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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-190220(P2020-190220A)
(43)【公開日】2020年11月26日
(54)【発明の名称】電動圧縮機
(51)【国際特許分類】
   F04B 39/00 20060101AFI20201030BHJP
   H02K 11/33 20160101ALI20201030BHJP
   H02K 5/22 20060101ALI20201030BHJP
【FI】
   F04B39/00 106A
   F04B39/00 106C
   H02K11/33
   H02K5/22
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2019-95161(P2019-95161)
(22)【出願日】2019年5月21日
(71)【出願人】
【識別番号】516299338
【氏名又は名称】三菱重工サーマルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100140914
【弁理士】
【氏名又は名称】三苫 貴織
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【弁理士】
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100172524
【弁理士】
【氏名又は名称】長田 大輔
(72)【発明者】
【氏名】服部 誠
(72)【発明者】
【氏名】鷹繁 貴之
(72)【発明者】
【氏名】樋口 博人
(72)【発明者】
【氏名】上谷 洋行
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 将人
(72)【発明者】
【氏名】中尾 禎子
【テーマコード(参考)】
3H003
5H605
5H611
【Fターム(参考)】
3H003AA05
3H003AB07
3H003AC03
3H003BB08
3H003CF02
3H003CF04
5H605BB07
5H605CC06
5H605CC08
5H605EC03
5H605EC08
5H611BB01
5H611BB06
5H611TT01
5H611UA04
(57)【要約】
【課題】筐体に対して制御基板が相対的に変位しても、その変位によって電動モータと制御基板の端子部分に過大な応力がかかることを抑制する。
【解決手段】圧縮機と、電動モータと、電動モータを制御する制御基板41bと、電動モータと制御基板41bとを電気的に接続する接続部50と、を備え、電動モータは、モータハウジング12の開口部12Aに取り付けられる軸状の複数のモータ接続端子31aを有し、制御基板41bは、複数のスルーホール41b1を有し、接続部50は、板状の接合部51と、一端が接合部51に連結されるとともに他端がスルーホール41b1に接合される軸状の連結部52と、を有し、連結部52は、第1軸線A1に沿って延びる第1腕部52aと、第1軸線A1と交差する第2軸線A2に沿って延びる第2腕部52bと、を有するインバータ一体型電動圧縮機を提供する。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
密閉された内部空間を形成する筐体と、
前記内部空間に収容される圧縮部と、
前記内部空間に収容されるとともに前記圧縮部を駆動する駆動軸を回転させる電動モータと、
前記電動モータを制御する制御基板と、
前記電動モータと前記制御基板とを電気的に接続する金属製の接続部と、を備え、
前記電動モータは、前記筐体に設けられた開口部に取り付けられるとともに前記筐体の外部空間へ突出する軸状の複数の第1接続端子を有し、
前記制御基板は、複数の第2接続端子を有し、
前記接続部は、
前記第1接続端子に接合されるとともに前記第1接続端子よりも幅広の接合面を有する板状の接合部と、
一端が前記接合部に連結されるとともに他端が前記第2接続端子に接合される軸状の連結部と、を有し、
前記連結部は、第1軸線に沿って延びる第1腕部と、前記第1腕部に接続されるとともに前記第1軸線と交差する第2軸線に沿って延びる第2腕部と、を有する電動圧縮機。
【請求項2】
