【解決手段】回転電機の出力を駆動力とする電動車両1の下部車体構造であって、左右一対のサイドシル7と、略平坦なフロントフロアパネル8と、前席18と後席との間におけるフロントフロアパネル8の上面に配設されるとともに、フロントフロアパネル8からサイドシル7のインナ上面部7aまでの高さよりも低い高さで、左右のサイドシル7を車幅方向に連結する第2フロアクロスメンバ40とを備え、第2フロアクロスメンバ40が、車幅方向に沿った縦断面において、車幅方向端部近傍の上面に対して車両上方に上面部43aが位置するように、車幅方向略中央近傍の断面形状を車両上方に拡大させた上方拡大断面部40aを備えたことを特徴とする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上述の問題に鑑み、乗員の足元空間と、所望される側突性能とを両立して確保できる電動車両の下部車体構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明は、回転電機の出力を駆動力とする電動車両の下部車体構造であって、車両前後方向に延びる左右一対のサイドシルと、該サイドシルの間に配設された略平坦なフロアパネルと、乗員が着席する前席と後席との間におけるフロアパネルの上面に配設されるとともに、前記フロアパネルから前記サイドシルの上面までの高さよりも低い高さで、左右の前記サイドシルを車幅方向に連結するフロアクロスメンバとを備え、該フロアクロスメンバが、車幅方向に沿った縦断面において、車幅方向端部近傍の上面に対して車両上方に上面が位置するように、車幅方向略中央近傍の断面形状を車両上方に拡大させた上方拡大断面部を備えたことを特徴とする。
上記略平坦なフロアパネルとは、車両上方へ突出するとともに、車両前後方向に延びるトンネル部が設けられていないフロアパネルのことをいう。
【0010】
この発明により、乗員の足元空間と、所望される側突性能とを両立して確保することができる。
具体的には、前席と後席との間に配設されたフロアクロスメンバを、フロアパネルからサイドシルの上面までの高さよりも低い高さとしたことにより、電動車両の下部車体構造は、フロアパネルからサイドシルの上面までの高さと略同じ高さのフロアクロスメンバに比べて、後席に着席する乗員の足元空間を広く確保することができる。
【0011】
さらに、フロアクロスメンバが上方拡大断面部を備えたことにより、電動車両の下部車体構造は、車幅方向に長いフロアクロスメンバにおける車幅方向略中央近傍の剛性を向上することができる。
これにより、電動車両の下部車体構造は、車両側方からの衝突荷重に対する車室床面の剛性を向上することができる。
【0012】
このため、電動車両の下部車体構造は、車両側方からの側突荷重が加わった際、例えば、フロアパネルが車幅方向略中央で座屈変形する、あるいは折れ曲がり変形することを抑制できる。
従って、電動車両の下部車体構造は、乗員の足元空間と、所望される側突性能とを両立して確保することができる。
【0013】
この発明の態様として、前記フロアクロスメンバが、左右の前記サイドシルを連結するとともに、前記フロアパネルとで車幅方向に延びる閉断面をなすクロスメンバ本体と、該クロスメンバ本体に固定されるとともに、前記上方拡大断面部をなすクロスメンバ補強部材とで構成され、前記クロスメンバ本体が、略平坦で、かつ平面視略矩形の上面を有する形状に形成されてもよい。
【0014】
この発明により、電動車両の下部車体構造は、クロスメンバ本体の上面における前端に沿った稜線、及び後端に沿った稜線を、略一直線状にすることができる。このため、電動車両の下部車体構造は、車両側方からの衝突荷重を、一方のサイドシルからフロアクロスメンバを介して、他方のサイドシルに効率よく伝達することができる。
従って、電動車両の下部車体構造は、乗員の足元空間を損なうことなく、安定した側突性能を確保することができる。
【0015】
また、この発明の態様として、前記フロアパネルに配設されるとともに、前記サイドシルの近傍を車両前後方向に延びる左右一対のフロアフレームを備え、前記クロスメンバ本体が、前記フロアフレームの間に位置するメンバ中央部と、該メンバ中央部の車幅方向両端に位置する左右一対のメンバ端部とで構成され、前記メンバ中央部が、前記メンバ端部の剛性よりも高剛性な一つの部材で構成されてもよい。
【0016】
この発明により、電動車両の下部車体構造は、左右のフロアフレームの間における車室床面の剛性を向上できるため、より安定した側突性能を確保することができる。
具体的には、フロアクロスメンバのメンバ端部が、フロアフレームとサイドシルとの間に位置するため、電動車両の下部車体構造は、サイドシルに作用する車両側方からの衝突荷重を、フロアクロスメンバのメンバ端部を介して、フロアフレームと、フロアクロスメンバのメンバ中央部とに分散伝達することができる。
【0017】
この際、メンバ中央部の剛性に対してメンバ端部の剛性が低いため、電動車両の下部車体構造は、車両側方からの衝突荷重を、メンバ端部の変形によって吸収することができる。このため、電動車両の下部車体構造は、メンバ中央部に作用する車両側方からの側突荷重を抑えることができる。
これにより、電動車両の下部車体構造は、左右のフロアフレームの間における車室床面の剛性を向上できるため、より安定した側突性能を確保することができる。
【0018】
また、この発明の態様として、前記クロスメンバ補強部材が、車両前後方向に沿った縦断面において、前記クロスメンバ本体の下端を介して前記フロアパネルに接合されるとともに、前記クロスメンバ本体とで閉断面をなす断面形状に形成されてもよい。
【0019】
この発明により、電動車両の下部車体構造は、フロアクロスメンバの車幅方向略中央近傍における剛性をより向上することができる。このため、電動車両の下部車体構造は、乗員の足元空間を損なうことなく、さらに安定した側突性能を確保することができる。
【0020】
また、この発明の態様として、前記クロスメンバ補強部材の上面が、車幅方向の両端に前記前席の後方脚部が固定される座席固定部を備え、該座席固定部が、車幅方向に沿った縦断面において、前記上方拡大断面部の上面における車幅方向略中央に略同じ車両上下方向の位置に形成されてもよい。
【0021】
この発明により、電動車両の下部車体構造は、座席固定部を設けた場合であっても、クロスメンバ補強部材の上面における前端に沿った稜線、及び後端に沿った稜線を略一直線状に形成することができる。このため、電動車両の下部車体構造は、車両側方からの衝突荷重を、一方のサイドシルからフロアクロスメンバを介して、他方のサイドシルにさらに効率よく伝達することができる。
