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特開2020-185847インホイールモータ駆動装置用センサ取付構造
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-185847(P2020-185847A)
(43)【公開日】2020年11月19日
(54)【発明の名称】インホイールモータ駆動装置用センサ取付構造
(51)【国際特許分類】
   B60K 7/00 20060101AFI20201023BHJP
【FI】
   B60K7/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2019-90604(P2019-90604)
(22)【出願日】2019年5月13日
(71)【出願人】
【識別番号】000102692
【氏名又は名称】NTN株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001586
【氏名又は名称】特許業務法人アイミー国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】太向 真也
(72)【発明者】
【氏名】田村 四郎
【テーマコード(参考)】
3D235
【Fターム(参考)】
3D235BB20
3D235BB25
3D235CC42
3D235GA04
3D235GA12
3D235GA32
3D235GA63
3D235GA68
3D235GB08
3D235GB22
3D235HH02
3D235HH12
3D235HH16
(57)【要約】
【課題】インホイールモータ駆動装置のために、耐久性および組立性に優れたセンサ取り付け構造を提供する。
【解決手段】インホイールモータ駆動装置用センサ取付構造は、インホイールモータ駆動装置10の外郭をなす本体ケーシング39の内部に配線されるセンサケーブル64fと、センサケーブル64fの先端に設けられるケーブル側カプラ63と、ケーシングの内部状態を検出する検出部を含みケーブル側カプラ63に嵌合接続するセンサ一体型カプラ62とを備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インホイールモータ駆動装置の外郭をなすケーシングの内部に配線されるセンサケーブルと、
前記センサケーブルの先端に設けられるケーブル側カプラと、
前記ケーシングの内部状態を検出する検出部を含み、前記ケーブル側カプラに嵌合接続するセンサ一体型カプラとを備える、インホイールモータ駆動装置用センサ取付構造。
【請求項2】
前記センサ一体型カプラはブラケット部をさらに含み、
前記ブラケット部は前記ケーシングの内壁面あるいは前記内壁面に立設される仕切壁に連結される、請求項1に記載のインホイールモータ駆動装置用センサ取付構造。
【請求項3】
前記センサケーブルは、前記仕切壁を貫通する開口部を通過して延び、
前記ケーブル側カプラの断面形状は、前記開口部よりも小さい、請求項2に記載のインホイールモータ駆動装置用センサ取付構造。
【請求項4】
前記センサケーブルの末端は、前記ケーシングを貫通するように設けられる信号取出部に接続され、
前記センサケーブルは、前記先端から前記末端まで継ぎ目なく延びる、請求項1〜3のいずれかに記載のインホイールモータ駆動装置用センサ取付構造。
【請求項5】
前記検出部は温度センサであり、
前記センサ一体型カプラは、前記ケーシングの内部に設けられるオイル貯留部に配置される、請求項1〜4のいずれかに記載のインホイールモータ駆動装置用センサ取付構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車輪のロードホイール内空領域に配置されて当該車輪を駆動するインホイールモータ駆動装置に関し、特にインホイールモータ駆動装置内部のセンサケーブルのコネクタ構造に関する。
【背景技術】
【0002】
回転電機の内部に温度センサを取り付ける構造として例えば、特開2016−059131号公報(特許文献1)に記載の技術が知られている。
【0003】
