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特開2020-187063判定装置、レーダシステムおよび判定方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-187063(P2020-187063A)
(43)【公開日】2020年11月19日
(54)【発明の名称】判定装置、レーダシステムおよび判定方法
(51)【国際特許分類】
   G01S 7/40 20060101AFI20201023BHJP
   G01S 13/931 20200101ALI20201023BHJP
【FI】
   G01S7/40 121
   G01S13/93 220
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2019-93111(P2019-93111)
(22)【出願日】2019年5月16日
(71)【出願人】
【識別番号】000237592
【氏名又は名称】株式会社デンソーテン
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大北 真義
【テーマコード(参考)】
5J070
【Fターム(参考)】
5J070AE01
5J070AE09
5J070AF03
5J070AH23
5J070AK06
5J070AK35
(57)【要約】
【課題】レーダ装置の取り付け位置を自己判定することができる判定装置、レーダシステムおよび判定方法を提供する。
【解決手段】実施形態の一態様に係る判定装置においては、検出部と、取付位置判定部とを備える。検出部は、レーダ装置に対する電波の干渉状態であって、所定位置に取り付けられた他のレーダ装置から出力される電波の干渉状態を検出する。取付位置判定部は、検出部によって検出される干渉状態に基づいて、レーダ装置の取り付け位置を判定する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーダ装置に対する電波の干渉状態であって、所定位置に取り付けられた他のレーダ装置から出力される電波の前記干渉状態を検出する検出部と、
前記検出部によって検出される前記干渉状態に基づいて、前記レーダ装置の取り付け位置を判定する取付位置判定部と
を備えることを特徴とする判定装置。
【請求項2】
前記取付位置判定部は、
前記検出部によって前記他のレーダ装置から出力される電波と干渉していることを示す前記干渉状態が検出された場合、前記レーダ装置の取り付け位置は前記所定位置側であると判定すること
を特徴とする請求項1に記載の判定装置。
【請求項3】
前記レーダ装置は、
互いに通信可能に接続された別のレーダ装置の取り付け位置を取得する取付位置取得部
をさらに備え、
前記取付位置判定部は、
前記取付位置取得部によって取得される前記別のレーダ装置の取り付け位置に基づき、前記レーダ装置の取り付け位置が前記所定位置側であるか否かを判定すること
を特徴とする請求項1または2に記載の判定装置。
【請求項4】
前記取付位置取得部は、
予め対応付けされた所定の前記別のレーダ装置の取り付け位置を取得し、
前記取付位置判定部は、
前記取付位置取得部によって取得される前記別のレーダ装置の取り付け位置が前記所定位置側である場合、前記レーダ装置の取り付け位置も前記所定位置側であると判定すること
を特徴とする請求項3に記載の判定装置。
【請求項5】
前記レーダ装置は、
互いに通信可能に接続された別のレーダ装置の前記干渉状態を取得する干渉状態取得部と、
前記検出部によって検出される前記干渉状態と、前記干渉状態取得部によって取得される前記別のレーダ装置の干渉状態とに基づいて、前記レーダ装置および前記他のレーダ装置の少なくともいずれかにおける異常の有無を判定する異常判定部
をさらに備えることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の判定装置。
【請求項6】
前記異常判定部は、
前記他のレーダ装置から出力される電波と干渉していることを示す前記干渉状態が検出されるレーダ装置の個数が、予め設定された所定個数と異なる場合、前記レーダ装置および前記他のレーダ装置の少なくともいずれかに異常があると判定すること
