(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-188808(P2020-188808A)
(43)【公開日】2020年11月26日
(54)【発明の名称】細胞形成を増強するためのテクスチャ加工物品およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
C12M 3/00 20060101AFI20201030BHJP
C12N 5/0775 20100101ALI20201030BHJP
C12N 5/0735 20100101ALI20201030BHJP
C12N 5/074 20100101ALI20201030BHJP
C12N 5/0797 20100101ALI20201030BHJP
【FI】
C12M3/00 A
C12N5/0775
C12N5/0735
C12N5/074
C12N5/0797
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
【外国語出願】
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2020-136989(P2020-136989)
(22)【出願日】2020年8月14日
(62)【分割の表示】特願2018-504751(P2018-504751)の分割
【原出願日】2016年7月29日
(31)【優先権主張番号】62/198,897
(32)【優先日】2015年7月30日
(33)【優先権主張国】US
(71)【出願人】
【識別番号】517036013
【氏名又は名称】シャークレット テクノロジーズ インコーポレイテッド
(71)【出願人】
【識別番号】509017000
【氏名又は名称】ユニバーシティ オブ フロリダ リサーチ ファウンデーション,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100205659
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 拓也
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100185269
【弁理士】
【氏名又は名称】小菅 一弘
(72)【発明者】
【氏名】マギン チェルシー マリー
(72)【発明者】
【氏名】ブレナン アンソニー ビー.
【テーマコード(参考)】
4B029
4B065
【Fターム(参考)】
4B029AA02
4B029BB11
4B029CC02
4B029DF10
4B029GA01
4B029GB09
4B065AA90X
4B065BC41
4B065BC43
4B065BC45
4B065CA44
(57)【要約】 (修正有)
【課題】骨などの組織特異的細胞への分化をより正確に制御することによって細胞形成を増強し、また、化学添加剤を加えずに脊椎固定処置における癒着不能率を低減させる物品および方法を提供する。
【解決手段】テクスチャを有する少なくとも1つの表面を有する基材と、第1の種類の成長細胞とを含む物品であって、テクスチャを形成する特徴部の平均長さが、細胞成長、細胞配向、細胞形態および細胞分化を促進するのに有効である、物品が開示される。基材の少なくとも1つの表面上にポリマー材料の第1の層を形成する工程と、第1の層をテクスチャ加工して、テクスチャ加工した第1の層を形成する工程と、テクスチャ加工した第1の層上に第1の種類の成長細胞を形成する工程とを含む方法であって、テクスチャ加工した第1の層を形成する特徴部の平均長さが、細胞成長、細胞配向、細胞形態および細胞分化を促進するのに有効である、方法も開示される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
テクスチャを有する少なくとも1つの表面を有する基材と、
第1の種類の成長細胞と
を含む物品であって、前記テクスチャを形成する特徴部の平均長さが、細胞成長、細胞配向、細胞形態および細胞分化を促進するのに有効である、物品。
【請求項2】
前記第1の種類の成長細胞が前記テクスチャに配置される、請求項1に記載の物品。
【請求項3】
前記テクスチャが複数の離間した特徴部を含み、各々の特徴部は隣接する特徴部と実質的に異なる形状を有し、前記複数の離間した特徴部は複数の集団で配列され、前記集団の各々内の前記離間した特徴部は約10ナノメートル〜約200マイクロメートルの平均距離で離間しており、特徴部の隣接する集団は中間の蛇行した経路を規定するように互いに離間している、請求項1に記載の物品。
【請求項4】
前記第1の種類の成長細胞の平均細胞縦横比が、テクスチャ加工されていない基材上で成長した細胞と比較して増加している、請求項1に記載の物品。
【請求項5】
前記第1の種類の成長細胞が、胚幹細胞、成体幹細胞および人工多能性幹細胞からなる群から選択される、請求項1に記載の物品。
【請求項6】
前記第1の種類の成長細胞がヒト間充織幹細胞である、請求項1に記載の物品。
【請求項7】
