【解決手段】半導体装置1は、第1面19および第2面20を有するアイランド2と、アイランド2上に形成された接合材4と、接合材4上に形成され、接合材4に接する第1電極46を有する半導体チップ5と、アイランド2の第2面20が露出するように、アイランド2、接合材4および半導体チップ5を覆う封止樹脂6とを含み、アイランド2の第1面19の算術平均粗さRaは、0.1μm未満である。
前記半導体チップから漏れ出した前記接合材の部分は、前記アイランドの端縁に達しており、かつ前記アイランドの前記第2面に達していない、請求項3または4に記載の半導体装置。
【発明を実施するための形態】
【0013】
<本発明の実施形態>
まず、本発明の実施形態を列記して説明する。
本発明の一実施形態に係る半導体装置は、第1面およびその反対側の第2面を有する導電性のアイランドと、前記アイランド上に形成され、前記アイランドとは異なる材料からなる導電性の接合材と、前記接合材上に形成され、前記接合材に接する第1電極を有する半導体チップと、前記アイランドの前記第2面が露出するように、前記アイランド、前記接合材および前記半導体チップを覆う封止樹脂とを含み、前記アイランドの前記第1面の算術平均粗さRaは、0.1μm未満である。
【0014】
この構成によれば、アイランドの第1面の算術平均粗さRaが0.1μm未満である。これにより、接合材をアイランドの第1面に形成したときに、接合材が広く拡大することを抑制することができる。
たとえば、アイランドの第1面に凸部が多数形成されており、第1面の算術平均粗さRaが0.1μm未満でない場合を検討する。この場合、アイランドの第1面上の接合材は、多数の凸部の間の微細な凹部(溝等)の毛細管現象により、広く拡大する場合がある。これに対し、アイランドの第1面の算術平均粗さRaが0.1μm未満であれば、当該毛細管現象を抑制することができるので、結果として、接合材が広く拡大することを抑制することができる。
【0015】
その結果、接合材を比較的厚くすることができる。接合材を厚くすることによって、接合材とアイランドとの間の線膨張係数の差に起因して接合材に発生する応力を緩和することができる。これにより、当該応力による接合材のクラックの発生を抑制することができ、接合材の抵抗の増加を抑制することができる。その結果、半導体チップからアイランドへ向かって縦方向に電流を良好に流すことができる。
【0016】
本発明の一実施形態に係る半導体装置では、前記接合材の厚さは、20μm〜80μmであってもよい。
接合材の厚さが20μm〜80μmであれば、接合材とアイランドとの間の線膨張係数の差に起因して接合材に発生する応力を良好に緩和することができる。
本発明の一実施形態に係る半導体装置では、前記半導体チップは、平面視四角形状に形成されており、平面視において、前記接合材の一部が前記半導体チップの1辺のみ、または2辺のみから漏れ出していてもよい。
【0017】
本発明の一実施形態に係る半導体装置は、第1面およびその反対側の第2面を有する導電性のアイランドと、前記アイランド上に形成され、20μm〜80μmの厚さを有し、かつ前記アイランドとは異なる材料からなる導電性の接合材と、前記接合材上に形成され、前記接合材に接する第1電極を有し、かつ平面視四角形状に形成された半導体チップと、前記アイランドの前記第2面が露出するように、前記アイランド、前記接合材および前記半導体チップを覆う封止樹脂とを含み、平面視において、前記接合材の一部が前記半導体チップの1辺のみ、または2辺のみから漏れ出している。
【0018】
この構成によれば、平面視において、接合材の一部が半導体チップの1辺のみ、または2辺のみからしか漏れ出していない。つまり、アイランドの第1面における毛細管現象が抑制されており、結果として、接合材が広く拡大することが抑制されている。
また、接合材が20μm〜80μmの厚さを有しているので、接合材とアイランドとの間の線膨張係数の差に起因して接合材に発生する応力を緩和することができる。これにより、当該応力による接合材のクラックの発生を抑制することができ、接合材の抵抗の増加を抑制することができる。その結果、半導体チップからアイランドへ向かって縦方向に電流を良好に流すことができる。
【0019】
本発明の一実施形態に係る半導体装置では、前記半導体チップから漏れ出した前記接合材の部分は、前記アイランドの端縁に達していなくてもよいし、前記アイランドの端縁に達していてもよい。後者の場合で、前記アイランドが、前記アイランドの前記第1面と前記第2面とを接続する第3面を有している場合、前記半導体チップから漏れ出した前記接合材の部分は、前記アイランドの前記第1面から前記第3面に達していてもよい。
【0020】
本発明の一実施形態に係る半導体装置では、前記アイランドは、Cuを主成分とする金属からなる第1母材と、前記第1母材上に形成されたNiを主成分とする金属からなる第1表層めっき層とを含み、前記第1表層めっき層が、前記アイランドの前記第1面を形成していてもよい。
