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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-185318(P2020-185318A)
(43)【公開日】2020年11月19日
(54)【発明の名称】マットレス
(51)【国際特許分類】
   A61G 7/057 20060101AFI20201023BHJP
【FI】
   A61G7/057
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2019-93524(P2019-93524)
(22)【出願日】2019年5月17日
(71)【出願人】
【識別番号】517032783
【氏名又は名称】株式会社ピーケア
(74)【代理人】
【識別番号】110000279
【氏名又は名称】特許業務法人ウィルフォート国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】坂戸 孝志
【テーマコード(参考)】
4C040
【Fターム(参考)】
4C040AA01
4C040CC04
4C040EE05
(57)【要約】
【課題】褥瘡の発生を防止でき、使い勝手のよい介護ベッドを提供すること。
【解決手段】マットレス11は、厚み方向へ変位可能な複数の可動部12と、各可動部を変位させる駆動部13と、各可動部に作用する圧力を検出するセンサ部14と、センサ部により検出された圧力に基づいて、各可動部のうち所定の可動部の高さ寸法とその他の可動部との高さ寸法とが異なるように駆動部を制御する褥瘡防止処理(S12)を実行する制御部20とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マットレスであって、
厚み方向へ変位可能な複数の可動部と、
前記各可動部を変位させる駆動部と、
前記各可動部に作用する圧力を検出するセンサ部と、
前記センサ部により検出された圧力に基づいて、前記各可動部のうち所定の可動部の高さ寸法とその他の可動部との高さ寸法とが異なるように前記駆動部を制御する褥瘡防止処理を実行する制御部とを備える
マットレス。
【請求項2】
前記制御部は、前記所定の可動部の高さ寸法が当該所定の可動部の周囲に位置する前記その他の可動部の高さ寸法よりも小さくなるように前記駆動部を制御する、
請求項1に記載のマットレス。
【請求項3】
前記所定の可動部は、使用者の所定箇所に対応して設定される、
請求項2に記載のマットレス。
【請求項4】
前記制御部は、前記所定箇所と前記所定の可動部との接触面積が小さくなるように前記駆動部を制御する、
請求項3に記載のマットレス。
【請求項5】
前記所定箇所は、褥瘡の発生が予測される箇所である、
請求項3に記載のマットレス。
【請求項6】
さらに、前記各可動部の中から前記所定の可動部を選択する選択部を備える、
請求項1〜5のいずれか一項に記載のマットレス。
【請求項7】
前記選択部は、前記各可動部と使用者との関係を表示する画面に対するオペレータの操作により、前記所定の可動部を手動で選択するものである、
請求項6に記載のマットレス。
【請求項8】
前記選択部は、前記センサ部により検出された圧力とあらかじめ設定される所定の圧力とを比較することにより、前記所定の可動部を自動的に選択するものである、
請求項6に記載のマットレス。
【請求項9】
前記制御部は、前記褥瘡防止処理に加えて、使用者の血行を促進する血行促進処理も実行することができ、
前記血行促進処理は、前記その他の可動部の高さ寸法を周期的に変化させることにより、使用者の血行を促進させる処理である
請求項1〜8のいずれか一項に記載のマットレス。
【請求項10】
前記血行促進処理では、所定領域内の前記その他の可動部のうち、使用者による圧力が作用する可動部が時間経過に応じて前記所定領域内で分散されるように、前記その他の可動部の高さ寸法が制御される、
請求項9に記載のマットレス。
【請求項11】
前記制御部は、前記褥瘡防止処理に加えて、使用者の体位を変化させる体位変換処理も実行することができ、
前記体位変換処理は、前記各可動部のうち、所定位置に配置された可動部の高さ寸法を通常の高さ寸法よりも大きく設定することにより、前記使用者の体位を変化させる、
請求項1〜10のいずれか一項に記載のマットレス。
【請求項12】
制御部は、使用者の体位の変更前と変更後とで、前記その他の可動部のうち使用者に接触する可動部の数と使用者に接触しない可動部の数とを比較し、両者の比が所定値以上異なる場合にオペレータへ警報を発する、
請求項11に記載のマットレス。
