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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-189733(P2020-189733A)
(43)【公開日】2020年11月26日
(54)【発明の名称】ピッキングシステム
(51)【国際特許分類】
   B65G 1/137 20060101AFI20201030BHJP
【FI】
   B65G1/137 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2019-96291(P2019-96291)
(22)【出願日】2019年5月22日
(71)【出願人】
【識別番号】000006297
【氏名又は名称】村田機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】新樹グローバル・アイピー特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】西本 陽平
(72)【発明者】
【氏名】垣貫 剛
【テーマコード(参考)】
3F522
【Fターム(参考)】
3F522AA01
3F522BB01
3F522BB22
3F522BB32
3F522CC01
3F522DD05
3F522DD22
3F522DD32
3F522EE16
3F522FF02
3F522FF12
3F522FF27
3F522FF37
3F522HH02
3F522HH13
3F522HH17
3F522HH36
3F522JJ01
3F522LL57
(57)【要約】
【課題】ピッキングシステムにおいて、作業者がピッキング作業を直感的に行えるように支援する。
【解決手段】ピッキングステーション1において、第1カメラ10A、10Bは、作業コンベヤ5の作業者がピッキング作業を行う側に配置されている。第2カメラ11は、作業コンベヤ5の作業者がピッキング作業を行う側において作業コンベヤ5に近接した位置に配置されている。画像処理部55は、第1カメラ10A、10Bによる第1撮影画像と第2カメラ11による第2撮影画像を合成することによって合成画像43を形成する。QRコード処理部53は、第1撮影画像41A、41B、第2撮影画像42及び合成画像43から物品Aを認識する。画像形成部57は、合成画像43に物品Aに関連するピッキング情報を重ねることで、ピッキング指示画像60を形成する。ディスプレイ13は、ピッキング指示画像60を表示する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業者がピッキング作業を行うことを支援するピッキングシステムであって、
物品を搬送する供給コンベヤと、
前記供給コンベヤの下流側に接続され、前記作業者がピッキング作業を近傍で行うことができる作業コンベヤと、
前記作業コンベヤの下流側に接続される搬出コンベヤと、
前記作業コンベヤの前記作業者がピッキング作業を行う側に配置され、前記作業コンベヤ上の物品を撮影可能である第1カメラと、
前記作業コンベヤの前記作業者がピッキング作業を行う側において前記作業コンベヤに近接した位置に配置され、前記作業コンベヤ上の物品を撮影可能である第2カメラと、
前記第1カメラによる第1撮影画像と前記第2カメラによる第2撮影画像を合成することによって合成画像を形成する画像合成部と、
前記第1撮影画像、前記第2撮影画像及び前記合成画像の一つ又は複数から物品を認識する物品認識部と、
前記合成画像に前記物品に関連するピッキング情報を重ねることで、ピッキング指示画像を形成する情報追加部と、
前記ピッキング指示画像を表示する表示装置と、
を備えるピッキングシステム。
【請求項2】
前記第2カメラは前記第1カメラより小さい、請求項1に記載のピッキングシステム。
【請求項3】
前記第2カメラは、前記作業者の身体又は衣服に取り付け可能な保持部を有しており、前記作業者が携帯可能である、請求項1又は2に記載のピッキングシステム。
【請求項4】
前記第1カメラは、前記作業者の背よりも高い位置に設けられている、請求項1〜3のいずれかに記載のピッキングシステム。
【請求項5】
前記第1カメラは、互いに離れて配置され前記作業コンベヤ上の物品を撮影可能である一対のカメラを有している、請求項1〜4のいずれかに記載のピッキングシステム。
【請求項6】
前記物品を搭載する物品搭載部材にはマーカが記されており、
