【解決手段】外装ケース6は、第1側板6saを有している。部品ケース1は、回転軸線RAを中心に回転可能に外装ケース6内に配置されている。外装ケース6の前方から後方を見る視点において、回転軸線RAは下方から上方に向かうほど第1側板6saに近付くように第1側板6saに対して傾斜している。
前記収納姿勢における前記部品ケースの重心の位置は、前記回転姿勢における前記部品ケースの重心の位置よりも鉛直方向の上側に位置している、請求項2に記載の熱源機。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら特許文献1に記載の構成では、熱交換器の点検、交換などのメンテナンス作業中に部品ケースが後方に回転してしまい作業の邪魔になるとともに、部品ケース内の部品が水に濡れることがある。このためメンテナンス作業の容易化が望まれている。
【0006】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、メンテナンス作業が容易な熱源機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の熱源機は、外装ケースと、部品ケースとを備えている。外装ケースは、第1側板を有している。部品ケースは、回転軸線を中心に回転可能に外装ケース内に配置されている。外装ケースの前方から後方を見る視点において、回転軸線は下方から上方に向かうほど第1側板に近付くように第1側板に対して傾斜している。
【0008】
本発明の熱源機によれば、部品ケースの回転軸線が下方から上方に向かうほど第1側板に近付くように第1側板に対して傾斜している。これにより部品ケースは部品ケースの自重で回転軸線を中心に回転可能である。このため部品ケースは、メンテナンス作業の邪魔になりにくい位置まで自重で回転し、容易には元の状態に戻らないようにすることができる。これによりメンテナンス作業時に部品ケースが邪魔になりにくく、部品ケース内の部品が水に濡れにくくなる。このため、メンテナンス作業が容易な熱源機を実現することができる。
【0009】
上記熱源機において、外装ケースは、第1側板に対向する第2側板を有している。部品ケースは、第1側部と第2側部とを有している。部品ケースは、回転軸線を中心に回転することにより、第1側部が第1側板側に位置するとともに第2側部が第2側板側に位置する収納姿勢と、第2側部が第1側部よりも前方に位置する回転姿勢との間で移動可能である。
【0010】
上記のように部品ケースが自重で回転姿勢に移動し、容易に収納姿勢に戻らないため、メンテナンス作業時に部品ケースが邪魔になりにくく、部品ケース内の部品が水に濡れにくくなる。このため、メンテナンス作業が容易な熱源機を実現することができる。
【0011】
上記熱源機において、収納姿勢における部品ケースの重心の位置は、回転姿勢における部品ケースの重心の位置よりも鉛直方向の上側に位置している。
【0012】
これにより収納姿勢における部品ケースの位置エネルギーが回転姿勢における部品ケースの位置エネルギーよりも大きくなる。このため部品ケースは、収納姿勢から回転姿勢となるように自重で回転し、容易に収納姿勢に戻らない。これによりメンテナンス作業時に部品ケースが邪魔になりにくく、部品ケース内の部品が水に濡れにくくなる。このため、メンテナンス作業が容易な熱源機を実現することができる。
【0013】
上記熱源機において、部品ケースは、第1軸と、第1軸よりも上方に位置する第2軸とを有している。外装ケースは、第1軸を挿入された第1孔が形成された底板を有している。第1軸と第2軸とは軸方向に互いにずれて配置されている。
【0014】
上記のように第1軸と第2軸とが軸線方向にずれて配置されているため、第1軸の軸線方向と第2軸の軸線方向との各々を底板の延在方向に対して直交するように配置することができる。これにより底板に形成される第1孔の加工が容易になる。
【0015】
