【実施例】
【0057】
損傷深度分析の方法を開発するために、アブレーションされた損傷及び損傷画像を生成する機能的に等価なシステムを用いて実験が行われた。実験セットについて以下に説明する。
【0058】
365nmのピーク波長を有するLEDスポットライトを用いて心外膜の面を照射するNADH蛍光システムが提供された(PLS−0365−030−07−S,Mightex Systems)。放射された光は、460nm±25nmにおいて帯域通過フィルタリングされ、低倍率レンズが取り付けられたCCDカメラ(Andor Ixon DV860)を用いて画像生成された。心外膜組織の状態をモニタリングするために、NADHの蛍光(fNADH)の画像が生成された。
【0059】
標準的な臨床RF発生器(Boston ScientificによるEPT1000アブレーションシステム)でRFAが実行されるRFAシステムが提供された。発生器は、損傷を生じさせるために、4mmの冷却されたBlazer(登録商標)アブレーションカテーテル(Boston Scientific)を介して動物に電気的に接続された。接地パッドは、アブレーションの際に使用された。発生器は温度制御モードに設定された。液体窒素に浸漬されたカスタムメイドの金属プローブを用いて、又は、MedtronicによるFreezor(登録商標)MAX心臓クライオアブレーションカテーテルを用いることによって、クライオアブレーションが実行された。
【0060】
図5A及び
図5Bを参照すると、まず、健康な心臓の組織におけるNADH励起及び蛍光スペクトルについてベースラインデータが取得された。
図5A及び
図5Bは、組織の励起−蛍光マトリックスを示す。NADHの存在に起因して、健康な組織は、330nmから370nmの範囲で励起されたとき、450nm及び470nmの間で強く放射する。NADHに関連付けられた大きなピークは、アブレーションされた組織には存在しない。
【0061】
図6A及び
図6Bに、典型的なRFA損傷の一例を示す。左側の画像は白色光の照射を使用して取り込まれ、一方,右側のfNADH画像は460nmのフィルタを有するUV励起を用いて取り込まれている。
【0062】
すべての動物プロトコルは、ジョージワシントン大学医学部の動物実験委員会によってレビューされて承認され、動物研究のガイドラインに適合された。
【0063】
最初に、生体外の実験は、ラット(200−300gのスピローグドーリー)から摘出された血液なしの心臓を用いて行われた。動物は、標準的な処置を用いてヘパリン処理されて麻酔された。胸部は正中切開を用いて開かれた。その後、心臓は摘出され、大動脈にカニューレが挿入され、定圧でランゲンドルフ潅流された。心臓は、RFAアブレーション中に、接地パッドの上に配置され、摂氏37度のタイロード液中に浸漬された。代替として、クライオプローブが、心外膜の表面に直接的にあてがわれた。
【0064】
異なるサイズのRFA損傷を生成するために温度及び継続時間を変化させながら、摘出された血液なしのラットの心室の心外膜にラジオ波エネルギーが印加された。2グラムの一様な接触力が、較正されたはかりによって測定された。RF印加の温度(摂氏50、60、及び70度)及び時間(10、20、30、40、50秒)を変化させることにより、異なるサイズの損傷が生成された。6つの異なるラット心臓の標本において、合計で12個のRFA損傷が生成された。
【0065】
損傷及び周囲の組織のNADH蛍光は、Mightex Precision LEDスポットライトを用いて、365nmのUV光で心外膜の表面を照射することにより測定された。fNADHに対応する光は、460/25nmの帯域通過フィルタを用いて選択され、高感度電荷結合素子カメラを用いて画像生成された。損傷はさらに、損傷のサイズを測定するための巻き尺に隣接させて、明るい光で画像生成された。その後、fNADH画像は、ImageJソフトウェアへインポートされることで、サイズが測定され、また、各損傷の暗度プロファイルが分析された。暗度プロファイルは、各fNADHの画像生成されたアブレーション損傷の中心を通るように直線状の関心対象領域(ROI)を配置して、損傷の周囲にわたる各点における画素強度を測定することで評価された。その後、心室組織は、組織の壊死について評価するために、トリフェニルテトラゾリウムクロリド(TTC)を含むタイロード液で逆行潅流された。心外膜の病変は、組織傷害の肉眼的及び組織学的測定のために切除された。
【0066】
