【解決手段】車幅方向中央前部にトンネル部9が形成されるフロア4と、フロア4の上方にて、該フロア4の両サイドに配設されたサイドシル10,10間を横架するフロアクロスメンバ18とを備え、トンネル部9は後端がフロアクロスメンバ18の直前に位置しており、トンネル部9からフロアクロスメンバ18の上端部に向けて延びるとともに、該フロアクロスメンバ18の上端部に接続される補強ブラケット30,40とを備えた。
ダッシュパネルと、該ダッシュパネルの車幅方向中央下部とともに前部にトンネル部が形成されるフロアと、該フロアの下方に前端に上方の上記トンネル部内に向かって膨出する膨出部が形成されるバッテリユニットと、上記フロアの上方にて、該フロアの両サイドに配設されたサイドシル間を横架するフロアクロスメンバとを備えた電動車両の下部車体構造であって、
上記トンネル部は後端が上記フロアクロスメンバの直前に位置しており、上記トンネル部から上記フロアに対して上方に離間しながら上記フロアクロスメンバに向けて延びるとともに、該フロアクロスメンバ上部に接続される補強ブラケットとを備えた
電動車両の下部車体構造。
上記補強ブラケットは、上記トンネル部から上記フロアクロスメンバ上端部に向けて延びるトンネル補強ブラケットと、該トンネル補強ブラケットの後方に備えたコンソール支持ブラケットとで構成し、
上記トンネル補強ブラケットは、上記コンソール支持ブラケットに接続された
請求項1に記載の電動車両の下部車体構造。
上記トンネル補強ブラケット及び上記コンソール支持ブラケットは共に門形断面形状であり、上記トンネル補強ブラケットは両側壁及び上壁が上記トンネル部に溶接接合され、
上記コンソール支持ブラケットは両側壁及び上壁が上記フロアクロスメンバに締結具を介して接続され、
上記トンネル補強ブラケットと上記コンソール支持ブラケットとは両側壁及び上壁同士が締結具を介して接続された
請求項3に記載の電動車両の下部車体構造。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、図面に基づいて本発明の実施形態を詳述する。
図面は電動車両の下部車体構造を示し、
図1は当該下部車体構造を示す斜視図、
図2はインストルメントパネルおよびコンソールを取外した状態で示す下部車体構造の平面図、
図3は電動車両の下部車体構造を車幅方向略中央で上下方向に断面して示す縦断面図である。図中、矢印Fは車両前方を示すものとする。なお、以下に述べる実施例の電動車両の下部車体構造は、左右略対称に形式されている。
【0028】
図1、
図2において、モータルームと車室とを車両前後方向に仕切るダッシュパネル1を設け、このダッシュパネル1の車室側で、かつ前席の前方にはインストルメントパネル2を配置している。当該インストルメントパネル2の運転席側(この実施例では車幅方向右側の前席側)には、その内部にステアリングコラムおよびステアリングシャフトが設けられるステアリングコラムカバー3を配設している。
【0029】
図2、
図3に示すように、上述のダッシュパネル1の下部後端部1aには、略平坦なフロントフロアパネル4を連設している。このフロントフロアパネル4は車室の床面を形成するものである。フロントフロアパネル4の車幅方向中央かつ前部には、上方に向けて膨出するトンネル部9が一体形成されている。トンネル部9は、後方程徐々に低くなるとともに、上壁9aとその両サイドの側壁9b,9cとで車両正面視で門形断面形状に形成しており、内部には下方へ向けて開口する空間を備えている。
図2、
図3に示すように、上述のダッシュパネル1の車幅方向中央下部には、トンネル部9と連続するようにトンネル形状部1b,1cが形成されている。
【0030】
図3に示すように、上述のフロントフロアパネル4の下部には、モータによる車両走行の駆動源としてのバッテリ装置(いわゆるバッテリパック)5を配置している。このバッテリ装置5は、複数の電池本体6aによりバッテリユニット6を構成し、このバッテリユニット6を複数備えている。フロントフロアパネル4下部と対応する位置においては複数のバッテリユニット6を上下1段構造に格納しており、後述するリヤフロアパン38下部と対応する位置においては複数のバッテリユニット6を上下2段構造に格納している。
【0031】
また、上述のバッテリ装置5は、複数のバッテリユニット6をその下方から支持するバッテリトレイ7と、バッテリトレイ7の外部フランジ上面に取付けられて、その内部に上述の各バッテリユニット6を内蔵するバッテリケース8と、を備えている。
【0032】
