【発明が解決しようとする課題】
【0006】
図7は、従来技術による同軸コネクタの構成を示す図であり、
図7(A)は、同軸ケーブルの端末を結線した状態を示す同軸コネクタの斜視図、
図7(B)は、同軸ケーブルの端末を結線した状態を示す同軸コネクタの右側面図である。なお、本願の
図7(A)と
図7(B)は、特許文献1の
図27と
図28に相当している。
【0007】
図8は、従来技術による同軸コネクタの構成を示す図であり、
図8(A)は、同軸ケーブルの端末を結線した状態を示す同軸コネクタの縦断面図、
図8(B)は、同軸ケーブルの端末を同軸コネクタに結線する前の状態を示す同軸コネクタの斜視図である。なお、本願の
図8(A)と
図8(B)は、特許文献1の
図29と
図30に相当している。
【0008】
図9は、従来技術による同軸コネクタと相手側コネクタが接続した状態を示す図であり、
図9(A)は、従来技術による同軸コネクタと相手側コネクタが接続した状態を示す斜視図、
図9(B)は、従来技術による同軸コネクタと相手側コネクタが接続した状態を示す縦断面図である。なお、本願の
図9(A)と
図9(B)は、特許文献1の
図38と
図39に相当している。
【0009】
図7から
図9を参照すると、従来技術による同軸コネクタ9は、同軸ケーブルCbの端末を結線できる。同軸コネクタ9は、ピアシング型のコンタクト91、前円後方形状のハウジング92、及び、導電性のシェル93を備えている。ハウジング92は、帯板状の押え片92aを有している。シェル93は、ケーブルクランプ931を有している。
【0010】
図8(A)を参照すると、コンタクト91は、後述するリセプタクル8の中心部に配置した円筒状の中心コンタクト81(相手側コンタクト)と、同軸ケーブルCbを電気的に接続できる(
図9(B)参照)。
【0011】
図8(B)を参照すると、コンタクト91は、接続端子911と槍状のピアシング端子912を備えている。接続端子911は、略矩形に形成した天板9tと一対の接触片9s・9sを有している(
図8(A)参照)。一対の接触片9s・9sは、天板9tの両辺から湾曲し、先端部側をΩ字状に開口している。一対の接触片9s・9sは、後述するリセプタクル8の中心部に配置した中心コンタクト81を内部に導入できる(
図9(B)参照)。
【0012】
図8(A)を参照すると、一対の接触片9s・9sは、対向配置された一対の接点を接触片9s・9sの先端部に有している。一対の接点は、図示しない中心コンタクト81の外周に接触できる(
図9(B)参照)。
【0013】
図8(B)を参照すると、ピアシング端子912は、天板9tの後端部から帯状に延出し、天板9tの前端部に向かって反転している。そして、ピアシング端子912は、槍状の圧接刃91pを先端部から突出している。又、圧接刃91pの基端部には、一対の段差を形成している。
【0014】
図8を参照して、コンタクト91をハウジング92に保持した状態で(
図8(B)参照)、同軸ケーブルCbの端末を圧接刃91pに向かって移動すると、圧接刃91pは、同軸ケーブルCbに備わる中心導体Wcを突き刺して中心導体Wcに接触できる(
図8(A)参照)。
【0015】
図8(B)を参照すると、ハウジング92は、円板部921と方形部922を有している。円板部921は、その端部から押え片92aを起立している。押え片92aは、圧接刃91pの突出方向と反対側からピアシング端子912を押さえている(
図8(A)参照)。方形部922は、円板部921からその一部が外周方向に突出している。円板部921は、第1収容室h1を中心部に有している(
図8(A)参照)。
【0016】
図8(A)を参照すると、第1収容室h1は、リセプタクル8の中心部に配置した中心コンタクト81を導入自在に(
図9(B)参照)、ハウジング92の一方の面を矩形に開口している。そして、第1収容室h1には、一対の接触片9s・9sを内部に配置している。
【0017】
図8(B)を参照すると、ハウジング92は、第2収容室h2を他方の面に矩形に開口している。第2収容室h2は、その一部が第1収容室h1に連通している。
図8を参照すると、第2収容室h2には、接触片9sの突出方向からコンタクト91を導入できる。又、第2収容室h2には、同軸ケーブルCbの端末を導入できる。
【0018】
図8(B)を参照すると、方形部922は、樋状の溝92dを底面に穿設している。溝92dは、第2収容室h2に連通している。溝92dには、同軸ケーブルCbの端末を導入できる。より具体的には、第2収容室h2及び溝92dには、端末処理された誘電体Diを収容できる(
図8(A)参照)。
【0019】
図7から
図9を参照すると、シェル93は、円筒部932と一対の延在片933・933を有している。円筒部932には、一対の接触片9s・9sが突出する方向と同じ方向から、円筒部932の一方の面に向って、ハウジング92の円板部921を収容できる(
図8(B)参照)。
【0020】