を特徴とする請求項5に記載の判定装置。
【請求項7】
レーダ装置と、
前記レーダ装置とは異なる他のレーダ装置と、
前記レーダ装置の取り付け位置を判定する判定装置と
を備え、
前記判定装置は、
前記レーダ装置に対する電波の干渉状態であって、所定位置に取り付けられた前記他のレーダ装置から出力される電波の前記干渉状態を検出する検出部と、
前記検出部によって検出される前記干渉状態に基づいて、前記レーダ装置の取り付け位置を判定する取付位置判定部と
を備えることを特徴とするレーダシステム。
【請求項8】
レーダ装置に対する電波の干渉状態であって、所定位置に取り付けられた他のレーダ装置から出力される電波の前記干渉状態を検出する検出工程と、
前記検出工程によって検出される前記干渉状態に基づいて、前記レーダ装置の取り付け位置を判定する取付位置判定工程と
を含むことを特徴とする判定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、判定装置、レーダシステムおよび判定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば車両の周囲へ電波を送信し、送信した電波が物標で反射した反射波に基づいて物標を検出するレーダ装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−237464号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、従来技術に係るレーダ装置にあっては、例えば車両に取り付けられた場合、車両のどの位置に取り付けられたかを自己判定することができなかった。そのため、例えば、従来技術においては、レーダ装置に対して取り付け位置を設定する作業などが必要になり、工数の増加を招くおそれがあった。このように、レーダ装置の取り付け位置を自己判定することができる技術が望まれていた。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、レーダ装置の取り付け位置を自己判定することができる判定装置、レーダシステムおよび判定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、レーダ装置において、検出部と、取付位置判定部とを備える。検出部は、レーダ装置に対する電波の干渉状態であって、所定位置に取り付けられた他のレーダ装置から出力される電波の前記干渉状態を検出する。取付位置判定部は、前記検出部によって検出される前記干渉状態に基づいて、前記レーダ装置の取り付け位置を判定する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、レーダ装置の取り付け位置を自己判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態に係る判定装置の判定方法の概要を示す図である。
図2図2は、レーダシステムの構成例を示すブロック図である。
図3図3は、レーダ装置の構成例を示すブロック図である。
図4図4は、レーダ装置が実行する処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して、本願の開示する判定装置、レーダシステムおよび判定方法の実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0010】
<1.判定装置による判定方法の概要>
以下では先ず、実施形態に係る判定装置による判定方法の概要について図1を参照して説明する。図1は、実施形態に係る判定装置の判定方法の概要を示す図である。
【0011】
なお、図1には、位置関係を明確にするために、互いに直交するX軸方向、Y軸方向およびZ軸方向を規定し、Z軸正方向を鉛直上向き方向とする3次元の直交座標系が示される。また、X軸正方向を車両Cの「右方、右側」、X軸負方向を「左方、左側」、Y軸正方向を車両Cの「前方、前側」、Y軸負方向を「後方、後側」と記載する場合もある。
【0012】
実施形態に係る判定方法は、例えば判定装置を備えたレーダ装置10によって実行される。具体的に説明すると、図1に示すように、レーダシステム100は、レーダ装置10と、レーダ装置10とは異なる他のレーダ装置20とを備える。
