(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-185521(P2020-185521A)
(43)【公開日】2020年11月19日
(54)【発明の名称】混合器
(51)【国際特許分類】
B01F 7/18 20060101AFI20201023BHJP
B01F 15/00 20060101ALI20201023BHJP
A47J 43/28 20060101ALI20201023BHJP
【FI】
B01F7/18 B
B01F15/00 B
A47J43/28
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2019-90865(P2019-90865)
(22)【出願日】2019年5月13日
(71)【出願人】
【識別番号】506204047
【氏名又は名称】プラスワン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100181928
【弁理士】
【氏名又は名称】日比谷 洋平
(74)【代理人】
【識別番号】100075948
【弁理士】
【氏名又は名称】日比谷 征彦
(72)【発明者】
【氏名】青木 尊利
【テーマコード(参考)】
4B053
4G037
4G078
【Fターム(参考)】
4B053AA03
4B053CA01
4B053CB01
4B053CB02
4G037DA21
4G037EA04
4G078AB09
4G078BA05
4G078BA09
4G078CA01
4G078CA25
4G078DA01
4G078DB10
(57)【要約】
【課題】手動により容易に米飯及び具材等を満遍なく攪拌できる混合器を提供する。
【解決手段】混合器1は、有底の筒状体から成る容器部2と、容器部2の上面に載置する中蓋部3と、この中蓋部3を覆うように容器部2に嵌合する主蓋部4とから構成されている。中蓋部3は、容器部2の周縁部23に接する円板材31と、この円板材31に下方に平行して配置された3個の攪拌板32とから構成されている。容器部2に対して主蓋部4を回転させると、容器部2内の米飯と具材は中蓋部3の3個の攪拌板32a〜32cにより攪拌され、米飯中に具材が混ぜ合わされる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
有底の筒部を有する容器部と、該容器部に嵌合する蓋部とから構成され、前記容器部と前記蓋部とが嵌合状態において相対的に回転可能な混合器であって、
前記蓋部の裏面には、複数の攪拌板が前記裏面の垂直方向に向けて平行して配置されていることを特徴とする混合器。
【請求項2】
前記蓋部は表面側に突出する握り部を有し、該握り部の外壁は、前記筒部の内壁に挿入可能な形状であることを特徴とする請求項1に記載の混合器。
【請求項3】
前記蓋部は、前記容器部の上面に載置する中蓋部と、該中蓋部を内部に係止し、前記容器部に嵌合する主蓋部とから構成され、
前記中蓋部には、円板材と、該円板材に取り付けられた前記複数の攪拌板とを有することを特徴とする請求項1又は2に記載の混合器。
【請求項4】
前記円板材は係止部を備え、前記主蓋部は被係止部を備え、前記係止部と前記被係止部を係止することで、前記中蓋部と前記主蓋部とが一体化することを特徴とする請求項3に記載の混合器。
【請求項5】
前記複数の攪拌板は長方形状の水平断面を有し、前記攪拌板の水平断面の反時計廻り側に配置された端部は、前記円板材の中心からそれぞれ異なる半径距離になるように配置されていることを特徴とする請求項3又は4に記載の混合器。
【請求項6】
前記複数の攪拌板の長方形状の水平断面は、前記蓋部の回転方向に対して、それぞれ異なる角度を付していることを特徴とする請求項5に記載の混合器。
【請求項7】
前記複数の攪拌板のうちの少なくとも2つ以上の攪拌板は、前記長方形状の水平断面が平行になるように配置されていることを特徴とする請求項5又は6に記載の混合器。
【請求項8】
前記複数の攪拌板は長方形状の水平断面を有し、全ての前記攪拌板の水平断面が平行に配置され、かつ全ての攪拌板が一直線上に配置されていることを特徴とする請求項3又は4に記載の混合器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、米飯等を手動で攪拌する混合器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、米飯をおにぎりに成型可能な成型具が開示されている。このおにぎり成型具を用いることで、均一の形状のおにぎりを容易に作ることが可能である。また、ふりかけや鮭フレーク等を米飯中に混ぜ込んだおにぎりは一般に好評である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012−55273号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1の成型具では、ふりかけ等を表面にまぶしたおにぎりを成型することができても、ふりかけ等の具材を米飯中に満遍なく混ぜたおにぎりを成型することは難しい。
【0005】
具材を十分に攪拌していないおにぎりでは、例えば表面は具材の多い濃い味付けとなり、内側は具材のない薄い味付けとなってしまい、味の濃さにばらつきが生ずるという問題がある。