図3に示すように、バッテリ装置5の前部の車幅方向中央には、モータルームに備えた不図示のモータから後方に延びるケーブルを接続するケーブル接続部65と、モータを制御するコントロールユニット66を備えている。コントロールユニット66はバッテリケース8の前部において、バッテリトレイ7の直前に配設されるとともに、ケーブル接続部65はコントロールユニット66の上方に設けられ、これらをバッテリトレイ7とバッテリケース8とによって上下2段構造に格納している。
【0033】
バッテリケース8の前部の車幅方向の中央部、すなわち、平面視でケーブル接続部65に対応する部位は、前方へ向けて徐々に上方(フロントフロアパネル4)に向けて膨出する膨出部8aが一体又は一体的に形成されている。
【0034】
フロントフロアパネル4において上方へ膨出形成された上述したトンネル部9は、バッテリケース8に形成した膨出部8aの上方への膨出形状に対応して前方へ向けて徐々に上方へ膨出形成されたものであり、該トンネル部9の内部の空間には膨出部8aが格納されている。
【0035】
図2に示すように、フロントフロアパネル4の車幅方向両サイドには、車両の前後方向に延びる閉断面構造のサイドシル10,10を接合固定している。
【0036】
図2に示すように、フロントフロアパネル4における、前席前部下部に位置する前部の上面には、左右一対のサイドシル10,10間を車幅方向に一直線状に延びるフロアクロスメンバとしての前部クロスメンバ(いわゆるNo.2クロスメンバ)18が配設されている。
【0037】
図3に示すように、該前部クロスメンバ18は、ハット断面形状を有しており、フロントフロアパネル4に、その上方から接合固定されている。これにより、該前部クロスメンバ18とフロントフロアパネル4との間には、車幅方向に一直線状に延びる閉断面部19が形成されている。
図1、
図2に示すように、前部クロスメンバ18は、左右のサイドシル10,10間において、これら10,10を連結するように車幅方向に略一直線状に連続して形成されている。
【0038】
図1〜
図3に示すように、フロアクロスメンバとしての前部クロスメンバ18の車幅方向中央部上部、詳しくは、中間メンバ20の車幅方向中央部上部には、前部クロスメンバ18とは別体のクロスメンバ補強部材42が接合固定され、
図3に示すように、内部には閉断面部41が構成されている。これにより、前部クロスメンバ18の車幅方向中央部は、クロスメンバ補強部材42によって嵩上げされるとともに、クロスメンバ補強部材42の上壁42aによって上面が略水平に形成されている。
【0039】
また、前部クロスメンバ18は、フロントフロアパネル4の前部に上方へ膨出形成したトンネル部9の後端に対して後方に離間した位置にて車幅方向に延びている。
【0040】
図2に示すように、上述の前部クロスメンバ18に対して車両後方に離間した位置においてフロントフロアパネル4の上面には、左右一対のサイドシル10,10間を車幅方向に一直線状に延びる中間部クロスメンバ(いわゆるNo.2.5クロスメンバ)23が配設されている。この中間部クロスメンバ23は上述の前部クロスメンバ18と平行になるよう設けられている。
【0041】
図3に示すように、該中間部クロスメンバ23は、ハット断面形状を有しており、フロントフロアパネル4に、その上方から接合固定されている。これにより、該中間部クロスメンバ23とフロントフロアパネル4との間には、車幅方向に一直線状に延びる閉断面部24が形成されている。
【0042】
図1〜
図3に示すように、中間部クロスメンバ23の車幅方向中央上部には、クロスメンバ補強部材52を接合固定され、
図3に示すように、内部には閉断面部53が構成されている。これにより、中間部クロスメンバ23の車幅方向中央は、クロスメンバ補強部材52によって嵩上げされている。
【0043】
図1、
図3に示すように、前部クロスメンバ18と中間部クロスメンバ23との車両前後方向の中間部において、換言すれば前部クロスメンバ18の中央部の後方において、上述のフロントフロアパネル4には、当該フロントフロアパネル4から上方に向けて立設固定された立設ブラケット27を設けている。
なお、立設ブラケット27は車両正面視でM字断面形状に形成されている。
【0044】
さらに
図1〜
図3に示すように、フロントフロアパネル4の後部車幅方向中央には、キックアップ部33を補強するキックアップ部補強部材34を設けている。このキックアップ部補強部材34は、上方に台座状に膨出形成され、その上面が前部クロスメンバ18および立設ブラケット27の各上端と略同じ高さになるように形成されている。
【0045】