前記第1腕部は、前記第1接続端子が延びる方向と交差する方向に沿って延びるとともに前記接合部と前記制御基板に挟まれる位置に配置される請求項1に記載の電動圧縮機。
【請求項3】
前記連結部は、前記第1腕部に接続されるとともに前記第1軸線と交差する第3軸線に沿って延びる第3腕部を有する請求項1または請求項2に記載の電動圧縮機。
【請求項4】
前記第1腕部は、一端が前記第2腕部に接続されるとともに他端が前記第3腕部に接続されており、
前記第2腕部は、一端が前記第1腕部に接続されるとともに他端が前記第2接続端子に接合されており、
前記第3腕部は、一端が前記接合部に接続されるとともに他端が前記第1腕部に接続されている請求項3に記載の電動圧縮機。
【請求項5】
前記接合部と前記第1腕部との間には、所定距離以上の第1間隙が形成されている請求項3に記載の電動圧縮機。
【請求項6】
前記接合部と前記第3腕部との間には、前記所定距離以上の第2間隙が形成されている請求項5に記載の電動圧縮機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動圧縮機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ハウジング内に設けられた気密室に圧縮機構部とこれを駆動する電動モータが配置された電動圧縮機が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1は、ハウジングを貫通するように電動モータに接続されるハーメチック端子を配置し、中継外部コネクタを介してハーメチック端子と制御基板の端子部とを電気的に接続することを開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6225010号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の電動圧縮機において、ハーメチック端子の一端と制御基板の端子とは、中継外部コネクタが備えるピン状の第1端子部を制御基板のスルーホールに挿入した状態ではんだにより固定されている。また、ピン状の第1端子部は、ハーメチック端子と平行に延びる直線状に形成されている。そのため、圧縮機構部の振動によりハウジングに対して制御基板が相対的に変位すると、その変位に応じた応力は、第1端子部が制御基板に固定される位置に作用する。これにより、第1端子部が制御基板に固定される位置に過大な応力がかかる可能性がある。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、圧縮部の振動もしくはエンジンやその他の振動により筐体に対して制御基板が相対的に変位しても、その変位によって電動モータと制御基板の端子部分に過大な応力がかかることを抑制可能な電動圧縮機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の電動圧縮機は、以下の手段を採用する。
本発明の一態様に係る電動圧縮機は、密閉された内部空間を形成する筐体と、前記内部空間に収容される圧縮部と、前記内部空間に収容されるとともに前記圧縮部を駆動する駆動軸を回転させる電動モータと、前記電動モータを制御する制御基板と、前記電動モータと前記制御基板とを電気的に接続する金属製の接続部と、を備え、前記電動モータは、前記筐体に設けられた開口部に取り付けられるとともに前記筐体の外部空間へ突出する軸状の複数の第1接続端子を有し、前記制御基板は、複数の第2接続端子を有し、前記接続部は、前記第1接続端子に接合されるとともに前記第1接続端子よりも幅広の接合面を有する板状の接合部と、一端が前記接合部に連結されるとともに他端が前記第2接続端子に接合される軸状の連結部と、を有し、前記連結部は、第1軸線に沿って延びる第1腕部と、前記第1腕部に接続されるとともに前記第1軸線と交差する第2軸線に沿って延びる第2腕部と、を有する。
【0007】
本発明の一態様に係る電動圧縮機によれば、圧縮部とそれを駆動する電動モータとを内部空間に密閉する筐体から、電動モータが有する複数の第1接続端子が外部空間へ突出している。電動モータを制御する制御基板が有する複数の第2接続端子は、金属製の接続部によって第1接続端子と電気的に接続されている。これにより、電動モータと制御基板とが電気的に接続された状態となり、制御基板によって電動モータが制御される。
【0008】
