【解決手段】振動デバイス1は、導電性を有する振動板10と、振動板10上に配置された圧電素子20と、圧電素子20を介して振動板10と対向して配置された配線部材30と、を備える。圧電素子20は、振動板10と配線部材30との対向方向において、互いに対向する主面21a,21bを有する圧電素体21と、主面21aに配置され、振動板10と電気的に接続された外部電極22と、主面21bに配置され、配線部材30と電気的に接続された外部電極23と、を有する。振動板10は、配線部材30側に突出し、配線部材30と電気的に接続された突起部11を有する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のような振動デバイスでは、配線部材を圧電素子上に配置し、配線部材を圧電素子の上面電極と電気的に接続させると共に、振動板を通じて配線部材を圧電素子の下部電極と電気的に接続させる場合がある。この場合、配線部材が接続される振動板と上面電極との間には高さの差が存在するので、配線部材の電気的な接続が安定しないおそれがある。
【0005】
本開示は、配線部材の電気的な接続を安定させることができる振動デバイス及び電子機器を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一つの態様に係る振動デバイスは、導電性を有する振動板と、振動板上に配置された圧電素子と、圧電素子を介して振動板と対向して配置された配線部材と、を備え、圧電素子は、振動板と配線部材との対向方向において、互いに対向する第一主面及び第二主面を有する圧電素体と、第一主面に配置され、振動板と電気的に接続された第一外部電極と、第二主面に配置され、配線部材と電気的に接続された第二外部電極と、を有し、振動板は、配線部材側に突出し、配線部材と電気的に接続された第一突起部を有する。
【0007】
この振動デバイスでは、振動板が第一突起部を有し、第一突起部は、配線部材側に突出し、配線部材と電気的に接続されている。このため、振動板が第一突起部を有さない場合と比べて、振動板と圧電素子の第二外部電極との間の高さの差を小さくすることができる。よって、配線部材の電気的な接続を安定させることができる。
【0008】
振動板は、配線部材側に突出し、配線部材を支持する第二突起部を有してもよい。この場合、第二突起部により支持されて配線部材の姿勢が安定する。よって、配線部材の電気的な接続を更に安定させることができる。
【0009】
振動板は、圧電素子と対向している第三主面を有し、第三主面は、圧電素子と対向している対向領域を有し、対向領域を含む仮想的な平面を基準面としたとき、第一突起部の高さは、第二外部電極の高さと同等であってもよい。この場合、配線部材の電気的な接続を更に安定させることができる。
【0010】
第一突起部の先端部は、配線部材側に凸の曲面であってもよい。この場合、第一突起部の先端部が尖っている場合に比べて、第一突起部と配線部材との接続強度を向上させることができる。
【0011】
配線部材は、接着剤により第一突起部に接着されており、接着剤は、第一突起部の側面を覆っていてもよい。この場合、第一突起部と配線部材との接続部を接着剤により補強することができる。
【0012】
第一突起部は、振動板が湾曲することにより構成されていてもよい。この場合、別部材を振動板に取り付けて第一突起部を構成する場合に比べて、電気抵抗の増加を抑制可能となる。
【0013】
対向方向から見て、第一突起部の長さは、第一突起部と圧電素子との間の距離よりも短くてもよい。この場合、第一突起部と圧電素子との短絡を抑制することができる。
【0014】
本開示の一つの態様に係る電子機器は、上記振動デバイスを備える。
【0015】
この電子機器は、上記振動デバイスを備えているので、配線部材の電気的な接続を安定させることができる。
【発明の効果】
【0016】
本開示の一つの態様によれば、配線部材の電気的な接続を安定させることができる振動デバイス及び電子機器が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付図面を参照して、実施形態について詳細に説明する。なお、説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には、同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
【0019】
(第一実施形態)
図1は、第一実施形態に係る振動デバイスを示す上面図である。
図2は、
図1の圧電素子及び振動板を示す斜視図である。
図3は、
図1のIII−III線に沿っての断面図である。
図1〜
