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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-186800(P2020-186800A)
(43)【公開日】2020年11月19日
(54)【発明の名称】増圧装置
(51)【国際特許分類】
   F15B 3/00 20060101AFI20201023BHJP
【FI】
   F15B3/00 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2019-93321(P2019-93321)
(22)【出願日】2019年5月17日
(71)【出願人】
【識別番号】000102511
【氏名又は名称】SMC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100077665
【弁理士】
【氏名又は名称】千葉 剛宏
(74)【代理人】
【識別番号】100116676
【弁理士】
【氏名又は名称】宮寺 利幸
(74)【代理人】
【識別番号】100191134
【弁理士】
【氏名又は名称】千馬 隆之
(74)【代理人】
【識別番号】100136548
【弁理士】
【氏名又は名称】仲宗根 康晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136641
【弁理士】
【氏名又は名称】坂井 志郎
(74)【代理人】
【識別番号】100180448
【弁理士】
【氏名又は名称】関口 亨祐
(72)【発明者】
【氏名】浅葉 毅
【テーマコード(参考)】
3H086
【Fターム(参考)】
3H086BA03
3H086BA12
3H086BA19
3H086BB07
(57)【要約】
【課題】使用時に切換弁が中立位置で停止するおそれがない増圧装置を提供することを目的とする。
【解決手段】増圧装置10には、第1ピストン42および第2ピストン46に交互に当接可能なパイロット切換弁78が設けられている。このパイロット切換弁は、固定弁体80の内側に挿通される可動弁体88と、可動弁体の内側に挿通されるパイロット弁体100とを含み、可動弁体の一端側に第1パイロット室96が設けられ、可動弁体の他端側に第2パイロット室98が設けられている。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
センタハウジングの一方側に第1シリンダ部が配設され、前記センタハウジングの他方側に第2シリンダ部が配設され、前記第1シリンダ部の第1ピストンと前記第2シリンダ部の第2ピストンとが相互に連結され、供給ポートに供給される一次圧の圧縮性流体を前記第1ピストンおよび前記第2ピストンの往復動によって二次圧に増圧して出力ポートから出力する増圧装置であって、
前記第1ピストンおよび前記第2ピストンに交互に当接可能なパイロット切換弁が設けられ、前記パイロット切換弁は、固定弁体の内側に挿通される可動弁体と、前記可動弁体の内側に挿通されるパイロット弁体とを含み、前記可動弁体の一端側に第1パイロット室が設けられ、前記可動弁体の他端側に第2パイロット室が設けられた増圧装置。
【請求項2】
請求項1記載の増圧装置において、
前記可動弁体の一端部および他端部は、前記固定弁体から突出し、前記パイロット弁体の一端部および他端部の一方または両方は、前記可動弁体から突出する増圧装置。
【請求項3】
請求項1記載の増圧装置において、
前記第2パイロット室には一次圧の圧縮性流体が供給され、前記第2パイロット室を経由した前記一次圧の圧縮性流体は、前記固定弁体に対する前記可動弁体の位置および前記可動弁体に対する前記パイロット弁体の位置に応じて、前記第1パイロット室に供給される増圧装置。
【請求項4】
請求項3記載の増圧装置において、
前記第2パイロット室から前記第1パイロット室に至るまでの圧縮性流体の経路には、少なくとも、前記可動弁体の径孔と、前記パイロット弁体の径孔と、前記パイロット弁体の軸孔とが含まれる増圧装置。
【請求項5】
請求項1記載の増圧装置において、
前記第1パイロット室の圧縮性流体の圧力が前記可動弁体に作用する面積は、前記第2パイロット室の圧縮性流体の圧力が前記可動弁体に作用する面積よりも大きい増圧装置。
【請求項6】
請求項1記載の増圧装置において、
前記第1パイロット室は、前記固定弁体に対する前記可動弁体の位置および前記可動弁体に対する前記パイロット弁体の位置に応じて、排出ポートに繋がる増圧装置。
【請求項7】
請求項6記載の増圧装置において、
前記第1パイロット室から前記排出ポートに至る圧縮性流体の経路には、少なくとも、前記可動弁体の径孔と、前記パイロット弁体の径孔と、前記パイロット弁体の軸孔とが含まれる増圧装置。
【請求項8】
請求項1記載の増圧装置において、
前記可動弁体は、前記センタハウジングと前記第1シリンダ部との間に配置された第1インサートプレートに当接する位置と、前記センタハウジングと前記第2シリンダ部との間に配置された第2インサートプレートに当接する位置との間で移動可能である増圧装置。
【請求項9】
請求項1記載の増圧装置において、
前記パイロット弁体に取り付けられたピストン部が、前記可動弁体に形成されたシリンダ部に摺動自在に配置され、前記シリンダ部は、前記ピストン部によってピストン左方室とピストン右方室とに区画される増圧装置。
【請求項10】
請求項9記載の増圧装置において、
前記ピストン右方室は排出ポートに連通しており、前記ピストン左方室は前記パイロット弁体の軸孔に連通している増圧装置。
【請求項11】
請求項9記載の増圧装置において、
前記可動弁体は、第1弁体部と第2弁体部とを含み、前記パイロット弁体は、前記ピストン部が前記第1弁体部の端部に当接する位置と、前記ピストン部が前記シリンダ部の底面に当接する位置との間で、前記可動弁体に対して移動可能である増圧装置。
【請求項12】
請求項1記載の増圧装置において、
前記出力ポートから出力される圧縮性流体の圧力を二次圧に調整するための調圧機構部を備え、前記調圧機構部は、調圧弁体とリリーフ弁体とガバナ弁体とを含む増圧装置。
【請求項13】
請求項12記載の増圧装置において、
前記調圧弁体は、前記出力ポートに連通するフィードバック室の圧力に応じて、調圧ばねによる付勢力に抗して移動可能であり、前記ガバナ弁体が前記リリーフ弁体を介して前記調圧弁体に押されたとき、前記供給ポートが前記パイロット切換弁に接続される増圧装置。
【請求項14】
請求項13記載の増圧装置において、
前記調圧ばねの付勢力を調整する調圧ハンドルが設けられる増圧装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧縮空気等の圧縮性流体を増圧して出力する増圧装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、センタハウジングを挟んで一対のシリンダ部を設け、相互に連結された一対のピストンを往復動させることにより、供給される圧縮空気を増圧して出力する増圧装置が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、一対のシリンダ部をそれぞれピストンによって増圧室と駆動室とに区画し、一対の駆動室の一方および他方を圧力制御弁の出力ポートと排気ポートに切り換えて連通させる切換弁を設けた増圧装置が記載されている。この増圧装置では、ピストンがストローク終端においてプッシュロットを押圧することにより、切換弁の位置が切り換わる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平2−212908号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記の増圧装置では、作業の終了等によりピストンが低速で駆動されるようになると、切換弁が中立位置近くに達したときにピストンの押圧力が切換弁に作用しなくなって、切換弁が中立位置に停止するおそれがある。
