【解決手段】荷台2と車両本体4とを備え、荷台2の下降に応じて、荷台2が車両本体4に対して後方に移動する車両Mにおいて、荷台2の下降操作を支援する荷台下降支援装置1であって、荷台2の下降に伴って、車両Mが停止したときの荷台2の後端21の位置に対して荷台2の後端21の位置が前後方向に動かないように、荷台2の下降と連動して車両本体4を前進させる前進制御部113を備える。
荷台と車両本体とを備え、前記荷台の下降に応じて、前記荷台が前記車両本体に対して後方に移動する車両において、前記荷台の下降操作を支援する荷台下降支援装置であって、
前記荷台の下降に伴って、前記車両が停止したときの前記荷台の後端の位置に対して前記荷台の後端の位置が前後方向に動かないように、前記荷台の下降と連動して前記車両を前進させる前進制御部を備える、荷台下降支援装置。
前記前進制御部が前記車両を停止させたときから所定時間が経過するまでの間に、前記第1検出部が障害物を検出していない場合に、前記前進制御部は、前記車両の前進を再開する、請求項3に記載の荷台下降支援装置。
前記車両本体のキャビンに配置され、ユーザーからの操作を受け付けて、前記前進制御部及び前記下降制御部の各々の動作を停止する操作部を備える、請求項3から9のいずれか1項に記載の荷台下降支援装置。
荷台と車両本体とを備え、前記荷台の下降に応じて、前記荷台が前記車両本体に対して後方に移動する車両において、前記荷台の下降操作を支援する荷台下降支援装置の制御方法であって、
前記荷台の下降に伴って、前記車両が停止したときの前記荷台の後端の位置に対して前記荷台の後端の位置が前後方向に動かないように、前記荷台の下降と連動して前記車両を前進させる前進制御ステップ、を含む、荷台下降支援装置の制御方法。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
[1.車両の荷台の下降方法]
図1及び
図2は、本実施形態に係る車両Mにおける荷台2の下降方法の一例を示す図である。
図1に示すように、車両Mは、車両本体4と、荷台2aとを備える。車両Mにおいて、荷台2の下降に応じて、荷台2aが車両本体4に対して後方に移動する。
車両本体4は、車輪3と、荷台支持構造41とを備える。
【0021】
車両本体4は、車輪3を図略のエンジンにより駆動することによって、前進及び後退する。また、荷台支持構造41は、荷台2aを昇降可能に支持する。
荷台2aには、図略の荷物が載置される。荷物は、車両Mが走行した場合に、荷台2aに対して移動しないように、荷台2aに固定される。
【0022】
図1の上側の図は、荷台2aが上昇した状態を示す図である。荷台2aが上昇した状態では、荷台2aは、地面GLに対して略平行である。
また、車両Mの後端、すなわち荷台2aの後端21から、車両Mの前端までの距離L1の範囲に車両Mが位置している。換言すれば、距離L1は、荷台2aが上昇した状態での車両Mが停止している領域を示す。
【0023】
図1の下側の図は、荷台2aが下降した状態を示す図である。荷台2aが下降した状態では、荷台2aは、地面GLに対して傾斜している。
また、荷台2aの後端21は、距離L1に対応する領域に対して後方(図では右側)に、距離L21だけ突出している。すなわち、荷台2aが上昇位置から下降位置に移動することによって、荷台2aの後端21は、距離L21だけ後方に移動する。
【0024】
図2の上側の図は、荷台2bが上昇した状態を示す図であり、
図1の上側の図と同一である。
図1の上側の図と同様に、車両Mの後端、すなわち荷台2bの後端21から、車両Mの前端部までの距離L1の範囲に車両Mが位置している。
【0025】
図2の下側の図は、荷台2bが下降した状態を示す図である。荷台2bが下降した状態では、荷台2bは、地面GLに対してフルフラットになる。換言すれば、荷台2bは、地面GL上に、地面GLと平行に載置された状態になる。
荷台2bの後端21は、距離L1に対応する領域に対して後方(図では右側)に、距離L22だけ突出している。すなわち、荷台2bが上昇位置から下降位置に移動することによって、荷台2bの後端21は、距離L22だけ後方に移動する。距離L22は、
図1に示す距離L21より大きい。
【0026】
以下の説明では、荷台2aと荷台2bとを、荷台2と総称する。なお、本実施形態では、荷台2が、
図2に示す荷台2bである場合について説明する。
【0027】
また、
図1及び
図2を参照して説明したように、荷台2が上昇位置から下降位置に移動する場合には、荷台2が後方に移動する。そこで、運転者は車両Mから降りて、荷台2が降りるスペース、すなわち、距離L21又は距離L22に対応するスペースの安全を確認しながら、荷台2を降ろす必要があった。
【0028】
[2.荷台下降支援装置の構成]
[2−1.荷台下降支援装置の全体構成]
図3は、本実施形態に係る荷台下降支援装置1の構成の一例を示す図である。
荷台下降支援装置1は、車両Mにおいて、運転者による荷台2の下降操作を支援する。なお、車両Mは、
図1及び
図2に示すように、荷台2と車両本体4とを備え、荷台2の下降に応じて、荷台2が車両本体4に対して後方に移動する。荷台下降支援装置1は、車両本体4の適所に配置される。
図3に示すように、荷台下降支援装置1は、カメラコントロールユニット11と、HMI13と、センサー部14と、車両走行制御部15と、荷台昇降制御部16と、を備え、これらが車載ネットワークの一例であるCAN(Controller Area Network)17に互いに通信可能に接続された装置である。
【0029】
車両走行制御部15は、車両Mの走行を制御する。車両走行制御部15は、車輪3を駆動する駆動動力部152と、ステアリング156を駆動する駆動動力部155と、車両制御コントロールユニット151とを備える。
車両制御コントロールユニット151は、駆動動力部152を介して車輪3の駆動、すなわち車両Mの走行を制御し、駆動動力部155を介してステアリング156の駆動、すなわち車両Mの操舵を制御する。また、車両制御コントロールユニット151は、ブレーキ154によって、車両Mの制動を制御する。
【0030】
荷台昇降制御部16は、荷台2の昇降を制御する。荷台昇降制御部16は、荷台2の昇降を駆動する駆動動力部162と、荷台昇降制御コントロールユニット161とを備える。荷台昇降制御コントロールユニット161は、駆動動力部162を介して荷台2の昇降を制御する。
【0031】
センサー部14は、車両Mの状態を検出する各種のセンサーを有する。センサー部14は、舵角センサー141と、車輪回転数センサー142と、アクセルセンサー143と、車速センサー144と、ブレーキセンサー145と、荷台位置センサー146とを備える。
舵角センサー141はハンドルの操舵角を検出し、車輪回転数センサー142は車輪の回転数を検出する。アクセルセンサー143はアクセルの操作状態を検出し、車速センサー144は車両Mの車速を検出する。ブレーキセンサー145はブレーキ(制動装置)の操作状態を検出する。荷台位置センサー146は、荷台2の昇降位置を検出する。
