特開2020-186419(P2020-186419A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 国立大学法人弘前大学の特許一覧
<>
  • 特開2020186419-殺菌部材の製造方法、殺菌部材 図000003
  • 特開2020186419-殺菌部材の製造方法、殺菌部材 図000004
  • 特開2020186419-殺菌部材の製造方法、殺菌部材 図000005
  • 特開2020186419-殺菌部材の製造方法、殺菌部材 図000006
  • 特開2020186419-殺菌部材の製造方法、殺菌部材 図000007
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-186419(P2020-186419A)
(43)【公開日】2020年11月19日
(54)【発明の名称】殺菌部材の製造方法、殺菌部材
(51)【国際特許分類】
   C22C 1/04 20060101AFI20201023BHJP
   B22F 1/00 20060101ALI20201023BHJP
   B22F 3/105 20060101ALI20201023BHJP
   B22F 3/11 20060101ALI20201023BHJP
   B22F 9/12 20060101ALI20201023BHJP
   B22F 9/14 20060101ALI20201023BHJP
   A61L 9/01 20060101ALI20201023BHJP
   A61L 2/238 20060101ALI20201023BHJP
   A61L 101/02 20060101ALN20201023BHJP
【FI】
   C22C1/04 E
   B22F1/00 K
   B22F3/105
   B22F3/11
   B22F9/12 Z
   B22F9/14 Z
   A61L9/01 B
   A61L2/238
   A61L101:02
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2019-89775(P2019-89775)
(22)【出願日】2019年5月10日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 平成31年3月24日、https://www.elsevier.com/locate/msea
(71)【出願人】
【識別番号】504229284
【氏名又は名称】国立大学法人弘前大学
(71)【出願人】
【識別番号】512292522
【氏名又は名称】カミテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100097113
【弁理士】
【氏名又は名称】堀 城之
(74)【代理人】
【識別番号】100162363
【弁理士】
【氏名又は名称】前島 幸彦
(74)【代理人】
【識別番号】100194283
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 大勇
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 裕之
(72)【発明者】
【氏名】峯田 才寛
(72)【発明者】
【氏名】上手 康弘
【テーマコード(参考)】
4C058
4C180
4K017
4K018
【Fターム(参考)】
4C058AA01
4C058BB07
4C058JJ02
4C180AA07
4C180CC01
4C180CC12
4C180CC15
4C180EA06X
4K017AA03
4K017BA02
4K017CA07
4K017CA08
4K017DA09
4K017EF02
4K017EG04
4K017FA01
4K017FA02
4K018AA02
4K018BA01
4K018BB04
4K018BB05
4K018EA21
4K018KA22
4K018KA70
(57)【要約】      (修正有)
【課題】Agを主材料とし、高い殺菌効果を有し、かつ製造が容易な殺菌部材、及びその製造方法を提供する。