【0006】
本発明は、このような事情を考慮してなされたものであり、使用時に切換弁が中立位置で停止するおそれがない増圧装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る増圧装置は、センタハウジングの一方側に第1シリンダ部が配設され、センタハウジングの他方側に第2シリンダ部が配設され、第1シリンダ部の第1ピストンと第2シリンダ部の第2ピストンとが相互に連結され、供給ポートに供給される一次圧の圧縮性流体を第1ピストンおよび第2ピストンの往復動によって二次圧に増圧して出力ポートから出力するもので、第1ピストンおよび第2ピストンに交互に当接可能なパイロット切換弁が設けられている。このパイロット切換弁は、固定弁体の内側に挿通される可動弁体と、可動弁体の内側に挿通されるパイロット弁体とを含み、可動弁体の一端側に第1パイロット室が設けられ、可動弁体の他端側に第2パイロット室が設けられている。
【0008】
上記増圧装置によれば、可動弁体は、第1パイロット室および第2パイロット室の圧力によって駆動されるので、増圧装置の使用時に切換弁が中立位置で停止することがない。また、可動弁体の内部にパイロット弁が組み込まれるので、装置のコンパクト化を図ることができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る増圧装置のパイロット切換弁は、固定弁体の内側に挿通される可動弁体と、可動弁体の内側に挿通されるパイロット弁体とを含み、可動弁体の一端側に第1パイロット室が設けられ、可動弁体の他端側に第2パイロット室が設けられているので、増圧装置の使用時にパイロット切換弁が中立位置で停止することがなく、また、装置のコンパクト化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施形態に係る増圧装置の断面図である。
図2図1の増圧装置を別の箇所で切断したときの断面図である。
図3図1の増圧装置を別の箇所で切断し別の方向から見たときの断面図である。
図4図1のA部拡大図である。
図5図1のB部拡大図である。
図6図1の増圧装置が所定の動作状態にあるときの図1に対応する図である。
図7図1の増圧装置のパイロット切換弁の第1の動作状態を説明するための図5に対応する図である。
図8図1の増圧装置のパイロット切換弁の第2の動作状態を説明するための図5に対応する図である。
図9図1の増圧装置のパイロット切換弁の第3の動作状態を説明するための図5に対応する図である。
図10図1の増圧装置のパイロット切換弁の第4の動作状態を説明するための図5に対応する図である。
図11図1の増圧装置のパイロット切換弁の第5の動作状態を説明するための図5に対応する図である。
図12図1の増圧装置のパイロット切換弁の第6の動作状態を説明するための図5に対応する図である。
図13図1の増圧装置のパイロット切換弁の第7の動作状態を説明するための図5に対応する図である。
図14図1の増圧装置のパイロット切換弁の第8の動作状態を説明するための図5に対応する図である。
図15図1の増圧装置のパイロット切換弁の第9の動作状態を説明するための図5に対応する図である。
図16図1の増圧装置のパイロット切換弁が所定の状態にあるときに可動弁体が中間位置から脱出することを説明するための図5に対応する図である。
図17図1の増圧装置のパイロット切換弁が別の状態にあるときに可動弁体が中間位置から脱出することを説明するための図5に対応する図である。
図18図1の増圧装置のパイロット切換弁がさらに別の状態にあるときに可動弁体が中間位置から脱出することを説明するための図5に対応する図であり、脱出前を表したものである。
図19図18に関連する図であり、脱出後を表したものである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係る増圧装置について、好適な実施形態を挙げ、添付の図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明において、上下左右の方向に関する言葉を用いたときは、図面上での方向をいうものであって、増圧装置の実際の配置に基づくものではない。
【0012】
図1図3に示されるように、本実施形態に係る増圧装置10は、内部に駆動機構部が収容されるセンタハウジング12と、センタハウジング12の一方側に配設される第1シリンダ部18と、センタハウジング12の他方側に配設される第2シリンダ部20とを含む。センタハウジング12は、直方体状の第1ボデイ14と、第1ボデイ14の上方に配置される円筒状の第2ボデイ16を含む。
【0013】
第1ボデイ14は、図示しないエア供給源から一次圧を有する圧縮性流体としてのエア(圧縮空気)が供給される供給ポート22と、増圧されたエアが出力される出力ポート24と、エアが排出される排出ポート26とを備える。供給ポート22と出力ポート24は、直方体状の第1ボデイ14の一つの側面に開口しており、排出ポート26はその反対側の側面に開口している。
【0014】
第1ボデイ14には、第1シリンダ部18が連結される側面に開口する第1供給通路34aおよび第1出力通路36aが設けられるとともに、第2シリンダ部20が連結される側面に開口する第2供給通路34bおよび第2出力通路36bが設けられている。第1供給通路34aおよび第2供給通路34bは供給ポート22に連通しており、第1出力通路36aおよび第2出力通路36bは出力ポート24に連通している。
【0015】
第1供給通路34aには、第1供給チェック弁34a1が設けられている。第1供給チェック弁34a1は、供給ポート22から後述する第1増圧室48aに向かうエアの流れを許容し、第1増圧室48aから供給ポート22に向かうエアの流れを阻止する。第2供給通路34bには、第2供給チェック弁34b1が設けられている。第2供給チェック弁34b1は、供給ポート22から後述する第2増圧室48bに向かうエアの流れを許容し、第2増圧室48bから供給ポート22に向かうエアの流れを阻止する。
【0016】
第1出力通路36aには第1出力チェック弁36a1が設けられている。第1出力チェック弁36a1は、第1増圧室48aから出力ポート24に向かうエアの流れを許容し、出力ポート24から第1増圧室48aに向かうエアの流れを阻止する。第2出力通路36bには第2出力チェック弁36b1が設けられている。第2出力チェック弁36b1は、第2増圧室48bから出力ポート24に向かうエアの流れを許容し、出力ポート24から第2増圧室48bに向かうエアの流れを阻止する。
【0017】
第1シリンダ部18は、第1シリンダチューブ40と第1ピストン42を含む。第1ピストン42は、第1シリンダチューブ40の内部に形成されたピストン摺動孔40aに移動自在に配設される。ピストン摺動孔40aは、第1ピストン42によって、第1ボデイ14に隣接する第1増圧室48aと、第1ボデイ14と反対側に位置する第1駆動室50aとに区画される。
【0018】
第2シリンダ部20は、第2シリンダチューブ44と第2ピストン46を含む。第2ピストン46は、第1ピストン42と同一形状であり、第2シリンダチューブ44の内部に形成されたピストン摺動孔44aに移動自在に配設される。ピストン摺動孔44aは、第2ピストン46によって、第1ボデイ14に隣接する第2増圧室48bと、第1ボデイ14と反対側に位置する第2駆動室50bとに区画される。
【0019】
第1ピストン42と第2ピストン46は、ピストンロッド52により相互に一体的に連結され、ピストンロッド52は第1ボデイ14に挿通支持されている。第1シリンダチューブ40には、後述するパイロット切換弁78を第1駆動室50aに接続するための第1導空管51aが設けられている。第2シリンダチューブ44には、パイロット切換弁78を第2駆動室50bに接続するための第2導空管51bが設けられている。
