特開2020-190233(P2020-190233A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 三菱ふそうトラック・バス株式会社の特許一覧
<>
  • 特開2020190233-ブラケット 図000003
  • 特開2020190233-ブラケット 図000004
  • 特開2020190233-ブラケット 図000005
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-190233(P2020-190233A)
(43)【公開日】2020年11月26日
(54)【発明の名称】ブラケット
(51)【国際特許分類】
   F01N 3/08 20060101AFI20201030BHJP
【FI】
   F01N3/08 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2019-96347(P2019-96347)
(22)【出願日】2019年5月22日
(71)【出願人】
【識別番号】303002158
【氏名又は名称】三菱ふそうトラック・バス株式会社
(72)【発明者】
【氏名】大賀 英明
(72)【発明者】
【氏名】河本 正一
【テーマコード(参考)】
3G091
【Fターム(参考)】
3G091AA02
3G091AA18
3G091AB02
3G091AB05
3G091AB13
3G091BA04
3G091BA14
3G091CA17
3G091HA08
3G091HA09
3G091HA10
3G091HA12
3G091HA15
3G091HA16
(57)【要約】
【課題】インシュレータの固定を強化しつつ、インジェクタの高温化を抑制する。
【解決手段】排気管に固定される複数のボス部43と冷媒が流れる冷却通路46とを有するインジェクタ4にインシュレータ5を取り付けるためのブラケット1は、第一固定部1aと第二固定部1bと接続部1cとを備えている。第一固定部1aは、複数のボス部43のうちの一つである第一ボス部43Aに固定される。一方、第二固定部1bは、複数のボス部43のうち、第一ボス部43Aよりも冷却通路46から離隔して位置する第二ボス部43Bに固定される。接続部1cは、第一固定部1a及び第二固定部1bに跨って設けられ、インシュレータ5に固定される。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
排気管に固定される複数のボス部と冷媒が流れる冷却通路とを有するインジェクタにインシュレータを取り付けるためのブラケットであって、
前記複数のボス部のうちの一つである第一ボス部に固定される第一固定部と、
前記複数のボス部のうち、前記第一ボス部よりも前記冷却通路から離隔して位置する第二ボス部に固定される第二固定部と、
前記第一固定部および前記第二固定部に跨って設けられ、前記インシュレータに固定される接続部と、
を備えたことを特徴とするブラケット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、排気管に固定されるインジェクタにインシュレータを取り付けるためのブラケットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、エンジンの排気を浄化する後処理装置として、排気管内に添加剤を噴射するインジェクタを備えたものが知られている。例えば、インジェクタにより排気管内に尿素水を噴射し、この尿素水の熱分解によって生成されるアンモニア(NH3)を利用して、排気中の窒素酸化物(NOx)を窒素(N2)に還元するものが普及している。
【0003】
前述のような後処理装置には、インジェクタを排気の熱から保護するための工夫が施される。例えば、インジェクタ用のガスケットに断熱材(インシュレータ)を挟み込むとともに、この断熱材の外周に断熱空間を確保することが提案されている(特許文献1参照)。また、調量モジュール(インジェクタ)の内部に冷却液(冷媒)を流入させることで、調量モジュールをアクティブに冷却することも提案されている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016−217337号公報
【特許文献2】特表2015−511682号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
インジェクタを排気の熱から保護するためには、排気管とインジェクタとの間にインシュレータを配置する構成と、インジェクタ内に冷媒を流通させる構成とを組み合わせることが有効である。この場合、インシュレータをインジェクタに取り付けるための部材に、インジェクタの高温化を抑制する機能も含ませることが望ましい。
【0006】
本開示のブラケットは、前述したような課題に鑑み創案されたものであり、インシュレータの固定を強化しつつ、インジェクタの高温化を抑制することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
ここで開示するブラケットは、排気管に固定される複数のボス部と冷媒が流れる冷却通路とを有するインジェクタにインシュレータを取り付けるためのものであって、前記複数のボス部のうちの一つである第一ボス部に固定される第一固定部と、前記複数のボス部のうち、前記第一ボス部よりも前記冷却通路から離隔して位置する第二ボス部に固定される第二固定部と、前記第一固定部および前記第二固定部に跨って設けられ、前記インシュレータに固定される接続部と、を備えている。