【0013】
レーダ装置10および他のレーダ装置20は、自動車などの車両Cに搭載される。例えば、レーダ装置10は、複数あり、車両Cの側方に取り付けられる。詳しくは、レーダ装置10は、車両Cの前側の左右の側方、および、後側の左右の側方にそれぞれ1個ずつ合計4個、車両Cに取り付けられる。
【0014】
図1では、車両Cの前側の右方のレーダ装置10を「レーダ装置10FR」、車両Cの前側の左方のレーダ装置10を「レーダ装置10FL」、車両Cの後側の右方のレーダ装置10を「レーダ装置10RR」、車両Cの後側の左方のレーダ装置10を「レーダ装置10RL」として示している。なお、レーダ装置10は、おのおの同一の装置である。そのため、各レーダ装置10は、後述する取り付け位置の判定処理を実行するまでは、車両Cにおける自身の取り付け位置が不明な状態である。
【0015】
他のレーダ装置20は、車両Cの前方に取り付けられる。なお、以下では、他のレーダ装置20を「前方レーダ装置20」と記載する場合がある。また、前方レーダ装置20が取り付けられた車両Cの「前方位置」は、所定位置の一例である。
【0016】
レーダ装置10および前方レーダ装置20は、車両Cの周囲へ電波を送信し、送信した電波が障害物などの物標で反射した反射波に基づいて物標を検出することができる。図1では、レーダ装置10から送信される電波の範囲を送信範囲R1として示している。また、前方レーダ装置20から送信される電波の範囲を送信範囲R2として示している。
【0017】
図1に示すように、車両Cの前側の左右の側方に取り付けられたレーダ装置10は、送信範囲R1の一部が、前方レーダ装置20の送信範囲R2と重畳するように配置される。他方、車両Cの後側の左右の側方に取り付けられたレーダ装置10は、送信範囲R1が前方レーダ装置20の送信範囲R2と重畳しないように配置される。なお、レーダ装置10で使用される電波と、前方レーダ装置20で使用される電波とは、周波数帯が互いに異なるように設定され、互いに識別できるようにしている。
【0018】
本実施形態にあっては、上記したレーダ装置10が、取り付け位置を自己判定することができるような構成とした。以下、かかる構成について詳しく説明する。なお、ここでは、車両Cの前側の右方に取り付けられたレーダ装置10(10FR)を例にとって説明を行う。
【0019】
レーダ装置10は、先ずレーダ装置10に対する電波の干渉状態を検出する、詳しくは、車両Cの前方位置に取り付けられた前方レーダ装置20から出力される電波の干渉状態を検出する(ステップS1)。
【0020】
具体的には、送信範囲R1と送信範囲R2とが重複する領域に物標Aが存在する場合、前方レーダ装置20から出力される電波(送信波B1)は、物標Aに当たって反射し、反射波B2はレーダ装置10でも受信される。
【0021】
このとき、レーダ装置10は、前方レーダ装置20から出力される電波と干渉していることを示す干渉状態を検出する。ここで、「電波と干渉していることを示す干渉状態」とは、例えば、レーダ装置10において、自身が使用する電波とは異なる電波(正確には反射波)を受信した状態を意味する。また、上記した「干渉状態」には、前方レーダ装置20から出力される電波と干渉していないことを示す干渉状態も含まれる。
【0022】
次に、レーダ装置10は、検出された干渉状態に基づいて、取り付け位置を自己判定する(ステップS2)。例えば、図1に示す例では、レーダ装置10は、前方レーダ装置20から出力される電波と干渉していることを示す干渉状態が検出され、かかる場合、レーダ装置10の取り付け位置は前方位置側、すなわち車両Cの前方であると判定する。
【0023】
なお、図示は省略するが、車両Cの後側の右方に取り付けられたレーダ装置10(10RR)の場合、前方レーダ装置20から出力される電波と干渉していないことを示す干渉状態が検出される。よってレーダ装置10(10RR)は、自装置の取り付け位置は前方位置側ではなく、車両Cの後方であると判定する。
【0024】
このように、本実施形態に係るレーダ装置10にあっては、前方レーダ装置20(他のレーダ装置の一例)から出力される電波の干渉状態を検出し、検出された干渉状態に基づいてレーダ装置10の取り付け位置を判定するようにした。
