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特開2020-185885ステアリング装置及び船舶用ステアリング装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-185885(P2020-185885A)
(43)【公開日】2020年11月19日
(54)【発明の名称】ステアリング装置及び船舶用ステアリング装置
(51)【国際特許分類】
   B63H 25/12 20060101AFI20201023BHJP
   B63H 25/42 20060101ALI20201023BHJP
【FI】
   B63H25/12
   B63H25/42 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2019-91621(P2019-91621)
(22)【出願日】2019年5月14日
(71)【出願人】
【識別番号】000146010
【氏名又は名称】株式会社ショーワ
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】筒井 隼人
(57)【要約】
【課題】正転逆転方式の油圧源を用いた場合であっても、油路回路内の作動油をタンク内の油と入れ替えることができる。
【解決手段】シリンダ(13)と、第1の吐出口及び第2の吐出口を備えた正転逆転方式の油圧源(14)と、貯油タンク(18)と、シリンダの第1室(13a)と油圧源の第1の吐出口とを接続する第1の油路と、シリンダの第2室(13b)と油圧源の第2の吐出口とを接続する第2の油路と、第1の油路および第2の油路の少なくとも何れかと貯油タンクとを接続する1又は複数の油路を含む油路群(C)と、油路群に含まれる1又は複数の油路の各々に設けられた切替弁を含む切替弁群(V)であって、油圧源の状態に応じて、シリンダから回収される作動油が貯油タンクに還流する状態と、油圧源からシリンダに供給される作動油が貯油タンクに還流しない状態とを切り替える切替弁群とを備えている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリンダと、
第1の吐出口及び第2の吐出口を備えた正転逆転方式の油圧源と、
貯油タンクと
前記シリンダの第1室と前記油圧源の前記第1の吐出口とを接続する第1の油路と、
前記シリンダの第2室と前記油圧源の前記第2の吐出口とを接続する第2の油路と、
前記第1の油路および前記第2の油路の少なくとも何れかと前記貯油タンクとを接続する1又は複数の油路を含む油路群と、
前記油路群に含まれる1又は複数の油路の各々に設けられた切替弁を含む切替弁群であって、前記油圧源の状態に応じて、
前記シリンダから回収される作動油が前記貯油タンクに還流する状態と、
前記油圧源から前記シリンダに供給される作動油が前記貯油タンクに還流しない状態とを切り替える
切替弁群と
を備えているステアリング装置。
【請求項2】
前記油路群は、前記第1の油路と前記貯油タンクとを接続する第3の油路を含み、
前記切替弁群は、前記第3の油路に設けられた第1の切替弁を含み、
前記油圧源の前記第1の吐出口から作動油が供給される場合に開状態となり、それ以外の場合には閉状態となる第1の逆止弁を更に備え、
前記第1の逆止弁は、前記第1の油路に設けられ、
前記第1の切替弁は、前記油圧源の前記第1の吐出口から作動油が供給される場合に前記第3の油路を遮断し、それ以外の場合に前記第3の油路を開放する
請求項1に記載のステアリング装置。
【請求項3】
前記第1の切替弁は、
前記油圧源の状態に応じて動作する第1の動作部と、
前記第1の動作部によって駆動され、前記油圧源の前記第1の吐出口から作動油が供給される場合に前記第3の油路を遮断する第1のプランジャ機構と、
を備えている
請求項2に記載のステアリング装置。
【請求項4】
前記油路群は、前記第2の油路と前記貯油タンクとを接続する第4の油路を含み、
前記切替弁群は、前記第4の油路に設けられた第2の切替弁を含み、
前記油圧源の前記第2の吐出口から作動油が供給される場合に開状態となり、それ以外の場合には閉状態となる第2の逆止弁を更に備え、
前記第2の逆止弁は、前記第2の油路に設けられ、
前記第2の切替弁は、前記油圧源の前記第2の吐出口から作動油が供給される場合に前記第4の油路を遮断し、それ以外の場合に前記第4の油路を開放する
請求項2又は3に記載のステアリング装置。
【請求項5】
前記第2の切替弁は、
前記油圧源の状態に応じて動作する第2の動作部と、