上記熱源機は、第1側板に取り付けられ、かつ第2孔を有する支持部材をさらに備えている。部品ケースは、ケース本体を有している。第2軸は、上端と下端とを有し、上端にてケース本体に接続され、かつ上端から下端に向かって下方に延びて支持部材の第2孔に挿入されている。
【0016】
これにより第1軸を底板の第1孔に上方から挿入するとともに、第2軸を支持部材の第2孔に上方から挿入することができる。このため部品ケースを支持部材および底板に対して下方に移動させることにより部品ケースを外装ケースに組み付けることができる。よって部品ケースを底板および支持部材に組み付ける作業が容易となる。
【0017】
上記熱源機において、第2軸の軸方向長さは、第1軸の軸方向長さよりも長い。
これにより第1軸の上方に位置する第2軸を第2孔に挿入して部品ケースを外装ケースに対して吊した状態で、下方に位置する第1軸を第1孔に挿入することができる。このため第1孔への第1軸の挿入が容易となる。
【0018】
上記熱源機において、第2軸はケース本体と第1側板との間に位置する。
これにより第2軸を支持部材の貫通孔に挿入することが可能となる。また部品ケースの成形加工が容易となる。
【0019】
上記熱源機において、部品ケースは、第1軸と、第1軸よりも上方に位置する第2軸とを有している。第1軸の軸線と第2軸の軸線とは同一の直線状に位置している。
【0020】
これにより第1軸の軸線と第2軸の軸線とが回転軸線となる。このため回転軸線を想定することが容易となり、部品ケースなどの設計が容易となる。
【0021】
上記熱源機において、第2軸を支持する支持部材がさらに備えられている。外装ケースおよび支持部材の少なくとも一方には長孔が設けられている。第1軸および第2軸の少なくとも一方の軸は長孔に挿入されている。
【0022】
これにより部品ケースの外装ケースへの組み付けが容易となる。
上記熱源機において、長孔は支持部材に設けられている。
【0023】
これにより第2軸を支持部材の長孔に挿入することが容易となり、部品ケースの外装ケースへの組み付けが容易となる。
【発明の効果】
【0024】
以上説明したように本発明によれば、メンテナンス作業が容易な熱源機を実現することができる。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
なお、明細書および図面において、同一の構成要素または対応する構成要素には、同一の符号を付し、重複する説明を繰り返さない。また、図面では、説明の便宜上、構成を省略または簡略化している場合もある。また各実施の形態と各変形例との少なくとも一部は、互いに任意に組み合わされてもよい。
【0027】
<熱源機の構成>
まず本発明の一実施の形態に係る熱源機の一例として給湯装置の構成について
図1を用いて説明する。
【0028】
ただし熱源機は、給湯装置に限定されず、たとえば温水装置、暖房装置、温水暖房付きふろ給湯装置などであってもよい。また熱源機は、燃料ガスを燃焼させる方式であってもよく、石油を燃焼させる方式であってもよい。また熱源機は、貯湯式であってもよく、また瞬間式であってもよい。
【0029】
図1に示されるように、給湯装置10は、部品ケース1と、燃焼装置2と、熱交換器3と、排気ボックス4と、送風機5と、外装ケース6とを主に有している。
【0030】
外装ケース6の内部に、部品ケース1、燃焼装置2、熱交換器3、排気ボックス4および送風機5が配置されている。燃焼装置2は、熱交換器3と熱交換する燃焼ガスを生じさせるためのものである。燃焼装置2の上方に熱交換器3が配置されている。
【0031】
熱交換器3は、たとえば1次熱交換器と、2次熱交換器とを有している。1次熱交換器は、燃焼装置2にて生じた燃焼ガスの顕熱を回収するための顕熱回収型の熱交換器である。2次熱交換器は、燃焼装置2にて生じた燃焼ガスの潜熱を回収するための潜熱回収型の熱交換器である。
【0032】
熱交換器3の上方に排気ボックス4が配置されている。排気ボックス4には送風機5が接続されている。
【0033】