【0025】
これにより、本実施形態にあっては、レーダ装置10の取り付け位置を自己判定することができる。
【0026】
<2.レーダシステムの構成>
次に、実施形態に係るレーダシステム100の構成について、図2を用いて説明する。図2は、レーダシステム100の構成例を示すブロック図である。なお、図2などのブロック図では、本実施形態の特徴を説明するために必要な構成要素のみを機能ブロックで表しており、一般的な構成要素についての記載を省略している。
【0027】
換言すれば、図2などのブロック図に図示される各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。例えば、各機能ブロックの分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することが可能である。
【0028】
図2に示すように、レーダシステム100は、レーダ制御装置1と、上記した前方レーダ装置20と、複数(ここでは4個)のレーダ装置10とを備える。
【0029】
レーダ制御装置1は、例えば、記憶デバイス、マイクロコンピュータなどを有する装置であって、前方レーダ装置20やレーダ装置10などを統括的に制御する装置である。レーダ制御装置1は、例えば前方レーダ装置20やレーダ装置10の起動信号など各種の信号を出力することができる。
【0030】
また、レーダ制御装置1は、前方レーダ装置20と通信線2を介して通信可能に接続され、各種の信号を前方レーダ装置20へ出力する。
【0031】
また、レーダ制御装置1は、4個のレーダ装置10のうちの一部、詳しくは2個のレーダ装置10と通信線2を介して通信可能に接続される。そして、レーダ制御装置1は、各種の信号を通信線2で接続された2個のレーダ装置10へ出力する。以下では、4個のレーダ装置10のうち、レーダ制御装置1から信号が直接入力されるレーダ装置10をマスタレーダと記載する場合がある。なお、通信線2としては、具体的にはCAN(Controller Area Network)などの通信バスを用いることができる。
【0032】
また、4個のレーダ装置10のうち、レーダ制御装置1と通信線2を介して接続されていない2個のレーダ装置10は、マスタレーダである2個のレーダ装置10と予め対応付けられて、通信線5,6を介して通信可能に接続される。
【0033】
このとき、マスタレーダであるレーダ装置10(10FR,10RR)は、レーダ制御装置1と、通信線5,6で接続されたレーダ装置10(10FL,10RL)との信号のやり取りを仲介する。具体的には、マスタレーダであるレーダ装置10(10FR,10RR)は、レーダ装置10(10FL,10RL)から通信線5,6を介して入力された各種信号を、通信線2を介してレーダ制御装置1へ出力する。同様に、マスタレーダであるレーダ装置10(10FR,10RR)は、レーダ制御装置1から通信線2を介して入力された各種信号を、通信線5,6を介してレーダ装置10(10FL,10RL)へ出力する。以下では、4個のレーダ装置10のうち、マスタレーダであるレーダ装置10(10FR,10RR)から信号が入力されるレーダ装置10(10FL,10RL)をスレーブレーダと記載する場合がある。
【0034】
ここで、一対(一組)のマスタレーダとスレーブレーダとは、車両Cにおいて予め設定された位置に取り付けられるようにする。
【0035】
これにより、本実施形態にあっては、レーダ装置10は、車両Cにおける取り付け位置を自己判定することが可能になる。
【0036】
以下、マスタレーダは車両Cの右方、スレーブレーダは車両Cの左方に取り付けられるように設定された場合を例に説明する。但し、レーダ装置10は、車両Cに取り付けられた時点では、車両Cにおける左右方向の取り付け位置が不明である。
【0037】
レーダ装置10は、レーダ制御装置1から各種の信号が直接入力された場合、自身がマスタレーダであると判定する。よってレーダ装置10は、自装置の取り付け位置が、少なくとも車両Cの右方であると自己判定することができる。他方、レーダ装置10は、各種の信号がレーダ制御装置1からではなく、別のレーダ装置10から入力された場合、自身がスレーブレーダであると判定する。よってレーダ装置10は、自装置の取り付け位置が、少なくとも車両Cの左方であると自己判定することができる。
