【実施例】
【0017】
この発明の一実施例を以下図面に基づいて詳述する。
図面は電動車両の下部車体構造を示し、
図1は当該下部車体構造を示す斜視図、
図2はインストルメントパネルおよびコンソールを取外した状態で示す下部車体構造の平面図、
図3は電動車両の下部車体構造を車幅方向略中央で上下方向に断面して示す縦断面図である。
なお、以下に述べる実施例の電動車両の下部車体構造は、左右ほぼ対称に形式されている。
【0018】
図1、
図2において、車両走行用のモータ(図示せず)が配設されるモータルームと、車室とを車両の前後方向に仕切るダッシュパネル1(詳しくは、ダッシュロアパネル)を設け、このダッシュパネル1の車室側で、かつ前席の前方にはインストルメントパネル2を配置している。当該インストルメントパネル2の運転席側(この実施例では車幅方向右側の前席側)には、その内部にステアリングコラムおよびステアリングシャフトが設けられるステアリングコラムカバー3を配設している。
図2、
図3に示すように、上述のダッシュパネル1の下部後端部1aには、センタトンネルを有さない略平坦なフロントフロアパネル4を連設している。このフロントフロアパネル4は車室の床面を形成するものである。
【0019】
図3に示すように、上述のフロントフロアパネル4の下部には、モータによる車両走行の駆動源としてのバッテリ装置(いわゆるバッテリパック)5を配置している。このバッテリ装置5は、複数の電池本体6aによりバッテリユニット6を構成し、このバッテリユニット6を複数備えている。フロントフロアパネル4下部と対応する位置においては複数のバッテリユニット6を上下1段構造に格納しており、後述するリヤフロアパン38下部と対応する位置においては複数のバッテリユニット6を上下2段構造に格納している。
【0020】
また、上述のバッテリ装置5は、複数のバッテリユニット6をその下方から支持するバッテリトレイ7と、バッテリトレイ7の外部フランジ上面に取付けられて、その内部に上述の各バッテリユニット6を内蔵するバッテリケース8と、を備えており、フロントフロアパネル4前部の車幅方向中央に設けられた部分的なトンネル部9と対応する位置のバッテリケース8前部には、トンネル部9に向かって上方に膨出する膨出部8aが一体形成されている。この膨出部8aはバッテリケース8内においてケーブル(図示せず)の配索を可能とするスペースを確保するためのものである。
【0021】
図2、
図3に示すように、上述のダッシュパネル1の車幅方向中央下部には、トンネル部9と連続するようにトンネル形状部1b,1cが形成されている。
図2に示すように、フロントフロアパネル4の車幅方向両サイドには、車両の前後方向に延びる閉断面構造のサイドシル10,10を接合固定している。
【0022】
図4はコンソール支持ブラケットの斜視図、
図5はトンネル部および補強ブラケットの斜視図、
図6は立設ブラケットの斜視図、
図7はキックアップ部補強部材の斜視図、
図8は
図3のA−A線に沿う要部拡大断面図、
図9は
図2のB−B線に沿う要部の断面図、
図10は
図9の要部拡大断面図、
図11は
図2のC−C線に沿う要部の断面図、
図12は
図11の要部拡大断面図、
図13は
図2のD−D線に沿う要部の断面図、
図14は
図8のE−E線矢視断面図である。
【0023】
図9、
図11、
図13に示すように、上述のサイドシル10は、サイドシルインナ11と、サイドシルレインフォースメント12と、サイドシルアウタ13とを接合固定して、車両の前後方向に延びるサイドシル閉断面部14を有する車体強度部材である。
【0024】
図1、
図2に示すように、上述のサイドシル10とトンネル部9との車幅方向中間部において、ダッシュパネル1の下部上面とフロントフロアパネル4の上面とに跨がってフロアフレームアッパ15(つまり、上部フロアフレーム)を接合固定している。このフロアフレームアッパ15はハット断面形状を有して車両の前後方向に延びるフレームであって、フロアフレームアッパ15とダッシュパネル1およびフロントフロアパネル4との間には、車両の前後方向に延びる閉断面部が形成されている。
