【解決手段】ビードコア21と、ビードフィラー22と、アッププライ23と、アッププライ23のタイヤ径方向Y内側部分に重ねて設けられた補強プライ31と、アッププライ23の巻き上げ部25及び補強プライ31に重ね、アッププライ23とともにビードコア21及びビードフィラー22を内包するようにタイヤ径方向Y外側からタイヤ径方向Y内側に延びるダウンプライ27と、を備え、アッププライ23の巻き上げ部25とダウンプライ27と補強プライ31の端部31aとで囲まれた断面略三角形状の領域Rに電子部品40を埋設する。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、
図1から
図4を参照し、本発明の一実施形態に係るタイヤについて説明する。
【0012】
本実施形態のタイヤは、例えば、
図1に示すように、例えば小型トラックなどに装着して好適な空気入りタイヤであり、タイヤ内部に電子部品を埋設して構成されている。なお、本実施形態では、電子部品がRFIDタグであるものとして説明を行うが、本発明に係る電子部品は、例えば、ICタグ等、他の電子部品であってもよい。
【0013】
ここで、
図1は、本実施形態のタイヤ1の一例を示すタイヤ子午線断面図、すなわち、タイヤ1のタイヤ幅方向の半断面を示す図である。
本実施形態に係るタイヤの基本的な構造は、タイヤ幅方向の断面において左右対称となっているため、
図1では、右半分の断面図を示す。
図1中、符号S1は、タイヤ赤道面である。タイヤ赤道面S1は、タイヤ回転軸に直交する面で、かつタイヤ幅方向中心に位置する面である。
タイヤ幅方向Xは、タイヤ回転軸に平行な方向であり、
図1の断面図における紙面左右方向である。また、タイヤ幅方向内側とは、タイヤ赤道面S1に近づく方向であり、
図1においては、紙面左側である。タイヤ幅方向外側とは、タイヤ赤道面S1から離れる方向であり、
図1においては、紙面右側である。
タイヤ径方向Yは、タイヤ回転軸に垂直な方向であり、
図1における紙面上下方向である。また、タイヤ径方向外側とは、タイヤ回転軸から離れる方向であり、
図1においては、紙面上側である。タイヤ径方向内側とは、タイヤ回転軸に近づく方向であり、
図1においては、紙面下側である。
図2についても同様である。
【0014】
本実施形態のタイヤ1は、例えば小型トラックなどに装着して好適なタイヤであり、
図1及び
図2に示すように、タイヤ幅方向Xの両側且つタイヤ径方向Y内側に設けられた左右一対のビード11と、ビード11側のタイヤ径方向Y内側からタイヤ径方向Y外側に延びてタイヤ1の側面を形成する左右一対のサイドウォール13と、左右一対のサイドウォール13のタイヤ径方向Y外側端部同士を連結するように設けられ、路面との接地面を形成するトレッド12とを備えている。
【0015】
ビード11は、ゴム被覆した金属製のビードワイヤを複数回巻いて束状で環状に形成され、タイヤ径方向Y内側端部に配設されたビードコア21と、ビードコア21を内部に埋設しつつ略タイヤ径方向Y外側に延び、先端先細り形状の断面略三角形状を呈するように形成されたゴム製のビードフィラー22とを備えて構成されている。
【0016】
ビードコア21は、空気が充填されたタイヤ1をホイール5のリム(リムフランジ5a)に固定するための部材である。ビードフィラー22は、ビード周辺部の剛性を高め、高い操縦性及び安定性を確保するための部材であり、例えば、詳細を後述する周囲のゴム部材よりもモジュラスの高いゴムを用いて形成されている。
【0017】
本実施形態のタイヤ1の内部には、タイヤ1の骨格となるカーカスプライ(23、27)が埋設されている。
【0018】
本実施形態のカーカスプライ(23、27)は、左右の一方のビード11側から一方のサイドウォール13、トレッド12、他方のサイドウォール13、他方のビード11側に延設して配列される複数のプライコードをゴム被覆してなるアッププライ23(内側カーカスプライ)とダウンプライ27(外側カーカスプライ)との2枚のプライからなる。プライコードとしては、スチールコード等の金属コードを用いることもできるが、好ましくは、ポリエステルやポリアミド等の有機繊維コードを用いる。
【0019】
アッププライ23は、トレッド12からサイドウォール13を通ってタイヤ幅方向X内側から左右の各ビード11に達する本体部24と、本体部24から各ビード11に巻き回し、ビード11(ビード11の一部)を内包するようにサイドウォール13側に折り返して延在する巻き上げ部25とを備えている。