本発明の一実施形態に係る半導体装置では、前記アイランドは、Cuを主成分とする金属からなる第1母材と、前記第1母材上に形成されたNiを主成分とする金属からなる第1表層めっき層とを含み、前記第1表層めっき層が、前記アイランドの前記第1面を形成しており、前記接合材は、はんだを主成分とする金属からなっていてもよい。
【0021】
本発明の一実施形態に係る半導体装置では、前記第1母材は、第1面、その反対側の第2面および当該第1面と第2面とを接続する第3面を有し、前記第1表層めっき層は、前記第1母材の前記第1面、前記第2面および前記第3面の全てを覆っていてもよい。
本発明の一実施形態に係る半導体装置では、前記半導体チップは、前記半導体チップの厚さ方向において前記第1電極の反対側に形成された第2電極を含み、前記半導体装置は、前記アイランドから離れており、かつ第1面およびその反対側の第2面を有するリードと、前記リードと前記第2電極とを接続するワイヤとを含み、前記リードの前記第1面の算術平均粗さRaは、0.1μm未満であってもよい。
【0022】
この構成によれば、リードの第1面の算術平均粗さRaが0.1μm未満である。これにより、リードに対するワイヤの実質的な接合面積を広くすることができるので、ワイヤの接合性を向上させることができる。
本発明の一実施形態に係る半導体装置では、前記リードは、Cuを主成分とする金属からなる第2母材と、前記第2母材上に形成されたNiを主成分とする金属からなる第2表層めっき層とを含み、前記第2表層めっき層が、前記リードの前記第1面を形成していてもよい。
【0023】
本発明の一実施形態に係る半導体装置では、前記第2母材は、第1面、その反対側の第2面および当該第1面と第2面とを接続する第3面を有し、前記第2表層めっき層は、前記第2母材の前記第1面、前記第2面および前記第3面の全てを覆っていてもよい。
本発明の一実施形態に係る半導体装置では、前記リードは、第1リード、および前記第1リードとは異なる第2リードを含み、前記第1リードは、前記封止樹脂から露出した複数の第1アウターリードと、前記複数の第1アウターリードの延長部を前記封止樹脂内で連結する第1インナーリードとを含み、前記第2リードは、前記封止樹脂から露出した複数の第2アウターリードと、各前記第2アウターリードに対して1対1で接続された第2インナーリードとを含んでいてもよい。
【0024】
本発明の一実施形態に係る半導体装置では、前記封止樹脂は、平面視四角形状に形成されており、前記第1リードは、前記封止樹脂の第1辺側に配置されており、前記第2リードは、前記第1辺に対向する前記封止樹脂の第2辺側に配置されていてもよい。
本発明の一実施形態に係る半導体装置では、前記封止樹脂の第3辺側、および前記第3辺に対向する第4辺側に、前記リードが配置されていなくてもよい。
【0025】
本発明の一実施形態に係る半導体装置では、前記半導体チップの前記第2電極は、相対的に大きい第1パッドと、前記第1パッドよりも小さな面積を有する第2パッドとを含み、前記ワイヤは、1つの前記第1パッドと1つの前記第1インナーリードとを接続する複数の第1ワイヤと、1つの前記第2パッドと1つの前記第2インナーリードとを接続する1本の第2ワイヤとを含んでいてもよい。
【0026】
本発明の一実施形態に係る半導体装置では、前記封止樹脂は、エポキシ樹脂を主成分とする材料からなっていてもよい。
<本発明の実施形態の詳細な説明>
次に、本発明の実施形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る半導体装置1の上面側の模式的な斜視図である。
図2は、半導体装置1の下面側の模式的な斜視図である。
図3は、半導体装置1の模式的な平面図であって、封止樹脂6の内部を透視して示す図である。
図4Aは、
図3のIVA−IVA断面を示す図である。
図4Bは、
図3のIVB−IVB断面を示す図である。
図5は、半導体装置1のアイランド2の第1面19およびリード3の第1面42の表面状態を示すSEM画像である。
図6は、参考例に係る半導体装置のアイランド63の第1面64の表面状態を示すSEM画像である。
【0027】
半導体装置1は、たとえば、各種スイッチング素子(たとえば、MOSFET、IGBT、バイポーラトランジスタ、ダイオード等)と、各種保護回路(たとえば、過電流・過熱検知機能等を備える保護回路)とをワンチップに内蔵したスイッチであってもよい。より具体的には、半導体装置1は、MOSFETとその保護回路をワンチップに内蔵した車載グレードのユニバーサルスイッチであってもよい。また、半導体装置1は、IPD(Intelligent Power Device:インテリジェントパワーデバイス)と称してもよい。
【0028】
半導体装置1は、この実施形態では、SOP(Small Outline Package)タイプの半導体パッケージである。半導体装置1は、アイランド2と、リード3と、接合材4と、半導体チップ5と、封止樹脂6とを備えている。
封止樹脂6は、アイランド2、リード3、接合材4および半導体チップ5を覆うことによって、これらを封止している。封止樹脂6は、直方体形状に形成されており、
図3に示す平面視では、平面視四角形状(長方形状)に形成されている。封止樹脂6は、平面視において、互いに対向する第1辺6Aおよび第2辺6Bと、互いに対向する第3辺6Cおよび第4辺6Dとを有している。
