特開2020-190318(P2020-190318A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-190318(P2020-190318A)
(43)【公開日】2020年11月26日
(54)【発明の名称】ダブルねじ
(51)【国際特許分類】
   F16B 35/00 20060101AFI20201030BHJP
   F16J 15/06 20060101ALI20201030BHJP
   F16B 37/14 20060101ALI20201030BHJP
   F16B 35/06 20060101ALI20201030BHJP
   F16B 37/00 20060101ALI20201030BHJP
【FI】
   F16B35/00 Y
   F16J15/06 M
   F16B37/14 C
   F16B35/00 H
   F16B35/06 Z
   F16B37/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2019-97016(P2019-97016)
(22)【出願日】2019年5月23日
(71)【出願人】
【識別番号】396004419
【氏名又は名称】有限会社拓洋
(74)【代理人】
【識別番号】100072718
【弁理士】
【氏名又は名称】古谷 史旺
(74)【代理人】
【識別番号】100097319
【弁理士】
【氏名又は名称】狩野 彰
(74)【代理人】
【識別番号】100151002
【弁理士】
【氏名又は名称】大橋 剛之
(74)【代理人】
【識別番号】100201673
【弁理士】
【氏名又は名称】河田 良夫
(72)【発明者】
【氏名】堀田 誠
(72)【発明者】
【氏名】藤川 大空
【テーマコード(参考)】
3J040
【Fターム(参考)】
3J040BA04
3J040EA16
3J040HA23
(57)【要約】
【課題】ねじ止め部分からの水の浸入を防ぎつつ、取付けを容易にすることができるダブルねじを提供する。
【解決手段】第1ねじ部材と第2ねじ部材とが締結可能にされたダブルねじであって、第1ねじ部材は、他のおねじの頭部よりも小さな径の貫通孔と、貫通孔に軸を貫通させられた他のおねじの頭部を収容する収容部と、収容部の貫通孔に対向する側を開口させる開口部とを有し、第2ねじ部材は、貫通孔に軸を貫通させられた他のおねじの頭部を収容部が収容した後に開口部を塞ぐように、第1ねじ部材に対して締結される締結部と、締結部が第1ねじ部材に締結されたときに、他のおねじの軸とは逆方向に延びるように設けられたおねじ部とを有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1ねじ部材と第2ねじ部材とが締結可能にされたダブルねじであって、
前記第1ねじ部材は、
他のおねじの頭部よりも小さな径の貫通孔と、
前記貫通孔に軸を貫通させられた前記他のおねじの頭部を収容する収容部と、
前記収容部の前記貫通孔に対向する側を開口させる開口部と
を有し、
前記第2ねじ部材は、
前記貫通孔に軸を貫通させられた前記他のおねじの頭部を前記収容部が収容した後に前記開口部を塞ぐように、前記第1ねじ部材に対して締結される締結部と、
前記締結部が前記第1ねじ部材に締結されたときに、前記他のおねじの軸とは逆方向に延びるように設けられたおねじ部と
を有することを特徴とするダブルねじ。
【請求項2】
前記おねじ部は、
前記締結部と一体に形成されていること
を特徴とする請求項1に記載のダブルねじ。
【請求項3】
前記おねじ部は、
前記締結部に形成されためねじ部に対して締結される止めねじ又は長ねじであること
を特徴とする請求項1に記載のダブルねじ。
【請求項4】
前記締結部は、
前記収容部を外側から覆うように締結されること
を特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のダブルねじ。
【請求項5】
前記締結部は、
前記収容部の内側に締結されること
を特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のダブルねじ。
【請求項6】
前記第2ねじ部材は、
前記第1ねじ部材に対して締結されたときに、水の浸入を防ぐシール部材を挟み込む隙間を形成すること
を特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のダブルねじ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ダブルねじに関する。
