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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-187849(P2020-187849A)
(43)【公開日】2020年11月19日
(54)【発明の名称】扁平形アルカリ二次電池
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/28 20060101AFI20201023BHJP
   H01M 4/24 20060101ALI20201023BHJP
【FI】
   H01M10/28 Z
   H01M4/24 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2019-89843(P2019-89843)
(22)【出願日】2019年5月10日
(71)【出願人】
【識別番号】000005810
【氏名又は名称】マクセルホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100078064
【弁理士】
【氏名又は名称】三輪 鐵雄
(74)【代理人】
【識別番号】100115901
【弁理士】
【氏名又は名称】三輪 英樹
(72)【発明者】
【氏名】井上 雄介
(72)【発明者】
【氏名】橋本 しおり
【テーマコード(参考)】
5H028
5H050
【Fターム(参考)】
5H028AA01
5H028BB01
5H028CC02
5H028HH00
5H050AA15
5H050BA11
5H050CA02
5H050CA03
5H050CB13
5H050HA00
5H050HA12
(57)【要約】
【課題】 充放電サイクル特性に優れた扁平形アルカリ二次電池を提供する。
【解決手段】 本発明の扁平形アルカリ二次電池は、外装缶、封口板およびガスケットにより密閉された容器内に、正極、負極およびセパレータを収容してなり、前記負極は、活物質として亜鉛粒子を含有しており、前記外装缶の内底面と前記ガスケットの底面との間に、前記正極の周縁部が配置されており、前記セパレータの周縁部が、前記ガスケットと前記封口板との間に挟まれて固定されており、前記亜鉛粒子が、前記封口板と前記セパレータとの間に形成された空間内に収容されていることを特徴とするものである。
【選択図】 図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外装缶、封口板およびガスケットにより密閉された容器内に、正極、負極およびセパレータを収容した扁平形アルカリ二次電池であって、
前記負極は、活物質として亜鉛粒子を含有しており、
前記外装缶の内底面と前記ガスケットの底面との間に、前記正極の周縁部が配置されており、
前記セパレータの周縁部が、前記ガスケットと前記封口板との間に挟まれて固定されており、
前記亜鉛粒子が、前記封口板と前記セパレータとの間に形成された空間内に収容されていることを特徴とする扁平形アルカリ二次電池。
【請求項2】
外装缶、封口板およびガスケットにより密閉された容器内に、正極、負極およびセパレータを収容した扁平形アルカリ二次電池であって、
前記負極は、活物質として亜鉛粒子を含有しており、
前記外装缶の内底面と前記ガスケットの底面との間に、前記正極の周縁部が配置されており、
前記セパレータが2枚以上の膜で構成された積層体であり、
前記積層体のうちの少なくとも最も負極側に位置する膜の周縁部が、前記ガスケットと前記封口板との間に挟まれて固定されており、
前記亜鉛粒子が、前記封口板と前記セパレータの最も負極側に位置する膜との間に形成された空間内に収容されていることを特徴とする扁平形アルカリ二次電池。
【請求項3】
前記セパレータとして、アニオン伝導性膜を有する請求項1または2に記載の扁平形アルカリ二次電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、充放電サイクル特性に優れた扁平形アルカリ二次電池に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ボタン形やコイン形などと称される扁平形のアルカリ電池においては、外装缶内に正極が配置され、封口缶内に亜鉛粒子を負極活物質とする負極が配置され、正極と負極の間にセパレータが配置され、セパレータおよび正極の周縁部をガスケットで押圧して封止する構造が採用されている。
【0003】
また、扁平形アルカリ電池を二次電池の構成とすることも検討されており、正極活物質として銀の酸化物やニッケルの酸化物を用いた二次電池も提案されている。
【0004】
前記二次電池では、充放電サイクルの経過に伴い、亜鉛のデンドライトが形成され、やがてセパレータの空孔を突き抜けて正極との間で短絡を生じることが問題とされており、充放電サイクル特性の改善のためには、亜鉛のデンドライトの成長を抑制することが必要とされている。
【0005】
これに対し、セパレータとして、アニオン伝導性膜などの、亜鉛のデンドライトを貫通させ難い膜を用いることが提案されている(特許文献1、2など)。さらに、前記アニオン伝導性膜の使用により、セパレータの空孔内で亜鉛のデンドライトが成長して正極との短絡に至る問題を防ぐことができ、アルカリ二次電池の充放電サイクル特性を改善できることも判明している(特許文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2016−152082号公報