【0025】
図9、
図11、
図13に示すように、上述のサイドシル10とバッテリ装置5との車幅方向中間部において、フロントフロアパネル4の下面にはフロアフレームロア16(つまり、下部フロアフレーム)を接合固定している。このフロアフレームロア16は逆ハット断面形状を有して車両の前後方向に延びるフレームであって、フロアフレームロア16とフロントフロアパネル4との間には、車両の前後方向に延びる閉断面部17が形成されている。
【0026】
図2に示すように、上述のトンネル部9の後端と近接してフロントフロアパネル4上面には、左右一対のサイドシル10,10間を車幅方向に一直線状に延びるフロアクロスメンバとしての前部クロスメンバ(いわゆるNo.2クロスメンバ)18が配設されている。
図9に示すように、当該前部クロスメンバ18は前席前部下部においてフロントフロアパネル4上方をサイドシルインナ11の上面部の高さに合わせて左右のサイドシル10,10間を車幅方向に一直線状に延びるようにフロントフロアパネル4に接合固定されている。
図3に示すように、当該前部クロスメンバ18はハット断面形状を有しており、該前部クロスメンバ18とフロントフロアパネル4との間には、車幅方向に一直線状に延びる閉断面部19が形成されている。
また、
図9に示すように、フロアクロスメンバとしての前部クロスメンバ18は、その上面が車幅方向に略一直線状に形成されている。
【0027】
さらに、
図9に示すように、フロントフロアパネル4の下部には既述したように、車両の前後方向に延びる左右のフロアフレームロア16,16(但し、
図9においては、車両右側のフロアフレームロア16のみを示す)が設けられており、上述の前部クロスメンバ18は、左右のフロアフレームロア16,16間(つまり、車幅方向中間部位)に位置するハット断面形状の中間メンバ20と、フロアフレームロア16よりも車幅方向外側(つまり、車幅方向の両サイド側)に位置するハット断面形状のサイドメンバ21と、で構成されている。
そして、上述の中間メンバ20は板厚が1.8mmの超高張力鋼板で形成されており、上述のサイドメンバ21は板厚が1.0mmの高張力鋼板(いわゆるハイテン材)で形成されている。
【0028】
すなわち、前部クロスメンバ18は、左右のフロアフレームロア16間のフロアクロスメンバ部位(中間メンバ20参照)が、フロアフレームロア16よりも車幅方向外側に位置する部位(サイドメンバ21参照)より高剛性に形成されており、かつ中間メンバ20は一部材(単一部品)から形成されている。
【0029】
図2、
図9に示すように、上述の前部クロスメンバ18におけるサイドメンバ21の上部には、前席前部の固定部22aを形成するシート取付けブラケット22が接合固定されている。このシート取付けブラケット22は、上記前部クロスメンバ18を構成するサイドメンバ21とは別部材にて形成されている。
【0030】
図2に示すように、上述の前部クロスメンバ18に対して車両後方に離間した位置においてフロントフロアパネル4の上面には、左右一対のサイドシル10,10間を車幅方向に一直線状に延びる第2のフロアクロスメンバとしての中間部クロスメンバ(いわゆるNo.2.5クロスメンバ)23が配設されている。この中間部クロスメンバ23は上述の前部クロスメンバ18と平行になるよう設けられている。
【0031】
図13に示すように、該中間部クロスメンバ23は前席後部下部においてフロントフロアパネル4上方において、左右のサイドシル10,10間を車幅方向に一直線状に延びるようにフロントフロアパネル4に接合固定されている。
図3に示すように、当該中間部クロスメンバ23はハット断面形状を有しており、該中間部クロスメンバ23とフロントフロアパネル4との間には、車幅方向に一直線状に延びる閉断面部24が形成されている。