排気ボックス4は熱交換器3と送風機5との間の燃焼ガスの流れの経路を構成している。この排気ボックス4により、熱交換器3で熱交換された後の燃焼ガスを送風機5へ導くことが可能である。排気ボックス4は、熱交換器3に取り付けられており、熱交換器3よりも燃焼ガスの流れの下流側に位置している。
【0034】
送風機5は、熱交換器3を経由した(熱交換器3で熱交換された)後の燃焼ガスを吸引して給湯装置10の外部へ排出するためのものであり、給湯装置10の外部に位置する排気管(図示せず)に接続されている。
【0035】
送風機5は、排気ボックス4および熱交換器3よりも燃焼ガスの流れの下流側に位置している。つまり給湯装置10においては、燃焼装置2で生じた燃焼ガスの流れの上流側から下流側に沿って、燃焼装置2、熱交換器3、排気ボックス4および送風機5の順で並んでいる。この配置において送風機5で燃焼ガスを吸引して排気するため、本実施の形態の給湯装置10は排気吸引燃焼方式の給湯装置となっている。
【0036】
上記の給湯装置に10において、給水配管から2次熱交換器に供給された水は、燃焼装置2にて生じた燃焼ガスの潜熱を回収することにより予熱される。2次熱交換器にて予熱された湯は、1次熱交換器に供給される。1次熱交換器に供給された湯は、燃焼装置2にて生じた燃焼ガスの顕熱を回収することにより加熱される。1次熱交換器にて加熱された湯は、出湯配管を通じて給湯装置10の外部へ供給される。
【0037】
また給水配管からバイパス配管を通じて水が出湯配管に供給制御される。これにより出湯配管内の湯の温度が調整される。所望の温度に調整された湯が出湯配管から供給される。
【0038】
<部品ケースと外装ケースとの構成>
次に、本実施の形態における部品ケース1と外装ケース6との構成について
図1〜
図3を用いて説明する。
【0039】
図1に示されるように、外装ケース6は、天板6tと、底板6bと、第1側板6saと、第2側板6sbと、後板6rと、前板(図示せず)とを有している。天板6t、底板6b、第1側板6sa、第2側板6sb、後板6rおよび前板の各々は外装ケース6の壁部を構成している。
【0040】
天板6t、底板6b、第1側板6saおよび第2側板6sbは、枠を構成するように配置されている。後板6rは、天板6t、底板6b、第1側板6saおよび第2側板6sbにより構成された枠の一端(後端)を閉じるように、天板6t、底板6b、第1側板6saおよび第2側板6sbの各々に接続されている。前板は、天板6t、底板6b、第1側板6saおよび第2側板6sbにより構成された枠の他端(前端)を閉じるように、天板6t、底板6b、第1側板6saおよび第2側板6sbの各々に接続可能である。
【0041】
天板6tと底板6bとは互いに対向している。第1側板6saと第2側板6sbとは互いに対向している。後板6rと前板とは互いに対向している。天板6t、底板6b、第1側板6sa、第2側板6sb、後板6rおよび前板により囲まれた空間は、外装ケース6の内部空間を構成している。
【0042】
本明細書において外装ケース6の内部とは、外装ケース6の上記内部空間のことを意味する。
【0043】
外装ケース6の第1側板6saには、支持部材6aが取り付けられている。支持部材6aには、貫通孔6aa(第2孔)と、ネジ穴6ab(
図4)とが設けられている。底板6bには固定金具6bbが設けられている。固定金具6bbには、ネジ穴6bc(
図4)が設けられている。
【0044】
部品ケース1は、支持部材6aと底板6bとに支持されている。部品ケース1は、外装ケース6の内部であって、その内部のたとえば下部に配置されている。
【0045】
図2に示されるように、部品ケース1は、ケース本体1aと、第1軸1bと、第2軸1cと、中継部1dと、中継固定部1eと、固定部1fとを主に有している。ケース本体1a、第1軸1b、第2軸1c、中継部1d、中継固定部1eおよび固定部1fは一体化されており、たとえば樹脂よりなっている。
【0046】
ケース本体1aはたとえば容器形状を有している。ケース本体1aの内部には空間が設けられている。ケース本体1aの内部は、複数(たとえば2つ)に仕切られている。ケース本体1aは、たとえば互いに大きさの異なる2つ矩形の容器形状が組み合わされた形状を有している。