【0020】
駆動機構部は、出力ポート24から出力されるエア圧が所定の二次圧となるまで昇圧させ、昇圧後は、第1ピストン42および第2ピストン46の速度を減速ないし停止させつつ該二次圧を維持するように調整する調圧機構部54を有する。また、駆動機構部は、第1駆動室50aおよび第2駆動室50bに対するエアの供給状態を切り換えて、第1ピストン42および第2ピストン46の移動方向を切り換えるパイロット切換弁78を有する。
【0021】
まず、主に図4を参照しながら、調圧機構部54の構成について説明する。第1ボデイ14には、供給ポート22に交差し、かつ、第1ボデイ14の上面に開口する縦孔28が設けられている。縦孔28の内周には、調圧弁体56およびガバナ弁体66を支持するバルブブロック74が固定されている。
【0022】
調圧弁体56は、バルブブロック74の上部に形成された摺動孔74aに挿通される大径円筒部56aと、大径円筒部56aの上側に形成された小径円筒部56bと、大径円筒部56aの上端から外方に突出するフランジ部56cとを有する。調圧弁体56の下方への移動は、フランジ部56cがバルブブロック74の上面に当接することで規制される。
【0023】
調圧弁体56は、小径円筒部56bの上面に開口する小径孔部56dと、小径孔部56dに連なるとともに大径円筒部56aの下面に開口する大径孔部56eとを有する。棒状のリリーフ弁体58が調圧弁体56の小径孔部56dおよび大径孔部56eに挿通配置されている。リリーフ弁体58の軸方向中央には、調圧弁体56の小径孔部56dの下端に設けられた角部56fと協働するテーパ面58aが形成されている。バルブブロック74の上下方向中間の部位には、図示しない通路を介して出力ポート24に連通するフィードバック室76が形成されている。
【0024】
リリーフ弁体58のテーパ面58aが調圧弁体56の角部56fに当接するときは、フィードバック室76が第2ボデイ16の内部空間38から遮断される。一方、リリーフ弁体58のテーパ面58aが調圧弁体56の角部56fから離れているときは、フィードバック室76が第2ボデイ16の内部空間38と連通する。第2ボデイ16の内部空間38は、第2ボデイ16に形成されたリリーフ孔39を通じて常に大気に開放されている。したがって、リリーフ弁体58のテーパ面58aが調圧弁体56の角部56fから離れているとき、フィードバック室76のエアは大気に開放される。
【0025】
第2ボデイ16の外周には、調圧ハンドル60が回動自在に設けられている。調圧ハンドル60に取り付けられたステム60aは、第2ボデイ16の内部に延び、第2ボデイ16の内部に設けられたナット部材62と螺合している。ナット部材62は、軸線方向(上下方向)に移動可能、かつ、軸線回りに回動不能となるように第2ボデイ16に支持されている。
【0026】
ナット部材62と調圧弁体56との間に、コイルスプリングからなる調圧ばね64が設けられており、調圧弁体56は、調圧ばね64によって下方に付勢される。調圧ばね64による付勢力は、調圧ハンドル60を回動してナット部材62の位置を変えることで調整することができ、これにより、出力ポート24から出力されるエアの二次圧を所望の値に設定することができる。ナット部材62が最も上方に位置するときは、調圧ばね64による付勢力は概ねゼロである。
【0027】
調圧弁体56は、リリーフ弁体58のテーパ面58aが調圧弁体56の角部56fに当接するときは、フィードバック室76のエア圧によって上方に付勢される。フィードバック室76のエア圧による付勢力が調圧ばね64の付勢力を上回ると、調圧弁体56のフランジ部56cがバルブブロック74の上面から離れ、調圧弁体56は上方に移動する。
【0028】
ガバナ弁体66は、バルブブロック74の下部に形成された摺動孔74bに挿通される円柱状のガイド部66aと、ガイド部66aの下側に連設されガイド部66aよりも径の大きいバルブ部66bとを有する。バルブ部66bの上面外周寄りには、バルブブロック74の下面に突出形成された環状突部74cと協働する環状のゴム材66cが装着されている。また、バルブ部66bには、ゴム材66cよりも内周側において、バルブ部66bを上下方向に貫通する図示しない連通孔が設けられている。
【0029】
バルブ部66bの外周側の空間72は、供給ポート22に接続されており、バルブ部66bの下方の空間70は、後述するパイロット切換弁78の供給口80cに接続されている。バルブ部66bのゴム材66cがバルブブロック74の環状突部74cに当接しているとき、バルブ部66bの下方の空間70は、バルブ部66bの外周側の空間72から遮断される。一方、バルブ部66bのゴム材66cがバルブブロック74の環状突部74cから離れているとき、バルブ部66bの下方の空間70は、バルブ部66bの連通孔を介してバルブ部66bの外周側の空間72に接続される。
【0030】
ガバナ弁体66は、第1ボデイ14の縦孔28の底部に配設されたコイルスプリングからなるガバナばね68によって上方に付勢されており、ガイド部66aの上端がリリーフ弁体58の下端に当接している。ガバナばね68のばね定数は、調圧ばね64のばね定数よりも小さい。
【0031】
調圧弁体56が調圧ばね64によって下方に付勢され、調圧弁体56のフランジ部56cがバルブブロック74の上面に当接しているとき、リリーフ弁体58は、調圧弁体56によって押し下げられており、リリーフ弁体58の下端に当接するガバナ弁体66も、ガバナばね68の付勢力に抗して押し下げられている。したがって、バルブ部66bのゴム材66cがバルブブロック74の環状突部74cから離れているので、バルブ部66bの下方の空間70がバルブ部66bの外周側の空間72に連通し、供給ポート22からのエアがパイロット切換弁78の供給口80cに供給される。
【0032】
一方、フィードバック室76のエア圧による付勢力が調圧ばね64による付勢力を上回って、調圧弁体56が上方に移動すると、ガバナ弁体66は、ガバナばね68の付勢力により上方に移動する。これにより、バルブ部66bのゴム材66cがバルブブロック74の環状突部74cに当接し、バルブ部66bの下方の空間70がバルブ部66bの外周側の空間72から遮断され、供給ポート22からのエアがパイロット切換弁78の供給口80cに供給されなくなる。
【0033】
フィードバック室76と第2ボデイ16の内部空間38との間を遮断可能とするため、バルブブロック74の上部外周にシール材13aが設けられるとともに、調圧弁体56の大径円筒部56aの外周にシール材13bが設けられている。また、フィードバック室76とバルブ部66bの外周側の空間72との間を遮断するため、バルブブロック74の下部外周にシール材13cが設けられるとともに、ガバナ弁体66のガイド部66aの外周にシール材13dが設けられている。
【0034】
次に、主に図5を参照しながら、パイロット切換弁78の構成について説明する。第1ボデイ14には、パイロット切換弁78が収容される横孔30が貫通して設けられている。また、横孔30の下方には、パイロット切換弁78と第1導空管51aとを接続する第1接続孔32a、および、パイロット切換弁78と第2導空管51bとを接続する第2接続孔32bが設けられている。
【0035】
パイロット切換弁78は、横孔30内に固定される円筒状の主固定弁体(固定弁体)80と、主固定弁体80の内側に挿通され主固定弁体80に対して軸方向に移動可能に設けられる可動弁体88と、可動弁体88の内側に挿通され可動弁体88に対して軸方向に移動可能に設けられるパイロット弁体100とを含む。
【0036】
主固定弁体80には、第1排出口80a、第1駆動室接続口80b、供給口80c、第2駆動室接続口80dおよび第2排出口80eが主固定弁体80の軸線方向に並んで設けられている。第1排出口80aと第2排出口80eは、排出ポート26に連通している。第1駆動室接続口80bは、第1導空管51aを介して第1駆動室50aに連通し、第2駆動室接続口80dは、第2導空管51bを介して第2駆動室50bに連通している。供給口80cは、ガバナ弁体66のバルブ部66bの下方の空間70に連通している。