【解決手段】原材料として用いられるAg粉末をアークプラズマ強制蒸発法によって製造する粉末生成工程と、Ag粉末が高圧で一軸加圧された状態で、パルス電流が流されることによる放電によって加熱されて焼結される焼結工程とを具備する、殺菌部材の製造方法。この焼結体を、元のAg微粒子の形態を反映した多孔質とすることができ、これによってAgの実効的な表面積を大きくすることができ、殺菌効果を高くできる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
銀(Ag)を主成分として構成された殺菌部材の製造方法であって、
水素を含有する減圧雰囲気中においてAgで構成された銀母材に対してアーク放電を生じさせてAgを気化させてから微粒子として固化させるアークプラズマ強制蒸発法によって平均粒径が14nm〜144nmの範囲であるAg微粒子を生成する粉末生成工程と、
前記Ag微粒子で構成された粉末を加圧、成形した後に加熱して焼結させた焼結体とした前記殺菌部材を製造する焼結工程と、
を具備することを特徴とする殺菌部材の製造方法。
【請求項2】
前記焼結工程において、
前記粉末を電極間で加圧し、当該電極間にパルス通電を行うことによって発生した放電プラズマによって前記粉末を加熱する放電プラズマ焼結法を用いることを特徴とする請求項1に記載の殺菌部材の製造方法。
【請求項3】
前記焼結工程において、焼結温度を200℃以下とすることを特徴とする請求項2に記載の殺菌部材の製造方法。
【請求項4】
水素を含有する減圧雰囲気中においてAgで構成された銀母材に対してアーク放電を生じさせてAgを気化させてから微粒子として固化させるアークプラズマ強制蒸発法によって得られた平均粒径が14nm〜144nmの範囲である銀(Ag)微粒子が、焼結されて構成された多孔質の焼結体である殺菌部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、殺菌効果を有する殺菌部材の製造方法、殺菌部材に関する。
【背景技術】
【0002】
非特許文献1、2に記載されるように、ある種の金属(金属イオン)には殺菌効果があり、その中でも特に銀(Ag)は高い効果を奏することが知られている。特許文献1には、このためにAgを構成要素として用いた殺菌装置が記載されている。このような殺菌装置においては、露出したAg表面によって殺菌が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−154705号公報
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】佐藤嘉洋、「金属材料の抗菌性」、高温学会誌(2009年)、第35巻、第3号、121頁
【非特許文献2】西岡求、南口梓、Shohreh MASHAYEKHAN、平田雄志、田谷正仁、「複合めっき法による抗菌性金属面の作製」、日本防菌防黴学会誌(2004年11月)、Vol.32、No.11、537頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
Agを用いた従来の殺菌装置においては、Agで構成され殺菌効果を有する部分と、殺菌装置を構成するために上記のAgで構成された部分と組み合わせられる他の材料で構成された部分とで構成される。このため、このような殺菌装置の殺菌効果はその全体の大きさに対して十分ではない、あるいは、殺菌装置を大型とした場合には、その製造が容易ではないために特に高価となる、等の問題があった。
【0006】
このため、Agを主材料とし、高い殺菌効果を有し、かつ製造が容易な殺菌部材が望まれた。
【0007】
本発明は、かかる問題点に鑑みてなされたものであり、上記問題点を解決する発明を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記課題を解決すべく、以下に掲げる構成とした。
本発明の殺菌部材の製造方法は、銀(Ag)を主成分として構成された殺菌部材の製造方法であって、水素を含有する減圧雰囲気中においてAgで構成された銀母材に対してアーク放電を生じさせてAgを気化させてから微粒子として固化させるアークプラズマ強制蒸発法によって平均粒径が14nm〜144nmの範囲であるAg微粒子を生成する粉末生成工程と、前記Ag微粒子で構成された粉末を加圧、成形した後に加熱して焼結させた焼結体とした前記殺菌部材を製造する焼結工程と、を具備することを特徴とする。
