【解決手段】N−置換(メタ)アクリルアミド(A)、一般式(1)で示される2官能(メタ)アクリレート(B)、一般式(2)で示される2官能(メタ)アクリレート(C)、3官能又は4官能(メタ)アクリレート(D)、リン酸(メタ)アクリレート(E)及びアシルホスフィン光重合開始剤(F)を含有する活性エネルギー線硬化性組成物であって、
前記(D)は、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール及びこれらのアルキレンオキシド付加物からなる群から選ばれる少なくとも1種の多価アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステルである3官能又は4官能(メタ)アクリレートであり、
N−置換(メタ)アクリルアミド(A)、一般式(1)で示される2官能(メタ)アクリレート(B)、一般式(2)で示される2官能(メタ)アクリレート(C)、3官能又は4官能(メタ)アクリレート(D)、リン酸(メタ)アクリレート(E)及びアシルホスフィン光重合開始剤(F)を含有する活性エネルギー線硬化性組成物であって、
前記(D)は、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール及びこれらのアルキレンオキシド付加物からなる群から選ばれる少なくとも1種の多価アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステルである3官能又は4官能(メタ)アクリレートであり、
前記アルキレンオキシド付加物の付加モル数は1〜4の整数であり、
前記(A)の含有量が前記(A)〜(E)の合計重量に基づき5重量%〜60重量%、前記(B)の含有量が前記(A)〜(E)の合計重量に基づき15重量%〜60重量%、前記(C)の含有量が前記(A)〜(E)の合計重量に基づき12重量%〜60重量%、前記(D)の含有量が前記(A)〜(E)の合計重量に基づき0.5重量%〜6重量%、前記(E)の含有量が前記(A)〜(E)の合計重量に基づき0.5重量%〜6重量%である活性エネルギー線硬化性組成物。
CH2=CR2−COO−(R1O)n−COCR2=CH2 (1)
[一般式(1)中、R1は炭素数2〜4のアルキレン基を表し、nは2〜4の整数であり、複数個あるR1は同一でも異なっていてもよく、2つあるR2はそれぞれ独立に水素原子又はメチル基である。]
CH2=CR4−COO−R3−OCOCR4=CH2 (2)
[一般式(2)中、R3は炭素数5〜10のアルキレン基を表し、2つあるR4はそれぞれ独立に水素原子又はメチル基である。]
前記(A)が、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N−アクリロイルモルホリン、N−n−ブトキシアクリルアミド及びN−ヒドロキシエチルアクリルアミドからなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1記載の活性エネルギー線硬化性組成物。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明は、N−置換(メタ)アクリルアミド(A)、一般式(1)で示される2官能(メタ)アクリレート(B)、一般式(2)で示される2官能(メタ)アクリレート(C)、3官能又は4官能(メタ)アクリレート(D)、リン酸(メタ)アクリレート(E)及びアシルホスフィン光重合開始剤(F)を含有する活性エネルギー線硬化性組成物であって、
前記(D)は、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール及びこれらのアルキレンオキシド付加物からなる群から選ばれる少なくとも1種の多価アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステルである3官能又は4官能(メタ)アクリレートであり、
前記(A)の含有量が前記(A)〜(E)の合計重量に基づき5重量%〜60重量%、前記(B)の含有量が前記(A)〜(E)の合計重量に基づき15重量%〜60重量%、前記(C)の含有量が前記(A)〜(E)の合計重量に基づき12重量%〜60重量%、前記(D)の含有量が前記(A)〜(E)の合計重量に基づき0.5重量%〜6重量%、前記(E)の含有量が前記(A)〜(E)の合計重量に基づき0.5重量%〜6重量%である活性エネルギー線硬化性組成物。
CH
2=CR
2−COO−(R
1O)
n−COCR
2=CH
2 (1)
[一般式(1)中、R
1は炭素数2〜4のアルキレン基を表し、nは2〜4の整数であり、複数個あるR
1は同一でも異なっていてもよく、2つあるR
2はそれぞれ独立に水素原子又はメチル基である。]
CH
2=CR
4−COO−R
3−OCOCR
4=CH
2 (2)
[一般式(2)中、R
3は炭素数5〜10のアルキレン基を表し、2つあるR
4はそれぞれ独立に水素原子又はメチル基である。]
【0009】
本発明において「(メタ)アクリレート」とは、メタクリレート又はアクリレートを意味する。
本発明において「(メタ)アクリル」とは、メタクリル又はアクリルを意味する。
【0010】