【0037】
主固定弁体80の外周には、第1排出口80aと第1駆動室接続口80bとの間、第1駆動室接続口80bと供給口80cとの間、供給口80cと第2駆動室接続口80dとの間、および、第2駆動室接続口80dと第2排出口80eとの間のそれぞれに対応する位置において、横孔30の壁面に当接するシール材15a〜15dが装着されている。
【0038】
第1ボデイ14と第1シリンダチューブ40との間には、第1インサートプレート82aおよび第1サイドプレート84aが積層配置されている。第1インサートプレート82aは、主固定弁体80の端部に当接しており、第1ボデイ14の横孔30に対応する位置において孔部82a2が形成されたフランジ部82a1を有する。第1サイドプレート84aは、第1インサートプレート82aの孔部82a2と対応する孔部84a2が形成されたフランジ部84a1を有する。第1インサートプレート82aのフランジ部82a1と第1サイドプレート84aのフランジ部84a1との間には、第1副固定弁体86aが設けられている。
【0039】
第1ボデイ14と第1インサートプレート82aと主固定弁体80の三者に跨ってシール材15eが設けられ、第1インサートプレート82aと第1サイドプレート84aと第1副固定弁体86aの三者に跨ってシール材15fが設けられている。また、第1サイドプレート84aと第1副固定弁体86aとの間には、可動弁体88に摺接するシール材15gが設けられている。
【0040】
第1ボデイ14と第2シリンダチューブ44との間には、第2インサートプレート82bおよび第2サイドプレート84bが積層配置されている。第2インサートプレート82bは、主固定弁体80の端部に当接しており、第1ボデイ14の横孔30に対応する位置において孔部82b2が形成されたフランジ部82b1を有する。第2サイドプレート84bは、第2インサートプレート82bの孔部82b2と対応する孔部84b2が形成されたフランジ部84b1を有する。第2インサートプレート82bのフランジ部82b1と第2サイドプレート84bのフランジ部84b1との間には、第2副固定弁体86bが設けられている。
【0041】
第1ボデイ14と第2インサートプレート82bと主固定弁体80の三者に跨ってシール材15hが設けられ、第2インサートプレート82bと第2サイドプレート84bと第2副固定弁体86bの三者に跨ってシール材15iが設けられている。また、第2副固定弁体86bには、可動弁体88に摺接するシール材15jが設けられている。
【0042】
可動弁体88は、第1弁体部90と第2弁体部92を含む。第1弁体部90は、主固定弁体80の内周に装着された二つのシール材15k、15mに摺接する厚肉大径の本体部90aと、本体部90aの一端側に連設された薄肉小径の円筒状端部90bと、大径部の他端側に連設された連結端部90cとを有する。第1弁体部90の円筒状端部90bは、径方向に貫通する第1径孔90dを有する。第1弁体部90の本体部90aは、円筒状端部90b寄りの位置において径方向に貫通する第2径孔90eを有し、連結端部90c寄りの位置において径方向に貫通する第3径孔90fを有する。第1弁体部90の円筒状端部90bは、第1増圧室48a内に突出し、第1ピストン42に当接可能である。
【0043】
第2弁体部92は、主固定弁体80の内周に装着された二つのシール材15n、15pに摺接する厚肉大径の本体部92aと、本体部92aの一端側に連設された薄肉円筒状の連結端部92cと、本体部92aの他端側に連設された薄肉小径の円筒状端部92bとを有する。第2弁体部92の本体部92aは、連結端部92c寄りの位置において径方向に貫通する第4径孔92dを有し、軸方向中央において径方向に貫通する第5径孔92eを有し、円筒状端部92b寄りの位置において径方向に貫通する第6径孔92fを有する。第4径孔92dと第5径孔92eとの間における本体部92aの外周には、外方に突出するフランジ部92hが設けられている。第2弁体部92の円筒状端部92bは、第2増圧室48b内に突出し、第2ピストン46に当接可能である。
【0044】
第1弁体部90の連結端部90cは、第2弁体部92の連結端部92cの内側に途中まで挿入され、ねじ結合により連結される。この連結部分には、シール材15qが設けられている。第1弁体部90の連結端部90cと第2弁体部92の連結端部92cの外周側には、第1弁体部90の本体部90aの端面と第2弁体部92のフランジ部92hとの間で挟持されるようにして、スリーブ94が設けられている。スリーブ94は、第1弁体部90の本体部90a寄りの位置において主固定弁体80の内側に向けて突出する第1ランド部94aを有し、第2弁体部92のフランジ部92h寄りの位置において主固定弁体80の内側に向けて突出する第2ランド部94bを有する。
【0045】
主固定弁体80の内周と可動弁体88の外周との間には、第1ランド部94aよりも左方に位置する左環状室94cと、第1ランド部94aと第2ランド部94bとの間に位置する中央環状室94dと、第2ランド部94bよりも右方に位置する右環状室94eとが形成されている。左環状室94cは第1排出口80aに繋がっており、右環状室94eは第2排出口80eに繋がっている。
【0046】
可動弁体88は、第1弁体部90の本体部90aの端面が第1インサートプレート82aに当接する位置と、第2弁体部92の本体部92aの端面が第2インサートプレート82bに当接する位置との間で移動可能である。第1弁体部90の本体部90aの端面が第1インサートプレート82aに当接する位置およびその近傍では、供給口80cが中央環状室94dを介して第1駆動室接続口80bに接続され、かつ、第2ランド部94bによって供給口80cと第2駆動室接続口80dとの連通が遮断される。第2弁体部92の本体部92aの端面が第2インサートプレート82bに当接する位置およびその近傍では、第1ランド部94aによって供給口80cと第1駆動室接続口80bとの連通が遮断され、かつ、供給口80cが中央環状室94dを介して第2駆動室接続口80dに接続される。
【0047】
第1弁体部90の本体部90aの左方には、第1弁体部90と主固定弁体80と第1副固定弁体86aと第1インサートプレート82aとで囲まれる第1パイロット室96が形成されている。第2弁体部92の本体部92aの右方には、第2弁体部92と主固定弁体80と第2副固定弁体86bと第2インサートプレート82bとで囲まれる第2パイロット室98が形成されている。第1弁体部90の本体部90aの左側端面の面積、すなわち第1パイロット室96のエア圧が第1弁体部90の本体部90aに作用する面積は、第2弁体部92の本体部92aの右側端面の面積、すなわち第2パイロット室98のエア圧が第2弁体部92の本体部92aに作用する面積よりも大きい。
【0048】
パイロット弁体100は、第1軸部102aと第2軸部102bとが直列に連結されて構成されたもので、軸方向中央にシール材15rを介してピストン部104が取り付けられている。第1軸部102aの端部は、可動弁体88の第1弁体部90から突出して第1増圧室48aに臨んでおり、第1ピストン42に当接可能である。第2軸部102bの端部は、可動弁体88の第2弁体部92から突出して第2増圧室48bに臨んでおり、第2ピストン46に当接可能である。
【0049】
ピストン部104は、可動弁体88の第2弁体部92の連結端部92c内に形成されたシリンダ部92gに配置され、シリンダ部92gの壁面にシール材15sを介して摺接する。シリンダ部92gは、ピストン部104によって、ピストン部104の左方に位置するピストン左方室108と、ピストン部104の右方に位置するピストン右方室110とに区画される。パイロット弁体100は、ピストン部104が可動弁体88の第1弁体部90の連結端部90cに当接する位置と、ピストン部104がシリンダ部92gの底面に当接する位置との間で、可動弁体88に対して移動可能である。