【請求項13】
前記各可動部は、前記マットレスの周辺部と中央部とで面積が異なる、
請求項1に記載のマットレス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マットレスに関する。
【背景技術】
【0002】
病院や介護施設あるいは家庭では、いわゆる寝たきり状態の使用者が介護ベッドを利用しているが、長期間同じ姿勢のままでいると体重で圧迫された箇所の血流が悪化するなどして、床ずれ(褥瘡)を生じる。そこで、マットレスを複数のセルに分割し、その設定を可変に制御することにより、床ずれの発生を防止せんとする技術が提案されている(特許文献1〜6)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016−127982号公報
【特許文献2】特開2019−63346号公報
【特許文献3】特開昭62−183762号公報
【特許文献4】特開2013−70912号公報
【特許文献5】特開2014−64618号公報
【特許文献6】特開2017−51549号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来技術では、使用者の体とマットレスとが同じ箇所で長時間接触し続けることを防止できるが、接触部位の高さの調節方法や接触部位の設定方法などに改善の余地がある。
【0005】
本発明は上記課題に鑑みてなされたもので、その目的は、褥瘡の発生を防止することができ、使い勝手のよい介護ベッドを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決すべく、本発明の一つの観点に従うマットレスは、厚み方向へ変位可能な複数の可動部と、各可動部を変位させる駆動部と、各可動部に作用する圧力を検出するセンサ部と、センサ部により検出された圧力に基づいて、各可動部のうち所定の可動部の高さ寸法とその他の可動部との高さ寸法とが異なるように駆動部を制御する褥瘡防止処理を実行する制御部とを備える。
【0007】
制御部は、所定の可動部の高さ寸法が当該所定の可動部の周囲に位置するその他の可動部の高さ寸法よりも小さくなるように駆動部を制御することができる。
【0008】
所定の可動部は、使用者の所定箇所に対応して設定されてもよい。
【0009】
制御部は、所定箇所と所定の可動部との接触面積が小さくなるように駆動部を制御することができる。
【0010】
所定箇所は、褥瘡の発生が予測される箇所であってもよい。
【0011】
さらに、各可動部の中から所定の可動部を選択する選択部を備えてもよい。
【0012】
選択部は、各可動部と使用者との関係を表示する画面に対するオペレータの操作により、所定の可動部を手動で選択することができる。
【0013】
選択部は、センサ部により検出された圧力とあらかじめ設定される所定の圧力とを比較することにより、所定の可動部を自動的に選択してもよい。
【0014】
制御部は、褥瘡防止処理に加えて、使用者の血行を促進する血行促進処理も実行することができ、血行促進処理は、その他の可動部の高さ寸法を周期的に変化させることにより、使用者の血行を促進させる処理であってもよい。
【0015】
血行促進処理では、所定領域内のその他の可動部のうち、使用者による圧力が作用する可動部が時間経過に応じて所定領域内で分散されるように、その他の可動部の高さ寸法が制御されてもよい。
【0016】
制御部は、褥瘡防止処理に加えて、使用者の体位を変化させる体位変換処理も実行することができ、体位変換処理は、各可動部のうち、所定位置に配置された可動部の高さ寸法を通常の高さ寸法よりも大きく設定することにより、使用者の体位を変化させることができる。
【0017】
制御部は、使用者の体位の変更前と変更後とで、その他の可動部のうち使用者に接触する可動部の数と使用者に接触しない可動部の数とを比較し、両者の比が所定値以上異なる場合にオペレータへ警報を発することもできる。
【0018】
各可動部は、マットレス部の周辺部と中央部とで面積が異なってもよい。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、所定の可動部の高さ寸法とその他の可動部との高さ寸法とが異なるように駆動部を制御することにより、褥瘡の発生を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】マットレスを搭載した介護ベッドの全体構成図である。
図2】褥瘡の発生しやすい箇所を示す説明図である。
図3】可動部としてのセルの動作を示す説明図である。
図4】介護ベッドの制御処理を示すフローチャートである。