そして、本発明の一態様に係る電動圧縮機によれば、接続部が有する板状の接合部が、第1接続端子よりも幅広の接合面を有している。板状の接合部が第1接続端子に比べて面積および熱容量が大きいため、はんだ又は溶接等による接合部と第1接続端子の接合が容易であり、かつ十分な接合強度を得ることができる。
【0009】
また、第1腕部とそれに接続される第2腕部とが交差する方向に延びているため、軸状の連結部が屈曲した形状を有する。そのため、圧縮部の振動によって筐体に対して制御基板が相対的に変位すると、第1腕部と第2腕部とで形成する屈曲した部分が弾性変形によって伸張または収縮し、電動モータの第1接続端子と制御基板の第2接続端子に過大な応力がかかることが抑制される。
【0010】
本発明の一態様に係る電動圧縮機において、前記第1腕部は、前記第1接続端子が延びる方向と交差する方向に沿って延びるとともに前記接合部と前記制御基板に挟まれる位置に配置されるのが好ましい。
【0011】
本構成の電動圧縮機によれば、第1腕部が板状の接合部と制御基板に挟まれる位置に配置されるため、第1腕部を接合部と制御基板に挟まれない位置に配置する場合に比べ、連結部が占める領域を小さくして小型化することができる。
【0012】
本発明の一態様に係る電動圧縮機において、前記連結部は、前記第1腕部に接続されるとともに前記第1軸線と交差する第3軸線に沿って延びる第3腕部を有するのが好ましい。
第1腕部とそれに接続される第3腕部とが交差する方向に延びているため、軸状の連結部が屈曲した形状を2カ所に有する。そのため、圧縮部の振動によって筐体に対して制御基板が相対的に変位すると、第1腕部と第2腕部とで形成する屈曲した部分と第1腕部と第3腕部とで形成する屈曲した部分との双方が弾性変形によって伸張または収縮し、電動モータの第1接続端子と制御基板の第2接続端子に過大な応力がかかることが抑制される。
【0013】
本発明の一態様に係る電動圧縮機において、前記第1腕部は、一端が前記第2腕部に接続されるとともに他端が前記第3腕部に接続されており、前記第2腕部は、一端が前記第1腕部に接続されるとともに他端が前記第2接続端子に接合されており、前記第3腕部は、一端が前記接合部に接続されるとともに他端が前記第1腕部に接続されているのが好ましい。
【0014】
第1腕部に対して第2腕部と第3腕部が接続され、第2腕部がさらに制御基板の第2接続端子に接続され、第3腕部が接合部に接合されている。接合部と制御基板とが3つの腕部とそれらを接続する2カ所の屈曲した部分を有するため、2カ所の屈曲した部分の弾性変形により、電動モータの第1接続端子と制御基板の第2接続端子に過大な応力がかかることが抑制される。
【0015】
本発明の一態様に係る電動圧縮機において、記接合部と前記第1腕部との間には、所定距離以上の間隙が形成されているのが好ましい。
接合部と第1腕部との間に所定距離以上の間隙が形成される。そのため、圧縮部の振動によって第1腕部が弾性変形した場合でも、振動による接合部と第1腕部との間の距離の変動が所定距離未満であれば、接合部と第1腕部とを接触させず連結部を弾性変形させることができる。
【0016】
本発明の一態様に係る電動圧縮機において、前記接合部と前記第3腕部との間には、前記所定距離以上の間隙が形成されているのが好ましい。
接合部と第3腕部との間にも所定距離以上の間隙が形成される。そのため、圧縮部の振動によって第3腕部が弾性変形した場合でも、振動による接合部と第3腕部との間の距離の変動が所定距離未満であれば、接合部と第3腕部とを接触させず連結部を弾性変形させることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、圧縮部の振動もしくはエンジンやその他の振動により筐体に対して制御基板が相対的に変位しても、その変位によって電動モータと制御基板の端子部分に過大な応力がかかることを抑制可能な電動圧縮機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の一実施形態に係るインバータ一体型電動圧縮機を示す側面図である。
図2図1に示すインバータ一体型電動圧縮機に組み込まれるインバータ装置を示す斜視図である。
図3図2に示す接続部近傍の部分拡大図である。
図4図3に示す接続部近傍をY軸に沿ってみた図である。
図5図3に示す接続部近傍を上方からみた平面図である。
図6図3に示す接続部近傍をX軸に沿ってみた図である。
図7図3に示す接続部の部分拡大図である。