図3に示すように、上述のキックアップ部33は上方に延びた後に、その上端から車両後方に延びるものであって、キックアップ部33の下部には車幅方向に延びる後部クロスメンバ36(いわゆるNo.3クロスメンバ)を接合固定し、当該後部クロスメンバ36とキックアップ部33との間には、車幅方向に延びる閉断面部37を形成している。
図3に示すように、上述のキックアップ部33には後方に延びるリヤフロアパン38を連設している。
【0046】
図2において、39はリヤフロアパン38の車幅方向両サイドを車両の前後方向に延びる閉断面構造のリヤサイドフレームであって、
図2に示すように、上述のサイドシル10はその後端部がリヤサイドフレーム39の前端部とオーバラップするように車両後方に延設されている。
【0047】
図1、
図2に示すように、15は、上述のサイドシル10とトンネル部9との車幅方向中間部において車両前後方向に延びるとともにダッシュパネル1の下部上面とフロントフロアパネル4の上面とに跨がって接合固定されるフロアフレームアッパである。
フロアフレームアッパ15は、ダッシュパネル1およびフロントフロアパネル4との間に車両の前後方向に延びる閉断面部17が形成されている。
【0048】
図4は電動車両の下部車体構造の前部かつ車幅方向中央部周辺部の要部の斜視図、
図5はトンネル部および補強ブラケットの斜視図、
図6はコンソール支持ブラケットの斜視図、
図7は
図2のA−A線に沿う要部拡大断面図であって
図3のA’−A’線に沿う要部拡大断面図、
図8は
図2のB−B線に沿う要部の拡大断面図、
図9は
図7のC−C線矢視断面図である。
【0049】
図1〜
図5に示すように、フロントフロアパネル4の前部車幅方向中央に上方へ膨出形成された上述のトンネル部9には、該トンネル部9を補強するトンネル補強ブラケット30が設けられている。
【0050】
図5に示すように、このトンネル補強ブラケット30は上壁30aと、該上壁30aの車幅方向両サイドから下方に延びる側壁30b,30cとで車両前後方向の車両正面視で門形断面形状に一体形成したものである。トンネル補強ブラケット30の上壁30aおよび左右の両側壁30b,30cはトンネル部9に対して該トンネル部9を上方から覆うように溶接接合されている(
図5の×印参照)。これにより、トンネル補強ブラケット30は車体部品としてトンネル部9(車体)に対して一体に接合されている。
【0051】
詳しくは、トンネル補強ブラケット30は、その上壁30aの前部がトンネル部9の上壁9aの前部に接合され、該トンネル部9の上壁9aの前部から後方へ向けて延びている。このトンネル補強ブラケット30における、トンネル部9の上壁9aへの接合箇所よりも後方へ延出する後方延出部30rは、後方程徐々に低くなるトンネル部9の上壁9aに対して上壁30aが上方に離間するとともに、トンネル部9の略後端上方に達するまで後方に延びている。
【0052】
そして、トンネル補強ブラケット30は、後方延出部30rの側壁30b,30cが、トンネル部9の側壁9b,9cと、車両前後方向に沿って上述したように溶接接合されている。
【0053】
トンネル補強ブラケット30の上壁30aにおける車幅方向中央部には下方に凹む凹部30fを一体形成している。この凹部30fはトンネル補強ブラケット30の前部(トンネル部9の上面への接合箇所に対して直後部位)から後端部まで車両の前後方向に延びており、凹底部30faと、両サイドから立ち上がる縦壁状の側壁30fb,30fcとで一体形成されている。
【0054】
図5、
図7に示すように、この凹部30fの形成によりトンネル補強ブラケット30の上壁30aには、前後方向に延びる複数の稜線30g,30h,30i,30j,30k,30lが形成されている。
【0055】
図3〜
図5に示すように、上述のトンネル補強ブラケット30の後部下面には補強部材としての後部レイン31が設けられている。
図7に示すように、後部レイン31は、上壁31aと、該上壁31aの車幅方向両サイドから下方に延びる側壁31b,31cとで、トンネル補強ブラケット30に対応して門形断面状に形成されており、トンネル補強ブラケット30の後部に下面から複数箇所にて溶接接合されている(
図4の×印参照)。
なお
図4、
図5、
図7に示すように、後部レイン31の上壁31aの車幅方向中央部は、トンネル補強ブラケット30の凹部30fに対応して下方へ凹状に形成している。
【0056】
また
図9に示すように、後部レイン31の直前においてトンネル補強ブラケット30の上壁30aとトンネル部9の上壁9aには、これらの間に備え、側面視で略Z字形状の連結ブラケット32にて連結されている。
【0057】