【特許文献2】特表2011−515821号公報
【特許文献3】国際公開第2017/47628号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、本発明者らの検討によれば、前記アニオン伝導性膜を用いた場合であっても、充放電サイクルを繰り返した場合に短絡に至るケースがあることが明らかとなった。
【0008】
セパレータおよび正極の周縁部がガスケットの底面で押圧される構造の扁平形電池では、電池の作製直後は、前記周縁部の押圧力が充分大きく隙間がないため、負極に亜鉛のデンドライトが生成したとしても、セパレータの外周方向に向かって負極からデンドライトが成長し難く、短絡を生じ難くなっている。
【0009】
しかし、電池の充放電を繰り返すと、正極の膨張および収縮が繰り返され、これによりセパレータの周縁部において、セパレータとガスケットとの間に隙間が生じやすくなり、負極からセパレータの外周方向にデンドライトが成長し、これが正極を内填する外装缶(正極缶)の内側面に達するなどにより、正極の周縁部近傍において短絡を生じる場合があることが明らかとなった。
【0010】
本発明は、前記課題を解決するためになされたものであり、正極の周縁部近傍における短絡を防ぎ、扁平形アルカリ二次電池の充放電サイクル特性を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の扁平形アルカリ二次電池は、外装缶、封口板およびガスケットにより密閉された容器内に、正極、負極およびセパレータを収容してなり、前記負極は、活物質として亜鉛粒子を含有しており、前記外装缶の内底面と前記ガスケットの底面との間に、前記正極の周縁部が配置されており、前記セパレータの周縁部が、前記ガスケットと前記封口板との間に挟まれて固定されており、前記亜鉛粒子が、前記封口板と前記セパレータとの間に形成された空間内に収容されていることを特徴とするものである。
【0012】
また、本発明の扁平形アルカリ二次電池の前記とは別の態様は、外装缶、封口板およびガスケットにより密閉された容器内に、正極、負極およびセパレータを収容してなり、前記負極は、活物質として亜鉛粒子を含有しており、前記外装缶の内底面と前記ガスケットの底面との間に、前記正極の周縁部が配置されており、前記セパレータが2枚以上の膜で構成された積層体であり、前記積層体のうちの少なくとも最も負極側に位置する膜の周縁部が、前記ガスケットと前記封口板との間に挟まれて固定されており、前記亜鉛粒子が、前記封口板と前記セパレータの最も負極側に位置する膜との間に形成された空間内に収容されていることを特徴とするものである。
【0013】
電池業界においては、高さより径の方が大きい扁平形電池をコイン形電池と呼んだり、ボタン形電池と呼んだりしているが、そのコイン形電池とボタン形電池との間に明確な差はなく、本発明の扁平形アルカリ電池には、コイン形電池、ボタン形電池のいずれもが含まれる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、充放電サイクル特性に優れた扁平形アルカリ二次電池を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】従来の扁平形アルカリ二次電池の一例を模式的に表す縦断面図である。
図2】本発明の扁平形アルカリ二次電池の一例を模式的に表す縦断面図である。
図3】本発明の扁平形アルカリ二次電池の他の例を模式的に表す縦断面図である。
図4】実施例および比較例の扁平形アルカリ二次電池の充放電サイクル特性の評価結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1に、従来の扁平形アルカリ二次電池の一例を模式的に表す縦断面図を示す。扁平形アルカリ二次電池100においては、正極4およびセパレータ6を内填した外装缶2の開口部に、負極5を内填した封口板3が、断面L字状で環状のガスケット(樹脂製ガスケット)8を介して嵌合しており、外装缶2の開口端部が内方に締め付けられ、これによりガスケット7が封口板3に当接することで、外装缶2の開口部が封口されて電池内部が密閉構造となっている。すなわち、図1に示す電池では、外装缶2、封口板3およびガスケット7からなる電池容器内の空間(密閉空間)に、正極4、負極5およびセパレータ6を含む発電要素が装填されており、さらにアルカリ電解質(図示しない)が注入され、セパレータに保持されている。そして、外装缶2は正極端子を兼ね、封口板3は負極端子を兼ねている。
【0017】
なお、図1に示す扁平形アルカリ二次電池100においては、セパレータ6が、2枚の膜61、62により構成された積層体である。
【0018】
また、図1に示す扁平形アルカリ二次電池100においては、外装缶2の内底面とガスケット7の底面との間に、正極4の周縁部が配置されている。
【0019】
図1に示す構造の扁平形アルカリ二次電池100においては、前記の通り、充放電を繰り返すことでセパレータ6とガスケット7との間に隙間が生じると、負極5において形成され得るデンドライトが、この隙間を通るように成長して、正極端子を兼ねる外装缶2の内面にまで到達して短絡を引き起こす虞がある。
【0020】
そこで、本発明の扁平形アルカリ二次電池においては、セパレータの周縁部を、ガスケットと封口板との間に挟んで固定し、負極活物質として機能する亜鉛粒子を、封口板とセパレータとの間に形成された空間内に収容するように構成した。
【0021】