【0050】
パイロット弁体100のピストン部104が可動弁体88の第1弁体部90の連結端部90cの端部に当接するとき、パイロット弁体100の第2軸部102bが可動弁体88の第2弁体部92から突出する長さがゼロになる。また、パイロット弁体100のピストン部104が可動弁体88のシリンダ部92gの底面に当接するとき、パイロット弁体100の第1軸部102aが可動弁体88の第1弁体部90から突出する長さがゼロになる。
【0051】
パイロット弁体100の内部には、第1軸部102aと第2軸部102bに跨って軸方向に延びる軸孔106が設けられている。第1軸部102aには、軸孔106の左端から分岐して第1軸部102aの外周面に開口する第1径孔112aと、軸孔106の中央から分岐して第1軸部102aの外周面に開口する第2径孔112bとが設けられている。第2軸部102bには、軸孔106の右端から分岐して第2軸部102bの外周面に開口する第3径孔112cが設けられている。
【0052】
パイロット弁体100の第1軸部102aの外周には、可動弁体88の第1弁体部90の内周に当接する3つのシール材(第1シール材15t、第2シール材15u、第3シール材15v)が軸方向に並んで装着されている。第1軸部102aの外周と第1弁体部90の内周との間には、第1シール材15tと第2シール材15uとの間の領域に第1環状隙間114aが形成され、第2シール材15uと第3シール材15vとの間の領域に第2環状隙間114bが形成され、第3シール材15vの右方の領域に第3環状隙間114cが形成されている。
【0053】
パイロット弁体100の第1径孔112aは、第1環状隙間114aに開口しており、第1パイロット室96は、可動弁体88の第1径孔90d、第1環状隙間114aおよびパイロット弁体100の第1径孔112aを介して、パイロット弁体100の軸孔106に連通している。また、パイロット弁体100の第2径孔112bは、第3環状隙間114cに開口しており、ピストン左方室108は、第3環状隙間114cおよびパイロット弁体100の第2径孔112bを介して、パイロット弁体100の軸孔106に連通している。
【0054】
パイロット弁体100の第2軸部102bの外周には、可動弁体88の第2弁体部92の内周に当接する3つのシール材(第4シール材15w、第5シール材15x、第6シール材15y)が軸方向に並んで装着されている。第2軸部102bの外周と第2弁体部92の内周との間には、第4シール材15wの左方の領域に第4環状隙間114dが形成され、第4シール材15wと第5シール材15xとの間の領域に第5環状隙間114eが形成され、第5シール材15xと第6シール材15yとの間の領域に第6環状隙間114fが形成されている。
【0055】
可動弁体88の第4径孔92dは、第4環状隙間114dに開口しており、ピストン右方室110は、第4環状隙間114dおよび可動弁体88の第4径孔92d、スリーブ94と可動弁体88の第2弁体部92との隙間等を介して、右環状室94eおよび左環状室94cに連通している。したがって、ピストン右方室110は、常に排出ポート26に接続されている。
【0056】
第1ボデイ14には、第2パイロット室98をガバナ弁体66のバルブ部66bの外周側の空間72に連通せしめるパイロット通路116が設けられており、第2パイロット室98は、パイロット通路116およびバルブ部66bの外周側の空間72を介して供給ポート22に接続されている。
【0057】
本発明の実施形態に係る増圧装置10は、基本的には以上のように構成されるものであり、以下、その作用ないし動作について説明する。
【0058】
まず、図1に示されるように、ナット部材62が最も上方に位置し、調圧弁体56に対する調圧ばね64の付勢力が概ねゼロであるときに、図示しないエア供給源から一次圧のエアが供給ポート22に供給された場合を想定する。
【0059】
供給ポート22に供給されたエアは、第1供給チェック弁34a1が介在された第1供給通路34aを通って第1増圧室48aに入るほか、第2供給チェック弁34b1が介在された第2供給通路34bを通って第2増圧室48bに入る。第1増圧室48aに入ったエアは、第1出力チェック弁36a1が介在された第1出力通路36aを通って出力ポート24から外部に出力され、第2増圧室48bに入ったエアは、第2出力チェック弁36b1が介在された第2出力通路36bを通って出力ポート24から外部に出力される。
【0060】
このとき、第1ピストン42に作用する推力と第2ピストン46に作用する推力が釣り合うため、ピストンロッド52によって連結された第1ピストン42と第2ピストン46は駆動されない。供給ポート22からのエアは、上記のとおり、増圧されることなく、そのまま出力ポート24から出力(排出)される。
【0061】
なお、ガバナ弁体66は、ガバナばね68の付勢力により最も上方に位置し、バルブ部66bの下方の空間70はバルブ部66bの外周側の空間72から遮断されているため、パイロット切換弁78の供給口80cには供給ポート22からのエアは供給されない。供給ポート22からのエアは、バルブ部66bの外周側の空間72からパイロット通路116に入り、第2パイロット室98に供給されるので、可動弁体88は主固定弁体80に対して左方に移動し、パイロット弁体100も可動弁体88に押されて左方に移動する。
【0062】
次に、出力ポート24から外部に出力されるエアが所望の二次圧となるように、調圧ハンドル60を手動により回動してナット部材62を下方に移動せしめ、調圧弁体56に調圧ばね64の付勢力を作用させる(図6参照)。すると、調圧弁体56およびリリーフ弁体58が押し下げられ、ガバナ弁体66もリリーフ弁体58によって押し下げられるので、バルブ部66bのゴム材66cがバルブブロック74の環状突部74cから離間し、バルブ部66bの下方の空間70がバルブ部66bの外周側の空間72に連通する。この状態で供給ポート22にエアが供給されると、供給ポート22からのエアがパイロット切換弁78の供給口80cに供給される。
【0063】
このとき、可動弁体88が主固定弁体80に対して最も左方に位置するとともに、パイロット弁体100が可動弁体88に対して最も左方に位置し、可動弁体88およびパイロット弁体100が第1増圧室48a内に最も大きく突出しているものとする。第1駆動室接続口80bは、中央環状室94dを介して供給口80cに接続され、第2駆動室接続口80dは、右環状室94eを介して第2排出口80eに接続されている。このため、供給ポート22からのエアが第1駆動室50aに供給され、第2駆動室50b内のエアが排出ポート26から排出される。
【0064】
また、供給ポート22からのエアは第2供給通路34bに供給されており、第2供給通路34bに供給されたエアは、第2供給チェック弁34b1を通り、第2増圧室48bに供給される。したがって、第1ピストン42には、第1駆動室50aに供給されるエアによる推力が作用し、第2ピストン46には、第2増圧室48bに供給されるエアによる推力が作用する。ピストンロッド52により一体化された第1ピストン42および第2ピストン46は、これらを合わせた推力で右方に駆動される。そして、容積が縮小する第1増圧室48aのエア圧が増大する。なお、供給ポート22からのエアは第1供給通路34aにも供給されているが、第1供給通路34aに介在された第1供給チェック弁34a1は、第1増圧室48aのエア圧が増大するため、第1供給通路34aを閉鎖している。
【0065】
増圧した第1増圧室48aのエアは、第1出力チェック弁36a1が介在された第1出力通路36aを通り、出力ポート24から外部に出力される。なお、第2出力通路36bに介在された第2出力チェック弁36b1は、出力ポート24におけるエア圧(第1増圧室48aにおけるエア圧)が第2増圧室48bにおけるエア圧よりも大きいため、第2出力通路36bを閉鎖している。