【0020】
ここで、ビード11のビードコア21の周りには、複数本の補強コードをゴム被覆して形成されたチェーハー(補強プライ、コード補強層)31がアッププライ23のタイヤ径方向Y内側の本体部24から外側の巻き上げ部25に巻き回すようにし、タイヤ径方向Y内側部分のアッププライ23を覆うように重ねて設けられている。
【0021】
チェーハー31は、ビードコア21(あるいはビードフィラー22)よりもタイヤ幅方向X外側に位置する端部(以下、タイヤ幅方向外側端という)31aがビードコア21よりもタイヤ幅方向X外側で、且つタイヤ1をホイール5に装着した状態でリムフランジ5aよりタイヤ径方向Y内側に位置するように配設されている。
【0022】
チェーハー31は、ビードコア21(あるいはビードフィラー22)よりタイヤ幅方向X内側に位置する端部(以下、タイヤ幅方向内側端という)31bがビードコア21よりもタイヤ径方向Y外側で、且つリムフランジ5aよりタイヤ径方向Y外側に位置するように配設されている。さらに、チェーハー31のタイヤ幅方向内側端31bは、アッププライ23の巻き上げ部25の端部(巻き上げ端)23aよりタイヤ径方向Y内側、且つタイヤ幅方向X内側に配置されている。
【0023】
なお、チェーハー31は、例えば、平行に並べられた複数の第1補強コードと、第1補強コードと異なる角度で平行に並べられた複数の第2補強コードとを備えて形成されていることが好ましい。また、第1補強コード及び第2補強コードは、アッププライ23及びダウンプライ27のプライコードに対して互いに逆方向に傾斜して交差し、網目状に配置された平織り構造体であることが好ましい。補強コードとしては、スチールコード等の金属コードを用いることもできるが、好ましくは、ポリエステルやポリアミド等の有機繊維コードを用いる。
【0024】
アッププライ23及びチェーハー31の端部23a、31a、31bの位置の具体的な一例として、以下の寸法値を示すことができる。
ビードトウ11aからリムフランジ5aの端部までのタイヤ径方向Yの長さHRが17.5mmの場合に、ビードトウ11aからアッププライ23の巻き上げ端23aまでのタイヤ径方向Yの長さHPを30〜40mm、ビードトウ11aからチェーハー31のタイヤ幅方向外側端31aまでのタイヤ径方向Yの長さHoを10〜17mm、ビードトウ11aからチェーハー31のタイヤ幅方向内側端31bまでのタイヤ径方向Yの長さHiを17〜28mmとする。
【0025】
アッププライ23、チェーハー31、及び上記の好ましい各寸法値は、タイヤ1を正規リムに装着して正規内圧を充填した無負荷の正規状態でのものである。正規リムとは、タイヤ1が基づいている規格を含む規格体系において、当該規格がタイヤ毎に定めるリム5aであり、JATMA規格では「標準リム」、TRA規格では「Design Rim」、ETRTO規格では「Measuring Rim」を意味する。また、正規内圧とは、タイヤ1が基づいている規格を含む規格体系において、各規格がタイヤ毎に定めている空気圧であり、JATMA規格では「最高空気圧」、TRA規格では「TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES」に記載の最大値、ETRTO規格では「INFLATION PRESSURE」を意味する。
【0026】
ダウンプライ27は、タイヤ径方向Y内側の端部27a側を、タイヤ幅方向X外側に配されたチェーハー31及びアッププライ23の巻き上げ部25に重ね、アッププライ23とともに各ビード11を内包するようにタイヤ径方向Y外側からタイヤ径方向Y内側に延びて設けられている。ダウンプライ27は、一方のサイドウォール13側からトレッド12、他方のサイドウォール13側の部分をアッププライ23の本体部24の外側に積層配置して、タイヤ1の内部に埋設されている。
【0027】
また、ダウンプライ27は、タイヤ径方向Y内側の端部27aがビードコア21の中心よりタイヤ径方向Y内側に配置されている。なお、ビードコア21の中心とは、ビードコア21の断面における重心位置を意味する。あるいは、ビードコア21の断面におけるタイヤ幅方向Xの中心位置であって、且つタイヤ径方向Yの中心位置を意味する。
【0028】
サイドウォール13は、ダウンプライ27のタイヤ幅方向X両側に設けられ、タイヤ1の側面(外壁面)を形成するサイドウォールゴム30を備えて構成されている。