図3に示されるように、第一実施形態に係る振動デバイス1は、振動板10と、圧電素子20と、配線部材30と、を備えている。圧電素子20は振動板10上に配置されている。配線部材30は、圧電素子20を介して振動板10と対向して配置されている。圧電素子20は、振動板10と配線部材30との間に配置されている。以下では、振動板10と配線部材30との対向方向を第一方向D1とする。
【0020】
振動板10は、圧電素子20の振動を増幅させるための板部材である。振動板10は、導電性を有している。振動板10は、例えば金属からなる。振動板10は、例えばNi−Fe合金、Ni、黄銅、又はステンレス鋼からなる。
【0021】
振動板10は、互いに対向する主面10a,10bを有している。主面10a,10bの対向方向は、第一方向D1と一致している。第一方向D1は、主面10a,10bに直交する方向でもある。振動板10の厚さ(振動板10の第一方向D1の長さ)は、例えば、50μm以上300μm以下である。本実施形態では、振動板10の厚さは、例えば、120μmである。
【0022】
主面10aの形状及び面積は、主面10bの形状及び面積と略同等である。第一方向D1から見て、主面10aの外縁は、主面10bの外縁と略一致している。主面10a,10bは、例えば、円形状を呈している。本実施形態では、主面10a,10bは、真円形状を呈している。主面10a,10bの直径は、例えば、8mm以上30mm以下である。本実施形態では、主面10a,10bの直径は、例えば、15mmである。
【0023】
主面10aは、第一方向D1で圧電素子20と対向している。主面10aは、第一方向D1で圧電素子20と対向している対向領域Rを有している。対向領域Rは、第一方向D1から見て、圧電素子20と重なっている領域である。第一方向D1から見て、対向領域Rの外縁は、圧電素子20の外縁と一致している。本実施形態では、対向領域Rは、真円形状を呈している。
【0024】
振動板10は、配線部材30側に突出している突起部11を有している。突起部11は、後述する基準面よりも配線部材30側に突出している部分である。突起部11は、例えば、円錐形状を呈している。突起部11は、突起部11の先端部11aに近づくにしたがって先細る形状を呈している。突起部11は、第一方向D1から見て、例えば、円形状を呈している。本実施形態では、突起部11は、第一方向D1から見て、真円形状を呈している。第一方向D1から見た突起部11の長さL1は、例えば、0.05mm以上0.25mm以下である。本実施形態では、長さL1は、第一方向D1から見た突起部11の直径であり、例えば、0.12mmである。
【0025】
突起部11は、第一方向D1から見て、圧電素子20から離間して設けられている。第一方向D1から見て、突起部11の外縁と圧電素子20との間の距離(最短距離)L2は、例えば、1mm以上2mm以下である。本実施形態では、距離L2は、例えば、1.5mmである。第一方向D1から見て、突起部11の長さL1は、距離L2よりも短い。第一方向D1から見て、突起部11と振動板10の主面10aの外縁との間の距離(最短距離)L3は、例えば、0.1mm以上1mm以下である。本実施形態では、距離L3は、例えば、0.4mmである。
【0026】
第一方向D1から見て、突起部11は円形以外の形状を呈していてもよい。この場合、長さL1は、第一方向D1から見て、突起部11の外縁と圧電素子20とを最短距離で接続する直線が、突起部11と重なる長さとして規定されてもよい。長さL1は、第一方向D1から見て、突起部11の外縁上の2点を結ぶ直線がとり得る最大長さとして規定されてもよい。
【0027】
対向領域Rを含む仮想的な平面を基準面としたとき、突起部11の高さH1(突起部11の第一方向D1における長さ)は、例えば、50μm以上250μm以下である。本実施形態では、高さH1は、例えば、140μmである。
【0028】
突起部11の表面は、主面10aの一部により構成されている。先端部11aは、配線部材30側に凸の曲面である。本実施形態では、突起部11は、振動板10が湾曲することにより構成されている。すなわち、突起部11では、主面10a,10bが、互いに略平行を保ったまま湾曲している。突起部11では、主面10aが突出していると共に、主面10bが窪んでいるとも言える。突起部11は、例えば、振動板10にエンボス加工を施すことにより形成される。具体的には、突起部11は、振動板10を主面10b側からポンチで押圧し、振動板10を塑性変形させることにより形成される。
【0029】
圧電素子20は、圧電素体21と、外部電極22と、外部電極23と、を有している。圧電素体21は、板状を呈している。圧電素体21は、例えば、主面21a,21bと、側面21cと、を有している。主面21a,21bは、互いに対向している。主面21a,21bの対向方向は、第一方向D1と一致している。第一方向D1は、主面21a,21bに直交する方向でもある。
