【解決手段】まず、道路6に溝60a、60bを車線に沿って形成する。つぎに、鉄筋コンクリート等のコンクリート製の区分壁2と、区分壁2の底面21に取り付けられ、区分壁2の長手方向に沿って裏面30に凸部32a、32bが形成された鋼板等の金属製の基礎板3と、を備える車線区分柵1を、基礎板3の裏面30に形成された凸部32a、32bを道路6の溝60a、60bに挿入して、車線に沿って複数配置して、隣接する車線区分柵1同士を横連結継手4で連結する。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
【0016】
[第一実施の形態]
図1は、本実施の形態に係る車線区分柵1の設置例を説明するための図である。
【0017】
図示するように、本実施の形態に係る車線区分柵1は、アスファルト舗装された道路6上に車線に沿って複数配置され、これにより、道路6を車線6a、6bに区分する。
【0018】
図2(A)、
図2(B)および
図2(C)は、車線区分柵1の正面図、側面図および上面図であり、
図2(D)は、
図2(B)に示す車線区分柵1のA−A断面図である。
【0019】
図示するように、車線区分柵1は、区分壁2と、区分壁2の長手方向両端部20a、20bにおいて、それぞれ底面21に取り付けられた一対の基礎板3と、を備えている。
【0020】
区分壁2は、鉄筋コンクリート等のコンクリート製であり、その高さHは、車線走行中の車両が車線区分柵1に衝突した場合に、この車両を同じ車線に留め置くことができる高さ(例えば60cm)に設定される。
【0021】
長手方向両端部20a、20bにおいて、区分壁2の底面21には、基礎板3を取り付けるためのネジインサート24が埋め込まれている。また、長手方向両端部20a、20bにおいて、区分壁2の上面22および両側壁23a、23bには、隣接する車線区分柵1に連結するための横連結継手4(
図1参照)を取り付けるためのネジインサート25がそれぞれ埋め込まれている。また、長手方向中央部20cにおいて、区分壁2の底面21には、ハンドリフト(不図示)の爪を挿入するための切欠き26が形成されている。
【0022】
基礎板3は、鋼板等の金属製板材であり、その幅Wは、車線走行中の車両が車線区分柵1に衝突した場合に、車線区分柵1の転倒を防止できる幅寸法(例えば50cm)に設定され、その板厚Dは、車線区分柵1のジャッキアップに使用する爪付きジャッキ(不図示)の爪の厚さより大きな厚さ寸法に設定される。基礎板3の裏面30には、長手方向に沿って一対のライン状の凸部32a、32bが形成されている。また、区分壁2の底面21に形成されたネジインサート24に対応する位置には、裏面30から表面31に向けて座繰り付きのボルト穴33が形成されている。ボルト5を、座繰り付きボルト穴33を介して、区分壁2の底面21に形成されたネジインサート24に螺合させることにより、基礎板3は、区分壁2の底面21に固定される。また、基礎板3には、車線区分柵1を移動する際に使用するねじ込み式キャスター(不図示)のネジプラグと螺合するねじ孔34が表面31および裏面30を貫いて複数形成されている。
【0023】
つぎに、上記構成の車線区分柵1を道路6に複数設置して車線を区分する方法について説明する。
【0024】
図3は、本実施の形態に係る車線区分柵1の設置方法を説明するためフロー図である。
【0025】
S10:溝60a、60bの切削
道路6の車線区分柵設置区間において、車線区分柵1の基礎板3の裏面30に形成されている凸部32a、32bを収容するための溝60a、60bを、道路6の路面上の所望の位置に車線に沿って切削する(
図1参照)。
【0026】
S11:車線区分柵1の配置
道路6の車線区分柵設置区間において、各車線区分柵1の基礎板3の裏面30に形成されている凸部32a、32bを道路6の溝60a、60bに挿入することにより、複数の車線区分柵1を車線に沿って列状に配置する(