【0029】
図3を参照して、アイランド2は、平面視において、略四角形状(略長方形状)に形成されている。アイランド2は、互いに対向する第1辺2Aおよび第2辺2Bと、互いに対向する第3辺2Cおよび第4辺2Dとを有している。この実施形態では、第1辺2Aおよび第2辺2Bがアイランド2の長辺であり、第3辺2Cおよび第4辺2Dがアイランド2の短辺である。なお、アイランド2は、別の言い方で、ダイパッドと称してもよい。また、アイランド2の第1辺2A、第2辺2B、第3辺2C、第4辺2Dは、それぞれ、第1端縁、第2端縁、第3端縁および第4端縁と称してもよい。
【0030】
アイランド2の少なくとも1つの周縁部7は、選択的に突出していてもよい。したがって、アイランド2は、少なくとも1つの周縁部7が選択的に突出した略四角形状(略長方形状)であってもよい。他の言い方では、少なくとも1つの周縁部7が選択的に突出することによって、アイランド2の辺2A〜2Dの一部(この実施形態では、4つの角部)には、切欠部8が形成されている。つまり、アイランド2は、少なくとも1つの角部に切欠部8が形成された略四角形状(略長方形状)であってもよい。
【0031】
ここで、アイランド2の周縁部7は、アイランド2の各辺2A〜2Dおよびその近傍の部分である。この実施形態では、平面視において半導体チップ5で覆われていない部分を、アイランド2の周縁部7と定義してもよい。この実施形態では、アイランド2の一対の短辺(第3辺2Cおよび第4辺2D)に沿う周縁部7の一部が突出し、アイランド2の一対の突出部9を形成している。一対の突出部9は、アイランド2の他の辺(この実施形態では、長辺である第1辺2Aおよび第2辺2B)の中央を通る軸Aに対して線対称である。
【0032】
また、各突出部9は、アイランド2の第3辺2Cおよび第4辺2Dの両端部からそれぞれ離れた部分に形成されている。これにより、アイランド2の第3辺2Cおよび第4辺2Dの両端部には、それぞれ、一対の切欠部8が形成されている。各突出部9は、平面視において、一対の切欠部8に挟まれている。また、各突出部9および一対の切欠部8は、アイランド2の第3辺2Cおよび第4辺2Dの中央を通る軸Bに対して線対称である。
【0033】
各突出部9は、平面視において、略長方形状である。一方、各切欠部8は、各辺2C,2Dに対してアイランド2の内側に向かって第1の距離L1を有する第1段差10と、第1の距離L1よりも短い第2の距離L2を有する第2段差11との組み合わせからなっていてもよい。つまり、各切欠部8は、アイランド2の第1辺2Aおよび第2辺2Bに沿って延び、各突出部9の1辺を形成する直線状の辺12と、アイランド2の第3辺2Cおよび第4辺2Dに沿って延び、かつ非直線状(たとえば、クランク状、S字状等)の辺13とで区画されていてもよい。
【0034】
図4Aおよび
図4Bを参照して、アイランド2は、第1母材14と、第1母材14上に形成された第1表層めっき層15とを含む。
第1母材14は、Cuを主成分とする金属からなる。たとえば、Cuを主成分とする金属の線膨張係数は、16(10
−6/K)〜19(10
−6/K)であってもよい。ここで、「Cuを主成分とする金属」とは、第1母材14を構成するCuの質量比率(質量%)が、第1母材14を構成する他の成分に対して最も高い金属のことをいう。
【0035】
第1母材14がCu−Sn合金からなる場合、Cuの質量比率R
Cuは、Snの質量比率R
Snよりも高い(R
Cu>R
Sn)。「Cuを主成分とする金属」には、微量の不純物を含む場合はあるが、純度99.9999%(6N)以上の高純度銅や、純度99.99%(4N)以上の高純度銅等も含まれる。また、他のCu合金としては、たとえば、Cu−Zr合金、Cu−Fe合金、Cu−Cr−Sn−Zr合金等の公知のCu合金材が挙げられる。
【0036】
第1母材14は、第1面16、その反対側の第2面17および当該第1面16と第2面17とを接続する第3面18を有している。別の言い方では、第1母材14の第1面16は上面であり、第2面17は裏面であり、第3面18は側面であってもよい。また、第1母材14は、たとえば、0.15mm〜0.3mmの厚さを有する金属板であってもよい。
【0037】
第1表層めっき層15は、Niを主成分とする金属からなる。ここで、「Niを主成分とする金属」とは、第1表層めっき層15を構成するNiの質量比率(質量%)が、第1表層めっき層15を構成する他の成分に対して最も高い金属のことをいう。「Niを主成分とする金属」は、微量の不純物(たとえば、Fe等)を含む場合はあるが、Niを99%以上含んでいれば、Niを主成分とする金属と称してもよい。
【0038】
第1表層めっき層15は、この実施形態では、第1母材14の第1面16、第2面17および第3面18の全てを覆っている。つまり、第1母材14の表面全体が、第1表層めっき層15で覆われている。これにより、アイランド2の表面全体が、第1表層めっき層15で形成されている。
