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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-186660(P2020-186660A)
(43)【公開日】2020年11月19日
(54)【発明の名称】ロータリ圧縮機
(51)【国際特許分類】
   F04C 18/356 20060101AFI20201023BHJP
   F04C 29/00 20060101ALI20201023BHJP
【FI】
   F04C18/356 D
   F04C29/00 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2019-90082(P2019-90082)
(22)【出願日】2019年5月10日
(71)【出願人】
【識別番号】516299338
【氏名又は名称】三菱重工サーマルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100210572
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 太一
(72)【発明者】
【氏名】小川 真
(72)【発明者】
【氏名】木全 央幸
(72)【発明者】
【氏名】江崎 郁男
(72)【発明者】
【氏名】宇野 将成
(72)【発明者】
【氏名】島谷 紘史
(72)【発明者】
【氏名】藤原 拓朗
(72)【発明者】
【氏名】笹川 千賀子
(72)【発明者】
【氏名】山下 拓馬
【テーマコード(参考)】
3H129
【Fターム(参考)】
3H129AA04
3H129AA09
3H129AA13
3H129AB03
3H129BB43
3H129BB50
3H129CC05
(57)【要約】
【課題】振動がより一層低減されるとともに、効率がより一層向上したクランクシャフト、及びロータリ圧縮機を提供する。
【解決手段】軸線O回りに回転するクランクシャフト16と、クランクシャフト16に設けられ、軸線Oに対して偏心した偏心軸O1,O2を中心とする円盤状の偏心部14A,14Bと、偏心部14A,14Bを外周側から覆うとともに、偏心軸O1,O2を中心とする環状のピストンロータ13A,13Bと、ピストンロータ13A,13Bを収容するとともに、ピストンロータ13A,13Bの回転に伴って冷媒を圧縮する圧縮室が形成された圧縮機構部と、クランクシャフト16を回転可能に支持する軸受部と、を備え、ピストンロータ13A,13Bは、偏心軸O1,O2に対する径方向内側から外側に向かうに従って、偏心軸O1,O2方向の寸法が減少している。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸線回りに回転するクランクシャフトと、
該クランクシャフトに設けられ、前記軸線に対して偏心した偏心軸を中心とする円盤状の偏心部と、
該偏心部を外周側から覆うとともに、前記偏心軸を中心とする環状のピストンロータと、
該ピストンロータを収容するとともに、該ピストンロータの回転に伴って冷媒を圧縮する圧縮室が形成された圧縮機構部と、
前記クランクシャフトを回転可能に支持する軸受部と、
を備え、
前記ピストンロータは、前記偏心軸に対する径方向内側から外側に向かうに従って、該偏心軸方向の寸法が減少しているロータリ圧縮機。
【請求項2】
前記ピストンロータの前記偏心軸方向を向く端面の少なくとも一方には、前記偏心軸に対する径方向内側から外側に向かうに従って、前記偏心部の前記偏心軸方向を向く端面から前記偏心軸方向に後退している後退面が形成されている請求項1に記載のロータリ圧縮機。
【請求項3】
前記後退面は、前記偏心軸方向に曲面状に凹んでいる請求項2に記載のロータリ圧縮機。
【請求項4】
前記後退面は、前記偏心軸方向に曲面状に凸となっている請求項2に記載のロータリ圧縮機。
【請求項5】
前記後退面は、前記偏心部の前記偏心軸方向を向く端面と連続する平面状の平面部と、該平面部の径方向外側に接続されて前記偏心軸に対する径方向内側から外側に向かうに従って、前記平面部から前記偏心軸方向に傾斜している傾斜部と、を有する請求項2に記載のロータリ圧縮機。
【請求項6】
前記後退面は、前記偏心部の前記偏心軸方向を向く端面と連続する平面状の平面部と、該平面部の径方向外側に接続されて該平面部よりも前記偏心軸方向に後退し、かつ該平面部に平行な面内に広がる後退平面部と、を有する請求項1又は2に記載のロータリ圧縮機。
【請求項7】