図13に示すように、上述の中間部クロスメンバ23はバッテリ装置5の車幅方向の全幅と対応する位置の中間メンバ25と、バッテリ装置5よりも車幅方向外側に位置するサイドメンバ26と、で構成されている。
【0032】
ここで、上述の中間メンバ25を、板厚が1.8mmの超高張力鋼板で形成し、サイドメンバ26を、板厚が1.0mmの高張力鋼板で形成し、中間メンバ25をサイドメンバ26に対して高剛性となるよう形成してもよい。また、上述の中間メンバ25は一部材(単一部品)から形成されている。さらに、サイドメンバ26はシート取付けブラケットを兼ねるもので、その上面部には前席後部の固定部26aが一体形成されている。
【0033】
図3に示すように、前部クロスメンバ18(No.2クロスメンバ)と中間部クロスメンバ23(No.2.5クロスメンバ)との車両前後方向の中間部において、換言すれば、前部クロスメンバ18の車幅方向の中央部の後方において、上述のフロントフロアパネル4には、当該フロントフロアパネル4から上方に向けて立設固定された立設ブラケット27を設けている。
図6、
図11、
図12に示すように、立設ブラケット27は車両正面視でM字断面形状に形成されている。
【0034】
図12に拡大断面図で示すように、上述の立設ブラケット27は車幅方向に離間した2つの上壁27a,27bと、これら上壁27a,27bの車幅方向端部から下方に延びる外側脚部27c,27dおよび内側脚部27e,27fと、内側脚部27e,27fの下端相互間を車幅方向に連結する中間底壁27gと、外側脚部27c,27dの下端から車幅方向外方に延びるフランジ部27h,27iと、を一体形成している。
この立設ブラケット27は、
図6に×印で示す両側と中間部、詳しくは、フランジ部27h,27iと中間底壁27gとがフロントフロアパネル4にスポット溶接手段等にて接合固定されている。
【0035】
また、
図6に示すように、上述の外側脚部27c,27d、内側脚部27e,27fには外方に膨出し、かつ、上下方向に延びる複数のビード28,28…が車両前後方向に間隔を隔てて一体形成されており、上記フランジ部27h,27iおよび中間底壁27gは、これらのビード28,28間並びに、ビード28と立設ブラケット27の前後端面との間(
図6の×印参照)でフロントフロアパネル4に接合固定されている。
【0036】
図3、
図5に示すように、フロントフロアパネル4の前部車幅方向中央に設けられた上述のトンネル部9には、車体部品として断面門形状の補強ブラケット30が設けられている。
図5に示すように、この補強ブラケット30は上壁30aと、該上壁30aの車幅方向両サイドから下方に延びる側壁30b,30cとを一体形成したもので、補強ブラケット30の上壁30aおよび左右の両側壁30b,30cはトンネル部9に対して溶接接合されている(
図5の×印参照)。
【0037】
図3、
図5に示すように、上述の補強ブラケット30の後部下面には補強部材としての後部レイン31が設けられている。
図3に示すように、後部レイン31の直前において補強ブラケット30の上壁30aとトンネル部9の上壁との間には、側面視で略Z字形状の連結ブラケット32にて連結されている。
【0038】
この連結ブラケット32は、車両前突時の荷重が入力された際、補強ブラケット30とトンネル部9との間の変位、いわゆる断面崩れを抑制すると共に、後述するシフトレバー72の操作時に、シフトレバー支持ブラケット73を介して補強ブラケット30に荷重が入力されるが、この際、当該補強ブラケット30を下方から支えて、補強するためのものである。
【0039】
一方、
図2、
図3、
図7、
図14に示すように、フロントフロアパネル4の後部車幅方向中央には、キックアップ部33を補強するキックアップ部補強部材34を設けている。
図7に示すように、このキックアップ部補強部材34は、上壁34aと、上壁34aの車幅方向両サイドから下方に延びる左右の側壁34b,34bと、上壁34aの前端部から下方に延びる前壁34cと、側壁34bおよび前壁34cの下端から外方に延びるように一体形成されたフランジ部34dと、を備えている。