図8】接続部の第1変形例を示す図である。
図9】接続部の第2変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の一実施形態に係るインバータ一体型電動圧縮機100について、図面を参照して説明する。図1は、本実施形態に係るインバータ一体型電動圧縮機100を示す側面図である。図2は、図1に示すインバータ一体型電動圧縮機に組み込まれるインバータ装置40を示す斜視図である。
【0020】
図1に示すように、インバータ一体型電動圧縮機100は、密閉された内部空間を形成するハウジング(筐体)10と、ハウジング10の内部空間に収容される圧縮機(圧縮部)20と、ハウジング10の内部空間に収容される電動モータ30と、電動モータ30を制御する制御基板41bを有するインバータ装置40と、電動モータ30とインバータ装置40とを電気的に接続する接続部50と、を備える。
【0021】
本実施形態のインバータ一体型電動圧縮機100は、車両用空気調和機に用いられる圧縮機であって、インバータ装置40により駆動回転数が制御される電動モータ30により圧縮機20を駆動する装置である。インバータ一体型電動圧縮機100は、ガソリン等の燃料を燃焼させて動力を得るエンジンやその他の振動源を備える車両に搭載される。そのため、インバータ一体型電動圧縮機100には、圧縮機20の振動に加えて、エンジンやその他の振動源からの振動が伝達される。
【0022】
ハウジング10は、圧縮機20を収容する圧縮機ハウジング11と、電動モータ30を収容するモータハウジング12とを有する。ハウジング10は、圧縮機ハウジング11とモータハウジング12とをボルト13により結合することにより、密閉された内部空間を形成する。ハウジング10は、例えば、アルミニウム合金により形成されている。
【0023】
モータハウジング12の後方端側(図1の右方端側)には、低圧冷媒ガスを吸入する冷媒吸入ポート14が設けられている。圧縮機ハウジング11の前方端側(図1の左方端側)には、圧縮された冷媒ガスを外部に吐出する冷媒吐出ポート15が設けられている。
【0024】
モータハウジング12の外周部には、インバータ装置40を一体に組み込むためのインバータ収容部16が設けられている。インバータ収容部16は、モータハウジング12と一体に成形されているインバータボックス17と、インバータボックス17にビス等を介して一体に結合されるジャンクションボックス18とから構成されている。ジャンクションボックス18は、インバータボックス17の上面を閉鎖するカバーを兼用する。
【0025】
インバータボックス17は、平面視が略矩形状で周囲に上方に立ち上げられた立ち上げ壁を有している。インバータボックス17の上面には、ジャンクションボックス18を固定するためのフランジ面17Aが形成されている。インバータボックス17の内部側の底面は、インバータ装置40を構成するインバータモジュール41を設置する平坦面となっている。この平坦面は、モータハウジング12の外周壁によって構成されている。
【0026】
ジャンクションボックス18は、インバータ装置40を収容するためのボックス体であり、例えば、アルミニウム合金により形成されている。ジャンクションボックス18は、平面視がインバータボックス17と同じ矩形状であり、周囲壁の下面にはインバータボックス17と一体に結合するためのフランジ面18Aが形成されている。
【0027】
圧縮機20は、冷媒吸入ポート14から吸入した低圧冷媒ガスを圧縮して冷媒吐出ポート15へ吐出する装置である。圧縮機20は、例えば、電動モータ30が回転させる駆動軸に連結される旋回スクロール(図示略)と圧縮機ハウジング11に固定される固定スクロール(図示略)とを有するスクロール圧縮機である。
【0028】
電動モータ30は、インバータ装置40から供給される交流電流により交流磁場を発生させるステータ(図示略)と交流磁場から受ける磁力により回転するロータ(図示略)と、ロータと圧縮機20を連結する駆動軸(図示略)と、を備える。電動モータ30は、駆動軸を回転させることにより、圧縮機20を駆動する。
【0029】
インバータ装置40は、インバータボックス17に収容されるインバータモジュール41と、ジャンクションボックス18に収容されるノイズ除去用フィルタ回路(図示略)とを有する。インバータモジュール41は、図2に示すように、金属製ベースプレート41aと、制御基板41bとを複数のスペーサ41cを介して一体にモジュール化した装置である。金属製ベースプレート41aは、矩形状のアルミニウム合金製板材から構成され、インバータボックス17の底面であるモータハウジング12の平坦な外周壁に密着するようにビスにより固定されている。