【0030】
主面21aは、第一方向D1において主面10aと対向している。主面21bは、第一方向D1において配線部材30と対向している。側面21cは、主面21aと主面21bとを連結するように第一方向D1に延在している。主面21a,21bと側面21cとは稜線部を介して間接的に隣り合っている。圧電素体21の厚さ(圧電素体21の第一方向D1の長さ)は、例えば、40μm以上300μm以下である。本実施形態では、圧電素体21の厚さは、例えば、140μmである。
【0031】
主面21aの形状及び面積は、主面21bの形状及び面積と略同等である。第一方向D1から見て、主面21aの外縁は、主面21bの外縁と略一致している。主面21a,21bは、例えば、円形状を呈している。本実施形態では、主面21a,21bは、真円形状を呈している。主面21a,21bの直径は、例えば、5mm以上20mm以下である。本実施形態では、主面21a,21bの直径は、例えば、10mmである。
【0032】
圧電素体21は、圧電材料からなる。本実施形態では、圧電素体21は、圧電セラミック材料からなる。圧電セラミック材料は、例えば、PZT[Pb(Zr、Ti)O
3]、PT(PbTiO
3)、PLZT[(Pb,La)(Zr、Ti)O
3]、又はチタン酸バリウム(BaTiO
3)である。圧電素体21は、例えば、上述した圧電セラミック材料を含むセラミックグリーンシートの焼結体から構成される。
【0033】
外部電極22は、主面21a上に配置されている。外部電極23は、主面21b上に配置されている。本実施形態では、外部電極22は、主面21aの全体を覆っている。外部電極23は、主面21bの全体を覆っている。外部電極22,23は、第一方向D1から見て、円形状を呈している。本実施形態では、外部電極22,23は、真円形状を呈している。
【0034】
外部電極22,23は、導電性材料からなる。導電性材料として、例えば、Ag、Pd、又はAg−Pd合金などが用いられる。外部電極22,23は、上記導電性材料を含む導電性ペーストの焼結体として構成されている。本実施形態では、圧電素子20は、圧電素体21内に配置される内部電極を有していない。
【0035】
外部電極22,23の厚さ(外部電極22,23の第一方向D1の長さ)は、例えば、3μm以上20μm以下である。本実施形態では、外部電極22,23の厚さは、例えば、互いに同等で7μmである。振動板10の対向領域Rを含む仮想的な平面を基準面としたとき、外部電極23(外部電極23の配線部材30側の表面)の高さH2は、突起部11の高さH1と同等である。
【0036】
圧電素子20は、振動板10に接着されている。圧電素子20と振動板10とは接着剤41を介して接続されている。圧電素子20は、外部電極22が振動板10の主面10aと対向するように、振動板10と接続されている。すなわち、外部電極22と振動板10の主面10aとは、接着剤41を介して互いに対向している。
【0037】
接着剤41は、導電性樹脂からなる。よって、外部電極22は、接着剤41を通して、振動板10と電気的に接続されている。導電性樹脂は、樹脂(例えば、熱硬化性樹脂)と導電性材料(例えば、金属粉末)とを含んでいる。金属粉末としては、例えばAg粉末が用いられる。熱硬化性樹脂としては、例えば、フェノール樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、又はポリイミド樹脂が用いられる。
【0038】
圧電素子20は、第一方向D1から見て、主面10aの略中央に位置している。主面10aの略中央には、主面10aの中心位置だけでなく、製造誤差又は公差によって主面10aの中心位置から離れる位置も含まれる。また、主面10aの略中央には、主面10aの中心から予め設定された微小長さ離れた位置も含まれる。予め設定された長さとは、例えば、主面10aの半径の8%の長さである。
【0039】
第一方向D1から見て、圧電素子20の面積は、振動板10の面積よりも小さい。第一方向D1から見て、圧電素子20の外縁は、振動板10の外縁よりも内側に位置している。第一方向D1から見て、圧電素子20の外縁と振動板10の外縁との間の距離(最小距離)は、例えば、1mm以上5mm以下である。
【0040】
配線部材30は、ベース31と、導体層32と、導体層33と、を有している。ベース31は、例えば、帯状を呈し、第一方向D1と交差する方向に延在している。以下では、ベース31が延在している方向を第二方向D2とする。ベース31は、互いに対向している主面31a,31bを有している。主面31a,31bの対向方向は、第一方向D1と一致している。配線部材30は、主面31bが振動板10及び圧電素子20と対向するように配置されている。ベース31は、電気絶縁性を有している。ベース31は、例えば、ポリイミド樹脂等の樹脂からなる樹脂層である。