【0006】
本発明の目的は、上述の課題を解決し、容易に米飯及び具材等を満遍なく混合が可能な混合器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するための本発明に係る混合器は、有底の筒部を有する容器部と、該容器部に嵌合する蓋部とから構成され、前記容器部と前記蓋部とが嵌合状態において相対的に回転可能な混合器であって、前記蓋部の裏面には、複数の攪拌板が前記裏面の垂直方向に向けて平行して配置されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る混合器によれば、中心から異なる位置に配置した複数の攪拌板により、主蓋部を手動で回転させることで、容器部内の米飯の主食材と、具材等から成る添加食材とを攪拌によって、均一に混ぜ合わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施例1の混合器の分離した状態の斜視図である。
【
図5】実施例2の混合器の分離した状態の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明を図示の実施例に基づいて詳細に説明する。
【実施例1】
【0011】
図1は実施例1の分離した状態の混合器の斜視図であり、
図2は混合器の斜視図である。混合器1はポリピロピレン、PET樹脂、シリコン樹脂等の硬質又は軟質で、例えば透明の合成樹脂材から成り、直径が10cm程度、高さ5cm程度の大きさである。
【0012】
混合器1に透明な合成樹脂材を採用することで、後述する主食材及び添加食材の攪拌を容易に目視することができる。また、おにぎり等の大きさに応じて、混合器1は適宜のサイズを選択することができる。
【0013】
混合器1は上方を開放し有底の筒状体から成る容器部2と、容器部2の上部に載置する中蓋部3と、この中蓋部3を内部に係止し、容器部2に嵌合する主蓋部4とから構成されている。
【0014】
容器部2の水平断面形状は例えば略三角形とされ、容器部2は、筒部21と、この筒部21の下端に設けた底部22と、筒部21の上端に設けられフランジ状の円形の周縁部23とから構成されている。筒部21の底面中央には、図示しない例えば2本の切込みが形成されていて、底部22の外側から切込みの間を内側に押し込みができるようにされている。
【0015】
そして、筒部21の内壁には多数の縦溝24が形成され、筒部21の外壁には、滑り止め用の複数の凸条部25が縦方向に設けられている。なお、縦溝24と凸条部25とが異なった形状を図示しているが、個々の凸条部25の裏側を縦溝24とすることもできる。
【0016】
中蓋部3は、容器部2の周縁部23に接する円板材31と、この円板材31の垂直方向下方に向けて平行に配置された例えば3個の攪拌板32とから構成されている。円板材31の周縁の2個所には、一対の切欠状の係止部33が円板材31の中心点を通る対称位置に設けられている。
【0017】
主蓋部4は、表面側である上方に突出する略三角形状の握り部41と、この握り部41の下端と段差状に連続し、中蓋部3を内側に係止可能であって、容器部2に嵌合するカバー部42とから構成されている。
【0018】
図3は裏返した中蓋部3と主蓋部4の斜視図であり、
図4は中蓋部の平面図である。中蓋部3に設けられた3個の攪拌板32は同形状の板材であり、細長い略直方体とされている。また、攪拌板32の両表面には、多数の縦溝34が設けられている。
【0019】
図4に示すように中蓋部3を上方から見た際に、3個の攪拌板32a〜32cの反時計廻り側の端部が、円板材31の中心からそれぞれ異なる半径距離であるr1〜r3になるように位置決めされている。また、攪拌板32aと32cは長方形状の水平断面が平行に配置されている。
【0020】
握り部41の外壁は円形とされ、容器部2の筒部21の円形の周縁部23に隙間なく挿入可能な形状とされている。カバー部42の段差状の内側面には、中蓋部3の一対の切欠状の係止部33を係止する一対の凸条形状をした被係止部43が設けられている。
【0021】
また実施例1では、中蓋部3と主蓋部4とを別体として説明したが、分割不可とする一体化した1つの蓋部としてもよい。このような場合は、蓋部の裏面に、裏面の垂直方向に向けて攪拌板32a〜32cが配置されることになる。
【0022】
なお実施例1のように、中蓋部3と主蓋部4とを別体にすることで洗浄し易くなり、また中蓋部3を硬質の樹脂材を採用し、容器部2及び主蓋部4をシリコン樹脂等の軟質の合成樹脂材を採用することもできる。
【0023】
この混合器1の使用に際しては、先ず容器部2内に開口部に達する程度の量の例えば米飯と、米飯中に混ぜるべき具材とを共に入れる。そして、中蓋部3の攪拌板32を米飯中に挿入する。
【0024】
続いて、中蓋部3上に主蓋部4を被せて、係止部33を被係止部43に係止させることで、中蓋部3と主蓋部4とを一体化して1つの蓋部とする。このように、容器部2の上部を主蓋部4が覆うようにして、
図2に示すように容器部2と主蓋部4とが嵌合状態において、相対的に回転可能な状態にする。
【0025】