【0029】
トレッド12は、ダウンプライ27のタイヤ径方向Y外側(タイヤ外面側)に埋設されたベルト26と、ベルト26のタイヤ幅方向Xの両端部とダウンプライ27との間に配設されたベルト下パッド38と、ベルト26を埋設しつつベルト26よりタイヤ径方向Y外側に配設され、外表面が接地面となるトレッドゴム28とを備えて構成されている。
なお、ベルト26は、例えば、スチールコードなどの複数本のコードをゴム被覆して形成されており、2枚のカーカスプライ(23、27)の外周でトレッド12を補強するためのものである。
【0030】
また、アッププライ23のタイヤ幅方向X内側(タイヤ内面側)には、タイヤ1の内周面を形成する耐空気透過ゴム層としてのインナーライナー29が設けられている。
【0031】
さらに、ビード11に設けられたチェーハー31やダウンプライ27のタイヤ外面側には、補強ゴム(補強ゴム層)32が設けられている。補強ゴム32は、その上部がサイドウォールゴム30の下部と接し、その下部がビードコア21よりタイヤ径方向Y内側に回り込んで配設されている。これにより、補強ゴム32は、ビードコア21のタイヤ幅方向X外側及びタイヤ径方向Y内側においてホイール5のリム(リムフランジ5a)と接触する。
【0032】
補強ゴム32を構成するゴムは、サイドウォールゴム30を構成するゴムより100%伸長時モジュラスが高く、且つサイドウォールゴム30を構成するゴムの2〜3倍の100%伸長時モジュラスであることが好ましい。例えば、サイドウォールゴム30の100%伸長時モジュラスが1.2〜2.2MPaの場合に、補強ゴム32の100%伸長時モジュラスを3.5〜4.5MPaとすることが好ましい。なお、モジュラスは、JIS K6251:2010の「3.7 所定伸び引張り応力(Stress at a given elongation),S」に準拠して測定された23℃の雰囲気下における100%伸長モジュラス(M100)を指す。
【0033】
ダウンプライ27と補強ゴム32との間には、緩衝ゴム(緩衝ゴム層)34が設けられている。緩衝ゴム34のタイヤ幅方向X外側に補強ゴム32が配されるため、緩衝ゴム34はタイヤ外表面に露出せず、リムと接触することはない。
【0034】
緩衝ゴム34は、モジュラスがビードフィラー22のモジュラスと同等以下で、ビードフィラー22のモジュラスの85%以上90%以下のモジュラスであることがより好ましい。なお、モジュラスは、JIS K6251:2010の「3.7 所定伸び引張り応力(Stress at a given elongation),S」に準拠して測定された23℃の雰囲気下における100%伸長モジュラス(M100)を指す。
【0035】
(A)そして、上記のように構成した本実施形態のタイヤ1は、チェーハー(補強プライ)31のタイヤ幅方向外側端31aがビードコア21よりタイヤ径方向Y外側に位置し、チェーハー31のタイヤ幅方向内側端31bがビードコア21よりタイヤ径方向Y外側に位置し、且つリムフランジ5aの端部よりタイヤ径方向Y外側に位置する。
【0036】
これにより、本実施形態のタイヤ1は、チェーハー31がアッププライ23の外側からビードコア21のタイヤ径方向Y内側全体を覆うように配置され、このチェーハー31によってビードコア21周りの優れた補強効果が発揮される。
【0037】
(B)本実施形態のタイヤ1は、チェーハー31のタイヤ幅方向外側端31aが、リムフランジ5aの端部よりタイヤ径方向Y内側に位置し、タイヤ1をホイール5に装着した状態でリムフランジ5aとタイヤ幅方向Xで対向配置される。
【0038】
これにより、本実施形態のタイヤ1は、チェーハー31のタイヤ幅方向外側端31aがビードコア21あるいはビードフィラー22とリムフランジ5aとの間で挟まれ、タイヤ変形時に生じるチェーハー31のタイヤ幅方向外側端31aの動きをリムフランジ5aによって抑制することができる。よって、チェーハー31と重ねて配置されたアッププライ23やダウンプライ27との間に発生するせん断歪みを抑えることができ、優れた耐久性を備えたタイヤ1となる。
【0039】
(C)本実施形態のタイヤ1は、チェーハー31のタイヤ幅方向内側端31bがリムフランジ5aの端部よりタイヤ径方向Y外側に位置している。
【0040】