【背景技術】
【0002】
屋外に設置するものをねじ止めするときに、ねじ止め部分からの水の浸入を防ぐことが必要になる場合がある。例えば、防水処理を施された建築物の壁面材に対し、後から看板などをねじ止めする場合、ねじの締結時に防水ゴム・パッキンなどを使用して、ねじ止め部分からの水の浸入を防ぐことが知られている。
【0003】
また、屋外設置の通信装置などに用いられる筐体本体と蓋部とをパッキンを介し締め付ける防水部用の特殊ねじは公知である(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−303831号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、ねじ止めに防水ゴム・パッキンなどを用いる場合、ねじを締結するごとに防水ゴム・パッキンなどを使用しなければならず、作業に手間がかかるという問題があった。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、ねじ止め部分からの水の浸入を防ぎつつ、取付けを容易にすることができるダブルねじを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の一態様にかかるダブルねじは、第1ねじ部材と第2ねじ部材とが締結可能にされたダブルねじであって、前記第1ねじ部材は、他のおねじの頭部よりも小さな径の貫通孔と、前記貫通孔に軸を貫通させられた前記他のおねじの頭部を収容する収容部と、前記収容部の前記貫通孔に対向する側を開口させる開口部とを有し、前記第2ねじ部材は、前記貫通孔に軸を貫通させられた前記他のおねじの頭部を前記収容部が収容した後に前記開口部を塞ぐように、前記第1ねじ部材に対して締結される締結部と、前記締結部が前記第1ねじ部材に締結されたときに、前記他のおねじの軸とは逆方向に延びるように設けられたおねじ部とを有することを特徴とする。
【0008】
また、本発明の一態様にかかるダブルねじは、前記おねじ部が、前記締結部と一体に形成されていることを特徴とする。
【0009】
また、本発明の一態様にかかるダブルねじは、前記おねじ部が、前記締結部に形成されためねじ部に対して締結される止めねじ又は長ねじであることを特徴とする。
【0010】
また、本発明の一態様にかかるダブルねじは、前記締結部が、前記収容部を外側から覆うように締結されることを特徴とする。
【0011】
また、本発明の一態様にかかるダブルねじは、前記締結部が、前記収容部の内側に締結されることを特徴とする。
【0012】
また、本発明の一態様にかかるダブルねじは、前記第2ねじ部材が、前記第1ねじ部材に対して締結されたときに、水の浸入を防ぐシール部材を挟み込む隙間を形成することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、ねじ止め部分からの水の浸入を防ぎつつ、取付けを容易にすることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】(a)は、一実施形態にかかるダブルねじを上方から見た図である。(b)は、締結したダブルねじ及びその周辺を側方から見た断面図である。(c)は、締結前のダブルねじを側方から見た断面図である。
図2】一実施形態にかかるダブルねじによって建造物の外壁に看板を取り付けた状態を上方からみた断面図である。
図3】(a)は、ダブルねじの第1変形例を上方から見た図である。(b)は、締結したダブルねじの第1変形例及びその周辺を側方から見た断面図である。(c)は、締結前のダブルねじの第1変形例を側方から見た断面図である。
図4】(a)は、ダブルねじの第2変形例を上方から見た図である。(b)は、締結したダブルねじの第2変形例及びその周辺を側方から見た断面図である。(c)は、締結前のダブルねじの第2変形例を側方から見た断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、一実施形態にかかるダブルねじを、図面を用いて説明する。図1は、一実施形態にかかるダブルねじを例示する図である。図1(a)は、ダブルねじを上方から見た図(平面図)である。図1(b)は、締結したダブルねじ及びその周辺を側方から見た断面図である。図1(c)は、締結前のダブルねじを側方から見た断面図である。
【0016】