この実施形態では、アイランド2は、第1面19、その反対側の第2面20および当該第1面19と第2面20とを接続する第3面21を有している。別の言い方では、アイランド2の第1面19は上面であり、第2面20は裏面であり、第3面21は側面であってもよい。このアイランド2の第1面19、第2面20および第3面21の全てが、第1表層めっき層15で形成されている。また、第1表層めっき層15は、たとえば、2μm〜3μmの厚さを有する金属薄膜であってもよい。
【0039】
このような層構成を有するアイランド2の第1面19の算術平均粗さRaは、0.1μm未満である。より具体的には、
図5を参照して、アイランド2の第1面19には、複数の凸部22が選択的に形成され、複数の凸部22の間に凹部23が形成されている。これらの凸部22および凹部23の凹凸構造が形成されたアイランド2の第1面19の算術平均粗さRaが0.1μm未満である(
図5のSEM画像の表面の算術平均粗さRaは、0.085μm)。また、たとえば、凸部22および凹部23は、線状の凸部24および線状の凹部25を含んでいてもよいし、点状の凸部26および点状の凹部27を含んでいてもよい。
【0040】
図3を参照して、リード3は、第1リード28、および第1リード28とは異なる第2リード29を含む。
第1リード28は、この実施形態では、封止樹脂6の第1辺6A側に配置されている。この実施形態では、前述の軸Aに対して線対称な一対の第1リード28が形成されている。
【0041】
各第1リード28は、封止樹脂6から露出した複数の第1アウターリード30と、複数の第1アウターリード30の延長部を封止樹脂6内で連結する第1インナーリード31とを含む。この実施形態では、4本の第1アウターリード30の延長部32が、1本の第1インナーリード31で連結されている。
第1インナーリード31は、封止樹脂6の第1辺6Aに沿って延びており、平面視略長方形状に形成されている。また、第1インナーリード31は、アイランド2に対して上方に離れた高さ位置に配置されている。複数の第1アウターリード30は、第1インナーリード31の長辺に沿って間隔を空けて配列されている。各第1アウターリード30は、第1インナーリード31の長手方向に対して垂直な方向に延びている。また、
図1、
図2および
図4Aを参照して、各第1アウターリード30は、クランク形状に形成されており、アイランド2の第2面17と同じ高さに底面(第2面43)を有している。
【0042】
第2リード29は、この実施形態では、封止樹脂6の第2辺6B側に配置されている。第2リード29は、封止樹脂6から露出した複数の第2アウターリード33と、各第2アウターリード33に対して1対1で接続された第2インナーリード34とを含む。この実施形態では、1本の第2アウターリード33と1本の第2インナーリード34とが一体化した第2リード29が合計8本形成されている。
【0043】
図3を参照して、各第2インナーリード34は、封止樹脂6の第2辺6Bに対して垂直な方向に延びている。第2インナーリード34は、封止樹脂6の第2辺6Bに対して垂直な方向に沿って、相対的に広い幅を有する第1部分35と、第1部分35に比べて狭い幅を有する第2部分36とを有していてもよい。
第1部分35および第2部分36は、それぞれ、1つずつ形成されていてもよいし、2つ以上形成されていてもよい。この実施形態では、第2インナーリード34のアイランド2に近い側の端部から、第1部分35、第2部分36、第1部分35および第2部分36の順に交互に形成されている。隣り合う第1部分35で挟まれた第2部分36は、幅広な一対の第1部分35の間の幅狭な部分であり、第2インナーリード34のネック部と称してもよい。
【0044】
また、
図4Aを参照して、第2インナーリード34は、アイランド2に対して上方に離れた高さ位置に配置されている。
各第2アウターリード33は、封止樹脂6の第2辺6Bに対して垂直な方向に第2インナーリード34と一体的に延びている。また、
図1、
図2および
図4Aを参照して、各第2アウターリード33は、クランク形状に形成されており、アイランド2の第2面17と同じ高さに底面(第2面43)を有している。
【0045】
また、この半導体装置1では、封止樹脂6の第3辺6C側および第4辺6D側に、リード3が配置されていない。つまり、封止樹脂6の第3辺6C側の側面(後述する第3面62)および第4辺6D側の側面(後述する第3面62)は、リード3が突出していない側面となっている。
図4Aおよび
図4Bを参照して、リード3は、第2母材37と、第2母材37上に形成された第2表層めっき層38とを含む。
【0046】
第2母材37は、Cuを主成分とする金属からなる。つまり、第2母材37は、第1母材14と同じ材料からなっていてもよい。たとえば、Cuを主成分とする金属の線膨張係数は、16(10
−6/K)〜19(10
−6/K)であってもよい。ここで、「Cuを主成分とする金属」とは、第2母材37を構成するCuの質量比率(質量%)が、第2母材37を構成する他の成分に対して最も高い金属のことをいう。
【0047】
第2母材37がCu−Sn合金からなる場合、Cuの質量比率R
Cuは、Snの質量比率R
Snよりも高い(R
Cu>R