図5】オペレータの操作する端末の画面例を示す説明図である。
図6】褥瘡防止処理を示すフローチャートである。
図7】血行促進処理を示すフローチャートである。
図8】可動部の高さ寸法を調整するパターン変化を示す説明図である。
図9】体位変換処理を示すフローチャートである。
図10】警報処理を示すフローチャートである。
図11】第2実施例に係り、可動部の大きさが異なるマットレスの例である。
図12】第3実施例に係り、複数の介護ベッドと複数のオペレータ端末とを通信ネットワークで接続する例を示す全体構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面に基づいて、本発明の実施の形態を説明する。本実施形態では、以下に述べるように、マットレスの持つ複数の可動部の高さ寸法を制御することにより、マットレスの使用者(例えば、患者や高齢者等)に褥瘡が発生するのを防止する。さらに、本実施形態では、褥瘡の発生を防止するだけでなく、血行促進および/または体位変換も行うことにより、使用者に快適な環境を提供する。本実施形態では、介護ベッド1にマットレス11を使用する場合を例に挙げて説明するが、これに限らず、マットレス11を単体で使用することもできる。
【実施例1】
【0022】
図1図10を用いて第1実施例を説明する。図1は、介護ベッド1の全体構成を示している。介護ベッド1は、例えば、ベッド本体10と、複数のセル12を有するマットレス11と、アクチュエータ13と、圧力センサ14と、コントローラ20と、端末30とを備える。
【0023】
ベッド本体10は、例えば、フレームと、フレームの上に設けられ、所定箇所で可動する床板と、フレームを支える脚部と、フレームの足側に設けられるフットボードと、フレームの頭側に設けられるヘッドボードと、フレームの側面を一部覆って設けられるサイドレール(いずれも不図示)とを備える。体位変換用アクチュエータ15は、例えば、床板の姿勢を左右に変化させることができる。ここで、左右とは、介護ベッド1に仰向けになった使用者40から見た左右である。以下では、使用者40を「使用者」と略記する場合がある。
【0024】
ベッド本体10の床板上には、マットレス11が設けられている。マットレス11は、複数のセル12を有する。「可動部」としてのセル12は、マットレス11の厚さ方向(図1の紙面に垂直な方向であり、上下方向とも呼ぶ)に変位可能である。
【0025】
本実施例では、マットレス11の縦横に同一形状のセル12を連続して配置する場合を説明するが、各セル12が全て同一形状である必要はなく、後述の実施例のように一部のセル12の形状が異なってもよい。あるいは、マットレス11の一部の領域に、変位可能なセル12を設け、他の領域は変位不能に構成してもよい。
【0026】
「駆動部」としてのアクチュエータ13は、コントローラ20からの制御信号にしたがって、セル12を厚み方向(上下方向)に所定量変位させる。アクチュエータ13は、例えば、空圧、水圧、油圧、電磁力、熱などのエネルギを用いることにより、セル12を変位させる。すなわち、アクチュエータ13は、例えば、空圧シリンダ、水圧シリンダ、油圧シリンダ、電磁ソレノイド、形状記憶合金などを用いることにより、セル12を変位させる。
【0027】
「センサ部」としての圧力センサ14は、各セル12の圧力を検出し、検出信号をコントローラ20へ送信する。すなわち、圧力センサ14は、使用者の体がセル12に接触したときの体圧を電気信号として検出し、コントローラ20へ送る。
【0028】
「制御部」としてのコントローラ20は、介護ベッド1の動作を制御する。コントローラ20は、例えば、マイクロプロセッサ(図中、CPU)21と、メモリ22と、記憶装置23と、通信部24と、入出力部25とを備える。
【0029】
マイクロプロセッサ21は、記憶装置23に記憶されたコンピュータプログラムS12,S14,S16をメモリ22に読み出して実行することにより、マットレス11の機能(褥瘡防止機能、血行促進機能、体位変換機能)を実現する。
【0030】
記憶装置23には、上述のコンピュータプログラム(褥瘡防止処理S12、血行促進処理S14、体位変換処理S16)と、各圧力センサ14により検出された圧力値とが記憶されている。外部装置(記憶媒体MMまたはサーバ50)から記憶装置23へコンピュータプログラムまたはデータを転送して記憶させることもできるし、逆に、記憶装置23内のコンピュータプログラムまたはデータを外部装置へ転送させることもできる。
【0031】
通信部24は、通信ネットワークCNに接続して、オペレータ端末30などと無線または有線で通信する装置である。通信ネットワークCNは、例えば、インターネットまたはLAN(Local Area Network)などである。