前記画像合成部は、前記マーカを基準にして、前記第1撮影画像と前記第2撮影画像を合成する、請求項1〜5のいずれかに記載のピッキングシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ピッキングシステム、特に、作業者が表示装置に表示された指示に従って物品をピッキングするピッキングシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
ピッキングシステムでは、例えば、物品がコンベヤで搬送されてくる作業ステーションにおいて、作業者が必要な物品を取り出して移し替える作業を行う(例えば、特許文献1を参照)。
特許文献1に記載のピッキングシステムでは、ピッキング指示がディスプレイ161に表示され、作業者はその内容を見ながらピッキングを行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−2623号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ピッキングシステムでは、ピッキング指示はモニタにリアルタイムで表示されており、作業者がその内容を直ちに見られる必要がある。
その場合、カメラの位置が問題になることがある。例えば、カメラの位置が作業者側にあれば、作業者の移動や作業の際にカメラが邪魔になる。また、カメラを作業者側でありかつ作業者の邪魔にならない位置に配置すると、カメラが物品から離れることで、正確に物品を撮影できなくなる。
また、従来のピッキングシステムでは、作業者がピッキング作業を直感的に行えるように支援することが要請されている。
【0005】
本発明の目的は、ピッキングシステムにおいて、カメラによる作業の邪魔を減らしつつ、作業者がピッキング作業を直感的に行えるように支援することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以下に、課題を解決するための手段として複数の態様を説明する。これら態様は、必要に応じて任意に組み合せることができる。
【0007】
本発明の一見地に係るピッキングシステムは、作業者がピッキング作業を行うことを支援するものであって、供給コンベヤと、作業コンベヤと、搬出コンベヤと、第1カメラと、第2カメラと、画像合成部と、物品認識部と、情報追加部と、表示装置とを備えている。
供給コンベヤは、物品を搬送する。
作業コンベヤは、供給コンベヤの下流側に接続され、作業者がピッキング作業を近傍で行うことができる。
搬出コンベヤは、作業コンベヤの下流側に接続される。
第1カメラは、作業コンベヤの作業者がピッキング作業を行う側に配置され、作業コンベヤ上の物品を撮影可能である。
第2カメラは、作業コンベヤの作業者がピッキング作業を行う側において作業コンベヤに近接した位置に配置され、作業コンベヤ上の物品を撮影可能である。
画像合成部は、第1カメラによる第1撮影画像と第2カメラによる第2撮影画像を合成することによって合成画像を形成する。
物品認識部は、第1撮影画像、第2撮影画像及び合成画像の一つ又は複数から物品を認識する。
情報追加部は、合成画像に物品に関連するピッキング情報を重ねることで、ピッキング指示画像を形成する。
表示装置は、ピッキング指示画像を表示する。
このピッキングシステムでは、第2カメラによって物品の近くの位置からの撮影を行い、それとは別に第1カメラによって物品から離れた位置からの撮影を行い、その後第1撮影画像と第2撮影画像が合成される。これにより、例えば、一方の撮影画像で物品の一部が十分に撮影できない部分があったとしても、その部分を他方の撮影画像で補うことができる。つまり、作業者が見ている物品と同様の画像を表示できる。その結果、作業者がピッキング対象の物品を直感的に把握できる。
【0008】
第2カメラは第1カメラより小さくてもよい。
このピッキングシステムでは、第2カメラは作業者エリアにおいて作業コンベヤに近接した位置に配置されているが、作業の邪魔になりにくい。
【0009】
第2カメラは、作業者の身体又は衣服に取り付け可能な保持部を有しており、作業者が携帯可能であってもよい。
このピッキングシステムでは、第2カメラは作業者に携帯させられる。したがって、第2カメラが作業の邪魔になりにくい。
【0010】
第1カメラは、作業者の背よりも高い位置に設けられていてもよい。
このピッキングシステムでは、第1カメラが作業の邪魔になりにくい。
【0011】
第1カメラは、互いに離れて配置され作業コンベヤ上の物品を撮影可能である一対のカメラを有している。
