特開2020-186654(P2020-186654A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-186654(P2020-186654A)
(43)【公開日】2020年11月19日
(54)【発明の名称】ロータリ圧縮機
(51)【国際特許分類】
   F04C 29/04 20060101AFI20201023BHJP
   F04C 18/356 20060101ALI20201023BHJP
【FI】
   F04C29/04 N
   F04C18/356 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2019-89758(P2019-89758)
(22)【出願日】2019年5月10日
(71)【出願人】
【識別番号】516299338
【氏名又は名称】三菱重工サーマルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100210572
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 太一
(72)【発明者】
【氏名】小川 真
(72)【発明者】
【氏名】木全 央幸
(72)【発明者】
【氏名】江崎 郁男
(72)【発明者】
【氏名】宇野 将成
(72)【発明者】
【氏名】島谷 紘史
(72)【発明者】
【氏名】藤原 拓朗
(72)【発明者】
【氏名】笹川 千賀子
(72)【発明者】
【氏名】山下 拓馬
【テーマコード(参考)】
3H129
【Fターム(参考)】
3H129AA04
3H129AA09
3H129AA13
3H129AB03
3H129BB12
3H129CC03
3H129CC04
3H129CC09
3H129CC25
3H129CC27
(57)【要約】
【課題】より一層効率の向上したロータリ圧縮機を提供する。
【解決手段】偏心軸回りに旋回するピストンロータ13Aと、ピストンロータ13Aを覆う円環状のシリンダ12Aと、シリンダ12Aとともに圧縮室C1を形成する上部軸受、及び下部軸受と、径方向に延びるとともに、先端Btがピストンロータ13Aの外周面に当接した状態で径方向に移動可能とされ、圧縮室C1を低圧空間Vlと高圧空間Vhとに分離するブレードBと、を有し、冷媒の吐出部となる範囲に外周面から突出する複数のフィンFが設けられ、クランクシャフトの回転方向を正とし、ブレードBの設けられる位置を0°とした場合、吐出部Eとなる範囲は、180°から360°である。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸線回りに回転可能なクランクシャフトと、
前記クランクシャフトの回転によって冷媒を圧縮する圧縮室が形成された圧縮部と、
前記クランクシャフト、及び前記圧縮部を収容するハウジングと、
を備え、
前記圧縮部は、
前記クランクシャフトに設けられ、前記軸線から偏心した位置で該軸線回りに旋回するピストンロータと、
該ピストンロータを外周側から覆う円環状のシリンダと、
該シリンダをそれぞれ前記軸線方向から覆うことで、前記シリンダとともに前記圧縮室を形成する上部軸受、及び下部軸受と、
前記圧縮室内に配置され、前記軸線に対する径方向に延びるとともに、先端が前記ピストンロータの外周面に当接した状態で径方向に移動可能とされ、前記圧縮室を低圧空間と高圧空間とに分離するブレードと、
を有し、
前記圧縮部における前記冷媒の吐出部となる範囲に、該圧縮部の外周面から突出する複数のフィンが前記軸線に対する周方向に間隔をあけて設けられ、
前記軸線に直交する断面視で、前記クランクシャフトの回転方向を正とする角度座標系において、前記ブレードの設けられる位置を0°とした場合、前記吐出部となる範囲は、180°から360°であるロータリ圧縮機。
【請求項2】
前記フィンは、前記圧縮部の外周面に対して直交する方向に広がる板状をなしている請求項1に記載のロータリ圧縮機。
【請求項3】
前記吐出部となる範囲は、240°から360°である請求項1又は2に記載のロータリ圧縮機。
【請求項4】
前記上部軸受、及び前記下部軸受の少なくとも一方における径方向外側を向く面に前記軸線方向に間隔をあけて設けられた複数の軸受フィンをさらに有する請求項1から3のいずれか一項に記載のロータリ圧縮機。