【0032】
入出力部(図中、I/O)25は、各アクチュエータ13および各圧力センサ14との間で信号を送受する装置である。図1では、入出力部25と各アクチュエータ13および各圧力センサ14とを接続する線を省略している。マイクロプロセッサ21で算出された制御値を含む制御信号は、入出力部25を介してアクチュエータ13,15へ送られ、これにより各セル12の厚さ寸法または護ベッド1の傾斜などが変化する。一方、各圧力センサ14により検出された圧力は、入出力部25を介してコントローラに受信され、記憶装置23に記憶される。
【0033】
オペレータ端末30は、例えば看護師、介護士、家族などのオペレータにより操作される装置である。オペレータ端末30は、通信ネットワークCNを介して、コントローラ20にアクセスする。オペレータは、オペレータ端末30を用いることにより、コントローラ20から介護ベッド1(マットレス11)の状態を取得したり、介護ベッド1(マットレス11)の制御内容をコントローラ20へ指示したりする。
【0034】
オペレータ端末30は、例えば、携帯電話(いわゆるスマートフォンを含む)、携帯情報端末(いわゆるタブレット端末を含む)、デスクトップ型またはノート型等のパーソナルコンピュータ、腕時計型または眼鏡型等のウエアラブル端末のように構成される。オペレータ端末30は、例えば、表示部31と操作部32と通信部(不図示)を備える。表示部31には、例えば、介護ベッド1の状態が表示される。操作部32は、オペレータの指示をコントローラ20へ送る。
【0035】
なお、図1では、オペレータ端末30とサーバ50とを共通の通信ネットワークCNを用いてコントローラ20に接続している場合を示すが、これに代えて、オペレータ端末30とコントローラ20とを接続する通信経路とサーバ50とコントローラ20とを接続する通信経路とは異なってもよい。
【0036】
サーバ50は、例えば、コントローラ20から介護ベッド1の状態を示すデータを受信し、そのデータを統計処理したり、記憶したりするコンピュータである。サーバ50は、分散配置された複数の介護ベッド1を遠隔で監視することもできる。
【0037】
図2は、褥瘡の生じやすい箇所(特定部位)を示す説明図である。図2(1)は、使用者が仰臥している場合を示す。使用者が仰臥位を取る場合、例えば、後頭部41(1)、肩甲骨部41(2)、肘41(3)、仙骨41(4)、踵41(5)といった特定部位に褥瘡は発生しやすい。
【0038】
図2(2)は、使用者が横臥している場合を示す。使用者が横臥位を取る場合、例えば、耳41(6)、肩41(7)、肘41(8)、腸骨41(9)、大転子41(10)、膝41(11)、外果41(12)といった特定部位に褥瘡は生じやすい。
【0039】
このように、使用者の体重が骨を介して特定部位の筋肉や皮膚に長時間作用することにより、血行が悪化し、褥瘡を生じる。そこで、本実施例では、褥瘡の発生しやすい特定部位に位置するセル12を周囲のセル12よりも低く設定することにより、使用者の体がセル12に接触するのを抑制する。これにより、本実施例では、特定部位に作用する力を低減し、褥瘡の発生を防止する。
【0040】
図3は、セル12の動作を示す説明図である。図3(1)は、各セル12の高さ寸法を制御する前の初期状態を示す。図3(2)は、褥瘡41の発生を防止すべく、使用者の特定部位に対応する所定のセル12Sの高さ寸法を周囲のセル12よりも低く設定した状態を示す。
【0041】
所定のセル12Sの高さを低く設定することにより、所定のセル12Sと使用者40の体の特定部位とが接触する面積を少なくすることができる。使用者40の特定部位と所定のセル12Sとの間には、微少な空間120が形成される場合がある。使用者の体のうち骨などの突出した部分に対応する特定部位が、長時間セル12に強く押しつけられるのを抑制することができれば、褥瘡41の発生を抑制できる。この目的を達成できるように、コントローラ20は、各セル12の高さ寸法を調整する。
【0042】
高さ寸法の調整に代えて、各セル12の硬さを調整してもよい。例えば、特定部位に対応する所定のセル12Sを周囲の他のセルよりも柔らかく設定することにより、特定部位に強い体圧が作用するのを防止することができる。
【0043】
図4は、マットレス11を制御する処理を示すフローチャートである。本処理はコントローラ20により実行される。
【0044】
