【解決手段】本発明は、第1の濃度範囲内のガス濃度を少なくとも検出可能な第1のガス濃度検出センサ(13−1)と、第2の濃度範囲内のガス濃度を少なくとも検出可能な第2のガス濃度検出センサ(13−2)と、制御部(11)とを含んで、第2の濃度範囲の上限値は、第1の濃度範囲の上限値よりも低く、第2の濃度範囲の下限値は、第1の濃度範囲の下限値よりも低く、制御部は、第1のガス濃度検出センサの出力信号が第1の濃度範囲の下限値よりも低いガス濃度に対応し、かつ、第2のガス濃度検出センサの出力信号が第2の濃度範囲の上限値よりも高いガス濃度に対応する場合は、第1の濃度範囲の下限値または第2の濃度範囲の上限値のうちのどちらかを指示値として出力可能に構成される。
前記制御部は、前記第1の酸素濃度検出センサの出力信号が前記第1の濃度範囲の下限値よりも低い酸素濃度に対応し、かつ、前記第2の酸素濃度検出センサの出力信号が前記第2の濃度範囲の上限値よりも高い酸素濃度に対応する場合は、前記所定の時間だけ前記第1の濃度範囲の下限値を指示値として出力する、
請求項6に記載の積層造形装置。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を用いて本発明の実施形態について説明する。以下に示す実施形態中で示した各種特徴事項は、互いに組み合わせ可能である。
【0016】
1.構成例
図1は、本発明の実施形態に係るガス濃度計1の構成を示した図である。
図1に示すように、ガス濃度計1は、制御部11、指示値表示部12、ガス濃度検出センサ13−1(第1のガス濃度検出センサ)、ガス濃度検出センサ13−2(第2のガス濃度検出センサ)、開閉弁14−1、開閉弁14−2、ガス供給口15、エジェクタ16及び流量計17を有し、チャンバ2内の特定のガスの濃度を検出する。また、ガス濃度計1は、レギュレータ18を有してもよい。
【0017】
制御部11は、ガス濃度検出センサ13−1の出力信号とガス濃度検出センサ13−2の出力信号とに基づいて、指示値表示部12に表示させるチャンバ2内の特定のガスの濃度の指示値を決定して出力する。また、制御部11は、開閉弁14−1と開閉弁14−2を制御する。また、制御部11は、流量計17の出力信号に基づいてレギュレータ18を制御するようにしてもよい。
【0018】
指示値表示部12は、制御部11から出力される指示値を表示する。
【0019】
ガス濃度検出センサ13−1は、第1の濃度範囲内のガス濃度を少なくとも検出する。第1の濃度範囲内とは、第1の濃度範囲の下限値以上かつ第1の濃度範囲の上限値以下である。
【0020】
ガス濃度検出センサ13−2は、第2の濃度範囲内のガス濃度を少なくとも検出する。第2の濃度範囲内とは、第2の濃度範囲の下限値以上かつ第2の濃度範囲の上限値以下である。第2の濃度範囲の上限値は、第1の濃度範囲の上限値より低い。また、第2の濃度範囲の下限値は、第1の濃度範囲の下限値よりも低い。
【0021】
開閉弁14−1は、開かれた際にチャンバ2内から吸引されたガスをガス濃度検出センサ13−1に通す弁であり、例えば、2方向電磁弁により実現され、制御部11からの制御信号によってガスが流れる流路を開閉するものである。
【0022】
開閉弁14−2は、開かれた際にチャンバ2内から吸引されたガスをガス濃度検出センサ13−2に通す弁であり、例えば、2方向電磁弁により実現され、制御部11からの制御信号によってガスが流れる流路を開閉するものである。
【0023】
ガス供給口15は、チャンバ2内にガスを供給するための供給口である。ガス供給口15から供給されるガスは、ガス濃度検出センサ13−1、13−2が検出可能な特定のガス、特定のガス以外のガス、または、それら両方の混合ガスである。ガス供給口15から供給されるガスは、チャンバ2内に充填されるガスでもよい。また、チャンバ2に充填されるガスを図示しない別の供給口から供給するのであれば、ガス供給口15から供給されるガスは、チャンバ2内のガス濃度を検出するためだけに用いるものであってもよい。
【0024】
エジェクタ16は、内部に駆動流体が流れることで吸引力を発生するもので、チャンバ2内のガスを吸引する。具体的には、エジェクタ16は、ガス供給口15から矢印Aで示す方向に供給されるガスを駆動流体として、チャンバ2から矢印Bで示す方向にガスを吸引し、両者を矢印Cで示す方向に流出させる。
【0025】