本発明の殺菌部材の製造方法は、前記焼結工程において、前記粉末を電極間で加圧し、当該電極間にパルス通電を行うことによって発生した放電プラズマによって前記粉末を加熱する放電プラズマ焼結法を用いることを特徴とする。
本発明の殺菌部材の製造方法は、前記焼結工程において、焼結温度を200℃以下とすることを特徴とする。
本発明の殺菌部材は、水素を含有する減圧雰囲気中においてAgで構成された銀母材に対してアーク放電を生じさせてAgを気化させてから微粒子として固化させるアークプラズマ強制蒸発法によって得られた平均粒径が14nm〜144nmの範囲である銀(Ag)微粒子が、焼結されて構成された多孔質の焼結体であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明は以上のように構成されているので、Agを主材料とし、高い殺菌効果を有し、かつ製造が容易な殺菌部材を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施の形態に係る殺菌部材の製造方法における粉末精製工程で使用される装置の構成を示す図である。
図2】本発明の実施の形態に係る殺菌部材の製造方法で製造された殺菌部材の表面の走査型電子顕微鏡写真である。
図3】本発明の実施例となる試料と比較用の試料における生菌率の時間変化を測定した結果である。
図4】本発明の実施例となる試料と比較用の試料における、生菌率が1/10となる時間を比較した結果である。
図5】本発明の実施例となる試料におけるハロー法によって測定したハローの幅の測定結果である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態に係る殺菌部材、その製造方法について説明する。この殺菌部材は殺菌効果を有する銀(Ag)で構成され、特にAg粉末(Ag微粒子)を原材料として製造される。
【0012】
ここで原材料として用いられるAg粉末はアークプラズマ強制蒸発法によって製造され、峯田才寛、齋藤達也、吉原崇裕、佐藤裕之、「アークプラズマ強制蒸発法によるAgナノパウダーの作成及び粉末特性評価」、日本金属学会誌(2019年)、第83巻、第4号、119頁、あるいは、Takahiro Mineta、Tetsuya Saito、Takahiro Yoshihara and Hiroyuki Sato、「Preperation of Silver Nanoparticles by Arc Plasma Method and Their Properties」、Materials Transactions(2019年3月)、Vol.60、No.4、569頁に記載されたものと同様である。このためのAg粉末製造装置1の構成を模式的に図1に示す。ここで、タングステン電極(負極)11と、炭素電極(正極)12が放電用チャンバー10中に設けられ、炭素電極12上にターゲットとなるAg母材20が配置され、真空ポンプ13によって排気される。Ag母材20は溶融銀で構成される。
【0013】
一方、放電用チャンバー10には、Ar−H(50%)混合ガスが導入される。また、タングステン電極11と炭素電極12には電源14が接続され、放電用チャンバー10内の圧力が所定の範囲となり、電極間に高電圧が印加された場合にこれらの間でアーク放電が発生する。炭素電極12は、実際にはこの際にAg母材20の表面を介してアーク放電が発生するように構成され、例えば、銅電極の上に炭素坩堝が配置され、この炭素坩堝内にAg母材20が配置されるように構成される。このため、アーク放電によってAg母材20からAgが蒸発し、その後に蒸発したAg成分が固化して微粒子(Ag微粒子)となる。この際、この雰囲気においては酸素(大気)は真空ポンプ13により除去され、かつ混合ガスには還元性のガスであるHが含まれるため、Ag微粒子に酸素が取り込まれること、あるいはAg微粒子表面に酸化膜が形成されることは抑制される。
【0014】
混合ガスは、放電用チャンバー10と接続された捕集用チャンバー15側に流れ、循環ポンプ16によって排気され、循環されて再び放電用チャンバー10に導入される。この際、Ag微粒子は、混合ガスと共に捕集用チャンバー15内部に設けられたフィルター17中をこの混合ガスと共に流れ、この際にAg微粒子のみがフィルター17に捕集される。このように捕集されたAg微粒子が前記のAg粉末となる。なお、実際には放電用チャンバー10、捕集用チャンバー15は冷却水によって冷却され、冷却水の温度が一定に制御されることによって、放電用チャンバー10、捕集用チャンバー15の温度が制御される。