【請求項5】
前記ハウジングの外周面であって、前記軸線方向において前記圧縮部と対応する領域に設けられ、前記軸線方向に間隔をあけて配列された複数の第一外周フィンをさらに有する請求項1から4のいずれか一項に記載のロータリ圧縮機。
【請求項6】
前記クランクシャフトを回転駆動するモータをさらに備え、
前記ハウジングの外周面であって、前記軸線方向において前記モータと対応する領域に設けられ、前記軸線方向に間隔をあけて配列された複数の第二外周フィンをさらに有する請求項1から5のいずれか一項に記載のロータリ圧縮機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロータリ圧縮機に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば空調装置における冷媒の圧縮に用いられる装置として、ロータリ圧縮機が知られている。ロータリ圧縮機は、シャフトと、シャフトの偏心部に装着されたピストンロータと、ピストンロータを収容するシリンダ室を有するシリンダと、シリンダ室の軸方向両側に配置される上部軸受、及び下部軸受と、これらを収容するハウジングと、を備えている。このようなロータリ圧縮機では、圧縮に伴って冷媒が高温となることが知られている。高温の冷媒の熱が、例えば圧縮前の冷媒に伝播した場合、ロータリ圧縮機としての効率が低下してしまう可能性がある。
【0003】
そこで、例えば下記特許文献1に記載されているように、ハウジングに放熱手段としてのフィンを設ける構成を採ることが考えられる。特許文献1に記載された圧縮機では、モータ及び圧縮機本体を含む電動圧縮部を収容するハウジングの外周面に、複数の放熱フィンが設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−251133号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記のようなロータリ圧縮機では、シリンダ室における冷媒が吐出される部位(吐出部)で特に冷媒の温度が上昇する。これは、圧縮されて高温となった冷媒が当該部位を流通するためである。したがって、このように特に高温となる部位に放熱手段を施すことで、熱効率をより一層高める可能性が見込まれる。しかしながら、上記特許文献1に記載された装置では、ハウジングの外周面にのみ放熱フィンが設けられている。このため、上記の吐出部の熱を効率的に放散できない可能性がある。その結果、ロータリ圧縮機の効率が限定的となってしまう。
【0006】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであって、より一層効率の向上したロータリ圧縮機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係るロータリ圧縮機は、軸線回りに回転可能なクランクシャフトと、前記クランクシャフトの回転によって冷媒を圧縮する圧縮室が形成された圧縮部と、前記クランクシャフト、及び前記圧縮部を収容するハウジングと、を備え、前記圧縮部は、前記クランクシャフトに設けられ、前記軸線から偏心した位置で該軸線回りに旋回するピストンロータと、該ピストンロータを外周側から覆う円環状のシリンダと、該シリンダをそれぞれ前記軸線方向から覆うことで、前記シリンダとともに前記圧縮室を形成する上部軸受、及び下部軸受と、前記圧縮室内に配置され、前記軸線に対する径方向に延びるとともに、先端が前記ピストンロータの外周面に当接した状態で径方向に移動可能とされ、前記圧縮室を低圧空間と高圧空間とに分離するブレードと、を有し、前記圧縮部における前記冷媒の吐出部となる範囲に、該圧縮部の外周面から突出する複数のフィンが前記軸線に対する周方向に間隔をあけて設けられ、前記軸線に直交する断面視で、前記クランクシャフトの回転方向を正とする角度座標系において、前記ブレードの設けられる位置を0°とした場合、前記吐出部となる範囲は、180°から360°である。
【0008】