【0032】
HMI(Human Machine Interface)13は、運転者(ユーザー)とのインターフェースを提供する。HMI13は、各種情報を表示するディスプレイ131と、ユーザーからの操作を受け付ける操作部132と、各種音声を出力するスピーカー133と、を備える。
本実施形態では、操作部132は、例えば、タッチセンサーで構成され、タッチセンサーは、ディスプレイ131に配置される。換言すれば、ディスプレイ131は、タッチパネルとして機能する。
ディスプレイ131は、車両本体4のキャビン内において、運転者が視認及び操作可能な位置に配置される。
【0033】
荷台下降支援装置1は、撮像部12を備える。
撮像部12は、フロントカメラ121、右サイドカメラ122、左サイドカメラ123、第1リアカメラ124及び第2リアカメラ125を備える。フロントカメラ121は、車両Mの前方を撮影する。第1リアカメラ124及び第2リアカメラ125の各々は、車両Mの後方を撮影する。フロントカメラ121は、「第1カメラ」の一例に対応し、第1リアカメラ124及び第2リアカメラ125は、「第2カメラ」の一例に対応する。
フロントカメラ121、右サイドカメラ122、左サイドカメラ123、第1リアカメラ124及び第2リアカメラ125については、後述にて
図4を参照して詳細に説明する。
【0034】
カメラコントロールユニット11は、画像取得部111と、画像処理部112と、前進下降制御部110とを備える。
画像取得部111は、フロントカメラ121、右サイドカメラ122、左サイドカメラ123、第1リアカメラ124及び第2リアカメラ125の各々が撮像した画像を取得する。
画像処理部112は、画像取得部111が取得した画像に対して、いわゆる画像処理を実行し、障害物等を検出する。
【0035】
[2−2.前進下降制御部の機能構成]
前進下降制御部110は、車両制御コントロールユニット151に対して車両本体4を前進させることを指示すると共に、荷台昇降制御コントロールユニット161に対して荷台2を下降させることを指示する。
前進下降制御部110は、前進制御部113と、下降制御部114と、距離検出部115と、第1検出部116と、第2検出部117と、報知制御部118と、表示制御部119とを備える。
【0036】
前進制御部113は、荷台2の下降に伴って、車両Mが停止したときの荷台2の後端21の位置に対して荷台2の後端21の位置が前後方向に動かないように、荷台2の下降と連動して車両本体4を前進させる。「車両Mが停止したとき」は、例えば、運転者が荷台2を下降するために車両Mを駐車したときである。
具体的には、前進制御部113は、車両制御コントロールユニット151を介して車両本体4を前進させる。更に具体的には、前進制御部113は、車両制御コントロールユニット151に対して、駆動動力部155を介して、車両本体4が直進するようにステアリング156を操舵させ、駆動動力部152を介して、車両本体4が前進するように車輪3を回転させることを指示する。
【0037】
距離検出部115は、前進制御部113が車両本体4を前進させた場合に、車両本体4が前進した距離を検出する。具体的には、距離検出部115は、車輪回転数センサー142の検出結果に基づいて、車両本体4が前進した距離を検出する。
【0038】
下降制御部114は、距離検出部115が検出した距離だけ荷台2が車両本体4に対して後方に移動するように、荷台2を下降させる。
具体的には、下降制御部114は、荷台昇降制御コントロールユニット161に対して、駆動動力部162を介して荷台2を下降させるように指示する。
【0039】
第1検出部116は、フロントカメラ121の撮影した画像に基づいて、車両Mが停止したときの車両本体4の前端から、荷台2の下降が完了したときの車両本体4の前端の位置である完了位置PBまでの間の車両Mの経路上の障害物を検出する。完了位置PBは、
図5を参照して説明する地点Bに対応する。
第1検出部116が障害物を検出した場合に、前進制御部113は、障害物から所定距離Xfだけ手前の位置で車両Mを停止させる。所定距離Xfについては、
図6を参照して説明する。
前進制御部113が車両Mを停止させたときから所定時間T1が経過するまでの間に、第1検出部116が障害物を検出していない場合に、前進制御部113は、車両Mの前進を再開する。所定時間T1は、予め設定された時間であって、例えば1分である。
【0040】
第2検出部117は、第1リアカメラ124及び第2リアカメラ125の撮影した画像に基づいて、車両Mの後方の障害物を検出する。
具体的には、第1検出部116が障害物を検出し、前進制御部113が障害物から所定距離Xfだけ手前の位置で車両Mを停止させたときから所定時間T1が経過した場合に、第2検出部117は、以下の処理を実行する。すなわち、第2検出部117は、車両Mが停止した位置における荷台2の後端の位置から、車両Mが停止した位置で荷台2の下降が完了したときの荷台2の後端の位置である下降完了位置PADまでの間の荷台2の経路上の障害物を検出する。下降完了位置PADは、
図8を参照して説明する地点A’に対応する。
第2検出部117が下降完了位置PADまでの間の荷台2の経路上の障害物を検出していない場合に、下降制御部114は、荷台2の下降を再開させ、下降動作が完了するまで荷台2を下降させる。
【0041】
報知制御部118は、第2検出部117が障害物を検出した場合に、ユーザーに対して障害物があるために荷台2の下降を完了できないことを報知する。報知制御部118は、「報知部」の一例に対応する。
なお、本実施形態では、第2検出部117が障害物を検出した場合に、表示制御部119が、ユーザーに対して障害物があるために荷台2の下降を完了できないことをディスプレイ131に表示する。すなわち、本実施形態では、報知制御部118は、表示制御部119の一部に対応する。
【0042】
表示制御部119は、ディスプレイ131に完了位置PBをフロントカメラ121の撮影した画像と重畳させて表示する。
また、第1検出部116が障害物を検出した場合に、表示制御部119は、第1検出部116が障害物を検出したことを表示する。
表示制御部119は、「表示部」の一例に対応する。
【0043】
なお、荷台下降支援装置1において、荷台2を下降するための制御が実行されている動作モードを、以下では、「荷台下降モード」と言う。また制御ではなく、運転者の操作によって車両本体4の前進、及び荷台2の昇降等が操作される動作モードを「手動運転モード」と言う。
【0044】
[2−2.カメラの配置]
図4は、本実施形態に係る車両Mにおける撮像部12の取り付け位置の一例を示す図である。
図4には、上段、中段、及び下段に、それぞれ、撮像部12の取り付け位置の一例を示している。上段、中段、及び下段の各々には、左側に車両Mの正面図を示し、右側に車両Mの側面図を示している。
【0045】