前記偏心軸に対する周方向に間隔をあけて複数の前記後退面が形成されている請求項1から6のいずれか一項に記載のロータリ圧縮機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロータリ圧縮機に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば空調装置における冷媒の圧縮に用いられる装置として、ロータリ圧縮機が知られている。この種の圧縮機は、軸線に沿って延びるクランクシャフトと、クランクシャフトの偏心部に装着されたピストンロータと、ピストンロータを収容する圧縮室が形成されたシリンダと、ピストンロータを軸線方向の両側から支持する軸受装置と、を備えている。ピストンロータがシリンダ室内で偏心回転することによって当該シリンダ室の容積が変化し、冷媒が圧縮される(例えば下記特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−166493号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、上記のような圧縮機では、ピストンロータの偏心回転に伴って、当該ピストンロータと軸受装置とが摺接する。このとき、摩擦熱によってピストンロータが加温され、熱膨張を生じる場合がある。特に、ピストンロータの外周側の部分では、このような熱膨張が生じやすい。その結果、ピストンロータの外周側の部分が局所的に磨耗してしまい、圧縮機の性能が低下してしまう可能性がある。さらに、ロータの熱膨張が進行した場合、性能低下のみならず、ピストンロータの異常磨耗や、ロック(焼き付き)等の問題を生じる可能性もある。
【0005】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであって、性能がより一層向上したロータリ圧縮機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様によれば、ロータリ圧縮機は、軸線回りに回転するクランクシャフトと、該クランクシャフトに設けられ、前記軸線に対して偏心した偏心軸を中心とする円盤状の偏心部と、該偏心部を外周側から覆うとともに、前記偏心軸を中心とする環状のピストンロータと、該ピストンロータを収容するとともに、該ピストンロータの回転に伴って冷媒を圧縮する圧縮室が形成された圧縮機構部と、前記クランクシャフトを回転可能に支持する軸受部と、を備え、前記ピストンロータは、前記偏心軸に対する径方向内側から外側に向かうに従って、該偏心軸方向の寸法が減少している。
【0007】
ここで、ピストンロータの偏心回転に伴って、当該ピストンロータと軸受部とが摺接する。このとき、摩擦熱によってピストンロータが加温され、熱膨張を生じる場合がある。特に、ピストンロータの外周側の部分では、このような熱膨張が生じやすい。しかしながら、上記の構成によれば、ピストンロータの偏心軸方向の寸法が径方向外側に向かうに従って減少している。したがって、上記のような熱膨張を生じた場合であっても、偏心軸方向におけるピストンロータの寸法が内周部(偏心部)に比べて大きくなってしまう可能性を低減することができる。その結果、ピストンロータの局所的な磨耗を回避することができる。
【0008】
上記のロータリ圧縮機では、前記ピストンロータの前記偏心軸方向を向く端面の少なくとも一方には、前記偏心軸に対する径方向内側から外側に向かうに従って、前記偏心部の前記偏心軸方向を向く端面から前記偏心軸方向に後退している後退面が形成されていてもよい。
【0009】
上記構成によれば、ピストンロータの偏心軸方向を向く端面の少なくとも一方に後退面が形成されている。後退面は、径方向外側に向かうに従って偏心軸方向に後退している。したがって、ピストンロータに偏心軸方向の熱膨張が生じた場合であっても、偏心軸方向におけるピストンロータの寸法が内周部に比べて大きくなってしまう可能性を低減することができる。その結果、ピストンロータの局所的な磨耗を回避することができる。
【0010】
上記のロータリ圧縮機では、前記後退面は、前記偏心軸方向に曲面状に凹んでいてもよい。
【0011】
上記構成によれば、後退面が偏心軸方向に曲面状に凹んでいる。したがって、偏心軸方向におけるピストンロータの寸法が内周部に比べて大きくなってしまう可能性を低減することができる。その結果、ピストンロータの局所的な磨耗を回避することができる。また、実際の熱膨張量の分布に基づいて後退面の凹形状(曲面形状)を変化させることで、熱膨張後の形状を最適化することができる。
【0012】