【0008】
このように、ブラケットは、第一固定部および第二固定部のそれぞれがインジェクタのボス部に固定されるとともに、接続部がインシュレータに固定されるため、インジェクタとインシュレータとを互いに連結する機能をもつ。よって、インシュレータの固定が強化される。また、インジェクタの第二ボス部は、第一ボス部と比べて冷媒で冷却されにくいものの、第二ボス部の熱はブラケットの第二固定部から接続部を通じて第一固定部へと移動するため、第二ボス部の放熱性が高められる。よって、インジェクタの高温化が抑制される。
【発明の効果】
【0009】
本開示のブラケットによれば、インシュレータの固定を強化しつつ、インジェクタの高温化を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施形態としてのブラケットが適用された後処理装置の模式図である。
図2図1の後処理装置の要部の斜視図である。
図3図1の後処理装置の要部を排気管側(図2の裏側)から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図面を参照して、実施形態としてのブラケットについて説明する。以下に示す実施形態はあくまでも例示に過ぎず、以下の実施形態で明示しない種々の変形や技術の適用を排除する意図はない。本実施形態の各構成は、それらの趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。また、必要に応じて取捨選択することができ、あるいは適宜組み合わせることができる。
【0012】
[1.構成]
本実施形態のブラケット1は、図1に示す後処理装置2に適用されている。後処理装置2は、例えば車両に搭載されたエンジンの排気を浄化するものである。本実施形態では、ディーゼルエンジンの排気を浄化する後処理装置2を例示する。後処理装置2には、排気の通路をなす排気管3と、排気管3内に添加剤(例えば尿素水)を噴射するインジェクタ4とが設けられている。
【0013】
ここで、排気管3における排気の流れ方向を基準として上流および下流を定め、後処理装置2の構成の配置について説明する。排気管3内には、上流側から順に、前段酸化触媒11,DPF(Diesel Particulate Filter)12,SCR(Selective Catalytic Reduction)13及び後段酸化触媒14が配置されている。インジェクタ4は、排気管3のうち、DPF12よりも下流であってSCR13よりも上流に設けられた固定部3aに固定される。インジェクタ4と固定部3aとの間には、固定部3aからインジェクタ4への熱の移動を遮断するためのインシュレータ5が配置される。
【0014】
図2に示すように、インジェクタ4は、添加剤が流通する添加部41と、電力が供給されるコネクタ部42と、排気管3の固定部3aに固定される複数のボス部43とを有する。また、インジェクタ4は、冷媒の入口となる入口部44と、冷媒の出口となる出口部45と、入口部44及び出口部45を連通するようにインジェクタ4の内部に形成された冷却通路46とを有する。なお、図2には、冷却通路46を太い二点鎖線で概略的に示す。
【0015】
添加部41には、排気管3内に配置される噴射孔41a(図3参照)と、添加剤が供給される供給孔41bとが、同一の軸心C上に形成される。コネクタ部42には、図示しないハーネスが接続され、インジェクタ4を作動させるための電力がこのハーネスを通じて供給される。
【0016】
各ボス部43は、噴射孔41a及び供給孔41bの軸心Cと平行に延びる略円筒状に形成される。本実施形態では、三つのボス部43が添加部41のまわりに分散して配置されている場合を例示する。インジェクタ4は、ボルト7(図2には一つのみ示す)が各ボス部43に挿通されて固定部3aに締結されることにより、排気管3に固定される。
【0017】
入口部44及び出口部45はいずれも、略円筒状に形成される。入口部44及び出口部45のそれぞれには、図示しない管部材(チューブやパイプ等)が接続される。入口部44には、この管部材を通じて冷媒(例えばエンジン冷却水)が供給される。この冷媒は、
出口部45へ向かって冷却通路46を流れた後、出口部45に接続された管部材に排出される。冷媒は、冷却通路46を流れる過程でインジェクタ4を冷却する。したがって、冷却通路46における冷媒の流れ方向を基準にして上流および下流を定めると、冷媒の温度は、冷却通路46の下流側へいくほど上昇する。
【0018】
以下、三つのボス部43のうち、入口部44に最も近いボス部43Aを上流ボス部(第一ボス部)43Aともいい、出口部45に最も近いボス部43Cを下流ボス部43Cともいい、残りのボス部43Bを中流ボス部(第二ボス部)43Bともいう。中流ボス部43Bは、上流ボス部43Aと比べて冷却通路46から離隔して位置する。したがって、中流ボス部43Bは、上流ボス部43Aと比べて冷媒による冷却作用が得られにくくなっている。
【0019】
なお、上流ボス部43Aと下流ボス部43Cとは、冷却通路46までのそれぞれの最短距離が略等しくされている。ただし、上流ボス部43Aは、下流ボス部43Cよりも入口部44に近い(冷却通路46の上流側に近接して位置する)ことから、下流ボス部43Cと比べてより冷たい冷媒で冷却される。よって、上流ボス部43Aは、下流ボス部43Cよりも冷媒で冷却されやすくなっている。