本発明において、N−置換(メタ)アクリルアミド(A)とは、(メタ)アクリルアミドが有するアミノ基の水素原子のうち1個又は2個を炭化水素基等の置換基で置換したものを意味し、N−置換(メタ)アクリルアミドとしては、N−アルコキシ(メタ)アクリルアミド、N,N−ジアルキル(メタ)アクリルアミド、N−アルコキシ−N−アルキル(メタ)アクリルアミド、N−(メタ)アクリロイル基を有する鎖状アミド及びN−(メタ)アクリロイル基を有する環状アミド等が挙げられる。
N−アルコキシ(メタ)アクリルアミドとしては、N−メトキシ(メタ)アクリルアミド、N−エトキシ(メタ)アクリルアミド、N−プロポキシ(メタ)アクリルアミド及びN−ブトキシ(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
N,N−ジアルキル(メタ)アクリルアミドとしては、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジイソプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジブチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジイソブチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジ−tert−ブチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジヘプチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジオクチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジ−tert−オクチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジドデシル(メタ)アクリルアミド及びN,N−ジオクタデシル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
N−アルコキシ−N−アルキル(メタ)アクリルアミドとしては、N−n−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−メチル−N−メトキシ(メタ)アクリルアミド、N−メチル−N−エトキシ(メタ)アクリルアミド、N−メチル−N−プロポキシ(メタ)アクリルアミド、N−メチル−N−ブトキシ(メタ)アクリルアミド、N−エチル−N−メトキシ(メタ)アクリルアミド、N−エチル−N−エトキシ(メタ)アクリルアミド、N−エチル−N−ブトキシ(メタ)アクリルアミド、N−プロピル−N−メトキシ(メタ)アクリルアミド、N−プロピル−N−エトキシ(メタ)アクリルアミド、N−ブチル−N−メトキシ(メタ)アクリルアミド及びN−ブチル−N−エトキシ(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
N−(メタ)アクリロイル基を有する鎖状アミドとしては、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド及びN−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
N−(メタ)アクリロイル基を有する環状アミドとしては、N−(メタ)アクリロイルモルホリン、N−(メタ)アクリロイルチオモルホリン、N−(メタ)アクリロイルピペリジン、N−(メタ)アクリロイルピロリジン及びN−(メタ)アクリロイルピペリジン等が挙げられる。
本発明において、これらのN−置換(メタ)アクリルアミドは、1種単独で又は2種以上を併用できる。
これらのうち、硬化性の観点から好ましくはN,N−ジアルキルアクリルアミド、N−アルコキシ−N−アルキルアクリルアミド、N−(メタ)アクリロイル基を有する鎖状アミド及びN−(メタ)アクリロイル基を有する環状アミドであり、更に好ましくはN,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N−アクリロイルモルホリン、N−n−ブトキシメチルアクリルアミド及びN−ヒドロキシエチルアクリルアミドである。
【0011】
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物は、一般式(1)で表される2官能(メタ)アクリレート(B)を含有する。
CH
2=CR
2−COO−(R
1O)
n−COCR
2=CH
2 (1)
[一般式(1)中、R
1は炭素数2〜4のアルキレン基を表し、nは2〜4の整数であり、複数個あるR
1は同一でも異なっていてもよく、2つあるR
2はそれぞれ独立に水素原子又はメチル基である。]
【0012】
一般式(1)中、R
1は炭素数2〜4のアルキレン基を表し、具体的にはエチレン基、1,2−プロピレン基、1,3−プロピレン基、1,2−ブチレン基、1,3−ブチレン基、1,4−ブチレン基等が挙げられる。
硬化物の硬度の観点から好ましくは炭素数2〜3であり、更に好ましくはエチレン基及び1,2−プロピレン基である。
nは2〜4の整数であり、硬化物の硬度の観点から好ましくは2〜3の整数である。
