【課題を解決するための手段】
【0016】
上述の目的を達成するため、請求項1に記載の直流電源制御装置は、直流電源の両側に、第1スイッチと第2スイッチと直流電源で動作する負荷が直列に接続することより閉ループに形成される直流電源回路と、第2スイッチに並列に接続するバイパス電流制限回路とを備え、第1スイッチを閉じ制御した後、第2スイッチを閉じ制御して、直流電源を負荷へ接続し、第2スイッチを開制御した後、第1スイッチを開制御して、直流電源を負荷から遮断する直流電源制御装置であって、
操作摘みに取り付けられた第1アクチュエータと、第1アクチュエータの当接位置が前後方向に移動することにより第1コモン端子上で揺動する第1可動接片と、第1可動接片に形成された第1可動接点と、第1可動接点の移動軌跡上に配置され、第1可動接点に接離する第1固定接点を有するA極と、操作摘みに取り付けられた第2アクチュエータと、第2アクチュエータの当接位置が前後方向に移動することにより第2コモン端子上で揺動する第2可動接片と、第2可動接片に形成された第2可動接点と、第2可動接点の移動軌跡上に配置され、第2可動接点に接離する第2固定接点を有するB極とからなる2極式ロッカースイッチを備え、第1スイッチを、第1可動接片の前方に形成された前方第1可動接点と、前方第1可動接点に接離する前方第1固定接点で構成するとともに、第2スイッチを、第2可動接片の前方に形成された前方第2可動接点と、前方第2可動接点に接離する前方第2固定接点で構成し、第1アクチュエータの第1可動接片への当接位置を、第2アクチュエータの第2可動接片への当接位置より前方にオフセットし、若しくは第2コモン端子を第1コモン端子より前方にオフセットした位置に配置し、
第1アクチュエータと第2アクチュエータを前方へ移動させる操作摘みのON操作で、前方第1可動接点と前方第1固定接点間が接続した後、前方第2可動接点と前方第2固定接点間が接続し、第1アクチュエータと第2アクチュエータを後方へ移動させる操作摘みのOFF操作で、前方第2可動接点と前方第2固定接点間が遮断した後、前方第1可動接点と前方第1固定接点間が遮断することを特徴とする。
【0017】
第1アクチュエータと第2アクチュエータを前方へ移動させる操作摘みのON操作で、先に、第1可動接片の前方に形成された前方第1可動接点が、前方第1固定接点に接触し、A極の第1スイッチが閉じ制御される。このとき、第2可動接片の前方第2可動接点は、前方第2固定接点から離れた位置にあるので、B極の第2スイッチは開制御されている。従って、直流電源と負荷は、バイパス電流制限回路を介して接続し、第1スイッチを閉じ制御する際には、バイパス電流制限回路で低電流に制御可能な直流電流が流れ、前方第1可動接点と前方第1固定接点間が接触する際にアーク放電は発生しない。
【0018】
続く操作摘みの0N操作によって、第2可動接片の前方に形成された前方第2可動接点が、遅れて前方第2固定接点に接触し、B極の第2スイッチが閉じ制御され、直流電源回路の直流電源と負荷が接続し、直流電源から負荷に直流電流が流れる。第2スイッチの接点間の電圧は、バイパス電流制限回路の両端の電圧であり、直流電源から流れる直流電流は、バイパス電流制限回路に流れているので、前方第2可動接点と前方第2固定接点間が接触する際にアーク放電は発生しない。
【0019】
操作摘みのON操作位置から、第1アクチュエータと第2アクチュエータを後方へ移動させるOFF操作で、先に第2可動接片に形成された前方第2可動接点が、前方第2固定接点から切り離され、B極の第2スイッチが開制御される。このとき第1スイッチは、閉じ制御されているので、直流電源から流れる直流電流はバイパス電流制限回路を流れ、前方第2可動接点と前方第2固定接点間が切り離される際にアーク放電は発生しない。
【0020】
続く操作摘みの0FF操作によって、第1可動接片に形成された前方第1可動接点が、遅れて前方第1固定接点から切り離され、A極の第1スイッチが開制御される。このとき、B極の第2スイッチは開制御され、第1スイッチの接点間には、バイパス電流制限回路で制限される低電流の直流電流が流れているだけなので、前方第1可動接点と前方第1固定接点間が切り離される際にもアーク放電は発生しない。
【0021】