上記構成によれば、圧縮部の吐出部となる範囲に、当該圧縮部の外周面から突出する複数のフィンが周方向に間隔をあけて設けられている。ここで言う吐出部となる範囲とは、ブレードの設けられる位置を0°とし、クランクシャフトの回転方向を正としたときに、180°から360°の範囲である。圧縮部の吐出部では、圧縮されて高温高圧となった冷媒が流通するため、他の部分に比べて特に温度が上昇しやすい。この熱が例えば圧縮前の冷媒に伝播した場合、ロータリ圧縮機の効率が低下してしまう。しかしながら、上記構成によれば、このような吐出部となる範囲に複数のフィンが設けられている。これらフィンにより、吐出部の熱を放散させることができる。その結果、圧縮前の冷媒に熱が伝わる可能性を低減することができる。さらに、上記のように特に高温となる吐出部にフィンが設けられていることから、他の部分にこのようなフィンを設けた場合に比べて、熱を効率的に放散させることができる。
【0009】
上記ロータリ圧縮機では、前記フィンは、前記圧縮部の外周面に対して直交する方向に広がる板状をなしていてもよい。
【0010】
上記構成によれば、フィンは、圧縮部の外周面に対して直交する方向に広がる板状をなしている。これにより、フィンの面積を大きく確保することができる。その結果、各フィンによる放熱の効果をより一層高めることができる。
【0011】
上記ロータリ圧縮機では、前記吐出部となる範囲は、240°から360°であってもよい。
【0012】
上記構成によれば、吐出部となる範囲が、ブレードの設けられる位置を0°として、240°から360°の範囲とされている。圧縮部では、0°位置を基準として、クランクシャフトの回転方向における前方側に向かうほど、冷媒の圧縮が進む。したがって、上記の240°から360°の範囲では、冷媒の温度が特に高くなる。この範囲を吐出部として、例えばフィン等を圧縮部に設けることによって、放熱効果をさらに高めることができる。
【0013】
上記ロータリ圧縮機では、前記上部軸受、及び前記下部軸受の少なくとも一方における径方向外側を向く面に前記軸線方向に間隔をあけて設けられた複数の軸受フィンをさらに有してもよい。
【0014】
上記構成によれば、上部軸受、及び下部軸受の少なくとも一方に、軸線方向に間隔をあけて複数の軸受フィンが設けられている。ここで、上部軸受、及び下部軸受は、圧縮室の内面の一部を形成している。即ち、これら上部軸受、及び下部軸受には、圧縮室内を流通する高温高圧の冷媒が接触する。その結果、冷媒の熱が伝播して、上部軸受、及び下部軸受も高温となる可能性がある。上記の構成によれば、これら上部軸受、及び下部軸受の少なくとも一方に軸受フィンが設けられていることから、冷媒による熱を当該軸受フィンを通じて効率的に放散させることができる。
【0015】
上記ロータリ圧縮機では、前記ハウジングの外周面であって、前記軸線方向において前記圧縮部と対応する領域に設けられ、前記軸線方向に間隔をあけて配列された複数の第一外周フィンをさらに有してもよい。
【0016】
上記構成によれば、ハウジングの外周面であって、軸線方向において圧縮部と対応する領域に、複数の第一外周フィンが設けられている。これにより、圧縮部を流通する高温高圧の冷媒の熱をハウジングの外部に向けて効率的に放散させることができる。
【0017】
上記ロータリ圧縮機では、前記クランクシャフトを回転駆動するモータをさらに備え、前記ハウジングの外周面であって、前記軸線方向において前記モータと対応する領域に設けられ、前記軸線方向に間隔をあけて配列された複数の第二外周フィンをさらに有してもよい。
【0018】
ここで、ロータリ圧縮機の連続的な運転に伴って、内部抵抗等の諸要因によってモータも相応に発熱する。この熱が例えば圧縮前の冷媒に伝播した場合、ロータリ圧縮機の効率的な運用に支障を来たす虞がある。しかしながら、上記の構成によれば、ハウジングの外周面であって、軸線方向においてモータと対応する領域に第二外周フィンが設けられている。この第二外周フィンにより、モータで生じた熱をハウジングの外部に向けて効率的に放散させることができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、より一層効率の向上したロータリ圧縮機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の第一実施形態に係るロータリ圧縮機の縦断面図である。
図2】本発明の第一実施形態に係る圧縮部の一部の構成を示す断面図である。
図3】本発明の第二実施形態に係るロータリ圧縮機の一部を示す縦断面図である。