このピッキングシステムでは、第1カメラが複数であるので、異なる角度から物品を撮影することができ、それにより物品において撮影されていない部分が少なくなる。
【0012】
物品を搭載する物品搭載部材にはマーカが記されており、
画像合成部は、マーカを基準にして、第1撮影画像と第2撮影画像を合成してもよい。
このピッキングシステムでは、第1撮影画像と第2撮影画像の合成の計算量が少なくなる。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係るピッキングシステムでは、カメラによる作業の邪魔を減らしつつ、作業者がピッキング作業を直感的に行えるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】第1実施形態のピッキングステーションの概略斜視図。
図2】ピッキングステーションの概略平面図。
図3】ピッキングステーションの概略側面図。
図4】作業者エリア付近の概略平面図。
図5】ピッキングステーションの制御構成を示すブロック図。
図6】ピッキングステーションの制御動作を示すフローチャート。
図7】第1カメラによる撮影画像。
図8】第1カメラによる撮影画像。
図9】第2カメラによる撮影画像。
図10】合成画像の一例。
図11】ピッキング指示画像の一例。
図12】作業者が見ている光景の一例。
図13】ピッキング指示画像の一例。
図14】ピッキング指示画像の一例。
図15】ピッキング指示画像の一例。
図16】ピッキング指示画像の一例。
【発明を実施するための形態】
【0015】
1.第1実施形態
(1)ピッキングステーションの基本構成
図1図4を用いて、ピッキングステーション1(ピッキングシステムの一例)の基本構成を説明する。図1は、第1実施形態のピッキングステーションの概略斜視図である。図2は、ピッキングステーションの概略平面図である。図3は、ピッキングステーションの概略側面図である。図4は、作業者エリア付近の概略平面図である。なお、図2の左右方向を第1方向(矢印X)とし、図2の上下方向を第2方向(矢印Y)とする。
図1及び図2では、2台のピッキングステーション1が並んで配置されている。なお、以下の説明では、1台のピッキングステーション1のみを説明する。
【0016】
ピッキングステーション1は、作業者Wが物品をピッキングするのを支援する施設である。特に、ピッキングステーション1は、AR(拡張現実)技術により、物品が混載されたパレットからのピッキングを支援する施設である。本実施形態でのピッキングとは、パレットPに積載された複数の物品A(物品の一例)を取り出して、出荷用パレット2に載置することをいう。物品Aは、例えば、段ボール箱である。なお、以下の説明では、一般的又は全体的な説明においては「物品A」とし、個別のものについては例えば「物品A1、A2、・・・」とする。
ピッキングステーション1は、主に、供給コンベヤ3と、作業コンベヤ5と、搬出コンベヤ7と、作業者エリア9とを備えている。
【0017】
供給コンベヤ3は、出庫用コンベヤであり、複数の物品Aが搭載されたパレットPを作業コンベヤ5に供給するために自動倉庫4から出庫するコンベヤである。供給コンベヤ3は、第2方向に延びている。供給コンベヤ3は、チェーンコンベヤであるが、ローラコンベヤ、ベルトコンベヤであってもよい。
作業コンベヤ5は、供給コンベヤ3と搬出コンベヤ7との間に配置されている。つまり、作業コンベヤ5は、供給コンベヤ3の搬送方向下流側に接続され、搬出コンベヤ7の搬送方向上流側に配置されている。作業コンベヤ5は、第1方向に延びている。作業コンベヤ5は、ピッキングが行われるピッキングポイント5aを有している。ピッキングポイント5aは、作業コンベヤ5の搬送方向下流側端であって搬出コンベヤ7に連続する位置に設けられている。作業コンベヤ5は、本実施形態では、転換コンベヤとチェーンコンベヤの組み合わせからなるが、フリーローラ、ローラコンベヤ、ベルトコンベヤであってもよい。
【0018】
搬出コンベヤ7は、入庫用コンベヤであり、複数の物品Aが搭載されたパレットPを作業コンベヤ5から搬出して、自動倉庫4へ入庫するためのコンベヤである。搬出コンベヤ7は、第2方向に延びており、つまり供給コンベヤ3と平行に延びている。
本実施形態では、供給コンベヤ3、作業コンベヤ5及び搬出コンベヤ7はコの字形に配置されている。つまり、供給コンベヤ3及び搬出コンベヤ7は、作業コンベヤ5から第2方向奥側に延びている。しかし、各コンベヤのレイアウトはこれに限定されない。例えば、供給コンベヤ3、作業コンベヤ5及び搬出コンベヤ7を一直線に並べたレイアウトでもよい。