これにより、本実施形態のタイヤ1は、タイヤ1をホイール5のリムに組み付けたり、リムから取り外したりする際に、アッププライ23のリムフランジ5aと擦れやすい箇所全体をチェーハー31が覆って保護することができる。よって、リムへの組み付け時及びリムからの取り外し時にアッププライ23の損傷を抑えることができ、アッププライ23の保護性能に優れたタイヤ1となる。
【0041】
(D)本実施形態のタイヤ1は、アッププライ23の巻き上げ端23aがリムフランジ5aよりタイヤ径方向Y外側に位置する。
【0042】
これにより、ビードフィラー22のタイヤ幅方向Xへの倒れ込みを防止することができ、タイヤ1の耐久性を高めることができる。
【0043】
(E)本実施形態のタイヤ1は、チェーハー31が第1補強コード及び第2補強コードを網目状に配置した平織り構造体で構成されていることにより、チェーハー31による補強効果を高めることができる。
【0044】
特に、第1補強コード及び第2補強コードをアッププライ23及びダウンプライ27のプライコードに対して互いに逆方向に傾斜し交差させてチェーハー31が構成されている場合には、第1補強コード及び第2補強コードに発生する張力が、アッププライ23及びダウンプライ27に対して2方向から作用して互いに打ち消し合う。これにより、タイヤ幅方向Xに沿って設けられたプライコードがタイヤ周方向に湾曲するプライコードウェーブと称する現象が起きにくくなり、ビード11の耐久性を大幅に高めることができる。
【0045】
一方、本実施形態のタイヤ1においては、RFIDタグ(電子部品)40が一体に埋設されている。
【0046】
本実施形態のRFIDタグ40は、例えば、
図3Aから
図3Cに示すように、RFIDチップ41と、外部機器と通信を行うためのアンテナ42とを備えた受動式無線周波数識別トランスポンダ(Passive Radiofrequency Identifiation Transponder)であり、RFIDチップ41に記憶された情報を無線通信にて外部機器のリーダで読み取ることによって、タイヤ1の製造管理、サプライチェーン管理、使用履歴管理、例えば、使用期間、走行距離、摩耗状態、外傷、空気圧、点検時期などの車両に装着したタイヤ1の管理を可能にする。
【0047】
なお、アンテナ42としては、コイル状のスプリングアンテナ、板状のアンテナ、棒状のアンテナなどの各種のアンテナを用いることができる。例えば、フレキシブル基板に所定のパターンをプリントしてアンテナが形成してもよい。
【0048】
また、本実施形態では、RFIDタグ40を保護部材43(431、432)で被覆し、この状態でタイヤ1の内部に埋設されている。
【0049】
例えば、保護部材43(431、432)は、RFIDタグ40を挟み込んで保護する2枚のゴムシートにより構成されている。このゴムシートは、例えば加硫前の生ゴムにより構成されていてもよい。この保護部材43(431、432)は、所定のモジュラスのゴムにより構成されている。
ここで、モジュラスは、JIS K6251:2010の「3.7 所定伸び引張り応力(Stress at a given elongation),S」に準拠して測定された23℃の雰囲気下における100%伸長モジュラス(M100)を指す。
【0050】
保護部材43(431、432)には、少なくともサイドウォールゴム30よりもモジュラスが高いゴムを用いることが好ましい。例えば、保護部材43(431、432)に用いるゴムとして、サイドウォールゴム30のモジュラスを基準に、その1.1倍〜2倍のモジュラスのゴムを用いることがより好ましい。
【0051】
保護部材43を、短繊維フィラー混合ゴムにより構成してもよい。
短繊維フィラーとしては、例えば、アラミド短繊維やセルロース短繊維といった有機短繊維、アルミナ短繊維等のセラミックス短繊維やガラス短繊維といった無機短繊維のような、絶縁性の短繊維を用いることができる。ゴムにこのような短繊維フィラーを混合することにより、ゴムの強度を高めることができる。
【0052】
保護部材43として、加硫後の状態のゴムシートを用いてもよい。
加硫後の状態のゴムシートは、生ゴムのように塑性変形しないため、RFIDタグ40を適切に保護することができる。
【0053】
また、保護部材43として、ポリエステル繊維やポリアミド繊維等による有機繊維層を設けてもよい。2枚のゴムシート431、432に、有機繊維層を埋設することも可能である。
【0054】