【0013】
一般式(1)で表される2官能(メタ)アクリレート(B)としては、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート及びテトラプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
これらの2官能(メタ)アクリレート(B)は、1種単独又は2種以上を併用できる。
これらのうち、硬化物の硬度の観点から好ましくは2官能アクリレートであり、更に好ましくはジプロピレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート及びポリテトラメチレングリコールジアクリレートであり、特に好ましくはジプロピレングリコールジアクリレート及びトリプロピレングリコールジアクリレートである。
【0014】
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物は、一般式(2)で表される2官能(メタ)アクリレート(C)を含有する。
CH
2=CR
4−COO−R
3−OCOCR
4=CH
2 (2)
[一般式(2)中、R
3は炭素数5〜10のアルキレン基を表し、2つあるR
4はそれぞれ独立に水素原子又はメチル基である。]
【0015】
一般式(2)中、R
3は炭素数5〜10のアルキレン基を表し、具体的にはネオペンチレン基、3−メチル−1,5−ペンチレン基、1,6−ヘキシレン基、1,9−ノニレン基及び1,10−デシレン基等が挙げられる。
これらのうち、硬化物の硬度の観点から好ましくはネオペンチレン基、3−メチル−1,5−ペンチレン基及び1,10−デシレン基である。
【0016】
一般式(2)で表される2官能メタクリレート(C)としては、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、3−メチル−1,5−ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジアクリレート及び1,6−ヘキサンジオールジアクリレート等が挙げられる。
これらの2官能(メタ)アクリレート(C)は、1種単独で又は2種以上を併用できる。
これらのうち、硬化性の観点から好ましくはネオペンチルグリコールジアクリレート、3−メチル−1,5−ペンタンジオールジアクリレート、1,9−ノナンジオールジアクリレート及び1,10−デカンジオールジアクリレートである。
【0017】
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物は、3官能又は4官能(メタ)アクリレート(D)を含有する。
本発明において、3官能又は4官能(メタ)アクリレート(D)は、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール及びこれらのアルキレンオキシド付加物からなる群から選ばれる少なくとも1種の多価アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステルである3官能又は4官能(メタ)アクリレートである。また、前記アルキレンオキシド付加物の付加モル数は1〜4の整数である。付加モル数が5以上であると粘度が高くなる、硬化性及び硬化物の硬度が低下するという問題がある。グリセリンのアルキレンオキシド付加物、トリメチロールプロパンのアルキレンオキシド付加物及びペンタエリスリトールのアルキレンオキシド付加物のアルキレンオキシドの炭素数は、硬化物の硬度の観点からそれぞれ好ましくは2〜3である。アルキレンオキシドは、好ましくはエチレンオキシド又はプロピレンオキシドである。
【0018】
本発明において3官能又は4官能(メタ)アクリレート(D)としては、グリセリントリ(メタ)アクリレート、付加モル数が1〜4のエトキシ化グリセリントリ(メタ)アクリレート、付加モル数が1〜4のプロポキシ化グリセリントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、付加モル数が1〜4のエトキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、付加モル数が1〜4のプロポキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、付加モル数が1〜4のエトキシ化ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート及び付加モル数が1〜4のプロポキシ化ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
これらの3官能又は4官能(メタ)アクリレート(D)は、1種単独で又は2種以上を併用できる。
これらのうち、ハンドリングの観点から好ましくはトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート及び付加モル数が1〜4のエトキシ化ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレートであり、更に好ましくはトリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート及び付加モル数が1〜4のエトキシ化ペンタエリスリトールテトラアクリレートである。