【0038】
<3.レーダ装置の構成>
次いで、レーダ装置10の構成について図3を参照して説明する。図3は、レーダ装置10の構成例を示すブロック図である。図3に示すように、レーダ装置10は、制御装置21と、送信アンテナ22と、受信アンテナ23とを備える。なお、レーダ装置10としては、ミリ波レーダ装置を用いることができる。
【0039】
送信アンテナ22は、例えば、車両Cの周囲へ電波(送信波)を送信する。送信アンテナ22から車両Cの周囲に送信された送信波は、物標で反射されて反射波となる。受信アンテナ23は、例えば、反射波を受信波として受信し、受信した受信波を示す信号を制御装置21へ出力する。
【0040】
制御装置21は、制御部30と、記憶部40とを備える。なお、制御装置21は、判定装置として機能する。
【0041】
制御部30は、送信部31と、受信部32と、物標検出部33と、干渉状態検出部34と、取付位置判定部35と、干渉状態取得部36と、異常判定部37とを備える。制御部30は、CPU(Central Processing Unit)などを有するマイクロコンピュータである。
【0042】
送信部31は、送信アンテナ22を制御し、送信アンテナ22から送信波を送信させる。受信部32は、受信アンテナ23から出力された、受信波を示す信号を受信し、かかる信号を物標検出部33へ出力する。物標検出部33は、受信波を示す信号を解析処理し、障害物などの物標を検出する。
【0043】
干渉状態検出部34は、レーダ装置10に対する電波の干渉状態であって、前方レーダ装置20から出力される電波の干渉状態を検出する。例えば、干渉状態検出部34は、前方レーダ装置20から出力される電波が、物標による反射を介して受信された場合、前方レーダ装置20から出力される電波と干渉していることを示す干渉状態を検出する。
【0044】
前述のように、前方レーダ装置20と、レーダ装置10とは、電波を送信する際の周波数帯などを異ならせている。このため、前方レーダ装置20で送信した電波をレーダ装置10が受信した場合、ノイズレベルの増加や、異常な値の物標検出といった現象が現れる。異常な値の物標検出とは、例えば、静止物しかない環境で、高速に移動する物標が現れる、時系列で位置や速度が不連続となる物標が現れる、などである。
【0045】
レーダ装置10の干渉状態検出部34は、このような状況(現象)を検出することで、前方レーダ装置20から出力される電波と干渉していることを示す干渉状態を検出する。
【0046】
一方、干渉状態検出部34は、前方レーダ装置20から出力される電波(正確には物標で反射した反射波)が受信されない場合、前方レーダ装置20から出力される電波と干渉していないことを示す干渉状態を検出する。
【0047】
干渉状態検出部34は、検出された干渉状態を示す信号を、取付位置判定部35や異常判定部37へ出力する。なお、干渉状態検出部34は、検出部の一例である。
【0048】
取付位置判定部35は、検出された干渉状態に基づいて、取り付け位置を判定する。例えば、取付位置判定部35は、前方レーダ装置20から出力される電波と干渉していることを示す干渉状態が検出された場合、レーダ装置10の取り付け位置は前方レーダ装置20と同じ側であると判定する。具体的には、取付位置判定部35は、レーダ装置10の取り付け位置が車両Cの前方位置側であると判定する。
【0049】
また、例えば、取付位置判定部35は、前方レーダ装置20から出力される電波と干渉していないことを示す干渉状態が検出された場合、レーダ装置10の取り付け位置は前方レーダ装置20と異なる側であると判定する。具体的には、取付位置判定部35は、レーダ装置10の取り付け位置が車両Cの前方位置側ではない、すなわち車両Cの後方であると判定する。
【0050】
このように、本実施形態にあっては、前方レーダ装置20から出力される電波の干渉状態を検出することで、レーダ装置10の取り付け位置を自己判定することができる。
【0051】
ここで、本実施形態に係るレーダ装置10にあっては、上記した、対応付けられたマスタレーダとスレーブレーダとの関係を利用して、レーダ装置10の取り付け位置を判定してもよい。詳しく説明すると、図3に想像線で示すように、レーダ装置10の制御部30は、取付位置取得部38を備えてもよい。