生体内の実験は、犬の開胸のモデルを使用して行われた。動物は、全身麻酔の誘入の後に開胸手術を受けた。4mmのラジオ波アブレーションカテーテルを用いて、様々な継続時間及び温度で複数の損傷が心外膜の表面に与えられた。その後、心臓の心外膜の表面は、365nmのUV光(Mightex precision LEDスポットライト)で照射され、対応するfNADHは、460/25nmフィルタを介して、高い量子効率の蛍光カメラ(Andor Ixon DV860カメラ)に接続された。損傷は、損傷のサイズを測定するための巻き尺とともに、明るい白色光の下で画像生成された。
【0067】
ラット実験の後で、動物の心臓がTTCで染色されて検死が行われた。TTCは、急性の壊死を評価するための標準的な処置である。これは、テトラゾリウム塩と反応してホルマザン顔料を形成する、脱水素酵素酵素及びNADHの能力に依存する。代謝的に活性の組織は深紅色に見え、その一方で、壊死組織は白色に見えた。TTCの染色後に、損傷は、対応するROIにわたる損傷の深さを測定するために、画素強度分析の前に定義された中央の直線状ROIにおいて二分された。損傷の形態論、幅、長さ、及び深さは、肉眼的検査で決定されて記録された。
【0068】
犬の実験では、複数の心外膜の損傷の切片は、長手方向に二分され、組織学的な染色(ヘマトキシロン−エオシン)に供された。その後、標本は40倍の光顕微鏡検査の下で分析され、熱によって生じた細胞ダメージ及び壊死の程度を決定するために形態の変化が特徴づけられた。
【0069】
統計分析は、2つの独立な読み取り装置がfNADH及びTTCの染色によって損傷サイズを測定し、平均及び標準偏差を記録することを含むものであった。fNADH及びTTCの染色による損傷サイズの相関係数も取得されて記録した。
【0070】
その結果は、まず、心外膜のfNADHが損傷サイズに関連づけられたことを含む。ラットモデルにおいて、心外膜の表面における合計で12個の損傷が生成され、fNADH及びトリフェニルテトラゾリウムクロリド(TTC)の染色を用いて2つの独立な読み取り装置によって測定された(
図7A、
図7B、及び図を7C参照)。
図7Aに、典型的なfNADH画像を示し、
図7Bに、TTCの染色を使用する実際の損傷直径の測定を示す。TTCを用いた損傷の直径の長さ(上側亜画像、7A)は、対応するfNADH画像から得られた損傷の直径(下側画像、7B)と相関した。
図7Cは、損傷サイズ対アブレーション実行回数の概要のグラフを示す。すべての損傷サイズについて、心外膜のfNADHは、TTCの染色によって決定されるような実際の損傷の直径を正確に予測した。平均のNADH及びTTCの直径は、96%の相関係数で、それぞれ7.9±1.85mm及び8.2±1.95mmであった。
【0071】
ラットの心臓において、心外膜の表面で変化する深さを有する多数の損傷を得るために、温度及び損傷生成回数が変更された。その後、心外膜のfNADHの強度は、損傷の中心線に沿って複数回にわたって測定された。
図8A、
図8B、
図8C、及び
図8Dに例示的な損傷の集合を示す。上パネル(
図8A)では、
図8Cの損傷#1にわたる直線についてfNADHを示す。
図8Bは、同じ損傷にわたるTTCで染色された心臓から得られた、測定された深さを示す。
図8Dは、グラフ(
図8A)で使用されたfNADHの反転画像を示す。これは、より高い強度の反転したfNADHが、図示した損傷の深さと相関し、同様の形状を有するように実行された。
【0072】
図9及び
図10を参照すると、損傷の深さは、
図9にまとめてプロットした、反転したfNADH信号強度に比較された。さらに、損傷は、摂氏50度において10、20、30、40、及び50秒間かけてそれぞれ生成された。変化する温度で同様の比較が行われ、同様のことがわかった(
図9及び
図10を参照)。
【0073】
図11を参照すると、変化する温度及び損傷継続時間で生成された損傷を用いて、指定された温度で、複数の異なる継続時間について、線形の相関係数が取得された。
図11は、摂氏60度において、相関係数がアブレーションの継続時間に依存して0.84から0.97までの範囲を有する結果を示す。
【0074】
損傷の深さの3D再構成物は、fNADHの個々のマップから損傷にわたる5つの平行線のみを用いてグレースケールを収集し、3Dグラフ表示プログラムを用いて値をプロットすることにより、犬の心外膜の画像から取得された。
【0075】
図12A及び
図12B、
図12C及び
図12D、及び
図12E及び
図12Fは、低温による損傷(cryolesion)、ラジオ波による損傷、及び低温による複数の損傷の3D再構成物をより高い分解能でそれぞれ示す。複数の損傷を表示するプロットにおいて損傷の深さの変動が見えることに注意する。