前記第2の動作部によって駆動され、前記油圧源の前記第2の吐出口から作動油が供給される場合に前記第4の油路を遮断する第2のプランジャ機構と、
を備えている
請求項4に記載のステアリング装置。
【請求項6】
請求項1から5の何れか1項に記載のステアリング装置を備えている船舶用ステアリング装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はステアリング装置及び船舶用ステアリング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、シリンダ装置が知られており、様々な分野において用いられている。一例として、特許文献1には、船外機の船外機本体をチルトアップ・ダウンさせるためのパワーチルト油圧シリンダと、船外機の船外機本体を揺動させるパワーステアリング油圧シリンダを備えたパワーチルト・パワーステアリング装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6−127475号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、シリンダ装置では、正転逆転方式の油圧源を用いる構成も従来知られている。正転逆転方式の油圧源を用いることによって、油圧回路の複雑化が抑制されるという利点がある。
【0005】
一方で、正転逆転方式の油圧源を用いた場合、油路回路内の作動油とタンク内の油との入れ替えが起こり難いため、作動油内に異物が滞留しやすくなるという側面がある。このため、作動油が劣化したり、作動油の作動特性が変化したりといった問題を招来し得る。
【0006】
本開示では、正転逆転方式の油圧源を用いた構成において、油路回路内の作動油をタンク内の油と好適に入れ替えることができるステアリング装置等を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以下、本開示について説明する。ここでは分かり易さのため、図面に付した参照符号を括弧書きで併せて記載する。
【0008】
本開示の1つの態様は、シリンダ(13)と、第1の吐出口(14a)及び第2の吐出口(14b)を備えた正転逆転方式の油圧源(14)と、貯油タンク(18)と、前記シリンダの第1室(13a)と前記油圧源の前記第1の吐出口とを接続する第1の油路(C1、C3)と、前記シリンダの第2室(13b)と前記油圧源の前記第2の吐出口とを接続する第2の油路(C2、C4)と、前記第1の油路および前記第2の油路の少なくとも何れかと前記貯油タンクとを接続する1又は複数の油路を含む油路群(C)と、前記油路群に含まれる1又は複数の油路の各々に設けられた切替弁を含む切替弁群(V)であって、前記油圧源の状態に応じて、前記シリンダから回収される作動油が前記貯油タンクに還流する状態と、前記油圧源から前記シリンダに供給される作動油が前記貯油タンクに還流しない状態とを切り替える切替弁群とを備えている、ステアリング装置(1、2)である。
【0009】
また、前記油路群(C)は、前記第1の油路(C1、C3)と前記貯油タンク(18)とを接続する第3の油路(C5)を含み、前記切替弁群(V)は、前記第3の油路に設けられた第1の切替弁(11)を含み、前記油圧源(14)の前記第1の吐出口(14a)から作動油が供給される場合に開状態となり、それ以外の場合には閉状態となる第1の逆止弁(12)を更に備え、前記第1の逆止弁は、前記第1の油路に設けられ、前記第1の切替弁は、前記油圧源の前記第1の吐出口から作動油が供給される場合に前記第3の油路を遮断し、それ以外の場合に前記第3の油路を開放してもよい。
【0010】
前記第1の切替弁(11)は、前記油圧源(14)の状態に応じて動作する第1の動作部(11e)と、前記第1の動作部(11e)によって駆動され、前記油圧源の前記第1の吐出口(14a)から作動油が供給される場合に前記第3の油路(C5)を遮断する第1のプランジャ機構(11a)と、を備えていてもよい。
【0011】
前記油路群(C)は、前記第2の油路(C2、C4)と前記貯油タンク(18)とを接続する第4の油路(C8)を含み、前記切替弁群(V)は、前記第4の油路に設けられた第2の切替弁(21)を含み、前記油圧源の前記第2の吐出口(14b)から作動油が供給される場合に開状態となり、それ以外の場合には閉状態となる第2の逆止弁(22)を更に備え、前記第2の逆止弁は、前記第2の油路に設けられ、前記第2の切替弁は、前記油圧源の前記第2の吐出口から作動油が供給される場合に前記第4の油路を遮断し、それ以外の場合に前記第4の油路を開放してもよい。
【0012】