詳しくは、連結ブラケット32は、略水平に延びる上壁32aと、上壁32aに対して下方へ離間した位置にて略水平に延びる下壁32bと、上壁32aの後端と下壁32bの前端を上下方向に連結する縦壁32cとで一体形成している。
【0058】
そして、連結ブラケット32は、後部レイン31の直前において、下壁32bがトンネル部9の上壁9aに、その上面側から溶接接合されるとともに、連結ブラケット32の上壁32aがトンネル補強ブラケット30の上壁30aに、その下面側から溶接接合されている(
図4の×印参照)。
【0059】
図2、
図3に示すように、トンネル部9上部の車体部材であるトンネル補強ブラケット30後方には、該後部からキックアップ部補強部材34前部にかけて車両の前後方向に延びる車両部品としてのコンソール支持ブラケット40を設けている。このコンソール支持ブラケット40は、コンソール70を支持するブラケットであって、前部クロスメンバ18の車幅方向中央、立設ブラケット27の上部、および中間部クロスメンバ23の車幅方向中央に跨って支持された状態でこれらに取り付けられるとともに、前後両端が、夫々トンネル補強ブラケット30、キックアップ部補強部材34に取付けられる。
【0060】
すなわち、コンソール支持ブラケット40は、トンネル補強ブラケット30よりも車体(前部クロスメンバ18、立設ブラケット27、および中間部クロスメンバ23、キックアップ部補強部材34)に対して後付けで締結固定される車両部品である。
【0061】
図3に示すように、上述のコンソール70は、上部にシフトノブ71を備えたシフトレバー72を支持し、下部が上記コンソール支持ブラケット40に前後で固定されるシフトレバー支持ブラケット73を備えている。
【0062】
図3に示すように、上述のシフトレバー支持ブラケット73は、シフトレバー72を支持する上部ブラケット74と、中間ブラケット75と、ベースブラケット76とを一体的に構成したものである。
そして、上述のコンソール70はその全体が外装部材77で覆われると共に、ベースブラケット76より前側をフロントコンソール70Fに設定し、ベースブラケット76より後側をリヤコンソール70Rに設定している。
【0063】
図3に示すように、ベースブラケット76の直後方におけるリヤコンソール70Rの上部には、カップホルダ78を形成し、このカップホルダ78の後方部に形成した物入れ部79を、アームレスト80で開閉可能に覆うよう構成している。
【0064】
図1、
図3、
図7に示すように、フロントコンソール70Fの下部前端と、インストルメントパネル2の下部との間には、底部コンソール81を設けている。
【0065】
図7に示すように、この底部コンソール81は、車幅方向中央に位置する底壁81aと、底壁81aの車幅方向左右両端部から上方に立上がる内壁81bと、この内壁81bの上端から下方に延びる外壁81cと、を一体形成したもので、当該底部コンソール81にてコンソール支持ブラケット40の前部およびトンネル補強ブラケット30を上方から覆っている。
【0066】
さらに、
図3、
図6に示すように、コンソール支持ブラケット40の後部上側には、車両正面視で門形断面形状の取付けブラケット61を設け、
図3に示すように、当該取付けブラケット61にマウントラバー62およびボルト、ナット等の取付け部材63を用いて、リヤコンソール70R側のブラケット82を取付けるように構成している。
【0067】
また、
図6、
図7に示すように、上述のコンソール支持ブラケット40は上壁40aと、左右の両側壁40b,40cと、側壁40b,40cの下端から車幅方向外方に延びるフランジ部40d,40eとで、車両正面視で門形断面形状に一体形成されている。
【0068】
図4、
図6に示すように、コンソール支持ブラケット40の上壁40aにおける車幅方向中央部には、下方に凹む凹部40vを一体形成している。この凹部40vはコンソール支持ブラケット40の前端から後端部近傍まで車両の前後方向に延びており、
図6、
図7に示すように、この凹部40vの形成によりコンソール支持ブラケット40の上壁40aに前後方向に延びる複数の稜線40g,40h,40i,40j,40k,40lが形成されている。
【0069】
図4に示すように、コンソール支持ブラケット40の上壁40aに形成した凹部40vと、トンネル補強ブラケット30の上壁30aに形成した上記凹部30fとは、車両前後方向に連続して延びており、トンネル補強ブラケット30とコンソール支持ブラケット40とに夫々形成した複数の稜線30h,40h、30i,40i、30j,40j、30k,40kは、夫々前後方向に連続して延びている。
【0070】