図2に、本発明の扁平形アルカリ二次電池の一例を模式的に表す縦断面図を示す。図2では、図1の扁平形アルカリ二次電池と機能が共通する構成要素には、同じ符号を付して重複説明を避ける(後記の図3においても同様である)。
【0022】
図2に示す扁平形アルカリ二次電池1においては、セパレータ6を構成する2枚の膜61、62のうち、最も負極5側に位置する膜62の周縁部が、ガスケット7と封口板3との間に挟まれて固定されており、負極5(亜鉛粒子を含む負極5。負極の詳細は後述する。)が、封口板3とセパレータを構成する膜62との間に収容されている。
【0023】
このようにセパレータを配置した場合、電池の充放電を繰り返すことでセパレータとガスケットとの間に隙間が生じたとしても、負極で生じたデンドライトがその隙間を通って成長して外装缶の内面に到達することを防止できるため、前記の隙間の発生に起因する電池の短絡を抑制することができる。よって、本発明の扁平形アルカリ二次電池は、充放電サイクル特性に優れたものとなる。
【0024】
図3に、本発明の扁平形アルカリ二次電池の他の例を模式的に表す縦断面図を示す。図3に示す扁平形アルカリ二次電池10は、セパレータ6の周縁部、すなわち、セパレータ6を構成する2枚の膜61、62の両者の周縁部が、ガスケット7と封口板3との間に挟まれて固定されている例である。
【0025】
本発明の扁平形アルカリ二次電池は、セパレータが1枚の膜で構成されていてもよく、2枚以上の膜で構成された積層体であってもよい。セパレータが1枚の膜で構成されている場合には、その周縁部をガスケットと封口板との間で挟んで固定する。
【0026】
他方、セパレータが2枚以上の膜で構成された積層体の場合、図2に示すように、少なくとも、最も負極側に位置する膜の周縁部を、ガスケットの封口板との間で固定すればよいが、図3に示すように、全ての膜の周縁部を、ガスケットと封口板との間で固定しても構わない。
【0027】
ガスケットと封口板とで挟まれるセパレータの周縁部の幅(セパレータの端部からの長さ)は、例えば、0.5〜2mmとすればよい。
【0028】
セパレータが2枚以上の膜で構成された積層体の場合、これらの膜同士は接着などによって固定されていてもよく、独立した膜を重ねて構成してもよい。また、セパレータを構成する個々の膜(セパレータが1枚の膜で構成される場合の、当該膜も含む)は、単層構造でもよく、多層構造であってもよい。
【0029】
セパレータの具体例としては、ビニロンとレーヨンを主体とする不織布、ビニロン・レーヨン不織布(ビニロン・レーヨン混抄紙)、ポリアミド不織布、ポリオレフィン・レーヨン不織布、ビニロン紙、ビニロン・リンターパルプ紙、ビニロン・マーセル化パルプ紙などが挙げられる。また、親水処理された微孔性ポリオレフィンフィルム(微孔性ポリエチレンフィルムや微孔性ポリプロピレンフィルムなど)とセロファンフィルムとビニロン・レーヨン混抄紙のような吸液層(電解質保持層)とを積み重ねたものをセパレータとしてもよい。
【0030】
また、セパレータには、アニオン伝導性膜を使用することが好ましい。アニオン伝導性膜を使用した場合、負極でのデンドライト発生を良好に抑制することができる。また、負極に亜鉛粒子を含有するアルカリ二次電池においては、充放電を繰り返すと、徐々に負極の形状が変化して、負極端子を兼ねる封口板との電気的接触が十分取れなくなる虞があるが、セパレータにアニオン伝導性膜を使用した場合には、このような負極の変形を抑制することもできる。よって、セパレータにアニオン伝導性膜を使用することによって、扁平形アルカリ二次電池の充放電サイクル特性を、さらに高めることが可能となる。
【0031】
アニオン伝導性膜としては、例えば、ポリマーをマトリクスとし、かつ前記マトリクス中に金属の酸化物、水酸化物、炭酸塩、硫酸塩、リン酸塩、ホウ酸塩およびケイ酸塩よりなる群から選択される少なくとも1種の金属化合物の粒子を分散させて構成したものが挙げられる。
【0032】
アニオン伝導性膜のマトリクスとなるポリマーは、特に限定はされないが、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(PVDF−HFP)、フッ化ビニリデン−クロロトリフルオロエチレン共重合体(PVDF−CTFE)、フッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン共重合体(PVDF−TFE)、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン−テトラフルオロエチレン共重合体(PVDF−HFP−TFE)などのフッ素樹脂;ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)などのポリオレフィン;ポリスチレン;極性基または極性を有する結合を分子内に有するポリマー(以下、「極性ポリマー」という);などが挙げられる。
【0033】
前記の極性ポリマーとしては、ポリアルキレンイミン(ポリエチレンイミンなど)などのアミノ基を含有するポリマー;(アルコキシ)ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレートなどのエステル結合(エステル基)を含有するポリマー;ポリ(メタ)アクリル酸のアルカリ金属塩(ナトリウム塩など)、ポリ(メタ)アクリル酸のマグネシウム塩、ポリ(メタ)アクリル酸のアルカリ土類金属塩(カルシウム塩など)、ポリ(メタ)アクリル酸のアンモニウム塩、ポリマレイン酸のアルカリ金属塩(ナトリウム塩など)、ポリマレイン酸のマグネシウム塩、ポリマレイン酸のアルカリ土類金属塩(カルシウム塩など)、ポリマレイン酸のアンモニウム塩などの、カルボン酸塩基(カルボキシル基の塩)を含有するポリマー;ポリアミド;などが挙げられる〔前記の「(メタ)アクリル酸」とは、アクリル酸とメタクリル酸とを纏めた表現である〕。