【0052】
取付位置取得部38は、互いに通信可能に接続された別のレーダ装置10の取り付け位置を取得する。例えば、取付位置取得部38は、予め対応付けられた所定の別のレーダ装置10から取り付け位置を取得する。
【0053】
具体的には、マスタレーダであるレーダ装置10の取付位置取得部38は、自身のスレーブレーダとして予め対応付けられたレーダ装置10から取り付け位置(正確には取り付け位置の判定結果)を取得する。逆に、スレーブレーダであるレーダ装置10の取付位置取得部38は、自身のマスタレーダとして予め対応付けられたレーダ装置10から取り付け位置(正確には取り付け位置の判定結果)を取得する。そして、取付位置取得部38は、取得された取り付け位置を示す信号を、取付位置判定部35へ出力する。
【0054】
これにより、レーダ装置10の取付位置判定部35は、マスタ、もしくはスレーブの関係にある別のレーダ装置10の取り付け位置にも基づいて、自装置の取り付け位置を判定することができる。すなわち、マスタレーダとスレーブレーダとは、車両Cの左右側に取り付けられ、前後方向は同じ側、すなわち前方位置側か後方位置側のいずれかに取り付けられている。したがって、マスタレーダで取り付け位置が前方位置側と判定された場合、スレーブレーダの取り付け位置もマスタレーダと同様、前方位置側と判定することができる。逆に、スレーブレーダで取り付け位置が前方位置側と判定された場合、マスタレーダの取り付け位置も同様に、前方位置側と判定することができる。
【0055】
このように、本実施形態に係るレーダ装置10は、互いに通信可能に接続された別のレーダ装置10の取り付け位置を取得する取付位置取得部38をさらに備え、取付位置判定部35は、取付位置取得部38によって取得される別のレーダ装置10の取り付け位置に基づき、レーダ装置10(自装置)の取り付け位置が前方位置側であるか否かを判定してもよい。
【0056】
具体的には、取付位置取得部38は、予め対応付けされた所定の別のレーダ装置10の取り付け位置を取得する。そして、取付位置判定部35は、取付位置取得部38によって取得される別のレーダ装置10の取り付け位置が前方位置側である場合、レーダ装置10(自装置)の取り付け位置も前方位置側であると判定する。
【0057】
これにより、レーダ装置10は、別のレーダ装置10の取り付け位置に基づいて自装置の取り付け位置の判定処理を行うことができるため、取り付け位置を自己判定する処理を実行しなくてもよく、結果として処理負荷を軽減させることが可能になる。
【0058】
なお、取付位置取得部38は、別のレーダ装置10に対し、別のレーダ装置10の取り付け位置(取り付け位置の判定結果)を出力するように指示する指示信号を出力するよう構成する。また逆に、レーダ装置10は、自装置の取り付け位置(取り付け位置の判定結果)を所定のタイミングで出力するように構成し、取付位置取得部38は、別のレーダ装置10から出力される取り付け位置の判定結果を受信して取得するようにしてもよい。
【0059】
図3の説明を続けると、本実施形態に係るレーダ装置10は、干渉状態検出部34、干渉状態取得部36、異常判定部37等を備えることで、レーダ装置10や前方レーダ装置20の異常の有無を判定することができる。
【0060】
具体的には、干渉状態取得部36は、通信可能に接続された別のレーダ装置10の干渉状態を取得する。例えば、干渉状態取得部36は、別のレーダ装置10に対し、別のレーダ装置10の干渉状態(干渉状態の検出結果)を出力するように指示する指示信号を出力し、かかる指示信号に応じて別のレーダ装置10から出力された別のレーダ装置10の干渉状態(干渉状態の検出結果)を取得する。干渉状態取得部36は、取得された別のレーダ装置10の干渉状態を異常判定部37へ出力する。
【0061】
異常判定部37は、干渉状態検出部34によって検出される干渉状態と、干渉状態取得部36によって取得された別のレーダ装置10の干渉状態とに基づいて、レーダ装置10および前方レーダ装置20の少なくともいずれかにおける異常の有無を判定する。
【0062】