Sn)。「Cuを主成分とする金属」には、微量の不純物を含む場合はあるが、純度99.9999%(6N)以上の高純度銅や、純度99.99%(4N)以上の高純度銅等も含まれる。また、他のCu合金としては、たとえば、Cu−Zr合金、Cu−Fe合金、Cu−Cr−Sn−Zr合金等の公知のCu合金材が挙げられる。
【0048】
第2母材37は、第1面39、その反対側の第2面40および当該第1面39と第2面40とを接続する第3面41を有している。別の言い方では、第2母材37の第1面39は上面であり、第2面40は裏面であり、第3面41は側面であってもよい。また、第2母材37は、たとえば、0.15mm〜0.3mmの厚さを有する金属板であってもよい。
【0049】
第2表層めっき層38は、Niを主成分とする金属からなる。ここで、「Niを主成分とする金属」とは、第2表層めっき層38を構成するNiの質量比率(質量%)が、第2表層めっき層38を構成する他の成分に対して最も高い金属のことをいう。「Niを主成分とする金属」は、微量の不純物(たとえば、Fe等)を含む場合はあるが、Niを99%以上含んでいれば、Niを主成分とする金属と称してもよい。
【0050】
第2表層めっき層38は、この実施形態では、第2母材37の第1面39、第2面40および第3面41の全てを覆っている。つまり、第2母材37の表面全体が、第2表層めっき層38で覆われている。これにより、リード3の表面全体が、第2表層めっき層38で形成されている。
この実施形態では、リード3は、第1面42、その反対側の第2面43および当該第1面42と第2面43とを接続する第3面44を有している。別の言い方では、リード3の第1面42は上面であり、第2面43は裏面であり、第3面44は側面であってもよい。このリード3の第1面42、第2面43および第3面44の全てが、第2表層めっき層38で形成されている。また、第2表層めっき層38は、たとえば、2μm〜3μmの厚さを有する金属薄膜であってもよい。
【0051】
このような層構成を有するリード3の第1面42の算術平均粗さRaは、0.1μm未満である。より具体的には、
図5に示したアイランド2の第1面19と同様に、リード3の第1面42には、複数の凸部22が選択的に形成され、複数の凸部22の間に凹部23が形成されている。これらの凸部22および凹部23の凹凸構造が形成されたリード3の第1面42の算術平均粗さRaが0.1μm未満である(
図5のSEM画像の表面の算術平均粗さRaは、0.085μm)。また、たとえば、凸部22および凹部23は、線状の凸部24および線状の凹部25を含んでいてもよいし、点状の凸部26および点状の凹部27を含んでいてもよい。
【0052】
接合材4は、アイランド2上に形成され、かつアイランド2の第1面19に直接接している。接合材4は、この実施形態では、はんだを主成分とする金属からなる。たとえば、はんだを主成分とする金属の線膨張係数は、19(10
−6/K)〜32(10
−6/K)であってもよい。
ここで、「はんだを主成分とする金属」とは、接合材4を構成する、はんだの質量比率(質量%)が、接合材4を構成する他の成分に対して最も高い金属のことをいう。はんだの具体的な組成としては、たとえば、鉛含有はんだ、鉛フリーはんだのいずれであってもよい。鉛含有はんだとしては、たとえば、PbSn、PbSnAg、PbSnBi、PbSnBiIn等が挙げられる。鉛フリーはんだとしては、たとえば、AuSn、AgSn、AgSnCu、SnZnBi、SnSbNi、SnZn、SnBi等が挙げられる。また、接合材4は、20μm〜80μmの厚さT1を有している。
【0053】
図3を参照して、半導体チップ5は、平面視において、四角形状(長方形状)に形成されている。半導体チップ5は、互いに対向する第1辺5Aおよび第2辺5Bと、互いに対向する第3辺5Cおよび第4辺5Dとを有している。この実施形態では、第1辺5Aおよび第2辺5Bが半導体チップ5の長辺であり、第3辺5Cおよび第4辺5Dが半導体チップ5の短辺である。
【0054】
半導体チップ5は、半導体基板45と、第1電極46と、第2電極47と、表面保護膜48とを備えている。
半導体基板45は、たとえば、Si基板、SiC基板等の公知の半導体基板45であってよい。半導体基板45は、第1面49、その反対側の第2面50および当該第1面49と第2面50とを接続する第3面51を有している。別の言い方では、半導体基板45の第1面49は上面であり、第2面50は裏面であり、第3面51は側面であってもよい。半導体基板45の第1面49には、たとえば、MOSFET52(スイッチング素子)および当該MOSFET52の保護回路(図示せず)等の半導体素子が形成されている。MOSFET52は、第1電極46と第2電極47との間を半導体基板45の厚さ方向に電流が流れる縦型素子である。
【0055】
第1電極46は、半導体基板45の第2面50に形成され、たとえば、第2面50の全体を覆っている。第1電極46は、半導体基板45のMOSFET52に電気的に接続されている。第1電極46は、たとえば、アルミニウム(アルミニウム合金を含む)等の金属膜からなっていてもよい。なお、第1電極46は、MOSFET52のドレイン電極と称してもよいし、半導体装置1の裏面電極と称してもよい。