前記テクスチャを形成する特徴部の平均サイズおよび配列が、前記第1の種類の成長細胞のヒト骨細胞への細胞分化を促進するのに有効である、請求項1に記載の物品。
【請求項8】
前記テクスチャを形成する特徴部の平均サイズおよび配列が、前記テクスチャを有さない表面と比較して細胞移動を増加させるのに有効である、請求項1に記載の物品。
【請求項9】
前記テクスチャが、ポリスチレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリオルガノシロキサン、リン酸カルシウム、ポリエーテルエーテルケトン、生体活性ガラス、セラミック材料、セラミック材料とポリマーの複合材、生体活性ガラスとポリマーの複合材、またはそれらの組み合わせを含む、請求項1に記載の物品。
【請求項10】
前記テクスチャが生分解性ポリマーを含む、請求項1に記載の物品。
【請求項11】
前記生分解性ポリマーが、ポリ乳酸−グリコール酸、ポリウレタンとポリ乳酸−グリコール酸の共重合体、ポリ−カプロラクトン、ポリ乳酸−グリコール酸とポリ−カプロラクトンの共重合体、ポリヒドロキシ−ブチレート−バレレート(PHBV)、ポリオルトエステル(POE)、ポリエチレンオキシド−ブチレンテレフタレート(PEO−PBTP)、ポリ−D,L−乳酸−p−ジオキサノン−ポリエチレングリコールブロックコポリマー(PLA−DX−PEG)、または前述の生分解性ポリマーの少なくとも1つを含む組み合わせである、請求項10に記載の物品。
【請求項12】
前記基材が、ポリスチレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリオルガノシロキサン、リン酸カルシウム、ポリエーテルエーテルケトン、生体活性ガラス、セラミック材料、セラミック材料とポリマーの複合材、生体活性ガラスとポリマーの複合材、またはそれらの組み合わせを含む、請求項1に記載の物品。
【請求項13】
基材の少なくとも1つの表面上にポリマー材料の第1の層を形成する工程と、
前記第1の層をテクスチャ加工して、テクスチャ加工した第1の層を形成する工程と、
前記テクスチャ加工した第1の層上に第1の種類の成長細胞を形成する工程と
を含む方法であって、前記テクスチャ加工した第1の層を形成する特徴部の平均長さが、細胞成長、細胞配向、細胞形態および細胞分化を促進するのに有効である、方法。
【請求項14】
前記第1の種類の成長細胞が前記テクスチャ加工した第1の層上に配置される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記テクスチャ加工した第1の層が複数の離間した特徴部を含み、各々の特徴部が隣接する特徴部と実質的に異なる形状を有し、前記複数の離間した特徴部が複数の集団で配列され、前記集団の各々内で前記離間した特徴部が約10ナノメートル〜約200マイクロメートルの平均距離で離間しており、特徴部の隣接する集団は中間の蛇行した通路を規定するように互いに離間している、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記第1の種類の成長細胞の平均細胞縦横比が、前記テクスチャを有する少なくとも1つの表面を有さない基材と比較して増加する、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
前記第1の種類の成長細胞が、胚幹細胞、成体幹細胞および人工多能性幹細胞からなる群から選択される、請求項13に記載の方法。
【請求項18】
前記第1の種類の成長細胞がヒト間充織幹細胞である、請求項13に記載の方法。
【請求項19】
前記テクスチャ加工した第1の層を形成する特徴部の平均長さが、前記第1の種類の成長細胞の、ヒト骨細胞、筋肉および神経細胞への細胞分化を促進するのに有効である、請求項13に記載の方法。
【請求項20】
前記第1の層が、ポリスチレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリオルガノシロキサン、リン酸カルシウム、ポリエーテルエーテルケトン、生体活性ガラス、セラミック材料、セラミック材料とポリマーの複合材、生体活性ガラスとポリマーの複合材、またはそれらの組み合わせを含む、請求項13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、細胞形成を増強するためのテクスチャ加工物品に関する。
【背景技術】
【0002】
脊椎固定術などの医療は、患者における骨損傷を処置し、修復するための自家骨移植技術を利用する矯正手術を提供する。400,000を超える脊椎固定処置が毎年米国において実施されている。自家骨移植は、骨が患者から採取され、融合される同じ患者の脊椎の部分に移される処置である。しかしながら、この手法は、標準的な脊椎固定処置が最大で患者の50%における合併症および最大で35%の癒着不能率をもたらすという点で制限される。
【0003】