【0019】
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物は、リン酸(メタ)アクリレート(E)を含有する。
リン酸(メタ)アクリレート(E)としては、(メタ)アクリロイル基を有するリン酸エステルであれば制限は無く、(メタ)アクリロイル基の官能基数1〜3のものが挙げられ、市場から入手できるものを用いることができ、メタクリロイルオキシエチルホスフェート(ユニケミカル社製、ホスマーM)、エチレンオキサイド変性リン酸メタクリレート(ユニケミカル社製、ホスマーPE)、プロピレンオキサイド変性リン酸メタクリレート(ユニケミカル社製、ホスマーPP)、エチレンオキサイド変性リン酸アクリレート(共栄社化学社製、ライトアクリレート P−1A)、エチレンオキサイド変性リン酸メタクリレート(共栄社化学(株)製、ライトエステル P−1M)、エチレンオキサイド変性リン酸メタクリレート(日本化薬株式会社製、KAYAMER PM−2及びエチレンオキサイド変性リン酸メタクリレート(日本化薬株式会社製、KAYAMER PM−21)等があげられる。
これらのリン酸(メタ)アクリレート(E)は、1種単独で又は2種以上を併用できる。
これらのうち、密着性の観点から、好ましくはエチレンオキサイド変性リン酸メタクリレートであり、更に好ましくは(メタ)アクリロイル基の官能基数1〜2のエチレンオキサイド変性リン酸メタクリレートである。
【0020】
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物は、アシルホスフィン光重合開始剤(F)を含有する。
アシルホスフィン光重合開始剤(F)としては、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキシド、6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキシド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキシド、ビス(2、4、6−トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド、2,4−ジエチルチオキサントン及び2−イソプロピルチオキサントン等が挙げられる。
これらのアシルホスフィン光重合開始剤(F)は、1種単独で又は2種以上を併用できる。これらのうち、硬化性の観点から好ましくはビス(2、4、6−トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド、2,4−ジエチルチオキサントン及び2−イソプロピルチオキサントンであり、更に好ましくはビス(2、4、6−トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイドである。
【0021】
N−置換(メタ)アクリルアミド(A)の含有量は、前記(A)〜(E)の合計重量に基づき5重量%〜60重量%であり、好ましくは5重量%〜40重量%であり、更に好ましくは7.5重量%〜35重量%である。
5重量%未満であると硬化物の硬度が不足し、60重量%を超えると硬化物の硬化性が不足する。
なお、本発明において、(A)〜(E)の合計重量とは、(A)、(B)、(C)、(D)及び(E)の合計重量を意味する。
【0022】
一般式(1)で示される2官能(メタ)アクリレート(B)の含有量は、前記(A)〜(E)の合計重量に基づき15重量%〜60重量%であり、好ましくは20重量%〜60重量%であり、更に好ましくは20重量%〜50重量%である。
15重量%未満であると硬化性が不足し、60重量%を超えると硬化物の硬度が不足する。
【0023】
一般式(2)で示される2官能(メタ)アクリレート(C)の含有量は、前記(A)〜(E)の合計重量に基づき12重量%〜60重量%であり、好ましくは20重量%〜60重量%であり、更に好ましくは20重量%〜50重量%である。
12重量%未満であると硬化性が不足し、60重量%を超えると硬化物の硬度が不足する。
【0024】
3官能又は4官能(メタ)アクリレート(D)の含有量は、前記(A)〜(E)の合計重量に基づき0.5重量%〜6重量%であり、好ましくは2重量%〜5重量%であり、更に好ましくは2重量%〜4重量%である。
0.5重量%未満であると硬化性及び硬化物の硬度が不足し、6重量%を超えると基材密着性及びハンドリング性不足である。
【0025】
リン酸(メタ)アクリレート(E)の含有量は、前記(A)〜(E)の合計重量に基づき0.5重量%〜6重量%であり、好ましくは2重量%〜5重量%であり、更に好ましくは2重量%〜4重量%である。
0.5重量%未満であると硬化性及び硬化物の硬度が不足し、6重量%を超えると基材密着性及びハンドリング性不足である。
【0026】
アシルホスフィン光重合開始剤(F)の含有量は、前記(A)〜(E)の合計重量に基づき、硬化性及び粘度の観点から好ましくは2重量%〜15重量%であり、より好ましくは3重量%〜14重量%であり、更に好ましくは4重量%〜13重量%である。