【0022】
さらに、電動車両の下部車体構造は、クロスメンバ補強部材の上面における車両上下方向の凹凸を抑えることができるため、フロアクロスメンバの高さを抑えることができるとともに、クロスメンバ補強部材の成形性を向上することができる。
従って、電動車両の下部車体構造は、乗員の足元空間と、安定した側突性能と、フロアクロスメンバの成形性とを確保することができる。
【0023】
また、この発明の態様として、車両前後方向に長い長尺形状で、前部、及び後部が車体に連結された長尺部材を備え、該長尺部材が、車幅方向に沿った縦断面において、車幅方向に対向する左右一対の側壁部を有する断面略門型形状に形成され、前記長尺部材の前記側壁部が、前記フロアクロスメンバの前記上方拡大断面部に固定されてもよい。
【0024】
上記長尺部材は、例えば、センターコンソールを支持する支持部材、シフトレバーを支持する支持部材、あるいは車両前後方向へ荷重を伝達する部材として機能する荷重伝達部材などのことをいう。
【0025】
この発明により、電動車両の下部車体構造は、重量の増加を抑えて、より一層安定した側突性能を確保することができる。
具体的には、車幅方向に長尺なフロアクロスメンバの上方拡大断面部を、前部、及び後部が車体に連結された長尺部材で支持できるため、電動車両の下部車体構造は、フロアクロスメンバにおける車幅方向略中央近傍の剛性を向上することができる。
【0026】
さらに、長尺部材の側壁部が上方拡大断面部に固定されているため、電動車両の下部車体構造は、フロアクロスメンバに作用した車両側方からの側突荷重を、長尺部材を介して車両前後方向に分散伝達することができる。このため、電動車両の下部車体構造は、車両側方からの側突荷重に対する車室床面の剛性を向上することができる。
【0027】
加えて、長尺部材の側壁部がフロアパネルに固定されていないため、電動車両の下部車体構造は、長尺部材の側壁部がフロアパネルに固定される場合に比べて、側壁部における車両上下方向の長さを短くすることができる。これにより、電動車両の下部車体構造は、側壁部がフロアパネルに固定される場合に比べて、長尺部材の重量を抑えることができる。
従って、電動車両の下部車体構造は、重量の増加を抑えて、より一層安定した側突性能を確保することができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明により、乗員の足元空間と、所望される側突性能とを両立して確保できる電動車両の下部車体構造を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0030】
この発明の一実施形態を以下図面と共に説明する。
本実施形態の車両は、例えば、リチウムイオン二次電池などのバッテリユニットと、バッテリユニットからの電力供給によって回動する回転電機とを備えるともに、回転電機の出力を駆動力とする電動車両である。このような電動車両1の車室部分における下部車体構造について、
図1から
図11を用いて詳しく説明する。
【0031】
なお、
図1は電動車両1の車室部分における外観斜視図を示す、
図2は電動車両1の下部車体における外観斜視図を示し、
図3は下部車体の平面図を示し、
図4は
図3中のA−A矢視断面図を示し、
図5は膨出部材14における車両後方視の外観斜視図を示している。
【0032】
さらに、
図6は
図3中のB−B矢視断面図を示し、
図7は
図4中における車両後方側の要部の拡大断面図を示し、
図8はキックアップ補強部材50における車両前方視の外観斜視図を示し、
図9は
図3中のC−C矢視断面図を示し、
図10は
図3中のD−D矢視断面図を示し、
図11は第2支持ブラケット62における車両後方視の外観斜視図を示している。
【0033】
また、図示を明確にするため、
図1、
図2、及び
図3中において、サイドシルアウタ7Aの図示を省略するとともに、
図4、
図6、及び
図7中において、フロントフロアパネル8の車両下方に配設されたバッテリユニット16の詳細な図示を省略している。
【0034】
また、図中において、矢印Fr及び矢印Rrは前後方向を示しており、矢印Frは前方を示し、矢印Rrは後方を示している。さらに、矢印Rh及び矢印Lhは車幅方向を示しており、矢印Rhは右方向を示し、矢印Lhは左方向を示している。
【0035】
電動車両1の車室には、
図1に示すように、車室前部にインストルメントパネル2が配設され、インストルメントパネル2における車幅方向略中央の車両下方にセンターコンソール3、及びシフトレバー4が配設されている。
なお、詳細な図示を省略するが、電動車両1の車室には、センターコンソール3を挟んで2つの前席が配設され、センターコンソール3よりも車両後方に後席が配設されているものとする。
【0036】
また、センターコンソール3は、
図1に示すように、インストルメントパネル2の車両下方に位置するセンターコンソール前部3Aと、センターコンソール前部3Aの車両後方側に連結されたセンターコンソール後部3Bとで構成されている。
このセンターコンソール後部3Bには、
図1に示すように、シフトレバー4の基部を覆う意匠パネルが一体的に設けられ、その車両後方に、カップホルダー3a、及びアームレスト3bがこの順番で配設されている。
【0037】
また、シフトレバー4は、
図2に示すように、シフトレバー支持ブラケット5を介して、後述するコンソール支持ブラケット60に載置固定されている。このシフトレバー支持ブラケット5は、その前部が後述する第1フロアクロスメンバ30の上面に締結固定され、後部が立設ブラケット70の上面に締結固定されている。
【0038】
このような電動車両1の車室部分における下部車体は、
図1及び
図2に示すように、モータルームと車室とを車両前後方向に仕切るダッシュパネル6と、ダッシュパネル6における車幅方向両端の下部から車両後方に延びる左右一対のサイドシル7と、左右のサイドシル7の間に配設され、車室床面をなすフロントフロアパネル8と、フロントフロアパネル8の後端から車両上方に段上げされたキックアップ部9と、キックアップ部9の後端に連結されたリヤフロアパネル10とを備えている。
【0039】
さらに、電動車両1の下部車体は、
図1及び
図2に示すように、ダッシュパネル6、及びフロントフロアパネル8に跨って車両前後方向に延びる左右一対のフロアフレームアッパ11と、フロアフレームアッパ11の後端から車両後方に延びる左右一対のフロアフレームロア12(
図3参照)と、左右のサイドシル7を車幅方向に連結する第1フロアクロスメンバ30、及び第2フロアクロスメンバ40とを備えている。