【0030】
制御基板41bは、車両側制御装置(ECU)と通信線を介して接続され、ECUとの間で制御信号を送受信し、それに基づいて電動モータ30に印加する交流電力を制御する制御回路が実装されている矩形状の基板である。制御基板41bには、電動モータ30に三相交流電流を出力するUVW出力端子を有するインテリジェントパワーモジュール(図示略)が実装されている。制御基板41bは、複数のスペーサ41cを介して金属製ベースプレート41aと一体化されている。
【0031】
図3は、図2に示す接続部50近傍の部分拡大図である。図3に示すように、制御基板41bは、インテリジェントパワーモジュールのUVW出力端子に電気的に接続される3つの接続端子であるスルーホール(第2接続端子)41b1を有する。3つのスルーホール41b1は、それぞれ接続部50により電動モータ30が有する絶縁端子部31のモータ接続端子31aに電気的に接続される。スルーホール41b1およびモータ接続端子31aは、それぞれ図3に示すX軸と平行な軸線に沿って等間隔に配置される。
【0032】
図4は、図3に示す接続部50近傍をY軸に沿ってみた図である。図5は、図3に示す接続部50近傍を上方からみた平面図である。図4および図5に示すように、絶縁端子部31は、締結ボルト32によってモータハウジング12に設けられた開口部12Aに取り付けられる。絶縁端子部31は、モータハウジング12の内部空間ISとモータハウジング12の外部空間OSとが連通しないように開口部12Aを密封する。
【0033】
図3および図4に示すように、絶縁端子部31は、電動モータ30と接続部50とを電気的に接続するモータ接続端子(第1接続端子)31aと、締結ボルト32によりモータハウジング12に取り付けられる金属板31bと、モータ接続端子31aを取り囲むように配置される碍子31cと、を有する。
【0034】
図3および図4に示す3つのモータ接続端子31aは、電動モータ30のU端子,V端子,W端子のそれぞれと電気的に接続されている。モータ接続端子31aは、モータハウジング12の内部空間ISから外部空間OSへ突出する軸状に形成されている。モータ接続端子31aは、ガラス固化体(図示略)と一体に形成されており、ガラス固化体によって金属板31bとの絶縁が行われている。
【0035】
碍子31cは、絶縁性を有する材料を用いて略円筒状に形成された部材であって、モータ接続端子31aが内部を挿通して配置されている。碍子31cにより、接続部50と金属板31bとの絶縁距離が確保される。
【0036】
接続部50は、電動モータ30のモータ接続端子31aと制御基板41bのスルーホール41b1とを電気的に接続する金属製の部材である。接続部50は、例えば、板金の打ち抜き加工により形成される。接続部50は、3つのモータ接続端子31aのそれぞれに対応して設けられる。接続部50は、モータ接続端子31aに接合される板状の接合部51と、一端が接合部51に連結されるとともに他端がスルーホール41b1に接合される軸状の連結部52と、を有する。
【0037】
図6は、図3に示す接続部50近傍をX軸に沿ってみた図である。図6に示すように、接合部51は、モータ接続端子31aの軸線Y方向の幅W1よりも幅広の幅W2を有する。図5に示すように、接合部51のモータ接続端子31a側の面がモータ接続端子31aに接合される接合面51aとなっている。モータ接続端子31aと接合面51aとは、例えば、錫と鉛の合金であるはんだSOにより接合されている。モータ接続端子31aと接合面51aとは、例えば、アーク溶接により接合してもよい。
【0038】
連結部52は、各位置での断面形状が略同一となるように形成される軸状の部材であり、第1軸線A1に沿って延びる第1腕部52aと、第1軸線A1と直交する第2軸線A2に沿って延びる第2腕部52bと、第1軸線A1と直交する第3軸線A3に沿って延びる第3腕部52cと、を有する。第1軸線A1と第2軸線A2とが直交するため、第1軸線A1と第2軸線A2とがなす角度θ1は90°となる。また、第1軸線A1と第3軸線A3とが直交するため、第1軸線A1と第3軸線A3とがなす角度θ2は90°となる。