【0027】
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物は、増感剤(G)を含有してもよい。
増感剤(G)としては、チオキサントン骨格を有する増感剤及びそれ以外の増感剤が挙げられる。
チオキサントン骨格を有する増感剤としては、チオキサントン、2、4−ジエチルチオキサントン、2、4−ジイソプロピルチオキサントン及びOmnipol TX等が挙げられる。
チオキサントン骨格を有する増感剤以外の増感剤としては、アントラキュアーUVS−581等が挙げられる。
これらの増感剤は、1種単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
光感度の観点から好ましくは2、4−ジエチルチオキサントンである。
増感剤(G)は1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0028】
増感剤(G)の含有量は、光感度の観点から前記(A)〜(E)の合計重量に基づき、好ましくは0.2重量%〜10重量%であり、更に好ましくは0.5重量%〜5重量%である。
【0029】
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物は、レベリング剤(H)を含有することができる。
レベリング剤としては、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、非イオン界面活性剤、両性界面活性剤、フッ素界面活性剤及びシリコン界面活性剤等が挙げられる。
これらの内で塗布性の観点からはフッ素界面活性剤及びシリコン界面活性剤が好ましく、相溶性の観点からはオキシアルキル鎖を有する界面活性剤が好ましい。
レベリング剤(H)は1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
レベリング剤(H)の使用量は(A)〜(E)の合計重量に基づき、好ましくは0.01重量%〜3重量%であり、更に好ましくは0.05重量%〜1重量%である。
【0030】
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物は、更に、使用目的に合わせて、重合禁止剤、粘着性付与剤、消泡剤、チクソトロピー性付与剤、スリップ剤、難燃剤、帯電防止剤、溶剤及び酸化防止剤等を含有することができる。
【0031】
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物は、上記の各成分を、ガラスビーカー、缶、プラスチックカップ等の適当な容器中にて、攪拌棒、へら等により撹拌混合すること、又は公知の混合装置(櫂型等の撹拌ばねを備えた混合装置、ディゾルバー、ボールミル及びプラネタリミキサー等)により混合すること等により得ることができる。活性エネルギー線硬化性組成物は、室温で液状であることが好ましく、その粘度は25℃で好ましくは1〜100mPa・s、更に好ましくは2〜50mPa・sである。
【0032】
活性エネルギー線硬化性組成物の硬化物を得るには、活性エネルギー線硬化性インキ用組成物を、公知の方法により基材に塗布した後、活性エネルギー線を照射して、硬化させる。本発明における活性エネルギー線には、紫外線、電子線、X線、赤外線及び可視光線が含まれる。
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物の硬化に用いる活性エネルギー線は、光重合開始剤の選択により調整することができる。
前記の光重合開始剤(F)を用いた場合には200〜700nmの波長を有する活性エネルギー線の照射で光硬化でき、200〜400nmの波長を持つ光(紫外線)の照射により硬化することが好ましい。紫外線を発する光源としては、高圧水銀灯の他、超高圧水銀灯、メタルハライドランプ及びハイパワーメタルハライドランプ等(UV・EB硬化技術の最新動向、ラドテック研究会編、シーエムシー出版、138頁、2006)及びLEDが使用できる。なかでも、LEDは、その他の光源と比較して、消費電力とオゾンの発生量が少なく、ランニングコストが低く環境負荷が少ない。
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物を光硬化するときの紫外線の照射量は、組成物の硬化性及び硬化物の可撓性の観点から好ましくは10〜10,000mJ/cm
2、更に好ましくは20〜2,000mJ/cm
2である。
活性エネルギー線の照射時及び/又は照射後に本発明の活性エネルギー線硬化性組成物の硬化速度を加速させる目的で、加熱を行ってもよい。加熱温度は、30℃〜200℃が好ましく、更に好ましくは35℃〜150℃、特に好ましくは40℃〜120℃である。
【0033】