【0040】
加えて、電動車両1の下部車体は、
図1及び
図2に示すように、フロントフロアパネル8の後端近傍とキックアップ部9とを連結するキックアップ補強部材50と、シフトレバー4、及びセンターコンソール3を支持するコンソール支持ブラケット60と、コンソール支持ブラケット60を車両下方から支持する立設ブラケット70とを備えている。
【0041】
具体的には、ダッシュパネル6は、車両前後方向に厚みを有するパネル部材であって、その下部が車両後方へ向けて湾曲した形状に形成されている。このダッシュパネル6には、
図2から
図4に示すように、車幅方向略中央近傍に、車両前方上方から車両後方下方へ向けて延びる略トンネル状に膨出させたトンネル形状部6aが形成されている。
トンネル形状部6aは、ダッシュパネル6における車幅方向略中央近傍を切欠いた開口を覆う別部材で構成され、ダッシュパネル6に接合されることで、ダッシュパネル6に一体的に形成されている。
【0042】
また、左右のサイドシル7は、車幅方向沿った縦断面における断面形状が、断面略矩形の閉断面をなすように構成されている(
図6参照)。
より詳しくは、サイドシル7は、車幅方向に沿った縦断面において、車幅方向外側に突出した断面略ハット状のサイドシルアウタ7A(
図6参照)と、車幅方向内側に突出した断面略ハット状のサイドシルインナ7B(
図6参照)とで構成されている。
【0043】
また、フロントフロアパネル8は、
図2から
図4に示すように、車両上下方向に厚みを有する略平坦なパネル部材であって、その前端がダッシュパネル6の下端に接合され、後端が後述するキックアップ部9の下端に接合されている。
【0044】
このフロントフロアパネル8の前部には、
図4に示すように、車幅方向略中央近傍を、ダッシュパネル6におけるトンネル形状部6aの内部空間に連続するように切欠いた前方開口S1が開口形成されている。
一方、フロントフロアパネル8の後部には、
図4に示すように、車幅方向略中央近傍を、後述するキックアップ補強部材50の内部空間に連続するように切欠いた後方開口S2が開口形成されている。
【0045】
そして、上述したフロントフロアパネル8には、
図2から
図4に示すように、前方開口S1を覆うとともに、ダッシュパネル6のトンネル形状部6aから連続するように車両上方に膨出した膨出部材14が接合されている。なお、膨出部材14は、フロントフロアパネル8の前端から第1フロアクロスメンバ30の前端に至る車両前後方向の長さで形成されている。
【0046】
より詳しくは、膨出部材14は、
図4及び
図5に示すように、車幅方向で対向する側面視略三角形状の左右一対の側壁部14aと、前端に対して後端が車両下方に位置するように傾斜した後壁部14bと、側壁部14aの下端、及び後壁部14bの下端に沿ったフランジ部14cとで、車両前方、及び車両下方が開口した略ボックス状に形成されている。
【0047】
この膨出部材14は、側壁部14aの前部、及び後壁部14bの前部が、ダッシュパネル6のトンネル形状部6aに接合され、フランジ部14cがフロントフロアパネル8の上面に接合されることで、ダッシュパネル6のトンネル形状部6aに連続する略トンネル状の空間を形成している。
【0048】
また、キックアップ部9は、
図2から
図4に示すように、車両前後方向に沿った縦断面における断面形状が、フロントフロアパネル8の後端から車両上方へ向けて延設されたキックアップ前面部分9aと、キックアップ前面部分9aの上端から車両後方へ向けて延びるキックアップ上面部分9bとで、断面略L字状に形成されている。
【0049】
このキックアップ部9の下面には、
図4に示すように、キックアップ前面部分9aの上部とキックアップ上面部分9bの前部とに跨って、車幅方向に延びる第3クロスメンバ15が接合されている。この第3クロスメンバ15は、車両前後方向に沿った縦断面における断面形状が、車両後方下方に角部を有する断面略L字状であって、キックアップ部9とで、車幅方向に延びる断面略矩形の閉断面をなすように形成されている。
【0050】
また、リヤフロアパネル10は、車両上下方向に厚みを有するパネル部材であって、キックアップ部9のキックアップ上面部分9bの後端に接合されている。なお、詳細な図示を省略するが、リヤフロアパネル10の上面には、後席の座面部分が載置固定されるものとする。
【0051】
また、フロアフレームアッパ11は、
図2及び
図3に示すように、ダッシュパネル6の下部における車室内側の面と、フロントフロアパネル8の上面とに跨って配設されている。このフロアフレームアッパ11は、詳細な図示を省略するが、車幅方向に沿った縦断面における断面形状が車両上方に突出した断面略ハット状であって、ダッシュパネル6、及びフロントフロアパネル8に接合されることで、車両前後方向に延びる断面略矩形の閉断面を形成している。
【0052】
なお、フロアフレームアッパ11は、
図3に示すように、平面視において、サイドシル7の近傍をとおるように、車幅方向外側近傍に配設されるとともに、前端に対して後端が車幅方向外側に位置するように配設されている。
【0053】
また、フロアフレームロア12は、
図3に示すように、平面視において、フロアフレームアッパ11から連続するように、フロントフロアパネル8の下面に配設されている。
より詳しくは、フロアフレームロア12は、
図3に示すように、前端に対して後端が車幅方向外側に位置するように配設されている。換言すると、フロアフレームロア12は、左右のサイドシル7の近傍をとおるように配設されている。
【0054】
このフロアフレームロア12は、
図6に示すように、車幅方向に沿った縦断面における断面形状が車両下方に突出した断面略ハット状であって、フロントフロアパネル8の下面に接合されることで、車両前後方向に延びる断面略矩形の閉断面を形成している。
【0055】
そして、フロントフロアパネル8の車両下方側におけるフロアフレームロア12の間には、
図3及び
図4に示すように、フロントフロアパネル8の前端近傍からリヤフロアパネル10に至る範囲に、回転電機に電力を供給するバッテリユニット16が配設されている。
【0056】
また、第1フロアクロスメンバ30は、
図2及び
図3に示すように、フロントフロアパネル8における膨出部材14の後端に対して車両後方側に隣接する位置で、左右のサイドシル7を略直線的に連結している。
この第1フロアクロスメンバ30は、
図4に示すように、車両前後方向に沿った縦断面において、フロントフロアパネル8とで車幅方向に延びる閉断面をなす形状に形成されている。
【0057】