【0020】
図2及び図3に示すように、本実施形態のインシュレータ5は、略有底円筒状(お椀状)に形成されている。インシュレータ5は、具体的には、略円板状の底部5aと、底部5aの周縁から延出した略円筒状の周壁部5bとを有する。
【0021】
図3に示すように、底部5aには、インジェクタ4の噴射孔41a,上流ボス部43A及び下流ボス部43Cが配置される中央孔5cと、中流ボス部43Bが配置される端孔5dとが貫設されている。インシュレータ5は、底部5aがインジェクタ4と排気管3の固定部3aとに挟持され、かつ周壁部5bがインジェクタ4を囲む姿勢となるように配置されたうえで、インジェクタ4と共に排気管3の固定部3aに締結(共締め)される。なお、インシュレータ5の底部5aと排気管3の固定部3aとの間には、緩衝材としてのメッシュ6が配置される。
【0022】
ブラケット1は、インシュレータ5をインジェクタ4に取り付けるための部材である。ただし、ブラケット1は、インシュレータ5をインジェクタ4に固定する機能だけでなく、熱伝導によりインジェクタ4の高温化を抑制する機能も併せもつ。ブラケット1は、好ましくは、熱伝導率が高い材料(例えばアルミ材やステンレス材)で形成される。
【0023】
図2及び図3に示すように、ブラケット1は、上流ボス部43Aに固定される第一固定部1aと、中流ボス部43Bに固定される第二固定部1bと、第一固定部1a及び第二固定部1bに跨って設けられた接続部1cとを備えている。本実施形態のブラケット1は、その全体形状が略C字状であるとともに、略直角に折り曲げられている。また、ブラケット1の各部1a,1b,1cは、薄い板状である。ブラケット1は、外気に触れるように設けられる。
【0024】
第一固定部1aと第二固定部1bとのそれぞれには、ボルト7が挿通される貫通孔1hが形成されている。ブラケット1は、ボルト7により、インジェクタ4及びインシュレータ5と共に排気管3の固定部3aに締結(共締め)される。
【0025】
接続部1cは、他のボルト8により、インシュレータ5に固定される。本実施形態の接続部1cは、インシュレータ5の周壁部5bに内側から重なるように配置されたうえで、ボルト8が周壁部5bに溶接されたナット9と締結されることにより、インシュレータ5に固定されている。
【0026】
[2.作用,効果]
ブラケット1は、第一固定部1a及び第二固定部1bがインジェクタ4の上流ボス部43A及び中流ボス部43Bにそれぞれ固定されるとともに、接続部1cがインシュレータ5に固定されるため、インジェクタ4とインシュレータ5とを互いに連結する機能をもつ。したがって、ブラケット1によれば、インシュレータ5の固定を強化できる。特に、本実施形態では、インシュレータ5がボルト7によりインジェクタ4と共締めされたうえで、ブラケット1によりインジェクタ4と連結されている。このため、インシュレータ5のぐらつきをより確実に防止できる。
【0027】
また、インジェクタ4は冷却通路46を流れる冷媒で冷却されるが、中流ボス部43Bは、上流ボス部43Aと比べて冷却通路46から離隔して位置するため冷媒による冷却作用が得られにくい。これに対し、ブラケット1によれば、中流ボス部43Bの熱を、第二固定部1bから接続部1cを通じて第一固定部1aへと移動(熱伝導)させることで、中流ボス部43Bの放熱性を高めることができる。よって、インジェクタ4の高温化を抑制できる。
【0028】
また、本実施形態のブラケット1は、外気に触れるように設けられているため、中流ボス部43Bから奪った熱を外気に放出しやすくなっている。このため、インジェクタ4の高温化をより抑制できる。
【0029】
また、本実施形態の第一固定部1aは、三つのボス部43のうち、入口部44に最も近い上流ボス部43Aに固定されているため、より冷たい冷媒による冷却作用を得ることができる。これにより、第二固定部1bから第一固定部1aへの熱伝導が促進されるため、インジェクタ4の高温化をより抑制できる。
【0030】
[3.変形例]
前述したブラケット1の構成は一例である。第一固定部1aは、上流ボス部43Aに代えて下流ボス部43Cに固定されてもよい。あるいは、ブラケット1が、前述の第一固定部1a及び第二固定部1bに加えて、下流ボス部43Cに固定される第三固定部を更に備えていてもよい。なお、インジェクタ4に対する第一固定部1a及び第二固定部1bの各固定方法は、前述のボルト7を用いる方法に限定されない。同様に、インシュレータ5に対する接続部1cの固定方法は、前述のボルト8及びナット9を用いる方法に限定されない。
【0031】
前述したインジェクタ4の構成も一例である。ボス部43の個数は二つ以上であればよい。ボス部43の個数が二つである場合であっても、前述のブラケット1によれば、冷却通路46から比較的遠いボス部に固定された第二固定部から冷却通路46に比較的近いボス部に固定された第一固定部への熱伝導により、インジェクタ4の高温化を抑制できる。
【0032】
前述したインシュレータ5や後処理装置2の各構成も一例である。なお、ブラケット1は、後処理装置2以外の装置に設けられたインジェクタにインシュレータを取り付けるために適用されてもよい。
【符号の説明】
【0033】
1 ブラケット
1a 第一固定部
1b 第二固定部
1c 接続部
3 排気管
4 インジェクタ
5 インシュレータ
43 ボス部
43A 上流ボス部(第一ボス部)
43B 中流ボス部(第二ボス部)
図1
図2
図3