このように、保護部材43を、2枚のゴムシートによって構成すれば、保護部材43を含むRFIDタグ40を薄く形成できるので、タイヤ1に埋設する上で好適である。また、加硫前のタイヤ1の構成部材にRFIDタグ40を組み付けるときにおいて、ゴムシートによって被覆されたRFIDタグ40は、非常に簡便に装着することができる。
【0055】
但し、保護部材43は、2枚のゴムシートによって構成される態様に限らず、種々の態様を採用することができる。例えば、保護部材43は、RFIDタグ40の片面のみに設けてもよい。RFIDタグ40の片面のみに保護部材43を設けた場合は、全体の厚みをより薄くできる。保護部材を構成するゴムシートは、RFIDタグ40の少なくとも一部を覆っていれば、製造工程における作業性の向上や応力緩和などの効果が得られる。
【0056】
また、例えば、RFIDタグ40の全周に亘って1枚のゴムシートを巻き付ける構成や、RFIDタグ40の全周に亘って、粘度の高いポッティング剤の態様の保護部材を付着させた構成であってもよい。このような構成であっても、RFIDタグ40を適切に保護することができる。
【0057】
さらに、
図4Aから
図4Cに示すように、RFIDタグ40を被覆する保護部材44の2枚のゴムシートの厚さを変えてもよい。例えば、加硫時や使用時に強く押圧される側の一方のゴムシート441を他方のゴムシート442よりも厚く形成し、大きな押圧力(応力)が作用する側を確実で強固に保護できるようにしてもよい。
【0058】
なお、RFIDタグ(電子部品)40は必ずしも保護部材43、44で被覆した状態にしてタイヤ1の内部に埋設しなくてもよい。すなわち、保護部材43、44を設けず、RFIDチップ41とアンテナ42だけの状態でタイヤ1の内部に配設しても勿論構わない。
【0059】
そして、本実施形態のタイヤ1においては、上記のようなRFIDタグ40が、アッププライ23の巻き上げ部25と、ダウンプライ27と、チェーハー31(チェーハー31のタイヤ幅方向外側端31a)とで囲まれた先端先細り形状の断面略三角形状を呈する領域Rのゴム内に配置して設けられている。
【0060】
このようにアッププライ23とダウンプライ27の2つのプライと補強プライのチェーハー31とで囲まれた領域RにRFIDタグ40を配設することによって、RFIDタグ40のタイヤ1変形時の動きを効果的に抑制することができ、好適に保護することが可能になる。
【0061】
すなわち、本実施形態のタイヤ1は、前述の(A)から(E)に記載の構成、かかる構成による作用効果を奏功するタイヤ1であり、このようなタイヤ1のアッププライ23の巻き上げ部25及びダウンプライ27の2つのプライとチェーハー31とで囲まれた領域RにRFIDタグ40を設けることによって、前述の(A)から(E)に記載の作用効果を利用してRFIDタグ40を保護することが可能になる。
【0062】
また、アッププライ23とダウンプライ27とチェーハー31で囲まれた領域RにRFIDタグを設けることによって、タイヤ1の外面側から、補強プライのチェーハー31、緩衝ゴム34、ダウンプライ27、RFIDタグ40、アッププライ23の順に積層配置されることにより、特に、補強ゴム32とRFIDタグ40を設けた領域Rとのタイヤ幅方向Xの間に緩衝ゴム34が設けられていることにより、効果的にRFIDタグ40のタイヤ変形時の動きを抑制することができ、RFIDタグ40をさらに好適に保護することが可能になる。
【0063】
また、アッププライ23とダウンプライ27とチェーハー31とで囲まれた領域Rにおいて、チェーハー31のタイヤ幅方向外側端31aに隣接するようにRFIDタグ40を設けることによって、さらに効果的にRFIDタグ40のタイヤ変形時の動きを抑制することができる。すなわち、RFIDタグ40をさらに好適に保護することが可能になる。
【0064】
したがって、本実施形態のタイヤ1によれば、タイヤ1の内部に埋設されたRFIDタグ40の耐久性を大幅に向上させることが可能になる。
【0065】
また、本実施形態のタイヤ1においては、アッププライ23とダウンプライ27とチェーハー31とで囲まれた領域RにRFIDタグ40を設け、好適にRFIDタグ40を保護できることにより、RFIDタグ40を保護部材43、44で被覆しない場合であっても、所望の保護性能を確保することができる。
【0066】
以上、本発明に係るタイヤの一実施形態について説明したが、本発明は上記の一実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。