【0066】
出力ポート24のエア圧が所定の二次圧に到達すると、出力ポート24に連通するフィードバック室76のエア圧による付勢力が調圧ばね64の付勢力を上回り、調圧弁体56が上方に移動する。これに伴い、ガバナ弁体66も上方に移動し、バルブ部66bのゴム材66cがバルブブロック74の環状突部74cに当接し、バルブ部66bの下方の空間70がバルブ部66bの外周側の空間72から遮断される。
【0067】
このため、供給ポート22からのエアがパイロット切換弁78の供給口80cに供給されなくなり、第1駆動室50aに対するエアの供給が停止する。供給ポート22からのエアが第2供給通路34bを介して第2増圧室48bに供給される状態は継続しているが、第1駆動室50aに対するエアの供給が停止することで、第1ピストン42および第2ピストン46は減速ないし停止する。
【0068】
第1増圧室48aのエアは第1出力通路36aを通って出力ポート24から外部に出力され続けているので、第1ピストン42が減速ないし停止すると、第1増圧室48aのエア圧は減少し、出力ポート24のエア圧が所定の二次圧を下回る。これにより、フィードバック室76のエア圧による付勢力が調圧ばね64の付勢力を下回り、調圧弁体56が下方に移動し、バルブ部66bの下方の空間70がバルブ部66bの外周側の空間72に連通する。すなわち、出力ポート24のエア圧が二次圧に到達する前の状態に戻る。
【0069】
上記のように、出力ポート24のエア圧が二次圧に到達した後これを下回るという事象が繰り返されながら、第1ピストン42および第2ピストン46が右方に駆動される。やがて、第1ピストン42がパイロット弁体100の第1軸部102aに当接し、パイロット弁体100が右方に押される。
【0070】
図7に示されるように、第1ピストン42がパイロット弁体100の第1軸部102aに当接する前後において、第1パイロット室96およびピストン左方室108は、排出ポート26に繋がっている。ピストン左方室108と排出ポート26との連通経路を詳細に述べると、以下のとおりである。なお、既に述べたように、第2パイロット室98は、常に供給ポート22に繋がっており、ピストン右方室110は、常に排出ポート26に繋がっている。
【0071】
ピストン左方室108は、第3環状隙間114c、パイロット弁体100の第2径孔112b、軸孔106、パイロット弁体100の第3径孔112c、第5環状隙間114e、可動弁体88の第5径孔92e、右環状室94e、第2排出口80eを経由して、排出ポート26に繋がっている。また、ピストン左方室108は、第3環状隙間114c、パイロット弁体100の第2径孔112b、軸孔106、パイロット弁体100の第1径孔112a、第1環状隙間114a、可動弁体88の第1径孔90d、第1パイロット室96、可動弁体88の第2径孔90e、第2環状隙間114b、可動弁体88の第3径孔90f、左環状室94c、第1排出口80aを経由して、排出ポート26に繋がっている。
【0072】
パイロット弁体100が第1ピストン42に押されて所定距離右方に移動すると、パイロット弁体100の第1軸部102aが可動弁体88の第1弁体部90から突出する長さがゼロになり、第1ピストン42は、パイロット弁体100の第1軸部102aおよび可動弁体88の第1弁体部90に当接する。また、このとき、パイロット弁体100のピストン部104が可動弁体88のシリンダ部92gの底面に当接する。このため、パイロット弁体100と可動弁体88は、第1ピストン42に押され、一体となって右方に移動する。
【0073】
図8に示されるように、パイロット弁体100と可動弁体88の両方が第1ピストン42によって押され始める前後において、ピストン左方室108と排出ポート26との連通は遮断される。ピストン左方室108と排出ポート26との連通が遮断されるのは、前記したピストン左方室108から排出ポート26に至るまでの経路の中で、可動弁体88の第2径孔90eと第2環状隙間114bとの連通が遮断され、かつ、第5環状隙間114eと可動弁体88の第5径孔92eとの連通が遮断されるからである。
【0074】
パイロット弁体100と可動弁体88が第1ピストン42によって押され、これらが所定距離以上右方に移動すると、図9に示されるように、第1パイロット室96およびピストン左方室108は、供給ポート22に繋がっている第2パイロット室98に連通する。第2パイロット室98から第1パイロット室96に至るまでのエアの経路、および、第2パイロット室98からピストン左方室108に至るまでのエアの経路を詳細に述べると、以下のとおりである。
【0075】
第2パイロット室98は、可動弁体88の第6径孔92f、第5環状隙間114e、パイロット弁体100の第3径孔112c、軸孔106、パイロット弁体100の第1径孔112a、第1環状隙間114aを経由した後、可動弁体88の第1径孔90dまたは可動弁体88の第2径孔90eを経由して、第1パイロット室96に繋がっている。また、第2パイロット室98は、可動弁体88の第6径孔92f、第5環状隙間114e、パイロット弁体100の第3径孔112c、軸孔106、パイロット弁体100の第2径孔112b、第3環状隙間114cを経由して、ピストン左方室108に繋がっている。
【0076】
第1パイロット室96が第2パイロット室98に連通することで、第1パイロット室96に臨む第1弁体部90の本体部90a端面には、可動弁体88を右方に付勢するように供給ポート22からの一次圧が作用する。第2パイロット室98に臨む第2弁体部92の本体部92a端面には、可動弁体88を左方に付勢するように供給ポート22からの一次圧が作用しているが、第1弁体部90の本体部90a端面の面積は第2弁体部92の本体部92a端面の面積よりも大きいので、右方への付勢力が左方への付勢力を上回る。したがって、可動弁体88は、第1ピストン42に押されて右方に駆動されることに加え、供給ポート22からの一次圧によって右方に駆動される。
【0077】
ピストン左方室108が第2パイロット室98に連通することで、パイロット弁体100のピストン部104には、パイロット弁体100を右方に付勢するように供給ポート22からの一次圧が作用する。したがって、パイロット弁体100のピストン部104は、パイロット弁体100が第1ピストン42によって右方に押されることで可動弁体88のシリンダ部92gの底面に押圧されることに加え、供給ポート22からの一次圧によって可動弁体88のシリンダ部92gの底面に押圧される。
【0078】
第1パイロット室96およびピストン左方室108が第2パイロット室98に連通した後、さらに、パイロット弁体100と可動弁体88が右方に移動すると、図10に示されるように、第1駆動室接続口80bが左環状室94cを介して第1排出口80aに接続され、第2駆動室接続口80dが中央環状室94dを介して供給口80cに接続される。このため、供給ポート22からのエアが第2駆動室50bに供給され、第1駆動室50a内のエアが排出ポート26から排出される。
【0079】
供給ポート22からのエアは第1供給通路34aに供給されており、第1供給通路34aに供給されたエアは、第1供給チェック弁34a1を通り、第1増圧室48aに供給される。第2ピストン46には、第2駆動室50bに供給されるエアによる推力が作用し、第1ピストン42には、第1増圧室48aに供給されるエアによる推力が作用する。ピストンロッド52により一体化された第1ピストン42および第2ピストン46は、これらを合わせた推力で左方に駆動され始める。そして、容積が縮小する第2増圧室48bのエア圧が増大し始める。なお、供給ポート22からのエアは第2供給通路34bにも供給されるが、第2供給通路34bに介在された第2供給チェック弁34b1は、第2増圧室48bのエア圧が増大するため、第2供給通路34bを閉鎖する。
【0080】
