【解決手段】電動モータにより遮蔽部材を移動させることにより遮蔽部材の開閉を制御する日射遮蔽装置の制御装置であって、遮蔽部材の位置情報を検出する位置情報検出部と、位置情報検出部が取得した位置情報に基づいて遮蔽部材の移動速度を算出する速度算出部と、電動モータの動作を制御するモータ制御部と、速度算出部が取得した移動速度に基づいて遮蔽部材の平均移動速度を算出する平均速度算出部と、移動速度と平均移動速度とに基づいて、電動モータの負荷を示す負荷判定情報を生成する負荷判定部と、を備え、モータ制御部は、速度算出部が算出した移動速度と予め定められた遮蔽部材の目標速度とに基づいて前記電動モータの回転速度を制御し、負荷判定部が生成した負荷判定情報に基づいて前記電動モータを停止する。
前記負荷判定部は、前記移動速度が前記平均移動速度を超える場合に前記負荷判定情報を生成し、前記移動速度が前記平均移動速度未満の場合に前記負荷判定情報を生成しない、
請求項1に記載の日射遮蔽装置の制御装置。
前記負荷判定部は、前記移動速度と前記平均移動速度との差と前記差に応じて算出される閾値とを比較して、前記差が閾値以上である場合に前記負荷判定情報を生成し、前記差が閾値未満の場合に前記負荷判定情報を生成しない、
請求項1または2に記載の日射遮蔽装置の制御装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述した電動開閉カーテンを含めた従来の日射遮蔽装置では、フィードバック制御により、モータの回転が低下するとそれに応じてモータの出力のデューティー比を増加させていた。また、従来の日射遮蔽装置では、何らかの要因で遮蔽部材が停止するようなモータに過負荷が生じた場合であっても、モータの出力を一定時間増加させた後に、モータが過負荷状態であると判定し、モータの出力を一定時間遮断していた。
【0005】
しかしながら、従来の日射遮蔽装置では、上述のようにモータの過負荷を検知するまでに時間を要していたため、その間に装置の電源容量を超過する電流が流れてしまい、制御部がシャットダウンしてしまうなどの不具合が発生してしまうことがあった。また、従来の日射遮蔽装置では、モータが停止するまでの間に、カーテンレールのランナー、ブラインド、ローマンシェードの昇降コードなどの部品に支障をきたすことも考えられた。
【0006】
本発明は、上記の課題に鑑みなされたものであり、その目的は、モータの過負荷検出の精度を向上することができる、日射遮蔽装置の制御装置、日射遮蔽装置の制御方法、及び日射遮蔽装置の制御プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明は、電動モータにより遮蔽部材を移動させることにより前記遮蔽部材の開閉を制御する日射遮蔽装置の制御装置であって、前記遮蔽部材の位置情報を検出する位置情報検出部と、前記位置情報検出部が取得した前記位置情報に基づいて前記遮蔽部材の移動速度を算出する速度算出部と、前記電動モータの動作を制御するモータ制御部と、前記速度算出部が取得した前記移動速度に基づいて前記遮蔽部材の平均移動速度を算出する平均速度算出部と、前記移動速度と前記平均移動速度とに基づいて、前記電動モータの負荷を示す負荷判定情報を生成する負荷判定部と、を備え、前記モータ制御部は、前記速度算出部が算出した前記移動速度と予め定められた前記遮蔽部材の目標速度とに基づいて前記電動モータの回転速度を制御し、前記負荷判定部が生成した前記負荷判定情報に基づいて前記電動モータを停止する。
【0008】
本発明において、前記負荷判定部は、前記移動速度が前記平均移動速度を超える場合に前記負荷判定情報を生成し、前記移動速度が前記平均移動速度未満の場合に前記負荷判定情報を生成しない。
【0009】
本発明において、前記負荷判定部は、前記移動速度と前記平均移動速度との差と前記差に応じて算出される閾値とを比較して、前記差が閾値以上である場合に前記負荷判定情報を生成し、前記差が閾値未満の場合に前記負荷判定情報を生成しない。
【0010】