【0040】
図3に示すように、上述のキックアップ部補強部材34の上壁34aには、開口部34eが設けられると共に、当該上壁34aには該開口部34eを着脱可能に覆うカバー部材35が設けられている。
図3に示すように、上述のキックアップ部33は上方に延びた後に、その上端から車両後方に延びるものであって、キックアップ部33の下部には車幅方向に延びる後部クロスメンバ36(いわゆるNo.3クロスメンバ)を接合固定し、当該後部クロスメンバ36とキックアップ部33との間には、車幅方向に延びる閉断面部37を形成している。
図3に示すように、上述のキックアップ部33には後方に延びるリヤフロアパン38を連設している。
【0041】
図2において、39はリヤフロアパン38の車幅方向両サイドを車両の前後方向に延びる閉断面構造のリヤサイドフレームであって、
図2に示すように、上述のサイドシル10はその後端部がリヤサイドフレーム39の前端部とオーバラップするように車両後方に延設されている。
【0042】
図2、
図3に示すように、トンネル部9上部の車体部材である補強ブラケット30後部からキックアップ部補強部材34前部にかけて車両の前後方向に延びる車両部品としてのコンソール支持ブラケット40を設けている。このコンソール支持ブラケット40は、前部クロスメンバ18の車幅方向中央上方、立設ブラケット27上部、および中間部クロスメンバ23の車幅方向中央上方に配設されてコンソール70を支持するブラケットである。
【0043】
図3に示すように、上述のコンソール70は、上部にシフトノブ71が設けられたシフトレバー72を支持し、下部が上記コンソール支持ブラケット40に前後で固定されるシフトレバー支持ブラケット73を備えている。
【0044】
図3に示すように、上述のシフトレバー支持ブラケット73は、シフトレバー72を支持する上部ブラケット74と、中間ブラケット75と、ベースブラケット76とを一体的に構成したものである。
そして、上述のコンソール70はその全体が外装部材77で覆われると共に、ベースブラケット76より前側をコンソールフロント部70Fに設定し、ベースブラケット76より後側をコンソールリヤ部70Rに設定している。
【0045】
図3に示すように、ベースブラケット76の直後方におけるコンソールリヤ部70Rの上部には、カップホルダ78を形成し、このカップホルダ78の後方部に形成した物入れ部79を、アームレスト80で開閉可能に覆うよう構成している。
【0046】
図9に示すように、前部クロスメンバ18の車幅方向中央部上部、詳しくは、中間メンバ20の車幅方向中央部上部に、コンソール支持ブラケット40の高さまで上方に向けて断面が拡大する上方拡大断面部41を形成している。この実施例では、当該上方拡大断面部41は、前部クロスメンバ18とは別体のクロスメンバ補強部材42にて形成されている。
これにより、前部クロスメンバ18の基本部位の稜線X1,X2(
図14参照)を車幅方向に一直線化するように構成している。
【0047】
図9、
図14に示すように、クロスメンバ補強部材42は、上壁42a、前壁42b、後壁42c、左右の側壁42d,42eおよび該側壁42d,42eから車幅方向外方に延びるフランジ部42f,42gを有しており、
図14に示すように、前壁42bおよび後壁42cを前部クロスメンバ18の前後の各壁に接合固定し、フランジ部42f,42gを
図9に示すように、前部クロスメンバ18の上壁に接合固定したものである。
【0048】
図10に示すように、上述のコンソール支持ブラケット40は上壁40aと、左右の両側壁40b,40cと、側壁40b,40cの下端から車幅方向外方に延びるフランジ部40d,40eと、を備えており、当該コンソール支持ブラケット40の側壁40b,40cがフランジ部40d,40eを介して上方拡大断面部41を形成するクロスメンバ補強部材42の上壁42aに固定されている。
【0049】