特許文献1は、車両の駆動用や発電用のモータジェネレータとして用いられる回転電機に関し、回転電機のモータケース内に温度センサが取り付けられ、当該温度センサから延びるワイヤハーネスの途中箇所に中継コネクタと称するワイヤハーネス固定部材が設けられる。ワイヤハーネス固定部材(中継コネクタ)はワイヤハーネスの全外周に固定されるブロック体である。モータケース内に配置される冷却パイプにはブラケットが固定される。ブラケットは、ワイヤハーネス固定部材(中継コネクタ)が挿入固定される凹部を有する。ワイヤハーネス固定部材(中継コネクタ)がブラケットに固定されることによって、ワイヤハーネスの途中箇所はモータケース内に固定され、ワイヤハーネスの自由な屈曲が規制される。
【0004】
特許文献1の配線作業は、モータケースのケース本体にカバーを組み付ける前に実行され、次の組み付け作業の際にワイヤハーネスがカバーと冷却用パイプの間に挟まれることを防止できるというものである。
【0005】
特許文献1のモータケースには、ワイヤハーネスをモータケース内から外部へ引き出すための引き出し部が設けられる。かかる引き出し部にワイヤハーネスの末端が接続される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2016−059131号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1のセンサ取付構造を、インホイールモータ駆動装置に適用する場合、新たな問題が生じることを本発明者は見いだした。つまりインホイールモータ駆動装置は、車輪とともに、電動車両のサスペンション装置のばね下側に連結され、路面の凹凸に追従する等の理由により、従来の回転電機よりも大きく振動する。このため、インホイールモータ駆動装置内部に固定されるワイヤハーネスも、従来よりも大きく振動する。特許文献1記載のワイヤハーネス配線構造をインホイールモータ駆動装置に適用すると具体的には、引き出し部からワイヤハーネス固定部材(中継コネクタ)までの区間と、ワイヤハーネス固定部材(中継コネクタ)から温度センサまでの区間が大きく振動する。そうすると、ワイヤハーネス先端と温度センサの接続箇所や、ワイヤハーネス固定部材(中継コネクタ)に固定されるワイヤハーネス途中箇所でワイヤハーネスに応力集中が生じて、ワイヤハーネスが損傷する虞がある。
【0008】
またインホイールモータ駆動装置は、車輪のロードホイール内空領域に配置可能な寸法まで小型化されている。このため、インホイールモータ駆動装置の外郭をなすケーシングの内部空間が狭小であり、センサ取付およびケーブル配線のために十分な余裕代がない。
【0009】
さらにインホイールモータ駆動装置は、モータ部以外に車輪ハブ軸受部等の機械要素を備え、電動車両のサスペンション装置に連結されることから、ケーシングの形状が複雑となり、ケーシング内部の配線作業が煩雑になる。特許文献1記載のワイヤハーネス配線構造はワイヤハーネスの途中箇所にブロック状のワイヤハーネス固定部材(中継コネクタ)を設けることから、当該途中箇所の寸法が大きくなってしまい、ワイヤハーネスの取り回しおよび配線の自由度が損なわれてしまう。
【0010】
本発明は、上述の実情に鑑み、インホイールモータ駆動装置の内部に取り付けられるセンサおよびセンサケーブルに関し、耐久性および組立性において従来よりも改良されたセンサ取付構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この目的のため本発明によるインホイールモータ駆動装置用センサ取付構造は、インホイールモータ駆動装置の外郭をなすケーシングの内部に配線されるセンサケーブルと、センサケーブルの先端に設けられるケーブル側カプラと、ケーシングの内部状態を検出する検出部を含みケーブル側カプラに嵌合接続するセンサ一体型カプラとを備える。
【0012】
かかる本発明によれば、センサケーブルの先端にケーブル側カプラが設けられ、センサの検出部がカプラに一体に設けられる。これによりセンサケーブルの途中箇所には、従来のワイヤハーネス固定部材のようなブロック体を固定する必要がなくなり、センサケーブルの配線作業を容易に行うことができる。また従来のようにセンサケーブルの先端にセンサ本体を分離不能に設けた構造と比較して、センサケーブル先端部を小型化することが可能になり、センサケーブルの配線作業を容易に行うことができる。
【0013】
またセンサケーブルの途中箇所を従来のワイヤハーネス固定部材で固定することによって、インホイールモータ駆動装置10に特有の過大な振動を原因とする応力集中が、センサケーブルの途中箇所に作用することを回避することができる。なお、ケーブル側カプラとセンサ一体型カプラの嵌合は、特に限定されないが、例えばプッシュプル嵌合である。これによりケーブル側カプラおよびセンサ一体型カプラのいずれか一方は、残る他方に抜き差しされることにより、嵌合したり分離したりする。またセンサケーブルの途中箇所はクリップで係止されてもよい。センサケーブルの途中箇所がクリップで挟まれることにより、かかる相対箇所はクリップに対し若干の相対移動が可能である。