【0041】
ベース31の厚さは、例えば100μmである。ベース31の幅(第一方向D1及び第二方向D2に直交する方向におけるベース31の長さ)は、例えば、導体層32,33の一端部32a,33aが設けられた部分で、他の部分より大きくなっている。ベース31の幅の最大値は、圧電素子20の直径(主面21a,21bの直径)よりも小さい。このため、第一方向D1から見て、圧電素子20の一部及び振動板10の一部は、配線部材30から露出している。ベース31の幅は、例えば、10mm以上35mm以下である。本実施形態では、ベース31の幅の最大値は、例えば、20mmであり、最小値は、例えば、10mmである。
【0042】
導体層32,33は、ベース31の主面31b上に配置されている。導体層32,33は、接着層(不図示)によって、主面31bに接着されている。導体層32,33は、例えば、Cuからなる。導体層32,33は、例えば、Cu層上にNiメッキ層及びAuメッキ層がこの順に設けられた構成であってもよい。導体層32,33の厚さは、例えば、20μmである。なお、ベース31の形状は、導体層32,33が配置される主面31bを有していればよく、帯状に限られない。
【0043】
導体層32,33は、第二方向D2に沿って延在している。導体層32の一端部32a及び導体層33の一端部33aは、第二方向D2において互いに離間して配置されている。一端部32a,33aは、第一方向D1から見て、例えば、円形状を呈している。ベース31は、一端部32a,33aが配置された部分において、一端部32a,33aの外縁に沿って円形状に形成されている。導体層32の他端部(不図示)及び導体層33の他端部(不図示)は、後述の制御部(不図示)に接続されている。
【0044】
一端部32aは、振動板10の突起部11上に配置されている。一端部32aは、第一方向D1から見て、突起部11の全体と重なっている。一端部32aは、接着剤42により、突起部11の先端部11aに接着されている。一端部32aと先端部11aとは、接着剤42を介して接続されている。配線部材30は、一端部32aが先端部11aと対向するように振動板10と接続されている。すなわち、一端部32aと先端部11aとは、接着剤42を介して互いに対向している。接着剤42は、突起部11の側面11bを全体的に覆っている。接着剤42は、
図1にグレーのハッチングで示されるように、一端部32a及び振動板10において、第一方向D1から見て、一端部32a及び振動板10が互いに重なっている領域に配置されている。
【0045】
導体層33の一端部33aは、外部電極23上に配置されている。一端部33aは、第一方向D1から見て、外部電極23の略中央と重なっている。外部電極23の略中央には、外部電極23の中心位置だけでなく、製造誤差又は公差によって外部電極23の中心位置から離れる位置も含まれる。また、外部電極23の略中央には、外部電極23の中心から予め設定された微小長さ離れた位置も含む。予め設定された長さとは、例えば、外部電極23の半径の8%の長さである。一端部33aは、外部電極23に接着されている。一端部33aと外部電極23とは、接着剤43(
図5参照)を介して接続されている。すなわち、一端部33aと外部電極23とは、接着剤43を介して互いに対向している。接着剤43は、
図1にグレーのハッチングで示されるように、一端部33aの全体と振動板10との間に配置されている。
【0046】
接着剤42,43は、導電性樹脂からなる。よって、突起部11は、接着剤42を通じて、配線部材30の導体層32と電気的に接続されている。上述のように、外部電極22は、接着剤41を通して、振動板10と電気的に接続されているので、外部電極22は、接着剤41,42を通じて、配線部材30の導体層32と電気的に接続されている。外部電極23は、接着剤43を通じて、配線部材30の導体層33と電気的に接続されている。接着剤42,43は、例えば、接着剤41と同じ材料からなってもよいし、互いに異なる材料からなってもよい。
【0047】
制御部は、配線部材30によって圧電素子20と電気的に接続され、振動デバイス1を統括的に制御している。制御部は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、及びRAM(Random Access Memory)を備えている。この場合、制御部は、ROMに記憶されているプログラムをRAMにロードし、CPUで実行することによって各種の処理を行う。
【0048】