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物を塗布する基材としては、フィルム状、シート状、板状の透明基材を使用できる。当該基材の材料は用途等に応じて適宜選択すればよく、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル樹脂、トリアセチルセルロース、ポリカーボネート樹脂、メチルメタクリレート共重合物などのアクリル樹脂、スチレン樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリカーボネート樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリメタクリルイミド樹脂等が挙げられる。また、ガラス基材などの無機基材も同様に用いることが可能である。
【0034】
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物の基材への塗布方法としては、スピンコート、ロールコート、スプレーコート等の公知のコーティング法並びに平版印刷、カルトン印刷、金属印刷、オフセット印刷、スクリーン印刷及びグラビア印刷といった公知の印刷法を適用できる。また、微細液滴を連続して吐出するインクジェット方式の塗布にも適用できる。
【0035】
本発明の硬化物としては、前記の基材の上に塗布等した本発明の活性エネルギー線硬化性組成物に活性エネルギーを照射して硬化したもの等があげられる。その硬化物は各種コーティング、インキ(UV印刷インキ及びUVインクジェット印刷インキ等)又は塗料用に使用できる。
【実施例】
【0036】
以下、実施例により本発明を更に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0037】
<実施例1〜14及び比較例1〜9>
表1の配合部数(重量部)に従い、ガラス製の容器に、N−置換(メタ)アクリルアミド(A)、一般式(1)で示される2官能(メタ)アクリレート(B)、一般式(2)で示される2官能(メタ)アクリレート(C)、3官能又は4官能(メタ)アクリレート(D)、リン酸(メタ)アクリレート(E)及びアシルホスフィン光重合開始剤(F)、必要により増感剤(G)及びレベリング剤(H)を仕込み、均一になるまで撹拌し、実施例1〜14及び比較例1〜9の活性エネルギー線硬化性組成物を得た。
【0038】
【表1】
【0039】
表1中の記号で表した原料の詳細は以下の通りである。
(A−1):N−アクリロイルモルホリン[ACMO:KJケミカルズ(株)製]
(A−2):N,N−ジメチルアクリルアミド[DMAA:KJケミカルズ(株)製]
(A−3):N,N−ジエチルアクリルアミド[DEAA:KJケミカルズ(株)製]
(A−4):N−n−ブトキシアクリルアミド[NBMA:MCCユニテック(株)製]
(A−5):N−ヒドロキシエチルアクリルアミド[HEAA:KJケミカルズ(株)製]
(B−1):ジプロピレングリコールジアクリレート[NKエステルAPG−100:新中村工業(株)製]
(B−2):トリプロピレングリコールジアクリレート[Etermer EM223:長興材料有限公司 製]
(B−3):ジエチレングリコールジアクリレート[ファンクリルFA−222A:日立化成(株)製]
(B−4):ポリテトラメチレングリコールジアクリレート[ライトアクリレートPTMGA−250:共栄社化学(株)製]
(C−1):ネオペンチルグリコールジアクリレート[ライトアクリレートNP−A:共栄社化学(株)製]
(C−2):3−メチル−1,5−ペンタンジオールジアクリレート[ライトアクリレートMPD−A:共栄社化学(株)製]
(C−3):1,10−デカンジオールジアクリレート[サートマーCD595:サートマー社製]
(C−4):1,9−ノナンジオールジアクリレート[ライトアクリレート1,9−NDA:共栄社化学(株)製]
(D−1):ペンタエリスリトールトリアクリレート[ライトアクリレートPE−3A:共栄社化学(株)製]
(D−2):トリメチロールプロパントリアクリレート[NKエステルA−TMPT:新中村工業(株)製]
(D−3):エトキシ化ペンタエリスリトールテトラアクリレート[、NKエステルATM―4E(エチレンオキシドの付加モル数は4):新中村工業(株)製]
(D−4):グリセリントリアクリレート[アロニックス MT−3547:東亞合成(株)製]
(D−5):プロポキシ化グリセリントリアクリレート[Etermer EM2384(プロピレンオキシドの付加モル数は3):長興材料有限公司 製]
(E−1):KAYAMER PM−2[リン酸メタクリレート:日本化薬(株)製]
(E−2):KAYAMER PM−21[リン酸メタクリレート:日本化薬(株)製]
(E−3):ライトアクリレート P−1A[2−アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート:共栄社化学(株)製]
(E−4):ライトエステル P−1M[2−メタクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート:共栄社化学(株)製]
(F−1):イルガキュア819[ビス(2、4、6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド:チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製]