【0014】
本発明の一局面として、センサ一体型カプラはブラケット部をさらに含み、ブラケット部はケーシングの内壁面あるいは内壁面に立設される仕切壁に連結される。かかる局面によれば、センサ一体型カプラがケーシングに固定されるので、センサ一体型カプラに嵌合すればセンサケーブル先端は自ずと固定される。したがってセンサケーブルの配線作業を一層容易に行うことができる。他の局面として、ケーブル側カプラがブラケット部を含んでいてもよい。
【0015】
本発明の好ましい局面として、センサケーブルはケーシング仕切壁を貫通する開口部を通過して延び、ケーブル側カプラの断面形状は仕切壁開口部よりも小さい。かかる局面によれば、センサケーブルの配線作業を益々容易に行うことができる。
【0016】
本発明のさらに好ましい局面として、センサケーブルの末端はケーシングを貫通するように設けられる信号取出部に接続され、センサケーブルは先端から末端まで継ぎ目なく延びる。かかる局面によれば、センサケーブルの耐久性が向上する。なおセンサケーブル末端とケーシングの信号取出部の接続構造は、端子ボックスで包囲されるねじ止め式であってもよいし、あるいはコネクタ式であってよいし、特に限定されない。
【0017】
センサ一体型カプラの検出部が検出する対象は特に限定されない。本発明の一局面として、検出部は温度センサであり、センサ一体型カプラはケーシングの内部に設けられるオイル貯留部に配置される。かかる局面によれば、オイルの油温を逐一計測することができる。他の局面として、センサ一体型カプラはインホイールモータ駆動装置のモータ部に配置されてもよい。
【発明の効果】
【0018】
このように本発明によれば、ケーシング内部でセンサケーブルの途中部分を固定する必要がなく、振動による応力集中を回避してセンサケーブルの耐久性が向上する。またセンサケーブルの途中部分に嵌合部材を設ける必要がなく、センサケーブルの配線作業が容易になり、組立性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】インホイールモータ駆動装置を示す展開断面図である。
図2】本発明の一実施形態になるセンサ取付構造を示す横断面図である。
図3】同実施形態を示す模式的な縦断面図である。
図4】同実施形態からセンサ一体型コネクタを取り出して示す図である。
図5】同実施形態からセンサ一体型コネクタを取り出して示す図である。
図6】本発明の他の実施形態になるセンサ取付構造を示す横断面図である。
図7】同実施形態を示す模式的な縦断面図である。
図8】モータ部のステータの一端を取り出して示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態を、図面に基づき詳細に説明する。図1は、本発明のセンサ取付構造が取り付けられるインホイールモータ駆動装置の一例を示す展開断面図である。図2は、同実施形態を示す全体図であり、車幅方向外側からインホイールモータ駆動装置を見た状態を表す。発明の理解を容易にするため図2では、紙面手前側のケーシングおよび車輪ハブ軸受部を取り除き減速部の内部構造を表す。
【0021】
まずインホイールモータ駆動装置10の概略を説明すると、図1に示すようにインホイールモータ駆動装置10は、車輪の中心に設けられる車輪ハブ軸受部11と、車輪を駆動するモータ部21と、モータ部21の回転を減速して車輪ハブ軸受部11に伝達する減速部31とを備える。インホイールモータ駆動装置10は、図示しないサスペンション装置を介して、電動車両の車体に連結される。
【0022】
モータ部21は、車輪ハブ軸受部11の軸線Oからずらして配置される。減速部31は、軸線Oおよびモータ部21の軸線Mに跨って設けられる。軸線Oは車幅方向に延び、車軸に一致する。軸線O方向位置に関し、車輪ハブ軸受部11はインホイールモータ駆動装置10の軸線方向一方(車幅方向外側、あるいはアウトボード側ともいう)に配置され、モータ部21はインホイールモータ駆動装置10の軸線方向他方(車幅方向内側、あるいはインボード側ともいう)に配置される。減速部31はモータ部21よりも軸線方向一方に配置され、減速部31の軸線方向位置が車輪ハブ軸受部11の軸線方向位置と重なる。