【0076】
実験結果は、心外膜の損傷のサイズの正確な測定値として、かつ、損傷の深さの予測子として、fNADHを確認する。深さの3D再構成は、アブレーション画像を通る複数の直線に沿って上述した方法の繰り返して、その結果を組み合わせることにより可能である(
図10、
図12A、
図12B、及び図を12C参照)。
【0077】
図13Aは、例えば、クライオアブレーションカテーテルを用いて作成されたアブレーションされた損傷のfNADH画像を示し、
図13Bは、上に注意したように、同じものの拡大画像である。
図13Cは、アブレーションされた同じ損傷の3D深度再構成相関プロットを示す。主な相違は、
図12がRFAで作成されたいくつかのアブレーション損傷を含み、RFA及び低温による損傷が3Dでは異なる外観を有するということである。
【0078】
図14を参照すると、RFA損傷は、それらが周囲のより健康な心筋と比較して非常に低いか又は検知不可能なfNADHを示したので、生組織から優れた分解能で検知可能かつ識別可能であった。fNADHによって画像生成されたとき、損傷の直径は、TTCによる測定された損傷サイズ(平均のNADHの直径7.9±1.85mm、平均のTTCの直径8.2±1.95mm、相関係数[CC]96%)に正確に相関した。心外膜fNADHの強度は、TTC分析によって測定された実際の損傷の深さと逆に相関した。この関係は、最大で1.8mmの損傷の深さまでのすべてのRFA変数について79%を超えるCCで再現され(有意性p<0.0001)、それを越えると、
図14に示すように、fNADH信号強度は飽和してプラトーが生じた。
【0079】
心外膜のfNADHに対する損傷の深さの関係は、統計的有意性を有して再現可能であった。異なるサイズの複数の損傷が、RF継続時間及び温度を変化させることで、ラットの心室の心外膜に生成された。これらの複数の損傷について、fNADH信号強度を反転させて損傷の深さの分析が行われた。fNADH強度の喪失は、78%のピアソン相関係数で損傷の深さと相関し、最大で約2mmの損傷の深さまで高い有意性を有していた(p<0.0001)。2mmを超えると、関係はその有意性を失い、fNADH値にプラトーが生じた。
【0080】
いくつかの実施形態では、アブレーションされた組織及びアブレーションされていない組織の画像を生成するシステムは、
紫外線(UV)レーザ光源と、
UVレーザガイド及び画像ガイドを含む可膨張性バルーンカテーテルと、
カテーテルに接続された体外蛍光カメラと、
ディスプレイを備え、カメラに接続されたコンピュータと、
画像生成ソフトウェアとを備える。
【0081】
いくつかの実施形態では、カテーテルは、カテーテルナビゲーション、及び/又は、ラジオ波電極、レーザアブレーション能力、又はクライオアブレーション能力を含むアブレーション治療技術のためのガイドワイヤーポートをさらに含む。
いくつかの実施形態では、バルーンは、シリコーン又はウレタンのような可撓性の材料からなってもよく、330nmから370nmのUV範囲において光学的に透明であってもよく、430nmから490nmの蛍光光範囲において光学的に透明であってもよい。
【0082】
いくつかの実施形態では、損傷の深さを推定する方法は、
組織のニコチンアミドアデニンジヌクレオチド水素(NADH)蛍光データを取得して表示するステップと、
画像内の健康な組織の領域を識別するステップと、
識別された健康な組織で観察されたNADH蛍光強度に対する画像の各画素で観察されたNADH蛍光強度の比を用いて、画像全体を正規化するステップと、
アブレーションされた組織の1つ又は複数の領域を識別するステップと、
結果として得られた正規化された画像を損傷の深さに相関させるためのアルゴリズムの適用するステップとを含んでもよい。
【0083】
いくつかの実施形態では、相関アルゴリズムは、予め確立されたデータセットであるデータを使用し、正規化された強度の比を損傷の深さに相関させる。
いくつかの実施形態では、損傷の深さの推定値は、対照として患者自身の心筋のNADH蛍光を使用する。
いくつかの実施形態では、アブレーションは、以下の技術、ラジオ波アブレーション、レーザアブレーション、又はクライオアブレーションのうちの1つ又は複数を使用することで実行される。
組織は心臓の組織であってもよい。
いくつかの実施形態では、推定された損傷の深さの横断面のプロットは、ユーザによって示された直線に沿って作られる。