【0047】
部品ケース1は、互いに対向する第1側部1saおよび第2側部1sbとを有している。部品ケース1の第1側部1sa側には、第1軸1b、第2軸1c、中継部1d、中継固定部1eが配置されている。部品ケース1の第2側部1sb側には、固定部1fが配置されている。
【0048】
第1軸1bは、中継部1dを介在してケース本体1aに接続されている。中継部1dはケース本体1aの下端に接続されている。中継部1dは、ケース本体1aの下端から下方に延びている。第1軸1bは、中継部1dの下端に接続されている。第1軸1bは、中継部1dの下端から下方に延びている。
【0049】
第2軸1cは、中継固定部1eを介在してケース本体1aに接続されている。中継固定部1eはケース本体1aの上端に接続されている。中継固定部1eは、ケース本体1aの上端から上方に延びている。また中継固定部1eは、張り出し部1ebを有している。張り出し部1ebは、ケース本体1aの第1側部1saよりも側方に張り出している。つまり張り出し部1ebは、ケース本体1aの第1側部1saに対してケース本体1a側とは反対側の側方に張り出している。
【0050】
中継固定部1eには、貫通孔1eaが設けられている。貫通孔1eaは、横方向の寸法よりも縦方向(上下方向)の寸法が大きい縦長の長孔形状を有している。
【0051】
第2軸1cは、第1軸1bよりも上方に位置している。第2軸1cは、張り出し部1ebの下端に接続されている。第2軸1cは、張り出し部1ebの下端から下方に延びている。第2軸1cの軸方向の長さLBは、第1軸1bの軸方向の長さLAよりも長い。
【0052】
固定部1fは、ケース本体1aの下端に接続されている。固定部1fは、ケース本体1aの下端から下方に延びている。固定部1fには、貫通孔1faが設けられている。貫通孔1faは、縦方向の寸法よりも横方向の寸法が大きい横長の長孔形状を有している。
【0053】
第1軸1bと第2軸1cとは軸方向に互いにずれて配置されている。具体的には、第1軸1bの軸線C1と第2軸1cの軸線C2とは同一線上にはなく、互いにずれている。第1軸1bの軸線C1は、第2軸1cの軸線C2よりも部品ケース1の第2側部1sb側に位置している。
【0054】
図1に示されるように、外装ケース6の底板6bには貫通孔6ba(第1孔)が設けられている。貫通孔6baは、たとえばバーリング加工により形成されている。このため貫通孔6baの縁には、外装ケース6の内部空間に突き出した筒状のフランジが形成されている。貫通孔6baには、部品ケース1の第1軸1bが挿入されている。
【0055】
支持部材6aには、貫通孔6aaが設けられている。貫通孔6aaには、部品ケース1の第2軸1cが挿入されている。
【0056】
部品ケース1は、第1軸1bが貫通孔6baに挿入され、かつ第2軸1cが貫通孔6aaに挿入された状態で、回転軸線RAを中心として外装ケース6に対して回転可能である。
【0057】
上記のように部品ケース1の第1軸1bと第2軸1cとは軸方向に互いにずれて配置されている。このため外装ケース6の前方から後方を見る視点において、部品ケース1の回転軸線RAは下方から上方に向かうほど第1側板6saに近付くように第1側板6saに対して傾斜している。回転軸線RAは、部品ケース1が外装ケース6に対して回転する際の回転中心となる仮想の線である。また回転軸線RAは、部品ケース1の第1軸1bが底板6bに支持される点と、第2軸1cが支持部材6aに支持される点とを繋いだ直線である。
【0058】
部品ケース1は、メンテナンスなどのときを除いて、外装ケース6に固定されている。部品ケース1は、たとえばネジ7a、7bにより外装ケース6に固定されている。ネジ7aは、
図2に示される中継固定部1eの貫通孔1eaに挿入された後に支持部材6aのネジ穴6ab(
図4)にねじ込まれている。またネジ7bは、
図2に示される固定部1fの貫通孔1faに挿入された後に固定金具6bbのネジ穴6bc(