振動デバイス1は、例えば、振動板10の外縁部が支持部により支持され、圧電素子20が振動板10と共に屈曲可能な状態で用いられる。例えば、配線部材30上にはタッチパネルが配置される。振動デバイス1を使用する使用者の指先がタッチパネルに接触し、圧電素子20が屈曲されると、圧電素子20は、検出信号を制御部に与える。制御部は、検出信号を受け取ると、駆動信号を圧電素子20に与え、圧電素子20を駆動する。圧電素子20は、駆動信号に基づき振動する。
【0049】
制御部は、具体的には、駆動信号として、配線部材30の導体層32,33を通じて、外部電極22,23に極性の異なる交流電圧を印加する。これにより、外部電極22と外部電極23との間で電界が発生する。圧電素体21における外部電極22と外部電極23とで挟まれた領域が活性領域となり、当該活性領域に変位が発生する。圧電素子20は、交流電圧の周波数に応じて伸縮を繰り返す。
【0050】
振動板10と圧電素子20とは互いに接着されているので、振動板10は圧電素子20における伸縮の繰り返しに応じて、圧電素子20と一体に撓み振動を行う。この結果、使用者に触感を与えることができる。触感は、例えば、クリック触感である。クリック触感とは、例えば、押しボタンスイッチを押圧したときに得られるような押圧触感又はタッチ触感である。振動デバイス1では、圧電素子20からの振動と、振動板10からの振動とが、互いにずれるように配線部材30に伝わるので、振動に広がりが出る。
【0051】
以上説明したように、振動デバイス1では、振動板10が突起部11を有し、突起部11は、配線部材30側に突出し、配線部材30と電気的に接続されている。このため、振動板10が突起部11を有さない場合と比べて、振動板10と外部電極23との間の高さの差を小さくすることができる。よって、配線部材30の電気的な接続を安定させることができる。振動デバイス1では、対向領域Rを含む仮想的な平面を基準面としたとき、突起部11の高さH1は、外部電極23の高さH2と同等である。このため、配線部材30の電気的な接続を更に安定させることができる。
【0052】
突起部11の先端部11aは、配線部材30側に凸の曲面である。このため、例えば、突起部11の先端部11aが尖っている場合に比べて、配線部材30と振動板10との接続強度を向上させることができる。
【0053】
配線部材30は、接着剤42により突起部11に接着されており、接着剤42は、突起部11の側面11bを覆っている。このため、突起部11と配線部材30との接続部を接着剤42により補強することができる。
【0054】
突起部11は、振動板10が湾曲することにより構成されている。つまり、振動板10及び突起部11が一部材からなるため、振動板とは別の部材を振動板に取り付けて突起部を構成する場合に比べて、電気抵抗の増加を抑制可能となる。また、突起部11が振動板10から外れ難い。つまり、別の部材による信頼性不良(例えば剥離)を抑制することができる。
【0055】
第一方向D1から見て、突起部11の長さL1は、突起部11と圧電素子20との間の距離L2よりも短い。距離L2が長いので、突起部11と圧電素子20との間の短絡を抑制することができる。
【0056】
突起部11が存在することにより、圧電素子20からだけでなく、突起部11からも振動が使用者の指に伝わる。このため、触感を使用者に安定して与えることができる。
【0057】
(第二実施形態)
図4は、第二実施形態に係る振動デバイスを示す上面図である。
図1及び
図4に示されるように、第二実施形態に係る振動デバイス1Aは、振動板10及び配線部材30の代わりに、振動板10A及び配線部材30Aを備える点で、振動デバイス1と相違している。
【0058】
振動板10Aは、突起部12,13を更に有している点で、振動板10と相違している。突起部12,13は、配線部材30A側に突出し、配線部材30を支持している。突起部12,13は、配線部材30の導体層32,33からは離間して配置され、ベース31と接続されている。突起部12,13は、ベース31と接着剤(不図示)により接着されていてもよいし、接着されていなくてもよい。この場合の接着剤としては、導電性材料が含まれない樹脂を用いることができる。
【0059】
突起部12,13は、例えば、突起部11と同形状を呈している。振動板10の対向領域Rを含む仮想的な平面を基準面としたとき、突起部12,13の高さは、例えば、突起部11の高さH1と同等である。突起部12,13の高さは、例えば、突起部11の高さH1よりも導体層32,33の厚さ分だけ高くてもよい。突起部11,12,13は、互いに離間して配置されている。突起部11,12,13は、第一方向D1から見て、例えば、圧電素子20を囲むように、圧電素子20の周りに等間隔で配置されている。