いくつかの実施形態では、推定された損傷の深さの3Dプロットは、一連の横断面のプロットを組み合わせることで作られる。
【0084】
いくつかの実施形態では、心房細動を治療する方法は、
肺静脈の口のような、心臓の組織の所定の領域においてNADH蛍光データを取得して表示することと、
画像にわたって損傷の深さを分析することと、
健康な心臓の組織を識別することと、
適切な損傷を識別することと、
もしあれば、不完全な損傷を識別することと、
もしあれば、虚血ゾーン(損傷しているが壊死していない組織)を識別することと、
損傷の直線における識別されたギャップを埋めるため、不完全な損傷を完全にするため、あるいは虚血ゾーンに橋状に連結するために、必要な場合、アブレーション治療を再び行うことと、
修復された組織を再取得して表示するために必要な場合、上述のステップを繰り返すことと、
残りの肺静脈、左心房の他の部分、又はさらに、上大静脈を含む右心房の特定の領域のような、心臓の他の領域に対して上述のステップを繰り返すこととを含む。
【0085】
いくつかの実施形態では、アブレーションされた心内膜の心臓筋組織、肺静脈/左心房の接合部におけるアブレーションされていないギャップ、及び近位端及び遠位端を有する損傷の深さの画像を生成するカテーテルは、
光を伝送可能な透明な流体で膨張される、UVで透明な材料からなる可膨張性の透明な可撓性又は非可撓性のバルーンであって、遠位端においてNADH蛍光の可視化を可能にするために周囲の血液を移動させるために使用されるバルーンと、
遠位端において、UV光を伝送可能なファイバを用いて肺静脈及び左心房の組織のミトコンドリアのNADHを励起する紫外線照射装置と、
遠位端において、照射された肺静脈及び左心房の組織からNADH蛍光を検出するマイクロファイバースコープと、
近位端において、マイクロファイバースコープに接続され、検出されたNADH蛍光から画像を作成する蛍光カメラであって、マイクロファイバースコープによって取り込まれた照射された肺静脈及び左心房の組織からNADH蛍光を検出するために460nm±25nmの帯域通過フィルタを含む蛍光カメラとを備え、
検出された蛍光データは、蛍光の欠如に起因した暗い外観を有する損傷部位と、正常な蛍光に起因した明るい外観を有するギャップと、損傷部位を包囲するより明るい光ぼけ型の外観を有する任意の虚血組織との生理機能を示し、
カテーテルは、損傷部位の長さにわたる直線に沿った検出された蛍光強度をプロットすることで、当該直線に沿った損傷部位の深さを決定するモジュールを備え、
最も弱い蛍光強度の測定値は損傷部位の最も深い点に対応し、最も強い蛍光はアブレーションされていない組織に対応する。
【0086】
いくつかの実施形態では、モジュールは、完全な黒色から完全な白色までの範囲を有する画素グレースケールであって、0が完全な黒色であり、最も深い点であり、255が完全な白色であり、最も浅い点であり、256(0〜255)レベルのグレーを提供する画素グレースケールを適用し、これにより、直線に沿った損傷部位の深さの2Dマップを作成する。
アブレーションされた組織の深さの2Dマップは絶対測定値であり、fNADH信号強度は、以前に確立されたfNADH/深度のグレー値スケールに正規化される。
【0087】
いくつかの実施形態では、アブレーションされた組織の深さの2Dマップは、損傷部位の幅にわたる垂直の直線に沿って複数回にわたって繰り返され、
深さの2Dマップのそれぞれは損傷部位の長さに沿った直線に平行であり、
垂直の直線において、アブレーションされた組織の深さの各2Dマップのそれぞれを統合し、
アブレーションされた組織の深さの3D画像を再構成する。
【0088】
いくつかの実施形態では、カテーテルは、柔軟なガイドワイヤーを挿入するためのガイドワイヤー管腔をさらに備える。
カメラは高い量子効率を有するCCDカメラであってもよい。
いくつかの実施形態では、マイクロファイバースコープが光学的画像生成バンドルである。
いくつかの実施形態では、UV照射は、330〜370nmの間、より具体的には355nmにおけるレーザ光源によって提供される。
いくつかの実施形態では、UV照射ファイバの先端は、UV光を屈折させて拡散するための発散レンズで覆われている。
【0089】
いくつかの実施形態では、アブレーションされた心内膜の心臓筋組織、肺静脈及び左心房の接合部におけるアブレーションされていないギャップ、及び損傷の深さのリアルタイム画像を取得する方法は、
光を伝送可能な透明な流体で膨張される、UVで透明な材料からなる可膨張性の透明な可撓性のバルーンであって、遠位端においてNADH蛍光の可視化を可能にするために周囲の血液を移動させるために使用されるバルーンと、