【0019】
作業者エリア9は、作業コンベヤ5に隣接して設けられ、作業者Wがピッキング作業を行う領域である。作業者エリア9は、作業コンベヤ5に対して、第2方向の一方側(具体的には、供給コンベヤ3及び搬出コンベヤ7の延びる側と反対側)に配置されている。
【0020】
ピッキングステーション1は、第1カメラ10A、10Bを有している。第1カメラ10A、10Bは、作業コンベヤ5の作業者がピッキング作業を実行する側に配置され、より具体的には、作業者エリア9よりさらに第2方向の前記一方側に配置されている。
具体的には、第1カメラ10A、10Bは、フレーム14に装着されている。第1カメラ10A、10Bは、第2方向において奥側を向いており、作業コンベヤ5のピッキングポイント5aにおける物品Aを撮影可能である。第1カメラ10A、10Bの撮影画像は、例えば、動画である。
第1カメラ10A、10Bの位置が作業コンベヤ5の作業者エリア9と反対側の位置であるので、作業者Wの邪魔にならない。
第1カメラ10A、10Bは、具体的には、作業者Wの背面側において、左右両側に配置されている。つまり、第1カメラ10A、10Bは、第1方向に互いに離れて配置されている。このように第1カメラが複数であるので、異なる角度から物品を撮影することができ、それにより物品Aにおいて撮影されていない部分を減らせる。なお、第1カメラ10A、10Bは、第2方向に対してそれぞれ異なる角度で傾くことで、ともに内側を向いている。
【0021】
第1カメラ10A、10Bは、ピッキングポイント5aに位置する全ての物品Aを撮影する。図4に示すように、ピッキングポイント5aにおいては、物品Aの第1カメラ10A、10B側には、QRコード40(登録商標)が貼られている。
第1カメラ10A、10Bは、作業者の背よりも高い位置に設けられて斜め下方に向いている。したがって、第1カメラ10A、10Bが作業の邪魔になりにくい。具体的には、出荷用パレット2に荷物Aを載置する作業の邪魔になりにくい。ただし、第1カメラ10A、10Bが、作業者Wの通常の立ち位置における顔の高さと同じ高さにあってもよい。
さらなる変形例として、第1カメラは、1台であって、物品Aの正面又はその近傍に対向するように配置されていてもよい。
【0022】
ピッキングステーション1は、第2カメラ11を有している。第2カメラ11は、作業者エリア9において作業コンベヤ5に近接した位置に配置されている。第2カメラ11の撮影画像は、例えば、動画である。
第2カメラ11は第1カメラ10A、10Bより小さい。したがって、第2カメラ11は作業者エリア9において作業コンベヤ5に近接した位置に配置されているが、作業の邪魔になりにくい。
【0023】
第2カメラ11は、作業者Wの腰回りに取り付け可能なベルト12(保持部の一例)を有しており、作業者が携帯可能である。したがって、第2カメラ11が作業の邪魔になりにくい。第2カメラ11は、作業者Wの服やヘルメットに装着されてもよい。例えば、第2カメラ11は、作業者Wの胸部に位置するように肩掛け部材を有していてもよい。
【0024】
ピッキングステーション1は、ディスプレイ13(表示装置の一例)を備えている。ディスプレイ13は、ピッキング指示画像60(後述)を表示する装置である。本実施形態では、ディスプレイ13は、作業者エリア9に配置されており、作業者Wはディスプレイ13を見ながらピッキング可能である。
なお、表示装置として、例えば、ヘッドマウントディスプレイが用いられてもよい。
【0025】
(2)ピッキングステーションの制御構成
図5を用いて、ピッキングステーション1の制御構成を説明する。図5は、ピッキングステーションの制御構成を示すブロック図である。
ピッキングステーション1は、コントローラ51を有している。
コントローラ51は、プロセッサ(例えば、CPU)と、記憶装置(例えば、ROM、RAM、HDD、SSDなど)と、各種インターフェース(例えば、A/Dコンバータ、D/Aコンバータ、通信インターフェースなど)を有するコンピュータシステムである。コントローラ51は、記憶部(記憶装置の記憶領域の一部又は全部に対応)に保存されたプログラムを実行することで、各種制御動作を行う。
コントローラ51は、単一のプロセッサで構成されていてもよいが、各制御のために独立した複数のプロセッサから構成されていてもよい。
コントローラ51の各要素の機能は、一部又は全てが、コントローラ51を構成するコンピュータシステムにて実行可能なプログラムとして実現されてもよい。その他、制御部の各要素の機能の一部は、カスタムICにより構成されていてもよい。