図4)にねじ込まれている。
【0059】
ケース本体1aの内部には、たとえば電子装置が配置されている。電子装置は、電装基板、漏電安全装置などを含んでいる。電装基板は、たとえば電気回路を構成する素子を実装した回路基板である。
【0060】
図3に示されるように、部品ケース1内に配置される電子装置は、たとえば電源部22と、メインコントローラ21と、漏電安全装置23とを含んでいる。漏電安全装置23は、商用電源などの元電源が供給されるものである。電源部22は、この漏電安全装置23から電力を供給され、主として所定の安定化電圧を生成するなどして、給湯装置10内で必要とする電源を供給するためのものである。
【0061】
メインコントローラ21は、たとえばマイクロコンピュータなどを主要部として含んでいる。このメインコントローラ21は、電源部22から電力を供給され、給湯装置10内の加熱部、循環ポンプ、電磁弁などの動作をマイクロコンピュータによって制御するためのものである。また、メインコントローラ21には、遠隔コントローラ24が1個もしくは複数個接続されている。遠隔コントローラ24は、メインコントローラ21と双方向通信が可能である。
【0062】
すなわち部品ケース1内に配置される電子装置は、たとえば給湯装置10の被制御機器を制御するための制御ユニット(メインコントローラ21へ電源を供給する電源部22も含む)のことである。
【0063】
<部品ケースの外装ケースへの組み付け>
次に、部品ケース1の外装ケース6への組み付けについて
図4を用いて説明する。
【0064】
図4に示されるように、部品ケース1を外装ケース6へ組み付ける際には、部品ケース1の第2軸1cが支持部材6aの貫通孔6aaに上から挿入される。また部品ケース1の第1軸1bが底板6bの貫通孔6baに上から挿入される。
【0065】
この際、第2軸1cは第1軸1bよりも軸方向に長い。このため、第1軸1bが貫通孔6baに挿入される前に、第2軸1cが貫通孔6aaに挿入される。これにより第2軸1cが貫通孔6aaに挿入されることにより部品ケース1が外装ケース6に対して吊された状態となる。部品ケース1が外装ケース6に吊された状態で、第1軸1bを貫通孔6baに挿入することができる。このため貫通孔6baへの第1軸1bの挿入が容易となる。
【0066】
この後、部品ケース1は、
図5に示されるように、たとえばネジ7a、7bにより外装ケース6に固定される。ネジ7aは、中継固定部1eの貫通孔1eaに挿入された後に支持部材6aのネジ穴6abにねじ込まれる。またネジ7bは、固定部1fの貫通孔1faに挿入された後に固定金具6bbのネジ穴6bcにねじ込まれる。
【0067】
以上により、部品ケース1が外装ケース6に組み付けられる。
<メンテナンス時における部品ケースの外装ケースに対する回転動作>
次に、給湯装置10のメンテナンス時において、部品ケース1が外装ケース6に対して回転する動作について
図1、
図5および
図6を用いて説明する。
【0068】
給湯装置10の故障などで、水通路部品(パイプ、水量センサ、ポンプなど)の取り外しが必要な場合がある。この場合、給湯装置10の外装ケース6の前板が取り外されて、
図1に示されるように外装ケース6の内部が外部から見える状態となる。
【0069】
この状態では、部品ケース1は、部品ケース1の全体が外装ケース6の内部空間に位置する収納姿勢をとっている。この収納姿勢においては、部品ケース1の第1側部1saが外装ケース6の第1側板6sa側に位置するとともに、部品ケース1の第2側部1sbが外装ケース6の第2側板6sb側に位置している。
【0070】
この状態から、
図5に示されるように、部品ケース1を外装ケース6に固定しているネジ7a、7bが取り外される。これにより部品ケース1が外装ケース6に対して回転可能な状態となる。
【0071】
部品ケース1は外装ケース6に対して回転軸線RA(
図1)を中心として自重により回転可能である。このため作業者が部品ケース1を移動させなくても、部品ケース1は自動的に回転を開始する。
【0072】