また、
図4に示すように、上述のコンソール支持ブラケット40の上壁40aにおける車幅方向中央部には下方に凹む凹部40fを一体形成している。この凹部40fはコンソール支持ブラケット40の前端から後端部近傍まで車両の前後方向に延びており、この凹部40fの形成によりコンソール支持ブラケット40の上壁40aに車両の前後方向に延びる複数の稜線40g,40h,40i,40j,40kが形成されている。
【0050】
図9、
図10に示すように、この実施例では、コンソール支持ブラケット40の左右のフランジ部40d,40eが、ボルト、ナット等の締結部材43を用いて、後述する補強支持ブラケット51と共に、クロスメンバ補強部材42の上壁42aに共締め固定されている。
【0051】
図9に示すように、上方拡大断面部41を形成するクロスメンバ補強部材42の上壁42aの車幅方向両側には、当該上方拡大断面部41と同一高さで前席前部の固定部、すなわち、シート固定部44,44が形成されている。
これにより、上方拡大断面部41の稜線X3,X4(すなわち、クロスメンバ補強部材42の稜線)を車幅方向に一直線化するように構成している。
【0052】
そして、上述のシート固定部44とシート取付けブラケット22の前席前部の固定部22aとには、取付け部材45,45を用いてシートスライドレール46,46の前部を取付けており、シートスライドレール46,46の上方部には前席としてのフロントシート47(この実施例では、ドライバーズシート)を配置している。なお、
図9では、フロントシート47のシートクッション47Cを示している。
【0053】
図4、
図10に示すように、コンソール支持ブラケット40の前部をその下面から補強する補強部材としての前部レイン48を設けている。
図10に示すように、この前部レイン48は、コンソール支持ブラケット40の上壁40aおよび左右の両側壁40b,40cを補強する門形断面形状に形成されている。
【0054】
図9、
図10に示すように、前部クロスメンバ18上方のコンソール支持ブラケット40には、マウントラバー49およびボルト、ナットから成る取付け部材50を用いて、シフトレバー支持ブラケット73のベースブラケット76前部が取付けられており、クロスメンバ補強部材42の上面には、上述のコンソール支持ブラケット40の上面つまり上壁40aを下方から支持する補強支持ブラケット51が立設固定されている。
【0055】
図10に示すように、上述のシフトレバー支持ブラケット73におけるベースブラケット76の下部左右にはフランジ部76a,76bが一体形成されており、これらの各フランジ部76a,76bをマウントラバー49上面において取付け部材50にて締結することで、シフトレバー支持ブラケット73が左右で上述のコンソール支持ブラケット40に取付けられている。
【0056】
図9、
図10に示すように、上述の補強支持ブラケット51は車両正面視でM字断面形状に形成されており、
図10に示すように、該補強支持ブラケット51の左右のフランジ部51a,51bは、コンソール支持ブラケット40のフランジ部40d,40eと共に、締結部材43を用いて、クロスメンバ補強部材42の上壁42aに取付けられている。
【0057】
また、上述のM字断面形状の補強支持ブラケット51は2つの上壁51c,51dを有しており、これらの各上壁51c,51dは前部レイン48およびコンソール支持ブラケット40と共に、3枚重ね合わせて、共締め固定されている。
【0058】
図2のD−D線矢視断面図を
図13に示すように、第2のフロアクロスメンバとしての中間部クロスメンバ23の車幅方向中央上部には、クロスメンバ補強部材52を接合固定している。
図14に示すように、このクロスメンバ補強部材52はハット断面形状を有しており、このクロスメンバ補強部材52にて閉断面部24の上部に上方拡大断面部53を形成している。
【0059】