また、第2フロアクロスメンバ40は、
図2及び
図3に示すように、第1フロアクロスメンバ30に対して車両後方に所定間隔を隔てた位置において、左右のサイドシル7を略直線的に連結している。
この第2フロアクロスメンバ40は、
図4に示すように、車両前後方向に沿った縦断面において、フロントフロアパネル8とで車幅方向に延びる閉断面をなす形状に形成されている。
【0058】
さらに、第2フロアクロスメンバ40は、
図6に示すように、車幅方向に沿った縦断面において、車幅方向略中央近傍の上面が、車幅方向外側の上面に対して車両上方に位置するように、車幅方向略中央近傍の断面形状を車両上方に拡大させた上方拡大断面部40aを有する形状に形成されている。
【0059】
また、キックアップ補強部材50は、
図2から
図4に示すように、車幅方向略中央において、フロントフロアパネル8の後方開口S2を覆うとともに、キックアップ部9のキックアップ前面部分9aとフロントフロアパネル8とを連結している。
【0060】
また、コンソール支持ブラケット60は、
図2から
図4に示すように、フロントフロアパネル8の膨出部材14と、キックアップ補強部材50とを車両前後方向に連結している。
さらに、コンソール支持ブラケット60は、第1フロアクロスメンバ30の上面、第2フロアクロスメンバ40の上面、及び立設ブラケット70の上面にそれぞれ締結固定されている。
【0061】
なお、コンソール支持ブラケット60には、
図1、
図2、及び
図4に示すように、シフトレバー4を支持するシフトレバー支持ブラケット5が載置固定されるとともに、センターコンソール後部3Bが載置固定されている。
また、立設ブラケット70は、
図2及び
図4に示すように、第1フロアクロスメンバ30と第2フロアクロスメンバ40との間において、フロントフロアパネル8の上面と、コンソール支持ブラケット60の上面とを連結支持している。
【0062】
引き続き、上述した第2フロアクロスメンバ40、キックアップ補強部材50、及びコンソール支持ブラケット60について、さらに詳しく説明する。
第2フロアクロスメンバ40は、
図3及び
図6に示すように、フロアフレームロア12の間を車幅方向に延びる一部材である中央メンバ部材41と、中央メンバ部材41の車幅方向両端に接合された左右一対の端部メンバ部材42と、上方拡大断面部40aをなすクロスメンバ補強部材43とで構成されている。
【0063】
中央メンバ部材41は、端部メンバ部材42の剛性に対して高剛性な一つの部材で形成されている。この中央メンバ部材41は、例えば、板厚が1.8mmの超高張力鋼板であって、
図7に示すように、車両前後方向に沿った縦断面における断面形状が、車両上方に突出した断面略ハット状に形成されている。
【0064】
具体的には、中央メンバ部材41は、
図6及び
図7に示すように、車両前方側の面をなすメンバ前面部41aと、車両後方側の面をなすメンバ後面部41bと、車両上方の面をなすメンバ上面部41cと、メンバ前面部41aの下端から車両前方に延設した前方フランジ部41dと、メンバ後面部41bの下端から車両後方へ延設した後方フランジ部41eとで一体形成されている。
【0065】
この中央メンバ部材41は、
図6及び
図7に示すように、前方フランジ部41d、及び後方フランジ部41eがフロントフロアパネル8の上面に接合されている。
このような中央メンバ部材41のメンバ上面部41cは、
図3及び
図6に示すように、平面視略矩形の略平板状であって、サイドシルインナ7Bのインナ上面部7aよりも車両下方の位置に形成されている。
【0066】
一方、左右の端部メンバ部材42は、中央メンバ部材41に対して低剛性であって、例えば、板厚が1.0mmの高張力鋼板で構成されている。この端部メンバ部材42は、車両前後方向に沿った縦断面における断面形状が、車両上方に突出した断面略ハット状であって、中央メンバ部材41から連続して車幅方向に延びる形状に形成されている。
【0067】
具体的には、端部メンバ部材42は、
図3及び
図6に示すように、中央メンバ部材41のメンバ上面部41cに略同じ車両上下方向の位置に位置するメンバ上面部42aと、メンバ上面部42aの前端から車両下方へ延設されたメンバ前面部42b(
図3参照)と、メンバ上面部42aの後端から車両下方へ延設されたメンバ後面部42cと、メンバ前面部42bの下端から車両前方に延設した前方フランジ部と、メンバ後面部42cの下端から車両後方へ延設した後方フランジ部とで一体形成されている。
【0068】
この端部メンバ部材42は、前方フランジ部、及び後方フランジ部が、フロントフロアパネル8の上面に接合され、メンバ上面部42a(後述する前席外側固定部分42f)を車幅方向外側へ延設した延設部分が、サイドシル7のインナ上面部7aに接合されている。
【0069】
このような端部メンバ部材42のメンバ上面部42aは、
図3及び
図6に示すように、中央メンバ部材41のメンバ上面部41cにおける車両前後方向の長さに略同じ車両前後方向の長さを有する平面視略矩形の略平板状に形成されている。
【0070】
さらに、メンバ上面部42aの車幅方向外側には、
図3及び
図6に示すように、車幅方向外側のシートスライドレール17が締結固定される前席外側固定部分42fが、車両上方に膨出させて一体形成されている。
【0071】
上述したような構成のため、第2フロアクロスメンバ40には、中央メンバ部材41におけるメンバ前面部41aとメンバ上面部41cとの角部、及び端部メンバ部材42におけるメンバ上面部42aとメンバ前面部42bとの角部によって、平面視、及び正面視において、車幅方向へ略一直線状に延びる稜線が車両前方側に形成されている。
【0072】
さらに、第2フロアクロスメンバ40には、中央メンバ部材41におけるメンバ後面部41bとメンバ上面部41cとの角部、及び端部メンバ部材42におけるメンバ上面部42aとメンバ後面部42cとの角部によって、平面視、及び背面視において、車幅方向へ略一直線状に延びる稜線が車両後方側に形成されている。
【0073】
また、クロスメンバ補強部材43は、
図6及び
図7に示すように、車両前後方向に沿った縦断面における断面形状が、車両上方に突出した断面略ハット状に形成され、中央メンバ部材41とで車幅方向に延びる閉断面をなす形状に形成されている。
【0074】
具体的には、クロスメンバ補強部材43は、
図6及び