肺静脈及び左心房の組織のミトコンドリアNADHを励起するための紫外線の光で照射することと、
光学的画像生成バンドルを用いて、照射された肺静脈及び左心房の組織からNADH蛍光を検出することと、
検出されたNADH蛍光を460nmの帯域通過フィルタでフィルタリングすることにより、蛍光カメラで画像を作成することとを含み、
検出された蛍光データは、蛍光の欠如に起因した暗い外観を有する損傷部位と、正常な蛍光に起因した明るい外観を有するギャップと、損傷部位を包囲するより明るい光ぼけ型の外観を有する任意の虚血組織との生理機能を示し、
本方法は、損傷部位の長さにわたる直線に沿った検出された蛍光強度をプロットすることで、当該直線に沿った損傷部位の深さを決定するモジュールを備える。
最も弱い蛍光強度の測定値は損傷部位の最も深い点に対応し、最も強い蛍光はアブレーションされていない組織に対応する。
いくつかの実施形態では、モジュールは、完全な黒色から完全な白色までの範囲を有する画素グレースケールであって、0が完全な黒色であり、最も深い点であり、255が完全な白色であり、最も浅い点であり、256(0〜255)レベルのグレーを提供する画素グレースケールを適用し、これにより、直線に沿った損傷部位の深さの2Dマップを作成する。
アブレーションされた組織の深さの2Dマップは絶対測定値であり、fNADH信号強度は、以前に確立されたfNADH/深度のグレー値スケールに正規化される。
いくつかの実施形態では、アブレーションされた組織の深さの2Dマップは、損傷部位の幅にわたる垂直の直線に沿って複数回にわたって繰り返され、
深さの2Dマップのそれぞれは損傷部位の長さに沿った直線に平行であり、
垂直の直線において、アブレーションされた組織の深さの各2Dマップのそれぞれを統合し、
アブレーションされた組織の深さの3D画像を再構成する。
いくつかの実施形態では、組織のアブレーションを行うためにラジオ波、クライオアブレーション、又はレーザカテーテルが使用されている間に、照射、画像生成、および生成が実行される。
いくつかの実施形態では、照射及び画像生成は、管腔カテーテルの先端に接続され、紫外光源から照射される組織へ紫外線を伝送する光ファイバ導波路を用いて実行される。
いくつかの実施形態では、アブレーションは、ラジオ波カテーテル、クライオアブレーションカテーテル、又はレーザアブレーションカテーテルのうちの1つを用いることで実行される。
【0090】
いくつかの実施形態では、システムは遠位端及び近位端を有するカテーテルを備え、アブレーションされた肺静脈及び左心房の心臓組織と、アブレーションされていないギャップとの画像を生成し、
本システムは、
透明な流体で膨張される可膨張性の可撓性又は非可撓性のバルーンであって、遠位端においてNADH蛍光の可視化を可能にするために周囲の血液を移動させるバルーンと、
遠位端において、組織を照射するための紫外線照射装置と、
遠位端において、照射された組織を検出するマイクロファイバースコープと、
近位端において、ファイバースコープに接続され、ファイバースコープによって取り込まれた照射された組織からの紫外線放射を伝送するように構成されたフィルタを含む、2D画像を作成する蛍光カメラと、
検出された2D画像は、蛍光の欠如に起因した暗い外観を有する損傷部位と、正常な蛍光に起因した明るい外観を有するギャップと、損傷部位を包囲するより明るい光ぼけ型の外観を有する任意の虚血組織とを示し、
本システムは、
遠位端において、検出された2D画像に基づいて心臓組織のアブレーションを行うアブレーション装置と、
損傷部位の長さにわたる直線に沿った検出された蛍光強度をプロットすることで、当該直線に沿った損傷部位の深さを決定するモジュールとを備える。
最も弱い蛍光強度の測定値は損傷部位の最も深い点に対応し、最も強い蛍光はアブレーションされていない組織に対応する。
いくつかの実施形態では、モジュールは、完全な黒色から完全な白色までの範囲を有する画素グレースケールであって、0が完全な黒色であり、最も深い点であり、255が完全な白色であり、最も浅い点であり、256(0〜255)レベルのグレーを提供する画素グレースケールを適用し、これにより、直線に沿った損傷部位の深さの2Dマップを作成する。
アブレーションされた組織の深さの2Dマップは絶対測定値であり、fNADH信号強度は、以前に確立されたfNADH/深度のグレー値スケールに正規化される。
いくつかの実施形態では、アブレーションされた組織の深さの2Dマップは、損傷部位の幅にわたる垂直の直線に沿って複数回にわたって繰り返され、