流量計17は、チャンバ2から吸引されるガスの流量を測定する。流量計17は、流量を示す値を出力信号として制御部11へ出力するようにしてもよい。また流量計17は、図示しない流量制御弁を有して、制御部11からの制御信号に基づいて、チャンバ2から吸引されるガスの流量を所定の流量に調節する機能を持つようにしてもよい。なお、チャンバ2内のガスの吸引が中止され、各ガス濃度検出センサ13−1、13−2にチャンバ2内のガスが順次供給されていない場合、各ガス濃度検出センサ13−1、13−2は、以前チャンバ2内から吸引されたあと流路に残留したガスのガス濃度を測定することになる。制御部11は、流量計17で測定される流量が所定の流量を下回ると、各ガス濃度検出センサ13−1、13−2の出力信号を無視して、指示値表示部12に警告を表示するようにしてもよい。
【0026】
レギュレータ18は、ガス供給口15から供給されるガスの圧力を所定の圧力に制限する。レギュレータ18は、制御部11からの制御信号に基づいて、ガス供給口15から供給されるガスの圧力を所定の圧力に制限するようにしてもよい。なお、チャンバ2から吸引されるガスの流量は、制御部11からの制御信号に基づいて、レギュレータ18あるいは図示しない流量制御弁によってエジェクタ16の駆動流体となるガスの圧力または流量を制御することでも調節することができる。
【0027】
これらの構成により、例えば、ガス濃度検出センサ13−1でガス濃度を検出する際には、制御部11は、開閉弁14−1を開くとともに開閉弁14−2を閉じるように制御する。このとき制御部11は、流量計17の測定値がガス濃度検出センサ13−1の測定環境に適した値となるように流量計17が有する流量制御弁を制御するようにしてもよい。また、ガス濃度検出センサ13−2でガス濃度を検出する際には、制御部11は、開閉弁14−2を開くとともに開閉弁14−1を閉じるように制御する。このとき制御部11は、流量計17の測定値がガス濃度検出センサ13−2の測定環境に適した値となるように流量計17が有する流量制御弁を制御するようにしてもよい。つまり、制御部11は、チャンバ2内のガスをガス濃度検出センサ13−1とガス濃度検出センサ13−2のどちらかに切り替えて供給するように制御する。なお、2つの開閉弁14−1、14−2は、例えば、1つの3方向電磁弁に置き換えられてもよい。また、開閉弁14−1と開閉弁14−2は、図示しない流量制御弁にそれぞれ置き換えられてもよい。開閉弁14−1と開閉弁14−2から置き換えられた各流量制御弁は、例えば、電磁比例弁により実現され、制御部11からの制御信号によってガスが流れる流路を開閉するとともにガス濃度検出センサ13−1とガス濃度検出センサ13−2の測定環境に適したガスの流量に調整することができる。
【0028】
なお、制御部11は、ガス濃度検出センサ13−1の出力信号とガス濃度検出センサ13−2の出力信号の両者を同時に取得することも可能である。このとき開閉弁14−1と開閉弁14−2は、それぞれ開放されている。あるいは、開閉弁14−1と開閉弁14−2は、不要となる。また、開閉弁14−1と開閉弁14−2は、流量制御弁にそれぞれ置き換えられてもよい。制御部11は、開閉弁14−1と開閉弁14−2から置き換えられた各流量制御弁を、ガス濃度検出センサ13−1に適したガスの流量とガス濃度検出センサ13−2に適したガスの流量との比に応じて開放し、流量計17の測定値がガス濃度検出センサ13−1の測定環境に適したガスの流量とガス濃度検出センサ13−2の測定環境に適したガスの流量の合計となるように流量計17が有する流量制御弁を制御し、ガス濃度検出センサ13−1の出力信号とガス濃度検出センサ13−2の出力信号の両者を同時に取得することも可能である。
【0029】
2.指示値の選択
次に、制御部11が出力する指示値について、
図2から
図4を参照して説明する。
【0030】
図2は、ガス濃度検出センサ13−1がガス濃度を検出する第1の濃度範囲と、ガス濃度検出センサ13−2がガス濃度を検出する第2の濃度範囲との一部が重複する場合の濃度範囲を示した図である。
【0031】
図2に示した例では、ガス濃度検出センサ13−1は、a以上b以下の範囲のガス濃度を検出し、ガス濃度検出センサ13−2は、z以上c以下の範囲のガス濃度を検出する。
【0032】
図3は、ガス濃度検出センサ13−1がガス濃度を検出する第1の濃度範囲の下限値と、ガス濃度検出センサ13−2がガス濃度を検出する第2の濃度範囲の上限値が同一である場合の濃度範囲を示した図である。
【0033】
