびこれを備えた住宅1によれば、以下の効果を奏することができる。
1.停電時や災害時の緊急事態において、ガレージ11に駐車している自動車3から電気を取り出すことができるため、実質的に停電しない住宅1を提供することができる。
2.自動車3の電源から電流を取り出して外部電気機器4を使用する際に、使用されている消費電力の合計を表示されるため、コンセント61に接続できる外部電気機器4の使用電流値を知ることができ、外部電気機器4の取捨選択が容易になり、安心して電気を使うことができる。
3.仮に消費電力が電流上限値を超えた場合であっても、コンセント61に供給されている交流電源が自動的に遮断されるため、過電流によって自動車3側のヒューズが切れたり、制御装置が破損するのを防止して自動車3を守ることができる。
4.電気自動車またはハイブリット自動車と、内燃機関エンジン搭載の自動車との異なる車種に対して対応することができる。
5.電流上限値の切替スイッチ621をシンプルな二択に限定しているため誤操作が起こりにくく、より安全に利用することができる。
【0041】
なお、本発明に係る住宅用給電システムおよびこれを備えた住宅は、前述した実施形態に限定されるものではなく、適宜変更することができる。例えば、給電装置6の電流設定手段62、電流検出手段63、電源遮断手段64は、電気的に繋がっていればシステム上、設置場所を限定する必要がなく、住宅1のどこに設置してもよい。例えば、コード収納ボックス5側に配置してもよいし、コード収納ボックス5および給電装置収納ボックス7とは異なる場所に設置してもよい。
【符号の説明】
【0042】
1 住宅
2 住宅用給電システム
3 自動車
4,4a,4b 外部電気機器
5 コード収納ボックス
6 給電装置
7 給電装置収納ボックス
8 漏洩遮断器
9 変流器
10 電源入力端子
11 ガレージ
12 居住空間
31 自動車の電源コンセント
51 コード
61 コンセント
62 電流設定手段
63 電流検出手段
64 電源遮断手段
65 消費電力表示手段
111 ガレージの壁面
121 居住空間の壁面
511 電源プラグ
621 切替スイッチ
622 通電停止表示ランプ
623 ブザー
624 リセットスイッチ
625 電源表示ランプ
626 リレーコイル
631 電流検出回路
632 可変抵抗器
633 抵抗器
634a,634b 切替抵抗器
641 リレー接点
651 消費電力計
652 モニター
図1
図2
図3
図4
図5