幹細胞から成長した骨組織を操作することにより、この処置の代替法が提供されている。ヒト間葉幹細胞(HMSC)は、未分化細胞として複製できるか、または組織特異的細胞に分化できる細胞である。より具体的には、HMSCは、骨髄、骨、軟骨、腱、筋肉、または脂肪細胞に分化できる。しかしながら、分化を誘導するための化学添加剤の使用を含む標準的な処置は、不均一の細胞集団を導く、すなわち限定されないが、所望の細胞機能(または組織特異的細胞)を有するもの、例えば骨を含む、細胞のミックスを生じる、変動性を適切に制御することに関する欠点に悩まされる。これらの人工的な化学処置は分化を一貫して誘導せず、実験および臨床結果の両方に有害となり得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、所望の組織特異的細胞、例えば骨へのヒト幹細胞の分化をより正確に制御することによって細胞形成を増強し、また、化学添加剤を加えずに脊椎固定処置における癒着不能率を低減させる物品および方法についての必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
テクスチャを有する少なくとも1つの表面を有する基材と、第1の種類の成長細胞とを含む物品であって、テクスチャを形成する特徴部の平均長さが、細胞成長、細胞配向、細胞形態および細胞分化を促進するのに有効である、物品が本明細書に開示される。
【0006】
基材の少なくとも1つの表面上にポリマー材料の第1の層を形成する工程と、第1の層をテクスチャ加工して、テクスチャ加工した第1の層を形成する工程と、テクスチャ加工した第1の層上に第1の種類の成長細胞を形成する工程とを含む方法であって、テクスチャ加工した第1の層を形成する特徴部の平均長さは、細胞成長、細胞配向、細胞形態および細胞分化を促進するのに有効である、方法もまた、本明細書に開示される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】Sharklet(商標)(SK)表面上に配置された細胞の縦横比および細胞の配向の例示である。
【
図2A】SM(平滑)表面上のヒト間充織幹細胞の蛍光顕微鏡画像を示す。
【
図2B】−1.7SK2×2 Sharkletテクスチャ加工表面上のヒト間充織幹細胞の蛍光顕微鏡画像を示す。
【
図2C】+1.7SK2×2 Sharkletテクスチャ加工表面上のヒト間充織幹細胞の蛍光顕微鏡画像を示す。
【
図2D】−1.5SK10×5 SK表面上のヒト間充織幹細胞の蛍光顕微鏡画像を示す。
【
図2E】+1.5SK10×5 SKテクスチャ加工表面上のヒト間充織幹細胞の蛍光顕微鏡画像を示す。
【
図3】
図2の平滑およびパターン化されたSK表面上に形成された細胞の平均細胞縦横比のグラフである。
【
図4】
図4Aは、SM(平滑)表面上の成長培地中で培養したhMSCを示す写真である。
図4Bは、SK(Sharklet)テクスチャ加工表面上の成長培地中で培養したhMSCを示す写真である。
図4Cは、骨形成についての初期マーカーとしてアルカリホスファターゼ(ALP)について染色した成長培地中でSK(Sharklet)テクスチャ加工表面上で培養したhMSCを示す写真である。
【
図5】
図4A、4Bおよび4Cのそれぞれの平滑およびパターン化されたSK表面上で培養したhMSCについてのALPスコアのグラフである。
【
図6】
図6Aは、SM(平滑)表面上の骨形成培地中で培養したhMSCを示す写真である。
図6Bは、SK(Sharklet)表面上の骨形成培地中で培養したhMSCを示す写真である。
図6Cは、骨形成についての初期マーカーとしてアルカリホスファターゼ(ALP)について染色したSK(Sharklet)表面上の骨形成培地中で培養したhMSCを示す写真である。
【
図7】
図6A、6Bおよび6Cのそれぞれの平滑およびパターン化されたSK表面上で培養したhMSCについてのALPスコアのグラフである。
【
図8】
図8Aは、SM(平滑)表面上の骨形成培地中で培養したhMSCを示す。
図8Bは、Sharklet(SK)テクスチャ加工表面上の骨形成培地中で培養し、骨細胞の機能的出力としてのカルシウム産生を検出するためにアリザリンレッドについて染色したhMSCを示す。
【
図9】アリザリンレッドが細胞によって産生されたカルシウムを選択的に標識する、吸光度によるアリザリンレッド抽出および定量に基づいた、SMおよびSK表面上で培養したhMSCのアリザリンレッド染色の濃度のグラフである。
【
図10A】+1.7SK2×2 Sharkletテクスチャを有するSharkletパターン上のhMSC移動に対するSharkletテクスチャ加工マイクロパターンの影響を示す写真である。
【
図10B】+1.5SK10×5 Sharkletテクスチャを有するSharkletパターン上のhMSC移動に対するSharkletテクスチャ加工マイクロパターンの影響を示す写真である。
【
図10C】平滑(SM)表面上のhMSC移動を示す写真である。
【
図10D】平滑(SM)表面ならびに+1.7SK2×2および+1.5SK10×5テクスチャを有するテクスチャ加工表面上の正規化被覆率を反映する棒グラフである。
【