図7に示すように、中央メンバ部材41のメンバ上面部41cよりも車両上方に位置する上面部43aと、上面部43aの前端から車両下方へ延設された前面部43bと、上面部43aの後端から車両下方へ延設された後面部43cと、上面部43aにおける車幅方向の両端から車両下方へ延設された左右一対の側面部43dと、前面部43bの下端から車両前方に延設された前方フランジ部43eと、後面部43cの下端から車両後方に延設された後方フランジ部43fとで一体形成されている。
【0075】
さらに、クロスメンバ補強部材43は、
図6に示すように、車幅方向に沿った縦断面における断面形状が断面ハット状をなすとともに、中央メンバ部材41のメンバ上面部41cとで閉断面をなすように、側面部43dの下端から車幅方向外側へ延設された左右一対の側方フランジ部43gが一体形成されている。
【0076】
そして、クロスメンバ補強部材43は、
図6及び
図7に示すように、前方フランジ部43eが中央メンバ部材41の前方フランジ部41dを介して、フロントフロアパネル8の上面に接合され、後方フランジ部43fが中央メンバ部材41の後方フランジ部41eを介して、フロントフロアパネル8の上面に接合され、側方フランジ部43gが中央メンバ部材41のメンバ上面部41cに接合されている。
【0077】
このようなクロスメンバ補強部材43の上面部43a、及び側面部43dは、
図3、
図6、及び
図7に示すように、中央メンバ部材41のメンバ上面部41cに略同じ車両前後方向の長さを有する平面視略矩形に形成されている。
【0078】
さらに、上面部43aにおける車幅方向両端には、
図6に示すように、車幅方向内側のシートスライドレール17の後部が締結固定される前席内側固定部43hが、上面部43aにおける車幅方向略中央部分と略同じ車両上下方向の位置に一体形成されている。
【0079】
加えて、上面部43aの下面には、
図6に示すように、前席内側固定部43hよりも車幅方向内側において、締結ボルトT1が螺合する2つのウエルドナット44が、車幅方向に所定間隔を隔てて接合されている。このウエルドナット44には、
図6に示すように、コンソール支持ブラケット60(後述する第2支持ブラケット62の第2固定部分673b)が、締結ボルトT1を介して締結固定される。
【0080】
また、キックアップ補強部材50は、
図7及び
図8に示すように、キックアップ部9のキックアップ前面部分9a、及びその車両前方下方のフロントフロアパネル8の上面に接合された本体部材51と、本体部材51の上面に着脱自在に設けたカバー部材52とで構成されている。
【0081】
本体部材51は、
図8から
図9に示すように、車両前後方向に沿った縦断面における断面形状が断面略L字状で、かつ車幅方向に沿った縦断面における断面形状が車両上方へ突出した断面略ハット状に形成されている。換言すると、本体部材51は、車両下方、及び車両後方が開口した略ボックス状に形成されている。
【0082】
より詳しくは、本体部材51は、
図8から
図9に示すように、キックアップ部9におけるキックアップ前面部分9aの下端に略同じ車両上下方向の位置に形成された上面部51aと、上面部51aの車幅方向両端から車両下方へ延設した左右一対の側壁部51bと、上面部51aの前端から車両下方へ延設した前壁部51cとで、フロントフロアパネル8の後方開口S2を覆う略ボック状に一体形成されている。
【0083】
さらに、本体部材51には、側壁部51bの下端を車幅方向外側へフランジ状に延設した部分と、前壁部51cの下端を車両前方へフランジ状に延設した部分とで、左右の側壁部51bの下端、及び前壁部51cの下端に沿った平面視略U字状のフランジ部51dが一体形成されている。
【0084】
そして、本体部材51は、上面部51a、及び左右の側壁部51bがキックアップ部9のキックアップ前面部分9aに接合され、フランジ部51dがフロントフロアパネル8の上面に接合されている。
【0085】
このような本体部材51の側壁部51bには、
図8及び
図9に示すように、車両前方、かつ車両上方の位置に設けた開口を介して、締結ボルトT2が螺合するウエルドナット53が内面に接合されている。このウエルドナット53には、コンソール支持ブラケット60の後部が、締結ボルトT2を介して締結固定される。
【0086】
また、上面部51aには、
図7に示すように、フロントフロアパネル8の後方開口S2に対向する部分を、平面視略矩形に開口した開口部S3が開口形成されている。
さらに、上面部51aには、
図8及び
図9に示すように、開口部S3の周囲に車両上方に突出したウエルドボルト54が4つ接合されている。このウエルドボルト54には、コンソール支持ブラケット60の後部、及びカバー部材52が共締めされる。
【0087】
一方、カバー部材52は、
図7及び
図8に示すように、車両上下方向に所定の厚みを有するとともに、本体部材51の開口部S3を覆う略平板状に形成されている。このカバー部材52は、
図7及び
図9に示すように、コンソール支持ブラケット60の後部を挟んで、本体部材51のウエルドボルト54に共締めされている。
【0088】
また、コンソール支持ブラケット60は、
図2及び
図3に示すように、フロントフロアパネル8の膨出部材14と、キックアップ補強部材50とを車両前後方向に連結している。このコンソール支持ブラケット60は、
図1から
図4に示すように、電動車両1の車室内において、センターコンソール前部3Aを支持する第1支持ブラケット61と、シフトレバー4、及びセンターコンソール後部3Bを支持する第2支持ブラケット62とで構成されている。
【0089】
第1支持ブラケット61は、
図5に示すように、フロントフロアパネル8の膨出部材14に接合されるブラケット本体63と、ブラケット本体63の後部を補強する後部レインフォースメント64とで構成されている。
なお、第1支持ブラケット61は、
図4及び
図5に示すように、フロントフロアパネル8の膨出部材14における車両前後方向の長さに略同じ車両前後方向の長さで形成されている。
【0090】
具体的には、ブラケット本体63は、
図5及び
図10に示すように、車幅方向で対面する左右一対のブラケット側壁部631と、ブラケット側壁部631の上端を連結するブラケット上面部632とで、正面視略門型形状に形成されている。
【0091】
ブラケット上面部632は、
図5及び
図10に示すように、車両下方に凹設されるとともに、車両前後方向に延びる略凹溝状の凹溝部632aを、車幅方向略中央近傍に有する形状に形成されている。この凹溝部632aは、ブラケット上面部632における車両前後方向の略中央近傍から後端にかけて凹設されている。
【0092】
なお、ブラケット本体63は、