本発明において、前記モータ制御部は、PWM制御により前記電動モータの出力を制御し、前記閾値は、前記平均移動速度と前記電動モータの出力のデューティー比とに基づいて定められる値である。
【0011】
本発明において、前記モータ制御部は、前記負荷判定部が生成した前記負荷判定情報の数が所定の数に達した場合に、前記電動モータを停止する。
【0012】
本発明において、前記モータ制御部は、前記位置情報検出部が取得した前記位置情報に基づいて前記電動モータを停止する。
【0013】
上記目的を達成するために、本発明は、電動モータにより遮蔽部材を移動させることにより前記遮蔽部材の開閉を制御する日射遮蔽装置の制御方法であって、前記遮蔽部材の位置情報を検出するステップと、前記位置情報に基づいて前記遮蔽部材の移動速度を算出するステップと、前記電動モータの動作を制御するステップと、前記移動速度に基づいて前記遮蔽部材の平均移動速度を算出するステップと、前記移動速度と前記平均移動速度とに基づいて、前記電動モータの負荷を示す負荷判定情報を生成するステップと、を実行し、前記電動モータの動作を制御するステップでは、前記移動速度と予め定められた前記遮蔽部材の目標速度とに基づいて前記電動モータの回転速度を制御し、前記負荷判定情報に基づいて前記電動モータを停止する。
【0014】
上記目的を達成するために、本発明は、電動モータにより遮蔽部材を移動させることにより前記遮蔽部材の開閉を制御する、コンピュータにより実行可能な日射遮蔽装置の制御プログラムであって、前記コンピュータに、前記遮蔽部材の位置情報を検出するステップと、前記位置情報に基づいて前記遮蔽部材の移動速度を算出するステップと、前記電動モータの動作を制御するステップと、前記移動速度に基づいて前記遮蔽部材の平均移動速度を算出するステップと、前記移動速度と前記平均移動速度とに基づいて、前記電動モータの負荷を示す負荷判定情報を生成するステップと、を実行させ、前記電動モータの動作を制御するステップでは、前記移動速度と予め定められた前記遮蔽部材の目標速度とに基づいて前記電動モータの回転速度を制御し、前記負荷判定情報に基づいて前記電動モータを停止する。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、モータの過負荷検出の精度を向上することができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係る日射遮蔽装置の制御装置、日射遮蔽装置の制御方法、及び日射遮蔽装置の制御プログラムの実施の形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。以下の説明において、カーテン材などの遮蔽部材により日射を遮蔽する日射遮蔽装置の一例である電動開閉カーテン(以下、「電動カーテン」とする。)に、本発明に係る日射遮蔽装置の制御装置を用いる例について説明する。
【0018】
図1は、実施の形態に係る電動カーテン1においてカーテンの全閉状態を示す略線図である。また、
図2は、電動カーテン1においてカーテンの全開状態を示す略線図である。
【0019】
以下の説明において、便宜上、
図1及び
図2における水平方向(矢印ab方向)をカーテンの開閉方向、特に図中左側をカーテンが閉まる閉側(矢印a方向)とし、図中右側をカーテンが開く開側(矢印b方向)とする。また、垂直方向(矢印cd方向)をカーテン吊下方向、特に図中上側を天井側(矢印c方向)とし、図中下側を床側(矢印d方向)とする。
【0020】
<電動カーテンの全体構成>
図1及び
図2に示すように、電動カーテン1は、片開き型の電動カーテンであり、主に、カーテンレール2、カーテン材3、およびモータ制御ユニット4を備えている。なお、電動カーテン1は片開き型に限定されず、両開き型であってもよい。
【0021】
カーテンレール2は、水平方向(矢印ab方向)に延びるレール状部材である。カーテンレール2は、複数のランナー5が水平方向(矢印ab方向)にベルト7とともに移動可能に取り付けられている。複数のランナー5には、カーテン材3を吊り下げた状態で保持するための吊下具6が取り付けられている。