この回転により部品ケース1は、
図6に示されるように部品ケース1の第2側部1sb側が外装ケース6の外部に出た回転姿勢をとる。この回転姿勢においては、部品ケース1の第2側部1sbが第1側部1saよりも前方に位置している。
【0073】
部品ケース1がこの回転姿勢にある状態では、作業者が外装ケース6の前方からメンテナンス作業をする際に部品ケース1は邪魔になりにくい。よって作業者によるメンテナンス作業が容易となる。
【0074】
<部品ケースが自重で回転する原理>
次に、部品ケース1が上記収納姿勢から回転姿勢へ自重で回転する原理について
図7および
図8を用いて説明する。
【0075】
図7に示されるように、部品ケース1が正面視において矩形の形状を有する場合を想定する。また、この矩形の部品ケース1が、回転軸線RAに沿う第1の辺1s1と、第1の辺1s1に平行な第2の辺1s2と、第1および第2の辺1s1、1s2に直交し互いに平行な第3および第4の辺1s3、1s4とを有する場合を想定する。
【0076】
部品ケース1は、回転軸線RAを中心として回転することにより、実線で示す状態A1と破線で示す状態B1との間で移動可能である。ここで部品ケース1の回転軸線RAは傾斜している。このため状態A1において、部品ケース1は、回転軸線RAから図中左斜め上方向に向かって延びている。一方、状態B1において、部品ケース1は、回転軸線RAから図中右斜め下方向に向かって延びている。
【0077】
上記より、状態A1における部品ケース1の位置エネルギーは、状態B1における部品ケース1の位置エネルギーよりも大きくなっている。また状態A1にある部品ケース1の重心Gは、状態B1にある部品ケース1の重心Gよりも鉛直方向の上方に位置している。よって部品ケース1は、大きい位置エネルギーを有する状態A1から小さい位置エネルギーを有する状態B1へ移動しようとする。したがって部品ケース1は、部品ケース1の自重により状態A1から状態B1へ自動的に回転する。
【0078】
次に、
図8に示されるように、部品ケース1において第1軸1bと第2軸1cとが軸方向にずれている場合を想定する。また第1軸1bの下端1b1と第2軸1cの上端1c1とが固定部分に支持されていると想定する。
【0079】
この場合、部品ケース1は、第1軸1bの下端1b1と第2軸1cの上端1c1とを結ぶ仮想の回転軸線RAを中心として回転する。この回転により、部品ケース1は、実線で示す状態A2と破線で示す状態B2との間で移動可能である。
【0080】
ここで部品ケース1の回転軸線RAは
図7の同様、傾斜している。このため状態A2における部品ケース1の姿勢と、状態B2における部品ケース1の姿勢とは異なる。状態A2における部品ケース1の位置エネルギーは、状態B2における部品ケース1の位置エネルギーよりも大きくなっている。また状態A2にある部品ケース1の重心Gは、状態B2にある部品ケース1の重心Gよりも鉛直方向の上方に位置している。
【0081】
図8に示す構成においても、
図7と同様、部品ケース1は、大きい位置エネルギーを有する状態A2から小さい位置エネルギーを有する状態B2へ移動しようとする。したがって部品ケース1は、部品ケース1の自重により状態A2から状態B2へ自動的に回転する。
【0082】
<本実施の形態の効果>
次に、本実施の形態の効果について説明する。
【0083】
本実施の形態によれば
図1に示されるように、部品ケース1の回転軸線RAが下方から上方に向かうほど第1側板6saに近付くように第1側板6saに対して傾斜している。これにより部品ケース1は部品ケース1の自重で回転軸線RAを中心に回転可能である。このため部品ケース1は、メンテナンス作業の邪魔になりにくい位置まで自重で回転し、容易には元の状態に戻らないようにすることができる。これによりメンテナンス作業時に部品ケース1が邪魔になりにくく、部品ケース1内の部品が水に濡れにくくなる。このため、メンテナンス作業が容易な給湯装置10を実現することができる。
【0084】