上記のロータリ圧縮機では、前記後退面は、前記偏心軸方向に曲面状に凸となっていてもよい。
【0013】
上記構成によれば、後退面が偏心軸方向に曲面状に凸となっている。したがって、偏心軸方向におけるピストンロータの寸法が内周部に比べて大きくなってしまう可能性を低減することができる。その結果、ピストンロータの局所的な磨耗を回避することができる。また、実際の熱膨張量の分布に基づいて後退面の凸形状(曲面形状)を変化させることで、熱膨張後の形状を最適化することができる。
【0014】
上記のロータリ圧縮機では、前記後退面は、前記偏心部の前記偏心軸方向を向く端面と連続する平面状の平面部と、該平面部の径方向外側に接続されて前記偏心軸に対する径方向内側から外側に向かうに従って、前記平面部から前記偏心軸方向に傾斜している傾斜部と、を有してもよい。
【0015】
上記構成によれば、後退面は、平面部と、傾斜部とを有している。したがって、偏心軸方向におけるピストンロータの寸法が内周部(偏心部)に比べて大きくなってしまう可能性を低減することができる。その結果、ピストンロータの局所的な磨耗を回避することができる。また、実際の熱膨張量の分布に基づいて平面部と後退部との比率を変化させることで、熱膨張後の形状を最適化することができる。
【0016】
上記のロータリ圧縮機では、前記後退面は、前記偏心部の前記偏心軸方向を向く端面と連続する平面状の平面部と、該平面部の径方向外側に接続されて該平面部よりも前記偏心軸方向に後退し、かつ該平面部に平行な面内に広がる後退平面部と、を有してもよい。
【0017】
上記構成によれば、後退面は、平面部と、後退平面部とを有している。したがって、偏心軸方向におけるピストンロータの寸法が内周部(偏心部)に比べて大きくなってしまう可能性を低減することができる。その結果、ピストンロータの局所的な磨耗を回避することができる。また、実際の熱膨張量の分布に基づいて平面部と後退平面部との比率を変化させることで、熱膨張後の形状を最適化することができる。
【0018】
上記のロータリ圧縮機では、前記偏心軸に対する周方向に間隔をあけて複数の前記後退面が形成されていてもよい。
【0019】
上記構成によれば、後退面が周方向に間隔をあけて形成されている。この場合、後退面と、後退面が形成されていない部分との間で、周方向における熱膨張量の分布を最適化することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、性能がより一層向上したロータリ圧縮機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の第一実施形態に係る圧縮機の構成を示す断面図である。
図2】本発明の第一実施形態に係るクランクシャフトの構成を示す断面図である。
図3】本発明の第一実施形態に係るピストンロータの変形例を示す断面図である。
図4】本発明の第二実施形態に係るピストンロータの構成を示す断面図である。
図5】本発明の第二実施形態に係るピストンロータの変形例を示す断面図である。
図6】本発明の第三実施形態に係るピストンロータの構成を示す断面図である。
図7】本発明の第三実施形態に係るピストンロータの変形例を示す断面図である。
図8】本発明の第四実施形態に係るピストンロータの構成を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
[第一実施形態]
本発明の第一実施形態について、図1から図3を参照して説明する。なお、以降の説明における「同一」、「同等」との表現は、寸法や形状が実質的に同一、又は同等であることを示し、設計上の公差や製造上の誤差は許容される。図1に示すように、本実施形態に係る圧縮機100(ロータリ圧縮機)は、アキュムレータ24と、吸入管26A、26Bと、圧縮機本体10と、を備えている。圧縮機本体10は、軸線Oに沿って延びるクランクシャフト16と、クランクシャフト16を回転させるモータ18と、クランクシャフト16の回転に伴って冷媒を圧縮する圧縮機構部10Aと、クランクシャフト16、モータ18、及び圧縮機構部10Aを覆うハウジング11と、を備えている。
【0023】
圧縮機構部10Aは、モータ18によって回転されるクランクシャフト16と、クランクシャフト16の回転に伴って偏心回転するピストンロータ13A、13B(第一ピストンロータ13A、第二ピストンロータ13B)を収容する圧縮室Cが内部に形成されたシリンダ12A、12Bと、を備えている。
【0024】