図4に示すように、車両前後方向に沿った縦断面において、後述する後部レインフォースメント64よりも車両前方で、膨出部材14の後壁部14bに対して離間した位置のブラケット上面部632が、断面略Z字状の連結ブラケット19を介して、膨出部材14の後壁部14bに連結されている。
【0093】
一方、第1支持ブラケット61の後部レインフォースメント64は、
図5に示すように、ブラケット本体63の後部における内面に接合されている。この後部レインフォースメント64は、
図5及び
図10に示すように、ブラケット本体63のブラケット側壁部631の上部に接合された左右一対の側面部641と、ブラケット本体63のブラケット上面部632に接合された上面部642とで一体形成されている。
【0094】
このような後部レインフォースメント64における側面部641の後部には、
図5及び
図10に示すように、ブラケット本体63のブラケット側壁部631に設けた開口を介して、締結ボルトT3が螺合するウエルドナット65が溶接されている。このウエルドナット65には、第2支持ブラケット62の前部が、締結ボルトT3を介して締結固定される。
【0095】
さらに、上面部642の後部には、
図5及び
図10に示すように、ブラケット本体63のブラケット上面部632に設けた開口を介して、車両上方に突出するウエルドボルト66が、車幅方向に所定間隔を隔てて接合されている。このウエルドボルト66には、第2支持ブラケット62の前部が締結固定される。
【0096】
また、第2支持ブラケット62は、
図11に示すように、第1支持ブラケット61の後部に連結されるブラケット本体67と、ブラケット本体67の前部を補強する前部レインフォースメント68とで構成されている。
【0097】
ブラケット本体67は、
図9から
図11に示すように、車幅方向に沿った縦断面における断面形状が、車両下方が開口した断面略門型形状であって、車幅方向で対面する左右一対のブラケット側壁部671と、ブラケット側壁部671の上端を車幅方向に連結するブラケット上面部672とで一体形成されている。
【0098】
左右のブラケット側壁部671は、
図11に示すように、車両上下方向の長さに対して車両前後方向の長さが長い略平板状に形成されている。なお、ブラケット側壁部671は、ブラケット上面部672からフロントフロアパネル8の上面に至る車両上下方向の長さよりも短い車両上下方向の長さで形成されている。
【0099】
さらに、ブラケット側壁部671の下端には、
図11に示すように、前端から後端にかけて、車幅方向外側に延設されたフランジ部673が一体形成されている。
このフランジ部673には、車両前後方向に所定間隔を隔てた位置において、第1フロアクロスメンバ30の上面に締結固定される第1固定部分673aと、第2フロアクロスメンバ40の上面に締結固定される第2固定部分673bとが、さらにフランジ部として車幅方向外側に向けて延設されている。
【0100】
このようなブラケット側壁部671には、
図9から
図11に示すように、締結ボルトT3の挿通を許容するボルト挿通孔671aが、前端近傍に開口形成され、締結ボルトT2の挿通を許容するボルト挿通孔671bが、後端近傍に開口形成されている。
【0101】
また、ブラケット本体67のブラケット上面部672は、
図2から
図4に示すように、その前部において、シフトレバー4を車両下方から支持するシフトレバー支持ブラケット5と、センターコンソール後部3Bとが、車両前方からこの順番で載置固定されている。
【0102】
このブラケット上面部672は、
図3及び
図11に示すように、車幅方向の長さが略一定で車両前後方向に長い平面視略矩形の平板状に形成されている。
このため、第2支持ブラケット62のブラケット本体67には、ブラケット側壁部671とブラケット上面部672との角部、及びブラケット側壁部671とフランジ部673との角部に、少なくとも平面視において、車両前後方向へ略一直線状に延びる稜線が形成されている。
【0103】
さらに、ブラケット上面部672は、
図10及び
図11に示すように、第1支持ブラケット61の凹溝部632aに連続するように、車両下方に凹設されるとともに、車両前後方向に延びる凹溝部672aが、車幅方向略中央近傍に形成されている。
【0104】
このブラケット上面部672の凹溝部672aは、
図3及び
図11に示すように、ブラケット上面部672の前端から第2固定部分673b近傍に至る車両前後方向の長さで凹設されている。
なお、第1支持ブラケット61の凹溝部632a、及び第2支持ブラケット62の凹溝部672aは、第1支持ブラケット61、及び第2支持ブラケット62の剛性を向上させるだけでなく、車室内を車両前後方向に沿って配索されるワイヤーハーネス(図示省略)を収容する収容空間として形成されている。
【0105】
このようなブラケット上面部672には、
図10、及び
図11に示すように、第1支持ブラケット61のウエルドボルト66の挿通を許容する2つのボルト挿通孔672bが、前端近傍に開口形成され、第1フロアクロスメンバ30のウエルドボルト(図示省略)の挿通を許容する2つのボルト挿通孔672cが、第1固定部分673aに略同じ車両前後方向の位置に開口形成されている。
【0106】
さらに、ブラケット上面部672には、
図9から
図11に示すように、立設ブラケット70への締結固定のために立設ブラケット70に設けたウエルドボルト(図示省略)の挿通を許容する複数のボルト挿通孔672dが、第1固定部分673aと第2固定部分673bとの間に開口形成され、キックアップ補強部材50の4つのウエルドボルト54のうち、車両前方側の2つのウエルドボルト54の挿通を許容する2つのボルト挿通孔672eが、後端近傍に開口形成されている。
【0107】
第2支持ブラケット62の前部レインフォースメント68は、
図10及び
図11に示すように、ブラケット本体67の前部における内面に接合されている。この前部レインフォースメント68は、
図10及び
図11に示すように、ブラケット本体67のブラケット側壁部671に接合された左右一対の側面部681と、ブラケット本体67のブラケット上面部672に接合された上面部682とで、正面視略門型形状に一体形成されている。
【0108】
上述した構成のコンソール支持ブラケット60は、
図10に示すように、第1支持ブラケット61のブラケット側壁部631の後部と第2支持ブラケット62のブラケット側壁部671の前部が、締結ボルトT3を介して締結固定されるとともに、第1支持ブラケット61のブラケット上面部632の後部と第2支持ブラケット62のブラケット上面部672の前部とが、ウエルドボルト66を介して締結固定されることで、第1支持ブラケット61と第2支持ブラケット62とを車両前後方向に連結している。