図3に示した例では、ガス濃度検出センサ13−1は、d以上e以下の範囲のガス濃度を検出し、ガス濃度検出センサ13−2は、z以上d以下の範囲のガス濃度を検出する。
【0034】
図4は、ガス濃度検出センサ13−1がガス濃度を検出する第1の濃度範囲と、ガス濃度検出センサ13−2がガス濃度を検出する第2の濃度範囲とが離間する場合の濃度範囲を示した図である。
【0035】
図4に示した例では、ガス濃度検出センサ13−1は、f以上g以下の範囲のガス濃度を検出し、ガス濃度検出センサ13−2は、z以上h以下の範囲のガス濃度を検出する。
【0036】
制御部11は、ガス濃度検出センサ13−1の出力信号が第1の濃度範囲内のガス濃度に対応し、かつ、ガス濃度検出センサ13−2の出力信号が第2の濃度範囲の上限値よりも高いガス濃度に対応する場合は、ガス濃度検出センサ13−1の出力信号に基づく指示値を出力する。
【0037】
具体的には、第1の濃度範囲と第2の濃度範囲が
図2に示したものである場合、ガス濃度検出センサ13−1の出力信号がa以上b以下であり、かつ、ガス濃度検出センサ13−2の出力信号がcよりも高い場合に、制御部11は、ガス濃度検出センサ13−1の出力信号に基づく指示値を出力する。
【0038】
また、第1の濃度範囲と第2の濃度範囲が
図3に示したものである場合、ガス濃度検出センサ13−1の出力信号がd以上e以下であり、かつ、ガス濃度検出センサ13−2の出力信号がdよりも高い場合に、制御部11は、ガス濃度検出センサ13−1の出力信号に基づく指示値を出力する。
【0039】
また、第1の濃度範囲と第2の濃度範囲が
図4に示したものである場合、ガス濃度検出センサ13−1の出力信号がf以上g以下であり、かつ、ガス濃度検出センサ13−2の出力信号がhよりも高い場合に、制御部11は、ガス濃度検出センサ13−1の出力信号に基づく指示値を出力する。
【0040】
また、制御部11は、ガス濃度検出センサ13−2の出力信号が第2の濃度範囲内のガス濃度に対応し、かつ、ガス濃度検出センサ13−1の出力信号が第1の濃度範囲の下限値よりも低いガス濃度に対応する場合は、ガス濃度検出センサ13−2の出力信号に基づく指示値を出力する。
【0041】
具体的には、第1の濃度範囲と第2の濃度範囲が
図2に示したものである場合、ガス濃度検出センサ13−2の出力信号がz以上c以下であり、かつ、ガス濃度検出センサ13−1の出力信号がaよりも低い場合に、制御部11は、ガス濃度検出センサ13−2の出力信号に基づく指示値を出力する。
【0042】
また、第1の濃度範囲と第2の濃度範囲が
図3に示したものである場合、ガス濃度検出センサ13−2の出力信号がz以上d以下であり、かつ、ガス濃度検出センサ13−1の出力信号がdよりも低い場合に、制御部11は、ガス濃度検出センサ13−2の出力信号に基づく指示値を出力する。
【0043】
また、第1の濃度範囲と第2の濃度範囲が
図4に示したものである場合、ガス濃度検出センサ13−2の出力信号がz以上h以下であり、かつ、ガス濃度検出センサ13−1の出力信号がfよりも低い場合に、制御部11は、ガス濃度検出センサ13−2の出力信号に基づく指示値を出力する。
【0044】
また、制御部11は、ガス濃度検出センサ13−1の出力信号が第1の濃度範囲内のガス濃度に対応し、かつ、ガス濃度検出センサ13−2の出力信号が第2の濃度範囲内のガス濃度に対応する場合は、ガス濃度検出センサ13−1またはガス濃度検出センサ13−2のうちのどちらかの出力信号に基づく指示値を出力する。
【0045】
制御部11がガス濃度検出センサ13−1またはガス濃度検出センサ13−2のうちのどちらかの出力信号に基づく指示値を出力するかは、予め定めておくこともでき、ガス濃度検出センサ13−1の出力信号に基づく指示値を出力すると定めておいた場合には、制御部11は、ガス濃度検出センサ13−1の出力信号が第1の濃度範囲内のガス濃度に対応する場合は、ガス濃度検出センサ13−2の出力信号にかかわらず、ガス濃度検出センサ13−1の出力信号に基づく指示値を出力することとなる。
【0046】
また、ガス濃度検出センサ13−2の出力信号に基づく指示値を出力すると定めておいた場合には、制御部11は、ガス濃度検出センサ13−2の出力信号が第2の濃度範囲内のガス濃度に対応する場合は、ガス濃度検出センサ13−1の出力信号にかかわらず、ガス濃度検出センサ13−2の出力信号に基づく指示値を出力することとなる。
【0047】
具体的には、第1の濃度範囲と第2の濃度範囲が
