は1級アミノ基を有する化合物(C)から、n個の1級アミノ基を除いた残基である。]該ゴム改質剤(K)と、ゴム(G)とを含有してなるゴム組成物(Y)。ゴム改質剤(K)と、ゴム(G)との重量比[(K)/(G)]が1/99〜35/65であることが好ましい。
【発明を実施するための形態】
【0007】
<(ポリ)チオール(X)>
本発明における(ポリ)チオール(X)は、一般式(1)で表される。
【化1】
[一般式(1)中、nは1〜6(好ましくは1〜4、さらに好ましくは1〜2)の整数、R
1は炭素数2〜12の炭化水素基であって、該炭化水素基には1〜2個のエーテル結合を有していてもよい。R
2は1級アミノ基を有する化合物(C)から、n個の1級アミノ基を除いた残基である。]
【0008】
前記(ポリ)チオール(X)は、好ましくは、後述の一般式(2)で表されるヘテロ環含有化合物(A)と、1級アミノ基を有する化合物(C)とを構成原料として含む(ポリ)チオールである。すなわち、後述の一般式(2)で表されるヘテロ環含有化合物(A)と、1級アミノ基を有する化合物(C)との反応物である。
【0009】
<ヘテロ環含有化合物(A)>
本発明におけるヘテロ環含有化合物(A)は、一般式(2)で表される。
【化2】
[一般式(2)中、R
1は炭素数2〜12の炭化水素基であって、該炭化水素基には1〜2個のエーテル結合を有していてもよい。]
【0010】
一般式(2)中、R
1としては、例えば、エーテル結合を有しない炭化水素基[エチル基、n−ヘキシル、2−エチルヘキシル基、n−ドデシル基]、エーテル結合を有する炭化水素基(好ましくはアルキルオキシメチル基)[エチルオキシメチル基、2−エチルヘキシルオキシメチル基、n−ウンデカニルオキシメチル基]が挙げられる。
上記、一般式(2)中のR
1のうち、好ましいのはアルキル(炭素数1〜11)オキシメチル基、さらに好ましいのは2−エチルヘキシルオキシメチル基である。
【0011】
ヘテロ環含有化合物(A)は、例えば、国際公開第99/54373号公報に記載の方法により得られるが、市販品を用いてもよい。
上記(A)のうち、耐ブリード性および改質特性の観点から、好ましいのは5−(2−エチルヘキシルオキシメチル)−1,3−オキサチオラン−2−チオンである。
【0012】
<1級アミノ基を有する化合物(C)>
本発明における1級アミノ基を有する化合物(C)としては、例えば、1級アミノ基を有する化合物、1級アミノ基と2級アミノ基を有する化合物が挙げられる。
上記化合物(C)の有する1級アミノ基の数は、好ましくは1〜6個、さらに好ましくは1〜4個、とくに好ましくは1〜2個である。
化合物(C)の有するアミノ基のうち、好ましいのは1級アミノ基である。
【0013】
1級アミノ基を有する化合物(C)のアミン価(1級+2級、単位:mgKOH/g)は、改質特性の観点から、好ましくは10〜600、さらに好ましくは15〜500、とくに好ましくは20〜450である。
1級アミノ基を有する化合物(C)の数平均分子量(Mn)は、改質特性の観点から、好ましくは90〜6000、さらに好ましくは110〜4000、とくに好ましくは120〜3000である。
【0014】
1級アミノ基を有する化合物(C)としては、炭素数4〜20のアルキル基を有するもの、ポリオキシアルキレン構造を有するもの、ポリアミノアミド[(ポリ)アミンと(ポリ)カルボン酸との反応物]、エポキシアミンアダクト[(ポリ)アミンとエポキシ化合物との反応物]、(ポリ)アミンとアクリル化合物との反応物等が挙げられる。
アミノ基を有する化合物(C)の具体例としては、2−エチルヘキシルアミン、ヘキシルアミン、デシルアミン、(ポリ)オキシアルキレン[アルキレンの炭素数2〜3](ポリ)オールの末端アミノ変性物が挙げられる。
なお、上記アミノ変性物としては、例えば、ポリエーテルポリアミン、Mn500〜20,000のポリエーテルポリオール(ポリエチレングリコール等)のシアノエチル化物の水添化物が挙げられる。
【0015】
上記(C)のうち、改質特性の観点から、好ましいのは炭素数4〜10のアルキル基を有するもの、ポリオキシアルキレン構造を有するもの、さらに好ましくは2−エチルヘキシルアミン、ヘキシルアミン、デシルアミン、ポリオキシアルキレン(アルキレンの炭素数2〜3、好ましくは炭素数2)構造を有するもの、とくに好ましくは上記ポリオキシアルキレンの重量が、(C)の重量に基づいて、50重量%以上のものである。
【0016】