図1参照)。ここで、車線区分柵1の設置現場までの移動には、レッカー型トラック等の移動式クレーンを用いる。
【0027】
S12:車線区分柵1の連結
道路6上に配置された車線区分柵1のうち、互いに隣接する車線区分柵1同士を連結する。具体的には、互いに隣接する車線区分柵1の区分壁2間を跨ぐように、区分壁2の上面22および両側壁23a、23bのそれぞれに横連結継手4を配置し、この横連結継手4のボルト通し穴を介してボルト7をネジインサート25に螺合して、互いに隣接する2つの車線区分柵1に横連結継手4を固定する。これにより、互いに隣接する車線区分柵1同士を横連結継手4で連結して、複数の車線区分柵1aを一体化する(
図1参照)。ここでは、道路6の車線区分柵設置区間に複数の車線区分柵1を配置してから、互いに隣接する車線区分柵1同士を連結しているが、二番目以降の車線区分柵1を道路6に配置する毎に、この新たに配置した車線区分柵1と一つ前に配置した車線区分柵1とを横連結継手4で連結するようにしてもよい。
【0028】
つぎに、以上のようにして道路6上に設置された複数の車線区分柵1の一部を撤去して、車線6a、6b間に開口部を設ける方法について説明する。
【0029】
図4は、本実施の形態に係る車線区分柵1の撤去方法の第一の例を説明するためフロー図である。
【0030】
S20:車線区分柵1の連結解除
撤去対象の車線区分柵1とこの車線区分柵1に隣接する車線区分柵1とを連結している横連結継手4を取り外すことにより、撤去対象の車線区分柵1とこの車線区分柵1に隣接する車線区分柵1との連結を解除する。
【0031】
S21:車線区分柵1のリフトアップ
撤去対象の車線区分柵1の区分壁2の底面21に形成された切欠き26にハンドリフトの爪を挿入して、撤去対象の車線区分柵1をリフトアップする。このとき、撤去対象の車線区分柵1の基礎板3の裏面30に形成された凸部32a、32bが、道路6の溝60a、60bから完全に露出するまでリフトアップする。
【0032】
S22:車線区分柵1の移動
ハンドリフトによりリフトアップされた撤去対象の車線区分柵1をそのままハンドリフトに載せて移動する。これにより車線区分柵1の列から撤去対象の車線区分柵1が撤去されて開口部が形成される。
【0033】
図5は、本実施の形態に係る車線区分柵1の撤去方法の第二の例を説明するためフロー図である。
【0034】
S30:車線区分柵1の連結解除
撤去対象の車線区分柵1とこの車線区分柵1に隣接する車線区分柵1とを連結している横連結継手4を取り外すことにより、撤去対象の車線区分柵1とこの車線区分柵1に隣接する車線区分柵1との連結を解除する。
【0035】
S31:車線区分柵1のジャッキアップ
撤去対象の車線区分柵1の基礎板3の板厚Dによって形成される区分壁2の底面21と道路6の路面との隙間に爪付きジャッキの爪を挿入して、撤去対象の車線区分柵1をジャッキアップする。このとき、撤去対象の車線区分柵1の基礎板3の裏面30に形成された凸部32a、32bが、道路6の溝60a、60bから完全に露出し、かつ道路6から基礎板3の裏面30までの高さが車線区分柵1の移動に使用するねじ込み式キャスターの高さより高くなるまで、撤去対象の車線区分柵1をジャッキアップする。
【0036】
S32:ねじ込み式キャスター取付
撤去対象の車線区分柵1の基礎板3に形成されたねじ孔34にねじ込み式キャスターを取り付ける。このとき、ネジプラグのねじ部の外径が車輪の外径より大きいねじ込み式キャスターを用いることが好ましい。このようなねじ込み式キャスターを用いることにより、基礎板3の表面31側からねじ込み式キャスターのネジプラグを基礎板3のねじ孔34に挿入して、ねじ込み式キャスターのネジプラグのねじ部を基礎板3のねじ孔34と螺合することが可能となる。このため、ねじ込み式キャスターの取付作業の作業性が向上する。