【0034】
アニオン伝導性膜は、マトリクスとなるポリマーとして、前記例示の各種ポリマーのうちの1種のみを含有していてもよく、2種以上を含有していてもよい。アニオン伝導性膜は、マトリクスとなるポリマーとして、前記例示のフッ素樹脂を含有していることがより好ましく、フッ素樹脂と極性ポリマーとを含有していることがさらに好ましい。
【0035】
アニオン伝導性膜中には、金属化合物の粒子を分散させる。このような金属化合物の粒子としては、金属の酸化物、水酸化物、炭酸塩、硫酸塩、リン酸塩、ホウ酸塩およびケイ酸塩よりなる群から選択される少なくとも1種の化合物の粒子が挙げられる。
【0036】
金属の酸化物としては、酸化セリウム、酸化ジルコニウムなどが挙げられるほか、ハイドロタルサイトを例示することもできる。ハイドロタルサイトは、下記一般式(1)に代表される化合物である。
【0037】
{M1−x(OH)}(Ap−x/p・qHO (1)
【0038】
前記一般式(1)中、MはMg、Fe、Zn、Ni、Co、Cu、Ca、Liなどを表し、MはAl、Fe、Mnなどを表し、AはCO2−などを表し、qは0以上の整数、pは2または3で、0.2≦x≦0.4である。
【0039】
また、水酸化物(金属の水酸化物)としては、水酸化セリウム、水酸化ジルコニウムなどが挙げられる。さらに、硫酸塩としては、エトリンガイドなどが挙げられる。また、リン酸塩としては、ハイドロキシアパタイトなどが挙げられる。
【0040】
前記金属化合物の粒子の中でも、ハイドロタルサイトなどの陰イオン交換能を有する層間化合物が好ましい。
【0041】
前記金属化合物の粒子の平均粒子径は、5nm以上であることが好ましく、10nm以上であることがより好ましく、100nm以上であることが特に好ましく、100μm以下であることが好ましく、10μm以下であることがより好ましく、1μm以下であることが特に好ましい。
【0042】
本明細書でいうアニオン伝導性膜に係る金属化合物の粒子の平均粒子径、および後述する各粒子(銀酸化物、絶縁性無機粒子、黒鉛粒子など)の平均粒子径は、レーザー散乱粒度分布計(例えば、堀場製作所製「LA−920」)を用い、粒子を溶解しない媒体に、これらの粒子を分散させて測定した、体積基準での累積頻度50%における粒径(D50)である。
【0043】
アニオン伝導性膜におけるポリマー(マトリクスとなるポリマー)の割合は、0.1質量%以上であることが好ましく、1質量%以上であることがより好ましく、10質量%以上であることがさらに好ましく、40質量%以上であることが特に好ましく、また、90質量%以下であることが好ましく、80質量%以下であることがより好ましく、70質量%以下であることがさらに好ましく、60質量%以下であることが特に好ましい。
【0044】
また、アニオン伝導性膜における前記金属化合物の粒子の割合は、0.1質量%以上であることが好ましく、1質量%以上であることがより好ましく、5質量%以上であることがさらに好ましく、30質量%以上であることが特に好ましく、また、90質量%以下であることが好ましく、80質量%以下であることがより好ましく、60質量%以下であることがさらに好ましく、50質量%以下であることが特に好ましい。
【0045】
アニオン伝導性膜は、例えば、前記ポリマーや金属化合物の粒子などを水やN−メチル−2−ピロリドンなどの有機溶媒に分散(ポリマーは溶解していてもよい)させて調製したアニオン伝導性膜形成用組成物を、基材表面に塗布し、乾燥した後に剥離する方法によって形成することができる。また、前記の乾燥後にプレス処理を施してもよい。なお、アニオン伝導性膜は、この段階ではアルカリ電解液を含有していないが、電池内において、電池に注入されたアルカリ電解液(アルカリ電解質として使用されるアルカリ電解液)を吸収させることにより、内部に電解液を含有させることができる。また、前記の乾燥後(またはプレス処理後)のアニオン伝導性膜をアルカリ電解液中に浸漬して、あらかじめアルカリ電解液を吸収させてから電池の組み立てに供してもよい。
【0046】
アニオン伝導性膜の厚みは、アニオン伝導性膜による前記の効果をより良好に確保する観点から、10μm以上であることが好ましく、20μm以上であることがより好ましく、40μm以上であることが特に好ましい。ただし、アニオン伝導性膜が厚すぎると、電池内でのアニオン伝導性膜の占有体積が大きくなって、正極活物質や負極活物質の導入量が少なくなる虞がある。よって、電池の容量をより高める観点からは、アニオン伝導性膜の厚みは、500μm以下であることが好ましく、300μm以下であることがより好ましく、250μm以下であることがさらに好ましい。
【0047】
アニオン伝導性膜と他の膜とを組み合わせてセパレータを構成する場合、アニオン伝導性膜は、その使用による効果(デンドライトの発生抑制効果および負極の変形抑制効果)をより良好に確保する観点から、最も負極側に配置されることが好ましい。
【0048】
また、セパレータの厚み(セパレータが2枚以上の膜で構成されている場合、それらの合計厚み)は、20〜500μmであることが好ましい。
【0049】