深さの2Dマップのそれぞれは損傷部位の長さに沿った直線に平行であり、
垂直の直線において、アブレーションされた組織の深さの各2Dマップのそれぞれを統合し、
アブレーションされた組織の深さの3D画像を再構成する。
いくつかの実施形態では、体外のカメラに接続されたディスプレイは、検出された2D画像を示す。
いくつかの実施形態では、アブレーション装置は、近位端及び遠位端を有するアブレーションカテーテルである。
いくつかの実施形態では、アブレーションカテーテルは、レーザ伝送カテーテル、ラジオ波伝送カテーテル、又はクライオアブレーションカテーテルである。
【0091】
いくつかの実施形態では、アブレーションされた心外膜の心臓筋組織及びアブレーションされていなギャップの画像を生成するカテーテルであって、近位及び遠位端を有するカテーテルは、
心外膜の心臓筋組織のミトコンドリアNADHを励起する紫外線照射装置と、
遠位端において、照射された心外膜の心臓組織からNADH蛍光を検出するファイバースコープと、
近位端において、ファイバースコープに接続され、検出されたNADH蛍光から画像を作成する蛍光カメラであって、ファイバースコープによって取り込まれたNADH蛍光を検出するために460nmの帯域通過フィルタを含む蛍光カメラとを備え、
検出された2D画像は、蛍光の欠如に起因した暗い外観を有する損傷部位と、正常な蛍光に起因した明るい外観を有するギャップと、損傷部位を包囲するより明るい光ぼけ型の外観を有する任意の虚血組織とを示し、
本カテーテルは、損傷部位の長さにわたる直線に沿った検出及び測定された蛍光強度をプロットすることで、当該直線に沿った損傷部位の深さを決定するモジュールを備え、
最も弱い蛍光強度の測定値は損傷部位の最も深い点に対応し、最も強い蛍光はアブレーションされていない組織に対応する。
いくつかの実施形態では、モジュールは、完全な黒色から完全な白色までの範囲を有する画素グレースケールであって、0が完全な黒色であり、最も深い点であり、255が完全な白色であり、最も浅い点であり、256(0〜255)レベルのグレーを提供する画素グレースケールを適用し、これにより、直線に沿った損傷部位の深さの2Dマップを作成する。
アブレーションされた組織の深さの2Dマップは絶対測定値であり、fNADH信号強度は、以前に確立されたfNADH/深度のグレー値スケールに正規化される。
いくつかの実施形態では、アブレーションされた組織の深さの2Dマップは、損傷部位の幅にわたる垂直の直線において繰り返され、損傷の長さに沿った直線に平行であり、
垂直の直線において、アブレーションされた組織の各深さのそれぞれを統合し、
アブレーションされた組織の深さの3D画像を再構成する。
【0092】
いくつかの実施形態では、近位端及び遠位端を有し、アブレーションされた心外膜の心臓筋組織及びアブレーションされていないギャップの画像を生成するカテーテルは、
遠位端において、心外膜の心臓筋組織のミトコンドリアNADHを励起する紫外線照射装置と、
遠位端において、照射された心外膜の心臓筋組織からのNADH蛍光を検出するために460nmの帯域通過フィルタを含み、検出されたNADH蛍光から画像を作成する蛍光カメラと、
検出された蛍光データは、蛍光の欠如に起因した暗い外観を有する損傷部位と、正常な蛍光に起因した明るい外観を有するギャップと、損傷部位を包囲するより明るい光ぼけ型の外観を有する任意の虚血組織との生理機能を示し、
本カテーテルは、損傷部位の長さにわたる直線に沿った検出及び測定された蛍光強度をプロットすることで、当該直線に沿った損傷部位の深さを決定するモジュールを備える。
最も弱い蛍光強度の測定値は損傷部位の最も深い点に対応し、最も強い蛍光はアブレーションされていない組織に対応する。
いくつかの実施形態では、モジュールは、完全な黒色から完全な白色までの範囲を有する画素グレースケールであって、0が完全な黒色であり、最も深い点であり、255が完全な白色であり、最も浅い点であり、256(0〜255)レベルのグレーを提供する画素グレースケールを適用し、これにより、直線に沿った損傷部位の深さの2Dマップを作成する。
アブレーションされた組織の深さの2Dマップは絶対測定値であり、fNADH信号強度は、以前に確立されたfNADH/深度のグレー値スケールに正規化される。
いくつかの実施形態では、アブレーションされた組織の深さの2Dマップは、損傷部位の幅にわたる垂直の直線において繰り返され、損傷の長さに沿った直線に平行であり、
垂直の直線において、アブレーションされた組織の各深さのそれぞれを統合し、