さらに、コンソール支持ブラケット40と、トンネル補強ブラケット30とは、共に門形断面形状に形成しており、これに伴って形成されたコンソール支持ブラケット40の稜線30g,30lと、トンネル補強ブラケット30の稜線40g,40lとは、夫々前後方向に連続して延びている。
【0071】
図6、
図7に示すように、コンソール支持ブラケット40の前部には、該前部をその下面から補強する補強部材としての前部レイン48を設けている。
図7に示すように、この前部レイン48は、上壁48aと、該上壁48aの車幅方向両サイドから下方に延びる側壁48b,48cとで、門形断面形状に形成したコンソール支持ブラケット40に対応して門形断面状に形成しており、コンソール支持ブラケット40の前部に下面から複数箇所にて溶接接合されている(
図6の×印参照)。
なお、前部レイン48の上壁48aの車幅方向中央部は、凹部40vに対応して下方へ凹状に形成している。
【0072】
また
図4、
図8に示すように、コンソール支持ブラケット40の前部は、前部クロスメンバ18の上端に接合固定されている。
この実施例では
図8に示すように、コンソール支持ブラケット40の左右の側壁40b,40cの前側のフランジ部40d,40eが、ボルト、ナット等の締結部材43を用いて、前部クロスメンバ18に備えたクロスメンバ補強部材42の上壁42aに、補強支持ブラケット51を介して締結固定されている。
【0073】
補強支持ブラケット51は、前部クロスメンバ18の一部に備えたブラケットであって、コンソール支持ブラケット40と、クロスメンバ補強部材42の上壁42aとの間において該コンソール支持ブラケット40を下方から支持するブラケットである。
【0074】
補強支持ブラケット51は、クロスメンバ補強部材42の上壁42aの上面に立設固定されており、車幅方向に離間して水平に延びる上壁51c,51dおよび、これら2つの上壁51c,51dに対して下方かつ車幅方向外側にて水平に延びるフランジ部51a,51bを有して車両正面視でM字断面形状に形成されている。
【0075】
そして、コンソール支持ブラケット40の上壁40aは、補強支持ブラケット51の各上壁51c,51dに対して、これらの間に前部レイン48の上壁48aを挟み込むようにして3枚重ね合わせて共締め固定されている。
【0076】
また同図に示すように、コンソール支持ブラケット40の左右のフランジ部40d,40eは、クロスメンバ補強部材42の上壁42aに対して、これらの間に補強支持ブラケット51の左右のフランジ部51a,51bを挟み込むようにして締結部材43を用いて共締め固定されている。
【0077】
このように、コンソール支持ブラケット40の前部は、その上壁40aおよび両側壁40b(40d),40c(40e)が、前部レイン48および補強支持ブラケット51を介して前部クロスメンバ18の上端部、すなわち前部クロスメンバ18に備えたクロスメンバ補強部材42の上壁42aの上面に接合されている。
【0078】
また、
図3、
図4〜
図9に示すように、上述のシフトレバー支持ブラケット73は、シフトレバー72を支持するブラケットであって、このシフトレバー支持ブラケット73は、前部クロスメンバ18上部のクロスメンバ補強部材42と、立設ブラケット27の前部とに跨がって固定されている。
【0079】
図8、
図9に示すように、前部クロスメンバ18上方のコンソール支持ブラケット40には、マウントラバー49およびボルト、ナットから成る取付け部材50を用いて、シフトレバー支持ブラケット73のベースブラケット76前部が取付けられている。
【0080】
詳述すると、
図8に示すように、上述のシフトレバー支持ブラケット73におけるベースブラケット76の下部左右にはフランジ部76a,76bが一体形成されており、これらの各フランジ部76a,76bをマウントラバー49上面において取付け部材50を用いて締結することで、シフトレバー支持ブラケット73が左右で上述のコンソール支持ブラケット40に取付けられている。
【0081】
これにより、シフトレバー支持ブラケット73の前側の固定部は、マウントラバー49および取付け部材50を用いて、その左右がクロスメンバ補強部材42にコンソール支持ブラケット40、前部レイン48、および補強支持ブラケット51を介して取付けられている。
【0082】
一方、シフトレバー支持ブラケット73の後側の固定部は、ベースブラケット76の左右のフランジ部76a,76b(
図8参照)が、後側の固定部と同様にマウントラバー57,57およびボルト、ナット等の取付け部材58を用い、
図4、