【0022】
図3は、カーテンレール2の内部構造を示す略線図である。
図3に示すように、ランナー5は、カーテンレール2内を走行する伝動部材の一例としての無端状のベルト7に結合されている。ベルト7は、そのベルト7を移動させるプーリ14に結合されている。
【0023】
ベルト7の水平方向(矢印ab方向)への移動と共にランナー5が移動することにより、カーテン材3がランナー5と共に閉側(矢印a方向)から開側(矢印b方向)または開側(矢印b方向)から閉側(矢印a方向)へ向かって移動する。
【0024】
なお、複数のランナー5のうち、特に水平方向(矢印ab方向)における最も閉側(矢印a方向)に位置するランナー5については、
図2に示すように、カーテン材3の位置を検出するためのランナー(以下、これを「カーテン位置検出ランナー」ともいう。)5sとする。
【0025】
カーテン材3は、吊下具6を介してカーテンレール2に吊り下げられている。電動カーテン1は、カーテン材3がカーテンレール2の閉側(矢印a方向)から開側(矢印b方向)に向かって畳み込まれると図示しない窓が露出する。また、電動カーテン1は、カーテン材3がカーテンレール2の開側(矢印b方向)から閉側(矢印a方向)に向かって引き出されると図示しない窓を覆う。
図3に示す閉側(矢印a方向)の全閉位置は、カーテン材3によって上記窓の全体が覆われている状態である全閉状態におけるカーテン位置検出ランナー5sの位置を示している。また、同じく
図3に示す開側(矢印b方向)の全開位置は、カーテン材3が畳み込まれて上記窓が露出している状態である全開状態におけるカーテン位置検出ランナー5sの位置を示している。
【0026】
<モータ制御ユニットの構成>
図4は、モータ制御ユニット4の構成を示す外観斜視図である。また、
図5は、モータ制御ユニット4の回路構成を示すブロック図である。
図4および
図5に示すように、モータ制御ユニット4は、電動モータ11、電動モータ11の回転軸11aに取り付けられた回転検出器13、及び電動モータ11を駆動制御する制御装置15を備えている。
【0027】
電動モータ11は、例えばDC(Direct Current)ブラシモータである。電動モータ11は、制御装置15から供給されるPWM(Pulse Width Modulation)信号(以下、これを「モータ駆動用PWM信号」ともいう。)により回転軸11aを所望の回転数、トルクおよび角度等に回転駆動する駆動源である。
【0028】
回転検出器13は、電動モータ11の回転軸11aと一体に取り付けられているスリット板13a、および、光センサ13bを備える。スリット板13aは、円盤状部材であり、その外周縁に対して周方向にわたって複数の凹部が等間隔で形成されている。光センサ13bは、LED(Light Emitting Diode)等の発光素子およびフォトダイオード等の受光素子からなる。
【0029】
回転検出器13は、回転中のスリット板13aの凹部を通過した光を光センサ13bにより受光し、その光の列をパルス信号として捕え、そのパルス信号をモータ制御ユニット4の制御装置15へ出力する。制御装置15は、パルス信号に基づいてプーリ14を介して駆動されるベルト7の移動距離および移動速度等を検出することが可能である。
【0030】
図5に示すように、制御装置15は、電動カーテン1において、電動モータ11によりカーテンレール2に沿ったベルト7を回転させてランナー5を移動させることによりカーテン材3の開閉を制御する。制御装置15は、カーテン材3の操作命令を受け付ける操作命令受付部25を備える。また、制御装置15は、カーテン材3の位置情報を検出する位置情報検出部と、取得したカーテン材3の位置情報に基づいてカーテン材3の移動速度を算出する速度算出部と、電動モータ11の動作を制御するモータ制御部と、移動速度に基づいてカーテン材3の平均移動速度を算出する平均速度算出部と、移動速度と平均移動速度とに基づいて、電動モータ11の負荷を示す負荷判定情報を生成する負荷判定部として機能する制御部21を備える。また、制御装置15は、制御部21により設定された目標速度に応じて電動モータ11を駆動するモータ駆動回路22と、を備える。