図4】本発明の第三実施形態に係るロータリ圧縮機の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
[第一実施形態]
本発明の第一実施形態について、図1図2を参照して説明する。図1に示すように、本実施形態に係るロータリ圧縮機100は、アキュムレータ24と、吸入管26A、26Bと、圧縮機本体10と、を備えている。圧縮機本体10は、軸線Oに沿って延びるクランクシャフト16と、クランクシャフト16を回転させるモータ18と、クランクシャフト16の回転に伴って冷媒を圧縮する圧縮部10Aと、クランクシャフト16、モータ18、及び圧縮部10Aを覆うハウジング11と、を備えている。
【0022】
圧縮部10Aは、クランクシャフト16の回転に伴って軸線Oから偏心した位置で旋回(回転)するピストンロータ13A、13B(第一ピストンロータ13A、第二ピストンロータ13B)と、これら第一ピストンロータ13A、及び第二ピストンロータ13Bをそれぞれ収容するシリンダ12A、12Bと、クランクシャフト16を回転可能に支持する上部軸受17A、及び下部軸受17Bと、シリンダ12A、12B内に形成された圧縮室Cを2つの空間に分離するブレードBと、圧縮部10Aの外周面に設けられた複数のフィンFと、を有している。
【0023】
圧縮部10Aは、円筒形状のハウジング11内に、ディスク状のシリンダ12A、12Bが上下2段に設けられた、いわゆる2気筒タイプのロータリ圧縮機である。ハウジング11は、シリンダ12A、12Bを囲うことで、圧縮された冷媒が排出される吐出空間Vを形成する。シリンダ12A、12Bの内部には、各々、シリンダ内壁面の内側よりも小さな外形を有する円筒状の第一ピストンロータ13A、第二ピストンロータ13Bが配置されている。第一ピストンロータ13A、第二ピストンロータ13Bは、各々、クランクシャフト16におけるクランク軸14A、14B(第一クランク軸14A、第二クランク軸14B)に挿入固定されている。
【0024】
上段側のシリンダ12Aの第一ピストンロータ13Aと、下段側の第二ピストンロータ13Bとは、その位相が互いに180°だけ異なるように設けられている。即ち、第一ピストンロータ13Aは、第二ピストンロータ13Bの偏心方向とは反対の方向に偏心している。また、上下のシリンダ12A、12Bの間には、ディスク状の仕切板15が設けられている。仕切板15により、上段側のシリンダ12A内の空間Rと、下段側の空間Rとが互いに区画されて、それぞれ圧縮室C1とC2とされている。
【0025】
シリンダ12A、12Bは、上部軸受17A、及び下部軸受17Bによってハウジング11に固定されている。より具体的には、上部軸受17Aは圧縮部10Aの上部に固定された円盤状をなしており、その外周面はハウジング11の内周面に固定されている。下部軸受17Bは圧縮部10Aの下部に固定された円盤状をなしており、その外周面はハウジング11の内周面に固定されている。上部軸受17Aは、上段側のシリンダ12Aを上方(軸線O方向一方側)から覆っている。また、下部軸受17Bは、下段側のシリンダ12Bを下方(軸線O方向他方側)から覆っている。つまり、上部軸受17Aは、シリンダ12A、及び仕切板15とともに、上記の圧縮室C1を形成し、下部軸受17Bは、シリンダ12B、及び仕切板15とともに、上記の圧縮室C2を形成する。なお、ロータリ圧縮機100は、このような2気筒ではなく、1気筒であってもよい。1気筒の場合、上記の仕切板15を設けることなく、シリンダの軸線O方向両側を、それぞれ上部軸受17A、及び下部軸受17Bによって覆う構成が採られる。
【0026】
圧縮機本体10には、圧縮機本体10への供給に先立って冷媒を気液分離するアキュムレータ24がステー25を介してハウジング11に固定されている。アキュムレータ24と圧縮機本体10との間には、アキュムレータ24内の冷媒を圧縮機本体10に吸入させるための吸入管26A、26Bが設けられている。吸入管26A、26Bの一端はアキュムレータ24の下部に接続され、他端は開口22A、22Bを通して、シリンダ12A、12Bにそれぞれ形成された吸入ポート23A、23Bに連通している。クランクシャフト16の一端側には、当該クランクシャフト16を回転駆動させるためのモータ18のロータ19Aが一体に設けられている。ロータ19Aの外周部に対向して、ステータ19Bが、ハウジング11の内周面に固定して設けられている。