図9に示すように、コンソール支持ブラケット40および前部レイン48を介して立設ブラケット27の上壁に取付けられている。
【0083】
また
図4、
図9に示すように、上述したコンソール支持ブラケット40の前部は、前部クロスメンバ18の前面よりもさらに前方へ延出している。このコンソール支持ブラケット40の前方延出部40fは、そのフロントフロアパネル4に対して上方に離間した高さにて略水平に、前端がトンネル部9の後部上方に達するまで前方に延びている。上述した前部レイン48は、車両前後方向において、コンソール支持ブラケット40の前方延出部40fおよび前部クロスメンバ18に対応する部位にかけて備えている。
【0084】
そして
図4、
図7、
図9に示すように、コンソール支持ブラケット40の前方延出部40fの前部は、前部レイン48の前部と共にトンネル補強ブラケット30の後方延出部30rの後部を上方から覆うように配置しており、これにより
図7に示すように、トンネル補強ブラケット30と前部レイン48とは、夫々の上壁30a,48aおよび両側壁30b,30c、48b,48cとが重合している。
【0085】
そして、この重合部分の上側においては、コンソール支持ブラケット40の上壁40aと、前部レイン48の上壁48aと、トンネル補強ブラケット30の上壁30aと、後部レイン31の上壁31aとの4者を、ボルト、ナット等の締結部材59にて締結している。さらに、この重合部分の側部においては、コンソール支持ブラケット40の側壁40b,40cと、前部レイン48の側壁48b,48cと、トンネル補強ブラケット30の側壁30b,30cと、後部レイン31の側壁31b,31cとの4者を、ボルト、ナット等の締結部材60にて締結している。
【0086】
これにより
図9に示すように、トンネル補強ブラケット30と、該トンネル補強ブラケット30の後方に備えたコンソール支持ブラケット40とは、フロントフロアパネル4に対して上方に離間した位置にて連結されている。
【0087】
すなわち、トンネル補強ブラケット30は、トンネル部9の上壁9aとの接合部から後方延出部30rが前部クロスメンバ18の上端部に向けて後方へ延びるとともに、コンソール支持ブラケット40を介して該前部クロスメンバ18の上端部に接続されている。
【0088】
さらに、後部レイン31は、トンネル補強ブラケット30に接合されるとともに、前部レイン48は、コンソール支持ブラケット40および前部クロスメンバ18に接合され、さらに、後部レイン31と前部レイン48とは、締結部材59,60によって互いに接続されるため(
図7参照)、これら後部レイン31と前部レイン48とは、トンネル補強ブラケット30からコンソール支持ブラケット40に跨って前部クロスメンバ18に取り付けられている。
【0089】
上述した本実施形態の電動車両の下部車体構造は、ダッシュパネル1と、ダッシュパネル1の車幅方向中央下部とともに前部にトンネル部9が形成されるフロントフロアパネル4(フロア)と、フロントフロアパネル4の下方に前端に上方のトンネル部9内に向かって膨出する膨出部8aが形成されるバッテリユニット6と、フロントフロアパネル4の上方にて、該フロントフロアパネル4の両サイドに配設されたサイドシル10,10間を横架する前部クロスメンバ18(フロアクロスメンバ)とを備えた電動車両の下部車体構造であって、トンネル部9は後端が前部クロスメンバ18の直前に位置しており、トンネル部9から前部クロスメンバ18の上端部、すなわち前部クロスメンバ18に備えたクロスメンバ補強部材42の上壁42aの上面に向けて延びるとともに、該前部クロスメンバ18の上端部(上壁42aの上面)に接続される補強ブラケット(当例ではトンネル補強ブラケット30およびコンソール支持ブラケット40)とを備えたものである(
図3、
図4、
図9参照)。
【0090】
上記構成によれば、側突性能を向上させつつトンネル部9の前突荷重の伝達性能も向上させることができる。
【0091】
この発明の態様として、補強ブラケットは、トンネル部9から前部クロスメンバ18上端部に向けて延びるトンネル補強ブラケット30と、該トンネル補強ブラケット30の後方に備えたコンソール支持ブラケット40とで構成し、トンネル補強ブラケット30は、コンソール支持ブラケット40に接続されたものである(
図3〜
図7、
図9参照)。
【0092】
上記構成によれば、コンソールブラケットを介して前突荷重をより後方に伝達できる。
【0093】
この発明の態様として、トンネル補強ブラケット30は、コンソール支持ブラケット40を介して前部クロスメンバ18上端部に接続されたものである(
図3、
図4、
図8、
図9参照)。
【0094】