【0037】
S33:車線区分柵1の移動
爪付きジャッキによるジャッキアップを終了して、撤去対象の車線区分柵1から爪付きジャッキを外す。それから、基礎板3のねじ孔34にねじ込み式キャスターが取り付けられた撤去対象の車線区分柵1を人力により移動する。この際、ねじ込み式キャスターの車輪が道路6の溝60a、60bに嵌らないようにするために、車輪の外径および幅を道路6の溝60a、60bの溝幅より大きくするか、あるいは、ねじ込み式キャスターの移動経路上に位置する溝60a、60bの部分に板を敷くとよい。これにより車線区分柵1の列から撤去対象の車線区分柵1が撤去されて開口部が形成される。
【0038】
以上、本発明の第一実施の形態について説明した。
【0039】
本実施の形態では、車線区分柵1の基礎板3の裏面30に形成された凸部32a、32bを道路6の溝60a、60bに挿入して車線区分柵1を道路6上に配置するとともに、隣接する車線区分柵1同士を横連結継手4で連結することにより、車両衝突時における対向車線側への車線区分柵1の滑動を抑制して進入行程を小さくしている。このため、索体式の車線区分柵と異なり、支柱を保持するためのスリーブを道路6に深く打設する必要がない。したがって、本実施の形態によれば、トンネル内、橋梁上にも、車線区分柵1をより容易に設置することができる。
【0040】
また、本実施の形態では、撤去対象の車線区分柵1とこれに隣接する車線区分柵1との連結を解除して、撤去対象の車線区分柵1を移動することにより開口部を形成することができる。したがって、本実施の形態によれば、車線区分柵1の一部撤去を伴う緊急時の車線規制等にも柔軟に対応することができる。
【0041】
また、本実施の形態では、区分壁2が鉄筋コンクリート等のコンクリート製であるので、索体式の車線区分柵に比べて、車両衝突時に大きく破損せず、車両衝突時の滑動による位置ずれを修正することで、同じ製品を継続して使用することができ、メンテナンス性に優れる。
【0042】
なお、上記の実施の形態では、車線区分柵1の基礎板3の裏面30の幅W方向の中央部に一対の凸部32a、32bを長手方向に形成しているが、本発明はこれに限定されない。基礎板3の裏面30に少なくとも一つの凸部が長手方向に形成されていればよい。例えば、
図6(A)に示すように、基礎板3の裏面30の幅W方向の両端部に一対の凸部32a、32bが長手方向に形成されたものでもよい。また、
図6(B)に示すように、車線区分柵1の基礎板3の裏面30の幅W方向の中央部に一つの凸部32cが長手方向に形成されたものでもよい。この場合、道路6の路面には、凸部32cを収容する一つの溝60cを車線に沿って設ければよい。
【0043】
また、上記の実施の形態では、車線区分柵1の基礎板3の裏面30に形成された凸部32a、32bのそれぞれに対応して、対応する凸部32a、32bを収容する溝60a、60bを道路6の路面に設けているが、本発明はこれに限定されない。例えば、
図6(C)に示すように、基礎板3の裏面30に形成された複数の凸部32a、32bをまとめて収容する一つの溝60dを車線に沿って道路6に設けてもよい。
【0044】
なお、
図2(A)、
図6(A)における、道路6の路面に形成された溝群(溝60a、60b)の溝幅G1、G2、および、
図6(B)、
図6(C)における、道路6の路面に形成された溝60c、60dの溝幅G3、G4は、レーンディバイダの幅(例えば20cm)より狭いことが好ましい。このようにすることにより、溝の形成時にレーンディバイダの外側に設けられた白線が削られるのを防止することができ、白線の引き直し作業によるコストの発生を抑制することができる。
【0045】
[第二実施の形態]
図7は、本実施の形態に係る車線区分柵1aの設置例を説明するための図である。
【0046】
図示するように、本実施の形態に係る車線区分柵1aは、