撮像部12は、車両Mの周辺の前後左右を監視する。撮像部12は、車両Mの周辺が良好に撮像できる位置に設置される。
【0046】
図4の上段に示すように、撮像部12は、フロントカメラ121、右サイドカメラ122、左サイドカメラ123及び第1リアカメラ124を備える。
フロントカメラ121は、車両Mの前方の画像を撮影する。フロントカメラ121は、フロントガラスとヘッドライトとの間に配置される。
右サイドカメラ122は、車両Mの右側方の画像を撮影する。右サイドカメラ122は、右サイドミラーに配置される。
左サイドカメラ123は、車両Mの左側方の画像を撮影する。左サイドカメラ123は、左サイドミラーに配置される。
第1リアカメラ124は、車両Mの後方の画像を撮影する。第1リアカメラ124は、車両本体4のルーフの後端に配置される。
【0047】
図4の中段に示す撮像部12の取り付け位置は、
図4の上段に示す撮像部12の取り付け位置と比較して、フロントカメラ121、右サイドカメラ122及び左サイドカメラ123の取り付け位置が相違している。また、撮像部12が第1リアカメラ124に代えて第2リアカメラ125を備える点で相違している。
【0048】
図4の中段に示すように、フロントカメラ121は、車両本体4のルーフの前端に配置される。
また、右サイドカメラ122は、車両本体4のルーフの右側の後端に配置され、左サイドカメラ123は、車両本体4のルーフの左側の後端に配置される。
【0049】
このように、フロントカメラ121、右サイドカメラ122及び左サイドカメラ123が、
図4の上段に示す取り付け位置と比較して、高い位置に取り付けられるため、広い範囲の画像を撮像できる。
【0050】
また、
図4の中段に示すように、第2リアカメラ125は、車両Mの後部のフレーム42の上端に取り付けられる。第1リアカメラ124に代えて第2リアカメラ125を備えるため、荷台2を良好に監視可能になる。
【0051】
図4の下段に示す撮像部12の取り付け位置は、
図4の中段に示す撮像部12の取り付け位置と比較して、第2リアカメラ125の取り付け位置が相違している。また、撮像部12が第1リアカメラ124と第2リアカメラ125とを備える点で相違している。
【0052】
図4の下段に示すように、第2リアカメラ125は、荷台2のフレーム23の上端に取り付けられる。
また、第1リアカメラ124は、車両本体4のルーフの後端に配置される。
このように、撮像部12が第1リアカメラ124と第2リアカメラ125とを備えることによって、車両Mの後方を良好に監視可能になる。
本実施形態では、
図4の下段に示すように、フロントカメラ121、第1リアカメラ124及び第2リアカメラ125が配置されている場合について説明する。
【0053】
なお、本実施形態では、フロントカメラ121、右サイドカメラ122、左サイドカメラ123、第1リアカメラ124及び第2リアカメラ125の各々は、単眼カメラである。
また、フロントカメラ121、右サイドカメラ122、左サイドカメラ123、第1リアカメラ124及び第2リアカメラ125の各々は、測距センサーを備え、障害物との間の距離を測定しても良い。
【0054】
[3.車両本体及び荷台の動作]
[3−1.車両本体及び荷台の基本動作]
図5は、本実施形態に係る荷台下降支援装置1による車両本体4及び荷台2の動作の一例を示す図である。
【0055】
図5に示す地点Aは、車両Mが駐車したときの車両Mの後端、すなわち、荷台2の後端21の位置を示す。地点Bは、荷台2を下降させた場合に、車両Mの前端43が移動すべき位置を示す。
地点Bは、車両Mの構成によって決まる位置である。また、距離LDは、フロントカメラ121によって撮像された画像に基づいて、障害物を検出可能な車両Mの前方の距離を示す。距離LDは、車両Mが駐車したときの車両Mの前端43の地点Sから地点Bまでの距離よりも長い。すなわち、荷台2を下降させるときに、範囲ADで、障害物の検出が可能に構成されている。範囲ADは、車両Mが駐車したときの車両Mの前端43から車両Mが移動する地点Bまでの範囲よりも広い。
【0056】
まず、
図5の最上段の図に示すように、運転者が安全を確認し、荷台2を降ろしたい位置に車両Mを駐車する。
次に、荷台下降支援装置1が荷台2を降ろす動作を実行する。
図5の上から2段目から最下段までに示すように、車両本体4が距離L1に対応する駐車位置から前進することによって、荷台2の後端21が、地点Aの直上から前後方向に移動しないように荷台2が下降する。
具体的には、荷台2の後端21が地点Aの直上位置から前後方向に移動しないように、前進制御部113が車両本体4を距離L1に対応する駐車位置から前進させながら、下降制御部114が荷台2を下降させる。
なお、「前進する」とは、方向DFに移動することを示す。方向DFは、車両本体4が前進する場合の車両本体4の移動方向を示す。
車両本体4が前進している間は、第1検出部116は、フロントカメラ121の画像に基づいて、車両Mの前方の監視を行う。そして、第1検出部116が障害物を検知した場合には、下降制御部114は荷台2を降ろす動作を停止させる。この点については、
図6を参照して説明する。
【0057】
運転者が車両Mを駐車した位置は、安全であることが既に確認できた位置である。その場所から荷台2の後端21の位置を移動させないことによって、安全である領域を確保しながら、車両本体4を前進させる。第1検出部116が車両Mの前方の監視をすることで、運転者に負担をかけることなく荷台2を下降できる。
【0058】
図5に示すような荷台2の下降を実現するためには、前進制御部113が車両本体4を前進させると同時に、下降制御部114が荷台2を下降させる必要がある。そこで、車両本体4を前進させる動力と、荷台2を下降させる動力とを同時に動かす必要がある。
車両本体4は、エンジン、又はモーターで駆動される。このエンジン、又はモーターは、
図3に示す車輪3の駆動動力部152の一例に対応する。
また、本実施形態では、荷台2を動作させるためのモーターを配置し、このモーターによって荷台2が駆動される。このモーターは、
図3に示す荷台2の駆動動力部162の一例に対応する。
【0059】
なお、セーフティーローダーに搭載されているウインチ用のモーターによって、荷台2を駆動しても良いが、車載時に車両Mの牽引にウインチを使う場面もあるため、荷台2の動力源としては本実施形態が望ましい。
【0060】
セーフティーローダー等のトラックでは、マニュアルトランスミッション車が多いが、昨今はオートマティックトランスミッション車も増えつつある。本発明は車両Mの自動制御に関わる発明であり、具体的には、運転者が操作することなく車両本体4を前進させるため、本実施形態では、車両Mがオートマティックトランスミッション車であることを前提とする。
【0061】