圧縮機構部10Aは、円筒形状のハウジング11内に、ディスク状のシリンダ12A、12Bが上下2段に設けられた、いわゆる2気筒タイプのロータリ圧縮機である。ハウジング11は、シリンダ12A、12Bを囲うことで、圧縮された冷媒が排出される吐出空間Vを形成する。シリンダ12A、12Bの内部には、各々、シリンダ内壁面の内側よりも小さな外形を有する円筒状の第一ピストンロータ13A、第二ピストンロータ13Bが配置されている。第一ピストンロータ13A、第二ピストンロータ13Bは、各々、クランクシャフト16におけるクランク軸14A、14B(第一クランク軸14A、第二クランク軸14B)に挿入固定されている。
【0025】
上段側のシリンダ12Aの第一ピストンロータ13Aと、下段側の第二ピストンロータ13Bとは、その位相が互いに180°だけ異なるように設けられている。即ち、第一ピストンロータ13Aは、第二ピストンロータ13Bの偏心方向とは反対の方向に偏心している。また、上下のシリンダ12A、12Bの間には、ディスク状の仕切板15が設けられている。仕切板15により、上段側のシリンダ12A内の空間Rと、下段側の空間Rとが互いに区画されて、それぞれ圧縮室C1とC2とされている。
【0026】
シリンダ12A、12B(圧縮機構部10A)は、上部軸受部17A、及び下部軸受部17Bによってハウジング11に固定されている。より具体的には、上部軸受部17Aは圧縮機構部10Aの上部に固定された円盤状をなしており、その外周面はハウジング11の内周面に固定されている。下部軸受部17Bは圧縮機構部10Aの下部に固定された円盤状をなしており、その外周面はハウジング11の内周面に固定されている。即ち、圧縮機構部10Aは、ハウジング11に直接的に固定されておらず、上部軸受部17A、及び下部軸受部17Bを介してハウジング11に固定されている。
【0027】
圧縮機本体10には、圧縮機本体10への供給に先立って冷媒を気液分離するアキュムレータ24がステー25を介してハウジング11に固定されている。アキュムレータ24と圧縮機本体10との間には、アキュムレータ24内の冷媒を圧縮機本体10に吸入させるための吸入管26A、26Bが設けられている。吸入管26A、26Bの一端はアキュムレータ24の下部に接続され、他端は開口22A、22Bを通して、シリンダ12A、12Bにそれぞれ形成された吸入ポート23A、23Bに連通している。
【0028】
次に、クランクシャフト16の構成について詳述する。図1に示すように、クランクシャフト16は、シリンダ12Aに固定された上部軸受部17A、及びシリンダ12Bに固定された下部軸受部17Bにより、軸線O回りに回転可能に支持されている。図2に示すように、クランクシャフト16は、シャフト本体16Hと、第一ピストンロータ13Aがはめ込まれる第一クランク軸14A(偏心部)と、第二ピストンロータ13Bがはめ込まれる第二クランク軸14B(偏心部)と、上部シャフト16Aと、中間シャフト16Bと、下部シャフト16Cと、を有している。
【0029】
上部シャフト16Aは、軸線Oに沿って延びている。第一クランク軸14Aは、軸線O方向における上部シャフト16Aの一方側の端部に一体に設けられている。第一クランク軸14Aは、上述のように軸線Oに対する径方向に偏心した第一偏心軸O1を中心として、上部シャフト16Aよりも大きな径寸法を有する円盤状をなしている。第一クランク軸14Aは、上述の圧縮室C1内に収容される。中間シャフト16Bは、軸線Oに沿って延びるとともに、軸線O方向における第一クランク軸14Aの一方側に取り付けられている。中間シャフト16Bは、上記の上部シャフト16Aと同等の径寸法を有している。第一クランク軸14Aには第一ピストンロータ13Aが取り付けられている。第一ピストンロータ13Aは、第一クランク軸14Aを外周側から覆う円環状をなしている。つまり、第一ピストンロータ13Aは、第一偏心軸O1を中心とする円環状をなしている。
【0030】
図2に示すように、第一ピストンロータ13Aは、軸線Oを含む断面視において、第一偏心軸O1に対する径方向内側から外側に向かうに従って、当該第一偏心軸O1方向における寸法が減少している。即ち、第一ピストンロータ13Aは、断面視において、径方向内側から外側に向かってテーパ形状をなしている。より具体的には、第一ピストンロータ13Aの第一偏心軸O1方向を向く端面の少なくとも一方には、当該第一偏心軸O1に対する径方向内側から外側に向かうに従って、第一クランク軸14Aの第一偏心軸O1方向を向く端面から第一偏心軸O1方向に後退している第一後退面R1が形成されている。第一後退面R1は、第一偏心軸O1を含む断面視において、当該第一偏心軸O1に交差する直線状をなしている。また、本実施形態では、第一ピストンロータ13Aにおける第一偏心軸O1方向の両側の端面に、この第一後退面R1が形成されている。つまり、第一ピストンロータ13Aは、第一偏心軸O1方向に面対称をなしている。