(F−2):イルガキュアTPO[(2、4、6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド:チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製]
(G−1):2、4−ジエチルチオキサントン[カヤキュアDETX−S:日本化薬(株)製]
(G−2):アントラキュアーUVS−581[増感剤:川崎化成(株)製]
(G−3):Omnipol TX[増感剤:iGM社製]
(H−1):BYK−333[シリコン表面調整剤:ビックケミー・ジャパン(株)製]
(H−2):TEGO TWIN 4200[シリコン表面調整剤:エボニック社製]
【0040】
実施例1〜14及び比較例1〜9の活性エネルギー線硬化性組成物の粘度及び塗膜硬化性並びに硬化膜の全光線透過率、鉛筆硬度及び基材密着性を以下の試験法により測定又は評価した結果を表1に示す。
[粘度評価]
活性エネルギー線硬化性組成物の粘度は、25℃下で粘度測定装置[FUNGILAB社製「ビスコエリートB型」]を用いて測定した。粘度が16mPa・s以下であると低粘度で好適である。
【0041】
(1)塗膜硬化性評価
実施例1〜14及び比較例1〜9で得た各活性エネルギー線硬化性組成物を、表面処理を施した厚さ100μmのPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム[東洋紡(株)製コスモシャインA4300]に、アプリケーターを用いて膜厚20μmとなるように塗布した。続いて、LED光源紫外線照射装置[型番「FJ100 150×20 385、phoseon TECHNOLOGY(株)製、照射波長 385nm]によりを使用して照射強度1500mW/cm
2にて露光を行なった。露光量は500mJ/cm
2であった。
硬化後塗膜の光照射直後及び光照射10秒後の硬化性を、指触することにより、タックの有無で評価した。
○:タックなし
×:タック有り
【0042】
(2)全光線透過率の評価
上記の硬化性の評価で得られた硬化物を、JIS K 7375:2008に準拠し、全光線透過率測定装置[商品名「haze−garddual」、BYK gardner(株)製]を用いて全光線透過率(%)を測定した。
なお、この試料作成条件で作成し、一般的なハードコート用途に使用する場合、全光線透過率は88%以上であることが必要である。
(3)鉛筆硬度(塗膜の硬度)の評価
塗膜硬化性評価において硬化後塗膜を温度23±2℃の室内に16時間静置した後、平坦なガラス板の上に置き、JIS K 5600−5−4:1999の記載に従って鉛筆硬度を測定した。
【0043】
(4)基材(PETフィルム)密着性の評価
基材上の硬化塗膜を2mm×2mmの碁盤目(100個)にクロスカットし、この上にセロファンテープを張り付けて、引き剥し、目視で以下の基準で評価した。例えば、97/100は、100個中、97個が密着していたことを示す。
<評価基準>
◎:100/100
○:97/100〜99/100
△:50/100〜96/100
×:0/100〜49/100
【0044】
<評価用試験板の作製>
実施例1〜14及び比較例1〜9で得た各活性エネルギー線硬化性組成物を、10cm×10cm四方のガラス基板上にアプリケーターを用いて膜厚20μmとなるように塗布した。続いて、LED光源紫外線照射装置[型番「FJ100 150×20 385、phoseon TECHNOLOGY(株)製、照射波長 385nm]によりを使用して照射強度1500mW/cm
2にて露光を行なった。露光量は500mJ/cm
2であった。密着性評価用の試験板を作製した。
【0045】
<ガラス密着性の評価>
基材上の硬化塗膜を2mm×2mmの碁盤目(100個)にクロスカットし、この上にセロファンテープを張り付けて、引き剥し、目視で以下の基準で評価した。例えば、97/100は、100個中、97個が密着していたことを示す。
<評価基準>
◎:100/100
○:97/100〜99/100
△:50/100〜96/100
×:0/100〜49/100
【0046】
[24時間後の湿熱密着性の評価]
上記の密着性試験で用いたのと同じ保護膜が成膜されたガラス板を温度120℃、相対湿度100%の恒温恒湿機にそれぞれ24時間入れた後、JIS K5600−5−6の付着性(クロスカット法)により保護膜の密着性について評価した。
<評価基準>
◎:100/100
○:97/100〜99/100
△:50/100〜96/100
×:0/100〜49/100
【0047】
表1の結果より、本発明の実施例1〜14の活性エネルギー線硬化性組成物は、低粘度かつ硬化感度が高く、基材密着性の良い高硬度な塗膜を形成した。
一方、比較例1の活性エネルギー線硬化性組成物は基材密着性が不足しており、比較例2、3の活性エネルギー線硬化性組成物は硬度が不足しており、比較例4の活性エネルギー線硬化性組成物は基材密着性が不足しており、比較例5の活性エネルギー線硬化性組成物は硬化性及び基材密着性が不足しており、比較例6の活性エネルギー線硬化性組成物は粘度が高く、硬度が不足しており、比較例7の活性エネルギー線硬化性組成物は粘度が高く、比較例8の活性エネルギー線硬化性組成物は粘度が高く、基材密着性が不足しており、比較例9の活性エネルギー線硬化性組成物は粘度が高い。