【0031】
具体的に、制御装置15は、各種データの記憶領域やワークエリアとして用いられるメモリ26と接続された制御部21、モータ駆動回路22、パルス信号入力回路24、リモートコントローラ(以下、これを「リモコン」ともいう。)27からの操作命令を受け付ける操作命令受付部25を有している。
【0032】
制御部21は、制御装置15全体を統括制御するとともに、モータ駆動回路22、パルス信号入力回路24、操作命令受付部25との間でデータ授受を行う。なお、制御装置15は、電源供給部28から供給される電源電力によって起動される。
【0033】
特に、制御部21は、モータ駆動回路22に対してデューティー比を調整したPWM信号を出力することにより電動モータ11を駆動制御する。
【0034】
モータ駆動回路22は、制御部21からのモータ駆動用PWM信号に従って電動モータ11の回転軸11aを所望の回転方向及び回転速度で駆動制御する。
【0035】
パルス信号入力回路24は、回転検出器13の光センサ13bで受光したパルス信号を入力し、そのパルス信号を制御部21へ出力する。操作命令受付部25は、リモートコントローラ27からカーテンの開命令または閉命令をカーテン操作命令として受け付け、それを制御部21へ出力する。
【0036】
図6は、制御装置15の制御部21の構成を示す機能ブロック図である。制御部21は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、インタフェース等を備えるコンピュータプログラムを実行可能なマイクロコンピュータ構成であり、コンピュータプログラム(ソフトウェア)をインストールすることによって実現される。制御部21としての各種機能は、コンピュータの各種ハードウェア資源とコンピュータプログラム(日射遮蔽装置の制御方法を実行されるための日射遮蔽装置の制御プログラム)とが協働することによって実現される。
【0037】
制御部21は、コンピュータプログラムによりソフトウェア的に構成され、カーテン操作命令判別部31、モータ駆動用PWM信号生成部32、及び、カーテン位置検出部34を備えている。
【0038】
カーテン操作命令判別部31は、操作命令受付部25に入力されたカーテン操作命令(開命令または閉命令)に基づいて、リモートコントローラ27を操作したユーザの意思が開命令であるか閉命令であるかを判別し、その判別結果をモータ駆動用PWM信号生成部32へ出力する。
【0039】
モータ駆動用PWM信号生成部32は、電動モータ11を駆動するためのモータ駆動回路22へ出力するモータ駆動用PWM信号を生成して出力する。モータ駆動用PWM信号生成部32の詳細な構成については後述する。
【0040】
制御部21のカーテン位置検出部34は、パルス信号入力回路24からのパルス信号を取得することにより、ベルト7と一体に移動されるカーテン位置検出ランナー5sの位置、すなわちカーテン材3の閉側(矢印a方向)の位置や開側の位置、すなわちカーテン材3の位置情報を検出する機能部である。つまり、カーテン位置検出部34は、位置情報検出部として機能する。
【0041】
図7は、モータ駆動用PWM信号生成部32の構成を示す機能ブロック図である。
図7に示すように、モータ駆動用PWM信号生成部32は、速度算出部321、モータ駆動用PWM信号出力部322、モータ駆動用デューティー比設定部323、及び負荷判定部324を有している。
【0042】
速度算出部321は、パルス信号入力回路24からのパルス信号の周期をカウントすることにより、電動モータ11の回転軸11aの回転速度(実測値)を算出することで、電動モータ11と同様の速度でカーテンレール2を移動するカーテン位置検出ランナー5s、すなわちカーテン材3の移動速度を算出する機能部である。速度算出部321は、算出したカーテン材3の移動速度を所定の期間、あるいは所定の移動量の間積算してカーテン材3の平均移動速度を算出する。つまり、速度算出部321は、上述の速度算出部としての機能に加えて、平均速度算出部としても機能する。