【0031】
第二クランク軸14Bは、軸線O方向における中間シャフト16Bの一方側に設けられている。第二クランク軸14Bは、中間シャフト16Bよりも大きな径寸法を有するとともに、第一クランク軸14Aと同等の径寸法を有している。第二クランク軸14Bは、軸線Oを基準として、上述の第一偏心軸O1とは反対側に位置する第二偏心軸O2を中心とした円盤状をなしている。第二クランク軸14Bの外周面には、第二クランク軸14Bを外周側から覆う円環状の第二ピストンロータ13Bが取り付けられている。第二ピストンロータ13Bは、軸線Oを含む断面視において、第二偏心軸O2に対する径方向内側から外側に向かうに従って、当該第二偏心軸O2方向における寸法が減少している。即ち、第二ピストンロータ13Bは、断面視において、径方向内側から外側に向かってテーパ形状をなしている。より具体的には、第二ピストンロータ13Bの第二偏心軸O2方向を向く端面の少なくとも一方には、当該第二偏心軸O2に対する径方向内側から外側に向かうに従って、第二クランク軸14Bの第二偏心軸O2方向を向く端面から第二偏心軸O2方向に後退している第二後退面R2が形成されている。第二後退面R2は、第二偏心軸O2を含む断面視において、当該第二偏心軸O2に交差する直線状をなしている。また、本実施形態では、第二ピストンロータ13Bにおける第二偏心軸O2方向の両側の端面に、この第二後退面R2が形成されている。つまり、第二ピストンロータ13Bは、第二偏心軸O2方向に面対称をなしている。
【0032】
下部シャフト16Cは、軸線Oに沿って延びるとともに、当該軸線O方向における第二クランク軸14Bの一方側に取り付けられている。下部シャフト16Cは、上記の上部シャフト16A、及び中間シャフト16Bと同一の径寸法を有している。
【0033】
上部シャフト16Aは、上部軸受部17Aから上方(すなわち、圧縮機構部10Aから見てモータ18が位置する方向)に突出している。上部シャフト16Aには、当該クランクシャフト16を回転駆動させるためのモータ18のロータ19Aが一体に設けられている。ロータ19Aの外周部に対向して、ステータ19Bが、ハウジング11の内周面に固定して設けられている。
【0034】
続いて、本実施形態に係る圧縮機100の動作について説明する。圧縮機100を運転するに当たっては、外部からの電力供給によってまずモータ18を駆動する。モータ18の駆動に伴って、クランクシャフト16が軸線O回りに回転する。クランクシャフト16の回転に伴って第一クランク軸14A、第二クランク軸14Bがクランクシャフト16の中心軸線(軸線O)回りに旋回する。この旋回に追従するようにして、第一ピストンロータ13A、及び第二ピストンロータ13Bが圧縮室C1、C2内で偏心回転する。第一ピストンロータ13A、及び第二ピストンロータ13Bの偏心回転によって、圧縮室C1、C2の容積が変化し、当該圧縮室C1、C2内に取り込まれた冷媒が圧縮される。圧縮された冷媒は、ハウジング11内の吐出空間Vを経て外部に取り出される。
【0035】
ここで、上記のような圧縮機100では、第一ピストンロータ13A、及び第二ピストンロータ13Bの偏心回転に伴って、当該第一ピストンロータ13Aと上部軸受部17A、及び第二ピストンロータ13Bと下部軸受部17Bがそれぞれ摺接する。このとき、摩擦熱によって第一ピストンロータ13A、及び第二ピストンロータ13Bが加温され、熱膨張を生じる場合がある。特に、第一ピストンロータ13A、及び第二ピストンロータ13Bの外周側の部分では、このような熱膨張が生じやすい。その結果、第一ピストンロータ13A、及び第二ピストンロータ13Bの外周側の部分が局所的に磨耗してしまい、ロータリ圧縮機100の性能が低下してしまう可能性がある。
【0036】
そこで、本実施形態では、第一ピストンロータ13A、及び第二ピストンロータ13Bが、上述のように、径方向内側から外側に向かって先細り形状の断面を有している。この構成によれば、上記のような熱膨張を生じた場合であっても、第一偏心軸O1方向、又は第二偏心軸O2方向における第一ピストンロータ13A、及び第二ピストンロータ13Bの寸法が内周部(第一クランク軸14A、及び第二クランク軸14B)に比べて大きくなってしまう可能性を低減することができる。その結果、第一ピストンロータ13A、及び第二ピストンロータ13Bの局所的な磨耗を回避することができる。