上記構成によれば、コンソール支持ブラケット40を前部クロスメンバ18に接続することで前突荷重をトンネル補強ブラケット30およびコンソール支持ブラケット40を介して前部クロスメンバ18に伝達できる。
【0095】
この発明の態様として、トンネル補強ブラケット30及びコンソール支持ブラケット40は共に門形断面形状であり(
図5〜
図7参照)、トンネル補強ブラケット30は両側壁30b,30c及び上壁30aがトンネル部9に溶接接合され(
図5参照)、コンソール支持ブラケット40は両側壁40b,40c及び上壁40aが前部クロスメンバ18に締結部材43および取付け部材50(締結具)を介して接続され(
図8参照)、トンネル補強ブラケット30とコンソール支持ブラケット40とは両側壁(30b,30c、40b,40c)及び上壁30a,40a同士が締結部材59,60(締結具)を介して接続されたものである(
図7参照)。
【0096】
上述したように、トンネル補強ブラケット30は、両側壁30b,30c及び上壁30aをトンネル部9に接合することで、トンネル部9に対して強固に接合できるとともに、トンネル部9に対して溶接接合することでトンネル部9(車体)に対して一体に接合された車体部品として構成することができる。
【0097】
一方、上述したように、コンソール支持ブラケット40は、両側壁40b,40c及び上壁40aを前部クロスメンバ18に接合することで、前部クロスメンバ18に対して強固に接合できるとともに、前部クロスメンバ18やトンネル補強ブラケット30に対して締結具等43,50,59,60を介して接合することで車体部品に対して後付け可能な車両部品として構成することができる。
【0098】
すなわち、補強ブラケットを、トンネル補強ブラケット30とコンソール支持ブラケット40との分割構造を採用するとともに、トンネル補強ブラケット30を車体部品として、コンソール支持ブラケット40を車両部品として、夫々構成することで、トンネル部9から前部クロスメンバ18に亘って架け渡される補強ブラケットを備えた構造においても、車体組み付け時に、該補強ブラケットの下方に有する前部クロスメンバ18等の車体部品のフロントフロアパネル4に対する強固な組み付け性を確保することができる。
【0099】
詳述すると、例えば、補強ブラケットをトンネル補強ブラケット30とコンソール支持ブラケット40とを一体形成した場合、車体組み付け時に、このような一体型の補強ブラケット(以下、「一体型補強ブラケット」と称する)の前部をトンネル部9に接合した場合、前部クロスメンバ18に向けて後方に延びる一体型補強ブラケットが、例えば前部クロスメンバ18を覆うように配置される。
【0100】
このため車体組み付け時に、前部クロスメンバ18をフロントフロアパネル4に適切にスポット溶接等で接合することが一体型補強ブラケットによって物理的に阻害され、前部クロスメンバ18とフロントフロアパネル4との適切な溶接箇所を十分に確保できず、これら4,18の間の接合強度を確保できないことが懸念される。
【0101】
これに対して本実施形態においては、補強ブラケットを、車体部品としてのトンネル補強ブラケット30と、車両部品としてのコンソール支持ブラケット40との分割構造を採用することで、車体組み付け時には、先にトンネル補強ブラケット30をトンネル部9に溶接接合しておき、前部クロスメンバ18をフロントフロアパネル4に適切にスポット溶接等で接合したうえで、コンソール支持ブラケット40をトンネル補強ブラケット30や前部クロスメンバ18に締結具等43,50,59,60を介して接合することが可能となるため、結果的にクロスメンバ等の車体部品のフロントフロアパネル4に対する強固な組み付け性を確保することができる。
【0102】
また上記構成によれば、トンネル補強ブラケット30及びコンソール支持ブラケット40を、共に門形断面形状で形成することにより、例えば平板形状で形成する場合と異なり、両側壁30b,30cと上壁30aとの間に稜線30g,30lを構成できるとともに、両側壁40b,40cと上壁40aとの間に、稜線40g,40lを構成することができる。
【0103】
さらに上記構成によれば、トンネル補強ブラケット30とコンソール支持ブラケット40とは、上壁30a,40a同士、右側壁30c,40c同士、左側壁30b,40b同士の夫々について締結部材59,60を介して締結することで互いに強固に接続することができる。
【0104】
これらにより、補強ブラケットは、トンネル補強ブラケット30とコンソール支持ブラケット40との分割構造を採用してもトンネル補強ブラケット30からコンソール支持ブラケット40へと前突荷重を効率的に伝達することができる。