扁平形アルカリ二次電池に係る正極には、銀酸化物の他、オキシ水酸化ニッケルなどアルカリ二次電池の正極活物質として利用可能な化合物を使用することができ、例えば、正極活物質の他に導電助剤を含有する正極合剤層のみからなるもの(正極合剤の成形体)や、正極活物質および導電助剤を含有する正極合剤層を、集電体の片面または両面に形成した構造のものなどが挙げられる。
【0050】
正極の活物質として銀酸化物を用いる場合には、AgOやAgOを使用することができる。
【0051】
銀酸化物は、その粒度について特に限定はされないが、平均粒子径が、10μm以下であることが好ましく、2μm以下であることがより好ましい。このようなサイズの銀酸化物を用いた場合には、充電時の利用率が向上し、充電終止電圧を比較的低くしても大きな充電容量が得られるため、電池の充放電サイクル特性をさらに高めることができ、また、例えば、充電終止電圧を高めることによって生じ得る電池の膨れを抑えることが可能となる。
【0052】
ただし、あまり粒径の小さい銀酸化物は製造やその後の取り扱いが困難となることから、銀酸化物の平均粒子径は、0.01μm以上であることが好ましく、0.03μm以上であることがより好ましい。
【0053】
正極合剤層の導電助剤としては、カーボンブラック粒子、黒鉛粒子などの炭素質材料の粒子などが挙げられる。なお、導電助剤には、カーボンブラック粒子と黒鉛粒子とを併用することがより好ましい。
【0054】
カーボンブラック粒子を使用することで、正極合剤層中で良好な導電ネットワークを形成しやすいため、例えば黒鉛粒子のみを使用する場合に比べて、正極活物質である銀酸化物の粒子との接点が多くなり、正極合剤層内の電気抵抗を効果的に低減することができ、これにより、充電時に正極活物質の反応効率を向上させることが可能となる。
【0055】
他方、カーボンブラック粒子のみを使用する場合には、正極合剤層の厚みによっては、その成形性を高めるためにバインダを使用する必要があるが、黒鉛粒子も併用した場合には、正極合剤層の成形性が向上するため、例えば正極合剤の成形体や正極合剤層が0.4mm以下、より好ましくは0.3mm以下と薄い場合であってもその成形性が良好となり、バインダを用いなくとも製造不良の発生を防ぐことが容易になる。
【0056】
正極合剤層に係る黒鉛粒子は、天然黒鉛(鱗片状黒鉛など)の粒子、人造黒鉛の粒子のいずれでもよく、これらのうちの1種または2種以上を使用することができる。
【0057】
前記の通り、黒鉛粒子には正極合剤層の成形性を高める機能があるが、この機能をより良好に発揮させる観点から、黒鉛粒子は、平均粒子径が、1μm以上であることが好ましく、2μm以上であることがより好ましく、また、導電性の向上の観点からから、7μm以下であることが好ましく、5μm以下であることがより好ましい。
【0058】
正極合剤層に係るカーボンブラック粒子としては、ファーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック、サーマルブラックなどが例示され、これらのうちの1種または2種以上を用いることができる。これらのカーボンブラック粒子の中でも、導電性が高く不純物が少ないアセチレンブラックが好ましく用いられる。
【0059】
また、正極活物質として銀酸化物を使用する場合、正極合剤層には、絶縁性無機粒子をさらに含有させることが好ましく、これによって電池の充放電サイクル特性をより高めることができる。また、絶縁性無機粒子を使用する場合、さらにカーボンブラック粒子と黒鉛粒子とを正極合剤層に含有させることで、電池の充放電サイクル特性をさらに高めることができる。
【0060】
正極合剤層に係る絶縁性無機粒子としては、Si、Zr、Ti、Al、MgおよびCaより選択される少なくとも1種の元素の酸化物などの粒子が挙げられる。また、前記酸化物の具体例としては、Al、TiO、SiO、ZrO、MgO、CaO、AlOOH、Al(OH)などが挙げられ、アルカリ電解質(アルカリ電解液)に溶解しないか、難溶性である粒子が好ましく用いられる。これらの絶縁性無機粒子は、1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0061】
絶縁性無機粒子は、その粒子径が大きすぎると、電池の充放電サイクル特性の向上効果が小さくなる虞がある。よって、電池の充放電サイクル特性をより良好に高める観点からは、絶縁性無機粒子の平均粒子径は、0.5μm以下であることが好ましく、0.3μm以下であることがより好ましい。
【0062】
また、絶縁性無機粒子の粒子径が小さすぎると、電池の充電効率(初期容量)の向上効果が小さくなる虞がある。よって、電池の充電効率をより良好に高める観点からは、絶縁性無機粒子の平均粒子径は、0.01μm以上であることが好ましく、0.05μm以上であることがより好ましい。
【0063】
正極合剤層(正極合剤の成形体や集電体上に形成された正極合剤塗布層など)の組成としては、容量を確保するために、正極活物質として銀酸化物を使用する場合、その含有量は、正極合剤層を構成する固形分全体を100質量%として、例えば、60質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましく、90質量%以上であることが特に好ましい。
【0064】
また、正極合剤層における導電助剤の含有量は、導電性の点から0.2質量%以上であることが好ましく、0.5質量%以上であることが好ましく、1質量%以上であることが特に好ましく、一方、容量低下や充電時のガス発生を防ぐため、8質量%以下であることが好ましく、7質量%以下であることがより好ましく、5質量%以下であることがさらに好ましく、3質量%以下であることが特に好ましい。