【0027】
続いて、図2を参照して、圧縮部10Aの内部の構成について説明する。なお、上述の上段側のシリンダ12Aと、下段側のシリンダ12Bとでは、互いに同等の構成を有していることから、以下では代表的に上段側のシリンダ12Aについてのみ説明する。図2に示すように、シリンダ12Aは、軸線Oを中心とする環状のシリンダ本体12Hと、このシリンダ本体12Hの外周面12Sに設けられた2つの張出部P1、P2と、を有している。張出部P1、P2は、外周面12Sから軸線Oに対する径方向外側に向かって扇状に広がっている。張出部P1、P2の外周面は、上述のハウジング11の内周面に対して、例えば焼き嵌め等によって当接・固定される。2つの張出部P1、P2は、軸線Oに対する周方向に間隔をあけて設けられている。また、張出部P1は、張出部P2よりも周方向の寸法が大きい。なお、これら張出部P1、P2の個数や形状は、設計・仕様に応じて適宜決定されてよい。
【0028】
シリンダ本体12Hの内周側は軸線Oを中心として円形に開口することで、上述の圧縮室C1とされている。この圧縮室C1内には、第一ピストンロータ13Aが収容されている。ブレードBは、シリンダ本体12Hに対して弾性部材Gによって付勢された状態で支持されている。ブレードBは、弾性部材Gによって軸線Oに対する径方向内側に向かって付勢されている。これにより、ブレードBの先端Btは、第一ピストンロータ13Aの外周面に常態的に当接した状態となっている。つまり、第一ピストンロータ13Aが偏心回転する際に、ブレードBの先端Btは弾性部材Gによって付勢された状態で、第一ピストンロータ13Aの外周面に摺接する。ブレードB自体は、軸線Oに対する径方向に進退動可能(移動可能)とされている。このブレードBにより、圧縮室C1は2つの空間(高圧空間Vh、及び低圧空間Vl)に分離されている。より具体的には、第一ピストンロータ13Aの回転方向(旋回方向)を正としたとき、ブレードBよりも回転方向R前方側の空間は高圧空間Vhとされ、回転方向後方側の空間は低圧空間Vlとされている。
【0029】
高圧空間Vhでは、低圧空間Vl側から送り込まれた冷媒が圧縮されることで高温高圧となって流通している。この高温高圧の冷媒は、シリンダ本体12Hに形成された吐出口(不図示)から、ハウジング11内の吐出空間Vを経て外部に取り出される。つまり、シリンダ本体12Hにおける高圧空間Vh側では、低圧空間Vl側に比べて、より高い温度の冷媒に曝される。本実施形態では、このような高温の冷媒に曝される範囲(吐出部Eとされる範囲)は、上記のブレードBの周方向位置を0°とし、第一ピストンロータ13A(クランクシャフト16)の回転方向を正とする角度座標系において、180°から360°の範囲とされる。なお、より望ましくは、この吐出部Eの範囲は、240°から360°とされる。つまり、シリンダ本体12Hにおける吐出部Eとされる範囲では、他の部分に比べて高温となる可能性がある。
【0030】
そこで、本実施形態では、シリンダ本体12Hの外周面12Sにおける上記吐出部Eとなる範囲のみに、複数のフィンFが設けられている。より具体的には、これらフィンFは、外周面12Sから軸線Oに対する径方向に延びる板状をなすとともに、周方向に等間隔をあけて配列されている。なお、図2の例では8つのフィンFが設けられている構成を示しているが、フィンFの個数は8つに限定されず、7つ以下や9つ以上であってもよい。さらに、図2の例では、吐出部Eの角度範囲としてより望ましい240°から360°の範囲に、これら複数のフィンFを設けた構成を示している。しかしながら、フィンFは、上記の吐出部Eとされる180°から360°の範囲内であれば、いかなる周方向位置に設けられていてもよい。
【0031】
次に、本実施形態に係るロータリ圧縮機100の動作について説明する。ロータリ圧縮機100を運転するに当たっては、外部からの電力供給によってまずモータ18を駆動する。モータ18の駆動に伴って、クランクシャフト16が軸線O回りに回転する。クランクシャフト16の回転に伴って第一クランク軸14A、第二クランク軸14Bがクランクシャフト16の中心軸線(軸線O)回りに旋回する。この旋回に追従するようにして、第一ピストンロータ13A、及び第二ピストンロータ13Bが圧縮室C1、C2内で偏心回転する。第一ピストンロータ13A、及び第二ピストンロータ13Bの偏心回転によって、圧縮室C1、C2の容積が変化し、当該圧縮室C1、C2内に取り込まれた冷媒が圧縮される。圧縮された冷媒は、ハウジング11内の吐出空間Vを経て外部に取り出される。