【0015】
このように製造されたAg粉末の特性、例えば平均粒径は、アーク放電の放電電流(電源14)等によって調整が可能であり、例えばこの電流を40〜100Aの範囲とすることにより、平均粒径を14nm〜144nm程度に調整することができる。上記の構成により、このように平均粒径が小さく、酸素の混入が抑制されたAg微粒子が得られる(粉末生成工程)。
【0016】
このように製造されたAg粉末が圧縮、成形後に焼結された焼結体が、多孔質の電極となる。この焼結を行うためには、例えば周知の放電プラズマ焼結法法(SPS:Spark Plasma Sintering)を用いることができる。SPSにおける装置構成は、例えば株式会社エヌジェーエスSPSセンターのHP(URL:http:/www.njs−japan.co.jp/whatssps.html)に記載されている。SPSにおいては、ダイの内部に充填された粉末が上下のパンチによって上下方向で一軸加圧されると同時に、パンチ間で通電が行われることによって加熱が行われる。SPSにおいては、焼結助剤を用いることなしに粒成長を抑制した高密度焼結が可能である。SPSにおいては、Ag粉末がダイの内部で高圧で一軸加圧された状態で、パルス電流が流されることによる放電によってAg粉末が加熱されて焼結される(焼結工程)。
【0017】
この際、峯田才寛、齋藤達也、吉原崇裕、佐藤裕之、「アークプラズマ強制蒸発法によるAgナノパウダーの作成及び粉末特性評価」、日本金属学会誌(2019年)、第83巻、第4号、119頁に記載されたように、上記のAg微粒子は、他の方法で製造されたAg粒子と比べて、酸素等の不純物の混入が極めて少なく、結晶粒径が一様に小さな多結晶である。このため、このAg微粒子を用いて、焼結助剤を添加することなく、Agの焼結体を得ることができる。この焼結体を、元のAg微粒子の形態を反映した多孔質とすることができ、これによってAgの実効的な表面積を大きくすることができ、殺菌効果を高くすることができる。以下に、このような実施例について説明する。
【0018】
ここで用いられたAg粉末は前記のように製造され、その平均粒径は78nmとされた。その後、このAg粉末の加圧、成形及び焼結は前記のようにSPSを用いて行われ、印加圧力は60MPa、焼結保持時間は1minとされ、焼結体の形状は直系10mmの円形とされた。また、焼結温度は127℃、327℃、527℃の3種類とされた。この場合における焼結温度とは、前記のダイ中に埋め込まれた熱電対で測定された温度である。この焼結体の表面のSEM(走査型電子顕微鏡)写真を図2(a:焼結温度127℃、b:同327℃、c:同527℃)に示す。焼結温度が低いほど原材料となったAg微粒子の構造を反映した微細な凹凸が顕著に存在する。図2には、測定された密度(g/cm)も記載されている。このような微細構造を反映し、焼結温度が低いほど密度が低くなっている。
【0019】
この焼結体に対して、グラム陰性菌であるEscherichia coliを用い、フィルム密着法(JISZ2801にほぼ準拠)を用いて抗菌性試験が行われた。ここでは、この菌の菌数が1010cfu/mlとなるように培養された菌液を200倍に希釈した菌液が用いられた。上記の焼結体に対して表面を電解研磨し、更にアルコールと紫外線照射による滅菌処理を施して評価用の試料とし、この試料に対して、この菌液を50μL滴下し、滅菌処理済みの直径8mmの被覆フィルムを被せて試料上の全域に菌液を広げ、この状態で温度35℃で0.5h、1h、2h保持をした後の菌の量が評価された。また、比較用の試料として、図1のAg母材20と同一の銀が同様の形状に加工されて用いられた。この比較用の試料は、稠密なAgで構成されたものと考えることができる。
【0020】
菌の量の評価のために、上記のように保持後の試料から、SCD(ソイビーン・カゼイン・ダイジェスト)培地に対してL(レシチン)、P(ポリソルベート80)が添加されたSCDLP培地で構成された洗い出し液10mlを用いて、菌が回収された。その後、この洗い出し液1mlを生理食塩水を用いて10倍、100倍、1000倍、10000倍に希釈した希釈液が作成された。その後、これらの各液に対して普通ブイヨン培地が混合されることによって固化後に、温度35℃で40〜48hの間で培養が行われた。その後、確認された培地上の集落数から、各試料における生菌率が算出された。ここで、集落が確認されなかった試料に対しては試料全体に対して集落数が1であったものとし、この場合が測定の下限値に対応する。