図5では、地点Aの直上に荷台2の後端21が常に位置しているが、本発明の実施形態は、これに限定されない。例えば、前進制御部113が車両本体4を5cm前進させた後に、下降制御部114が荷台2の後端21を後方に5cmだけ移動させるといった動作を繰り返し行ってもよい。本実施形態では、このように、車両本体4の前進と、荷台2の下降とを繰り返し実行する場合について説明する。
この場合にも、荷台2の後端21が、地点Aの直上よりも後方に移動することはないため、荷台2を降ろすべき安全領域は確保できる。
【0062】
[3−2.地点Bまでの間に障害物がある場合]
図6は、車両Mの経路上に障害物BSがある場合の荷台下降支援装置1の動作の一例を示す図である。
図6に示す地点Cは、地点Bから所定距離Xfだけ離れた地点を示す。具体的には、地点Cは、地点Bから車両Mの前方に所定距離Xfだけ離れた地点を示す。地点Bは、完了位置PBに対応する。すなわち、地点Bは、荷台2の下降が完了したときの車両本体4の前端43の位置を示す。所定距離Xfは、車両Mに応じて予め設定された距離である。
【0063】
第1検出部116は、フロントカメラ121の撮影した画像に基づいて、車両本体4の前端43から地点Cまでの間の車両Mの経路上の障害物BSを検出する。
図6では、障害物BSは、車両本体4の前端43から地点Bまでの間に位置している。
第1検出部116が障害物BSを検出するため、前進制御部113は、障害物BSから所定距離Xfだけ手前の位置で車両Mを停止させ、下降制御部114は、荷台2の下降を停止させる。
図6では、障害物BSは、人間である。
【0064】
[3−3.地点Cよりも前方に障害物がある場合]
図7は、車両Mの前方に障害物BSがある場合の荷台下降支援装置1の動作の一例を示す図である。
図7では、
図6と比較して、障害物BSが、地点Cよりも前方に位置している点で相違している。また、
図7では、障害物BSは、他の車両である。
【0065】
図7に示すように、障害物BSが、地点Cよりも前方に位置している場合には、前進制御部113は、完了位置PBまで車両本体4を前進させ、下降制御部114は、荷台2の下降を完了させる。すなわち、
図7に示すように、地点Cよりも前方に障害物BSが位置している場合には、荷台下降支援装置1は、
図5を参照して説明した動作を実行する。
【0066】
[3−4.地点Bから地点Cまでの間に障害物がある場合]
図8は、車両Mの前方に障害物BSがある場合の荷台2の下降動作の一例を示す図である。
図8では、障害物BSは、地点Bと地点Cとの間に位置している。具体的には、障害物BSは、他の車両であって、この車両の後端は、地点Dに位置している。また、地点Dは、地点Bと地点Cとの間に位置している。地点Dは、障害物位置PDに対応する。
【0067】
この場合には、
図8の上から2段目の図に示すように、車両本体4の前端43が地点B’に位置するまで、前進制御部113は車両本体4を前進させ、下降制御部114は荷台2を下降させる。
地点B’は、地点Dから車両M側に所定距離Xfだけ離れた地点を示す。地点B’は、目標位置PBDに対応する。
そして、車両本体4の前端43が地点B’に位置したときに、前進制御部113は車両本体4の前進を停止させ、下降制御部114は荷台2の下降を停止させる。
この状態では、
図8の上から2段目の図に示すように、荷台2の下降が完了していない。
【0068】
次に、荷台下降支援装置1は、第1リアカメラ124及び第2リアカメラ125の各々で、荷台2の後方の障害物BSを確認しながら、荷台2を降ろす動作を実行する。
具体的には、第2検出部117は、第1リアカメラ124及び第2リアカメラ125を用いて、車両Mから地点Eまでの間の障害物BSを検出する。また、第2検出部117が車両Mから地点Eまでの間に障害物BSがないことを検出した場合に、
図8の上から3段目の図の状態を経由して、
図8の最下段の図に示すように、下降制御部114は、荷台2の下降を再開させ、地点A’の位置まで荷台2を後方に移動させて、荷台2の下降動作を完了させる。すなわち、下降制御部114は、下降動作が完了するまで荷台2を下降させる。
【0069】
地点A’は、下降完了位置PADに対応する。すなわち、下降完了位置PADは、車両Mの前方に障害物BSがあるために前進制御部113が車両本体4の前進を停止した位置で、荷台2の下降を完了させた場合における荷台2の後端21の位置を示す。
地点Eは、地点A’から車両Mの後方に所定距離Xrだけ離れた地点を示す。
所定距離Xrは、車両Mに応じて予め設定された距離である。
荷台2を下降させるときに、第2検出部117は、範囲AEで、障害物の検出が可能に構成されている。範囲AEは、車両本体4から地点A’までの範囲より広い。範囲AEは、車両本体4から地点Eまでの間の範囲に対応する。
【0070】
なお、荷台2を降ろした後、再び荷台2を上昇させる場合には、既に車両本体4に対応する領域と荷台2に対応する領域は、安全な領域として確保されている。そこで、荷台2だけを上昇させも良いし、荷台2の後端21の位置を固定して、荷台下降支援装置1の動作を逆に実行させて、車両本体4を後退させながら荷台2を上昇させても良い。
【0071】
本実施形態では、車両Mがセーフティーローダー(積載車)を荷台2とする場合について説明しているが、本発明の実施形態は、ごみ収集運搬車にあるように荷台を脱着可能なタイプの車両にも適用することが可能である。
【0072】
[3−5.荷台下降支援装置の処理]
図9〜
図12は、本実施形態に係る荷台下降支援装置1の処理の一例を示すフローチャートである。
なお、
図9〜
図11において、菱形に文字aを記入したマークは、
図12に示すように、「キャンセル処理」が受け付け可能であることを示す。「キャンセル処理」は、荷台下降支援装置1による車両本体4の前進、及び荷台2の下降を、ユーザーからの操作に応じて停止する処理を示す。「キャンセル処理」については、
図12を参照して詳細に説明する。
【0073】
図9に示すように、ステップS1において、荷台下降支援装置1が起動する。例えば、車両Mが駐車され、ユーザーが所定の操作を行った場合に、荷台下降支援装置1が起動される。
次に、ステップS2において、画像取得部111は、フロントカメラ121、第1リアカメラ124及び第2リアカメラ125の各々が撮像した画像を取得する。
次に、ステップS3において、前進下降制御部110が、荷台下降支援装置1の動作モードを「手動運転モード」に設定する。
次に、ステップS4において、前進下降制御部110が、運転者による「荷台自動下降ボタン」がタッチされたことを検出する。「荷台自動下降ボタン」は、後述にて
図13を参照して説明する荷台自動下降ボタン603に対応する。
【0074】
次に、ステップS5において、前進下降制御部110が、荷台下降支援装置1の動作モードを「荷台下降モード」に設定する。
次に、ステップS6において、第1検出部116は、停車位置PAを設定する。停車位置PAは、
図5に示す地点Aに対応する。地点Aは、車両Mが駐車したときの車両Mの後端、すなわち、荷台2の後端21の位置を示す。