前記第2の切替弁(21)は、前記油圧源(14)の状態に応じて動作する第2の動作部(21e)と、前記第2の動作部によって駆動され、前記油圧源の前記第2の吐出口(14b)から作動油が供給される場合に前記第4の油路を遮断する第2のプランジャ機構(21a)と、を備えていてもよい。
【0013】
本開示の他の態様は、前記ステアリング装置を備えている船舶用ステアリング装置(1)である。
【発明の効果】
【0014】
本開示によれば、正転逆転方式の油圧源を用いた構成において、油路回路内の作動油をタンク内の油と入れ替えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】実施形態1に係るステアリング装置1の使用例及び船外機300の概略的な内部構成を示す図である。
図2】実施形態1に係るステアリング装置1の油圧回路を制御部と共に示す図である。
図3】実施形態1に係る切替弁11の内部構成を拡大して示す拡大図である。
図4】実施形態2に係るステアリング装置2の油圧回路を制御部と共に示す図である。
図5】実施形態2に係る切替弁21の内部構成を拡大して示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
〔実施形態1〕
実施形態1に係るステアリング装置1について、図1〜3を参照して説明する。
【0017】
本実施形態に係るステアリング装置は、一例として、船外機を左右に揺動させるために用いられる、船舶用ステアリング装置1(以下において、「ステアリング装置1」と称する。)である。図1に示すように、ステアリング装置1は、船外機300と接続するように船体(本体)200の後部に取り付けられる。船外機300は、エンジン301と、プロペラ303と、エンジン301からプロペラ303に動力を伝達する動力伝達機構302とを備える。
【0018】
ステアリング装置1は、船外機300を左右に揺動させることによって、船体200の進行方向を制御することができる。より具体的には、船外機300は、後述するステアリング装置1のシリンダ13のピストン13cに接続するように取り付けられる。ピストン13cが左右に移動することによって、船外機300が左右に揺動される。
【0019】
他の例として、プロペラの回転軸が船体に対して固定的に設けられており、当該プロペラの進行方向後方に舵を備える構成において、本実施形態に係るステアリング装置1を用いてもよい。
【0020】
続いて、図2を参照してステアリング装置1の油圧回路について説明する。図2は、ステアリング装置1の油圧回路を制御部30と共に示す図である。図2に示すように、ステアリング装置1は、モータ20、油圧源14、シリンダ13、油路C1〜油路C7、切替弁11、逆止弁12、逆止弁15a、逆止弁15b、逆止弁17a、逆止弁17b、マニュアルバルブ16、メインバルブ19、貯油タンク18、及び制御部30を備えている。以下において、切替弁11を第1の切替弁と称することがあり、逆止弁12を第1の逆止弁と称することがある。
【0021】
モータ20によって駆動される油圧源14は、第1の吐出口14a及び第2の吐出口14bを備えた正転逆転方式の油圧源である。油圧源14は、ユーザによる船外機300のステアリング指示を示すSIG_STに応じて、「正転」「反転」「停止」の何れかの動作を行う。貯油タンク18には作動油が貯えられている。
【0022】
切替弁11は、後述する油路C5上に設けられている。切替弁11は、ユーザによる船外機300のステアリング指示を示すステアリング信号SIG_STに応じて、油路C5の開状態及び閉状態を切り替える弁である。切替弁11の具体的な構成については後述する。
【0023】
逆止弁12は、油路C1上に設けられている。逆止弁12は、油圧源14から供給される作動油の油圧に応じて、油路C1の開状態及び閉状態を制御するための弁である。逆止弁12の具体的な構成については後述する。
【0024】
シリンダ13は、ピストン13cによって第1室13aと第2室13bとに仕切られている。
【0025】
油圧源14は、油路C1及び油路C3を介して第1室13aに接続される第1の吐出口14aと、油路C2及び油路C4を介して第2室13bに接続される第2の吐出口14bと、を有している。
【0026】
メインバルブ19は、スプール19a、第1チェック弁19b、及び第2チェック弁19cを備えている。メインバルブ19は、スプール19aによって、第1チェック弁19b側の第1シャトル室19dと、第2チェック弁19c側の第2シャトル室19eとに仕切られている。
【0027】