コントローラ20は、所定の褥瘡防止タイミングが到来したかを判定し(S11)、到来したと判定すると(S11:YES)、褥瘡防止処理を実行する(S12)。続いて、コントローラ20は、所定の血行促進タイミングが到来したかを判定し(S13)、到来したと判定すると(S13:YES)、血行促進処理を実行する(S14)。さらに、コントローラ20は、所定の体位変換タイミングが到来したかを判定し(S15)、到来したと判定すると(S15:YES)、体位変換処理を実行する(S16)。褥瘡防止処理(S12)、血行促進処理(S14)、体位変換処理(S16)の詳細は、図6図10で後述する。
【0045】
図5は、オペレータ端末30の表示部31に表示される画面例である。画面330は、例えば、使用者情報表示部331と、セル状態表示部332と、実行中モード表示部333と、実行スケジュール表示部334と、圧力検知ボタン335と、褥瘡防止ボタン336と、血行促進ボタン337と、体位変換ボタン338とを含む。
【0046】
使用者情報表示部331は、使用者40についての情報を表示する領域である。使用者情報には、例えば、使用者の氏名、識別子、主治医の氏名、看護者、病名、既往症、薬の種類などを含めることができる。使用者の体温、血圧、脈拍などを検出し、それらを使用者情報に含めて表示してもよい。
【0047】
セル状態表示部332は、マットレス11の各セル12と使用者40との関係を表示する領域である。斜線を付したセルは、使用者40の特定部位に対応する所定のセル12Sを表している。各セル12の圧力をセル状態表示部332に表示してもよい。
【0048】
オペレータは、セル状態表示部332に表示された各セル12の中から所望のセルを選んでタッチすることにより、そのセルの高さ寸法を調整することもできる。例えば、表示部31をタッチパネルとして構成し、オペレータがセル12に対応する部分を指先で押すことにより、押したセルの高さ寸法を調整する。オペレータがセル12に対応する部分を一回押すと高さ寸法が短くなり、オペレータがもう一度同じ部分を押すと元の高さ寸法に戻るように構成してもよい。あるいは、オペレータが所定時間以上押した場合に、対応するセルの高さ寸法が徐々に変更されるように構成してもよい。
【0049】
実行中モード表示部333では、褥瘡防止処理、血行促進処理、体位変換処理のうち現在実行されている制御処理(モード)が表示される。複数の制御処理が同時に実行される場合は、それら実行中の制御処理の名称が表示される。
【0050】
実行スケジュール表示部334は、制御処理の実行スケジュールを表示する。例えば、横軸に時間を、縦軸に制御処理の名称を表示することにより、各制御処理(モード)がいつ実行されるかをオペレータに知らせることができる。
【0051】
例えば、体位変換処理は2時間に一回の周期で実行され、血行促進処理は体位変換処理の周期よりも短い周期で実行される。褥瘡防止処理は、体位変換処理の周期よりも長い周期で実行してもよい。なお、実行スケジュールは、オペレータが使用者の状態を見て、任意に設定または修正することができる。
【0052】
圧力検知ボタン335は、各セル12の圧力を圧力センサ14により検知させるためのボタンである。褥瘡防止ボタン336は、実行スケジュールとは別に、褥瘡防止処理を実行させるためのボタンである。同様に、血行促進ボタン337は、実行スケジュールとは別に、血行促進処理を実行させるボタンである。体位変換ボタン338も、実行スケジュールとは別に、体位変換処理を実行させるボタンである。
【0053】
図6は、褥瘡防止処理(S12)を示すフローチャートである。コントローラ20は、各圧力センサ14により検知された圧力Pを取得し(S121)、自動または手動により、所定のセルを選択する。
【0054】
自動的に所定のセルを選択する場合、コントローラ20は、ステップS121で検知された圧力Pとあらかじめ設定された所定の圧力ThPとを比較し、圧力Pが所定の圧力ThP以上のセルがあるか判定する(S122)。コントローラ20は、圧力Pが所定の圧力ThP以上のセルを、低く設定する所定のセルとして選択する(S123)。図6では、高さ寸法を短く設定するセルのことを「凹対象の所定セル」と表現している。
【0055】
オペレータが手動で所定のセルを選択する場合を説明する。ステップS121で検知された圧力の分布は、オペレータ端末30によりオペレータに通知される(S124)。例えば、セル状態表示部332に各セル12の圧力を表示させることにより、圧力分布(体圧分布)をオペレータへ伝えることができる。ユーザは、その圧力分布を見ることにより、所定のセルを手動で選択し記憶させる(S125、S123)。
【0056】
コントローラ20は、ステップS123で記憶された所定のセルの合計面積S凹とあらかじめ設定された所定面積ThSとを比較し、所定のセルの合計面積S凹が所定面積ThSより大きいか判定する(S126)。