【0065】
なお、正極合剤層にカーボンブラック粒子と黒鉛粒子とを含有させる場合、黒鉛粒子の含有量は、カーボンブラック粒子との併用による電池の充電効率や充放電サイクル特性の向上効果を良好に確保する観点から、1質量%以上であることが好ましく、2質量%以上であることがより好ましい。そして、正極合剤層にカーボンブラック粒子と黒鉛粒子とを含有させる場合の黒鉛粒子の含有量は、例えば正極合剤層中の銀酸化物の量が少なくなりすぎて電池の容量が低下することを抑える観点から、7質量%以下であることが好ましく、4質量%以下であることがより好ましい。
【0066】
また、正極合剤層にカーボンブラック粒子と黒鉛粒子とを含有させる場合、カーボンブラック粒子の含有量は、黒鉛粒子との併用による電池の充電効率や充放電サイクル特性の向上効果を良好に確保する観点から、0.1質量%以上であることが好ましく、0.5質量%以上であることがより好ましい。ただし、正極合剤層中のカーボンブラック粒子の量が多すぎると、例えば電池を高温下で貯蔵した際に、正極の膨れ量が大きくなる虞がある。よって、電池の貯蔵(特に60℃程度の高温下での貯蔵)時の正極の膨れを抑えて、電池の貯蔵特性を向上させる観点からは、正極合剤層にカーボンブラック粒子と黒鉛粒子とを含有させる場合のカーボンブラック粒子の含有量は、1.5質量%以下であることが好ましく、1質量%以下であることがより好ましい。
【0067】
また、正極合剤層に絶縁性無機粒子を含有させる場合、その含有量は、その使用による効果(特に電池の充放電サイクル特性向上効果)を良好に確保する観点から、0.1質量%以上であることが好ましく、3質量%以上であることがより好ましい。ただし、正極合剤層中の絶縁性無機粒子の量が多すぎると、正極活物質の充填量が減少して電池の容量減少を招くほか、絶縁性無機粒子の種類によっては、充放電サイクルが進行した場合に、放電容量が急に低下してしまう場合もあることから、正極合剤層における絶縁性無機粒子の含有量は、7質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましい。
【0068】
正極合剤層は、前記の通り、バインダを使用せずに形成することも可能であるが、強度を高める必要がある場合(導電助剤に黒鉛を使用しない場合など)にはバインダを用いてもよい。正極合剤層のバインダとしては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などのフッ素樹脂などが挙げられる。バインダを使用する場合、正極合剤層中のバインダの含有量は、0.1〜20質量%であることが好ましい。
【0069】
正極は、正極合剤の成形体の場合には、例えば、正極活物質および導電助剤、さらには必要に応じてアルカリ電解質(電池に注入するアルカリ電解質と同じものが使用できる)などを混合して調製した正極合剤を所定の形状に加圧成形することで製造することができる。
【0070】
また、正極合剤層と集電体とを有する形態の正極の場合には、例えば、正極活物質および導電助剤などを水またはN−メチル−2−ピロリドン(NMP)などの有機溶媒に分散させて正極合剤含有組成物(スラリー、ペーストなど)を調製し、これを集電体上に塗布し乾燥し、必要に応じてカレンダ処理などのプレス処理を施す工程を経て製造することができる。
【0071】
ただし、正極は、前記の各方法で製造されたものに限定されず、他の方法で製造したものであってもよい。
【0072】
正極合剤の成形体を正極とする場合、その厚みは、0.15〜4mmであることが好ましい。他方、正極合剤層と集電体とを有する形態の正極の場合、正極合剤層の厚み(集電体の片面あたりの厚み)は、30〜300μmであることが好ましい。
【0073】
正極に集電体を用いる場合には、その集電体としては、例えば、SUS316、SUS430、SUS444などのステンレス鋼;アルミニウムやアルミニウム合金;を素材とするものが挙げられ、その形態としては、平織り金網、エキスパンドメタル、ラス網、パンチングメタル、金属発泡体、箔(板)などが例示できる。集電体の厚みは、例えば、0.05〜0.2mmであることが好ましい。このような集電体の表面には、カーボンペーストや銀ペーストなどのペースト状導電材を塗布しておくことも望ましい。
【0074】
扁平形アルカリ二次電池の負極には、亜鉛粒子、すなわち、純亜鉛(不可避不純物を含む)または亜鉛合金によって構成される粒子を使用する。このような負極では、前記粒子中の亜鉛が活物質として作用する。亜鉛合金粒子の合金成分としては、例えば、インジウム、ビスマス、アルミニウムなどが挙げられる(残部は亜鉛および不可避不純物である)。負極の有する亜鉛粒子は、単一の組成である1種のみの粒子で構成されていてもよい、異なる組成の2種以上の粒子を含むものであってもよい。
【0075】
ただし、亜鉛粒子には、合金成分として水銀を含有しないものを使用することが好ましい。このような亜鉛粒子を使用している電池であれば、電池の廃棄による環境汚染を抑制できる。また、水銀の場合と同じ理由から、亜鉛粒子には、合金成分として鉛を含有しないものを使用することが好ましい。
【0076】
亜鉛粒子の粒度としては、例えば、全粉末中、粒径が75μm以下の粒子の割合が50質量%以下のものが好ましく、30質量%以下のものがより好ましく、また、粒径が100〜200μmの粉末の割合が、50質量%以上、より好ましくは90質量%以上であるものが挙げられる。ここでいう亜鉛粒子における粒度は、前記のアニオン伝導性膜に係る金属化合物の粒子の平均粒子径測定法と同じ測定方法により得られる値である。