更に、容器部2の筒部21を一方の手で掴み、主蓋部4の握り部41を他方の手で掴み、容器部2に対して主蓋部4を相対的に円周方向に回転させる。これにより、容器部2内の米飯と具材とは、中蓋部3の3個の攪拌板32a〜32cにより攪拌され、米飯中に具材が混ぜ合わされる。
【0026】
また、攪拌板32a〜32cの中心から異なる距離による配置により、米飯は固定位置のみにおける攪拌ではなく、満遍なく攪拌することになる。また、攪拌板32a〜32cの長方形状の水平断面が主蓋部4の回転方向に対して、それぞれ異なる角度とされていることにより、米飯が外側方向又は内側方向に無作為に寄せられるので、更に混合が良好になる。
【0027】
主蓋部4を容器部2に対して数回、回転させることにより、具材を十分に米飯内に混合させることができる。その後に、主蓋部4及び中蓋部3を容器部2から取り外した後に、主蓋部4を裏返して、握り部41を容器部2の筒部21内の米飯中に押し込む。
【0028】
このように、具材が混ぜ合わされた米飯が入っている容器部2の筒部21内に、握り部41を押し込むことで、米飯が押圧され、型崩れのないおにぎりを成型することができる。
【0029】
十分に米飯を押圧した後に、主蓋部4を取り外し、容器部2を逆さまにして、前述の底部22の切込み間を指で押圧することで、おにぎりを容器部2から容易に押し出すことができる。この場合に、容器部2の内壁には縦溝24が形成されているので、容器部2に米飯が残留することない。
【0030】
使用後に、混合器1の中蓋部3を洗浄する際には、長方形状の水平断面を平行に配置した攪拌板32a及び攪拌板32cがスポンジ等の清掃具が引っ掛かり難い配置であるため、洗浄が容易となる。
【実施例2】
【0031】
図5は実施例2の混合器1’を分離した状態の斜視図、
図6は混合器1’の斜視図である。
図7は裏返した中蓋部3’と主蓋部4’の分解斜視図であり、
図8は、中蓋部3’の平面図である。なお、実施例1と同一の符号は同一の部材を示しており、符号の’は実施例2の部材である。
【0032】
実施例2の容器部2は実施例1の容器部2と同一であり、蓋部を構成する中蓋部3’及び主蓋部4’が実施例1の中蓋部3及び主蓋部4と相異する。実施例1においては、中蓋部3の係止部33を主蓋部4の被係止部43に係止させることで、中蓋部3と主蓋部4とを一体化しているのに対して、実施例2においては、中蓋部3’の係止部33’を主蓋部4’の被係止部43’に挿入することにより係止されている。
【0033】
中蓋部3’の攪拌板32a’〜32c’は、実施例1の攪拌板32と同様に、円板材31の垂直方向に向けて平行に配置されている。また、攪拌板32’の両表面には、多数の縦溝34が設けられている。
【0034】
しかし、実施例1の混合器1は、攪拌板32a、32cのみが長方形状の水平断面が平行に配置されているのに対して、実施例2の混合器1は、攪拌板32a’〜32c’の全てにおいて、水平断面が平行に配置され、かつ一直線上に配置されている。
【0035】
中蓋部3’の係止部33’は、円板材31の周囲の3個所に等間隔で配置され、中蓋部3’の周縁から立ち上げられた突起部33aと、この突起部33aの内側に設けられた円弧状の平板部33bとから構成されている。また、突起部33aの側壁には凸片33cが設けられている。
【0036】
主蓋部4’の被係止部43’は、中蓋部3’の係止部33’の対応個所に設けられており、突起部33aを受け入れる孔部43aと、その内側に設けられた円弧状の壁面43bとを有している。
【0037】
中蓋部3’の突起部33aを主蓋部4’の孔部43aに押し込むように挿入すると、平板部33bが壁面43bを押圧しながら、孔部43aの縁に凸片33cが引っ掛かる。このようにして、係止部33’を被係止部43’に挿入することにより一体化し、この連結状態を保持しながら、容器部2に対し回転を行うことができる。
【0038】
なお、攪拌板32a’〜32c’を
図8に示すように配置することで、米飯と具材との混合性能は実施例1の中蓋部3に比較して、稍々低下する。しかし、使用後に中蓋部3’を洗浄する際に、実施例2のように平行に配置された攪拌板32a’〜32c’は、実施例1の中蓋部3に比べて、スポンジ等の清掃具が引っ掛かり難い配置であるため、洗浄がより容易となる。
【0039】
実施例1の混合器1と同様に、実施例1の混合器1’を使用し、使用後に、中蓋部3’及び主蓋部4’を洗浄するために、係止状態を解除する場合は、突起部33aを上方から押圧することで、凸片33cによる引っ掛かりが解除されると同時に、平板部33bの壁面43bへの反発力により容易に主蓋部4’から中蓋部3’が分離する。
【0040】
このように実施例1、2に係る混合器1、1’によれば、中心から異なる位置に配置した複数の攪拌板32、32’により、中蓋部3、3’及び主蓋部4、4’が一体化した蓋部を回転させることで、容器部内の米飯等の主食材と、具材等から成る添加食材とが攪拌されて、均一になるように混ぜ合わせることができる。
【0041】
なお、実施例1、2では、主食材を米飯、添加食材を具材として説明したが、それ以外に主食材を挽肉、添加食材を玉葱等としたハンバーグ等の様々な食材に対しても使用することができる。
【符号の説明】
【0042】
1 混合器
2 容器部
3、3’ 中蓋部
4、4’ 主蓋部
31 円板材
32、32’、32a、32a’、32b、32b’、32c、32c’ 攪拌板
33、33’ 係止部
43、 43’ 被係止部