図11A】平滑およびテクスチャ加工表面上の成長細胞を示す顕微鏡写真を示す。これらの図は、Sharkletマイクロパターンが、SM表面と比較してMSCを有意に増強させることを実証しており、マイクロパターンが脊椎固定装置上でMSC移動を促進するように最適化され得ることを示唆している。
【
図11B】平滑およびテクスチャ加工表面上の経時的なALPスコア変化を示す棒グラフである。
【
図11C】経時的なアリザリンレッド濃度の変化を示す棒グラフである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
細胞成長、細胞配向、細胞形態および細胞分化を増強させるパターン化された物品が本明細書に開示される。その物品は、テクスチャを有する少なくとも1つの表面を有する基材と、第1の種類の成長細胞とを含む。テクスチャ加工された表面は複数の特徴部を含む。テクスチャを形成する特徴部の平均長さは細胞形態および配向に影響を及ぼし、その結果として、得られる組織特異的細胞機能、例えば骨組織に影響を及ぼす。
【0009】
基材は細胞成長を促進するのに適した任意の材料から形成され得る。非限定的な例としては、ポリスチレン、ポリテトラフルオロエチレンまたはポリオルガノシロキサンが挙げられる。基材は少なくとも1つの表面上に配置されるテクスチャを有する。一実施形態において、基材は組織培養ディッシュである。テクスチャ加工により、テクスチャの配向によって決定される特定の方向に沿って細胞成長が促進される。テクスチャ加工はまた、幹細胞の細胞分化を促進する。
【0010】
一実施形態において、物品は細胞培養物を成長させるための容器である。別の実施形態において、物品は、細胞培養物由来の移植片を生成するために使用される移植足場、例えば骨移植片を生成するための骨移植足場である。
【0011】
一実施形態において、テクスチャ加工表面および/または基材は熱可塑性ポリマーを含む。別の実施形態において、テクスチャ加工表面および/または基材は骨移植片における使用に適した任意の材料を含む。非限定的な例としては、ポリスチレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリオルガノシロキサン、リン酸カルシウム、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、生体活性ガラス、セラミック材料、セラミック材料とポリマーの複合材、生体活性ガラスとポリマーの複合材など、またはそれらの組み合わせが挙げられる。
【0012】
例示的な実施形態において、ポリジメチルシロキサンはテクスチャ加工される表面に好ましいポリマーである。テクスチャは、限定されないが、射出成形、熱エンボス加工、鋳造、レーザーエッチング、化学エッチングなどを含む、任意の適切な技術を使用して基材の少なくとも1つの表面上に形成され得る。
【0013】
基材の表面は任意の種類のテクスチャを有してもよい。表面テクスチャの例は、Spathによる米国特許出願公開第2005/0003146 A1号、Brennanらによる米国特許第7,143,709 B2号およびBrennanらによる米国特許出願シリアル番号12/550,870号に詳述され、それらの全内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0014】
一実施形態において、テクスチャ加工された表面は複数の離間した特徴部を含み、特徴部は複数の集団で配列され、特徴部の集団は、第1の方向から見て、蛇行した経路を規定するように互いに対して配列される。第2の方向から見て、特徴部の集団は直線経路を規定するように配列される。半径方向パターンもまた、使用されてもよい。半径方向パターンにおいて、そのパターンは中心から発生し、半径方向において外側に広がる。
【0015】
別の実施形態において、第2の方向から見て、特徴部の間の経路は非直線であり、非正弦曲線であってもよい。言い換えると、経路は非直線であり、非周期的であってもよい。さらに別の実施形態において、特徴部の間の経路は直線であるが、様々な厚さであってもよい。複数の離間した特徴部は基材表面から外側に突出してもよいか、または基材表面内に突出してもよい。一実施形態において、複数の離間した特徴部は基材と同じ化学組成を有する。別の実施形態において、複数の離間した特徴部は基材の化学組成と異なる化学組成を有する。
【0016】
複数の離間した特徴部の各々は、少なくとも1つのマイクロスケール(マイクロメートルまたはナノメートルサイズ)寸法を有し、実質的に異なる形状を有する少なくとも1つの隣接する特徴部を有する。隣接する特徴部間の平均の第1の特徴部の間隔は、テクスチャ加工表面の少なくとも一部において約10ナノメートル〜約100マイクロメートルであり、前記複数の離間した特徴部は周期関数により表される。一実施形態において、第1の特徴部の間隔は、テクスチャ加工表面の少なくとも一部において約0.5マイクロメートル(μm)〜約5μmである。別の実施形態において、第1の特徴部の間隔は、テクスチャ加工表面の少なくとも一部において約15〜約60μmである。上記に示すように、周期関数は2つの異なる正弦波を含む。一実施形態において、トポグラフィーはサメの皮膚(例えばSharklet)のトポグラフィーに似ている。別の実施形態において、パターンは基板の一部に配置される少なくとも1つの多素子プラトー層を含み、プラトー層の素子の間の間隔の距離は第2の特徴部の間隔を提供し、第2の特徴部の間隔は、前記第1の特徴部の間隔と比較して実質的に異なる。複数の特徴部のうちの各々の特徴部は互いに離間し、互いに接触しないことに留意されるべきである。