また部品ケース1を外装ケース6から取り外す必要が無く、部品ケース1を回転させるだけでよいため、部品ケース1に接続されたコネクタを取り外す必要も無い。
【0085】
また本実施の形態によれば
図1に示されるように、外装ケース6は、第1側板6saに対向する第2側板6sbを有している。部品ケース1は、第1側部1saと第2側部1sbとを有している。部品ケース1は、回転軸線RAを中心に回転することにより、第1側部1saが第1側板6sa側に位置するとともに第2側部1sbが第2側板6sb側に位置する収納姿勢(
図5)と、第2側部1sbが第1側部1saよりも前方に位置する回転姿勢(
図6)との間で移動可能である。このように部品ケース1が自重で回転姿勢(
図6)に移動し、容易に収納姿勢(
図5)に戻らないため、メンテナンス作業時に部品ケース1が邪魔になりにくく、部品ケース1内の部品が水に濡れにくくなる。このため、メンテナンス作業が容易な給湯装置10を実現することができる。
【0086】
また本実施の形態によれば、
図5に示される収納姿勢における部品ケース1の重心の位置は、
図6に示される回転姿勢における部品ケース1の重心の位置よりも鉛直方向の上側に位置している。これにより収納姿勢における部品ケース1の位置エネルギーが回転姿勢における部品ケース1の位置エネルギーよりも大きくなる。このため部品ケース1は、収納姿勢から回転姿勢となるように自重で回転し、容易に収納姿勢に戻らない。これによりメンテナンス作業時に部品ケース1が邪魔になりにくく、部品ケース1内の部品が水に濡れにくくなる。このため、メンテナンス作業が容易な給湯装置10を実現することができる。
【0087】
また本実施の形態によれば
図1に示されるように、第1軸1bと第2軸1cとは軸方向に互いにずれて配置されている。このため、第1軸1bの軸線方向を底板6bの延在方向に対して直交するように配置することができる。ここで第1軸1bが挿入される貫通孔6baは、たとえばバーリング加工により底板6bに形成される。このバーリング加工により貫通孔6baの縁には、外装ケース6の内部空間に突き出した筒状のフランジが形成される。上記のように第1軸1bの軸線方向が底板6bの延在方向に対して直交する場合、バーリング加工により形成される筒状のフランジ部も底板6bの延在方向に対して直交するように形成すればよい。このため底板6bに形成される貫通孔6baの加工が容易になる。
【0088】
また本実施の形態によれば
図1に示されるように、第2軸1cは、上端と下端とを有し、上端にて中継固定部1eを介在してケース本体1aに接続され、かつ上端から下端に向かって下方に延びて支持部材6aの貫通孔6aaに挿入されている。これにより第1軸1bを底板6bの貫通孔6baに上方から挿入するとともに、第2軸1cを支持部材6aの貫通孔6aaに上方から挿入することができる。このため部品ケース1を支持部材6aおよび底板6bに対して下方に移動させることにより部品ケース1を外装ケース6に組み付けることができる。よって部品ケース1を底板6bおよび支持部材6aに組み付ける作業が容易となる。
【0089】
また本実施の形態によれば
図2に示されるように、第2軸1cの軸方向長さLBは、第1軸1bの軸方向長さLAよりも長い。これにより第1軸1bの上方に位置する第2軸1cを貫通孔6aaに挿入して部品ケース1を外装ケース6に対して吊した状態で、下方に位置する第1軸1bを貫通孔6baに挿入することができる。このため貫通孔6baへの第1軸1bの挿入が容易となる。
【0090】
また本実施の形態によれば
図1に示されるように、第2軸1cはケース本体1aと第1側板6saとの間に位置している。これにより第2軸1cを支持部材6aの貫通孔6aaに挿入することが可能となる。また部品ケース1の成形加工が容易となる。
【0091】
<変形例>
上記の実施の形態においては第1軸1bと第2軸1cとが軸方向に互いにずれている構成について説明したが、第1軸1bの軸線と第2軸1cの軸線とが同一直線状に配置されていてもよい。このような構成を変形例として
図9〜
図11を用いて以下に説明する。