油路C1は、第1の吐出口14aと第1シャトル室19dとを接続すると共に、第1の吐出口14aと逆止弁15aとを接続する。油路C2は、第2の吐出口14bと第2シャトル室19eとを接続すると共に、第2の吐出口14bと逆止弁15bとを接続する。
【0028】
第1チェック弁19bは、油路C3を介して、第1室13aに接続されている。一方、第2チェック弁19cは、油路C4を介して、第2室13bに接続されている。
【0029】
なお、メインバルブ19を介して第1の吐出口14aと第1室13aとを接続する油路C1及び油路C3を、纏めて第1の油路とも称する。また、メインバルブ19を介して第2の吐出口14bと第2室13bとを接続する油路C2及び油路C4を、纏めて第2の油路とも称する。
【0030】
油路C1と貯油タンク18とを接続する油路C5には、切替弁11が接続されている。以下において、油路C5を第3の油路と称することがある。
【0031】
なお、ここまで、油路C1と貯油タンク18とが油路C5によって接続される構成について説明したが、本開示はこれに限定されない。例えば、油路C1および油路C2の少なくとも何れかと貯油タンク18とを接続する、1又は複数の油路を含む油路群Cと、油路群Cに含まれる1又は複数の油路の各々に設けられた切替弁を含む切替弁群Vとを備える構成であってもよい。
【0032】
油路C3と油路C4とを接続する油路C6には、マニュアルバルブ16、逆止弁17a及び逆止弁17bが接続されている。油路C7は、逆止弁15a及び逆止弁15bと貯油タンク18とを接続する。
【0033】
逆止弁15aは、ピストン13cが第1室13a側に振り切った状態になってもなお、油圧源14が作動油を回収しようとする場合に、貯油タンク18から油圧源14に作動油を供給する。
【0034】
逆止弁15bは、ピストン13cが第2室13b側に振り切った状態になってもなお、油圧源14が作動油を回収しようとする場合に、貯油タンク18から油圧源14に作動油を供給する。
【0035】
マニュアルバルブ16は、手動による開閉が可能である。ステアリング装置1のメンテナンス時等においてマニュアルバルブ16を開状態とすることによって、作動油が第1室13aから第2室13bに戻される。
【0036】
逆止弁17aは、ピストン13cが第1室13a側から第2室13b側にスライドするように油圧回路に作動油を供給する際に、シリンダ13に対する油圧が急激に上昇した場合に弁を開状態とする。これにより、シリンダ13に対する油圧の負荷が抑制される。
【0037】
逆止弁17bは、ピストン13cが第2室13b側から第1室13a側にスライドするように油圧回路に作動油を供給する際に、シリンダ13に対する油圧が急激に上昇した場合に弁を開状態とする。これにより、シリンダ13に対する油圧の負荷が抑制される。
【0038】
(制御部30)
図2に示すように、ステアリング装置1は制御部30を備えている。制御部30は、船体200の船外機300のステアリング指示を示すステアリング信号SIG_STを参照し、切替弁11及びモータ20を制御するための制御信号SIG_CONTを生成する。生成した制御信号SIG_CONTは切替弁11及びモータ20に供給される。
【0039】
より具体的には、制御部30は、ユーザによる船外機300のステアリング指示に応じて、油圧源14の状態を「正転」「反転」「停止」の何れかに制御するように、制御信号SIG_CONTをモータ20に供給する。また、制御部30は、油圧源14の状態に応じて、油路C5の開状態又は閉状態に制御するように、制御信号SIG_CONTを後述する動作部11eに供給する。
【0040】
このように、制御部30を備えることにより、ステアリング装置1は、ユーザによる制御に応じて船外機300を左右にステアリングすることができ、船体200の進行方向を制御することができる。
【0041】
(切替弁11)
続いて、図3を参照して、切替弁11の構成例について説明する。
【0042】
図3に示すように、切替弁11は、動作部11eと、動作部11eによって駆動され、油路C5を開状態又は閉状態とするプランジャ機構11aとを備えている。プランジャ機構11aは、第1のプランジャ11b、封止部材11c及びスプリング11dを備えている。動作部11eは、ソレイド11f及び第2のプランジャ11gを備えている。以下において、動作部11eを第1の動作部と称することがあり、プランジャ機構11aを第1のプランジャ機構と称することがある。
【0043】
切替弁11は、第1の吐出口14aから作動油が供給される場合に閉状態となり、油路C5を遮断する。また、切替弁11は、それ以外の場合に開状態となり、油路C5を開放する。一例として、切替弁11は、第2の吐出口14bから作動油が供給される場合に、油路C5を開放する。