【0017】
テクスチャのパターンは蛇行した経路によって隣接するパターンから分離される。蛇行した経路は周期関数によって表され得る。周期関数は各々の蛇行した経路について異なっていてもよい。一実施形態において、パターンは2つ以上の周期関数によって表され得る蛇行した経路によって互いに分離されてもよい。周期関数は正弦波を含んでもよい。例示的な実施形態において、周期関数は2つ以上の正弦波を含んでもよい。
【0018】
別の実施形態において、複数の異なる蛇行した経路がそれぞれ、複数の周期関数によって表される場合、それぞれの周期関数は一定の位相差によって分離されてもよい。さらに別の実施形態において、複数の異なる蛇行した経路がそれぞれ、複数の周期関数によって表される場合、それぞれの周期関数は様々な位相差によって分離されてもよい。
【0019】
一実施形態において、複数の離間した特徴部は実質的に平面の上面を有する。別の実施形態において、多素子プラトー層が表面の一部に配置されてもよく、前記プラトー層の素子の間の間隔の距離は第2の特徴部の間隔を提供し、第2の特徴部の間隔は、第1の特徴部の間隔と比較して実質的に異なる。
【0020】
一実施形態において、2つの隣接する集団によって共有される特徴部の数の合計は奇数に等しい。別の実施形態において、2つの隣接する集団によって共有される特徴部の数の合計は偶数に等しい。テクスチャの詳細は、Brennanらによる米国特許出願シリアル番号12/550,870号において図面の形態で見ることができ、それらの全内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0021】
第1の種類の成長細胞はテクスチャ加工表面に配置される。一実施形態において、第1の種類の成長細胞は、胚幹細胞、成体幹細胞および人工多能性幹細胞からなる群から選択される。例示的な実施形態において、第1の種類の成長細胞はヒト間充織幹細胞(hMSC)である。
【0022】
ヒト間葉幹細胞の増殖、拘束、系統進行、分化および成熟の間葉形成(mesengenic)プロセスにおいて、間葉幹細胞の細胞形態は、骨髄基質、骨形成、軟骨形成、腱形成(tendogenesis)、筋形成または脂質生成経路による増殖後、そられに応じて、骨髄、骨、軟骨、腱、筋肉および脂肪組織に変化する。間葉形成プロセスの間の細胞成長の間の細胞の細胞形態(または形状)は、得られる細胞機能を決定する。テクスチャ加工表面は細胞形状に影響を及ぼし、特定の種類の細胞機能、例えば骨組織への細胞分化を誘導する。
【0023】
図1を参照すると、Sharklet(商標)(SK)表面上に配置される細胞の縦横比および細胞の配向の例が示される。
図1に示されるように、細胞伸長は、式AR=a/b(式中、aは細胞の長軸の長さであり、bは細胞の短軸の長さである)を使用して平均細胞縦横比(AR)を算出することによって定量される。細胞の配向(θ)は細胞の長軸とテクスチャ特徴部の方向との間の角度を測定することによって決定される。
【0024】
一実施形態において、テクスチャを形成する特徴部の平均長さは、第1の種類の成長細胞の、特定の選択された組織特異的細胞、例えば骨組織への細胞分化を促進するのに有効である。例示的な実施形態において、テクスチャ特徴部の平均長さは増加するので、平均細胞縦横比もまた、増加する。別の実施形態において、第1の種類の成長細胞の平均細胞縦横比は、テクスチャを有さない基材と比較して増加する。
【0025】
細胞は接着点を介して基材の表面と相互作用し、それは局所的に修飾された基材に応答して成長し、適合する機械感受性(mechano−sensitive)シグナル伝達複合体であり、細胞伸長および細胞異方性を生じる。Sharkletマイクロトポグラフィーにおける不連続な特徴部は高レベルの細胞異方性を誘導し、接着点を、細胞集団の形態に対して、およびその結果として細胞分化に対して高レベルの制御へと正確に誘導することができる。一実施形態において、SK表面は平滑な表面または細長いチャネルもしくは柱状パターンを含む表面より高レベルの細胞異方性を示す。
【0026】
基材の少なくとも1つの表面上にポリマー材料の第1の層を形成する工程;第1の層をテクスチャ加工して、テクスチャ加工した第1の層を形成する工程;およびテクスチャ加工した第1の層上に第1の種類の成長細胞を形成する工程を含む方法であって、テクスチャ加工した第1の層を形成する特徴部の平均長さは、細胞成長、細胞配向、細胞形態および細胞分化を促進するのに有効である、方法もまた、本明細書に開示される。
【0027】