図2に示したものである場合、ガス濃度検出センサ13−1の出力信号がa以上b以下であり、かつ、ガス濃度検出センサ13−2の出力信号がz以上c以下である場合に、制御部11は、ガス濃度検出センサ13−1またはガス濃度検出センサ13−2のうちのどちらかの出力信号に基づく指示値を出力する。
【0048】
また、第1の濃度範囲と第2の濃度範囲が
図3に示したものである場合、ガス濃度検出センサ13−1の出力信号がd以上e以下であり、かつ、ガス濃度検出センサ13−2の出力信号がz以上d以下である場合に、制御部11は、ガス濃度検出センサ13−1またはガス濃度検出センサ13−2のうちのどちらかの出力信号に基づく指示値を出力する。
【0049】
また、第1の濃度範囲と第2の濃度範囲が
図4に示したものである場合、ガス濃度検出センサ13−1の出力信号がf以上g以下であり、かつ、ガス濃度検出センサ13−2の出力信号がz以上h以下である場合に、制御部11は、ガス濃度検出センサ13−1またはガス濃度検出センサ13−2のうちのどちらかの出力信号に基づく指示値を出力する。
【0050】
また、制御部11は、ガス濃度検出センサ13−1の出力信号が第1の濃度範囲の下限値よりも低いガス濃度に対応し、かつ、ガス濃度検出センサ13−2の出力信号が第2の濃度範囲の上限値より高いガス濃度に対応する場合は、第1の濃度範囲の下限値または第2の濃度範囲の上限値のうちのどちらかを指示値として出力する。このとき制御部11は、好ましくは指示値を所定の時間出力し、その後は、新たにガス濃度検出センサ13−1とガス濃度検出センサ13−2の出力信号に基づいた指示値を出力するようにしてもよい。
【0051】
また、制御部11は、ガス濃度検出センサ13−1の出力信号が第1の濃度範囲の下限値よりも低いガス濃度に対応し、かつ、ガス濃度検出センサ13−2の出力信号が第2の濃度範囲の上限値より高いガス濃度に対応する場合は、直前の指示値が、ガス濃度検出センサ13−1の出力信号に基づく値または第1の濃度範囲の下限値であれば、第1の濃度範囲の下限値を指示値として出力し、直前の指示値が、ガス濃度検出センサ13−2の出力信号に基づく値または第2の濃度範囲の上限値であれば、第2の濃度範囲の上限値を指示値として出力するようにしてもよい。このとき制御部11は、好ましくは指示値を所定の時間出力するようにしてもよい。
【0052】
また、制御部11は、ガス濃度検出センサ13−1の出力信号が第1の濃度範囲の下限値よりも低いガス濃度に対応し、かつ、ガス濃度検出センサ13−2の出力信号が第2の濃度範囲の上限値より高いガス濃度に対応する場合は、第1の濃度範囲の下限値と第2の濃度範囲の上限値のうちのどちらか高い方の値を指示値として出力するようにしてもよい。このとき制御部11は、好ましくは指示値を所定の時間出力するようにしてもよい。
【0053】
また、制御部11は、ガス濃度検出センサ13−1の出力信号が第1の濃度範囲の下限値よりも低いガス濃度に対応し、かつ、ガス濃度検出センサ13−2の出力信号が第2の濃度範囲の上限値より高いガス濃度に対応する場合は、第1の濃度範囲の下限値と第2の濃度範囲の上限値が同じ値でも、第1の濃度範囲の単位と第2の濃度範囲の単位が異なる場合、第1の濃度範囲の下限値または第2の濃度範囲の上限値のうちのどちらかを指示値として出力してもよい。このとき制御部11は、好ましくは指示値を所定の時間出力するようにしてもよい。
【0054】
具体的には、第1の濃度範囲と第2の濃度範囲が
図2に示したものである場合、ガス濃度検出センサ13−1の出力信号がaよりも低く、かつ、ガス濃度検出センサ13−2の出力信号がcよりも高い場合に、制御部11は、aまたはcのうちのどちらかの値を指示値として出力する。このとき制御部11は、好ましくはaまたはcのうちのどちらかの値を指示値として所定の時間出力するようにしてもよい。
【0055】
また、第1の濃度範囲と第2の濃度範囲が
図2に示したものである場合、ガス濃度検出センサ13−1の出力信号がaよりも低く、かつ、ガス濃度検出センサ13−2の出力信号がcよりも高い場合に、制御部11は、直前の指示値が、ガス濃度検出センサ13−1の出力信号またはaであれば、aを指示値として出力し、直前の指示値が、ガス濃度検出センサ13−2の出力信号またはcであれば、cを指示値として出力するようにしてもよい。このとき制御部11は、好ましくは指示値を所定の時間出力するようにしてもよい。
【0056】
また、第1の濃度範囲と第2の濃度範囲が