図1の各図に示すように、一実施形態にかかるダブルねじは、締結可能にされた第1ねじ部材1及び第2ねじ部材2を有し、例えばおねじ3とともに用いられる。おねじ3は、ねじ山が刻まれた軸30と頭部32を有する。おねじ3は、例えばタッピンねじであり、めねじ加工をされていない相手材の下穴に対し、自身のねじ山でめねじ山を塑性形成させながらねじ込み締結する部材であるが、これに限定されない。
【0017】
第1ねじ部材1は、おねじ3の頭部32よりも小さな径の貫通孔10と、貫通孔10に軸30を貫通させられたおねじ3の頭部32を収容する収容部12と、収容部12の貫通孔10に対向する側を開口させる開口部14とを有する。第1ねじ部材1は、例えばステンレスなどによって形成される。
【0018】
また、収容部12は、外形が円柱状にされており、外側にねじ山16が刻まれて、貫通孔10と開口部14とが対向するように設けられたおねじとしての機能を備えている。
【0019】
第2ねじ部材2は、貫通孔10に軸30を貫通させられたおねじ3の頭部32を収容部12が収容した後に開口部14を塞ぐように、第1ねじ部材1に対して締結される締結部20と、締結部20が第1ねじ部材1に締結されたときに、おねじ3の軸30とは逆方向に延びるように設けられたおねじ部22とを有する。第2ねじ部材2は、例えばステンレスなどによって形成される。
【0020】
締結部20は、おねじ部22と一体に形成されている。また、締結部20は、おねじ部22とは逆側を開口させる開口部24を有し、内側にねじ山26が刻まれて、第1ねじ部材1に対するめねじとしての機能を備えている。
【0021】
つまり、第2ねじ部材2は、おねじ3の頭部32を収容している収容部12を外側から締結部20が覆うように、第1ねじ部材1に対して締結される。
【0022】
次に、一実施形態にかかるダブルねじの具体的な使用例について説明する。図2は、一実施形態にかかるダブルねじによって建造物の外壁に看板を取り付けた状態を上方からみた断面図である。
【0023】
図2に示すように、例えば建造物の外壁が2枚のボード100,102と、金属製の角波合板104とを重ね合せて構成されている場合に、屋外側に看板4を取り付けるために、第1ねじ部材1及び第2ねじ部材2は、おねじ3とともに用いられる。
【0024】
ボード100,102及び角波合板104は、例えば複数のタッピンねじ106によって予め締結されている。また、タッピンねじ106それぞれは、例えばワッシャー108及び防水パッキン110を用いてねじ止め部分からの水の浸入を防止されている。
【0025】
例えば、予め締結されているボード100,102及び角波合板104からなる外壁に対して看板4を取り付ける場合、まず、作業者は、第1ねじ部材1の貫通孔10におねじ3の軸30を貫通させたまま、ボード100,102及び角波合板104に対しておねじ3をねじ込む。
【0026】
次に、作業者は、ボード100,102及び角波合板104に対してねじ込まれたおねじ3の頭部32を収容部12に収容する第1ねじ部材1に対し、第2ねじ部材2を締結させる。
【0027】
そして、作業者は、第1ねじ部材1に締結された第2ねじ部材2のおねじ部22を、例えば看板4のバカ穴を貫通させて、めねじの機能を備えたキャップ5(又はナット)によって締結する。キャップ5は、例えば意匠性を考慮した任意の材質で形成されてもよい。
【0028】
このように、第1ねじ部材1及び第2ねじ部材2は、おねじ3の頭部32を収容部12内に収容して封じ込め、頭部32の座面が第1ねじ部材1に接触した状態で締結されるので、防水ゴム・パッキンなどを用いなくても、ねじ止め部分からの水の浸入を防ぎつつ、看板4の取付けを容易にすることができる。
【0029】
なお、看板4の重量が例えば20〜100kgのように所定値以上の重量である場合には、おねじ3のねじ先側に荷重受け6が取り付けられてもよい。
【0030】
次に、一実施形態にかかるダブルねじの第1変形例について説明する。図3は、一実施形態にかかるダブルねじの第1変形例を示す図である。図3(a)は、ダブルねじの第1変形例を上方から見た図(平面図)である。図3(b)は、締結したダブルねじの第1変形例及びその周辺を側方から見た断面図である。図3(c)は、締結前のダブルねじの第1変形例を側方から見た断面図である。
【0031】
図3の各図に示すように、一実施形態にかかるダブルねじの第1変形例は、締結可能にされた第1ねじ部材1及び第2ねじ部材2aを有し、例えばおねじ3とともに用いられる。以下、図1に示したダブルねじの構成と実質的に同一の構成には同一の符号が付してある。
【0032】