図14に示すように、前部クロスメンバ18に対して中間部クロスメンバ23は上下高さを高くすることができない。つまり、中間部クロスメンバ23上には後席乗員の足が位置することになり、中間部クロスメンバ23はその高さを高くできないので、側突に対して弱くなるが、これを補足するために上記クロスメンバ補強部材52により上方拡大断面部53を成形し、側突耐力の向上を図ったものである。
【0060】
図14に示すように、上述のクロスメンバ補強部材52は、中間部クロスメンバ23の下方から上方の全体を覆っており、フロントフロアパネル4に対して上記中間部クロスメンバ23と共に溶接接合されており、これにより、中間メンバ25の剛性をより一層高め、当該中間メンバ25の側突性能の向上を図り、側突荷重の入力時には、サイドメンバ26でエネルギ吸収を行なって、バッテリ装置5の保護を図るよう構成したものである。
【0061】
図14に示すように、第2のフロアクロスメンバである中間部クロスメンバ23は立設ブラケット27の後方においてコンソール支持ブラケット40の高さよりも低く形成されており、
図13に示すように、コンソール支持ブラケット40は車両正面視で門形断面形状に形成され、かつ、クロスメンバ補強部材52を介してその側壁40b,40cが中間部クロスメンバ23に取付けられている。
【0062】
詳しくは、
図13に示すように、コンソール支持ブラケット40の左右の側壁40b,40cは、フランジ部40d,40eを介してクロスメンバ補強部材52の上壁に取付けられている。上述のフランジ部40d,40eはボルト、ナット等の締結部材54を用いてクロスメンバ補強部材52に締結固定されたものである。
【0063】
図13に示すように、上方拡大断面部53を形成するクロスメンバ補強部材52の車幅方向両側には、前席後部の固定部、つまり、シート固定部55が形成されており、このシート固定部55とサイドメンバ26の前席後部の固定部26aとには、取付け部材56,56を用いて上述のシートスライドレール46,46の後部を取付けている。
【0064】
図3、
図14に示すように、上述のシフトレバー支持ブラケット73は、シフトレバー72を支持するブラケットであって、
図14に示すように、このシフトレバー支持ブラケット73は、前部クロスメンバ18上部のクロスメンバ補強部材42と、立設ブラケット27の前部とに跨がって固定されている。
【0065】
シフトレバー支持ブラケット73の前側の固定部は、
図9、
図10を参照して既述したように、マウントラバー49および取付け部材50を用いて、その左右がクロスメンバ補強部材42に取付けられており、シフトレバー支持ブラケット73の後側の固定部は、
図11、
図12に示すように、ベースブラケット76の左右のフランジ部76a,76bが、マウントラバー57,57およびボルト、ナット等の取付け部材58を用い、かつ、コンソール支持ブラケット40を介して立設ブラケット27の上壁27a,27bに取付けられている。
【0066】
図14に示すように、立設ブラケット27は、シフトレバー支持ブラケット73の後側の取付け部(マウントラバー57、取付け部材58の位置参照)からさらに車両後方に向かって延びるよう形成されており、該立設ブラケット27には、上記シフトレバー支持ブラケット73の取付け部の後方で上述のコンソール支持ブラケット40の上壁40aが、図示しないボルト、ナット等の取付け部材を用いて固定されている。
図11、
図12に示すように、立設ブラケット27の上部は車幅方向においてコンソール支持ブラケット40の車幅方向の幅に対して幅狭に形成されている。
【0067】
ところで、
図8、
図5、
図14に示すように、コンソール支持ブラケット40(車両部品)は補強ブラケット30(車体部品)を介してトンネル部9に接続されており、コンソール支持ブラケット40と補強ブラケット30とは、上壁40a,30aおよび側壁40b,40c,30b,30cで前部レイン48および後部レイン31を含め4者を重ねて締結部材を介して締結されている。
【0068】
すなわち、