図2に示したものである場合、ガス濃度検出センサ13−1の出力信号がaよりも低く、かつ、ガス濃度検出センサ13−2の出力信号がcよりも高い場合に、制御部11は、aよりも高い値のcを指示値として出力するようにしてもよい。このとき制御部11は、好ましくはaよりも高い値のcを指示値として所定の時間出力するようにしてもよい。
【0057】
また、第1の濃度範囲と第2の濃度範囲が
図3に示したものである場合、ガス濃度検出センサ13−1の出力信号がdよりも低く、かつ、ガス濃度検出センサ13−2の出力信号がdよりも高い場合に、制御部11は、指示値としてdを出力する。このとき制御部11は、好ましくは指示値としてdを所定の時間出力するようにしてもよい。
【0058】
また、第1の濃度範囲と第2の濃度範囲が
図3に示したものである場合、ガス濃度検出センサ13−1の出力信号がdよりも低く、かつ、ガス濃度検出センサ13−2の出力信号がdよりも高い場合に、制御部11は、第1の濃度範囲の単位と第2の濃度範囲の単位が異なれば、第1の濃度範囲の下限値または第2の濃度範囲の上限値のうちのどちらかを指示値として出力してもよい。このとき制御部11は、好ましくは指示値を所定の時間出力するようにしてもよい。
【0059】
また、第1の濃度範囲と第2の濃度範囲が
図4に示したものである場合、ガス濃度検出センサ13−1の出力信号がfよりも低く、かつ、ガス濃度検出センサ13−2の出力信号がhよりも高い場合に、制御部11は、fまたはhのうちのどちらかの値を指示値として出力する。このとき制御部11は、好ましくはfまたはhのうちのどちらかを指示値として所定の時間出力するようにしてもよい。
【0060】
また、第1の濃度範囲と第2の濃度範囲が
図4に示したものである場合、ガス濃度検出センサ13−1の出力信号がfよりも低く、かつ、ガス濃度検出センサ13−2の出力信号がhよりも高い場合に、制御部11は、直前の指示値が、ガス濃度検出センサ13−1の出力信号またはfであれば、fを指示値として出力し、直前の指示値が、ガス濃度検出センサ13−2の出力信号またはhであれば、hを指示値として出力するようにしてもよい。このとき制御部11は、好ましくは指示値を所定の時間出力するようにしてもよい。
【0061】
また、第1の濃度範囲と第2の濃度範囲が
図4に示したものである場合、ガス濃度検出センサ13−1の出力信号がfよりも低く、かつ、ガス濃度検出センサ13−2の出力信号がhよりも高い場合に、制御部11は、hよりも高い値のfを指示値として出力するようにしてもよい。このとき制御部11は、好ましくはhよりも高い値のfを指示値として所定の時間出力するようにしてもよい。
【0062】
3.出力信号の誤差
ところで、制御部11は、ガス濃度検出センサ13−1の出力信号に基づく指示値とガス濃度検出センサ13−2の出力信号に基づく指示値が異なる場合に、これらのうちのいずれかを選択しているが、ガス濃度検出センサ13−1の出力信号に基づく指示値とガス濃度検出センサ13−2の出力信号に基づく指示値が異なる理由と、これらのうちのいずれかを選択することが許容できる理由について説明する。
【0063】
ガス濃度検出センサ13−1の出力信号に基づく指示値とガス濃度検出センサ13−2の出力信号に基づく指示値が異なる理由は、ガス濃度検出センサ13−1の検出誤差とガス濃度検出センサ13−2の検出誤差とによるものである。
【0064】
ここで、検出誤差について説明する。
図5は、
図2に示した濃度範囲における誤差を説明するための図である。また、
図6は、
図3に示した濃度範囲における誤差を説明するための図である。
【0065】
ガス濃度検出センサ13−1の検出誤差が、そのフルスケール(FS)に対して1%であり、ガス濃度検出センサ13−2の検出誤差が、そのフルスケールに対して5%であるとする。この場合、
図2に示した濃度範囲の例では、ガス濃度検出センサ13−1の出力信号に基づく指示値がaであったとしても、実際のガス濃度値は、a−b/100以上でa+b/100以下の範囲内のいずれかである可能性がある。一方、ガス濃度検出センサ13−2の出力信号に基づく指示値がcであったとしても、実際のガス濃度値は、c−c/20以上でc+c/20以下の範囲内のいずれかである可能性がある。
【0066】
同様に、
図3に示した濃度範囲の例では、ガス濃度検出センサ13−1の出力信号に基づく指示値がdであったとしても、実際のガス濃度値は、d−e/100以上でd+e/100以下の範囲内のいずれかである可能性がある。一方、ガス濃度検出センサ13−2の出力信号に基づく指示値がdであったとしても、実際のガス濃度値は、d−d/20以上でd+d/20以下の範囲内のいずれかである可能性がある。