【0023】
車輪は、図2に示すロードホイールWの外周にタイヤ(図略)を装着したものである。インホイールモータ駆動装置10はロードホイールWの内空領域に配置される。車輪ハブ軸受部11および減速部31はロードホイールWの内空領域に収容される。モータ部21はロードホイールWの内空領域から軸線方向他方(インボード側)に突出するが、図示しない変形例としてモータ部21はロードホイールWの内空領域に収容されてもよい。
【0024】
車輪ハブ軸受部11は、回転内輪・固定外輪とされ、ロードホイールWと結合する回転輪(ハブ輪)としての内輪12と、内輪12の外径側に同軸に配置される固定輪としての外輪13と、内輪12と外輪13との間の環状空間に配置される複数の転動体14を有する。
【0025】
図1を参照して、外輪13にはボルト19等の結合手段によって本体ケーシング39の正面部分39fに取付固定される。正面部分39fは、本体ケーシング39のうち減速部31の軸線O方向一方端を覆うケーシング壁部である。内輪12、外輪13、および転動体14は、鋼製であり、電動車両の車重を支持する。
【0026】
モータ部21は、モータ回転軸22、ロータ23、ステータ24、およびモータケーシング29を有し、この順序でモータ部21の軸線Mから外径側へ順次配置される。モータ部21は、インナロータ、アウタステータ形式のラジアルギャップモータであるが、他の形式の電動モータであってもよい。例えば図示しなかったがモータ部21はアキシャルギャップモータであってもよい。モータケーシング29はステータ24の外周を包囲する。モータケーシング29の軸線M方向一方端は、減速部31の本体ケーシング39の背面部分39bと結合する。モータケーシング29の軸線M方向他方端は、板状のモータケーシングカバー29vで封止される。背面部分39bは、本体ケーシング39のうち減速部31の軸線O方向他方端を覆うケーシング壁部である。本実施形態のモータ部21は三相交流電気モータであるが、単相モータであってもよいし、あるいは直流モータあってもよい。
【0027】
本体ケーシング39、モータケーシング29、およびモータケーシングカバー29vは、インホイールモータ駆動装置10の外郭をなすケーシングを構成し、単にケーシングともいう。このケーシングはアルミニウム、あるいはアルミニウム合金製である。これに対し、ケーシングの内部部品、特に後述する歯車、回転軸、および軸受は、鋼製である。
【0028】
モータ回転軸22の両端部は、転がり軸受27,28を介して、本体ケーシング39の背面部分39bと、モータ部21のモータケーシングカバー29vに回転自在にそれぞれ支持される。
【0029】
モータ回転軸22およびロータ23の回転中心になる軸線Mは、車輪ハブ軸受部11の軸線Oと平行に延びる。つまりモータ部21は、車輪ハブ軸受部11の軸線Oから離れるようオフセットして配置される。例えば図2に示すようにモータ部の軸線Mは、軸線Oから車両前後方向にオフセットして、具体的には軸線Oよりも車両前方、に配置される。
【0030】
減速部31は、図1に示すようにモータ部21のモータ回転軸22と同軸に結合する入力軸32と、入力軸32の外周面に同軸に設けられる入力歯車33と、複数の中間歯車34,36と、これら中間歯車34,36の中心と結合する中間軸35と、車輪ハブ軸受部11の内輪12に連結される出力軸38と、出力軸38の外周面に同軸に設けられる出力歯車37と、これら複数の歯車および回転軸を収容する本体ケーシング39を有する。本体ケーシング39は減速部31の外郭をなすことから減速部ケーシングともいう。
【0031】
入力歯車33は外歯のはすば歯車である。入力軸32は中空構造であり、入力軸32の中空孔32hにモータ回転軸22の軸線方向一方端部22eが差し込まれて相対回転不可能にスプライン嵌合(セレーションも含む、以下同じ)する。入力軸32は入力歯車33の両端側で、転がり軸受32a,32bを介して、本体ケーシング39の正面部分39fおよび背面部分39bに回転自在にそれぞれ支持される。
【0032】
減速部31の中間軸35の回転中心になる軸線Nは軸線Oと平行に延びる。中間軸35の両端は、転がり軸受35a,35bを介して、本体ケーシング39の正面部分39fおよび背面部分39bに回転自在に支持される。中間軸35の軸線N方向他方端部には、第1中間歯車34が同軸に設けられる。中間軸35の軸線N方向中央領域には、第2中間歯車36が同軸に設けられる。なお図1に示す展開断面図は、軸線M、Nを含む平面と、軸線N,Oを含む平面で、インホイールモータ駆動装置10を切断した切断面を表す。