【0026】
コントローラ51は、QRコード処理部53(物品認識部の一例)と、画像処理部55(画像合成部の一例)と、画像形成部57(情報追加部の一例)とを有している。
QRコード処理部53は、撮影画像から物品Aを認識する。具体的には、本実施形態では、物品認識は、撮影画像の中に含まれるQRコード40を読み取り、サーバ(図示せず)に照会し、物品Aの情報(ピッキング対象であるか否か、ピッキング対象の場合に種類)を入手することで行われる。なお、物品認識は、外形情報、例えば、物品Aの外面に記載された文字や物品Aのサイズに基づいて行われてもよい。
画像処理部55は、第1カメラ10A、10Bによる第1撮影画像41A、41Bと第2カメラ11による第2撮影画像42を合成することによって合成画像43を形成する。具体的には、画像処理部55は、撮影中の複数の動画からそれぞれの静止画を作成し、最後にそれらを合成する。
【0027】
画像形成部57は、合成画像43に物品Aに関連するピッキング情報を重ねることで、ピッキング指示画像60を形成する。つまり、全ての物品Aが映っている撮影画像を元にピッキング指示画像60が作成される。
ピッキング指示画像60は、出庫されてきたパレットPについてのピッキング対象の物品Aの品種、数量等のピッキング指示を含む。
ピッキング指示は、ピッキング対象の物品Aを視覚的に教示するマーキングを含んでいる。マーキングは、例えば、ピッキング対象である物品Aに重ねて表示された色や枠である。マーキングは、ピッキングする段ボール箱を示す矢印や他の記号でもよい。ピッキング情報は、数量や品名も含んでいる。なお、マーキング方法は任意であり、ピッキング情報の内容を任意である。
【0028】
コントローラ51には、図示しないが、パレットP及び物品Aの大きさ、形状及び位置検出するセンサ、各装置の状態を検出するためのセンサ及びスイッチ、並びに情報入力装置が接続されている。
コントローラ51には、ディスプレイ13が接続されている。
コントローラ51には、図5に示すように、操作端末61、タッチスキャナ63が接続されている。操作端末61には、1つのパレットPからのピッキングが終了した時に押される完了ボタン(図示せず)が設けられている。
さらに、コントローラ51には、供給コンベヤ3、作業コンベヤ5及び搬出コンベヤ7をそれぞれ駆動するコンベヤ駆動部(図示せず)がそれぞれ接続されている。
【0029】
(3)ピッキングステーションの制御動作
図6を用いて、ピッキングステーション1の制御動作を説明する。図6は、ピッキングステーションの制御動作を示すフローチャートである。
以下に説明する制御フローチャートは例示であって、各ステップは必要に応じて省略及び入れ替え可能である。また、複数のステップが同時に実行されたり、一部又は全てが重なって実行されたりしてもよい。
さらに、制御フローチャートの各ブロックは、単一の制御動作とは限らず、複数のブロックで表現される複数の制御動作に置き換えることができる。
なお、各装置の動作は、コントローラ51から各装置への指令の結果であり、これらはソフトウェア・アプリケーションの各ステップによって表現される。
【0030】
ステップS1では、パレットPが作業コンベヤ5のピッキングポイント5aに到着するのを待つ。具体的には、パレットPは、供給コンベヤ3によって自動倉庫4から出庫されてきて、次に作業コンベヤ5がピッキングポイント5aまで搬送する。
ステップS2では、第1カメラ10A、10B及び第2カメラ11がパレットPに載っている複数の物品Aの前面を撮影する。なお、その後、画像処理部55が、撮影中の複数の動画からそれぞれ静止画を作成する。
【0031】
ステップS3では、合成画像43が作成される。具体的には、画像処理部55が第1撮影画像41A、41Bと第2撮影画像42を合成することで、合成画像43を作成する。図7図10を用いて、合成画像43の作成をさらに説明する。図7及び図8は、第1撮影画像の一例である。図9は、第2撮影画像の一例である。図10は、合成画像の一例である。
図7に示すように第1カメラ10Aが撮影した第1撮影画像41Aでは、作業者Wによって物品Aの一部が隠れている。また、図8に示すように第1カメラ10Bが撮影した第1撮影画像41Bでは、作業者Wによって物品Aの一部が隠れている。図9に示すように第2カメラ11によって撮影した第2撮影画像42において、物品Aが映っている。ただし、第2カメラ11は物品Aの近傍に設置されているので、物品Aの左右両側部分は十分に撮影できていない可能性がある。そこで、画像処理部55は、第2撮影画像42に対して、第1撮影画像41Aの部分画像41A1と第1撮影画像41Bの部分画像41B1を補完することで、図10に示すように合成画像43を形成する。なお、合成画像に用いられるのは、一方の第1撮影画像だけでもよい。