請求項2に記載の直流電源制御装置は、バイパス電流制限回路が、第2スイッチに並列にドレインとソースが接続し、第1スイッチを閉じ制御している間にゲートに加わるゲート電圧V
GSでドレイン、ソース間の電流を制御する絶縁ゲート形電界効果トランジスタを備えていることを特徴とする。
【0022】
絶縁ゲート形電界効果トランジスタのゲートに加わるゲート電圧V
GSで、バイパス電流制限回路に流れる直流電流が制御される。
【0023】
絶縁ゲート形電界効果トランジスタのスイッチングタイムは、長くても数10nsであり、第1アクチュエータの第1可動接片への当接位置を、第2アクチュエータの第2可動接片への当接位置より前方にオフセットし、若しくは第2コモン端子を第1コモン端子より前方にオフセットした位置に配置することによって生じさせる数msから数10msの第1スイッチと第2スイッチの開閉動作時間差に比べて十分に短い。従って、操作摘みのON操作で、第1スイッチがON制御された後、第2スイッチがON制御される前に、絶縁ゲート形電界効果トランジスタのドレイン−ソース間に流れる直流電流を制御できる。
【0024】
請求項3に記載の直流電源制御装置は、絶縁ゲート形電界効果トランジスタが、ドレインとソースをそれぞれ、前方第2固定接点と第2可動接片に接続したNチャネル絶縁ゲート形電界効果トランジスタであり、バイパス電流制限回路は、Nチャネル絶縁ゲート形電界効果トランジスタのドレインに接続された第1コンデンサと、第1コンデンサの他側とソース間に接続された第1抵抗とを更に備え、第1コンデンサと第1抵抗との接続点の電圧をNチャネル絶縁ゲート形電界効果トランジスタのゲートに加え、Nチャネル絶縁ゲート形電界効果トランジスタを能動状態で動作させることを特徴とする。
【0025】
操作摘みのON操作で、A極の前方第1可動接点と前方第1固定接点間が接触し、第1スイッチが閉じ制御される際に、B極の第2スイッチは開制御されているので、第1スイッチが閉じ制御される瞬間に、直流電源から第1コンデンサを充電する充電電流が直列に接続される第1抵抗に流れる。その結果、Nチャネル絶縁ゲート形電界効果トランジスタのゲートに、Nチャネル絶縁ゲート形電界効果トランジスタを能動状態とするゲート電圧V
GSが加わり、ドレインとソース間に低電流に制限された直流電流が流れる。
【0026】
続く操作摘みの0N操作によって、第2可動接片の前方に形成された前方第2可動接点が、遅れて前方第2固定接点に接触する際の接点間の電圧は、Nチャネル絶縁ゲート形電界効果トランジスタのドレインとソース間の電圧であり、低電流に制御された直流電流がNチャネル絶縁ゲート形電界効果トランジスタのドレインとソース間に流れているので、前方第2可動接点と前方第2固定接点間が接触する際にアーク放電は発生しない。
【0027】
ON操作位置から、操作摘みのOFF操作で、前方第2可動接点が、先に前方第2固定接点から切り離される際にも、前方第2固定接点に接触する際の接点間の電圧は、Nチャネル絶縁ゲート形電界効果トランジスタのドレインとソース間の電圧であり、低電流に制限された直流電流が、Nチャネル絶縁ゲート形電界効果トランジスタのドレインとソース間に流れるので、前方第2可動接点と前方第2固定接点間が接触する際にアーク放電は発生しない。
【0028】
続く操作摘みの0FF操作によって、前方第1可動接点が、遅れて前方第1固定接点から切り離されるが、両者の接点間には、Nチャネル絶縁ゲート形電界効果トランジスタで制御される低電流の直流電流が流れるだけなので、前方第1可動接点と前方第1固定接点間が切り離される際にもアーク放電は発生しない。
【0029】
請求項4に記載の直流電源制御装置は、2極式ロッカースイッチが、2極双投式ロッカースイッチであり、2極双投式ロッカースイッチのB極は、第2可動接片の後方に形成された後方第2可動接点と、後方第2可動接点の移動軌跡上に配置され、操作摘みのON操作で、前方第1可動接点と前方第1固定接点間が接続する前に、後方第2可動接点に接続し、操作摘みのOFF操作で、前方第1可動接点と前方第1固定接点間が遮断される前に、後方第2可動接点に接続する後方第2固定接点とを更に有し、前方第1固定接点を、直流電源の高圧側に接続し、第1可動接片を、直流電源回路を介して前方第2固定接点に接続するとともに、後方第2固定接点を、第1コンデンサと第1抵抗との接続点に接続したことを特徴とする。