【0033】
第1中間歯車34および第2中間歯車36は、外歯のはすば歯車であり、第1中間歯車34の径が第2中間歯車36の径よりも大きい。大径の第1中間歯車34は、第2中間歯車36よりも軸線N方向他方側に配置されて、小径の入力歯車33と噛合する。小径の第2中間歯車36は、第1中間歯車34よりも軸線N方向一方側に配置されて、大径の出力歯車37と噛合する。
【0034】
中間軸35の軸線Nは、図2に示すように、軸線Oおよび軸線Mよりも上方に配置される。また中間軸35の軸線Nは、軸線Oよりも車両前方、軸線Mよりも車両後方に配置される。1本の中間軸35を備える減速部31は、車両前後方向に間隔を空けて配置されて互いに平行に延びる軸線O,N,Mを有する3軸の平行軸歯車減速機であり、2段階で減速される。なお図示しない変形例として減速部31は、複数の中間軸を有する多段階の平行軸歯車減速機であってもよい。
【0035】
出力歯車37は外歯のはすば歯車であり、出力軸38の軸線O中央部に同軸に設けられる。出力軸38は軸線Oに沿って延びる。図1に示すように出力軸38の軸線O方向一方端部は、内輪12の中心孔に差し込まれて相対回転不可能に嵌合する。出力軸38の軸線O方向中央部は、内輪12の軸線O方向他方端部によりも外径側で転がり軸受38aを介して、本体ケーシング39の正面部分39fに回転自在に支持される。出力軸38の軸線O方向他方端部は、転がり軸受38bを介して、本体ケーシング39の背面部分39bに回転自在に支持される。
【0036】
減速部31は、小径の駆動歯車と大径の従動歯車の噛合、即ち入力歯車33と第1中間歯車34の噛合、また第2中間歯車36と出力歯車37の噛合、により入力軸32の回転を減速して出力軸38に伝達する。減速部31の入力軸32から出力軸38までの回転要素は、モータ部21の回転を車輪ハブ軸受部11の内輪12に伝達する駆動伝達経路を構成する。
【0037】
本体ケーシング39は、これまで説明した正面部分39fおよび背面部分39bが付き合わされて筒状空間を区画する。当該筒状空間は、互いに平行に延びる軸線O、N、Mを取り囲むように減速部31の内部部品を覆う。板状の正面部分39fは、減速部31の内部部品を軸線方向一方側から覆い、筒状空間の一方端を覆う。板状の背面部分39bは、減速部31の内部部品を軸線方向他方側から覆い、筒状空間の他方端を覆う。本体ケーシング39の背面部分39bは、モータケーシング29と結合し、減速部31の内部空間およびモータ部21の内部空間を仕切る隔壁でもある。モータケーシング29は本体ケーシング39に支持されて、本体ケーシング39から軸線方向他方側へ突出する。
【0038】
本体ケーシング39は、減速部31の内部空間を区画し、減速部31の全ての回転要素(回転軸および歯車)を内部空間に収容する。図2に示すように本体ケーシング39の下部は、オイル貯留部39tとされる。軸線M方向にみて、オイル貯留部39tは台形形状であり、上方に向かうほど太く、下方に向かうほど細くなる。
【0039】
オイル貯留部39tの高さ位置はモータ部21の下部の高さ位置と重なり、出力歯車37よりも下方にされる。本体ケーシング39の内部空間の下部を占めるオイル貯留部39tには、モータ部21および減速部31を潤滑する潤滑油が貯留する。
【0040】
入力軸32と、中間軸35と、出力軸38は、上述した転がり軸受によって両持ち支持される。これらの転がり軸受32a,35a,38a,32b,35b,38bはラジアル軸受である。
【0041】
インホイールモータ駆動装置10外部からモータ部21に電力が供給されると、モータ部21のロータ23が回転し、モータ回転軸22から減速部31に回転を出力する。減速部31はモータ部21から入力軸32に入力された回転を減速し、出力軸38から車輪ハブ軸受部11へ出力する。車輪ハブ軸受部11の内輪12は、出力軸38と同じ回転数で回転し、内輪12に取付固定されるロードホイールWを駆動する。
【0042】
図2に示すようにオイル貯留部39tには、センサ一体型コネクタ61が配置される。センサ一体型コネクタ61は、互いにプッシュプル嵌合するセンサ一体型カプラ62およびケーブル側カプラ63を含む。なおセンサ一体型カプラ62とケーブル側カプラ63の嵌合は着脱可能である。これに対し、ケーブル側カプラ63はセンサケーブル64fの先端に分離不能に接続され、ケーブル側カプラ63およびセンサケーブル64fが1部品を構成する。