なお、実際には、合成の前には、各撮影画像の傾きを調整している。これは、各撮影画像は、撮影している向きや角度が互いに異なっているからである。
【0032】
次に、画像合成の基準を説明する。物品Aを搭載するパレットP(物品搭載部材の一例)には、複数のマーカ31が記されている。画像処理部55は、マーカ31を基準にして、第1撮影画像41A、41Bと第2撮影画像42を合成する。この場合、第1撮影画像41A、41Bと第2撮影画像42の合成の計算量が少なくなる。
【0033】
ステップS4では、QRコード40よる物品認識が行われる。具体的には、QRコード処理部53が、合成画像内のQRコード40から各物品Aを識別し、次にサーバ(図示せず)に照会することで、物品Aに関連する情報(ピッキング対象か否か、ピッキング対象の場合に種類)を入手する。
ステップS5では、ピッキング指示画像60が作成される。具体的には、画像形成部57が、合成画像43に物品Aに関連するピッキング情報を重ねることで、ピッキング指示画像60を作成する。
ステップS6では、ピッキング指示画像60が表示される。具体的には、ピッキング指示画像60がディスプレイ13に送られてそこに表示される。
【0034】
ステップS7では、所定時間が経過したか否かが判断される。経過すればプロセスはステップS2に戻り、経過していなければプロセスはステップS8に移行する。
ステップS8では、作業者WがピッキングしたケースのQRコード40をタッチスキャナ63でスキャンしたか否かを判断する。作業者WがQRコード40をスキャンしたタイミングでピッキング完了とみなす。作業者Wは、スキャン後に、物品Aを出荷用パレット2に積み付ける。スキャンが完了すれば、プロセスはステップS9に移行する。
以上より、ピッキング指示画像60が表示されてから所定時間内にQRコード40のスキャンが終了しなければ、ピッキング指示画像60が更新される。このため、作業者Wは、物品Aの最新の荷姿に基づいたピッキング指示画像60をリアルタイムで参照できる。
【0035】
ステップS9では、ピッキングが全て終了したか否かが判断される。具体的には、コントローラ51が、ピッキング対象の物品Aが全てピッキングされたか否かを判断する。完了すればプロセスはステップS10に移行し、ディスプレイ13に完了が表示される。完了していなければプロセスはステップS2に戻り、次のピッキング指示画像60をディスプレイ13に表示する動作を実行する。
以上より、ピッキング対象が複数ある場合に、1つがピッキングされるごとにピッキング指示画像60が更新される。このため、作業者Wは物品Aの最新の荷姿に基づいたピッキング指示画像をリアルタイムで参照できる。
【0036】
なお、ステップS7において作業者WがQRコード40をスキャンしたタイミングでミス(ピッキングしたものが異なっていた場合)が発覚した場合は、ディスプレイ13にピッキングミスであることを表示したり、音を鳴らしたりして作業者Wに報知してもよい。
【0037】
以上の結果、第2カメラ11によって物品Aの近くの位置からの撮影を行い、第1カメラ10A、10Bによって物品Aから離れた位置からの撮影を行い、その後第1撮影画像41A、41Bと第2撮影画像42が合成される。これにより、例えば、一方の撮影画像で物品Aの一部が十分に撮影できない部分があったとしても、その部分を他方の撮影画像で補うことができる。つまり、作業者が見ている物品Aと同様の画像を表示できる。その結果、作業者がピッキング作業を直感的に行えるようになる。
図11及び図12を用いて、ピッキング指示画像60と実際に作業者Wが見ている光景とを比較して説明する。図11は、ピッキング指示画像の一例である。図12は、作業者Wが見ている光景の一例である。図11はピッキング指示画像60の物品Aの配置を示しており、図12は作業者Wが実際に見た物品Aの配置である。図から明らかなように、作業者Wは、ピッキング指示画像60によってピッキング対象である物品Aを容易に把握できる。
【0038】
変形例として、第1カメラ10A、10Bは、撮影対象の位置が作業者Wの目線と近似する位置になるように配置されていてもよい。この場合は、撮影画像を作業者Wの目線に合わせることで、作業者Wがさらに直感的にピッキングする物品Aを把握できるようになる。撮影画像と作業者が見た光景との角度が概ね一致するからである。