テクスチャ加工した表面は、細胞形態および細胞の配向を制御するためにテクスチャ加工したパターンを使用することによって組織細胞形成を増強し、それによって幹細胞、例えば骨組織の組織特異的細胞機能を標的とする。例示的な実施形態において、得られる骨組織は、テクスチャ加工した表面を使用して生成していない骨組織と比較して癒着不能率の低減を示す。
【実施例】
【0028】
実施例1
平滑(SM)およびマイクロパターン化されたSKサンプルを、ネガティブシリコンウエハモールドに対してポリジメチルシロキサンエラストマー(Xiameter RTV−4232−T2、Dow Corning;PDMSe)を鋳造することによって製造した。ヒト間充織幹細胞(hMSC)をこれらのウエハモールド上の成長培地で3日間培養し、次いで染色し、固定し、測定した。
【0029】
蛍光顕微鏡画像を各サンプルについて撮り、各サンプルについての平均細胞縦横比を算出した。
図2は、SM(平滑)および−1.7SK2×2、+1.7SK2×2、−1.5SK10×5および+1.5SK10×5 SK表面上のヒト間充織幹細胞の蛍光顕微鏡画像を示す。
図2(A)は、SM(平滑)表面上のヒト間充織幹細胞の蛍光顕微鏡画像を示す。
図2(B)は、−1.7SK2×2 Sharkletテクスチャ加工表面上のヒト間充織幹細胞の蛍光顕微鏡画像を示す。
図2(C)は、+1.7SK2×2 Sharkletテクスチャ加工表面上のヒト間充織幹細胞の蛍光顕微鏡画像を示す。
図2(D)は、−1.5SK10×5 SK表面上のヒト間充織幹細胞の蛍光顕微鏡画像を示す。
図2(E)は、+1.5SK10×5 SKテクスチャ加工表面上のヒト間充織幹細胞の蛍光顕微鏡画像を示す。
【0030】
差込図は下部のSMおよびパターン化されたSK表面の共焦点顕微鏡画像を示す。SK表面の矩形の特徴部の平均長さは4〜80マイクロメートルまで変化する。
【0031】
ここで採用される用語体系(例えば、+1.7SK2×2)は以下のように判読されるべきである:+1.7は底面から上のテクスチャの高さを示し、SKは、Brennanrによる米国特許第7143709 B2号およびBrennanらによる特許出願シリアル番号12/550,870号に示され、記載されるSharkletパターンを指す。1.7の単語の前の負の記号(−)は、テクスチャが底面より下にあることを示す。SK2×2における最初の2はパターンにおける各特徴部の幅を意味し、2番目の2はパターンにおける特徴部間の間隔を意味する。
【0032】
平均細胞縦横比(AR)は、
図1に示されるように、式AR=a/b(式中、aは細胞の長軸の長さであり、bは細胞の短軸の長さである)を使用して算出した。平滑およびパターン化されたSK上に形成される細胞の平均細胞縦横比を
図3のグラフにプロットする。これらの結果は、有意に高い平均細胞縦横比が、SM表面と比較してSK表面を使用して得られることを示す。これらの結果はまた、平均特徴部長さが増加すると、平均細胞縦横比も増加するSKマイクロパターンを示す。このように、SK表面は、細胞形態を調節し、それによって細胞分化を制御するように適合され得る。
【0033】
実施例2
図4(A)、4(B)および4(C)は、SM(平滑)およびSK(Sharklet)表面上の成長培地中で培養し、7、14および21日後に骨形成についての初期マーカーとしてアルカリホスファターゼ(ALP)について染色したhMSCを示す。
図5は、4(A)、4(B)および4(C)の平滑およびパターン化されたSK表面上で培養したhMSCについてのALPスコアのグラフであり、y軸のスケールバーは50μm増分で表している。染色により、SK表面が利用される場合、SM表面と比較してALP産生が有意に増加することが明らかになる。これらの結果により、SK表面がhMSCにおいて骨形成および骨細胞分化を誘導することが示される。
【0034】
実施例3
図6(A)、6(B)および6(C)は、SM(平滑)およびSK(Sharklet)表面上の骨形成培地中で培養し、骨形成についての初期マーカーとしてアルカリホスファターゼ(ALP)について染色したhMSCを示す。
図7は、それぞれ6(A)、6(B)および6(C)の平滑およびパターン化されたSK表面上で培養したhMSCについてのALPスコアのグラフである。
図7のグラフから見ることができるように、増加したALP産生が、+1.5SK2×2およびSM表面と比較して+1.7SK2×2SK表面で観察される。
【0035】
実施例4
図8(A)および8(B)は、SM(平滑)およびSK(Sharklet)表面上の骨形成培地中で培養し、骨細胞の機能的出力としてのカルシウム産生を検出するためにアリザリンレッドについて染色したhMSCを示す。
図9は、吸光度によるアリザリンレッド抽出および定量に基づいた、SM組織培養ポリスチレン(TCPS)およびSK表面上で培養したhMSCのアリザリンレッド染色の濃度のグラフであり、アリザリンレッドは細胞によって産生されたカルシウムを選択的に標識する。
図9において見ることができるように、増加したカルシウム産生が、+1.5SK2×2およびSM表面と比較して+1.7SK2×2 SK表面で観察される。
【0036】
実施例5