【0043】
センサ一体型コネクタ61は、ブラケット部61bをさらに含む、ブラケット部61bは、ボルト65で、背面部分39bの壁面に連結固定される。
【0044】
センサケーブル64fは、背面部分39bの壁面に沿って横向きU字状に屈曲した姿勢となるよう、複数のクリップ66により保持される。各クリップ66は、ボルト67で、背面部分39bの壁面に連結固定される。センサケーブル64fの末端側領域は開口部39cに通され、車幅方向内側(図2紙面裏側)へ延び、クリップ68に保持される。
【0045】
開口部39cは、背面部分39bを貫通し、モータ部21の内部空間と減速部31の内部空間を連通する。かかる開口部39cをオイルが通過する。オイルは、モータ部21を冷却し、減速部31を潤滑する。
【0046】
クリップ66,68は例えばU字形状であり、センサケーブル64fの外周を弾性的に挟持する。センサケーブル64fは屈曲自在な材料で形成され、先端から末端まで継ぎ目なく延び、複数のクリップ66,68により、クリップ66,68の配列に沿って延びる姿勢で支持される。各クリップはセンサケーブル64fの振動を規制するものの、禁止するものではない。
【0047】
図3は、本実施形態のセンサ取付構造およびセンサケーブルの配線を示す模式的な縦断面図である。なお図3では、クリップ66,68が図略される。センサケーブル64fの末端は、信号取出部69に電気的に接続される。信号取出部69はインホイールモータ駆動装置のケーシングに設けられ、モータケーシングカバー29vを貫通する。
【0048】
信号取出部69は、ケーシング外部から延びる外部信号ケーブル71の一端と電気的に接続する。外部信号ケーブル71の図示しない他端は、電動車両の車体に搭載される駆動制御コントローラと電気的に接続する。
【0049】
一例として信号取出部69は、インホイールモータ駆動装置10のケーシング内部に配置される内部カプラ69bと、インホイールモータ駆動装置10のケーシング外部に配置される外部カプラ69dと、これら内部および外部カプラ69b,69d間に介在する端子台69cを有するコネクタ式である。
【0050】
インホイールモータ駆動装置10のケーシング内部で、内部カプラ69bは端子台69cの一側に嵌合する。インホイールモータ駆動装置10のケーシング外部で、外部カプラ69dは端子台69cの他側に嵌合する。
【0051】
信号取出部69は、内部カプラ69bから外部カプラ69dまで電気的に導通し、センサケーブル64fおよび外部信号ケーブル71間でセンサ信号を送信する。内部カプラ69bは、センサケーブル64fの末端と電気的に接続し、端子台69cの内側部分と嵌合する。外部カプラ69dは、外部信号ケーブル71の一端と電気的に接続し、端子台69cの外側部分と嵌合する。
【0052】
図4は、本実施形態のセンサ取付構造からセンサ一体型コネクタを取り出して示す図であり、嵌合状態を表す。図5は、図4に対応し、嵌合解除状態を表す。センサ一体型カプラ62は、樹脂製の筐体62bの先端に、検出部62cを設けたものである。検出部62cはサーミスタであり、自身の温度を電気信号に変換して出力する。
【0053】
筐体62bの末端は嵌合部62dを構成する。嵌合部62dは、有底の矩形断面穴62fを区画する箱状であって、矩形断面穴62fの底面に端子(図略)が配置される。このように本実施形態のセンサ一体型カプラ62では、検出部62cと嵌合部62dが一体に形成される。さらにセンサ一体型カプラ62の筐体62bには、ブラケット部61bが一体形成される。ねじ止めの用途のため、ブラケット部61bには、ボルト65(図2)が通される貫通孔61hが複数形成される。
【0054】
ケーブル側カプラ63は樹脂製の筐体を有し、当該筐体の先端部は、矩形断面穴62fの矩形断面に対応するブロック体に形成され、矩形断面穴62fに差し込まれる。これによりケーブル側カプラ63の先端部に設けられる各端子63gが、センサ一体型カプラ62の各端子と接触する。なお各端子63gは、筐体内部で、センサケーブル64fの電気導線に圧着される。またケーブル側カプラ63の筐体末端部は、センサケーブル64fの被覆部に固定される。図3を参照して、ケーブル側カプラ63の断面形状は、開口部39cよりも小さい。このため開口部39cにケーブル側カプラ63を通し、センサケーブル64fの配線作業が可能である。
【0055】