【0032】
ここで、上述のように、圧縮室C1、C2内における吐出部Eに相当する部分では、他の部分に比べて高温高圧の冷媒による昇温が生じやすい。このような熱が例えば圧縮前の冷媒に伝播してしまうと、ロータリ圧縮機100の効率が低下してしまう可能性がある。しかしながら、本実施形態では、上述のようにシリンダ本体12Hにおける吐出部Eとされる範囲に複数のフィンFが設けられている。これらフィンFによって、吐出部Eで生じた熱は、ハウジング11内の空間に放散する。
【0033】
以上、説明したように、上記構成によれば、圧縮部10Aの吐出部Eとなる範囲に、当該圧縮部10Aの外周面(シリンダ本体12Hの外周面12S)から突出する複数のフィンFが周方向に間隔をあけて設けられている。ここで言う吐出部Eとなる範囲とは、ブレードBの設けられる位置を0°とし、クランクシャフト16の回転方向を正としたときに、180°から360°の範囲である。圧縮部10Aの吐出部Eでは、圧縮されて高温高圧となった冷媒が流通するため、他の部分に比べて特に温度が上昇しやすい。この熱が例えば圧縮前の冷媒に伝播した場合、ロータリ圧縮機100の効率が低下してしまう。しかしながら、上記構成によれば、このような吐出部Eとなる範囲に複数のフィンFが設けられている。これらフィンFにより、吐出部Eの熱を放散させることができる。その結果、圧縮前の冷媒に熱が伝わる可能性を低減することができる。さらに、上記のように特に高温となる吐出部Eにフィンが設けられていることから、他の部分にこのようなフィンFを設けた場合に比べて、熱をより効率的に放散させることができる。
【0034】
さらに、上記構成によれば、フィンFは、圧縮部10Aの外周面(シリンダ本体12Hの外周面12S)に対して直交する方向に広がる板状をなしている。これにより、フィンFの面積を大きく確保することができる。その結果、各フィンFによる放熱の効果をより一層高めることができる。
【0035】
加えて、上記構成では、吐出部Eとなる範囲が、ブレードの設けられる位置を0°として、240°から360°の範囲とされている。圧縮部10Aでは、0°位置を基準として、クランクシャフト16の回転方向における前方側に向かうほど、冷媒の圧縮が進む。したがって、上記の240°から360°の範囲では、冷媒の温度が特に高くなる。この範囲を吐出部Eとして、当該吐出部Eに沿ってフィンFを設けることによって、放熱効果をさらに高めることができる。
【0036】
以上、本発明の第一実施形態について説明した。なお、本発明の要旨を逸脱しない限りにおいて、上記の構成に種々の変更や改修を施すことが可能である。
【0037】
[第二実施形態]
次に、本発明の第二実施形態について、図3を参照して説明する。なお、上記第一実施形態と同様の構成については同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。図3に示すように、本実施形態では、上述のフィンFに加えて、上部軸受17A、及び下部軸受17Bの径方向外側を向く面(外周面Sa、Sb)のそれぞれに軸受フィンFbが設けられている。なお、上部軸受17A、及び下部軸受17Bの一方のみに軸受フィンFbを設ける構成を採ることも可能である。即ち、軸受フィンFは、上部軸受17A、下部軸受17Bの少なくとも一方に設けられていればよい。軸受フィンFbは、外周面Sa、Sb上で軸線O方向に間隔をあけて配列されている。つまり、各軸受フィンFbは、軸線O方向から見て、当該軸線Oを中心とする円環状をなしている。
【0038】
上記構成によれば、上部軸受17A、及び下部軸受17Bの少なくとも一方に、軸線O方向に間隔をあけて複数の軸受フィンFbが設けられている。ここで、上部軸受17A、及び下部軸受17Bは、圧縮室C1又はC2の内面の一部を形成している。即ち、これら上部軸受17A、及び下部軸受17Bには、圧縮室C1、C2内を流通する高温高圧の冷媒が接触する。その結果、冷媒の熱が伝播して、上部軸受17A、及び下部軸受17Bも高温となる可能性がある。上記の構成によれば、これら上部軸受17A、及び下部軸受17Bの少なくとも一方に軸受フィンFbが設けられていることから、冷媒による熱を当該軸受フィンFbを通じて効率的に放散させることができる。その結果、ロータリ圧縮機100の効率をより一層向上させることができる。