【0030】
操作摘みのOFF操作位置からのON操作で、第1可動接片の前方第1可動接点と前方第1固定接点間が接触する際に、第2可動接片の後方第2可動接点は後方第2固定接点に接続していて、Nチャネル絶縁ゲート形電界効果トランジスタのドレインとソースは等電位で、ドレインとソース間に直流電流は流れず、B極の第2スイッチも開制御されているので、前方第1可動接点は、直流電源と遮断されている。その後、第1スイッチが閉じ制御されることにより、第1コンデンサを充電する充電電流が流れる。
【0031】
続く操作摘みの0N操作によって、後方第2可動接点が後方第2固定接点から切り離されると、第1コンデンサを充電する充電電流が第1抵抗に流れ、Nチャネル絶縁ゲート形電界効果トランジスタのゲートにゲート電圧V
GSが加わることによつて、Nチャネル絶縁ゲート形電界効果トランジスタは能動状態で動作し、ドレインとソース間に低電流に制御された直流電流が流れる。
【0032】
続く操作摘みの0N操作によって、前方第2可動接点が前方第2固定接点に接触する際に、 第2スイッチに並列に接続するバイパス電流制限回路には、低電流に制御された直流電流が流れるだけなので、その間にアーク放電は発生しない。操作摘みが、前方第2可動接点が前方第2固定接点に接触するON操作位置に達すると、第1スイッチと第2スイッチが閉じ制御される直流電源回路を介して直流電源から負荷へ直流電力が給電される。このとき、Nチャネル絶縁ゲート形電界効果トランジスタのドレインとソースは、前方第2固定接点と前方第2固定接点が接触して短絡することにより等電位となり、バイパス電流制限回路のドレインとソース間に直流電流は流れない。
【0033】
ON操作位置から、操作摘みのOFF操作で、先に前方第2可動接点が前方第2固定接点から切り離され、その瞬間に第1コンデンサを充電する充電電流が第1抵抗に流れ、Nチャネル絶縁ゲート形電界効果トランジスタは能動状態で動作し、ドレインとソース間に低電流に制御された直流電流が流れるので、前方第2可動接点と前方第2固定接点間が切り離される際にアーク放電は発生しない。
【0034】
続く操作摘みのOFF操作で、第2可動接片の後方第2可動接点が後方第2固定接点に接続し、Nチャネル絶縁ゲート形電界効果トランジスタのドレインとソースが等電位となり、バイパス電流制限回路のドレインとソース間に直流電流は流れず、また、B極の第2スイッチは開制御されているので、その後、前方第1可動接点と前方第1固定接点間が切り離される際にも、接点間に直流電流が流れず、第1スイッチが開制御される際にもアーク放電は発生しない。
【0035】
請求項5に記載の直流電源制御装置は、絶縁ゲート形電界効果トランジスタは、ドレインとソースをそれぞれ、前方第2固定接点と第2可動接片に接続したPチャネル絶縁ゲート形電界効果トランジスタであり、バイパス電流制限回路は、Pチャネル絶縁ゲート形電界効果トランジスタのドレインに接続された第2コンデンサと、第2コンデンサの他側とソース間に接続された第2抵抗とを更に備え、第2コンデンサと第2抵抗との接続点の電圧をPチャネル絶縁ゲート形電界効果トランジスタのゲートに加え、Pチャネル絶縁ゲート形電界効果トランジスタを能動状態で動作させることを特徴とする。
【0036】
操作摘みのON操作で、A極の前方第1可動接点と前方第1固定接点間が接触し、第1スイッチが閉じ制御される際に、B極の第2スイッチは開制御されているので、第1スイッチが閉じ制御される瞬間に、直流電源から第2コンデンサを充電する充電電流が直列に接続される第2抵抗に流れる。その結果、Pチャネル絶縁ゲート形電界効果トランジスタのゲートに、Pチャネル絶縁ゲート形電界効果トランジスタを能動状態とするゲート電圧V
GSが加わり、ドレインとソース間に低電流に制限された直流電流が流れるので、前方第1可動接点と前方第1固定接点間が接触する際にアーク放電は発生しない。
【0037】
続く操作摘みの0N操作によって、第2可動接片の前方に形成された前方第2可動接点が、遅れて前方第2固定接点に接触する際の接点間の電圧は、Pチャネル絶縁ゲート形電界効果トランジスタのドレインとソース間の電圧であり、低電流に制限された直流電流がPチャネル絶縁ゲート形電界効果トランジスタのドレインとソース間に流れているので、前方第2可動接点と前方第2固定接点間が接触する際にアーク放電は発生しない。