【0039】
なお、第1軸線A1と第2軸線A2とがなす角度θ1を90°とは異なり、かつ0°を含まない他の角度とし、第1軸線A1と第2軸線A2とが交差するようにしてもよい。同様に、第1軸線A1と第3軸線A3とがなす角度θ2を90°とは異なり、かつ0°を含まない他の角度とし、第1軸線A1と第3軸線A3とが交差するようにしてもよい。
【0040】
第1腕部52aは、一端が第2腕部52bに接続されるとともに他端が第3腕部52cに接続される軸状の部材である。図6に示すように、第1腕部52aは、モータ接続端子31aが延びる軸線Zと平行な方向と直交する方向に沿って延びている。また、第1腕部52aは、軸線Zに沿った方向において、接合部51と制御基板41bに挟まれる位置に配置されている。
【0041】
第1腕部52aが接合部51と制御基板41bに挟まれる位置に配置されているため、第1腕部52aの一部(図6中の幅W2に対応する部分)が接合部51と軸線Y方向において重複する。そのため、これらを重複させない場合に比べ、連結部52の軸線Y方向の長さを小型化することができる。
【0042】
第1腕部52aと接合部51の間には、軸線Z方向に所定距離以上の第1間隙53aが形成されている。第1間隙53aは、連結部52が振動に伴って弾性変形する場合に、その弾性変形が所望の変形量以下である場合に、第1腕部52aが接合部51に接触しないようにする隙間である。
【0043】
第2腕部52bは、一端が第1腕部52aに接続されるとともに他端がスルーホール41b1に接合される軸状の部材である。第2腕部52bの制御基板41b側の端部は、スルーホール41b1に挿入された状態で、はんだSOにより接合されている。第2腕部52bは、はんだSOによりスルーホール41b1に接合されることにより、スルーホール41b1と電気的に接続された状態となる。
【0044】
第3腕部52cは、一端が接合部51に接続されるとともに他端が第1腕部52aに接続される軸状の部材である。第3腕部52cは、軸線Z方向において制御基板41bから最も距離が離れた位置で接合部51に接続されている。そのため、軸線Z方向の制御基板41bに近い位置で接合部51に接続する場合に比べて、第3腕部52cの長さが長くなる。
【0045】
第3腕部52cと接合部51の間には、軸線Y方向に所定距離以上の第2間隙53bが形成されている。第2間隙53bは、連結部52が振動に伴って弾性変形する場合に、その弾性変形が所望の変形量以下である場合に、第3腕部52cが接合部51に接触しないようにする隙間である。
【0046】
図6に示すように、本実施形態の連結部52は、一端が接合部51に接合され、他端が制御基板41bのスルーホール41b1に接合されている。そのため、連結部52は、圧縮機20および電動モータ30の振動によりモータハウジング12に対する制御基板41bのXYZ空間上での相対位置が変化すると、接合部51に対する第2腕部52bのスルーホール41b1との接合部分の位置が変化する。
【0047】
そして、本実施形態の連結部52は、接合部51に対する第2腕部52bのスルーホール41b1との接合部分の位置の変化に追従するために、腕部が延びる方向を変化させることが可能な3か所の屈曲部を備えている。第1屈曲部B1は、第1腕部52aと第2腕部52bの接続位置に形成されている。第2屈曲部B2は、第1腕部52aと第3腕部52cの接続位置に形成されている。第3屈曲部B3は、第3腕部52cと接合部51の接続位置に形成されている。
【0048】
連結部52は、接合部51に対する第2腕部52bのスルーホール41b1との接合部分の位置が近接するように変化する場合、第1屈曲部B1の角度θ1と、第2屈曲部B2の角度θ2とを小さくし、第3屈曲部B3が第2間隙53bを広げるように第3腕部52cを変位させる。これにより、軸状に形成される連結部52が収縮した状態となる。連結部52が収縮することにより、接合部51に対するスルーホール41b1の位置の変化に追従する。よって、連結部52とモータ接続端子31aとの接合部分、および連結部52とスルーホール41b1との接合部分にかかる応力が軽減される。
【0049】