次に、ステップS7において、第1検出部116は、完了位置PBを設定する。完了位置PBは、
図5に示す地点Bに対応する。地点Bは、荷台2の下降を完了させたときに、車両本体4の前端43が移動すべき位置を示す。
次に、ステップS8において、第1検出部116は、地点Cを設定し、障害物BSを検出する範囲ADを設定する。
図6に示すように、地点Cは、地点Bから車両Mの前方に所定距離Xfだけ離れた地点を示す。
次に、ステップS9において、前進下降制御部110が、「荷台自動下降処理」の実行を開始する。「荷台自動下降処理」は、前進下降制御部110による制御によって車両本体4の前進と荷台2の下降とを実行する処理を示す。
【0075】
次に、ステップS10において、第1検出部116は、障害物BSを検出する範囲AD内において障害物BSを検出していないか否かを判定する。
障害物BSを検出したと第1検出部116が判定した場合(ステップS10;NO)には、処理がステップS21に進む。障害物BSを検出していないと第1検出部116が判定した場合(ステップS10;YES)には、処理がステップS11に進む。
そして、ステップS11において、前進制御部113は、車両本体4を前進させる。
次に、ステップS12において、距離検出部115は、車輪回転数センサー142の検出結果に基づいて、車両本体4が前進した距離を検出する。
次に、ステップS13において、下降制御部114は、荷台2の下降量を算出する。具体的には、下降制御部114は、距離検出部115が検出した距離だけ荷台2が車両本体4に対して後方に移動する荷台2の下降量を算出する。
【0076】
次に、ステップS14において、下降制御部114は、ステップS13で算出した下降量だけ荷台2を下降させる。具体的には、下降制御部114は、ステップS13で算出した下降量だけ荷台2を下降するように荷台昇降制御コントロールユニット161に対して指示する。
ステップS15において、前進制御部113は、車両本体4が地点Bに到達したか否かを判定する。
車両本体4が地点Bに到達したと前進制御部113が判定した場合(ステップS15;YES)には、処理が
図11のステップS16に進む。車両本体4が地点Bに到達していないと前進制御部113が判定した場合(ステップS15;NO)には、処理がステップS10に戻る。
【0077】
ステップS10でNOの場合には、ステップS21において、前進制御部113は、車両本体4の前進動作を一時停止する。
次に、ステップS22で、前進下降制御部110が、ステップS21で車両本体4の前進動作を停止した時点から所定時間T1が経過したか否かを判定する。
所定時間T1が経過していないと前進下降制御部110が判定した場合(ステップS22;NO)には、処理がステップS10に戻る。所定時間T1が経過したと前進下降制御部110が判定した場合(ステップS22;YES)には、処理がステップS23に進む。
そして、ステップS23において、前進下降制御部110が、障害物位置PDを設定する。障害物位置PDは、
図8に示す地点Dに対応する。
次に、ステップS24において、前進下降制御部110が、目標位置PBDを設定する。目標位置PBDは、
図8に示す地点B’に対応する。
【0078】
次に、
図10に示すように、ステップS25において、第1検出部116は、前方の障害物位置PDまでの間に障害物BSを検出していないか否かを判定する。
障害物BSを検出したと第1検出部116が判定した場合(ステップS25;NO)には、処理がステップS41に進む。障害物BSを検出していないと第1検出部116が判定した場合(ステップS25;YES)には、処理がステップS26に進む。
そして、ステップS26において、前進制御部113は、車両本体4を前進させる。
次に、ステップS27において、距離検出部115は、車輪回転数センサー142の検出結果に基づいて、車両本体4が前進した距離を検出する。
次に、ステップS28において、下降制御部114は、荷台2の下降量を算出する。具体的には、下降制御部114は、距離検出部115が検出した距離だけ荷台2が車両本体4に対して後方に移動する荷台2の下降量を算出する。
【0079】
次に、ステップS29において、下降制御部114は、ステップS28で算出した下降量だけ荷台2を下降させる。具体的には、下降制御部114は、ステップS28で算出した下降量だけ荷台2を下降するように荷台昇降制御コントロールユニット161に対して指示する。
ステップS30において、前進制御部113は、車両本体4が地点B’に到達したか否かを判定する。
車両本体4が地点B’に到達していないと前進制御部113が判定した場合(ステップS30;NO)には、処理がステップS25に戻る。車両本体4が地点B’に到達したと前進制御部113が判定した場合(ステップS30;YES)には、処理がステップS31に進む。
そして、ステップS31において、前進下降制御部110が、下降完了位置PADを設定する。下降完了位置PADは、
図8に示す地点A’に対応する。
次に、ステップS32において、第2検出部117は、地点Eを設定し、障害物BSを検出する範囲AEを設定し、処理が
図11のステップS33に進む。地点Eは、地点A’から車両Mの後方に所定距離Xrだけ離れた地点を示す。所定距離Xrは、車両Mに応じて予め設定された距離である。
【0080】
ステップS25でNOの場合には、ステップS41において、前進制御部113は、車両本体4の前進動作を一時停止する。
次に、ステップS42で、前進下降制御部110が、ステップS41で車両本体4の前進動作を停止した時点から所定時間T1が経過したか否かを判定する。
所定時間T1が経過していないと前進下降制御部110が判定した場合(ステップS42;NO)には、処理がステップS25に戻る。所定時間T1が経過したと前進下降制御部110が判定した場合(ステップS42;YES)には、処理が
図11のステップS17に進む。
【0081】
ステップS32の処理が終了した場合には、
図11に示すように、ステップS33において、第2検出部117は、地点Eまでの間に障害物BSを検出していないか否かを判定する。
障害物BSを検出したと第2検出部117が判定した場合(ステップS33;NO)には、処理がステップS51に進む。障害物BSを検出していないと第2検出部117が判定した場合(ステップS33;NO)には、処理がステップS34に進む。
そして、ステップS34において、前進下降制御部110は、ステップS30までに前進制御部113により車両本体4が前進した距離の累計値を算出する。
次に、ステップS35において、前進下降制御部110は、ステップS30までに下降制御部114により荷台2が下降された量の累計値を算出し、荷台2の下降を完了させるために更に下降させる下降量を算出する。
【0082】
次に、ステップS36において、下降制御部114は、ステップS35で算出された下降量だけ荷台2を下降するように荷台昇降制御コントロールユニット161に対して指示する。