図1に示す第一実施の形態に係る車線区分柵1と同様、アスファルト舗装された道路6上に車線に沿って複数配置され、これにより、道路6を車線6a、6bに区分する。ただし、第一実施の形態と異なり、本実施の形態では、車線に沿った溝60a、60bを道路6の路面に形成する必要はない。
【0047】
図8(A)、
図8(B)および
図8(C)は、車線区分柵1aの正面図、側面図および上面図であり、
図8(D)は、
図8(B)に示す車線区分柵1aのB−B断面図である。
【0048】
図示するように、本実施の形態に係る車線区分柵1aが
図2に示す第一実施の形態に係る車線区分柵1と異なる点は、基礎板3に代えて基礎板3aを用いたことである。その他の構成は、
図2に示す車線区分柵1と同じである。
【0049】
基礎板3aが
図2に示す基礎板3と異なる点は、裏面30に凸部32a、32bが形成されていないこと、および、アンチスキッド面(フランジ付孔が突出している側の面)を下方に向けてアンチスキッド鋼板を基礎板3aの裏面30に取り付けることにより、基礎板3aの裏面30に摩擦面35が形成されていることにある。その他の構成は、
図2に示す基礎板3と同じである。
【0050】
つぎに、上記構成の車線区分柵1aを道路6に複数設置して車線を区分する方法について説明する。
【0051】
図9は、本実施の形態に係る車線区分柵1aの設置方法を説明するためフロー図である。
【0052】
S40:車線区分柵1aの配置
道路6の車線区分柵設置区間において、各車線区分柵1aの基礎板3aの裏面30に形成されている摩擦面35を道路6に接触させて、複数の車線区分柵1aを、車線に沿って列状に配置する(
図7参照)。ここで、車線区分柵1の設置現場までの移動には、レッカー型トラック等の移動式クレーンを用いる。
【0053】
S41:車線区分柵1aの連結
道路6上に配置された車線区分柵1aのうち、互いに隣接する車線区分柵1a同士を連結する。具体的には、互いに隣接する車線区分柵1aの区分壁2間を跨ぐように、区分壁2の上面22および両側壁23a、23bのそれぞれに横連結継手4を配置し、この横連結継手4を介してボルト7を穴ネジインサート25に螺合して、互いに隣接する2つの車線区分柵1aに横連結継手4を固定する。これにより、互いに隣接する車線区分柵1a同士を横連結継手4で連結して、複数の車線区分柵1aを一体化する(
図7参照)。ここでは、道路6の車線区分柵設置区間に複数の車線区分柵1aを配置してから、互いに隣接する車線区分柵1a同士を連結しているが、二番目以降の車線区分柵1aを道路6に配置する毎に、この新たに配置した車線区分柵1aと一つ前に配置した車線区分柵1aとを連結するようにしてもよい。
【0054】
つぎに、以上のようにして道路6上に設置された複数の車線区分柵1aの一部を撤去して車線6a、6b間に開口部を設ける方法について説明する。
【0055】
図10は、本実施の形態に係る車線区分柵1aの撤去方法の第一の例を説明するためフロー図である。
【0056】
S50:車線区分柵1aの連結解除
撤去対象の車線区分柵1aとこの車線区分柵1aに隣接する車線区分柵1aとを連結している横連結継手4を取り外すことにより、撤去対象の車線区分柵1aとこの車線区分柵1aに隣接する車線区分柵1aとの連結を解除する。
【0057】
S51:車線区分柵1aのリフトアップ
撤去対象の車線区分柵1aの区分壁2の底面21に形成された切欠き26にハンドリフトの爪を挿入して、撤去対象の車線区分柵1aをリフトアップする。
【0058】
S22:車線区分柵1の移動
ハンドリフトによりリフトアップされた撤去対象の車線区分柵1aをそのままハンドリフトに載せて移動する。これにより車線区分柵1aの列から撤去対象の車線区分柵1aが撤去されて開口部が形成される。
【0059】
図11は、本実施の形態に係る車線区分柵1aの撤去方法の第二の例を説明するためフロー図である。