第2ねじ部材2aは、貫通孔10に軸30を貫通させられたおねじ3の頭部32を収容部12が収容した後に開口部14を塞ぐように、第1ねじ部材1に対して締結される締結部20aと、締結部20aが第1ねじ部材1に締結されたときに、おねじ3の軸30とは逆方向に延びるように設けられたおねじ部22とを有する。第2ねじ部材2aは、例えばステンレスなどによって形成される。
【0033】
締結部20aは、おねじ部22と一体に形成されている。また、締結部20aは、おねじ部22とは逆側を開口させる開口部24を有し、内側にねじ山26が刻まれて、第1ねじ部材1に対するめねじとしての機能を備えている。
【0034】
つまり、第2ねじ部材2aは、おねじ3の頭部32を収容している収容部12を外側から締結部20aが覆うように、第1ねじ部材1に対して締結される。ただし、締結部20aは、図1に示した締結部20よりも高さが低くされている。つまり、第2ねじ部材2aが第1ねじ部材1に対して締結されたときに、隙間dが形成される。
【0035】
隙間dは、例えば第2ねじ部材2aが第1ねじ部材1に対して締結されたときに、水の浸入を防ぐシール部材7などが挟み込まれるように設けられている。シール部材7は、例えばブチルゴムなどによって形成され、第1ねじ部材1及び第2ねじ部材2aによる防水機能をより高めるために用いられてもよい。
【0036】
次に、一実施形態にかかるダブルねじの第2変形例について説明する。図4は、一実施形態にかかるダブルねじの第2変形例を示す図である。図4(a)は、ダブルねじの第2変形例を上方から見た図(平面図)である。図4(b)は、締結したダブルねじの第2変形例及びその周辺を側方から見た断面図である。図4(c)は、締結前のダブルねじの第2変形例を側方から見た断面図である。
【0037】
図4の各図に示すように、一実施形態にかかるダブルねじの第2変形例は、締結可能にされた第1ねじ部材1b及び第2ねじ部材2bを有し、例えばおねじ3とともに用いられる。
【0038】
第1ねじ部材1bは、おねじ3の頭部32よりも小さな径の貫通孔10bと、貫通孔10bに軸30を貫通させられたおねじ3の頭部32を収容する収容部12bと、収容部12bの貫通孔10bに対向する側を開口させる開口部14bとを有する。第1ねじ部材1bは、例えばステンレスなどによって形成される。
【0039】
また、収容部12bは、円筒状部分の内側にねじ山120bが刻まれて、貫通孔10bと開口部14bとが対向するように設けられためねじとしての機能を備えている。
【0040】
第2ねじ部材2bは、例えば独立した締結部20b及びおねじ部22bが締結されることによって構成される。締結部20bは、例えばステンレスなどによって形成される。おねじ部22bは、意匠性などを考慮して、例えば真鍮などの締結部20bとは異なる材料によって形成されてもよい。
【0041】
締結部20bは、外形が円柱状にされており、外側にねじ山200bが刻まれて、おねじとしての機能を備えている。また、締結部20bは、中央部分を貫通するめねじ部202bが形成されており、おねじ部22bに対するめねじとしての機能も備えている。
【0042】
おねじ部22bは、締結部20bに形成されためねじ部202bに対して締結される止めねじ又は長ねじなどである。
【0043】
そして、おねじ部22bが締結された締結部20bは、貫通孔10bに軸30を貫通させられたおねじ3の頭部32を収容部12bが収容した後に開口部14bを塞ぐように、第1ねじ部材1bの収容部12bの内側に締結される。
【0044】
なお、上述したダブルねじ、ダブルねじの第1変形例、及びダブルねじの第2変形例は、それぞれの特徴が任意に組み合わされてもよい。例えば、ダブルねじの第1変形例において、第2ねじ部材2aが一体に形成されておらず、締結部と止めねじによって構成されていてもよい。また、ダブルねじの第2変形例において、締結部20b及びおねじ部22bが一体に形成されていてもよいし、第1ねじ部材1bと第2ねじ部材2bのおねじとめねじの機能が逆であってもよい。
【符号の説明】
【0045】
1,1b・・・第1ねじ部材、2,2a,2b・・・第2ねじ部材、3・・・おねじ、4・・・看板、5・・・キャップ(又はナット)、6・・・荷重受け、7・・・シール部材、10,10b・・・貫通孔、12,12b・・・収容部、14,14b・・・開口部、16・・・ねじ山、20,20a,20b・・・締結部、22,22b・・・おねじ部、24・・・開口部、26・・・ねじ山、30・・・軸、32・・・頭部、120b・・・ねじ山、200b・・・ねじ山、202b・・・めねじ部
図1
図2
図3
図4