【0067】
このように、第1の濃度範囲と第2の濃度範囲の境界近傍では、ガス濃度検出センサ13−1の出力信号に基づく指示値とガス濃度検出センサ13−2の出力信号に基づく指示値が異なる場合や、両者が濃度範囲からはずれた値を示す場合がある。
【0068】
しかしながら、ガス濃度検出センサ13−1の出力信号に基づく指示値とガス濃度検出センサ13−2の出力信号に基づく指示値が異なった場合でも、それぞれの検出誤差の範囲内の値であることから、いずれの値も許容範囲となる。
【0069】
なお、
図4に示した濃度範囲の場合は、第1の濃度範囲と第2の濃度範囲とが離間しており、設計段階で、第1の濃度範囲と第2の濃度範囲の境界近傍の値を必要としていないことが明らかであることから、ガス濃度検出センサ13−1の出力信号に基づく指示値とガス濃度検出センサ13−2の出力信号に基づく指示値が異なることに問題は無い。
【0070】
4.制御部11の動作
次に、制御部11の動作の流れを説明する。
図7は、ガス濃度検出センサ13−1によるガス濃度の検出からガス濃度の検出を始める場合の制御部11の動作の流れを示すアクティビティ図である。また、
図8は、ガス濃度検出センサ13−2によるガス濃度の検出からガス濃度の検出を始める場合の制御部11の動作の流れを示すアクティビティ図である。
【0071】
ガス濃度検出センサ13−1によるガス濃度の検出からガス濃度の検出を始める場合、制御部11は、まず、ガス濃度検出センサ13−1の出力信号を取得する(A101)。その結果、出力信号に基づく指示値が第1の濃度範囲内であれば、その指示値を指示値表示部12に表示させ(A102)、再度、ガス濃度検出センサ13−1の出力信号を取得する。
【0072】
一方、出力信号に基づく指示値が第1の濃度範囲の下限値よりも低い値であれば、制御部11は、ガス濃度検出センサ13−2の出力信号を取得する(A103)。その結果、出力信号に基づく指示値が第2の濃度範囲の上限値よりも高い値であれば、制御部11は、第1の濃度範囲の下限値を指示値表示部12に表示させ(A104)、所定時間待機し(A105)、再度、ガス濃度検出センサ13−1の出力信号を取得する。
【0073】
また、制御部11は、ガス濃度検出センサ13−2の出力信号に基づく指示値が第2の濃度範囲内であれば、その指示値を指示値表示部12に表示させる(A106)。
【0074】
制御部11は、この後は、ガス濃度検出センサ13−2によるガス濃度の検出からガス濃度の検出を始める場合と同様に動作する。
【0075】
ガス濃度検出センサ13−2によるガス濃度の検出からガス濃度の検出を始める場合、制御部11は、まず、ガス濃度検出センサ13−2の出力信号を取得する(A201)。その結果、出力信号に基づく指示値が第2の濃度範囲内であれば、その指示値を指示値表示部12に表示させ(A202)、再度、ガス濃度検出センサ13−2の出力信号を取得する。
【0076】
一方、出力信号に基づく指示値が第2の濃度範囲の上限値よりも高い値であれば、制御部11は、ガス濃度検出センサ13−1の出力信号を取得する(A203)。その結果、出力信号に基づく指示値が第1の濃度範囲の下限値よりも低い値であれば、制御部11は、第2の濃度範囲の上限値を指示値表示部12に表示させ(A204)、所定時間待機し(A205)、再度、ガス濃度検出センサ13−2の出力信号を取得する。
【0077】
また、制御部11は、ガス濃度検出センサ13−1の出力信号に基づく指示値が第1の濃度範囲内であれば、その指示値を指示値表示部12に表示させる(A206)。
【0078】
制御部11は、この後は、ガス濃度検出センサ13−1によるガス濃度の検出からガス濃度の検出を始める場合と同様に動作する。
【0079】
5.積層造形装置
図9は、本発明の実施形態に係る積層造形装置5の構成を示した図である。
図9に示すように、積層造形装置5は、チャンバ6と、不活性ガス供給装置7と、酸素濃度計8を少なくとも有している。なお、積層造形装置5の一般的な構成の説明は省略する。
【0080】
チャンバ6は、所望の三次元造形物が形成される造形領域を覆うように構成される。チャンバ6内には、所望の三次元造形物が形成される造形領域を有するテーブル、造形領域に金属の材料粉末による粉末層を形成する粉末層形成部等が配されている。
【0081】