【0109】
さらに、コンソール支持ブラケット60は、第1支持ブラケット61のブラケット側壁部631、及びブラケット上面部632が、それぞれ膨出部材14の側壁部14a、及び後壁部14bに接合されることで、膨出部材14に連結されている。
【0110】
加えて、コンソール支持ブラケット60は、
図9に示すように、第2支持ブラケット62のブラケット側壁部671が、締結ボルトT2を介してキックアップ補強部材50の側壁部51bに締結固定され、第2支持ブラケット62のブラケット上面部672が、ウエルドボルト54を介して、キックアップ補強部材50の上面部51aにカバー部材52とともに共締めされている。
【0111】
これにより、コンソール支持ブラケット60は、フロントフロアパネル8の膨出部材14とキックアップ補強部材50とを車両前後方向に連結している。
さらに、コンソール支持ブラケット60は、第2支持ブラケット62のブラケット上面部672が、ウエルドボルト(図示省略)を介して、第1フロアクロスメンバ30の上面に、シフトレバー支持ブラケット5の前部とともに共締めされている。
【0112】
そして、コンソール支持ブラケット60は、
図2、
図3、及び
図6に示すように、第2支持ブラケット62の第1固定部分673aが、第1フロアクロスメンバ30の上面に締結固定され、第2支持ブラケット62の第2固定部分673bが、締結ボルトT1を介して、第2フロアクロスメンバ40のクロスメンバ補強部材43に締結固定されている。
【0113】
以上のように、回転電機の出力を駆動力とする電動車両1の下部車体構造は、車両前後方向に延びる左右一対のサイドシル7と、サイドシル7の間に配設された略平坦なフロントフロアパネル8と、乗員が着席する前席18と後席との間におけるフロントフロアパネル8の上面に配設されるとともに、フロントフロアパネル8からサイドシル7のインナ上面部7aまでの高さよりも低い高さで、左右のサイドシル7を車幅方向に連結する第2フロアクロスメンバ40とを備え、第2フロアクロスメンバ40が、車幅方向に沿った縦断面において、車幅方向端部近傍の上面に対して車両上方に上面部43aが位置するように、車幅方向略中央近傍の断面形状を車両上方に拡大させた上方拡大断面部40aを備えたことにより、乗員の足元空間と、所望される側突性能とを両立して確保することができる。
【0114】
具体的には、前席18と後席との間に配設された第2フロアクロスメンバ40を、フロントフロアパネル8からサイドシル7のインナ上面部7aまでの高さよりも低い高さとしたことにより、電動車両1の下部車体構造は、フロントフロアパネル8からサイドシル7のインナ上面部7aまでの高さと略同じ高さの第2フロアクロスメンバ40に比べて、後席に着席する乗員の足元空間を広く確保することができる。
【0115】
さらに、第2フロアクロスメンバ40が上方拡大断面部40aを備えたことにより、電動車両1の下部車体構造は、車幅方向に長い第2フロアクロスメンバ40における車幅方向略中央近傍の剛性を向上することができる。
これにより、電動車両1の下部車体構造は、車両側方からの衝突荷重に対する車室床面の剛性を向上することができる。
【0116】
このため、電動車両1の下部車体構造は、車両側方からの側突荷重が加わった際、例えば、フロントフロアパネル8が車幅方向略中央で座屈変形する、あるいは折れ曲がり変形することを抑制できる。
従って、電動車両1の下部車体構造は、乗員の足元空間と、所望される側突性能とを両立して確保することができる。
【0117】
また、第2フロアクロスメンバ40が、左右のサイドシル7を連結するとともに、フロントフロアパネル8とで車幅方向に延びる閉断面をなすクロスメンバ本体(中央メンバ部材41、端部メンバ部材42)と、クロスメンバ本体(中央メンバ部材41、端部メンバ部材42)に固定されるとともに、上方拡大断面部40aをなすクロスメンバ補強部材43とで構成され、クロスメンバ本体(中央メンバ部材41、端部メンバ部材42)が、略平坦で、かつ平面視略矩形の上面(メンバ上面部41c、メンバ上面部42a)を有する形状に形成されたことにより、電動車両1の下部車体構造は、クロスメンバ本体(中央メンバ部材41、端部メンバ部材42)の上面(メンバ上面部41c、メンバ上面部42a)における前端に沿った稜線、及び後端に沿った稜線を、略一直線状にすることができる。
【0118】
このため、電動車両1の下部車体構造は、車両側方からの衝突荷重を、一方のサイドシル7から第2フロアクロスメンバ40を介して、他方のサイドシル7に効率よく伝達することができる。
従って、電動車両1の下部車体構造は、乗員の足元空間を損なうことなく、安定した側突性能を確保することができる。
【0119】
また、フロントフロアパネル8に配設されるとともに、サイドシル7の近傍を車両前後方向に延びる左右一対のフロアフレームロア12を備え、クロスメンバ本体が、フロアフレームロア12の間に位置する中央メンバ部材41と、中央メンバ部材41の車幅方向両端に位置する左右一対の端部メンバ部材42とで構成され、中央メンバ部材41が、端部メンバ部材42の剛性よりも高剛性な一つの部材で構成されたことにより、電動車両1の下部車体構造は、左右のフロアフレームロア12の間における車室床面の剛性を向上できるため、より安定した側突性能を確保することができる。
【0120】
具体的には、第2フロアクロスメンバ40の端部メンバ部材42が、フロアフレームロア12とサイドシル7との間に位置するため、電動車両1の下部車体構造は、サイドシル7に作用する車両側方からの衝突荷重を、第2フロアクロスメンバ40の端部メンバ部材42を介して、フロアフレームロア12と、第2フロアクロスメンバ40の中央メンバ部材41とに分散伝達することができる。
【0121】
この際、中央メンバ部材41の剛性に対して端部メンバ部材42の剛性が低いため、電動車両1の下部車体構造は、車両側方からの衝突荷重を、端部メンバ部材42の変形によって吸収することができる。このため、電動車両1の下部車体構造は、中央メンバ部材41に作用する車両側方からの側突荷重を抑えることができる。
これにより、電動車両1の下部車体構造は、左右のフロアフレームロア12の間における車室床面の剛性を向上できるため、より安定した側突性能を確保することができる。
【0122】
また、クロスメンバ補強部材43が、車両前後方向に沿った縦断面において、中央メンバ部材41の下端を介してフロントフロアパネル8に接合されるとともに、中央メンバ部材41とで閉断面をなす断面形状に形成されたことにより、電動車両1の下部車体構造は、第2フロアクロスメンバ40の車幅方向略中央近傍における剛性をより向上することができる。このため、電動車両1の下部車体構造は、乗員の足元空間を損なうことなく、さらに安定した側突性能を確保することができる。