【0038】
ON操作位置から、操作摘みのOFF操作で、前方第2可動接点が、先に前方第2固定接点から切り離される際にも、前方第2固定接点に接触する際の接点間の電圧は、Pチャネル絶縁ゲート形電界効果トランジスタのドレインとソース間の電圧であり、低電流に制限された直流電流が、Pチャネル絶縁ゲート形電界効果トランジスタのドレインとソース間に流れているので、前方第2可動接点と前方第2固定接点間が切り離される際にアーク放電は発生しない。
【0039】
続く操作摘みの0FF操作によって、前方第1可動接点が、遅れて前方第1固定接点から切り離されるが、両者の接点間には、Pチャネル絶縁ゲート形電界効果トランジスタで制限される低電流の直流電流が流れるだけなので、前方第1可動接点と前方第1固定接点間が切り離される際にもアーク放電は発生しない。
【0040】
請求項6に記載の直流電源制御装置は、2極式ロッカースイッチが、2極双投式ロッカースイッチであり、2極双投式ロッカースイッチのB極は、第2可動接片の後方に形成された後方第2可動接点と、後方第2可動接点の移動軌跡上に配置され、操作摘みのON操作で、前方第1可動接点と前方第1固定接点間が接続する前に、後方第2可動接点に接続し、操作摘みのOFF操作で、前方第1可動接点と前方第1固定接点間が遮断される前に、後方第2可動接点に接続する後方第2固定接点とを更に有し、前方第1固定接点を、直流電源の低圧側に接続し、第1可動接片を、それぞれと、直流電源回路を介して前方第2固定接点に接続するとともに、後方第2固定接点を、第2コンデンサと第2抵抗との接続点に接続したことを特徴とする。
【0041】
操作摘みのOFF操作位置からのON操作で、第1可動接片の前方第1可動接点と前方第1固定接点間が接触する際に、第2可動接片の後方第2可動接点は後方第2固定接点に接続し、Pチャネル絶縁ゲート形電界効果トランジスタのドレインとソースは等電位で、ソースとドレイン間に直流電流は流れず、B極の第2スイッチも開制御されているので、前方第1可動接点は、直流電源と遮断されている。その後、第1スイッチが閉じ制御されることにより、第2コンデンサを充電する充電電流が流れる。
【0042】
続く操作摘みの0N操作によって、後方第2可動接点が後方第2固定接点から切り離されると、第2コンデンサを充電する充電電流が第2抵抗に流れ、Pチャネル絶縁ゲート形電界効果トランジスタのゲートにゲート電圧V
GSが加わることによつて、Pチャネル絶縁ゲート形電界効果トランジスタは能動状態で動作し、ソースとドレイン間に低電流に制御された直流電流が流れる。
【0043】
続く操作摘みの0N操作によって、前方第2可動接点が前方第2固定接点に接触する際に、 第2スイッチに並列に接続するバイパス電流制限回路には、低電流に制御された直流電流が流れるだけなので、その間にアーク放電は発生しない。操作摘みが、前方第2可動接点が前方第2固定接点に接触するON操作位置に達すると、第1スイッチと第2スイッチが閉じ制御される直流電源回路を介して直流電源から負荷へ直流電力が給電される。このとき、Pチャネル絶縁ゲート形電界効果トランジスタのソースとドレインは、前方第2固定接点と前方第2固定接点が接触して短絡することにより等電位となり、バイパス電流制限回路のソースとドレイン間に直流電流は流れない。
【0044】
ON操作位置から、操作摘みのOFF操作で、先に前方第2可動接点が前方第2固定接点から切り離され、その瞬間に第2コンデンサを充電する充電電流が第2抵抗に流れ、Pチャネル絶縁ゲート形電界効果トランジスタは能動状態で動作し、ソースとドレイン間に低電流に制御された直流電流が流れるので、前方第2可動接点と前方第2固定接点間が切り離される際にアーク放電は発生しない。
【0045】
続く操作摘みのOFF操作で、第2可動接片の後方第2可動接点が後方第2固定接点に接続し、Nチャネル絶縁ゲート形電界効果トランジスタのドレインとソースが等電位となり、バイパス電流制限回路のソースとドレイン間に直流電流は流れず、また、B極の第2スイッチは開制御されているので、その後、前方第1可動接点と前方第1固定接点間が切り離される際にも、接点間に直流電流が流れていないので、その接点間にアーク放電は発生しない。