【0043】
モータ駆動用PWM信号出力部322は、モータ駆動用デューティー比設定部323により設定されたデューティー比に基づいて、モータ駆動回路22に出力するモータ駆動用PWM信号を生成して出力する機能部である。
【0044】
モータ駆動用デューティー比設定部323は、操作命令受付部25が受け付けた操作命令の種別、つまり開操作の命令または閉操作の命令に応じて電動モータ11の回転方向を特定して、モータ駆動回路22に出力する。
【0045】
モータ駆動用デューティー比設定部323は、上述のモータ制御部として機能する。すなわち、モータ駆動用デューティー比設定部323は、速度算出部321が算出したカーテン材3の移動速度と予め定められたカーテン材3の目標速度とに基づいて、電動モータ11の回転速度を制御する。換言すれば、モータ駆動用デューティー比設定部323は、カーテン材3の移動速度が目標速度となるように、フィードバック制御により電動モータ11の出力を定めるモータ駆動用PWM信号のデューティー比を設定する機能部である。モータ駆動用デューティー比設定部323は、その設定したデューティー比をモータ駆動用PWM信号出力部322へ出力する。
【0046】
モータ駆動用デューティー比設定部323は、カーテン位置検出部34によりカーテン位置検出ランナー5sの位置が、
図3に示すような所定の減速位置に到達したことを検出されたとき、これに応じて目標速度を減少させるようにモータ駆動用PWM信号のデューティー比を変更する。また、モータ駆動用デューティー比設定部323は、カーテン位置検出部34によりカーテン位置検出ランナー5sの位置が、
図3に示すような所定の停止位置に到達したことを検出されたとき、これに応じて電動モータ11を停止させるようにモータ駆動用PWM信号のデューティー比を変更する。
【0047】
さらに、モータ駆動用デューティー比設定部323は、負荷判定部324が生成した負荷判定情報に基づいて電動モータ11への出力を遮断することで電動モータ11を停止させるために、モータ駆動用PWM信号のデューティー比を変更する。
【0048】
負荷判定部324は、速度算出部321が算出した移動速度と平均移動速度とに基づいて、電動モータ11の負荷を示す負荷判定情報としての負荷判定を加算するためのカウンタ値(以下「カウンタ値」という。)を生成する。負荷判定部324は、カーテン材3の移動速度が低下している場合、具体的には算出した最新の移動速度がこれまでの移動速度の積算に基づく平均移動速度を下回る場合に、カウンタ値を生成する。
【0049】
負荷判定部324は、具体的には、移動速度と平均移動速度との差(速度差分)、及び、速度差分に応じて算出される閾値に基づいてカウンタ値を生成する。ここで、カウンタ値を生成するか否かの閾値は、平均移動速度と電動モータ11の出力のデューティー比に基づいて定められる値である。上記閾値は、具体的には、例えば平均移動速度に電動モータ11の出力のデューティー比に基づいて変化するように定められた閾値の変化率(以下「閾値変化率」という。)を乗算することによって算出される。なお、上記閾値の算出方法は上述の方法に限定されず、例えば電動モータ11の出力のデューティー比に応じてあらかじめ定められた値であってもよい。
【0050】
負荷判定部324は、カウンタ値が所定の値またはそれ以上の値である場合には、電動モータ11への負荷が過負荷状態であると判定してモータ駆動用デューティー比設定部323に対してモータ11への出力を遮断する処理を行う。
【0051】
<動作および効果>
次に、以上説明した構成を備える電動カーテン1の制御装置15に実行させる電動カーテン1の制御プログラムにより実行される、電動カーテン1の制御方法について説明する。
【0052】