【0057】
コントローラ20は、所定のセルの合計面積S凹が所定面積ThSよりも大きいと判定すると(S126:YES)、オペレータ端末30を介してオペレータに警報を出力する(S127)。所定のセルの合計面積S凹が所定面積ThSよりも大きいということは、所定のセル以外の通常の高さを有するセルの数が少なくなっており、少ないセルで使用者を支えている状態を表している。
【0058】
これに対し、所定のセルの合計面積S凹が所定面積ThS未満の場合(S126:NO)、コントローラ20は、ステップS123で記憶された所定のセルの高さ寸法を通常値よりも小さい所定値に変更させるための制御信号をアクチュエータ13へ送信する(S128)。なお、既に高さ寸法が所定値に設定されているセルに対応するアクチュエータ13に対しては、制御信号を送信する必要はない。通常値に設定されたセルに対応するアクチュエータ13にのみ、所定値に変更させる制御信号を送信すればよい。
【0059】
図7は、血行促進処理(S14)を示すフローチャートである。コントローラ20は、各圧力センサ14により検知される圧力を取得し(S141)、褥瘡防止セルとして選択されたセル以外において、使用者40に接触しているセルの数と接触していないセルの数との比率を計算する(S142)。そして、コントローラ20は、所定領域毎に使用者40に接触するセルと接触しないセルとの比率が所定の比率となるように、所定領域内で使用者40に接触するセルを所定周期で変更させる(S143)。
【0060】
図8は、所定領域のセルを、使用者に接触するセルと接触しないセルとに分ける方法を示す説明図である。ここでは例えば、3×3個の合計9個のセル12を所定領域のセルとする。中央のセル12(#5)は、特定部位に対応する所定のセル(褥瘡防止セル)であり、高さ寸法が短く設定されているものとする。
【0061】
図8(1)に示すように、褥瘡防止セル(#5)以外の他のセル(#1〜#4,#6〜#9)のうち、例えば、セル(#1)、セル(#6)、セル(#7)の高さ寸法が短く設定される。
【0062】
図8(2)に示すように、続いて、セル(#3)、セル(#4)、セル(#9)の高さ寸法が短く設定される。先に短く設定されたセル(#1)、セル(#6)、セル(#7)の高さ寸法は通常値に戻される。
【0063】
図8(3)に示すように、続いて、セル(#2)、セル(#6)、セル(#8)の高さ寸法が短く設定される。先に短く設定されたセル(#3)、セル(#4)、セル(#9)の高さ寸法は通常値に戻される。
【0064】
このように血行促進処理(S14)では、褥瘡防止セル以外の他のセルの高さ寸法を所定領域単位で周期的に変更させることにより、使用者40の体に刺激を与えて血行を促進させる。
【0065】
図9は、体位変換処理(S16)を示すフローチャートである。コントローラ20は、例えば2時間周期などの所定の周期で、特定のセル12を周囲の他のセル12よりも突出させることにより、使用者40の体位を変換させる。
【0066】
マットレス11の一部が変形することによって使用者40の体が所定方向へ傾くと(S161)、コントローラ20は、所定時間が経過するのを待って(S162:YES)、マットレス11の他の一部を変形させることにより、使用者40の体を反対方向へ傾ける(S163)。そして、コントローラ20は、体位変換処理を終了するか判定し(S164)、終了する場合(S164:YES)、本処理を終了する。終了しない場合(S164:NO)、ステップS162へ戻る。
【0067】
このように体位変換処理(S16)では、所定時間毎にマットレス11を部分的に突出させて使用者40の体を傾けさせることにより、使用者40の体位を変更させる。
【0068】
図10は、警報処理のフローチャートである。警報処理は、体位変換の後で実施することができる。
【0069】
コントローラ20は、各圧力センサ14からの信号に基づいて各セル12の圧力を検知し(S22)、使用者の体に接触しているセルの数と接触していないセルの数とをそれぞれ算出して(S23)、算出した値を記憶装置23に記憶させる(S24)。
【0070】
コントローラ20は、体位変換が完了したか判定し(S25)、完了していない場合(S25:NO)はステップS22へ戻り、各セル12の圧力を再度取得して接触セルの数と非接触セルの数とを算出し、記憶装置23に記憶させる(S23,S24)。
【0071】
体位変換が完了した場合(S25:YES)、コントローラ20は、体位変更の前後において、使用者の体に接触するセル12の数と接触しないセル12の数との比率が所定の警報閾値以上異なるか判定する(S26)。