【0037】
さらに、上記構成によれば、第一ピストンロータ13A、及び第二ピストンロータ13Bの第一偏心軸O1方向、及び第二偏心軸O2方向を向く端面の少なくとも一方にそれぞれ第一後退面R1、第二後退面R2が形成されている。これら第一後退面R1、及び第二後退面R2は、径方向外側に向かうに従って第一偏心軸O1方向、又は第二偏心軸O2方向に後退している。したがって、第一ピストンロータ13A、及び第二ピストンロータ13Bに第一偏心軸O1方向、又は第二偏心軸O2方向の熱膨張が生じた場合であっても、第一ピストンロータ13A、及び第二ピストンロータ13Bの寸法が内周部に比べて大きくなってしまう可能性を低減することができる。その結果、第一ピストンロータ13A、及び第二ピストンロータ13Bの局所的な磨耗を回避することができる。
【0038】
以上、本発明の第一実施形態について説明した。なお、本発明の要旨を逸脱しない限りにおいて、上記の構成に種々の変更や改修を施すことが可能である。例えば、上記第一実施形態では、第一ピストンロータ13Aにおける第一偏心軸O1方向の両側に第一後退面R1が形成され、第二ピストンロータ13Bにおける第二偏心軸O2方向の両側に第二後退面R2が形成されている例について説明した。しかしながら、図3に示すように、第一ピストンロータ13A、及び第二ピストンロータ13Bにおける第一偏心軸O1方向一方側の面のみ、又は第二偏心軸O2方向における他方側(下側)の面のみに、それぞれ第一後退面R1、又は第二後退面R2を形成することも可能である。ここで、詳しくは図示しないが、第一ピストンロータ13A、及び第二ピストンロータ13Bのそれぞれ軸受側(上部軸受17A側、及び下部軸受17B側)を向く面(即ち、上記の第一偏心軸O1方向一方側の面、及び第二偏心軸O2方向他方側の面)には、他の部分に比べて高圧下で変形しやすい部分(吐出ポート)が形成されている。このような部分では、変形等によって第一ピストンロータ、又は第二ピストンロータとのクリアランスが小さくなりやすい。上記の構成によれば、このようにクリアランスが小さくなりやすい面のみに第一後退面R1、及び第二後退面R2が形成されていることから、上述の熱膨張による性能への影響をより効果的に低減することができる。また、このような構成によれば、第一後退面R1、及び第二後退面R2を形成するための工数を削減することができるため、コスト削減や工期短縮も図ることができる。
【0039】
[第二実施形態]
次に、本発明の第二実施形態について、図4を参照して説明する。なお、上記の第一実施形態と同様の構成については同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。また、第一後退面R1´と第二後退面R2´とは互いに同等の構成を有していることから、以降では第一後退面R1´のみについて代表的に説明する。図4に示すように、本実施形態では、第一ピストンロータ13Aの第一後退面R1´の態様が上記第一実施形態とは異なっている。本実施形態にかかる第一後退面R1´は、第一偏心軸O1方向に曲面状に凹んでいる。より詳細には、この第一後退面R1´は、上記第一実施形態で説明した平面状の後退面R1を基準として、第一偏心軸O1方向の一方側に向かって凹んでいる。つまり、この第一後退面R1´は、第一偏心軸O1に対する径方向内側から外側に向かうに従って、当該第一偏心軸O1方向の一方側から他方側に向かって延び、かつ一方側から他方側に向かって曲面状に凹んでいる。
【0040】
上記構成によれば、第一後退面R1´が第一偏心軸O1方向に曲面状に凹んでいる。したがって、第一偏心軸O1方向における第一ピストンロータ13Aの寸法が内周部(第一句ランク軸14A)に比べて大きくなってしまう可能性を低減することができる。その結果、第一ピストンロータ13Aの局所的な磨耗を回避することができる。また、実際の熱膨張量の分布に基づいて第一後退面R1´の凹形状(曲面形状)を変化させることで、熱膨張後の形状を最適化することができる。
【0041】
以上、本発明の第二実施形態について説明した。なお、本発明の要旨を逸脱しない限りにおいて、上記の構成に種々の変更や改修を施すことが可能である。例えば、図5に示すように、第一後退面R1´が、第一偏心軸O1方向に凸となる曲面状をなしていてもよい。このような構成によっても、上記第二実施形態と同様の作用効果を得ることができる。また、上記第一実施形態と同様に、第一偏心軸O1方向の両側に第一後退面R1´が形成されている構成を採ることも可能である。
【0042】
[第三実施形態]