アブレーションされた組織の深さの3D画像を再構成する。
【0093】
上で注意したように、本システム及び方法は、アブレーション処置の成功及び再発の回避のための少なくとも1つの態様となりうる、良質かつ検証可能な損傷を提供する。良質な損傷は、適切な深さを有してもよく、心臓以外の構造物へのダメージを最小化しながら、心臓の心内膜の面から心外膜の面へ(すなわち経壁で)完全に細胞壊死を生じさせてもよい。ここに開示したシステム及び方法は、アブレーションによって引き起こされた細胞の傷害の程度に関するフィードバックを提供し、実際に損傷の完全性を検証する。ここに開示した実施形態は、処置の際に損傷の可視化を行って損傷の深さの情報を医師に提供することで損傷の質のフィードバックの欠如に対処することにより、既知の技術の課題のうちの少なくとも一部を克服する。この情報は、適切な損傷を形成して検証する際に、蛍光透視の時間を短縮し、不整脈発生のレートを低減し、これにより、結果を改善し、コストを削減するという点で有用であることがわかるはずである。
【0094】
実施形態によれば、本開示のシステム及び方法は、NADH蛍光を用いてアブレーション中の損傷及びギャップのリアルタイムの直接的な可視化を提供する。ここに開示したシステム及び方法は、生存できないアブレーションされた心筋と生きている心筋との間の蛍光のコントラストを検出することで動作する。本開示は、処置の際に、損傷の深さの情報を医師へリアルタイムで提供する。
【0095】
本開示のいくつかの態様によれば、開示したシステム及び方法は、組織のアブレーションを行ってfNADHシステムで組織の画像を生成した後に得られた画素の強度に基づいて、損傷の深さを決定するために使用可能である。アブレーションされた損傷の深さの評価は、fNADHシステムによって提供された画像の強度を損傷の深さへ相関させることで行うことができる。このことは、相関した深さデータを、1つ又は複数の損傷の3D再構成物へ統合することができ、損傷の幾何学的形状及び質に関する適時のフィードバックを医師に与えられることを意味する。
【0096】
本開示のいくつかの態様によれば、損傷部位の深さを決定する方法が提供される。
上記方法は、
損傷部位を有する心臓組織に照射することと、
上記照射された心臓組織から、上記損傷部位にわたる第1の直線に沿って、ミトコンドリアのニコチンアミドアデニンジヌクレオチド水素(NADH)蛍光強度を取得することと、
上記NADH蛍光強度に基づいて、上記第1の直線に沿った上記損傷部位の深さの2次元(2D)マップを作成することと、
上記2Dマップから上記第1の直線に沿った選択された点における上記損傷部位の深さを決定することとを含む。
より低いNADH蛍光強度は上記損傷部位におけるより大きな深さに対応し、より高いNADH蛍光強度はアブレーションされていない組織に対応する。
【0097】
いくつかの実施形態では、上記方法は、アブレーションによって上記心臓組織において上記損傷部位を形成することをさらに含む。
上記取得するステップは、
照射された組織からのNADH蛍光を検出することと、
上記NADH蛍光から、上記損傷部位の複数の画素を含むディジタル画像を作成することと、
上記損傷部位にわたる直線に沿った複数の画素のNADH蛍光強度を決定することとを含んでもよい。
いくつかの実施形態では、上記方法は、
上記損傷部位及び健康な組織からの上記NADH蛍光の量に基づいて、上記ディジタル画像における上記損傷部位及び上記健康な組織を識別することと、
上記健康な組織を表す画素の上記NADH蛍光強度に基づいて上記ディジタル画像を正規化することとをさらに含んでもよい。
【0098】
いくつかの実施形態では、検出するステップは、約435nm及び485nmの間の帯域通過フィルタを用いて上記NADH蛍光をフィルタリングすることを含む。
いくつかの実施形態では、上記健康な組織はより明るい外観を有し、上記損傷部位はより暗い外観を有する。
上記作成するステップは、上記損傷部位にわたる直線に沿った上記NADH蛍光強度をプロットして、上記損傷部位の深さの上記2Dマップを作成することを含んでもよい。
【0099】
いくつかの実施形態では、上記方法は、
上記照射された心臓組織から、上記損傷部位にわたる第2の直線に沿って、NADH蛍光強度を取得することと、
上記NADH蛍光強度に基づいて、上記第2の直線に沿った上記損傷部位の深さの2Dマップを作成することと、
上記第1の直線に沿った2Dマップ及び上記第2の直線に沿った2Dマップから上記損傷部位の3次元(3D)画像を構成することとをさらに含む。