【0105】
この発明の態様として、トンネル補強ブラケット30の上壁30aからコンソール支持ブラケット40の上壁40aにわたって連続する凹部30f,40vが形成されたものである(
図4〜
図6参照)。
【0106】
上記構成によれば、凹部30fの形成により、トンネル補強ブラケット30の上壁30a,40aに車両前後方向に延びる複数の稜線30h,30i,30j,30kを形成できるとともに、凹部40vの形成により、コンソール支持ブラケット40の上壁40aに車両前後方向に延びる複数の稜線40h,40i,40j,40kを形成できるため、上壁30a,40aの断面剛性が向上し前突荷重の伝達性能をさらに向上できる。
【0107】
この発明の態様として、トンネル補強ブラケット30からコンソール支持ブラケット40に跨って前部クロスメンバ18に取り付けられる門形断面形状の後部レイン31および前部レイン48(補強部材)を備えたものである(
図3〜
図9参照)。
【0108】
上記構成によれば、補強ブラケットを、トンネル補強ブラケット30とコンソール支持ブラケット40との分割構造を採用したため、両部材の連結部が脆弱化することが懸念されるが、共に門形断面形状の後部レイン31および前部レイン48を、トンネル補強ブラケット30からコンソール支持ブラケット40に跨るように備えることで、これら補強部材30,40によって該連結部を補強することができる。
従って、トンネル補強ブラケット30からコンソール支持ブラケット40への前突荷重の伝達性能をさらに向上できる。
【0109】
さらに当例では
図3、
図4に示すように、シフトレバー支持ブラケット73は、ベースブラケット76がシフトレバー72に対して後方へオフセットするようにコンソール支持ブラケット40から立設されている。すなわち、シフトレバー72は、ベースブラケット76に対して前方へオーバーハングするように設けられたものである。
【0110】
このため、ベースブラケット76前部の、コンソール支持ブラケット40に対する取付け部分においては、シフトレバー支持ブラケット73の付け根部分前部に相当するため、該部位にはシフトレバー72操作時にモーメント荷重の荷重が集中することが懸念される。
【0111】
これに対して本実施形態においては、コンソール支持ブラケット40に、前部クロスメンバ18に取り付けられる門形断面形状の補強部材30,40を備えたため、シフトレバー72操作時にベースブラケット76から加わる荷重に対してコンソール支持ブラケット40を補強することができる。
【0112】
この発明の態様として、トンネル部9の上壁9aと上方に有する補強ブラケット、すなわちトンネル補強ブラケット30の上壁30aとを連結する連結ブラケット32を備えたものである(
図3、
図4、
図9参照)。
【0113】
上記構成によれば、連結ブラケット32によってトンネル部9とトンネル補強ブラケット30との間の変位を抑制できる。
【0114】
詳述すると、前突によってトンネル部9の上壁9aとトンネル補強ブラケット30の上壁30aとの間の断面(空間)が潰れると、ダッシュパネル1下部の両サイドにおいて前席乗員の足置き用パネルとして設置されるトーボード(図示省略)の後退が懸念される。
【0115】
そこで本実施形態においては、トンネル部9の上壁9aと、その上方に有するトンネル補強ブラケット30の上壁30aとを連結する連結ブラケット32を設けることによって、連結ブラケット32を、前突時にこれら上壁9a,30a間の断面崩れを抑制する節部材として機能させることができ、トーボードの後退を極力抑制することができる。
【0116】
この発明は、上述の実施例の構成のみに限定されるものではなく様々な実施形態で形成することができる。
例えば、バッテリケース8の前部の車幅方向中央部は、ケーブル接続部65を設けることに対応して上方(フロントフロアパネル4)に向けて膨出する膨出部8aを形成したが、膨出部8aは、ケーブル接続部65を設けることに対応して膨出形成するに限らず、例えば、バッテリ装置5の冷却方式が空冷式である場合には、バッテリケース8の前部の車幅方向中央部に、該前部からケース内部に空気を取り込む空気供給口や、冷却ファン等の冷却装置を設け、これらに対応して上方へ膨出形成してもよい。
【0117】
また、トンネル部9は、フロントフロアパネル4の車幅方向中央かつ前部に上方に向けて膨出形成したものであれば、その内部空間に膨出部8aを格納するために膨出形成した構成に限らず、他の車両部品を格納するために膨出形成する、或いは何らの車両部品を格納することなく膨出形成したものも含む。