不活性ガス供給装置7は、チャンバ内に不活性ガスを充填する。
【0082】
酸素濃度計8は、制御部81、指示値表示部82、酸素濃度検出センサ83−1(第1の酸素濃度検出センサ)、酸素濃度検出センサ83−2(第2の酸素濃度検出センサ)、開閉弁84−1、開閉弁84−2、ガス供給口85、エジェクタ86及び流量計87を有し、チャンバ6内の酸素の濃度を検出する。また、酸素濃度計8は、レギュレータ88を有してもよい。
【0083】
指示値表示部82は、制御部81から出力される指示値を表示する。
【0084】
酸素濃度検出センサ83−1は、第1の濃度範囲内の酸素濃度を少なくとも検出する。
【0085】
酸素濃度検出センサ83−2は、第2の濃度範囲を含む範囲内の酸素濃度を少なくとも検出する。この第2の濃度範囲の上限値は、第1の濃度範囲の上限値より低く、また、第2の濃度範囲の下限値は、第1の濃度範囲の下限値よりも低い。
【0086】
開閉弁84−1は、開かれた際にチャンバ6内から吸引されたガスを酸素濃度検出センサ83−1に通す弁であり、例えば、2方向電磁弁により実現され、制御部81からの制御信号によって開閉するもものである。
【0087】
開閉弁84−2は、開かれた際にチャンバ6内から吸引されたガスを酸素濃度検出センサ83−2に通す弁であり、例えば、2方向電磁弁により実現され、制御部81からの制御信号によって開閉するもものである。
【0088】
ガス供給口85は、チャンバ6内に不活性ガスを供給するための供給口である。ガス供給口85は、不活性ガス供給装置7に接続されている。ガス供給口85から供給されるガスは、チャンバ6内に充填される。また、チャンバ6に充填される不活性ガスを図示しない別の供給口から供給するのであれば、ガス供給口85から供給される不活性ガスは、チャンバ6内の酸素濃度を検出するためだけに用いるものであってもよい。
【0089】
エジェクタ86は、内部に駆動流体が流れることで吸引力を発生するもので、チャンバ6内のガスを吸引する。具体的には、エジェクタ86は、ガス供給口85から矢印Eで示す方向に供給される不活性ガスを駆動流体として、チャンバ6から矢印Fで示す方向にガスを吸引し、両者を矢印Gで示す方向に流出させる。
【0090】
流量計87は、チャンバ6から吸引されるガスの流量を測定する。流量計87は、流量を示す値を出力信号として制御部81へ出力するようにしてもよい。また流量計87は、図示しない流量制御弁を有して、制御部81からの制御信号に基づいて、チャンバ6から吸引されるガスの流量を所定の流量に調節する機能を持つようにしてもよい。なお、チャンバ6内のガスの吸引が中止され、各酸素濃度検出センサ83−1、83−2にチャンバ6内のガスが順次供給されていない場合、各酸素濃度検出センサ83−1、83−2は、以前チャンバ6内から吸引されたあと流路に残留したガスの酸素濃度を測定することになる。制御部81は、流量計87で測定される流量が所定の流量を下回ると、各酸素濃度検出センサ83−1、83−2の出力信号を無視して、指示値表示部82に警告を表示するようにしてもよい。
【0091】
レギュレータ88は、ガス供給口85から供給される不活性ガスの圧力を所定の圧力に制限する。レギュレータ88は、制御部81からの制御信号に基づいて、ガス供給口85から供給される不活性ガスの圧力を所定の圧力に制限するようにしてもよい。なお、チャンバ6から吸引されるガスの流量は、制御部81からの制御信号に基づいて、レギュレータ88あるいは図示しない流量制御弁によってエジェクタ86の駆動流体となるガスの圧力または流量を制御することでも調節することができる。
【0092】
これらの構成により、例えば、酸素濃度検出センサ83−1で酸素濃度を検出する際には、制御部81は、開閉弁84−1を開くとともに開閉弁84−2を閉じるように制御する。このとき制御部81は、流量計87の測定値が酸素濃度検出センサ83−1の測定環境に適した値となるように流量計87が有する流量制御弁を制御するようにしてもよい。また、酸素濃度検出センサ83−2で酸素濃度を検出する際には、制御部81は、開閉弁84−2を開くとともに開閉弁84−1を閉じるように制御する。このとき制御部81は、流量計87の測定値が酸素濃度検出センサ83−2の測定環境に適した値となるように流量計87が有する流量制御弁を制御するようにしてもよい。つまり、制御部81は、チャンバ6内のガスを酸素濃度検出センサ83−1と酸素濃度検出センサ83−2のどちらかに切り替えて供給するように制御する。なお、2つの開閉弁84−1、84−2は、例えば、1つの3方向電磁弁に置き換えられてもよい。また、開閉弁84−1と開閉弁84−2は、図示しない流量制御弁にそれぞれ置き換えられてもよい。開閉弁84−1と開閉弁84−2から置き換えられた各流量制御弁は、例えば、電磁比例弁により実現され、制御部11からの制御信号によってガスが流れる流路を開閉するとともに酸素濃度検出センサ83−1と酸素濃度検出センサ83−2の測定環境に適したガスの流量に調整することができる。