ケーブル側カプラ63はセンサ一体型カプラ62に着脱可能に嵌合するが、ケーブル側カプラ63が矩形断面穴62fから不用意に抜け出すことを防止するため、センサ一体型カプラ62およびケーブル側カプラ63に係止手段を設けるとよい。係止手段は例えば、センサ一体型カプラ62およびケーブル側カプラ63のいずれか一方に設けられて弾性的に変位する爪と、残る他方に設けられて爪と係合する凹部である。さらに爪は、ケーブル側カプラ63の差し込み時に一時的に後退して、差し込みを阻害しない。
【0056】
ところで本実施形態のインホイールモータ駆動装置用センサ取付構造は、本体ケーシング39の内部に配線されるセンサケーブル64fと、センサケーブル64fの先端に設けられるケーブル側カプラ63と、本体ケーシング39の内部状態を検出する検出部62cを含みケーブル側カプラ63に嵌合接続するセンサ一体型カプラ62とを備える。これによりセンサケーブル64fの途中箇所には、本体ケーシング39と嵌合する嵌合部材を固定する必要がなくなり、センサケーブル64fの配線作業を容易に行うことができる。またセンサケーブル64fの途中箇所を嵌合部材で固定することによって、インホイールモータ駆動装置10に特有の過大な振動を原因とする応力集中が、センサケーブル64fの途中箇所に作用することを回避することができる。本実施形態によれば、インホイールモータ駆動装置用センサ取付構造の耐久性および組立性が改良される。
【0057】
また本実施形態のセンサ一体型カプラ62はブラケット部61bをさらに含み、ブラケット部61bは本体ケーシング39の内壁面に連結される。これによりインホイールモータ駆動装置用センサ取付構造の耐久性および組立性が益々改良される。
【0058】
また本実施形態のセンサケーブル64fは、モータ部21と減速部31を仕切る背面部分39bを貫通する開口部39cを通過して延び、ケーブル側カプラ63の断面形状は、開口部39cよりも小さい。これにより開口部39cにケーブル側カプラ63を通すようにしてセンサケーブル64fの配線作業を行うことができる。
【0059】
また本実施形態のセンサケーブル64fの末端は、ケーシングを貫通するように設けられる信号取出部69に接続され、センサケーブル64fは先端から末端まで継ぎ目なく延びる。これによりセンサケーブル64fの耐久性が向上する。また、仮にセンサケーブル64fが損傷しても、センサケーブル64fのみの交換で済み、センサ一体型カプラ62を継続して使用することができる。あるいは仮にセンサ一体型カプラ62が故障しても、センサ一体型カプラ62のみの交換で済み、センサケーブル64fを配線したまま交換することができる。したがってコスト面および交換作業の点で有利である。
【0060】
また本実施形態の検出部62cは温度センサであり、センサ一体型カプラ62は、本体ケーシング39の内部に設けられるオイル貯留部39tに配置される。これによりオイル貯留部39tに係るセンシング構造の耐久性が向上する。
【0061】
次に本発明の他の実施形態を説明する。図6は本発明の他の実施形態になるセンサ取付構造を示す横断面図であり、車幅方向外側からみた状態を表す。図7は、他の実施形態を示す模式的な縦断面図である。他の実施形態につき、前述した実施形態と共通する構成については同一の符号を付して説明を省略し、異なる構成について以下に説明する。他の実施形態では、モータ部21に温度センサ72およびレゾルバ74が設けられる。温度センサ72およびレゾルバ74は、上述したセンサ一体型コネクタ61と同様、センサとカプラが一体に形成され、各センサケーブル64g,64kの先端に設けられるカプラと着脱自在に嵌合する。
【0062】
各センサケーブル64g,64kの先端はカプラに分離不能に接続される。センサケーブル64g,64kは、先端から末端まで継ぎ目なく延び、各末端が内部カプラ69bに分離不能に接続される。この点でセンサケーブル64g,64kは、前述したセンサケーブル64fと共通する。
【0063】
センサケーブル64gは、末端側領域で開口部39cに通され、先端側領域で開口部39dに通される。開口部39dは背面部分39bを貫通し、ステータ24のコイルエンド24cへ指向する。温度センサ72は、開口部39dを貫通する。温度センサ72のケーブル側カプラは、温度センサ72のセンサ一体型カプラに対し、開口部39dの貫通方向に抜き差しされる。
【0064】
図7に示すようにステータ24の軸線M方向一方端には、断面L字形の支持部材73が取り付けられる。支持部材73はコイルエンド24cに沿って円周方向に延びる。支持部材73には雌ねじ穴73tが形成される。雌ねじ穴73tは軸線M方向一方端へ指向する。