【0056】
第2電極47は、たとえば、図示しない層間絶縁膜等の絶縁膜を介して、半導体基板45の第1面49上に形成されている。第2電極47は、たとえば、アルミニウム(アルミニウム合金を含む)等の金属膜からなり、所定のパターンで形成されていてもよい。なお、第2電極47の1つは、MOSFET52のソース電極と称してもよいし、半導体装置1の表面電極と称してもよい。また、他の第2電極47は、MOSFET52のゲート電極と称してもよい。
【0057】
表面保護膜48は、第2電極47を覆っている。表面保護膜48は、たとえば、酸化シリコン(SiO
2)、窒化シリコン(SiN)等の公知の絶縁膜であってよい。表面保護膜48には、第1開口53および第2開口54が形成されている。第1開口53から第2電極47の一部が第1パッド55として露出しており、第2開口54から第2電極47の一部が第2パッド56として露出している。第1パッド55および第2パッド56は、互いに離れており、絶縁されている。
図3を参照して、この実施形態では、第1パッド55が相対的に大きな面積を有し、第2パッド56が第1パッド55よりも小さな面積を有している。
【0058】
第1パッド55は、封止樹脂6の第1辺6A側に配置されている。第1パッド55は、封止樹脂6の第1辺6Aに沿って間隔を空けて複数配列されている。この実施形態では、2つの第1パッド55が配列されている。そして、1つの第1パッド55と1つの第1インナーリード31とが、複数の第1ワイヤ57で接続されている。第1パッド55における複数の第1ワイヤ57の接合部間の距離は、第1インナーリード31における複数の第1ワイヤ57の接合部間の距離よりも狭くなっている。
【0059】
第2パッド56は、封止樹脂6の第2辺6B側に配置されている。第2パッド56は、封止樹脂6の第2辺6Bに沿って間隔を空けて複数配列されている。この実施形態では、8つの第1パッド55が配列されている。そして、1つの第2パッド56と1つの第2インナーリード34とが、1本の第2ワイヤ58で接続されている。
第1ワイヤ57および第2ワイヤ58は、Auワイヤ、Cuワイヤ等の公知のボンディングワイヤであってよい。
【0060】
半導体チップ5は、接合材4上に配置されており、かつ第1電極46が接合材4に直接接している。また、
図3を参照して、半導体チップ5を第2面50側(裏面側)から支持する接合材4の一部は、平面視において、半導体チップ5の1辺のみ、または2辺のみから漏れ出している。
図3では、半導体チップ5の第2辺5Bおよび第4辺5Dから漏れ出した接合材4の漏れ出し部分59が示されている。より具体的には、半導体チップ5の第3辺5Cおよび第4辺5Dと、アイランド2の第3辺2Cおよび第4辺2Dとの距離L3は、半導体チップ5の第1辺5Aおよび第2辺5Bと、アイランド2の第1辺2Aおよび第2辺2Bとの距離L4よりも長くなっている。これにより、半導体チップ5の第4辺5Dから漏れ出した接合材4の漏れ出し部分59が、アイランド2の第4辺2Dに達していない一方、半導体チップ5の第2辺5Bから漏れ出した接合材4の漏れ出し部分59は、アイランド2の第2辺2Bに達している。また、半導体チップ5の第2辺5Bから漏れ出した接合材4の漏れ出し部分59は、
図4Aに破線で示すように、アイランド2の第2面20に達していなければ、アイランド2の第3面21を部分的に覆っていてもよい。
【0061】
このように、接合材4の漏れ出し部分59がアイランド2の第2面20まで達し難い要因は、アイランド2の第1面19の算術平均粗さRaが0.1μm未満であることに加え、アイランド2の第3面21の算術平均粗さRaが0.1μm未満であるためである。アイランド2の第1面19および第3面21は、後述するように、いずれも共通のめっき工程で形成された第1表層めっき層15で構成されている。したがって、接合材4の漏れ出し部分59がアイランド2の第2辺2Bに達しても、アイランド2の第3面21でも毛細管現象が抑制され、結果として、接合材4が第2面20まで広く拡大することが抑制される。
【0062】
また、アイランド2の第2辺2Bでは、アイランド2の第1面19と第3面21とが交差している。そのため、接合材4の漏れ出し部分59が、この交差部に達したときに、漏れ出し部分59の表面張力によって、漏れ出し部分59の第3面21への拡大が抑制され、漏れ出し部分59が交差部に留まりやすくなる。その結果、接合材4の漏れ出し部分59がアイランド2の第2面20まで達し難くなる。
【0063】
なお、接合材4の漏れ出し部分59は、半導体チップ5の第2辺5Bおよび第4辺5Dの他、第1辺5Aおよび第3辺5Cのいずれかに形成されていてもよいし、第1辺5A〜第4辺5Dのうちの任意の1辺または2辺に形成されていてもよい。
封止樹脂6は、エポキシ樹脂を主成分とする材料からなる。エポキシ樹脂としては、たとえば、公知の封止樹脂材料を適用できる。封止樹脂6は、前述のように直方体形状に形成されており、第1面60、その反対側の第2面61および当該第1面60と第2面61とを接続する第3面62を有している。別の言い方では、封止樹脂6の第1面60は上面であり、第2面61は裏面であり、第3面62は側面であってもよい。