【0077】
負極には、例えば、前記の亜鉛粒子の他に、必要に応じて添加されるゲル化剤(ポリアクリル酸ソーダ、カルボキシメチルセルロースなど)を含んでもよく、これにアルカリ電解質を加えることで構成される負極剤(ゲル状負極)を使用してもよい。負極中のゲル化剤の量は、例えば、0.5〜1.5質量%とすることが好ましい。
【0078】
また、負極は、前記のようなゲル化剤を実質的に含有しない非ゲル状の負極とすることもできる(なお、非ゲル状負極の場合、亜鉛粒子近傍に存在するアルカリ電解質が増粘しなければゲル化剤を含有しても構わないので、「ゲル化剤を実質的に含有しない」とは、アルカリ電解質の粘度への影響がない程度に含有していてもよい、という意味である)。ゲル状負極の場合には、亜鉛粒子の近傍に、ゲル化剤と共にアルカリ電解質が存在しているが、ゲル化剤の作用によってこのアルカリ電解質が増粘しており、アルカリ電解質の移動、ひいては電解質中のイオンの移動が抑制されている。このため、負極での反応速度が抑えられ、これが電池の負荷特性(特に重負荷特性)の向上を阻害しているものと考えられる。これに対し、負極を非ゲル状として、亜鉛粒子近傍に存在するアルカリ電解質の粘度を増大させずにアルカリ電解質中のイオンの移動速度を高く保つことで、負極での反応速度を高めて、負荷特性(特に重負荷特性)をより高めることができる。
【0079】
負極に含有させるアルカリ電解質には、電池に注入するものと同じものを使用することができる。
【0080】
負極における亜鉛粒子の含有量は、例えば、60質量%以上であることが好ましく、65質量%以上であることがより好ましく、また、75質量%以下であることが好ましく、70質量%以下であることがより好ましい。
【0081】
負極は、インジウム化合物を含有していることが好ましい。負極がインジウム化合物を含有することによって、亜鉛粒子とアルカリ電解質との腐食反応によるガス発生をより効果的に防ぐことができる。
【0082】
前記のインジウム化合物としては、例えば、酸化インジウム、水酸化インジウムなどが挙げられる。
【0083】
負極に使用するインジウム化合物の量は、質量比で、亜鉛粒子:100に対し、0.003〜1であることが好ましい。
【0084】
扁平形アルカリ二次電池に使用する使用するアルカリ電解質としては、アルカリ金属の水酸化物(水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウムなど)の1種または複数種の水溶液(アルカリ電解液)などが好適に用いられ、水酸化カリウムが特に好ましい。アルカリ電解液の濃度は、例えば、水酸化カリウムの水溶液の場合、水酸化カリウムが、好ましくは20質量%以上、より好ましくは30質量%以上であって、好ましくは40質量%以下、より好ましくは38質量%以下である。水酸化カリウムの水溶液の濃度をこのような値に調整することで、導電性に優れたアルカリ電解液とすることができる。
【0085】
アルカリ電解質には、前記の各成分の他に、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて公知の各種添加剤を添加してもよい。例えば、扁平形アルカリ二次電池の負極に用いる亜鉛粒子の腐食(酸化)を防止するために、酸化亜鉛を添加するなどしてもよい。なお、酸化亜鉛は、負極に添加することもできる。
【0086】
また、アルカリ電解質として使用するアルカリ電解液には、マンガン化合物、スズ化合物およびインジウム化合物よりなる群から選択される1種以上が溶解していることが好ましい。アルカリ電解液中にこれらの化合物が溶解している場合には、これらの化合物由来のイオン(マンガンイオン、スズイオン、インジウムイオン)が、正極中にマンガン酸化物を含有させた場合に溶出するMnのイオンと同じ効果を奏するため、電池の充放電サイクル特性がさらに向上する。
【0087】
アルカリ電解液に溶解させるマンガン化合物としては、塩化マンガン、酢酸マンガン、硫化マンガン、硫酸マンガン、水酸化マンガンなどが挙げられる。また、アルカリ電解液に溶解させるスズ化合物としては、塩化スズ、酢酸スズ、硫化スズ、臭化スズ、酸化スズ、水酸化スズ、硫酸スズなどが挙げられる。さらに、アルカリ電解液に溶解させるインジウム化合物としては、水酸化インジウム、酸化インジウム、硫酸インジウム、硫化インジウム、硝酸インジウム、臭化インジウム、塩化インジウムなどが挙げられる。
【0088】
アルカリ電解液中におけるインジウム化合物、マンガン化合物およびスズ化合物の濃度(これらのうちの1種のみを溶解させる場合は、その濃度であり、2種以上を溶解させる場合は、それらの合計濃度である)は、前記の効果をより良好に確保する観点から、質量基準で、50ppm以上であることが好ましく、500ppm以上であることがより好ましく、また、10000ppm以下であることが好ましく、5000ppm以下であることがより好ましい。
【0089】
扁平形アルカリ二次電池の外装缶および封口板は、鉄やステンレス鋼にニッケルメッキを施したものなどによって形成することができる。なお、充電時に外装缶を構成する鉄などの元素が溶出するのを防ぐため、外装缶の内面には、金などの耐食性の金属をメッキしておくことが望ましい。
【0090】
また、封口板は、負極と接する側の表面に、銅または黄銅などの銅合金で構成された金属層を形成することが好ましく、前記金属層の表面にさらにスズの層を形成することがより好ましい。