【0039】
(4)ピッキング指示画像の例(その1)
図13及び図14を用いて、ピッキング指示画像の一例を説明する。図13及び図14は、ピッキング指示画像の一例である。
図13において、最初の段階では、ピッキング対象は積み重ねられた物品A1と物品A2である。したがって、この段階では物品A1と物品A2にピッキング対象としてのマーキングがされている。
なお、変形例として、実際にピッキングする個数よりも多くのピッキング対象の物品Aがある場合は、例えば、該当する物品Aのうち、取りやすいであろう物品Aを位置情報から自動で識別してマーキングする。例えば、上下に積まれた物品Aのいずれも該当する場合は、上の物品Aのみがマーキングされる。他の方法として、ピッキング個数を表示すると共に、全てのピッキング対象の物品Aにマーキングしてもよい。この場合マーキングされた物品Aのうち任意の物を選択可能であるので、必須の場合のマーキングと異なるマーキングを付与して任意であることを示すことが好ましい。例えば、必須の場合と任意の場合とで色を異ならせることができる。それにより、作業者Wは迷うことなくスムーズにピッキングできる。
【0040】
作業者Wが物品A1をピッキングすると、ピッキング対象としては物品A2のみとなる。すると、図14に示すように、物品A1がピッキングされた後の状態のピッキング指示画像60が新たに表示される。なぜなら、1回のピッキングが終了しても全てのピッキングが終了していなければ(例えば、図6のステップS9でNo)、画像撮影(例えば、図6のステップS2)画像処理(例えば、図6のステップS3)、ピッキング指示画像作成(例えば、図6のステップS5)、ピッキング指示画像の表示(例えば、図6のステップS6)等の一連の処理が行われるからである。新たなピッキング指示画像60では、物品A2のみをピッキング対象としてのマーキングがされている。
以上に述べたように、リアルタイムでQRコード40の読取りとピッキング指示画像60の更新がなされる。したがって、作業者Wは複数のピッキング作業をスムーズに続けることができる。
【0041】
(5)ピッキング指示画像の例(その2)
図15及び図16を用いて、下の方に積まれている物品を取る場合のピッキング指示画像の変化を説明する。図15は、ピッキング指示画像の一例である。図16は、ピッキング指示画像の一例である。
図15において、最初の段階では、ピッキング対象は物品A1の下にある物品A2である。したがって、この段階では物品A2にピッキング対象としてのマーキングがされている。
【0042】
作業者Wが物品A2をピッキングするためには、図16に示すように物品A1を動かしてつまり横にのける必要がある。物品A1を移した後も、物品A1の移動後の状態のピッキング指示画像60が新たに表示される。なぜなら、一度ピッキング指示画像が表示されても所定時間が経過すれば(例えば、図6のステップS7でYes)、続いて画像撮影(例えば、図6のステップS2)、画像処理(例えば、図6のステップS3)、ピッキング指示画像作成(例えば、図6のステップS5)、ピッキング指示画像の表示(例えば、図6のステップS6)等の一連の処理が行われるからである。なお、新たなピッキング指示画像60では、引き続き、物品A2がマーキングされている。
以上に述べたように、リアルタイムでQRコード40の読取りとピッキング指示画像60の更新がなされる。したがって、作業者Wは物品AのパレットP上での移動が必要な場合でも、ピッキング作業を確実に行うことができる。
【0043】
上記制御動作を可能にするためには、物品AのQRコード40が貼られた面を同じ側に向ける必要がある。したがって、物品Aを自動倉庫4に入庫する時には、作業者Wは、空のパレットPがピッキングポイント5aへ到着すると、作業者Wは物品AをQRコード40が貼りつけられた面を手前側にし、手前詰めでパレットPに積載していく。
【0044】
2.実施形態の特徴
前記実施形態は下記のようにも説明できる。
ピッキングステーション1(ピッキングシステムの一例)は、作業者W(作業者の一例)がピッキング作業を行うことを支援するものであって、供給コンベヤ3と、作業コンベヤ5と、搬出コンベヤ7と、第1カメラ10A、10Bと、第2カメラ11と、画像処理部55(画像合成部の一例)と、QRコード処理部53(物品認識部)と、画像形成部57(情報追加部の一例)と、ディスプレイ13(表示装置の一例)とを備えている。
供給コンベヤ3は、物品Aを搬送する。