図8に示すように、上側においては、コンソール支持ブラケット40の上壁40aと、前部レイン48と、補強ブラケット30の上壁30aと、後部レイン31との4者を、ボルト、ナット等の締結部材59にて締結しており、側部においては、コンソール支持ブラケット40の側壁40b,40cと、前部レイン48と、補強ブラケット30の側壁30b,30cと、後部レイン31との4者を、ボルト、ナット等の締結部材60にて締結している。
図1、
図3、
図8に示すように、コンソールフロント部70Fの下部前端と、インストルメントパネル2の下部との間には、底部コンソール81を設けている。
【0069】
図8に示すように、この底部コンソール81は車幅方向中央に位置する底壁81aと、底壁81aの車幅方向左右両端部から上方に立上がる内壁81bと、この内壁81bの上端から下方に延びる外壁81cと、を一体形成したもので、当該底部コンソール81にてコンソール支持ブラケット40の前方部および補強ブラケット30を上方から覆っている。
【0070】
さらに、
図3、
図4、
図14に示すように、コンソール支持ブラケット40の後部上側には、門形断面形状の取付けブラケット61を設け、当該取付けブラケット61にマウントラバー62およびボルト、ナット等の取付け部材63を用いて、コンソールリヤ部70R側のブラケット82を取付けるように構成している。
なお、図中、矢印Fは車両前方を示し、矢印Rは車両後方を示す。
【0071】
このように、上記実施例の電動車両の下部車体構造は、車室床面を形成するフロアパネル(フロントフロアパネル4参照)と、前席前部下部において上記フロアパネル(フロントフロアパネル4)上方をサイドシル10の高さに合わせて左右一対のサイドシル10,10間を車幅方向に一直線状に延びるよう配設されたフロアクロスメンバ(前部クロスメンバ18参照)と、上記フロアクロスメンバ(前部クロスメンバ18)の中央部の後方において上記フロアパネル(フロントフロアパネル4)から上方に向けて立設固定された立設ブラケット27と、シフトレバー72を支持するシフトレバー支持ブラケット73と、を備え、上記フロアクロスメンバ(前部クロスメンバ18)の中央部と上記立設ブラケット27とに跨がって上記シフトレバー支持ブラケット73が固定されたものである(
図3、
図9、
図14参照)。
この構成によれば、フロアクロスメンバ(前部クロスメンバ18)はサイドシル10(詳しくは、サイドシルインナ11の上面)の高さに合わせて左右一対のサイドシル10,10間を車幅方向に一直線状に延びるよう配設されているので、側突性能の向上を図ることができる。
【0072】
また、シフトレバー支持ブラケット73は、フロアクロスメンバ(前部クロスメンバ18)の中央部と上記立設ブラケット27とに跨がって固定されているので、当該シフトレバー支持ブラケット73の支持強度の向上を図ることができる。
さらに、フロアパネル(フロントフロアパネル4)が略フラットになっている関係上、該フロアパネル(フロントフロアパネル4)の振動の点で不利となるが、上記立設ブラケット27により、フロアパネル(フロントフロアパネル4)の振動を抑制することができる。
要するに、側突性能の向上を図りつつ、シフトレバー支持ブラケット73の支持剛性確保と、フロアパネル(フロントフロアパネル4)の振動抑制との両立を図ることができる。
【0073】
また、この発明の一実施形態においては、上記立設ブラケット27は、上記シフトレバー支持ブラケット73の取付け部(取付け部材58の位置参照)からさらに後方に向かって延びるよう形成されており、上記立設ブラケット27には上記シフトレバー支持ブラケット73の取付け部(取付け部材58の位置参照)の後方でコンソール支持ブラケット40の上面部(上壁40a)が固定されたものである(
図11、
図14参照)。