増圧した第2増圧室48bのエアは、第2出力チェック弁36b1が介在された第2出力通路36bを通り、出力ポート24から外部に出力される。なお、第1出力通路36aに介在された第1出力チェック弁36a1は、出力ポート24におけるエア圧(第2増圧室48bにおけるエア圧)が第1増圧室48aにおけるエア圧よりも大きいため、第1出力通路36aを閉鎖する。
【0081】
第1ピストン42および第2ピストン46が左方に移動し始めると、第1ピストン42が可動弁体88およびパイロット弁体100から離れる。一方、パイロット弁体100のピストン部104は、供給ポート22からの一次圧によって可動弁体88のシリンダ部92gの底面に押圧されており、可動弁体88は、供給ポート22からの一次圧によって右方に駆動されている。このため、図11に示されるように、可動弁体88は、第2弁体部92の本体部92aの端面が第2インサートプレート82bに当接するまで右方に移動し、可動弁体88およびパイロット弁体100は、第2増圧室48b内に最も大きく突出する。
【0082】
第1ピストン42および第2ピストン46が右方に駆動されるときと同様にして、出力ポート24のエア圧が二次圧に到達した後にこれを下回るという事象が繰り返されながら、第1ピストン42および第2ピストン46が左方に駆動される。
【0083】
やがて、図12に示されるように、第2ピストン46がパイロット弁体100の第2軸部102bに当接し、パイロット弁体100が左方に押される。パイロット弁体100が第2ピストン46に押されて所定距離左方に移動すると、図14に示されるように、パイロット弁体100の第2軸部102bが可動弁体88の第2弁体部92から突出する長さがゼロになり、第2ピストン46は、パイロット弁体100の第2軸部102bおよび可動弁体88の第2弁体部92に当接する。このとき、パイロット弁体100のピストン部104が可動弁体88の第1弁体部90の連結端部90cに当接する。このため、パイロット弁体100および可動弁体88は、第2ピストン46に押され、一体となって左方に移動する。
【0084】
第2ピストン46がパイロット弁体100の第2軸部102bに当接してから、第2ピストン46がパイロット弁体100の第2軸部102bおよび可動弁体88の第2弁体部92に当接するまでの途中で、第1パイロット室96と第2パイロット室98との連通が遮断され、ピストン左方室108と第2パイロット室98との連通が遮断される(図13参照)。これらの連通が遮断されるのは、可動弁体88の第6径孔92fと第5環状隙間114eとの連通が遮断されるからである。
【0085】
第1パイロット室96と第2パイロット室98との連通が遮断されるとともにピストン左方室108と第2パイロット室98との連通が遮断されてから、パイロット弁体100および可動弁体88が第2ピストン46に押されて所定距離だけ左方に移動するまでの間、第1パイロット室96およびピストン左方室108のエア圧は上昇する。第1パイロット室96に連通しているピストン左方室108の容積が縮小するからであり、第1パイロット室96の容積も途中から縮小するからである。
【0086】
図15に示されるように、パイロット弁体100および可動弁体88が上記所定距離だけ左方に移動すると、第1パイロット室96およびピストン左方室108は、排出ポート26に繋がる。これにより、昇圧した第1パイロット室96のエアおよびピストン左方室108のエアは、排出ポート26から排出される。第1パイロット室96から排出ポート26に至るまでのエアの経路、および、ピストン左方室108から排出ポート26に至るまでのエアの経路を詳細に述べると、以下のとおりである。
【0087】
第1パイロット室96は、可動弁体88の第2径孔90e、第2環状隙間114b、可動弁体88の第3径孔90f、左環状室94c、第1排出口80aを経由して、排出ポート26に繋がっている。また、第1パイロット室96は、可動弁体88の第1径孔90d、第1環状隙間114a、パイロット弁体100の第1径孔112a、軸孔106、パイロット弁体100の第3径孔112c、第5環状隙間114e、可動弁体88の第5径孔92e、右環状室94e、第2排出口80eを経由して、排出ポート26に繋がっている。
【0088】
ピストン左方室108は、第3環状隙間114c、パイロット弁体100の第2径孔112b、軸孔106、パイロット弁体100の第1径孔112a、第1環状隙間114a、可動弁体88の第1径孔90d、第1パイロット室96、可動弁体88の第2径孔90e、第2環状隙間114b、可動弁体88の第3径孔90f、左環状室94c、第1排出口80aを経由して、排出ポート26に繋がっている。また、ピストン左方室108は、第3環状隙間114c、パイロット弁体100の第2径孔112b、軸孔106、パイロット弁体100の第3径孔112c、第5環状隙間114e、可動弁体88の第5径孔92e、右環状室94e、第2排出口80eを経由して、排出ポート26に繋がっている。
【0089】
第1パイロット室96が排出ポート26に繋がることで、可動弁体88は、第2ピストン46に押されて左方に駆動されることに加え、第2パイロット室98における供給ポート22からの一次圧によって左方に駆動される。そして、可動弁体88がさらに左方に移動すると、第1駆動室接続口80bが中央環状室94dを介して供給口80cに接続され、第2駆動室接続口80dが右環状室94eを介して第2排出口80eに接続される。このため、供給ポート22からのエアが第1駆動室50aに供給され、第2駆動室50b内のエアが排出ポート26から排出される。第1ピストン42および第2ピストン46は、左方への移動から右方への移動に転じる。
【0090】
第1ピストン42および第2ピストン46が右方への移動に転じると、第2ピストン46が可動弁体88およびパイロット弁体100から離れる。一方、可動弁体88は、第2パイロット室98における供給ポート22からの一次圧によって左方に駆動されているため、第1弁体部90の本体部90aの端面が第1インサートプレート82aに当接するまで左方に移動する。こうして最初の状態(供給ポート22にエアが供給される前の状態)に戻り、以後同じ動作を繰り返す。
【0091】
次に、供給ポート22に対する一次圧のエアの供給がない状態で、可動弁体88が中間位置、すなわち、供給口80cが第1駆動室接続口80bおよび第2駆動室接続口80dのいずれにも接続されていない位置で停止している場合について、これを可動弁体88に対するパイロット弁体100の位置によってさらに場合分けをして説明する。
【0092】
[パイロット弁体100が最も右方に突出している場合]
図16に示されるように、パイロット弁体100が可動弁体88に対して最も右方に突出した状態で、可動弁体88が中間位置で停止しているとする。このとき、一次圧のエアが供給ポート22に供給されると、該一次圧のエアは、バルブ部66bの外周側の空間72とパイロット通路116を通って、第2パイロット室98に供給される。
【0093】
第2パイロット室98に供給された一次圧のエアは、可動弁体88の第6径孔92f、第5環状隙間114e、パイロット弁体100の第3径孔112c、軸孔106、パイロット弁体100の第1径孔112a、第1環状隙間114a、可動弁体88の第1径孔90dを経由して、第1パイロット室96に供給される。このため、第1パイロット室96に臨む可動弁体88の第1弁体部90の本体部90a端面には、一次圧のエアにより可動弁体88を右方に付勢する力が作用し、第2パイロット室98に臨む可動弁体88の第2弁体部92の本体部92a端面には、同じ一次圧のエアにより可動弁体88を左方に付勢する力が作用する。
【0094】
ここで、第1弁体部90の本体部90a端面の面積は第2弁体部92の本体部92a端面の面積よりも大きいので、右方への付勢力が左方への付勢力を上回る。したがって、可動弁体88は、第2弁体部92の本体部92aの端面が第2インサートプレート82bに当接するまで右方に移動し、中間位置に停止した状態から脱出する。そして、第2駆動室接続口80dが供給口80cに接続されるとともに、第1駆動室接続口80bが第1排出口80aに接続され、供給ポート22からのエアが第2駆動室50bに供給されるとともに、第1駆動室50aのエアが排出ポート26から排出される。第1ピストン42および第2ピストン46は、左方に向けて駆動される。