【0060】
配線部材30Aは、ベース31の幅が振動板10の直径(主面10aの直径)よりも大きい点で、配線部材30と相違している。第一方向D1から見て、圧電素子20及び振動板10Aは、配線部材30Aから露出しないように配置されている。本実施形態では、ベース31は一定幅を有している。
【0061】
振動デバイス1Aにおいても、振動板10Aが突起部11を有しているので、振動デバイス1と同様の効果が得られる。振動デバイス1Aでは、振動板10Aが突起部12,13を更に有し、突起部12,13が配線部材30Aを支持している。したがって、配線部材30Aの姿勢が安定する。配線部材30Aの姿勢が傾くと、突起部11と配線部材30Aとの間隔が広がり、配線部材30Aの電気的な接続が安定しないおそれがある。これに対し、振動デバイス1Aでは、突起部12,13により支持されて配線部材30Aの姿勢が安定するので、配線部材30Aの電気的な接続を更に安定させることができる。
【0062】
(第三実施形態)
図5(a)は、第三実施形態に係る振動デバイスを示す断面図であり、
図5(b)は、比較例に係る振動デバイスを示す断面図である。
図5(a)に示されるように、第三実施形態に係る振動デバイス1Bは、複数の振動板10及び複数の圧電素子20を備える点、及び、配線部材30の代わりに配線部材30Bを備える点で振動デバイス1(
図1参照)と相違している。
【0063】
配線部材30Bは、複数の導体層32及び複数の導体層33を有している。複数の導体層32及び複数の導体層33は、1つのベース31の主面31b上に配置されている。振動デバイス1Bでは、各振動板10上に各圧電素子20が配置されている。振動板10及び圧電素子20からなる各組は、それぞれ対応する導体層32,33に接続されている。振動板10及び圧電素子20からなる複数の組は、互いに離間して配列されている。
【0064】
図5(a)及び
図5(b)に示されるように、比較例に係る振動デバイス100は、複数の振動板10の代わりに複数の振動板110を備える点で、振動デバイス1Bと相違している。振動板110は、突起部11を有していない。このため、配線部材30Bが接続される振動板110及び外部電極23との間には、高さの差が存在する。この高さの差に合わせて、振動板110と配線部材30の導体層32とを接続する接着剤42の量が適宜設定される必要がある。接着剤42の量にばらつきがあると、
図5(b)に示されるように、配線部材30Bの姿勢が傾くおそれがある。これにより、振動板110と配線部材30Bとの接続がより不安定になり易い。また、使用者の指がタッチパネルを押圧した際に、押圧力が各圧電素子20に均一に加わり難い。
【0065】
これに対し、振動デバイス1Bでは、各振動板10が突起部11を備えるので、各振動板10と各圧電素子20の外部電極23との間の高さの差を小さくすることができる。したがって、接着剤42の量のばらつきが配線部材30Bの姿勢に与える影響が少ない。よって、配線部材30Bと各振動板10との電気的な接続を安定させることができる。また、使用者の指がタッチパネルを押圧した際に、押圧力が各圧電素子20に均一に加わり易い。加えて、使用者に与えられる触感が安定する。
【0066】
本発明は必ずしも上述した実施形態及び変形例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
【0067】
例えば、突起部11,12,13では、振動板10,10Aの主面10aが突出し、主面10bが平面であってもよい。また、突起部11,12,13は、振動板10,10Aとは別の部材を振動板10,10Aに取り付けることによって構成されていてもよい。振動板10,10Aは、突起部12,13のいずれか一方を有していてもよいし、突起部12,13以外にも配線部材30を支持する突起部を更に備えていてもよい。突起部11,12,13は、円錐形状に限らず、三角錐形状、角錐形状であってもよいし、柱状であってもよい。
【0068】
振動板10,10Aは、第一方向D1から見て、円形状に限られず、例えば、矩形状を呈していてもよい。圧電素子20は、第一方向D1から見て、円形状に限られず、例えば、矩形状を呈していてもよい。振動デバイス1Bは、振動板10Aを備えてもよい。振動デバイス1,1Aでは、圧電素子20は、主面21aが湾曲外側、主面21bが湾曲内側となるよう撓んだ状態であってもよい。この場合、撓み量分だけ、圧電素子20の変位量を大きくする(稼ぐ)ことができる。このとき、振動板10,10Aは、圧電素子20に対応して、主面10bが湾曲外側、主面10aが湾曲内側となるように撓んだ状態となるので、高さH1が高さH2よりも低くても、配線部材30,30Aと突起部11とを容易に接続させることができる。