いくつかの実施形態では、上記取得するステップ、作成するステップ、及び決定するステップは、上記損傷部位の幅にわたる垂直直線に沿って、複数回にわたって繰り返されてもよい。
上記深さの2Dマップのそれぞれは、上記損傷部位の長さに沿った上記第1の直線に平行である。
垂直直線における上記損傷部位の深さの各2Dマップのそれぞれを統合して、上記損傷部位の深さの3D画像を再構成する。
【0100】
上記決定するステップは、完全な黒色から完全な白色までの範囲を有する画素グレースケールを適用することを含んでもよい。
上記方法は、心外膜組織、心内膜組織、心房組織、及び心室組織を分析するために使用されてもよい。
【0101】
いくつかの実施形態では、上記照射するステップは、レーザにより発生されたUV光で上記心臓組織に照射することを含む。
上記レーザにより発生されたUV光は、約300nmから約400nmの波長を有してもよい。
【0102】
本開示のいくつかの態様によれば、心臓組織の画像を生成するシステムが提供される。
上記システムは、
損傷部位を有する組織に照射して、上記組織におけるミトコンドリアのニコチンアミドアデニンジヌクレオチド水素(NADH)を励起するように構成された照射装置と、
上記照射された組織からのNADH蛍光を検出するように構成された画像生成装置と、
上記画像生成装置と通信するコントローラとを含む。
上記コントローラは、
上記照射された組織から、上記損傷部位にわたる第1の直線に沿って、NADH蛍光強度を取得することと、
上記NADH蛍光強度に基づいて、上記第1の直線に沿った上記損傷部位の深さの2次元(2D)マップを作成することと、
上記2Dマップから上記第1の直線に沿った選択された点における上記損傷部位の深さを決定することとを行うようにプログラミングされる。
より低いNADH蛍光強度は上記損傷部位におけるより大きな深さに対応し、より高いNADH蛍光強度はアブレーションされていない組織に対応する。
【0103】
本開示のいくつかの態様によれば、心臓組織の画像を生成するシステムが提供される。
上記システムは、
遠位領域及び近位領域を有するカテーテルと、
光源と、
上記光源から上記カテーテルの遠位領域へ延在する光ファイバであって、上記カテーテルの遠位端の近傍における損傷部位を有する組織に照射して、上記組織におけるミトコンドリアのニコチンアミドアデニンジヌクレオチド水素(NADH)を励起する光ファイバと、
上記照射された組織からのNADH蛍光を検出する画像バンドルと、
画像バンドルに接続されたカメラであって、上記照射された組織からの上記NADH蛍光を受信し、上記照射された組織の複数の画素を含むディジタル画像を生成するように構成されたカメラと、
上記カメラと通信するコントローラとを含む。
上記コントローラは、
上記ディジタル画像から、上記損傷部位にわたる第1の直線に沿った複数の画素のNAHD蛍光強度を決定することと、
上記NADH蛍光強度に基づいて、上記第1の直線に沿った上記損傷部位の深さの2Dマップを作成することと、
上記2Dマップから上記第1の直線に沿った選択された点における上記損傷部位の深さを決定することとを行うように構成される。
より低いNADH蛍光強度は上記損傷部位におけるより大きな深さに対応し、より高いNADH蛍光強度はアブレーションされていない組織に対応する。
【0104】
心房細動(AF)を治療するためのシステム、カテーテル、及び方法が提供される。
UV照射源及びUVを伝送可能なファイバを備え、バルーンによってガイドされたカテーテルと、NADH蛍光を検出する画像生成バンドル及び光学的帯域通過フィルタに接続された蛍光を検出可能なカメラとを用いて、心臓組織における内在性NADH(fNADH)の蛍光画像が生成され、アブレーションされた領域及びアブレーションされていない領域が識別される。fNADH画像生成を用いて、アブレーションされた領域間のギャップを識別することができ、次に、このギャップのアブレーションを行うことができる。fNADH画像のグレースケール表示を用いて、アブレーションされた損傷の深さが予測され、不適切な深さの損傷に追加の損傷を生じさせることができる。画像生成は、アブレーション処置の間に実行可能であり、造影剤、トレーサ、又は染料のような、追加の化学薬品を必要としない。
【0105】
以上の開示は、単に、本開示の様々な非限定的な実施形態を説明するために示され、限定することを意図していない。本開示の精神及び物質を組み込んだ本開示の実施形態の修正が当業者によって考えられてもよいので、ここに開示した実施形態は、添付した特許請求の範囲及びその等価物の範囲内のすべてを含むように解釈されるべきである。