そして、ステップS37において、前進下降制御部110は、荷台2が地点A’に到達したか否かを判定する。地点A’は下降完了位置PADに対応する。
荷台2が地点A’に到達していないと前進下降制御部110が判定した場合(ステップS37;NO)には、処理がステップS33に戻る。荷台2が地点A’に到達したと前進下降制御部110が判定した場合(ステップS37;YES)には、処理がステップS16に進む。
そして、ステップS16において、前進下降制御部110は、荷台2の下降処理を終了し、処理が終了する。
【0083】
ステップS33でNOの場合には、ステップS51において、前進制御部113は、車両本体4の前進動作を一時停止する。
次に、ステップS52で、前進下降制御部110が、ステップS51で車両本体4の前進動作を停止した時点から所定時間T1が経過したか否かを判定する。
所定時間T1が経過していないと前進下降制御部110が判定した場合(ステップS52;NO)には、処理がステップS33に戻る。所定時間T1が経過したと前進下降制御部110が判定した場合(ステップS52;YES)には、処理がステップS17に進む。
そして、ステップS17において、前進下降制御部110が、荷台2の下降処理を中止し、処理が終了する。
【0084】
図9〜
図11において、菱形に文字aを記入したマークの箇所では、
図12に示すように、「キャンセル処理」が実行される。
すなわち、ステップS61において、前進下降制御部110は、キャンセルボタンが押下されていないか否かを判定する。「キャンセルボタン」は、後述にて
図13を参照して説明するキャンセルボタン605に対応する。
キャンセルボタンが押下されていないと前進下降制御部110が判定した場合(ステップS61;YES)には、処理が次の処理に進む。キャンセルボタンが押下されたと前進下降制御部110が判定した場合(ステップS61;NO)には、処理が
図11のステップS17に進む。
そして、ステップS17において、前進下降制御部110が、荷台2の下降処理を中止し、処理が終了する。
【0085】
なお、
図9のステップS11〜ステップS14は、「前進制御ステップ」の一例に対応する。
また、
図11のステップS34〜ステップS36では、車両本体4の前進した距離から荷台2の下降量を算出しているが、本発明の実施形態はこれに限定されない。
図3に示す荷台位置センサー146の出力に基づいて、荷台2の下降量を算出してもよい。
【0086】
[3−6.表示制御部が表示する表示画面]
次に、
図13及び
図14を参照して、本実施形態に係るディスプレイ131に表示される状態表示画面600の一例を示す画面図である。状態表示画面600は、表示制御部119によって表示される。
状態表示画面600には、状態表示部601と、画像表示部602と、荷台自動下降ボタン603と、荷台下降開始ボタン604と、キャンセルボタン605とが表示される。
【0087】
状態表示部601には、前進下降制御部110の状態が表示される。
画像表示部602には、フロントカメラ121の撮影した画像が表示される。
荷台自動下降ボタン603は、荷台2を前進下降制御部110によって下降させる場合に運転者によってタッチされるボタンを示す。
荷台下降開始ボタン604は、荷台2の下降を開始する場合に運転者によってタッチされるボタンを示す。
キャンセルボタン605は、車両本体4の前進処理、及び荷台2の下降処理を停止する場合に運転者によってタッチされるボタンを示す。
キャンセルボタン605は、「操作部」の一例に対応する。
【0088】
図13の左上図は、
図9のステップS3においてディスプレイ131に表示される状態表示画面600の一例を示す。
状態表示部601には、「手動運転モード」と表示され、荷台下降支援装置1の動作モードが、「手動運転モード」であることが判る。「手動運転モード」は、自動制御ではなく、運転者の操作によって車両Mの前進、及び荷台2の下降等が操作される動作モードを示す。
また、荷台下降開始ボタン604にハッチングが付与され、荷台下降開始ボタン604を操作できないことを示している。すなわち、「手動運転モード」では、荷台下降開始ボタン604をタッチすることによって荷台2の下降を実行することはできない。
【0089】
図13の左下図は、
図9のステップS5においてディスプレイ131に表示される状態表示画面600の一例を示す。
【0090】
状態表示部601には、「荷台下降モード」と表示され、荷台下降支援装置1の動作モードが、「荷台下降モード」であることが判る。「荷台下降モード」では、荷台下降支援装置1において、荷台2を下降するための制御が実行される。
なお、
図9のステップS5では、運転者が荷台自動下降ボタン603をタッチすることによって、「手動運転モード」から「荷台下降モード」に遷移している。
また、荷台自動下降ボタン603にハッチングが付与され、荷台自動下降ボタン603を操作できないことを示している。
荷台下降開始ボタン604には、ハッチングは付与されていないため、荷台下降開始ボタン604を運転者が操作可能である。
【0091】
図13の右下図は、
図9のステップS7においてディスプレイ131に表示される状態表示画面600の一例を示す。
状態表示画面600には、完了位置マーク606が、フロントカメラ121の撮影した画像に重畳して表示されている。完了位置マーク606は、完了位置PBを示す。
このように、完了位置マーク606が表示されるため、運転者は、完了位置PBを容易に視認できる。
【0092】
図14の左上図は、
図9のステップS11〜ステップS14においてディスプレイ131に表示される状態表示画面600の一例を示す。
状態表示部601には、「荷台下降中」と表示され、荷台下降支援装置1によって荷台2が下降されていることを示している。
また、荷台下降開始ボタン604には、ハッチングが付与され、荷台下降開始ボタン604を操作できないことを示している。
【0093】
図14の右上図は、
図9のステップS21、及び
図10のステップS41においてディスプレイ131に表示される状態表示画面600の一例を示す。
状態表示部601には、「荷台下降停止中。障害物を検出しました。」と表示され、運転者は、障害物BSが検出されたために、荷台2の下降動作が停止されていることを視認できる。
また、画像表示部602には、障害物BSの画像が表示されている。したがって、運転者は、障害物BSとして、どのような物体が検出されたのかを視認できる。
【0094】
図14の左下図は、
図11のステップS17においてディスプレイ131に表示される状態表示画面600の一例を示す。
状態表示部601には、「荷台下降中止。荷台が降りていない可能性があります。確認してください。」と表示され、運転者は、荷台下降支援装置1により荷台2の下降処理が中止されたことを視認できる。また、運転者は、荷台2の下降が完了していない可能性があるため、荷台2の下降状態を確認する必要があることを視認できる。
【0095】
図14の右下図は、