【0060】
S60:車線区分柵1aの連結解除
撤去対象の車線区分柵1aとこの車線区分柵1aに隣接する車線区分柵1aとを連結している横連結継手4を取り外すことにより、撤去対象の車線区分柵1aとこの車線区分柵1aに隣接する車線区分柵1aとの連結を解除する。
【0061】
S61:車線区分柵1aのジャッキアップ
撤去対象の車線区分柵1aの基礎板3aの板厚Dによって形成される区分壁2の底面21と道路6の路面との隙間に爪付きジャッキの爪を挿入して、撤去対象の車線区分柵1aをジャッキアップする。
【0062】
S62:ねじ込み式キャスター取付
撤去対象の車線区分柵1aの基礎板3aに形成されたねじ孔34にねじ込み式キャスターを取り付ける。このとき、ネジプラグのねじ部の外径が車輪の外径より大きいねじ込み式キャスターを用いることが好ましい。このようなねじ込み式キャスターを用いることにより、基礎板3aの表面31側からねじ込み式キャスターを基礎板3aのねじ孔34に挿入して、ねじ込み式キャスターのプラグのねじ部を基礎板3aのねじ孔34と螺合することが可能となる。このため、ねじ込み式キャスターの取付作業の作業性が向上する。
【0063】
S63:車線区分柵1aの移動
爪付きジャッキによるジャッキアップを終了して、撤去対象の車線区分柵1aから爪付きジャッキを外す。それから、基礎板3aのねじ孔34にねじ込み式キャスターが取り付けられた撤去対象の車線区分柵1aを人力により移動する。これにより車線区分柵1aの列から撤去対象の車線区分柵1aが撤去されて開口部が形成される。
【0064】
以上、本発明の第二実施の形態について説明した。
【0065】
本実施の形態では、車線区分柵1aの基礎板3aの裏面30に形成された摩擦面35を道路6の路面に接触させて車線区分柵1aを道路6上に配置するとともに、隣接する車線区分柵1a同士を横連結継手4で連結することにより、車両衝突時における対向車線側への車線区分柵1aの滑動を抑制して進入行程を小さくしている。このため、上記の第一実施の形態と同様、索体式の車線区分柵と異なり、支柱を保持するためのスリーブを道路6に深く打設する必要がない。したがって、本実施の形態においても、トンネル内、橋梁上にも、車線区分柵1aをより容易に設置することができる。その他の効果は、上記の第一実施の形態と同様である。
【0066】
なお、上記の実施の形態では、車線区分柵1aの基礎板3aの裏面30にアンチスキッド鋼板を取り付けることにより、基礎板3aの裏面30に摩擦面35を形成している。しかしながら、本発明はこれに限定されない。道路6の車線区分柵設置区間に必要数の車線区分柵1aを配置して連結した場合において、車両衝突時の滑動による進入行程を少なくとも索体式の車線区分柵より小さくすることができる程度の摩擦係数を得ることができるものであれば、どのような方法で基礎板3aの裏面30に摩擦面35を形成してもかまわない。摩擦係数は0.8以上が好ましく、例えば、基礎板3aの裏面30に梨地鋼板等の多数の凹凸を有する模様鋼板、あるいはゴム板を取り付けることにより、基礎板3aの裏面30に摩擦面35を形成してもよい。
【0067】
また、道路6の車線区分柵設置区間に必要数の車線区分柵1aを配置して連結した場合において、連結された複数の車線区分柵1aの重量によって、車両衝突時の滑動による進入行程を少なくとも索体式の車線区分柵より小さくすることができるのであれば、基礎板3aの裏面30に摩擦面35を形成しなくてもよい。この場合、車両衝突時の衝撃を横連結継手4で連結された複数の車線区分柵1aに効率よく分散させることが可能となり、上記の第一実施の形態のように、基礎板3の裏面30に形成された凸部32a、32bを道路6の路面に形成された溝60a、60bに挿入することによって、車線区分柵1を道路6の路面に固定する場合に比べて、車両が衝突した車線区分柵1aに加わる衝撃を低減することができ、これにより、車線区分柵1aが破損する可能性を低減することができる。