【0044】
ここで、切替弁11の動作例について説明する。上述したように、切替弁11の動作部11eは、油圧源14の状態に応じて、油路C5の開状態又は閉状態に制御するように動作する。
【0045】
より具体的には、第2のプランジャ11gがプランジャ機構11a側に駆動する場合に、第2のプランジャ11gは第1のプランジャ11bを押圧する。第1のプランジャ11bが押圧されることによって、第1のプランジャ11bは封止部材11cが設けられている側にスライドする。これにより、封止部材11cが押しつけられる油路C5の開口部が、封止部材11cによって閉塞され、油路C5が遮断される。
【0046】
また、第2のプランジャ11gがプランジャ機構11aから離れる側に駆動する場合に、第1のプランジャ11bが第2のプランジャ11gによる押圧から解放される。第1のプランジャ11bが第2のプランジャ11gによる押圧から解放されると、スプリング11dによって第1のプランジャ11bが押圧され、第1のプランジャ11bが動作部11e側へと移動する。これにより、封止部材11cが油路C5の開口部へと押しつけられなくなるので、油路C5が開放される。
【0047】
なお、第1のプランジャ11bと第2のプランジャ11gとが一体となるように接続し、第1のプランジャ11bの動作を第2のプランジャ11gの駆動に連動させることによって、第1のプランジャ11bがスライドする構成としてもよい。この場合、プランジャ機構11aにおいてスプリング11dの構成を省略することができ、プランジャ機構11aを小型化することができる。
【0048】
動作部11eには、制御部30から制御信号SIG_CONTが供給され、制御信号SIG_CONTに基づき、動作部11eのソレイド11fのON/OFFが切り替えられる。
【0049】
ここで、動作部11eは、制御信号SIG_CONTが油圧源14の正転を示している場合に、切替弁11を開状態とするように動作する。また、動作部11eは、制御信号SIG_CONTが油圧源14の逆転を示している場合に、切替弁11を閉状態とするように動作する。
【0050】
なお、切替弁11は、ソレイド11fがOFFの場合に閉状態となることによって油路C5を遮断し、ソレイド11fがONの場合に開状態となることによって油路C5を開放するノーマリークローズ弁として構成してもよい。また、切替弁11は、ソレイド11fがOFFの場合に開状態となることによって油路C5を開放し、ソレイド11fがONの場合に閉状態となることによって油路C5を遮断するノーマリーオープン弁として構成してもよい。
【0051】
このように切替弁11は、油圧源14の状態に応じて、シリンダ13から回収される作動油が貯油タンク18に還流する状態と、油圧源14からシリンダ13に供給される作動油が貯油タンク18に還流しない状態とを切り替える構成である。
【0052】
なお、本実施形態に係る動作部11eは、上述の構成に特に限定されておらず、例えば、動作部11eとして、公知のアクチュエータを用いる構成であってもよい。
【0053】
(逆止弁12)
逆止弁12は、第1の吐出口14aから作動油が供給される場合に開状態となり、油路C1を開放する。また、逆止弁12は、それ以外の場合に閉状態となり、油路C1を遮断する。一例として、逆止弁12は、第2の吐出口14bから作動油が供給される場合に閉状態となり、油路C1を遮断する。
【0054】
(ステアリング装置1の動作例)
続いて、上記のように構成されたステアリング装置1の動作例について以下に説明する。
【0055】
〔油圧源14の正転動作〕
油圧源14が正転すると、作動油が第2の吐出口14bから、油路C2を介して、第2シャトル室19eに供給される。これにより、第2チェック弁19cが開くと共に、スプール19aが第1チェック弁19b側に移動し、第1チェック弁19bが開く。
【0056】
第2チェック弁19cが開くと、第2シャトル室19eに供給された作動油が、油路C4を介して、第2室13bに供給される。第2室13bに作動油が供給されることによって、ピストン13cが、第2室13b側から第1室13a側にスライドする。
【0057】
このようにして、ピストン13cがスライドすると、第1室13aから、油路C3及び第1チェック弁19bを介して、作動油が第1シャトル室19dに供給される。ここで、上述したように、第2の吐出口14bから作動油が供給される場合、切替弁11は開状態となり油路C5が開放される。また、第2の吐出口14bから作動油が供給される場合、逆止弁12は閉状態となり、油路C1を遮断する。そのため、第1シャトル室19dに供給された作動油は、油路C5を介して貯油タンク18に供給される。その後、貯油タンク18に貯えられた作動油が、油路C7を介して油圧源14に供給される。