【0021】
使用された菌であるEscherichia coliの図2と同様の倍率で撮影されたSEM写真より、この菌は図2で示された各焼結体の微細構造における小孔よりも十分に大きいことが確認された。このため、この菌が焼結体内部に補足されたために洗い出し液に回収されなかった確率は低いと考えられる。このため、上記の処理における洗い出し液中の菌の量の初期値からの減少は、試料による殺菌効果を反映すると考えられる。
【0022】
図3は、生菌率の保持時間依存性を試料毎に測定した結果であり、ここでは、前記の比較用試料と、焼結温度が127℃、327℃、527℃の3種類とされた計4種類の試料における結果が示されている。前記のように、洗い出し液に対する希釈率の異なる希釈液が評価のために用いられたが、生菌率は、同一の試料において各希釈液に対して希釈率が考慮された上で算出されている。ここで、生菌率2.53×10−7という値が前記のように集落が全く見られなかった場合に対応し、測定下限値に対応する。また、図4は、この結果より、生菌率が1/10となる時間を図3における各試料毎に算出した結果である。
【0023】
この結果より、保持時間と共に生菌率が減少するという殺菌効果はAgで構成された全ての試料で確認でき、AgあるいはAgイオンに殺菌効果があることが認められる。しかしながら、上記の焼結体(焼結温度が127℃、327℃、527℃)においては生菌率の減少が、稠密なAgで構成された比較用試料よりも顕著であり、上記の焼結体は、比較用試料よりも高い殺菌効果を有する。また、上記の焼結体の中では、焼結温度が低いほど高い殺菌効果が認められ、焼結温度が127℃の場合に最も高い殺菌効果が得られる。この結果は、図2に示された微細構造を反映し、多孔質構造が顕著となる127℃の場合には、これによってAgの実効的な表面積が大きくなったことに起因する。
【0024】
また、上記のフィルム密着法以外の方法として、ハロー法(JISL1902にほぼ準拠)によっても、上記の試料(比較用の試料を除く)が評価された。ハロー法においては、上記と同様の試験菌を含んだ寒天培地上に円形の試料が貼付され、24〜48時間培養後における菌の生育阻止帯(ハロー)の幅が評価される。ハローは、試料の殺菌効果によって生成され、試料周囲の環状の領域として認識され、その幅が大きいほど殺菌効果が高いことを意味する。図5は、このようなハローの幅を3種類の試料(焼結温度が127℃、327℃、527℃)に対して測定した結果である。この結果においても、焼結温度が低いほどハローの幅が大きくなることが確認され、上記と同様に、焼結温度が低いほど高い殺菌効果が得られることが明らかである。
【0025】
以上より、上記のAg粉末を原材料とした焼結体を、殺菌部材として使用することができる。上記のAg粉末(Ag微粒子)を用いた場合には、焼結を低温で行うことができ、これによって特にAgの実効的な表面積が大きな多孔質の焼結体を得ることができ、特に殺菌効果の高い殺菌部材を得ることができる。焼結温度は、200℃以下とすることが特に好ましいが、焼結温度が527℃の場合においても、比較用の試料よりも高い殺菌効果が得られる。
【0026】
なお、上記の殺菌部材の製造方法において、焼結工程では放電プラズマ焼結法(SPS)が用いられた。しかしながら、上記のようなAg粉末によって多孔質の焼結体が得られる限りにおいて、他の方法を焼結工程で用いてもよい。例えば、このAg粉末を加圧した圧粉体を製造し、この圧粉体を電気炉中で熱処理することによって焼結体としてもよい。こうした場合であっても、上記のAg粉末を用いた場合には、低温で多孔質の焼結体を得ることができ、同様に殺菌効果が高い焼結体(殺菌部材)を得ることができる。
【符号の説明】
【0027】
1 Ag粉末製造装置
10 放電用チャンバー
11 タングステン電極(負極)
12 炭素電極(正極)
13 真空ポンプ
14 電源
15 捕集用チャンバー
16 循環ポンプ
17 フィルター
20 Ag母材
図1
図2
図3
図4
図5