【0092】
図9に示されるように、本変形例の部品ケース1は、第1軸1bの軸線C1と第2軸1cの軸線C1とが同一直線状に配置されている。第2軸1cは、ケース本体1aに直接接続されている。第2軸1cは、ケース本体1aの上端に接続され、ケース本体1aの上端から上方へ延びている。
【0093】
図10に示されるように、本変形例の部品ケース1を支持する支持部材6aは貫通孔6aaを有している。貫通孔6aaは長孔である。貫通孔6aaにおける横方向の寸法D1は、貫通孔6aaにおける前後方向の寸法D2よりも大きい。横方向とは、
図1において外装ケース6の第1側板6saと第2側板6sbとが互いに向かい合う方向である。また前後方向とは、
図1において外装ケース6の前板と後板6rとが互いに向かい合う方向である。
【0094】
上記においては支持部材6aの貫通孔6aaが横長の長孔である場合について説明したが、貫通孔6aaが長孔ではなく、底板6bに設けられる貫通孔6baが横長の長孔であってもよい。また貫通孔6aaおよび貫通孔6baの双方が横長の長孔であってもよい。
【0095】
なお本変形例の構成は、上記以外の構成について
図1〜
図3に示す実施の形態の構成とほぼ同じであるため同一の要素については同一の符号を付し、その説明を繰り返さない。
【0096】
図11に示されるように、本変形例においては支持部材6aに設けられる貫通孔6aaが横長の長孔であるため、部品ケース1の外装ケース6の組み付けが容易となる。具体的には以下のとおりである。
【0097】
本変形例において部品ケース1を外装ケース6に組み付ける場合、まず部品ケース1の第1軸1bが底板6bの貫通孔6baに挿入される。この後、第2軸1cが貫通孔6aaに挿入される。このとき貫通孔6aaが横長の長孔になっているため、貫通孔6aaの図中右端から第2軸1cを挿入することが容易となる。これにより部品ケース1を外装ケース6に組み付ける作業が容易となる。
【0098】
<変形例の効果>
次に、本変形例の効果について説明する。
【0099】
本変形例によれば
図9に示されるように、第1軸1bの軸線C1と第2軸1cの軸線C1とは同一の直線状に位置している。これにより第1軸1bの軸線C1と第2軸1cの軸線C1とが回転軸線RAとなる。このため回転軸線RAを想定することが容易となり、部品ケース1などの設計が容易となる。
【0100】
また本変形例によれば
図11に示されるように、外装ケース6(底板6b)および支持部材6aの少なくとも一方には長孔が設けられており、第1軸1bおよび第2軸1cの少なくとも一方の軸は長孔に挿入されている。これにより部品ケース1の外装ケース6への組み付けが容易となる。
【0101】
また本変形例によれば
図11に示されるように、長孔6aaは支持部材6aに設けられている。これにより第2軸1cを支持部材6aの長孔6aaに挿入することが容易となり、部品ケース1の外装ケース6への組み付けが容易となる。
【0102】
また本変形例によれば
図9に示されるネジ穴1faに挿入されるネジ7bだけで部品ケース1が外装ケース6に固定される。このため部品点数を減らすことができ、組み立て工数およびメンテナンス時の作業工数を減らすことができる。
【0103】
上記の実施の形態および変形例においては、第1軸1bを挿入する部分として貫通孔6baについて説明したが、第1軸1bを挿入できる構成であれば底板6bを貫通していない凹部が採用されてもよい。また第1軸1bを支持する部分は、貫通孔6baまたは凹部に限定されず、第1軸1bを回転可能に支持できる構成を有していればよい。
【0104】
また第2軸1cを挿入する部分として貫通孔6aaについて説明したが、第2軸1cを挿入できる構成であれば支持部材6aを貫通していない凹部が採用されてもよい。また第2軸1cを支持する部分は、貫通孔6aaまたは凹部に限定されず、第2軸1cを回転可能に支持できる構成を有していればよい。
【0105】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。