【0065】
温度センサ72のセンサ一体型カプラ62に形成される貫通孔には、ボルト75の軸部が通され、かかる軸部は雌ねじ穴73tに螺合する。温度センサ72のセンサ一体型カプラは、ボルト75で支持部材73にねじ止めされ、これにより温度センサ72は支持部材に支持される。
【0066】
開口部39dは温度センサ72よりも大きい。ボルト75の頭部は開口部39dと向き合う。このため開口部39dを通じてボルト75のねじ止め作業が可能である。
【0067】
図8は、モータ部のステータの一端を取り出して示す模式図である。支持部材73には、貫通孔73hが形成される。貫通孔73hは軸線M方向に延び、軸線M方向一方(減速部31側)から温度センサ72の検出部が差し込まれる。支持部材73は、開口部39dと向き合っており、開口部39dよりも大きい。開口部39dはオイル通路となる。一方、支持部材73はコイルエンド24cを覆う遮蔽板を兼用し、温度センサ72はオイルの影響を回避しつつコイルエンド24cの温度を正しく測定することができる。
【0068】
図7を参照して、モータケーシングカバー29vは、中心部に、レゾルバ74を収容する小室29xを区画する。小室29xは軸線M方向他方から蓋29wに覆われる。レゾルバ74は、モータ回転軸22の軸線M方向他方端に設けられて、モータ回転軸22の回転速度ないし回転角度を検出する。モータケーシングカバー29vの中心部には、開口部29yが形成される。開口部29yは、モータケーシングカバー29vを貫通し、軸線M方向一方のモータ部21内部空間と軸線M方向他方の小室29xを連通する。
【0069】
内部カプラ69bからレゾルバ74まで延びるセンサケーブル64kは、開口部29yに通される。なおレゾルバ74のケーブル側カプラの断面形状は、開口部29yよりも小さい。
【0070】
本実施形態によれば、内部カプラ69bから分岐して延びる各センサケーブル64f,64g,64kの先端部に固定されるカプラを、開口部29y,39c,39dに通すことができる。したがってインホイールモータ駆動装置10のケーシングが複雑な形状であっても、各センサケーブル64f,64g,64kの配線作業が可能になる。なお図示しない変形例として、内部カプラ69bから分岐して延びる複数のセンサケーブルは、図3および図7に示す実施形態に限定されない。
【0071】
レゾルバ74のセンサ一体型カプラに対するケーブル側カプラの抜き差し方向は軸線M方向である。このケーブル側カプラは蓋29wと対面する。これにより作業者は、蓋29wを取り外し、軸線M方向他方からレゾルバ74のケーブル側カプラをセンサ一体型カプラに嵌合させることができる。
【0072】
以上、図面を参照して本発明の実施の形態を説明したが、本発明は、図示した実施の形態のものに限定されない。図示した実施の形態に対して、本発明と同一の範囲内において、あるいは均等の範囲内において、種々の修正や変形を加えることが可能である。例えば上述した1の実施形態から一部の構成を抜き出し、上述した他の実施形態から他の一部の構成を抜き出し、これら抜き出された構成を組み合わせてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0073】
本発明は、電気自動車およびハイブリッド車両において有利に利用される。
【符号の説明】
【0074】
10 インホイールモータ駆動装置、 11 車輪ハブ軸受部、
21 モータ部、 23 ロータ、 24 ステータ、
24c コイルエンド、 29 モータケーシング、
29v モータケーシングカバー、 29x 小室、
29y 開口部、 31 減速部、 39 本体ケーシング、
39b 背面部分、 39c,39d 開口部、
39t オイル貯留部、 61 センサ一体型コネクタ、
62 センサ一体型カプラ、 61b ブラケット部、
62b 筐体、 62c 検出部、 62d 嵌合部、
62f 矩形断面穴、 63 ケーブル側カプラ、 63g 端子、
64f,64g,64k センサケーブル、 66,68 クリップ、
69 信号取出部、 69b 内部カプラ、 69c 端子台、
69d 外部カプラ、 71 外部信号ケーブル、
72 温度センサ、 73 支持部材、 74 レゾルバ、
M,N,O 軸線、 W ロードホイール。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8