【0039】
以上、本発明の第二実施形態について説明した。なお、本発明の要旨を逸脱しない限りにおいて、上記の構成に種々の変更や改修を施すことが可能である。
【0040】
[第三実施形態]
次に、本発明の第三実施形態について、図4を参照して説明する。なお、上記の各実施形態と同様の構成については同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。図4に示すように、本実施形態では、上記第一実施形態で説明した吐出部EのフィンFに加えて、ハウジング11の外周面11Sに、複数の第一外周フィンFc1、及び複数の第二外周フィンFc2が設けられている。具体的には、これら第一外周フィンFc1は、ハウジング11の外周面11S上であって、軸線O方向において圧縮部10Aと対応する(重複する)領域に設けられている。各第一外周フィンFc1は、軸線Oを中心としてハウジング11の外周面11Sに沿う円環状をなしている。このような第一外周フィンFc1が、軸線O方向に等間隔をあけて配列されている。
【0041】
さらに、ハウジング11の外周面11S上であって、軸線O方向においてモータ18と対応する(重複する)領域には、複数の第二外周フィンFc2が設けられている。各第二外周フィンFc2は、上記第一外周フィンFc1と同様に、軸線Oを中心としてハウジング11の外周面11Sに沿う円環状をなしている。このような第二外周フィンFc2が、軸線O方向に等間隔をあけて配列されている。
【0042】
上記構成によれば、第一実施形態で説明したフィンFによる放熱効果に加えて、第一外周フィンFc1を通じて、圧縮部10Aを流通する高温高圧の冷媒の熱をハウジング11の外部に向けて放散させることができる。これにより、ロータリ圧縮機100の効率をさらに向上させることができる。
【0043】
ここで、ロータリ圧縮機100の連続的な運転に伴って、内部抵抗等の諸要因によってモータ18も相応に発熱する。この熱が例えば圧縮前の冷媒に伝播した場合、ロータリ圧縮機100の効率的な運用に支障を来たす虞がある。しかしながら、上記の構成によれば、ハウジング11の外周面11Sであって、軸線O方向においてモータ18と対応する領域に第二外周フィンFc2が設けられている。この第二外周フィンFc2により、モータ18で生じた熱をハウジング11の外部に向けて効率的に放散させることができる。その結果、ロータリ圧縮機100の効率をより一層向上させることができる。
【0044】
以上、本発明の第三実施形態について説明した。なお、本発明の要旨を逸脱しない限りにおいて、上記の構成に種々の変更や改修を施すことが可能である。例えば、各実施形態に共通する変形例として、上述の第一実施形態、第二実施形態、及び第三実施形態の構成をともに組み合わせた構成を採ることも可能である。このような構成によれば、ロータリ圧縮機100の効率をさらに向上させることができる。
【符号の説明】
【0045】
100・・・ロータリ圧縮機
10・・・圧縮機本体
10A・・・圧縮部
11・・・ハウジング
11S・・・外周面
12A、12B・・・シリンダ
12H・・・シリンダ本体
12S・・・外周面
13A・・・第一ピストンロータ
13B・・・第二ピストンロータ
14A・・・第一クランク軸
14B・・・第二クランク軸
16・・・クランクシャフト
17A・・・上部軸受
17B・・・下部軸受
18・・・モータ
19A・・・ロータ
19B・・・ステータ
22A、22B・・・開口
23A、23B・・・吸入ポート
24・・・アキュムレータ
25・・・ステー
26A、26B・・・吸入管
B・・・ブレード
Bt・・・先端
C,C1,C2・・・圧縮室
E・・・吐出部
F・・・フィン
Fb・・・軸受フィン
Fc1・・・第一外周フィン
Fc2・・・第二外周フィン
G・・・弾性部材
O・・・軸線
P1,P2・・・張出部
R・・・回転方向
Sa,Sb・・・外周面
V・・・吐出空間
Vh・・・高圧空間
Vl・・・低圧空間
図1
図2
図3
図4