【0123】
また、クロスメンバ補強部材43の上面部43aが、車幅方向の両端に前席18の後方脚部が固定される前席内側固定部43hを備え、前席内側固定部43hが、車幅方向に沿った縦断面において、上面部43aにおける車幅方向略中央に略同じ車両上下方向の位置に形成されたことにより、電動車両1の下部車体構造は、前席内側固定部43hを設けた場合であっても、クロスメンバ補強部材43の上面部43aにおける前端に沿った稜線、及び後端に沿った稜線を略一直線状に形成することができる。このため、電動車両1の下部車体構造は、車両側方からの衝突荷重を、一方のサイドシル7から第2フロアクロスメンバ40を介して、他方のサイドシル7にさらに効率よく伝達することができる。
【0124】
さらに、電動車両1の下部車体構造は、クロスメンバ補強部材43の上面部43aにおける車両上下方向の凹凸を抑えることができるため、第2フロアクロスメンバ40の高さを抑えることができるとともに、クロスメンバ補強部材43の成形性を向上することができる。
従って、電動車両1の下部車体構造は、乗員の足元空間と、安定した側突性能と、第2フロアクロスメンバ40の成形性とを確保することができる。
【0125】
また、車両前後方向に長い長尺形状で、前部、及び後部が車体に連結されたコンソール支持ブラケット60を備え、コンソール支持ブラケット60が、車幅方向に沿った縦断面において、車幅方向に対向する左右一対のブラケット側壁部671を有する断面略門型形状に形成され、コンソール支持ブラケット60のブラケット側壁部671が、第2フロアクロスメンバ40の上方拡大断面部40aに固定されたことにより、電動車両1の下部車体構造は、重量の増加を抑えて、より一層安定した側突性能を確保することができる。
【0126】
具体的には、車幅方向に長尺な第2フロアクロスメンバ40の上方拡大断面部40aを、前部、及び後部が車体に連結されたコンソール支持ブラケット60で支持できるため、電動車両1の下部車体構造は、第2フロアクロスメンバ40における車幅方向略中央近傍の剛性を向上することができる。
【0127】
さらに、コンソール支持ブラケット60のブラケット側壁部671が上方拡大断面部40aに固定されているため、電動車両1の下部車体構造は、第2フロアクロスメンバ40に作用した車両側方からの側突荷重を、コンソール支持ブラケット60を介して車両前後方向に分散伝達することができる。このため、電動車両1の下部車体構造は、車両側方からの側突荷重に対する車室床面の剛性を向上することができる。
【0128】
加えて、コンソール支持ブラケット60のブラケット側壁部671がフロントフロアパネル8に固定されていないため、電動車両1の下部車体構造は、コンソール支持ブラケット60のブラケット側壁部671がフロントフロアパネル8に固定される場合に比べて、ブラケット側壁部671における車両上下方向の長さを短くすることができる。これにより、電動車両1の下部車体構造は、ブラケット側壁部671がフロントフロアパネル8に固定される場合に比べて、コンソール支持ブラケット60の重量を抑えることができる。
従って、電動車両1の下部車体構造は、重量の増加を抑えて、より一層安定した側突性能を確保することができる。
【0129】
この発明の構成と、上述の実施形態との対応において、
この発明のフロアパネルは、実施形態のフロントフロアパネル8に対応し、
以下同様に、
フロアクロスメンバは、第2フロアクロスメンバ40に対応し、
クロスメンバ本体は、中央メンバ部材41、及び端部メンバ部材42に対応し、
クロスメンバ本体の上面は、中央メンバ部材41のメンバ上面部41c、及び端部メンバ部材42のメンバ上面部42aに対応し、
フロアフレームは、フロアフレームロア12に対応し、
メンバ中央部は、中央メンバ部材41に対応し、
メンバ端部は、端部メンバ部材42に対応し、
クロスメンバ補強部材の上面は、クロスメンバ補強部材43の上面部43aに対応し、
座席固定部は、前席内側固定部43hに対応し、
長尺部材は、コンソール支持ブラケット60に対応し、
側壁部は、ブラケット側壁部671に対応するが、
この発明は、上述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、多くの実施の形態を得ることができる。
【0130】
例えば、上述した実施形態において、フロントフロアパネル8の前部に別体で構成した膨出部材14を接合した構成としたが、これに限定せず、フロントフロアパネル8の前部における車幅方向略中央近傍を車両上方に膨出させて、フロントフロアパネル8に膨出部材14を一体形成してもよい。
【0131】
また、フロントフロアパネル8の後部とキックアップ部9とを連結するキックアップ補強部材50を別体で構成したが、これに限定せず、キックアップ補強部材50をフロントフロアパネル8、またはキックアップ部9に一体形成してもよい。
【0132】
また、第2フロアクロスメンバ40を、中央メンバ部材41、左右一対の端部メンバ部材42、及びクロスメンバ補強部材43で構成したが、これに限定せず、例えば、中央メンバ部材41と左右の端部メンバ部材42とが一体形成された第2フロアクロスメンバとしてもよい。あるいは、中央メンバ部材41とクロスメンバ補強部材43とが一体形成された、もしくは中央メンバ部材41、左右一対の端部メンバ部材42、及びクロスメンバ補強部材43が一体形成された第2フロアクロスメンバとしてもよい。
【0133】
また、第1支持ブラケット61と第2支持ブラケット62とが締結固定されたコンソール支持ブラケット60としたが、これに限定せず、第1支持ブラケット61と第2支持ブラケット62とが接合されたコンソール支持ブラケットとしてもよい。
【0134】
また、コンソール支持ブラケット60を第1支持ブラケット61と第2支持ブラケット62とで構成したが、これに限定せず、第1支持ブラケット61と第2支持ブラケット62とが一体形成されたコンソール支持ブラケットとしてもよい。
【0135】
また、前部車体である膨出部材14と後部車体であるキックアップ補強部材50とを、センターコンソール3、シフトレバー4、及びシフトレバー支持ブラケット5を支持するコンソール支持ブラケット60で車両前後方向に連結したが、これに限定せず、膨出部材14とキックアップ補強部材50とを、車両前後方向に荷重を伝達する長尺部材で、車両前後方向に連結してもよい。