【0058】
このように、本実施形態に係るステアリング装置1では、油圧源14を正転させた場合に、シリンダ13の第1室13aの作動油を貯油タンク18へと供給でき、貯油タンク18の作動油をシリンダ13の第2室13bへと供給できる。これにより、シリンダ13内の作動油を貯油タンク18の作動油と入れ替えることができる。
【0059】
〔油圧源14の逆転動作〕
油圧源14が逆転すると、作動油が、第1の吐出口14aから油路C1を介して逆止弁12に供給される。ここで、上述したように、第1の吐出口14aから作動油が供給される場合、逆止弁12が開状態となり油路C1を開放する。
【0060】
油路C1が開放されると、逆止弁12に供給された作動油が、油路C1を介して第1シャトル室19dに供給される。これにより、第1チェック弁19bが開くと共に、スプール19aが第2チェック弁19c側に移動し、第2チェック弁19cが開く。
【0061】
第1チェック弁19bが開くと、第1シャトル室19dに供給された作動油が、油路C3を介して、第1室13aに供給される。第1室13aに作動油が供給されることによって、ピストン13cが、第1室13a側から第2室13b側にスライドする。
【0062】
このようにして、ピストン13cがスライドすると、第2室13bから、油路C4及び第2チェック弁19cを介して、作動油が第2シャトル室19eに供給され、第2シャトル室19eに供給された作動油が、油圧源14に供給される。
【0063】
このように、ステアリング装置1は、油圧源14を正転動作させることによって、シリンダ13内の作動油を貯油タンク18内の作動油と入れ替えることができる。これにより、(1)作動油の温度上昇を抑制すること、(2)作動油の劣化を抑制すること、及び、(3)油圧回路内の異物を除去することができるので、作動特性が変化し難いステアリング装置1を提供することができる。
【0064】
〔実施形態2〕
実施形態2に係るステアリング装置2について図4及び5を参照して説明する。
【0065】
図4は、ステアリング装置2の油圧回路を示す図である。ステアリング装置2は、上記ステアリング装置1が有する各構成に加えて、切替弁21、逆止弁22及び油路C8を更に備える構成である。以下の説明では、すでに説明した部材と同様の部材には同じ符号を付してその説明を省略する。また、以下において、切替弁21を第2の切替弁と称することがあり、逆止弁22を第2の逆止弁と称することがあり、油路C8を第4の油路と称することがある。
【0066】
図4に示すように、逆止弁22は、油路C2上に設けられている。また、油路C8は、油路C2と貯油タンク18とを接続する。油路C2と貯油タンク18とを接続する油路C8には、切替弁21が設けられている。
【0067】
続いて、図5を参照して、切替弁21の構成例について説明する。切替弁21は、上記ステアリング装置1の切替弁11に対応する構成である。一例として、切替弁21は、図5に示すように、図3に示した切替弁11の構成を左右反転させることによって構成することができる。切替弁21は、動作部21eと、動作部21eによって駆動され、油路C8を開状態又は閉状態とするプランジャ機構21aとを備えている。プランジャ機構21aは、第3のプランジャ21b、封止部材21c及びスプリング21dを備えている。動作部21eは、ソレイド21f及び第4のプランジャ21gを備えている。以下において、動作部21eを第2の動作部と称することがあり、プランジャ機構21aを第2のプランジャ機構と称することがある。
【0068】
動作部21eには、制御部30から制御信号SIG_CONTが供給され、制御信号SIG_CONTに基づき、動作部21eのソレイド21fのON/OFFが切り替えられる。
【0069】
ここで、動作部21eは、制御信号SIG_CONTが油圧源14の正転を示している場合に、切替弁21を閉状態とするように動作する。また、動作部21eは、制御信号SIG_CONTが油圧源14の逆転を示している場合に、切替弁21を開状態とするように動作する。
【0070】
切替弁21は、第1の吐出口14aから作動油が供給される場合に開状態となり、油路C8を開放する。また、切替弁21は、それ以外の場合に閉状態となり、油路C8を遮断する。一例として、切替弁21は、第2の吐出口14bから作動油が供給される場合に、油路C8を遮断する。