【0072】
コントローラ20は、接触セルの数と非接触セルの数との比率が所定の警報閾値以上異なる場合(S26:YES)、オペレータ端末30を介してオペレータに警報を発する(S27)。これにより、オペレータは、使用者40の体位が変化すること、使用者の体を支えるセルの数が大きく変化するという事実を知る。使用者の体を支えるセルの数が少なくなるほど、その接触セルに大きな体圧が加わるため、褥瘡を生じる可能性がある。そこで、オペレータは、褥瘡の発生する可能性の高い体位(例えば、右向き横臥、左向き横臥)を事前に把握することにより、注意深く介護することができる。
【0073】
このように構成される本実施例によれば、使用者40の特定部位に対応するセル12の高さ寸法を短くすることにより、特定部位に作用する圧力を低減でき、褥瘡の発生を防止することができる。
【0074】
さらに、本実施例によれば、各セル12の中から褥瘡防止セル(所定のセル)を手動または自動で選択することができる。これにより本実施例では、未熟なオペレータであっても適切なセルを褥瘡防止セルとして選択することができ、使い勝手が向上する。
【0075】
さらに、本実施例によれば、血行促進処理または体位変換処理のいずれか一方または両方を褥瘡防止処理と並行に実行させることができるため、褥瘡防止だけでなく、血行の促進または体位変換も実現することができ、使い勝手が向上する。
【0076】
さらに、血行促進処理では、褥瘡防止セル以外の他のセルの高さ寸法を所定領域単位で周期的に変更させることにより、使用者40の血行を促進させる。すなわち、本実施例では、常時所定数のセルで使用者の体を支えながら血行を促進することができ、使用者の体の一部に大きな体圧が作用するのを防止できる。
【0077】
さらに、本実施例では、体位変換の前後で使用者40の体を支えるセルの数が大きく変化する場合に、オペレータに警報を通知する。これにより、オペレータは、使用者への負担が大きい体位を事前に知ることができ、介護サービスの品質が向上する。
【実施例2】
【0078】
図11を用いて第2実施例を説明する。本実施例の介護ベッド1Aでは、ベッド本体10Aのマットレス11Aは大きさの異なる複数種類のセル12,12A,12B,12Cを備えている。
【0079】
マットレス11Aの中央部を含む大部分の領域は、第1実施例で述べた通常サイズのセル12で構成される。マットレス11Aの周辺は、通常サイズとは異なる大きさのセル12A,12B,12Cが配置されている。
【0080】
例えば、マットレス11Aの四隅には、大サイズのセル12Aが配置される。マットレス11Aの長手方向の両側部には、中サイズのセル12Bが配置される。マットレス11Aの頭側および足先側には、小サイズのセル12Cが配置される。小サイズのセル12Cであっても、通常サイズのセル12より面積は大きい。なお、セルの形状および大きさは、図示の例に限定されない。
【0081】
このように構成される本実施例も第1実施例と同様の作用効果を奏する。さらに本実施例では、セルのサイズを適宜変更するため、使用者40の体が接触しにくい箇所のセルは大きくし、それ以外のセルは小さくすることができる。
【実施例3】
【0082】
図12を用いて第3実施例を説明する。本実施例の介護ベッドでは、複数の介護ベッド1B(1)〜1B(n)のコントローラ20(1)〜20(n)と複数のオペレータ端末30(1)〜30(n)とを通信ネットワークCN1を介して接続する。各コントローラ20(1)〜20(n)での制御内容などをサーバ50で一元管理してもよい。
【0083】
このように構成される本実施例によれば、複数の介護ベッド1Bを複数のオペレータ30によって管理することができるため、ベッド数の多い場合にも適用できる。
【0084】
なお、本発明は上述の実施例に限定されず、様々な変形例が含まれる。例えば、上述の実施例は本発明を分かりやすく詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能である。ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることも可能である。
【符号の説明】
【0085】
1,1A,1B:介護ベッド、10,10A,10B:ベッド本体、11,11A:マットレス、12,12A,12B,12C:セル、13:アクチュエータ、14:圧力センサ、15:体位変換用アクチュエータ、20:コントローラ、30:オペレータ端末、40:使用者、41:褥瘡の発生する部位
図1
図2
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図10
図11
図12