また、連結部52は、接合部51に対する第2腕部52bのスルーホール41b1との接合部分の位置が離間するように変化する場合、第1屈曲部B1の角度θ1と、第2屈曲部B2の角度θ2とを大きくし、第3屈曲部B3が第2間隙53bを狭めるように第3腕部52cを変位させる。これにより、軸状に形成される連結部52が伸張した状態となる。連結部52が伸張することにより、接合部51に対するスルーホール41b1の位置の変化に追従する。よって、連結部52とモータ接続端子31aとの接合部分、および連結部52とスルーホール41b1との接合部分にかかる応力が軽減される。
【0050】
なお、以上においては、連結部52が振動に追従して収縮および伸張することについて、図6に示すYZ平面上を参照して説明したが、XY平面およびXZ平面においても、同様である。すなわち、連結部52が振動に追従して収縮および伸張する機構を有するため、XYZ空間における任意の方向の変位に対して、連結部52とモータ接続端子31aとの接合部分、および連結部52とスルーホール41b1との接合部分にかかる応力を軽減するように変位する。
【0051】
図7は、図3に示す接続部50の部分拡大図である。図6および図7に示すように、接合部51と連結部52の第3腕部52cとが連結される位置を第1位置P1とし、第2腕部52bの先端の位置を第2位置P2とする。また、第1位置P1のXYZ空間における座標を(x1,y1,z1)とし、第2位置P2のXYZ空間における座標を(x2,y2,z2)とする。第1位置P1を基準とした第2位置P2の相対座標は、(x2−x1,y2−y1,z2−z1)となる。
【0052】
インバータ一体型電動圧縮機100に振動が発生していない状態(例えば、車両が停止し、かつエンジンおよび圧縮機20が停止している状態)では、相対座標は変化せずに一定のままとなる。一方、インバータ一体型電動圧縮機100に振動が発生する状態(例えば、車両が移動する状態、圧縮機20が動作する状態、その両方の状態、あるいはそれ以外の要因も付加された状態)では、相対座標(x2−x1,y2−y1,z2−z1)のそれぞれが振動に応じて変化する。
【0053】
インバータ一体型電動圧縮機100が搭載される車両には、圧縮機20とエンジン(図示略)を含む複数の振動源が存在する。各振動源から絶縁端子部31および制御基板41bに伝達される振動は、軸線X,軸線Y,軸線Zのそれぞれに沿った振動成分を有する。そのため、複数の振動源から絶縁端子部31および制御基板41bに伝達される振動は、これら複数の振動源の軸線X,軸線Y,軸線Zに沿った振動成分を合成したものとなる。
【0054】
このような複数方向の振動成分を有する振動に対して、軸状に形成される連結部52を収縮または伸張させることにより、連結部52とモータ接続端子31aとの接合部分、および連結部52とスルーホール41b1との接合部分にかかる応力を軽減することができる。連結部52の収縮または伸張による応力軽減は、特に軸線Yおよび軸線Zに沿った振動成分に対して有効である。
【0055】
また、第2腕部52bを第1屈曲部B1を中心に第1軸線A1回りに回転させるように変形させ、第3腕部52cを第2屈曲部B2を中心に第1軸線A1回りに回転させるように変形させることで、第1軸線A1に対する第2腕部52bおよび第3腕部52cの回転角度を変化させることができる。この回転角度の変化により、第2腕部52bおよび第3腕部52cが振動に応じて捻じれた状態となり、連結部52とモータ接続端子31aとの接合部分、および連結部52とスルーホール41b1との接合部分にかかる応力を軽減することができる。第2腕部52bおよび第3腕部52cの捻じれによる応力軽減は、特に軸線Xに沿った振動成分に対して有効である。
【0056】
このように、本実施形態の接続部50によれば、複数方向の振動成分を有する振動に対して連結部52を適宜に変形させることにより、連結部52とモータ接続端子31aとの接合部分、および連結部52とスルーホール41b1との接合部分にかかる応力を軽減することができる。
【0057】
図6に示す接続部50において、第3腕部52cは、軸線Z方向において、制御基板41bから最も距離が離れた位置で接合部51に接続されているものであったが、他の態様であってもよい。図8の第1変形例に示すように、例えば、第3腕部52cは、軸線Z方向において、制御基板41bから最も距離が離れた位置と最も距離が近接した位置の中間位置で接合部51に接続されていてもよい。この場合、図6に示す例よりも第3腕部52cの長さが短くなるため、接続部50の電気抵抗が小さくなる点で有利である。
【0058】