図10A〜10Dは、hMSC移動に対するSharkletマイクロパターンの影響を示し、2つのマイクロパターン(+1.7SK2×2および+1.5SK10×5)をポリジメチルシロキサンエラストマー(PDMSe)で複製し、平滑(SM)対照と比較して改変した掻創アッセイにおいて試験した。
図10Aは、+1.7SK2×2 Sharkletテクスチャを有するSharkletパターン上のhMSC移動に対するSharkletテクスチャ加工マイクロパターンの影響を示す写真である。
図10Aは、+1.5SK10×5Sharkletテクスチャを有するSharkletパターン上のhMSC移動に対するSharkletテクスチャ加工マイクロパターンの影響を示す写真である。
図10Cは、平滑(SM)表面上のhMSC移動を示す写真である。
図10Dは、平滑(SM)表面および+1.7SK2×2および+1.5SK10×5テクスチャを有するテクスチャ加工表面上の正規化被覆率を反映する棒グラフである。
【0037】
SMおよびSharkletマイクロパターン上のMSCの代表的な蛍光顕微鏡画像をここに示し、白色の破線は創傷領域を表す。MSCを、移動アッセイフォーマットにおいて、増殖培地中で7日間、これらのサンプル上で培養し、固定し、CellTracker膜染料で染色し、人口創傷内の細胞で覆われた領域を測定し、比較した。
【0038】
図11における結果により、Sharkletマイクロパターンが、SM表面と比較してMSCを有意に増強させることが実証され、マイクロプレートが、脊椎固定装置上でMSC移動を促進するように最適化され得ることが示唆される。スケールバー、1mm。
【0039】
図11(A)は、平滑およびテクスチャ加工表面上の成長細胞を示す顕微鏡写真を示す。それらの図は、Sharkletマイクロパターンが、SM表面と比較してMSCを有意に増強させることを実証し、マイクロパターンが、脊椎固定装置上でMSC移動を促進するように最適化され得ることを示唆する。
図11(B)は、平滑およびテクスチャ加工表面上の経時的なALPスコア変動を示す棒グラフであり、
図11(C)は、経時的なアリザリンレッド濃度変化を示す棒グラフである。
【0040】
まとめると、テクスチャ加工物品は細胞を成長させるために使用することができる。成長細胞はテクスチャ上に配置される。テクスチャを形成する特徴部の平均長さは、細胞成長、細胞配向、細胞形態および細胞分化を促進するのに有効である。テクスチャは複数の離間した特徴部を含み;各々の特徴部は隣接する特徴部と実質的に異なる形状を有し;複数の離間した特徴部は複数の集団で配列され、集団の各々内の離間した特徴部は約10ナノメートル〜約200マイクロメートルの平均距離で離間しており;特徴部の隣接する集団は中間の蛇行した経路を規定するように互いに離間している。
【0041】
一実施形態において、成長細胞の平均細胞縦横比は、テクスチャを有する少なくとも1つの表面を有さない基材上で成長させた細胞と比較して増加する。成長細胞は、胚幹細胞、成体幹細胞および人工多能性幹細胞からなる群から選択される。一実施形態において、成長細胞はヒト間充織幹細胞である。
【0042】
一実施形態において、テクスチャを形成する特徴部の平均サイズおよび配列は、第1の種類の成長細胞のヒト骨細胞への細胞分化を促進するのに有効である。別の実施形態において、テクスチャを形成する特徴部の平均サイズおよび配列は、テクスチャを有さない表面と比較して細胞移動を増加させるのに有効である。
【0043】
上記に詳述したように、成長細胞が堆積される基材はテクスチャ加工される。一実施形態において、テクスチャは、ポリスチレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリオルガノシロキサン、リン酸カルシウム、ポリエーテルエーテルケトン、生体活性ガラス、セラミック材料、セラミック材料とポリマーの複合材、生体活性ガラスとポリマーの複合材、またはそれらの組み合わせを含む。別の実施形態において、基材は、ポリスチレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリオルガノシロキサン、リン酸カルシウム、ポリエーテルエーテルケトン、生体活性ガラス、セラミック材料、セラミック材料とポリマーの複合材、生体活性ガラスとポリマーの複合材、またはそれらの組み合わせを含む。
【0044】
さらに別の実施形態において、テクスチャは生分解性ポリマーを含む。生分解性ポリマーは、ポリ乳酸−グリコール酸、ポリウレタンとポリ乳酸−グリコール酸の共重合体、ポリ−カプロラクトン、ポリ乳酸−グリコール酸とポリ−カプロラクトンの共重合体、ポリヒドロキシ−ブチレート−バレレート(PHBV)、ポリオルトエステル(POE)、ポリエチレンオキシド−ブチレンテレフタレート(PEO−PBTP)、ポリ−D,L−乳酸−p−ジオキサノン−ポリエチレングリコールブロックコポリマー(PLA−DX−PEG)、または前述の生分解性ポリマーの少なくとも1つを含む組み合わせである。
【0045】