本発明における数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)は、GPC(ゲルパーミエイションクロマトグラフィー)法によって測定される。
<GPC測定条件>
[1]装置 :ゲルパーミエイションクロマトグラフィー
[型番「HLC−8120GPC」、東ソー(株)製]
[2]カラム :「TSKgelG6000PWxl」、「TSKgel
G3000PWxl」[いずれも東ソー(株)製]を直列に連結。
[3]溶離液 :メタノール/水=30/70(容量比)に
0.5重量%の酢酸ナトリウムを溶解させたもの。
[4]基準物質:ポリエチレングリコール(以下PEGと略記)
[5]注入条件:サンプル濃度0.25重量%、カラム温度40℃
【0017】
アミノ基を有する化合物(C)のSP値は、改質特性の観点から、好ましくは8.0〜10.0、さらに好ましくは8.3〜9.7、とくに好ましくは8.5〜9.5である。
なお、本発明における溶解度パラメータ(SP値)は、Fedorsによる方法[Polym.Eng.Sci.14(2)152,(1974)]により計算することができる。
【0018】
前記(ポリ)チオール(X)は、前記のように、好ましくは、前記ヘテロ環含有化合物(A)と、前記1級アミノ基を有する化合物(C)とを構成原料として含む。
(ポリ)チオール(X)は、例えば、ヘテロ環含有化合物(A)と、前記アミノ基を有する化合物(C)とを、例えば、混合して、反応することにより得られる。好ましくは、(A)のヘテロ環と、(C)のアミノ基とを反応させる。
【0019】
(ポリ)チオール(X)は、好ましくは、一般式(3)で表される官能基(α)を、好ましくは0.2〜4.0モル/kg、さらに好ましくは0.4〜3.0モル/kg有する。
【化3】
【0020】
上記官能基(α)の濃度は、
1H−MNR、
13C−NMRにより測定できる。
また、官能基(α)は、前記(A)の分子量、重量と、前記(C)の1級アミン価、重量とにより、適宜調整できる。
【0021】
また、(ポリ)チオール(X)の有するチオール基は、1分子当たり(平均)数は、好ましくは1〜3、さらに好ましくは1〜2である。
【0022】
<ゴム改質剤(K)>
本発明のゴム改質剤(K)は、前記(ポリ)チオール(X)を含有してなる。このゴム改質剤(K)は、後述のゴム(G)用の改質剤として好適に使用できる。
【0023】
<ゴム(G)>
本発明におけるゴム(G)としては、公知のもの、例えば、天然ゴム、合成ゴム(イソプレンゴム、スチレンブタジエンゴム、アクリルゴム、ブタジエンゴム、ニトリルゴム等)が挙げられる。
上記のうち、好ましいのはイソプレンゴム、スチレンブタジエンゴム、ブタジエンゴム、ニトリルゴム、さらに好ましいのはスチレンブタジエンゴム、ニトリルゴムである。
【0024】
<ゴム組成物(Y)>
本発明のゴム組成物(Y)は、前記ゴム改質剤(K)と、ゴム(G)とを含有してなる。該(Y)には、前記(K)、(G)以外に、必要に応じて、その他の添加剤(H)を加えてもよい。
その他の添加剤(H)としては、例えば、補強剤(カーボンブラック、シリカ等)、加硫促進剤(ベンゾチアジルジスルフィド、酸化亜鉛等)、加硫剤(例えば、硫黄)、充填剤(炭酸カルシウム、タルク、クレー等)、着色剤(アゾ系顔料等)、紫外線吸収剤(ハイドロキノン等)、配合剤(ステアリン酸等)が挙げられる。
【0025】
ゴム改質剤(K)と、ゴム(G)との重量比[(K)/(G)]は、改質特性およびゴム成形物の物性の観点から、好ましくは1/99〜35/65、さらに好ましくは3/97〜30/70、とくに好ましくは5/95〜25/75である。
【0026】
本発明のゴム組成物(Y)は、前記(K)、(G)、(H)を、例えば、ロール、ニーダー、プラストミルなどの混練機を用いて、混練することで調製できる。
【0027】
ゴム組成物(Y)は、前記(A)と(C)とを反応したゴム改質剤(K)と、ゴム(G)とを混合して製造できるが、工業上の観点から、前記ゴム(G)と(A)と(C)とを混合する工程により、ゴム改質剤(K)を生成し、ゴム組成物(Y)を製造してもよい。
【0028】
<ゴム成形物(Z)>
本発明のゴム成形物(Z)は、前記ゴム組成物(Y)を用いたものである。すなわち、前記ゴム組成物(Y)を成形することにより、ゴム成形物を得ることができる。必要に応じて、加硫する場合は、公知の方法により加硫してもよい。
このゴム成形品は、各種ゴム製品に好適に使用できる。
【実施例】
【0029】