【0071】
逆止弁22は、第2の吐出口14bから作動油が供給される場合に開状態となり、油路C2を開放する。また、逆止弁12は、それ以外の場合に閉状態となり、油路C2を遮断する。一例として、逆止弁12は、第1の吐出口14aから作動油が供給される場合に閉状態となり、油路C2を遮断する。
【0072】
(ステアリング装置2の動作例)
上記のように構成されたステアリング装置2の動作例について以下に説明する。
【0073】
〔油圧源14の正転動作〕
油圧源14が正転すると、作動油が第2の吐出口14bから、油路C2を介して逆止弁22に供給される。ここで、上述したように、第2の吐出口14bから作動油が供給される場合、逆止弁22が開状態となり油路C2を開放する。
【0074】
油路C2が開放すると、逆止弁22に供給された作動油が、油路C2を介して、第2シャトル室19eに供給される。
【0075】
第2シャトル室19eに供給された作動油は、実施形態1のステアリング装置1と同様に、油路C4、シリンダ13、及び油路C3を介して第1シャトル室19dに供給される。
【0076】
ここで、上述したように、第2の吐出口14bから作動油が供給される場合、切替弁11は開状態となり、油路C5を開放し、逆止弁12は閉状態となり、油路C1を遮断する。そのため、第1シャトル室19dに供給された作動油が油路C5を介して貯油タンク18に供給される。次に貯油タンク18に貯えられた作動油が油路C7を介して油圧源14に供給される。
【0077】
このように、ステアリング装置2では、油圧源14を正転させた場合に、シリンダ13の第1室13aの作動油を貯油タンク18へと供給でき、貯油タンク18の作動油をシリンダ13の第2室13bへと供給できる。これにより、シリンダ13内の作動油を貯油タンク18の作動油と入れ替えることができる。
【0078】
〔油圧源14の逆転動作〕
油圧源14が逆転すると、作動油が第1の吐出口14aから、油路C1を介して逆止弁12に供給される。
【0079】
ステアリング装置2は、ステアリング装置1と同様に、第1の吐出口14aから作動油を供給する場合に、切替弁11を閉状態とし油路C5を遮断すると共に、逆止弁12を開状態とし油路C1を開放する。
【0080】
ステアリング装置2は、ステアリング装置1と同様に、油路C1が開放すると、第1の吐出口14aから供給された作動油が、第1シャトル室19d、油路C3、シリンダ13、油路C4を介して、第2シャトル室19eに供給される。
【0081】
ここで、上述したように、第1の吐出口14aから作動油が供給される場合、切替弁21は開状態となり、油路C8を開放し、逆止弁22は閉状態となり、油路C2を遮断する。そのため、第2シャトル室19eに供給された作動油が、油路C8を介して貯油タンク18に供給される。次に貯油タンク18に貯えられた作動油が油路C7を介して油圧源14に供給される。
【0082】
このように、ステアリング装置2では、油圧源14を逆転させた場合に、シリンダ13の第2室13bの作動油を貯油タンク18へと供給でき、貯油タンク18の作動油をシリンダ13の第1室13aへと供給できる。これにより、シリンダ13内の作動油を貯油タンク18の作動油と入れ替えることができる。
【0083】
このように、ステアリング装置2は、油圧源14の正転動作及び逆転動作を繰り返し行うことによって、シリンダ13内の作動油が貯油タンク18内の作動油と入れ替わる。これにより、(1)作動油の温度上昇を抑制すること、(2)作動油の劣化を抑制すること、及び、(3)油圧回路内の異物を除去することができるので、作動特性が変化し難いステアリング装置1を提供することができる。
【0084】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0085】
1、2 ステアリング装置
11 切替弁(第1の切替弁)
12 逆止弁(第1の逆止弁)
13 シリンダ
13a 第1室
13b 第2室
14 油圧源
14a 第1の吐出口
14b 第2の吐出口
18 貯油タンク
21 切替弁(第2の切替弁)
22 逆止弁(第2の逆止弁)
30 制御部
11a プランジャ機構(第1のプランジャ機構)
11e 動作部(第1の動作部)
21a プランジャ機構(第2のプランジャ機構)
21e 動作部(第2の動作部)
C 油路群
C1 油路(第1の油路)
C2 油路(第2の油路)
C3 油路(第1の油路)
C4 油路(第2の油路)
C5 油路(第3の油路)
C6 油路
C7 油路
C8 油路(第4の油路)
V 切替弁群
図1
図2
図3
図4
図5