具体的には、異常判定部37は、前方レーダ装置20から出力される電波と干渉していることを示す干渉状態が検出されるレーダ装置10の個数が、自装置における検出状態も含め、予め設定された所定個数と異なる場合、レーダ装置10および前方レーダ装置20の少なくともいずれかに異常があると判定する。
【0063】
すなわち、図1を例に説明すると、複数のレーダ装置10のうち、前方位置側に取り付けられるレーダ装置10は2個である。そのため、前方レーダ装置20との電波の干渉を示す可能性があるレーダ装置10は2個である。したがって、上記した所定個数は、2個に設定される。
【0064】
次に、異常判定部37は、前方レーダ装置20の電波と干渉していることを示す干渉状態が検出されるレーダ装置10の個数を、自装置の干渉状態検出部34によって検出される干渉状態と、干渉状態取得部36によって取得された別のレーダ装置10の干渉状態とに基づいて算出する。
【0065】
前方レーダ装置20の電波と干渉していることを示す干渉状態が検出されるレーダ装置10の個数が1個の場合、前方位置側に取り付けられているレーダ装置10の片方が故障している可能性がある。
【0066】
上記した個数が0個である場合、前方位置側に取り付けられているレーダ装置10の両方が故障しているか、前方レーダ装置20が故障し、そもそも電波が送信されていない可能性がある。
【0067】
また、上記した個数が3個以上の場合は、後方位置側に取り付けられたレーダ装置10に軸ずれなどの異常がある可能性がある。このように、異常判定部37は、レーダ装置10や前方レーダ装置20に故障や取り付け位置のずれなどの異常があるか否かを判定する。
【0068】
このように、本実施形態にあっては、前方レーダ装置20から出力される電波の干渉状態を検出することで、レーダ装置10や前方レーダ装置20の異常の有無を判定することができる。
【0069】
記憶部40は、不揮発性メモリやハードディスクドライブといった記憶デバイスで構成される記憶部である。かかる記憶部40には、各種プログラムや設定データなどが記憶される。
【0070】
<4.レーダ装置の制御処理>
次に、レーダ装置10における具体的な処理手順について図4を用いて説明する。図4は、レーダ装置10が実行する処理手順を示すフローチャートである。
【0071】
図4に示すように、レーダ装置10の制御部30は、レーダ制御装置1から各種の信号が直接入力されたか否かを判定する(ステップS10)。制御部30は、レーダ制御装置1から信号が直接入力されたと判定された場合(ステップS10,Yes)、レーダ装置10は、マスタレーダであり、取り付け位置が車両Cの右方であると判定する(ステップS11)。
【0072】
一方、制御部30は、レーダ制御装置1から信号が直接入力されていないと判定された場合(ステップS10,No)、レーダ装置10は、スレーブレーダであり、取り付け位置が車両Cの左方であると判定する(ステップS12)。
【0073】
続いて、制御部30は、前方レーダ装置20の電波と干渉しているか否かを判定する(ステップS13)。制御部30は、前方レーダ装置20の電波と干渉していると判定された場合(ステップS13,Yes)、取り付け位置が車両Cの前方位置側であると判定する(ステップS14)。
【0074】
他方、制御部30は、前方レーダ装置20の電波と干渉していないと判定された場合(ステップS13,No)、取り付け位置が車両Cの後方位置側であると判定する(ステップS15)。
【0075】
上述してきたように、実施形態に係るレーダ装置10は、干渉状態検出部34と、取付位置判定部35とを備える。干渉状態検出部34は、レーダ装置10に対する電波の干渉状態であって、前方位置(所定位置)に取り付けられた前方レーダ装置20(他のレーダ装置)から出力される電波の干渉状態を検出する。取付位置判定部35は、干渉状態検出部34によって検出される干渉状態に基づいて、レーダ装置10の取り付け位置を判定する。これにより、レーダ装置の取り付け位置を自己判定することができる。
【0076】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0077】
10 レーダ装置
21 制御装置
30 制御部
34 干渉状態検出部
35 取付位置判定部
36 干渉状態取得部
37 異常判定部
38 取付位置取得部
100 レーダシステム
図1
図2
図3
図4