以下、実施例及び比較例により本発明をさらに説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。以下、特に定めない限り、%は重量%、部は重量部を示す。
【0030】
<製造例1>[5−(2−エチルヘキシルオキシメチル)−1,3−オキサチオラン−2−チオン(A−1)の合成]
反応容器に2−エチルヘキシルグリシジルエーテル(エポキシ当量186)186部(エポキシ基として1.0モル当量)、臭化リチウム5部を仕込んで攪拌し、窒素気流下、二硫化炭素80部(1.1モル)を40℃以下に保ちながら滴下した後、40℃で6時間熟成した。
減圧下で過剰の二硫化炭素を留去した後、残渣を酢酸エチル200mlに溶解し、水50mlで2回洗浄後、飽和食塩水50mlで1回洗浄した。
酢酸エチル相を無水硫酸マグネシウム10gで乾燥後、ろ過により無水硫酸マグネシウムを除き、酢酸エチルを減圧下留去することにより、5−(2−エチルヘキシルオキシメチル)−1,3−オキサチオラン−2−チオン(A−1)250g(0.95モル)を得た。
【0031】
<実施例1>
反応容器に(A−1)50部を仕込んで、撹拌しながら60℃に昇温した。予め60℃で溶解しておいたメトキシポリエチレングリコールアミン[シグマアルドリッチ社製、Mn500、アミン価112mgKOH/g]95.3部を30分間かけて、滴下後、60℃で1時間反応を継続して、(ポリ)チオール(X−1)を含有してなるゴム改質剤(K−1)を得た。
なお、(X−1)は、官能基(α):1.31モル/kgであり、1分子当たりのチオール基は1.0個であった。
【0032】
<実施例2>
反応容器に(A−1)50部を仕込んで、撹拌しながら60℃に昇温した。予め60℃で溶解しておいたポリオキシエチレングリコールジアミノプロピルエーテル(三洋化成工業社製:ケミスタットY−400、アミン価25.5mgKOH/g)418部を30分かけて、滴下後、60℃で1時間反応を継続して、(ポリ)チオール(X−2)を含有してなるゴム改質剤(K−2)を得た。
なお、(X−2)は、官能基(α):0.41モル/kgであり、1分子当たりのチオール基は2.0個であった。
【0033】
<実施例3>
反応容器に(A−1)50部を仕込んで、撹拌しながら常温で、2−エチルヘキシルアミン(東京化成工業社製)24.6部を1時間かけて滴下し、同温で1時間反応を継続して、(ポリ)チオール(X−3)を含有してなるゴム改質剤(K−3)を得た。
なお、(X−3)は、官能基(α):2.55モル/kgであり、1分子当たりのチオール基は1.0個であった。
【0034】
<比較例1>
市販のフタル酸ジ−2−エチルヘキシル[DOP]を、比較のためのゴム改質剤(比K−1)とした。
【0035】
<実施例11〜13、比較例11>
表1の配合組成(部)にしたがって、ベンゾチアジルジスルフィドと硫黄以外の原料をバンバリーミキサーを用いて混練した。
次に、8インチロール混練機を用いて、ベンゾチアジルジスルフィドと硫黄を混練し、ゴム組成物(Y)を得て、さらに、厚さ2.3mmのシートを作製した。
このシートについてプレス加硫を150℃×20分間の条件で行って、厚さ2mmの各ゴム成形物(Z)を作製した。
得られた各ゴム成形物(Z)について、後述の評価方法によって評価を行った。結果を表1に示す。
【0036】
<評価方法>
<1>引張試験:JIS K−6251に準拠
<2>耐ブリード性:
テストピースを55℃の雰囲気下で7日間保存し、その表面状態を肉眼で観察し、下記基準で評価した。
<評価基準>
◎:ブリードが全く見られない
○:ブリードがわずか
△:ブリードが見られる
×:ブリードが激しい
<3>耐熱試験:
JIS K−6257促進老化試験に準拠(100℃、72時間)
<4>耐油試験:
JIS K−6258浸せき試験に準拠(JIS1号油、100℃、72時間)
【0037】
【表1】
【0038】
なお、表1において使用した各原料は以下のとおり。
ゴム(G−1):[日本ゼオン社製:Nipol 1041、ニトリルゴム]
ベンゾチアジルジスルフィド:[三新化学工業社製:サンセラー DM]
酸化亜鉛:[正同化学工業社製:酸化亜鉛2種]、
ステアリン酸:[日油社製:登録商標、NAA−173K]
カーボンブラック:[旭カーボン社製:旭#35]
硫黄:[細井化学工業社製:微粉硫黄S]
【0039】
表1の結果から、本発明のゴム改質剤を使用したゴム組成物は、比較例のゴム改質剤を使用したゴム組成物に比べて、耐ブリード性に優れ、かつ耐熱性、及び耐油性に優れていることが分かる。