【0095】
[パイロット弁体100が最も左方に突出している場合]
図17に示されるように、パイロット弁体100が可動弁体88に対して最も左方に突出した状態で、可動弁体88が中間位置で停止しているとする。このとき、一次圧のエアが供給ポート22に供給されると、該一次圧のエアは、バルブ部66bの外周側の空間72とパイロット通路116を通って、第2パイロット室98に供給される。
【0096】
一方、第1パイロット室96のエアは、可動弁体88の第2径孔90e、第2環状隙間114b、可動弁体88の第3径孔90f、左環状室94c、第1排出口80aを経由して、排出ポート26から排出される。また、第1パイロット室96のエアは、可動弁体88の第1径孔90d、第1環状隙間114a、パイロット弁体100の第1径孔112a、軸孔106、パイロット弁体100の第3径孔112c、第5環状隙間114e、可動弁体88の第5径孔92e、右環状室94e、第2排出口80eを経由して、排出ポート26から排出される。
【0097】
したがって、可動弁体88は、第2パイロット室98に供給される一次圧のエアにより、第1弁体部90の本体部90aの端面が第1インサートプレート82aに当接するまで左方に移動し、中間位置に停止した状態から脱出する。そして、第1駆動室接続口80bが供給口80cに接続されるとともに、第2駆動室接続口80dが第2排出口80eに接続され、供給ポート22からのエアが第1駆動室50aに供給されるとともに、第2駆動室50bのエアが排出ポート26から排出される。第1ピストン42および第2ピストン46は、右方に向けて駆動される。
【0098】
[パイロット弁体100が中間位置にある場合]
図18に示されるように、パイロット弁体100の第1軸部102aが可動弁体88から左方に突出するとともにパイロット弁体100の第2軸部102bが可動弁体88から右方に突出した状態で、可動弁体88が中間位置で停止しているとする。このとき、ピストン部104は、可動弁体88の第1弁体部90の連結端部90cおよびシリンダ部92gの底面のいずれにも当接していない。
【0099】
この場合、第1パイロット室96およびピストン左方室108は、可動弁体88の第1径孔90d、第1環状隙間114a、パイロット弁体100の第1径孔112a、軸孔106、パイロット弁体100の第2径孔112b、第3環状隙間114cを介して相互に繋がっている。また、第1パイロット室96およびピストン左方室108は、第1排出口80aおよび第2排出口80eのいずれにも繋がっておらず、第2パイロット室98にも繋がっていない。すなわち、第1パイロット室96およびピストン左方室108は、閉鎖された空間となっている。
【0100】
第1パイロット室96およびピストン左方室108が第1排出口80aに繋がっていないのは、可動弁体88の第2径孔90eと第2環状隙間114bとの連通が遮断されているからである。第1パイロット室96およびピストン左方室108が第2排出口80eに繋がっていないのは、第5環状隙間114eと可動弁体88の第5径孔92eとの連通が遮断されているからである。第1パイロット室96およびピストン左方室108が第2パイロット室98に繋がっていないのは、第5環状隙間114eと可動弁体88の第6径孔92fとの連通が遮断されているからである。
【0101】
上記の場合に、一次圧のエアが供給ポート22に供給されると、該一次圧のエアは、バルブ部66bの外周側の空間72とパイロット通路116を通って、第2パイロット室98に供給される。可動弁体88は、第2パイロット室98に供給される一次圧のエアにより左方に移動し、第1パイロット室96の容積が縮小する。このため、相互に連通している第1パイロット室96およびピストン左方室108のエアの圧力が上昇する。
【0102】
ピストン左方室108のエアの圧力が上昇する一方で、ピストン右方室110は排出ポート26に繋がっているので、パイロット弁体100のピストン部104は、可動弁体88のシリンダ部92g内で右方に移動する。図19に示されるように、可動弁体88に対してパイロット弁体100が右方に移動すると、可動弁体88の第6径孔92fが第5環状隙間114eに連通する。これにより、第1パイロット室96およびピストン左方室108が第2パイロット室98に繋がり、一次圧のエアが第2パイロット室98を介して、第1パイロット室96およびピストン左方室108に供給される。
【0103】
一次圧のエアが第1パイロット室96に供給されると、可動弁体88を右方に付勢する力が作用し、この付勢力は、第2パイロット室98における一次圧のエアが可動弁体88を左方に付勢する力を上回るので、可動弁体88は右方に移動する。こうして、可動弁体88が中間位置に停止した状態から脱出する。そして、第2駆動室接続口80dが供給口80cに接続されるとともに、第1駆動室接続口80bが第1排出口80aに接続され、供給ポート22からのエアが第2駆動室50bに供給されるとともに、第1駆動室50aのエアが排出ポート26から排出される。第1ピストン42および第2ピストン46は、左方に向けて駆動される。
【0104】
以上の説明から理解されるように、可動弁体88が中間位置で停止している場合、パイロット弁体100が可動弁体88に対して如何なる位置にあるときでも、一次圧のエアが供給ポート22に供給されれば、可動弁体88が中間位置で停止した状態を解消することができる。
【0105】
本実施形態の増圧装置10によれば、可動弁体88は、第1パイロット室96および第2パイロット室98のエア圧によって駆動されるので、供給ポート22にエアが供給される増圧装置10の使用時にパイロット切換弁78が中立位置で停止することがない。また、可動弁体88の内部にパイロット弁体100が組み込まれるので、装置全体のコンパクト化を図ることができる。さらには、増圧装置10の設置方向によっては可動弁体88の自重が可動弁体88の移動に影響を及ぼすことになるが、可動弁体88はエア圧によって駆動されるので、増圧装置10の設置方向に制約がない。
【0106】
本実施形態では、圧縮性流体としてエア(圧縮空気)を用いたが、他の気体でもよい。
【0107】
本発明に係る増圧装置は、上述の実施形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することのない範囲で、種々の構成を採り得ることはもちろんである。
【符号の説明】
【0108】
10…増圧装置 12…センタハウジング
18…第1シリンダ部 20…第2シリンダ部
22…供給ポート 24…出力ポート
26…排出ポート 42…第1ピストン
46…第2ピストン 54…調圧機構部
56…調圧弁体 58…リリーフ弁体
60…調圧ハンドル 64…調圧ばね
66…ガバナ弁体 76…フィードバック室
78…パイロット切換弁 80…主固定弁体(固定弁体)
82a…第1インサートプレート 82b…第2インサートプレート
88…可動弁体 90…第1弁体部
90d、90e、90f…(可動弁体の)径孔
92…第2弁体部 92g…シリンダ部
96…第1パイロット室 98…第2パイロット室
100…パイロット弁体 104…ピストン部
106…軸孔 108…ピストン左方室
110…ピストン右方室
112a、112b、112c…(パイロット弁体の)径孔
図1
図2
図3
図4
図5
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図7
図8
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図10
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