図8(B)を参照すると、一対の延在片933・933は、円筒部932の外周の一部が連続して略平行に延びている。そして、一対の延在片933・933には、その内部に方形部922を収容できる。
【0021】
図8(B)を参照すると、延在片933は、槍状の突き刺し突起93pを円筒部932の遠心方向に突出している。同軸ケーブルCbの中心導体Wcを圧接刃91pに突き刺した状態では(
図8(A)参照)、一対の突き刺し突起93p・93pは、外部導体Wbを突き刺すことができる。そして、延在片933と外部導体Wbを導通でき、シェル93と外部導体Wbを電気的に接続できる。
【0022】
図7又は
図8(B)を参照すると、ケーブルクランプ931は、底板片93bを有している。底板片93bは、その一端部を円筒部932の一部と屈曲自在にヒンジ93hで連結している。又、ヒンジ93hを屈曲することで。底板片93bは、その他端部側が円筒部932の他方の面を閉止できる(
図7参照)。これにより、同軸ケーブルCbの端末をシールドできる。
【0023】
図8(B)を参照すると、ケーブルクランプ931は、一対のクリンプバレル93c・93cと一対のインシュレーショングリップ93i・93iを含んでいる。一対のクリンプバレル93c・93cは、一対の延在片933・933を圧着できる(
図7参照)。そして、ケーブルクランプ931の底板片93bが円筒部932の他方の面を閉止した状態を維持できる。
【0024】
図7を参照すると、一対のインシュレーショングリップ93i・93iは、絶縁シースWiを圧着できる。そして、一対のインシュレーショングリップ93i・93iは、同軸ケーブルCbの端末に同軸コネクタ10を固定できる。
【0025】
次に、従来技術による同軸コネクタが接続されるリセプタクルの構成を説明する。
図9を参照すると、従来技術によるリセプタクル8は、プリント基板9pに表面実装されている。リセプタクル8は、円筒状の中心コンタクト81、円筒状の外部コンタクト82、及び、誘電体からなるハウジング83を備えている(
図9(B)参照)。
【0026】
図9(B)を参照すると、中心コンタクト81は、円筒状の本体部81bとリード部81rで構成している。本体部81bは、先端部が半球状に閉塞され、内部を中空に構成している。リード部81rは、本体部81bの底壁から外周方向に帯状に延びている。リード部81rは、その底面をプリント基板9pの信号パターンにハンダ接合できる。
【0027】
図9(B)を参照すると、外部コンタクト82は、円筒部82rと複数の鍔部82fで構成している。円筒部82rは、上面を開口している。又、円筒部82rは、中心コンタクト81の本体部81bを囲うように、本体部81bを同軸上に内部に配置している。鍔部82fは、円筒部82rの底壁から三方向に帯状に延びている。複数の鍔部82fは、その底面をプリント基板9pのグラウンドパターンにハンダ接合できる。
【0028】
図9を参照すると、ハウジング83は、矩形の板状に形成している。ハウジング83は、中心コンタクト81及び外部コンタクト82を一体成形することで、中心コンタクト81と外部コンタクト82を固定している。円筒部82rの内部では、中心コンタクト81と外部コンタクト82を電気的に絶縁するように、ハウジング83で充実している。
【0029】
図9を参照して、同軸コネクタ9をリセプタクル8に接続すると、同軸ケーブルCbに内在する中心導体Wcを中心コンタクト81に接続でき、同軸ケーブルCbに内在する外部導体Wbを外部コンタクト82に接続できる。そして、同軸ケーブルCbから高周波信号をプリント基板9pに伝送でき、プリント基板9pから高周波信号を同軸ケーブルCbに伝送できる。
【0030】
図9(A)を参照すると、従来技術による同軸コネクタ9のグラウンドの伝送線路Lgは、外部導体Wb→クリンプバレル93c→底板片93b→ヒンジ93h→円筒部932→鍔部82fを経由して、プリント基板9pのグラウンドパターンに至っている。
【0031】
一方、
図9(B)を参照すると、従来技術による同軸コネクタ9の信号の伝送線路Lsは、中心導体Wc→コンタクト91→中心コンタクト81の本体部81b→中心コンタクト81のリード部81rを経由して、プリント基板9pの信号パターンに至っている。
【0032】
このように、従来技術による同軸コネクタ9は、信号の伝送線路Lsに対して、グラウンドの伝送線路Lgが並走することなく、遠回りになっている。これにより、従来技術による同軸コネクタ9は、高周波帯域での高周波性能の向上を困難にしている。
【0033】
従来技術による同軸コネクタの構造を変えることで、高周波帯域での高周波性能、例えば、電圧定在波比(VSWR:Voltage Standing Wave Ratio)を向上できる同軸コネクタが求められている。そして、以上のことが本発明の課題といってよい。
【0034】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、高周波帯域での高周波性能を向上させることができる同軸コネクタを提供することを目的とする。