【0064】
封止樹脂6は、アイランド2、リード3、接合材4および半導体チップ5を覆うことによって、これらを封止しており、かつアイランド2の第2面20(裏面)を裏面端子として露出させている。
図2、
図4Aおよび
図4Bを参照して、この実施形態では、アイランド2の第2面20の全体が、封止樹脂6の第2面61から露出している。露出したアイランド2の第2面20は、たとえば、実装基板への半導体装置1の実装時、実装基板の回路を構成する配線に接続される。これにより、半導体チップ5をその厚さ方向に流れる電流を、接合材4を介してアイランド2へ縦方向に流し、さらにアイランド2の第2面20(裏面)から実装基板上の配線に流すことができる。
【0065】
また、封止樹脂6の互いに対向する一対の第3面62から、第1アウターリード30および第2アウターリード33が、それぞれクランク状に延びている。
次に、半導体装置1の作用効果について説明する。まず、参考例に係る半導体装置について検討する。
参考例に係る半導体装置では、アイランド63の第1面64の表面状態が、
図6の通りとなっている。このような層構成を有するアイランド63の第1面64の算術平均粗さRaは、0.1μm未満ではない。より具体的には、参考例に係る半導体装置のアイランド63の第1面64には、その全体にわたって、多数の球状の凸部65若しくは粒子66が散在している。そのため、球状の凸部65や粒子66間の微細な溝67(隙間)が、アイランド63の第1面64の全体にわたって、たとえば蜘蛛の巣状に張り巡らされている。
【0066】
すなわち、参考例のアイランド63の第1面64では、凸部65や粒子66の寸法(たとえば、径)が前述の半導体装置1の凸部22の寸法よりも大きく、一方で、凸部65や粒子66間の溝の幅は、半導体装置1の凹部23の幅よりも、はるかに小さくなっている。そして、参考例の球状の凸部65、粒子66および溝67の凹凸構造が形成されたアイランド63の第1面64の算術平均粗さRaは、0.1μm未満ではい。
図6のSEM画像の表面の算術平均粗さRaは、0.143μmである。このような参考例の構造では、アイランド63の第1面64上の接合材4は、蜘蛛の巣状の溝67の毛細管現象により、広く拡大する場合がある。
【0067】
これに対し、半導体装置1のように、アイランド2の第1面19の算術平均粗さRaが0.1μm未満であれば、当該毛細管現象を抑制することができるので、結果として、接合材4が広く拡大することを抑制することができる。たとえば、接合材4の厚さが20μm〜80μmであっても、半導体チップ5からの接合材4の漏れ出し部分59を、半導体チップ5の1辺のみ、または2辺のみに留めることができる。つまり、アイランド2の第1面19における毛細管現象が抑制されており、結果として、接合材4が広く拡大することが抑制されている。
【0068】
その結果、接合材4を比較的厚く(たとえば、20μm〜80μm)することができる。接合材4を厚くすることによって、接合材4とアイランド2との間の線膨張係数の差に起因して接合材4に発生する応力を緩和することができる。これにより、当該応力による接合材4のクラックの発生を抑制することができ、接合材4の抵抗の増加を抑制することができる。その結果、半導体チップ5からアイランド2へ向かって縦方向に電流を良好に流すことができる。
【0069】
また、リード3の表面全体が、第2表層めっき層38によって、算術平均粗さRaが0.1μm未満となっている。これにより、リード3に対する封止樹脂6の余計な引っ掛かりを抑制することができる。その結果、半導体装置1の製造工程において、たとえば、第1アウターリード30および第2アウターリード33等に余分な封止樹脂6が密着することによる封止樹脂6のバリの発生を抑制することができる。また、たとえバリが発生しても、リード3に対する封止樹脂6の密着力が小さいので、当該バリを簡単に除去することができる。
【0070】
図7A〜
図7Gは、半導体装置1の製造工程の一部を工程順に示す図である。
図8は、スパンカー71による接合材4の成形に関連する工程を示す図である。なお、
図7A〜
図7Gは、
図4Aに対応する断面を示している。
次に、
図7A〜
図7Gを参照して、半導体装置1の製造方法について説明する。
まず、
図7Aを参照して、Cuを主成分とする母材からなるリードフレーム68が準備される。リードフレーム68は、アイランド2およびリード3を一体的に備えている。なお、
図7Aでは、アイランド2とリード3とを一体的に接続するリード3(たとえば、吊りリード3)を省略している。
【0071】
次に、
図7Bを参照して、アイランド2およびリード3の表面に、第1表層めっき層15および第2表層めっき層38が形成される。第1表層めっき層15および第2表層めっき層38は、たとえば、電解めっき法で形成されるが、無電解めっき法で形成されてもよい。また、めっき液としては、Niを主成分とする金属からなるめっき液が使用される。この際、Niめっき液の組成およびめっき条件(たとえば、電流密度、時間等)を調整することによって、第1表層めっき層15および第2表層めっき層38の表面の算術平均粗さRaを1μm未満にすることができる。