図11のステップS16においてディスプレイ131に表示される状態表示画面600の一例を示す。
状態表示部601には、「荷台下降完了」と表示され、運転者は、荷台下降支援装置1による荷台2の下降処理が完了したことを視認できる。
【0096】
図13及び
図14に示す状態表示画面600では、荷台自動下降ボタン603と、荷台下降開始ボタン604と、キャンセルボタン605とが表示される場合について説明したが、本発明の実施形態はこれに限定されない。例えば、状態表示画面600に、運転者が操作可能なボタンのみ表示してもよい。また、荷台下降支援装置1が、
図3に示す操作部132からの操作を受け付けてもよい。
【0097】
また、
図14の右上に示す状態表示画面600、
図14の左下に示す状態表示画面600及び
図14の右下に示す状態表示画面600を表示する場合には、
図3に示すスピーカー133からガイダンス音声やビープ音等を出力してもよい。
【0098】
本実施形態では、運転者がキャンセルボタン605をタッチすることによって、前進下降制御部110による車両本体4の前進処理、及び荷台2の下降処理を停止する場合について説明したが、本発明の実施形態はこれに限定されない。
図3に示す操作部132が、車両本体4の前進処理、及び荷台2の下降処理を停止するスイッチやハードウェアキー等の操作端を備えてもよい。
【0099】
[4.掲示板]
図15は、本実施形態に係る車両Mに配置される掲示板5の一例を示すものである。
荷物を積載する際、積載する荷物の前方に車両Mを停車させて作業を行うのが一般的だが、場合により積載する荷物がない状態で車両Mを停車させ、荷台2を降ろす作業を実施する可能性もある。
この場合には、荷台2を降ろす作業の前、又は作業を実施中に、車両Mの後方に他の車両が停車してしまうことも考えられる。
そこで、掲示板5を設置することによって、車両Mの後方の車両に対して、車両Mの後方に停車しないように注意を促す。
【0100】
掲示板5は、電光掲示板でも良いし、後方に注意を促せるものであればその他の形態でも良い。
掲示板5には、例えば、「☆車両積載作業中☆ ☆スペースをあけてください☆」という文字が表示されている。
【0101】
図15の上段の図では、掲示板51は車両Mのキャビンの後方に配置され、
図15の中段の図では、掲示板52は荷台2の前方部分に配置され、
図15の下段の図では、掲示板53は荷台2の後方部分に配置されている。掲示板51、掲示板52、及び掲示板53は、掲示板5の一例に対応する。
また、
図15の下段の図では、荷台2の後方部分にゲート6が配置され、掲示板53はゲート6の上部に配置されている。
【0102】
[5.荷台下降支援装置の構成及び効果]
以上、図面を参照して説明したように、本実施形態に係る荷台下降支援装置1は、荷台2と車両本体4とを備え、荷台2の下降に応じて、荷台2が車両本体4に対して後方に移動する車両Mにおいて、荷台2の下降操作を支援する荷台下降支援装置1であって、荷台2の下降に伴って、車両Mが停止したときの荷台2の後端21の位置に対して荷台2の後端21の位置が前後方向に動かないように、荷台2の下降と連動して車両本体4を前進させる前進制御部113を備える。
この構成によれば、荷台2の下降に伴って、車両Mが停止したときの荷台2の後端21の位置に対して荷台2の後端21の位置が前後方向に動かないように、荷台2の下降と連動して車両本体4を前進させるため、荷台2の後方を監視する必要がない。したがって、荷台2を積み降ろす作業における運転者の負担を軽減できる。
【0103】
具体的には、荷台2を降ろす場合に荷台2の位置を動かして降ろすのではなく、車両Mを駐車した位置から荷台2の位置は動かさずに車両本体4を動かすことにより、荷台2を降ろす。車両本体4には外界認識用の撮像部12を搭載し、車両本体4が移動している際に車両Mの周辺を画像認識により歩行者や障害物の有無を確認し荷台2を降ろすことができる。撮像部12で安全確認をするため、運転者は車両Mに乗車している状態でも荷台2を降ろすことができ、運転者の作業負担を軽減することができる。また、最初に車両Mを停車した位置を基準に荷台2を降ろしながら車両本体4が前進することで、最初にドライバーが安全であると判断して停車した位置を安全領域とし、その安全領域を確保しながら荷台を降ろすことができる。
【0104】
また、自動車業界では、自動運転や駐車支援等の自動化が進んでいる。乗用車だけでなく商用車にも自動化は適用されていくと思われる。
昨今の人手不足や働き方改革において、商用車の運転者への作業負担軽減は急務であり、極力運転者をサポートするような運転支援、作業支援技術の導入が望まれている。
本発明によれば、撮像部12の画像認識により、荷台2の降ろす作業時に運転者に極力作業負担を掛けることなく、安全に荷台2の降ろす作業を実行可能となる。
【0105】
また、前進制御部113が車両本体4を前進させた場合に、車両本体4が前進した距離を検出する距離検出部115と、距離検出部115が検出した距離だけ荷台2が車両本体4に対して後方に移動するように、荷台2を下降させる下降制御部114と、を備える。
この構成によれば、距離検出部115が検出した距離だけ荷台2が車両本体4に対して後方に移動するように、荷台2を下降させるため、簡素な構成で荷台2を積み降ろす作業における運転者の負担を軽減できる。
【0106】
また、車両Mの前方を撮影するフロントカメラ121と、フロントカメラ121の撮影した画像に基づいて、車両Mが停止したときの車両本体4の前端43から、荷台2の下降が完了したときの車両本体4の前端43の位置である完了位置PBまでの間の車両Mの経路上の障害物BSを検出する第1検出部116と、を備え、第1検出部116が障害物BSを検出した場合に、前進制御部113は、障害物BSから所定距離Xfだけ手前の位置で車両Mを停止させる。
この構成によれば、障害物BSを検出した場合に、障害物BSから所定距離Xfだけ手前の位置で車両Mを停止させるため、所定距離Xfを適正な値に設定することによって、適正な位置に車両Mを停止できる。
【0107】
また、前進制御部113が車両Mを停止させたときから所定時間T1が経過するまでの間に、第1検出部116が障害物BSを検出していない場合に、前進制御部113は、車両Mの前進を再開する。
この構成によれば、障害物BSを検出して車両Mを停止させた後に、所定時間T1が経過するまでの間に、障害物BSを検出していない場合に、前進制御部113は、車両Mの前進を再開するため、荷台2の下降を完了できる。したがって、荷台2を積み降ろす作業における運転者の負担を軽減できる。
【0108】