【0068】
本発明は、上記の各実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で数々の変形が可能である。
【0069】
例えば、上記の各実施の形態において、隣接する車線区分柵1、1aを連結する横連結継手4に代えて、
図12に示すような、屈曲可能かつ長手方向に伸縮可能な湾曲部40を有する横連結継手4aを用いてもよい。ここで、符号41は、区分壁2のネジインサート25に螺合するボルト7のボルト通し穴である。横連結継手4aを用いることにより、車両衝突時に、ボルト7を介して横連結継手4aから区分壁2のネジインサート25に加わる引張力を湾曲部40で緩和することができ、これにより、区分壁2のネジインサート25の形成部分が破損する可能性を低減することができる。この場合、例えば、
図13に示すように、隙間Fを介して車線区分柵1、1aの区分壁2を隣接させ、湾曲部40がこの隙間Fに挿入されるように、横連結継手4aをボルト7で区分壁2に固定する。
【0070】
また、上記の各実施の形態では、横連結継手4を介して区分壁2のネジインサート25にボルト7を螺合することにより、隣接する車線区分柵1、1aを連結しているが、
図14に示す車線区分柵1bのように、区分壁2の長手方向の中央部に、ネジ穴80が形成された張力伝達板8を埋め込み、横連結継手4bに形成されたボルト通し穴を介してこのネジ穴80にボルト7を螺合することにより、横連結継手4bを張力伝達板8に固定して、隣接する横連結継手4bを連結してもよい。
【0071】
このようにすることで、車両衝突時の引張力は、張力伝達板8を介して横連結継手4bから隣接する横連結継手4bに伝って、複数の横連結継手4bに分散する。このため、区分壁2に伝わる車両衝突時の引張力が抑制され、区分壁2が破損する可能性を低減できる。
【0072】
なお、張力伝達板8には、横連結継手4bよりも剛性の高いものが好ましい。例えば、張力伝達板8として横連結継手4bと同じ金属材料(例えば鋼板)を用いる場合、張力伝達板8の断面積を横連結継手4bの断面積より大きくするなどして、張力伝達板8の剛性を横連結継手4bの剛性より高くする。
【0073】
また、この車線区分柵1bにおいても、
図14(C)に示すように、横連結継手4bに屈曲可能かつ長手方向に伸縮可能な湾曲部40を設け、隙間Fを介して車線区分柵1bの区分壁2を隣接させ、湾曲部40がこの隙間Fに挿入されるように、横連結継手4bをボルト7で張力伝達板8に固定してもよい。このようにすることで、ボルト7を介して横連結継手4bから張力伝達板8に加わる引張力を湾曲部40で緩和することができ、区分壁2が破損する可能性をよりさらに低減することができる。
【0074】
また、上記の各実施の形態では、隣接する車線区分柵1、1a同士を横連結継手4およびボルト7を用いて連結しているが、本発明はこれに限定されない。隣接する車線区分柵1、1a同士の連結を解除することができるものであれば、どのような連結具で両者を連結してもかまわない。
【0075】
また、上記の各実施の形態では、区分壁2の長手方向両端部20a、20bにおいて、区分壁2の底面21に基礎板3、3aをそれぞれ取り付けているが、本発明はこれに限定されない。区分壁2の底面21に少なくとも一つの基礎板3、3aが取り付けられたものであればよい。
【0076】
また、上記の各実施の形態では、車線区分柵1、1aをアスファルト舗装された道路6に設置する場合を例にとり説明したが、本発明は、車線区分柵をアスファルト、コンクリート等の設置地盤に設置する場合に広く適用可能である。
【0077】
本発明は、高速道路を走行する車両の対向車線への飛出しを防止して、衝突車両の進路を正しい方向に誘導する目的で使用可能である。