【0093】
なお、制御部81は、酸素濃度検出センサ83−1の出力信号と酸素濃度検出センサ83−2の出力信号の両者を同時に取得することも可能である。このとき開閉弁84−1と開閉弁84−2は、それぞれ開放されている。あるいは、開閉弁84−1と開閉弁84−2は、不要となる。また、開閉弁84−1と開閉弁84−2は、流量制御弁にそれぞれ置き換えられてもよい。制御部81は、開閉弁84−1と開閉弁84−2から置き換えられた各流量制御弁を、酸素濃度検出センサ83−1に適したガスの流量と酸素濃度検出センサ83−2に適したガスの流量との比に応じて開放し、流量計87の測定値が酸素濃度検出センサ83−1の測定環境に適したガスの流量と酸素濃度検出センサ83−2の測定環境に適したガスの流量の合計となるように流量計87が有する流量制御弁を制御し、酸素濃度検出センサ83−1の出力信号と酸素濃度検出センサ83−2の出力信号の両者を同時に取得することも可能である。
【0094】
6.指示値の選択
制御部81による指示値の選択方法は、前述した制御部11による指示値の選択の説明における「ガス濃度」を「酸素濃度」に置き換えたものと同様であるため、ここでの説明は省略する。
7.制御部81の動作
次に、制御部81の動作の流れを説明する。
図10は、酸素濃度検出センサ83−1により酸素濃度の検出を始める場合の制御部81の動作の流れを示すアクティビティ図である。また、
図11は、酸素濃度検出センサ83−2により酸素濃度の検出を始める場合の制御部81の動作の流れを示すアクティビティ図である。
【0095】
制御部81は、まず、酸素濃度検出センサ83−1の出力信号を取得する(A301)。その結果、出力信号に基づく指示値が第1の濃度範囲内であれば、その指示値を指示値表示部82に表示させ(A302)、再度、酸素濃度検出センサ83−1の出力信号を取得する。
【0096】
一方、出力信号に基づく指示値が第1の濃度範囲の下限値よりも低い値であれば、制御部81は、酸素濃度検出センサ83−2の出力信号を取得する(A303)。その結果、出力信号に基づく指示値が第2の濃度範囲の上限値よりも高い値であれば、制御部81は、第1の濃度範囲の下限値を指示値表示部82に表示させ(A304)、所定時間待機し(A305)、再度、酸素濃度検出センサ83−1の出力信号を取得する。
【0097】
また、制御部81は、酸素濃度検出センサ83−2の出力信号に基づく指示値が第2の濃度範囲内であれば、その指示値を指示値表示部82に表示させ(A306)、ここからは酸素濃度検出センサ83−2により酸素濃度の検出を始める。
【0098】
制御部81は、まず、酸素濃度検出センサ83−2の出力信号を取得する(A401)。その結果、出力信号に基づく指示値が第2の濃度範囲内であれば、その指示値を指示値表示部82に表示させ(A402)、再度、酸素濃度検出センサ83−2の出力信号を取得する。
【0099】
一方、出力信号に基づく指示値が第2の濃度範囲の上限値よりも高い値であれば、制御部81は、酸素濃度検出センサ83−1の出力信号を取得する(A403)。その結果、出力信号に基づく指示値が第1の濃度範囲の下限値よりも低い値であれば、制御部11は、第2の濃度範囲の上限値を指示値表示部12に表示させ(A404)、所定時間待機し(A405)、再度、酸素濃度検出センサ83−2の出力信号を取得する。
【0100】
また、制御部81は、酸素濃度検出センサ83−1の出力信号に基づく指示値が第1の濃度範囲内であれば、その指示値を指示値表示部12に表示させ(A406)、ここからは酸素濃度検出センサ83−1により酸素濃度の検出を始める。
【0101】
なお、積層造形装置5は、チャンバ6内に不活性ガスを充填させる際には、その充填度合いが十分であるか否かを確認する必要があるため、チャンバ6内の酸素濃度を検出するが、不活性ガスをチャンバ6から排気する際には、酸素濃度を検出する必要がないため、制御部81は、前述の制御部11とは異なる動作を行う。