図8は、電動カーテン1の制御方法及び制御プログラムの説明に供するフローチャートである。以下の説明において、電動カーテン1の開/閉操作のうち、開操作、つまり、カーテン材3がランナー5と共に閉側(矢印a方向)から開側(矢印b方向)に移動させるための操作があった場合の制御の例について説明する。
【0053】
電動カーテン1の制御装置15において、カーテン位置検出部34は、パルス信号入力回路24が出力したパルス信号の端部(パルスエッジ)が検出されたか否かを判定する(ステップS101)。カーテン位置検出部34は、パルスエッジが検出されていない場合(S101:NO)、カーテン材3の移動がないと判断し、処理を終了する。
【0054】
図9は、パルス信号入力回路24が出力するパルス信号の一例を示す模式図である。
図9に示すように、パルス信号入力回路24は、回転検出器13の光センサ13bが受光した光の出力時期が異なる2種類の光によりパルス信号Aとパルス信号Bとの2種類のパルス信号を出力する。S101において、カーテン位置検出部34は、このパルス信号A,パルス信号Bの個々のパルス信号の端部であるパルスエッジを検出する。
【0055】
パルスエッジが検出できた場合(S101:YES)に、速度算出部321は、一定時間(例えば60[msec])毎にカーテン位置検出部34により検出された隣接するパルスエッジの間隔から得られるパルス数のカウント値に基づいて、電動モータ11の回転軸11aの回転速度(実測値)、すなわち、カーテン材3の平均移動速度を算出する(ステップS102)。
【0056】
速度算出部321は、カーテン位置検出部34により検出された隣接するパルスエッジの間隔から得られるパルス数のカウント値に基づいて、電動モータ11の回転軸11aの最新の回転速度(実測値)、すなわち、カーテン材3の最新移動速度を算出する(ステップS103)。
【0057】
負荷判定部324は、負荷判定部324による負荷判定の処理が可能となる、所定の数(例えば、A)のパルスエッジに基づく平均移動速度を算出したか否か、判定する(ステップS104)。負荷判定部324は、所定の数のパルスエッジに基づく平均移動速度が算出されていない場合(S104:NO)、処理を終了する。
【0058】
所定の数のパルスエッジに相当する平均移動速度が算出されている場合(S104:YES)に、負荷判定部324は、速度算出部321が算出した最新移動速度と平均移動速度とを比較して、カーテン材3の最新の移動速度がそれ以前の平均移動速度未満(下回る)か否かを判定する(ステップS105)。ステップS105において、負荷判定部324は、最新のカーテン材3の移動速度と平均移動速度とを比較することにより、カーテン材3の移動速度が何らかの要因により減速しているか否かを判定している。
【0059】
カーテン材3の最新の移動速度がそれ以前に測定した平均移動速度未満である場合に(S105:YES)、負荷判定部324は、速度差分、すなわち最新のカーテン材3の移動速度と平均移動速度との差を算出する(ステップS106)。
【0060】
一方、カーテン材3の最新の移動速度がそれ以前に測定した平均移動速度以上である場合に(S105:NO)、負荷判定部324は、負荷判定に用いるカウンタ値を加算しないもの(カウンタ値=0)として判定する(ステップS107)。ステップS107の処理後、負荷判定部324は、処理を終了する。
【0061】
負荷判定部324は、S106による速度差分の算出後、後述のステップS109の処理において用いる閾値の算出を行う(ステップS108)。ここで、閾値は、電動モータ11の負荷を示す負荷判定情報として負荷判定に用いられるカウンタ値を加算するか否かを判定するために用いられる。S108において、閾値は、例えば、カーテン材3の移動平均速度に閾値変化率を乗算することによって求めることができる。
【0062】
図10は、閾値変化率の特定に用いられるデータテーブルの一例である。上述のように、閾値変化率は、例えば電動モータ11の出力のデューティー比に基づいて変化するようにあらかじめ定められた値である。