作業コンベヤ5は、供給コンベヤ3の下流側に接続され、作業者がピッキング作業を近傍で行うことができる。
搬出コンベヤ7は、作業コンベヤ5の下流側に接続される。
第1カメラ10A、10Bは、作業コンベヤ5の作業者がピッキング作業を行う側に配置されている。
第2カメラ11は、作業コンベヤ5の作業者がピッキング作業を行う側において作業コンベヤ5に近接した位置に配置されている。
画像処理部55は、第1カメラ10A、10Bによる第1撮影画像41A、41Bと第2カメラ11による第2撮影画像42を合成することによって合成画像43を形成する。
QRコード処理部53は、合成画像44から物品Aを認識する。
画像形成部57は、合成画像43に物品Aに関連するピッキング情報を重ねることで、ピッキング指示画像60を形成する。
ディスプレイ13は、ピッキング指示画像60を表示する。
【0045】
このピッキングステーション1では、第2カメラ11によって物品Aの近くの位置からの撮影を行い、それとは別に第1カメラ10A、10Bによって物品Aから離れた位置からの撮影を行い、その後第1撮影画像41A、41Bと第2撮影画像42が合成される。これにより、例えば、一方の撮影画像で物品Aの一部が十分に撮影できない部分があったとしても、その部分を他方の撮影画像で補うことができる。つまり、作業者Wが見ている物品Aと同様の画像を表示できる。その結果、作業者Wがピッキング対象である物品Aを直感的に把握できる。
【0046】
3.他の実施形態
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。特に、本明細書に書かれた複数の実施形態及び変形例は必要に応じて任意に組み合せ可能である。
ピッキング対象の物品Aへのマーキングとしては、物品A全体ではなく、例えばQRコード40に色を付けたり、光らせたりしてもよい。
撮影画像は、静止画に限定されない。例えば、動画であってもよいし、多数の静止画からなるコマ送り画像であってもよい。
物品を特定するための情報源は、QRコードに限定されない。他の二次元コードであってもよいし、バーコードであってもよい。さらに、物品の表面の模様や文字に基づいて、物品を特定してもよい。
【0047】
物品の種類は特に限定されない。物品は、段ボール箱以外に、各種ケースや箱でもよい。さらに、物品は、コンテナに収納された複数の荷物でもよく、この場合はピッキング指示として荷物の取り出しが含まれる。
前記実施形態では、物品認識は、合成画像に基づいて行われたが、第1撮影画像又は第2撮影画像に基づいて行われてもよい。さらに、物品認識は、合成画像、第1撮影画像、第2撮影画像のうち複数に基づいて行われてもよい。
【0048】
第1カメラは、1つのピッキングポイントに対して1台でもよい。
第2カメラは、作業者に取り付けられていなくてもよい。例えば、第2カメラは、作業者エリアの作業コンベヤ寄りに固定されていてもよい。
【0049】
第2カメラは、1つのピッキングポイントに対して複数台あってもよい。
第2カメラは第1のカメラと同じ種類のカメラ(サイズ、性能)でもよい。
画像合成は、第1カメラによる第1の撮影画像を基準として、作業者によって隠れる部分を第2カメラによる第2の撮影画像によって補完してもよい。
画像合成のためのマーカの数や形状は特に限定されない。
画像合成のための基準は、マーカではなく、パレットPの前面の縁や角部でもよいし、一又は複数の物品Aの縁や角部でもよい。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明は、作業者が表示装置に表示された指示に従って物品をピッキングするピッキングシステムに広く適用できる。
【符号の説明】
【0051】
1 :ピッキングステーション
2 :出荷用パレット
3 :供給コンベヤ
5 :作業コンベヤ
5a :ピッキングポイント
7 :搬出コンベヤ
9 :作業者エリア
10A :第1カメラ
10B :第1カメラ
11 :第2カメラ
12 :ベルト
13 :ディスプレイ
40 :QRコード
41A :第1撮影画像
41A1 :部分画像
41B :第1撮影画像
41B1 :部分画像
42 :第2撮影画像
43 :合成画像
44 :合成画像
51 :コントローラ
53 :QRコード処理部
55 :画像処理部
57 :画像形成部
60 :ピッキング指示画像
61 :操作端末
63 :タッチスキャナ
A :物品
P :パレット
W :作業者

図1
図2
図3
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