【0072】
次に、
図7Cを参照して、アイランド2の中央部に、所定の長さ分の糸はんだ69を溶融させる。これにより、アイランド2上に溶融はんだ70が形成される。使用される糸はんだ69の長さLは、たとえば、アイランド2の第1面19を基準に測定してもよい。
次に、
図7Dを参照して、溶融はんだ70がスパンカー71を用いて成形されることによって接合材4が形成される。この実施形態では、溶融はんだ70は、
図8に示すように、スパンカー71を用いて平面視四角形状に成形される。
【0073】
次に、
図7Eを参照して、たとえば、チップマウンター(図示せず)を用いて、接合材4上に半導体チップ5がマウントされる。
次に、
図7Fを参照して、半導体チップ5の第1パッド55と第1インナーリード31とが第1ワイヤ57で接続され、半導体チップ5の第2パッド56と第2インナーリード34とが第2ワイヤ58で接続される。
【0074】
次に、7Gを参照して、アイランド2、リード3、接合材4および半導体チップ5が、封止樹脂6で封止される。その後、個片化工程が行われることによって、前述の半導体装置1が得られる。
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、他の形態で実施することもできる。
【0075】
たとえば、半導体装置1のパッケージの形式は、SOPに限らず、他の表面実装形のパッケージ形式であってもよい。たとえば、SOJ(Small Outline J-leaded Package)、SOJ(Small Outline J-leaded Package)、QFP(Quad Flat Package)等の公知の半導体パッケージや、これらに類する種々の半導体パッケージが適用されてもよい。
また、接合材4の一部が半導体チップ5の1辺のみ、または2辺のみからしか漏れ出していないのであれば、アイランド2の第1面19の算術平均粗さRaは1μm以上であってもよい。逆に、アイランド2の第1面19の算術平均粗さRaが1μm未満であれば、接合材4の一部は、半導体チップ5の3辺以上から漏れ出していてもよい。
【0076】
また、半導体チップ5に内蔵される素子は、MOSFET52に代えて、たとえば、IGBT、バイポーラトランジスタ、ダイオード等であってもよい。
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
【実施例】
【0077】
次に、本発明を実施例および参考例に基づいて説明するが、本発明は下記の実施例によって限定されるものではない。
<実施例>
まず、電解めっき法によって、Cuを主成分とする母材からなるリードフレームの表面全体に、Niを主成分とする表層めっき層を形成した。この際、表層めっき層の表面(前述のアイランド2の第1面19)の算術平均粗さRaが1μm未満となるように、Niめっき液の組成およびめっき条件を調整した。得られた表層めっき層の表面の算術平均粗さRaは、0.085μmであった。つまり、
図5で示した表面状態を有する表層めっき層が形成された。
【0078】
次に、アイランド2の中央部に、所定の長さ分の糸はんだを溶融させ、当該溶融はんだを、スパンカーを用いて四角形状に成形した。次に、所定の押圧力で、半導体チップ5を溶融はんだの上にマウントした。なお、所定の押圧力は、溶融はんだに対する半導体チップ5の押し込みを停止したときの、アイランド2の第1面19に対する半導体チップ5の高さ位置で定義した。
【0079】
次に、半導体チップ5のマウント後のはんだの広がり状態を、マトリックス評価した。マトリックス評価では、縦軸に、半導体チップ5の押圧力を5段階で設定した。一方、横軸には、糸はんだの長さ、つまり、溶融はんだの量を5段階で設定した。結果を
図9に示す。
図9では、アイランド2を第2面20側から見た半導体装置(封止樹脂は省略)を示している。
【0080】
図9から、いずれの条件においても、はんだ(接合材)の漏れ出し部分59が、アイランド2の第1面19から第2面20まで回り込むことなく第1面19に留まっており(はんだの一部は、アイランド2の端縁に達しているが、第2面20には達していない)、はんだがアイランド2の第1面19から漏れ出ることがなかった。つまり、アイランド2と半導体チップ5との間のはんだの広がりを良好に制御できていた。
<参考例>
表層めっき層の表面の算術平均粗さRaは、0.143μmであった(
図6で示した表面状態を有する表層めっき層)ことを除いて、実施例と同じ工程を経て、半導体チップ5を溶融はんだの上にマウントした。そして、実施例と同様に、半導体チップ5のマウント後のはんだの広がり状態を、マトリックス評価した。結果を
図10に示す。
【0081】
図10から、いずれの条件においても、はんだ(接合材)の漏れ出し部分72がアイランド63の第1面64のほぼ全体に広がり、一部が第1面64から第2面73まで回り込んで広がっていた。つまり、アイランド63と半導体チップ5との間のはんだの広がりを上手く制御できていなかった。つまり、参考例では、アイランド63の第1面64での毛細管現象によって、溶融はんだが広がったと推定される。