図10に示すように、閾値変化率は、あらかじめ区分されたデューティー比の範囲に対応してあらかじめ定められた値である。
図10において、閾値変化率は、例えばデューティー比がX1%〜X2%未満から順に100%まで大きくなるにつれて、閾値変化率がY1%から順にY6%まで低くなるように設定されている。X1〜X11、及び、Y1〜Y6は、任意の数値である。このように閾値変化率を設定することにより、負荷判定部324は、この閾値変化率に平均移動速度を乗算して求められる閾値を電動モータ11の出力の大きさ(デューティー比)に応じて変化させることができる。
【0063】
負荷判定部324は、S108による閾値の算出後、S106にて算出した速度差分とS108にて算出した閾値とを比較して、速度差分が閾値以上であるか否かを判定する(ステップS109)。
【0064】
速度差分が閾値以上である場合に(S109:YES)、負荷判定部324は、負荷判定に用いるカウンタ値(カウンタ値=1)を生成して加算する(ステップS110)。一方、速度差分が閾値未満である場合に(S109:NO)、負荷判定部324は、負荷判定に用いるカウンタ値を加算しないもの(カウンタ値=0)として判定して(ステップS107)処理を終了する。
【0065】
負荷判定部324は、加算されたカウンタ値が所定の値(例えば、0以上の数であるZ)またはそれ以上の値であるか否かを判定する(ステップS111)。負荷判定部324は、カウンタ値がZまたはそれ以上の値である場合には(S111:YES)、電動モータ11への負荷が過負荷状態であると判定し(ステップS112)、モータ11への出力を遮断する処理を行う。
【0066】
図9に示すように、パルス信号BのパルスB−2の立ち上がりに電動モータ11への負荷が増加した場合に、パルスB−2の立ち上がりの端部(パルスエッジEB21)とその次のパルスであるパルスB−3の立ち上がりの端部(パルスエッジEB31)の間隔D1、パルス信号AのパルスA−1の立ち下がりのパルスエッジEA12とパルスA−2の立ち下がりのパルスエッジEA22の間隔D2、及び、パルス信号BのパルスB−2の立ち下がりのパルスエッジEB22とパルスB−3の立ち下がりのパルスエッジEB32の間隔D3を比較すると、D1から順にD3に向かうにつれて間隔が長くなっている。
図8においては、ステップS112による判定処理で、例えばZ=3である場合には、閾値を超える減速が3回カウントされたと判定して、負荷判定部324は、モータ11への負荷が過負荷状態であると判定する。
【0067】
ステップS112においてモータ11への負荷が過負荷状態であると判定された後、負荷判定部324は、モータ駆動用デューティー比設定部323に対してモータ11への出力を遮断する処理を行う。
【0068】
<他の実施の形態>
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の概念および特許請求の範囲に含まれるあらゆる態様を含む。また、上述した課題および効果の少なくとも一部を奏するように、各構成を適宜選択的に組み合わせてもよい。例えば、上記実施の形態における各構成要素の形状、材料、配置、サイズ等は、本発明の具体的使用態様によって適宜変更され得る。
【0069】
例えば、以上説明した実施の形態では、日射遮蔽装置の一例として遮蔽部材としてのカーテン材3を水平方向に移動させる電動開閉カーテンについて説明したが、本発明は遮蔽部材を上下方向に移動させる日射遮蔽装置、例えば、ブラインドやロールスクリーンの制御装置に対しても適用することができる。また、以上説明した実施の形態では、電動モータ11によりカーテンレール2に沿ったベルト7を回転させてランナー5を移動させることによりカーテン材3を開閉していたが、本発明ではこれに限定されない。すなわち、本発明は、電動モータにより遮蔽部材を移動させる日射遮蔽装置における電動モータの制御装置であれば、ランナーを用いて遮蔽部材を移動させないものであっても適用することができる。