本発明は、その好ましい特定の実施形態と併せて記載しているが、前述の説明および実施例は本発明を例示することを意図し、その範囲を限定するものではないことが理解される。本発明の範囲内の他の態様、利点および修飾が、本発明に関する当業者により明らかになるであろう。
【手続補正書】
【提出日】2020年9月11日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
テクスチャを有する少なくとも1つの表面を有する基材と、
第1の種類の成長細胞と
を含む物品であって、
前記テクスチャが複数の離間した特徴部を含み、各々の特徴部は隣接する特徴部と実質的に異なる形状を有し、
前記複数の離間した特徴部は複数の集団で配列され、前記集団の各々内の前記離間した特徴部は10ナノメートル〜200マイクロメートルの平均距離で離間しており、特徴部の隣接する集団は中間の蛇行した経路を規定するように互いに離間しており、
前記第1の種類の成長細胞が前記テクスチャに配置され、
前記テクスチャを形成する特徴部の平均長さが、細胞成長、細胞配向、細胞形態および細胞分化を促進するのに有効であり、
前記テクスチャの離間した特徴部の配向が、細胞成長の方向を決定し、
平均細胞縦横比が、前記テクスチャの離間した特徴部の平均長さの増加とともに増加する、
物品。
【請求項2】
前記第1の種類の成長細胞の平均細胞縦横比が、テクスチャ加工されていない基材上で成長した細胞と比較して増加している、請求項1に記載の物品。
【請求項3】
前記第1の種類の成長細胞が、胚幹細胞、成体幹細胞および人工多能性幹細胞からなる群から選択される、請求項1に記載の物品。
【請求項4】
前記第1の種類の成長細胞がヒト間充織幹細胞である、請求項1に記載の物品。
【請求項5】
前記テクスチャを形成する特徴部の平均サイズおよび配列が、前記第1の種類の成長細胞のヒト骨細胞への細胞分化を促進するのに有効である、請求項1に記載の物品。
【請求項6】
前記テクスチャが、ポリスチレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリオルガノシロキサン、リン酸カルシウム、ポリエーテルエーテルケトン、生体活性ガラス、セラミック材料、セラミック材料とポリマーの複合材、生体活性ガラスとポリマーの複合材、またはそれらの組み合わせを含む、請求項1に記載の物品。
【請求項7】
前記テクスチャが生分解性ポリマーを含み、
前記生分解性ポリマーが、ポリ乳酸−グリコール酸、ポリウレタンとポリ乳酸−グリコール酸の共重合体、ポリ−カプロラクトン、ポリ乳酸−グリコール酸とポリ−カプロラクトンの共重合体、ポリヒドロキシ−ブチレート−バレレート(PHBV)、ポリオルトエステル(POE)、ポリエチレンオキシド−ブチレンテレフタレート(PEO−PBTP)、ポリ−D,L−乳酸−p−ジオキサノン−ポリエチレングリコールブロックコポリマー(PLA−DX−PEG)、または前述の生分解性ポリマーの少なくとも1つを含む組み合わせである、請求項1に記載の物品。
【請求項8】
基材の少なくとも1つの表面上にポリマー材料の第1の層を形成する工程と、
前記第1の層をテクスチャ加工して、テクスチャ加工した第1の層を形成する工程と、
前記テクスチャ加工した第1の層上に第1の種類の成長細胞を形成する工程と
を含む方法であって、
前記テクスチャが複数の離間した特徴部を含み、各々の特徴部が隣接する特徴部と実質的に異なる形状を有し、
前記複数の離間した特徴部が複数の集団で配列され、前記集団の各々内で前記離間した特徴部が10ナノメートル〜200マイクロメートルの平均距離で離間しており、特徴部の隣接する集団は中間の蛇行した通路を規定するように互いに離間しており、
前記第1の種類の成長細胞が前記テクスチャの上に配置され、
前記テクスチャを形成する特徴部の平均長さが、細胞成長、細胞配向、細胞形態および細胞分化を促進するのに有効であり、
前記テクスチャの離間した特徴部の配向が、細胞成長の方向を決定し、
平均細胞縦横比が、前記テクスチャの離間した特徴部の平均長さの増加とともに増加する、
方法。
【請求項9】
前記第1の種類の成長細胞が前記テクスチャ加工した第1の層上に配置される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記テクスチャ加工した第1の層が複数の離間した特徴部を含み、各々の特徴部が隣接する特徴部と実質的に異なる形状を有し、前記複数の離間した特徴部が複数の集団で配列され、前記集団の各々内で前記離間した特徴部が10ナノメートル〜200マイクロメートルの平均距離で離間しており、特徴部の隣接する集団は中間の蛇行した通路を規定するように互いに離間している、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記第1の種類の成長細胞の平均細胞縦横比が、前記テクスチャを有する少なくとも1つの表面を有さない基材と比較して増加する、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
前記第1の種類の成長細胞がヒト間充織幹細胞である、請求項8に記載の方法。
【外国語明細書】