続いて、本発明の第三実施形態について、図6を参照して説明する。なお、上記の各実施形態と同様の構成については同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。また、第一後退面R11と第二後退面R21とは互いに同等の構成を有していることから、以降では第一後退面R11のみについて代表的に説明する。図6に示すように、第一後退面R11は、径方向内側に位置する平面状の平面部Rpと、当該平面部Rpの径方向外側の端縁から径方向外側に向かって広がる傾斜部Rsと、を有している。平面部Rpは、第一クランク軸14Aの上面と連続する平面状をなしている。つまり、この平面部Rpは、第一偏心軸O1と直交する面内に広がっている。傾斜部Rsは、第一偏心軸O1に対する径方向内側から外側に向かうに従って、平面部Rpから第一偏心軸O1方向の一方側から他方側に向かって傾斜している。つまり、この傾斜部Rsは、第一偏心軸O1方向に対して交差する方向に広がっている。
【0043】
上記構成によれば、後退面R11は、平面部Rpと、傾斜部Rsとを有している。したがって、第一偏心軸O1方向における第一ピストンロータ13Aの外周部(傾斜部Rp)が内周部(第一クランク軸14A)に比べて大きくなってしまう可能性を低減することができる。その結果、第一ピストンロータ13Aの局所的な磨耗を回避することができる。また、実際の熱膨張量の分布に基づいて平面部Rpと後退部Rsとの比率を変化させることで、熱膨張後の形状を最適化することができる。
【0044】
以上、本発明の第三実施形態について説明した。なお、本発明の要旨を逸脱しない限りにおいて、上記の構成に種々の変更や改修を施すことが可能である。例えば、図7に示すように、第一後退面R11が、上記の平面部Rpと、当該平面部Rpよりも第一偏心軸O1方向の他方側に向かって後退する後退平面部Rrと、を有する構成を採ることも可能である。後退平面部Rrは、平面部Rpに平行な面内に広がっている。つまり、平面部Rpと後退平面部Rrとの間には段差が形成されている。このような構成によっても、上記の各実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0045】
[第四実施形態]
次に、本発明の第四実施形態について、図8を参照して説明する。なお、上記の各実施形態と同様の構成については同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。また、第一後退面R1と第二後退面R2とは互いに同等の構成を有していることから、以降では第一後退面R1のみについて代表的に説明する。図8に示すように、本実施形態では、第一偏心軸O1方向から見て、当該第一偏心軸O1の周方向に間隔をあけて複数の第一後退面R1が設けられている。言い換えると、第一後退面R1が形成されていない部分は、第一偏心軸O1に直交する面内に広がる平面状をなしている。また、第一後退面R1の態様としては、上述の第一実施形態から第三実施形態で説明した態様をいずれも適用することが可能である。
【0046】
上記構成によれば、第一後退面R1が周方向に間隔をあけて形成されている。この場合、第一後退面R1と、第一後退面R1が形成されていない部分Rnとの間で、周方向における熱膨張量の分布を最適化することができる。
【0047】
以上、本発明の第四実施形態について説明した。なお、本発明の要旨を逸脱しない限りにおいて、上記の構成に種々の変更や改修を施すことが可能である。
【符号の説明】
【0048】
100・・・圧縮機
10・・・圧縮機本体
10A・・・圧縮機構部
11・・・ハウジング
12A、12B・・・シリンダ
13A・・・第一ピストンロータ
13B・・・第二ピストンロータ
14A・・・第一クランク軸
14B・・・第二クランク軸
16・・・クランクシャフト
16A・・・上部シャフト
16B・・・中間シャフト
16C・・・下部シャフト
17A・・・上部軸受部
17B・・・下部軸受部
18・・・モータ
19A・・・ロータ
19B・・・ステータ
22A、22B・・・開口
23A、23B・・・吸入ポート
24・・・アキュムレータ
25・・・ステー
26A、26B・・・吸入管
C,C1,C2・・・圧縮室
O・・・軸線
O1・・・第一偏心軸
O2・・・第二偏心軸
R1,R1´,R11・・・第一後退面
R2,R2´,R12・・・第二後退面
Rp・・・平面部
Rr・・・後退平面部
Rs・・・傾斜部
V・・・吐出空間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8