【0091】
さらに、扁平形アルカリ二次電池のガスケットは、ポリアミド(ナイロン66など)などの樹脂で形成することができる。
【0092】
扁平形アルカリ二次電池の平面視での形状は、円形でもよく、四角形(正方形・長方形)などの多角形であってもよい。また、多角形の場合には、その角を曲線状としていてもよい。
【0093】
本発明の扁平形アルカリ二次電池は、アルカリ一次電池(酸化銀一次電池など)が採用されている用途に使用し得るほか、従来から知られているアルカリ二次電池や非水電解質二次電池が採用されている用途にも適用することができる。
【実施例】
【0094】
以下、実施例に基づいて本発明を詳細に述べる。ただし、下記実施例は、本発明を制限するものではない。
【0095】
実施例1
平均粒子径:1.4μmで、Biを銀の総量に対して3.7%(質量基準)含有する酸化銀(AgO)粒子とカーボンブラック粒子(BET比表面積が68m/gで、一次粒子の平均粒子径が35nmのアセチレンブラック)とを、98:2の質量比で混合して混合物を作製した。
【0096】
さらに、前記混合物、黒鉛粒子(BET比表面積:20m/g、平均粒子径:3.7μm)およびTiO粒子(平均粒子径:250nm)を、それぞれ95.2質量%、3.8質量%および1質量%となる割合で混合して正極合剤を構成し、この正極合剤:300mgを金型に充填し、充填密度5.7g/cmで、直径:10.7mm、高さ:0.6mmの円板状に加圧成形することによって、正極合剤成形体(正極合剤層)を作製した。
【0097】
負極活物質には、添加元素としてIn:500ppm、Bi:400ppmおよびAl:10ppmを含有する、アルカリ一次電池で汎用されている無水銀の亜鉛合金粒子を用いた。前述した方法により求めた前記亜鉛合金粒子の粒度は、平均粒子径(D50)が120μmであり、粒径が75μm以下の粒子の割合は25質量%以下であった。
【0098】
前記亜鉛合金粒子と、ZnOとを、97:3の割合(質量比)で混合し、負極を構成するための組成物(負極用組成物)を得た。この組成物:78mgを量り取って負極の作製に用いた。
【0099】
アルカリ電解液には、35質量%の濃度で水酸化カリウムを溶解させた水溶液に、更に、酸化亜鉛を3質量%の濃度で溶解させた水溶液を用いた。
【0100】
PTFEの水系分散液(固形分:60質量%):5gと、ポリアクリル酸ナトリウムの水溶液(濃度:2質量%):2.5gと、ハイドロタルサイト粒子(平均粒子径:0.4μm):2.5gとを混練し、圧延して100μmの厚みの膜を作製し、更に直径:11.3mmの円形に打ち抜いてアニオン伝導性膜を作製した。
【0101】
ポリエチレン主鎖にアクリル酸をグラフト共重合させた構造を有するグラフト共重合体で構成された2枚のグラフトフィルム(厚み:30μm)を、セロハンフィルム(厚み:20μm)の両側に配置した多層フィルムと、ビニロン−レーヨン混抄紙(厚み:100μm)とを積層し、直径:11.3mmの円形に打ち抜き、更に前記アニオン伝導性膜を重ね合わせてセパレータを構成した。
【0102】
前記の正極(正極合剤成形体)、負極(負極用組成物)、アルカリ電解液、アニオン伝導性膜およびセパレータを、内面に金メッキを施した鋼板よりなる外装缶と、銅−ステンレス鋼(SUS304)−ニッケルクラッド板よりなる封口板と、ナイロン66製の環状ガスケットとから構成された電池容器内に封止し、セパレータの積層数が異なる以外は図3に示す構造を有し、直径11.5mm、厚さ3.0mmの扁平形アルカリ二次電池を作製した。なお、得られた扁平形アルカリ二次電池において、セパレータの周縁部の、ガスケットと封口板とで挟まれた部分の幅(セパレータの端部からの長さ)は、1mmである。
【0103】
扁平形アルカリ二次電池の作製に際しては、セパレータ(前記積層体)をガスケットに載せ、セパレータがカップ状となるように周縁部を少し折り込んでおき、そのセパレータの内部に負極用組成物を入れてから封口板を重ね、それを、正極を内填した外装缶に被せてカシメ封口を行った。
【0104】
比較例1
実施例1で使用したものと同じセパレータ(積層体)を、図1に示すように、その周縁部がガスケットと正極(正極合剤成形体)との間に位置するように配置した以外は、実施例1と同様にして扁平形アルカリ二次電池を作製した。
【0105】
〔充放電サイクル特性評価〕
実施例1および比較例1の電池について、5.5mAの電流値で電圧が1.0Vになるまで放電する定電流放電と、11mAの定電流で電圧が1.8Vになるまで充電し、続いて1.8Vの定電圧で電流値が1.1mAになるまで充電する定電流−定電圧充電による充放電サイクルを繰り返し、各サイクルでの放電容量を測定した。その結果を図4に示す。
【0106】
実施例1の電池は、セパレータの周縁部をガスケットと封口板とで挟んだことにより、負極で形成されたデンドライトが外装缶の内面に到達して短絡を引き起こすのを抑制することができ、一定の放電容量で充放電を繰り返すことができた。
【0107】
一方、セパレータの周縁部をガスケットと正極との間に配置した比較例1の電池では、充放電サイクルの初期の段階で、負極のデンドライトが外装缶の内面に到達して微短絡を
生じ、サイクルごとの放電容量にばらつきを生じる結果となった。このため、比較例1の電池は20サイクルで評価を終了した。
【符号の説明】
【0108】
1、10 扁平形アルカリ二次電池
2 外装缶
3 封口板
4 正極
5 負極
6 セパレータ
7 ガスケット
図1
図2
図3
図4