また、その他の態様として、図9の第2変形例に示すように、例えば、図6に示す第3腕部52cを設けずに第1腕部52aと接合部51とを接合するようにしてもよい。この場合、図8に示す第1変形例に比べ、接続部50の電気抵抗が更に小さくなる点で有利である。
【0059】
以上説明した本実施形態の作用および効果について説明する。
本実施形態のインバータ一体型電動圧縮機100によれば、圧縮機20とそれを駆動する電動モータ30とを内部空間に密閉するハウジング10から、電動モータ30が有する複数のモータ接続端子31aが外部空間OSへ突出している。電動モータ30を制御する制御基板41bが有する複数のスルーホール41b1は、金属製の接続部50によってモータ接続端子31aと電気的に接続されている。これにより、電動モータ30と制御基板41bとが電気的に接続された状態となり、制御基板41bによって電動モータ30が制御される。
【0060】
そして、本実施形態のインバータ一体型電動圧縮機100によれば、接続部50が有する板状の接合部51が、モータ接続端子31aよりも幅広の接合面51aを有している。板状の接合部51がモータ接続端子31aに比べて面積および熱容量が大きいため、はんだ又は溶接等による接合部51とモータ接続端子31aの接合が容易であり、かつ十分な接合強度を得ることができる。
【0061】
また、第1腕部52aとそれに接続される第2腕部52bとが直交または交差する方向に延びているため、軸状の連結部52が屈曲した形状を有する。そのため、圧縮機20の振動によってハウジング10に対して制御基板41bが相対的に変位すると、第1腕部52aと第2腕部52bとで形成する第1屈曲部B1が弾性変形によって伸張または収縮し、電動モータ30のモータ接続端子31aと制御基板41bのスルーホール41b1に過大な応力がかかることが抑制される。
【0062】
また、本実施形態のインバータ一体型電動圧縮機100によれば、第1腕部52aが板状の接合部51と制御基板41bに挟まれる位置に配置されるため、第1腕部52aを接合部51と制御基板41bに挟まれない位置に配置する場合に比べ、連結部52が占める領域を小さくして小型化することができる。
【0063】
また、本実施形態のインバータ一体型電動圧縮機100によれば、第1腕部52aとそれに接続される第3腕部52cとが交差する方向に延びているため、軸状の連結部52が屈曲した形状を2カ所に有する。そのため、圧縮機20の振動によってハウジング10に対して制御基板41bが相対的に変位すると、第1腕部52aと第2腕部52bとで形成する第1屈曲部B1と第1腕部52aと第3腕部52cとで形成する第2屈曲部B2との双方が弾性変形によって伸張または収縮し、電動モータ30のモータ接続端子31aと制御基板41bのスルーホール41b1に過大な応力がかかることが抑制される。
【0064】
また、本実施形態のインバータ一体型電動圧縮機100によれば、接合部51と第1腕部52aとの間に所定距離以上の第1間隙53aが形成される。そのため、圧縮機20の振動によって第1腕部52aが弾性変形した場合でも、振動による接合部51と第1腕部52aとの間の距離の変動が所定距離未満であれば、接合部51と第1腕部52aとを接触させず連結部52を弾性変形させることができる。
【0065】
また、本実施形態のインバータ一体型電動圧縮機100によれば、接合部51と第3腕部52cとの間に所定距離以上の第2間隙53bが形成される。そのため、圧縮機20の振動によって第1腕部52aが弾性変形した場合でも、振動による接合部51と第1腕部52aとの間の距離の変動が所定距離未満であれば、接合部51と第1腕部52aとを接触させず連結部52を弾性変形させることができる。
【符号の説明】
【0066】
10 ハウジング(筐体)
11 圧縮機ハウジング
12 モータハウジング
12A 開口部
20 圧縮機(圧縮部)
30 電動モータ
31a モータ接続端子(第1接続端子)
40 インバータ装置
41b 制御基板
41b1 スルーホール(第2接続端子)
50 接続部
51 接合部
51a 接合面
52 連結部
52a 第1腕部
52b 第2腕部
52c 第3腕部
53a 第1間隙
53b 第2間隙
100 インバータ一体型電動圧縮機
A1 第1軸線
A2 第2軸線
A3 第3軸線
B1 第1屈曲部
B2 第2屈曲部
B3 第3屈曲部
IS 内部空間
OS 外部空間
SO はんだ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9