また、車両Mの後方を撮影する第1リアカメラ124及び第2リアカメラ125と、第1リアカメラ124及び第2リアカメラ125の撮影した画像に基づいて、車両Mの後方の障害物BSを検出する第2検出部117と、を備え、第1検出部116が障害物BSを検出し、前進制御部113が障害物BSから所定距離Xfだけ手前の位置で車両Mを停止させたときから所定時間T1が経過した場合に、第2検出部117は、車両Mが停止した位置における荷台2の後端21の位置から、車両Mが停止した位置で荷台2の下降が完了したときの荷台2の後端21の位置である下降完了位置PADまでの間の荷台2の経路上の障害物BSを検出し、第2検出部117が障害物BSを検出しなかった場合には、下降制御部114は、荷台2の下降を再開させる。
【0109】
この構成によれば、荷台2の経路上の障害物BSを検出しなかった場合には、下降制御部114は、荷台2の下降を再開させるため、所定距離Xfだけ手前の位置で車両Mを停止させたときから所定時間T1が経過した場合であっても、荷台2の下降を完了できる。したがって、荷台2を積み降ろす作業における運転者の負担を軽減できる。
【0110】
また、第2検出部117が障害物BSを検出した場合に、ユーザーに対して障害物BSがあるために荷台2の下降を完了できないことを報知する報知制御部118を備える。
この構成によれば、障害物BSがあるために荷台2の下降を完了できないことをユーザーが容易に確認できる。したがって、荷台2を積み降ろす作業における運転者の負担を軽減できる。
また、例えば、障害物BSが他の車両である場合には、この他の車両に移動してもらうことによって、荷台2の下降を完了できる。
【0111】
また、車両本体4のキャビンに配置されたディスプレイ131と、ディスプレイ131にフロントカメラ121の撮影した画像を表示する表示制御部119と、を備える。
この構成によれば、ディスプレイ131にフロントカメラ121の撮影した画像を表示するため、運転者が障害物BS等を容易に視認できる。したがって、荷台2を積み降ろす作業における運転者の負担を軽減できる。
【0112】
また、表示制御部119は、ディスプレイ131に完了位置PBをフロントカメラ121の撮影した画像と重畳させて表示する。
この構成によれば、完了位置PBがフロントカメラ121の撮影した画像と重畳されて表示されるため、運転者が完了位置PBを容易に視認できる。したがって、荷台2を積み降ろす作業における運転者の負担を軽減できる。
例えば、完了位置PBの手前に進入しようとする他の車両がある場合には、この車両に完了位置PBの手前へ進入をやめてもらうことによって、荷台2の下降を完了できる。
【0113】
また、第1検出部116が障害物BSを検出した場合に、表示制御部119は、第1検出部116が障害物BSを検出したことを表示する。
この構成によれば、第1検出部116が障害物BSを検出したことがディスプレイ131に表示されるため、第1検出部116が障害物BSを検出したことを運転者が容易に視認できる。したがって、荷台2を積み降ろす作業における運転者の負担を軽減できる。
【0114】
また、車両本体4のキャビンに配置され、ユーザーからの操作を受け付けて、前進制御部113及び下降制御部114の各々の動作を停止する操作部132を備える。
この構成によれば、ユーザーからの操作を受け付けて、前進制御部113及び下降制御部114の各々の動作が停止されるため、例えば、何等かの異常が発生した場合に、前進制御部113及び下降制御部114の各々の動作を停止できる。
【0115】
本実施形態に係る荷台下降支援装置1の制御方法は、荷台2と車両本体4とを備え、荷台2の下降に応じて、荷台2が車両本体4に対して後方に移動する車両Mにおいて、荷台2の下降操作を支援する荷台下降支援装置の制御方法であって、荷台2の下降に伴って、車両Mが停止したときの荷台2の後端21の位置に対して荷台2の後端21の位置が前後方向に動かないように、荷台2の下降と連動して車両本体4を前進させる前進制御ステップ、を含む。
この構成によれば、荷台2の下降に伴って、車両Mが停止したときの荷台2の後端21の位置に対して荷台2の後端21の位置が前後方向に動かないように、荷台2の下降と連動して車両本体4を前進させるため、荷台2の後方を監視する必要がない。したがって、荷台2を積み降ろす作業における運転者の負担を軽減できる。
【0116】
[6.荷台下降支援装置の他の実施形態]
上述した実施形態は、あくまでも本発明の一態様を示すものであり、本発明の主旨を逸脱しない範囲で任意に変形及び応用が可能である。
本実施形態では、前進制御部113が、車両Mが停止したときの荷台2の後端21の位置に対して荷台2の後端21の位置が前後方向に動かないように、荷台2の下降と連動して車両本体4を前進させるが、本発明の実施形態はこれに限定されない。例えば、前進制御部113が車両本体4を5cm前進させた後に、下降制御部114が荷台2の後端21を後方に5cmだけ移動させるといった動作を繰り返し行ってもよい。
この場合には、荷台2の下降と車両Mの前進とを同時に制御する必要がないため、処理が簡略化される。また、この場合には、車両Mが停止したときの荷台2の後端21の位置に対する荷台2の後端21の位置の前方向の移動量を所定値以下に規制できる。所定値は、例えば5cmである。
【0117】
本実施形態では、第1検出部116が、フロントカメラ121の撮影した画像に基づいて、障害物BSを検出するが、本発明の実施形態はこれに限定されない。第1検出部116が、超音波センサー等のセンサーの検出信号に基づいて、障害物BSを検出してもよい。また、第1検出部116が、フロントカメラ121の撮影した画像と、超音波センサー等のセンサーの検出信号とに基づいて、障害物BSを検出してもよい。
【0118】
本実施形態では、第2検出部117が、第1リアカメラ124の撮影した画像に基づいて、障害物BSを検出するが、本発明の実施形態はこれに限定されない。第2検出部117が、超音波センサー等のセンサーの検出信号に基づいて、障害物BSを検出してもよい。また、第2検出部117が、第1リアカメラ124の撮影した画像と、超音波センサー等のセンサーの検出信号とに基づいて、障害物BSを検出してもよい。
【0119】
また、
図3は、本願発明を理解容易にするために、カメラコントロールユニット11の機能構成を主な処理内容に応じて分類して示した概略図であり、カメラコントロールユニット11の構成は、処理内容に応じて、さらに多くの構成要素に分類することもできる。また、1つの構成要素が更に多くの処理を実行するように分類することもできる。また、各構成要素の処理は、1つのハードウェアで実行されてもよいし、複数のハードウェアで実行されてもよい。また、各構成要素の処理は、1つのプログラムで実現されてもよいし、複数のプログラムで実現されてもよい。
【0120】
また、
図9〜
図12に記載のフローチャートの処理単位は、前進下降制御部110の処理を理解容易にするために、主な処理内容に応じて分割したものである。処理単位の分割の仕方や名称によって、本願発明が制限されることはない。前進下降制御部110の処理は、処理内容に応じて、更に多くの処理単位に分割することもできる。また、1つの処理単位がさらに多くの処理を含むように分割することもできる。また、フローチャートの処理順序も、図示した例に限られるものではない。