この構成によれば、シフトレバー支持ブラケット73の後方部を、コンソール支持ブラケット40上面への支持が可能になると共に、立設ブラケット27は、シフトレバー支持ブラケット73の取付け部(取付け部材58の位置参照)からさらに後方に向かって延びるので、上記立設ブラケット27のフロアパネル(フロントフロアパネル4)に対する固定範囲が拡大し、これにより、フロアパネル(フロントフロアパネル4)の振動をより一層抑制することができる。
【0074】
さらに、この発明の一実施形態においては、上記シフトレバー支持ブラケット73が左右で上記立設ブラケット27に取付けられており、上記立設ブラケット27は車両正面視でM字断面形状に形成されると共に、その両側(脚部27c,27d参照)と中間部(中間底壁27g参照)とが上記フロアパネル(フロントフロアパネル4参照)に接合固定されたものである(
図11、
図12参照)。
この構成によれば、立設ブラケット27をM字断面形状に形成することで、当該立設ブラケット27の左右の両側(脚部27c,27d)と、シフトレバー支持ブラケット73を支持する支持部(上壁27a,27b)間である中間部(中間底壁27g)との剛性向上を図ることができる。
【0075】
さらにまた、この発明の一実施形態においては、上記立設ブラケット27の両側には脚部27c,27dが形成されており、当該脚部27c,27dには外方に膨出するビード28が車両前後方向に間隔を隔てて複数形成されており、上記脚部27c,27dの下端には当該下端から外方に延びるフランジ部27h,27iが形成されており、該フランジ部27h,27iが上記複数のビード28,28間で上記フロアパネル(フロントフロアパネル4)に接合固定されたものである(
図6、
図12参照)。
この構成によれば、脚部27c,27dに形成した複数のビード28により、立設ブラケット27の上下方向に対する剛性向上を図りつつ、上記フランジ部27h,27iの面積を抑えて、立設ブラケット27の軽量化を図ることができる。
【0076】
加えて、この発明の一実施形態においては、上記立設ブラケット27は車幅方向において上記コンソール支持ブラケット40より幅狭であり、該立設ブラケット27の後方に上記コンソール支持ブラケット40の高さより低く形成された第2のフロアクロスメンバ(中間部クロスメンバ23)が配設され、上記コンソール支持ブラケット40は車両正面視で門形断面形状に形成され、かつ、上記第2のフロアクロスメンバ(中間部クロスメンバ23)に対してその側壁部(側壁40b,40c参照)が取付けられたものである(但し、この実施例では、コンソール支持ブラケット40の側壁40b,40cがクロスメンバ補強部材52を介して中間部クロスメンバ23に取付けられている)(
図12、
図13、
図14参照)。
この構成によれば、立設ブラケット27の車幅方向の幅は、コンソール支持ブラケット40の車幅方向の幅よりも幅狭であり、これにより、立設ブラケット27の車幅方向の幅を抑えて、その軽量化を図ることができる。
【0077】
また、コンソール支持ブラケット40は第2のフロアクロスメンバ(中間部クロスメンバ23)に対して、その側壁部(側壁40b,40c)が取付けられるものであり、該コンソール支持ブラケット40の側壁部(側壁40b,40c)をフロアパネル(フロントフロアパネル4)まで下方に延ばす必要がないので、当該コンソール支持ブラケット40の側壁部(側壁40b,40c)を軽量にしつつ、車体に支持することができる。
【0078】
この発明の構成と、上述の実施例との対応において、
この発明のフロアパネルは、実施例のフロントフロアパネル4に対応し、
以下同様に、
フロアクロスメンバは、前部クロスメンバ18(いわゆるNo.2クロスメンバ)に対応し、
立設ブラケットの両側は、脚部27c,27dに対応し、
立設ブラケットの中間部は、中間底壁27gに対応し、
第2のフロアクロスメンバは、中間部クロスメンバ23(いわゆるNo.2.5クロスメンバ)に対応し、
コンソール支持ブラケットの上面部は、上壁40aに対応し、
コンソール支持ブラケットの側壁部は、側壁40b,40cに対応するも、
この発明は、上述の実施例の構成のみに限定されるものではない。