特開2020-190504(P2020-190504A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-190504(P2020-190504A)
(43)【公開日】2020年11月26日
(54)【発明の名称】車両用装飾部品
(51)【国際特許分類】
   G01S 7/03 20060101AFI20201030BHJP
   B60R 13/00 20060101ALI20201030BHJP
   G01S 13/931 20200101ALN20201030BHJP
【FI】
   G01S7/03 246
   B60R13/00
   G01S13/93 220
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2019-96501(P2019-96501)
(22)【出願日】2019年5月23日
(71)【出願人】
【識別番号】000241463
【氏名又は名称】豊田合成株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】591186888
【氏名又は名称】株式会社トッパンインフォメディア
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】廣谷 幸蔵
(72)【発明者】
【氏名】大塚 達矢
【テーマコード(参考)】
3D024
5J070
【Fターム(参考)】
3D024BA07
5J070AB24
5J070AF03
(57)【要約】
【課題】ヒータ線による外観の低下を抑制する。
【解決手段】車両用装飾部品としてのエンブレム15は、装飾本体部16及びヒータ線37を備え、ミリ波の送信方向におけるミリ波レーダ装置の前方に配置される。装飾本体部16は、車両を装飾し、かつミリ波の透過性を有する。エンブレム15は、上記送信方向における前面に意匠面を有する。エンブレム15の意匠面から上記送信方向における後方へ離れた箇所までの領域が、ミリ波の透過性を有する透明部材により構成される。ヒータ線37は、上記送信方向における透明部材の後面に配置される。ヒータ線37は、通電により発熱する金属製の導線38と、導線38を被覆し、かつ同ヒータ線37の外周部を構成する合成樹脂製の被覆部C1とを備える。被覆部C1の少なくとも外周部は、透明な合成樹脂により形成された透明被覆部39により構成されている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車外の物体を検出するための電磁波を送信及び受信する装置が搭載された車両において、前記電磁波の送信方向における前記装置の前方に配置されて、同車両を装飾し、かつ前記電磁波の透過性を有する装飾本体部と、ヒータ線とを備え、前記送信方向における前面に意匠面を有するとともに、前記意匠面から前記送信方向における後方へ離れた箇所までの領域が、前記電磁波の透過性を有する透明部材により構成される車両用装飾部品であって、
前記ヒータ線は、前記送信方向における前記透明部材の後面に配置されており、
前記ヒータ線は、通電により発熱する金属製の導線と、前記導線を被覆し、かつ同ヒータ線の外周部を構成する合成樹脂製の被覆部とを備え、
前記被覆部の少なくとも外周部は、透明な合成樹脂により形成された透明被覆部により構成されている車両用装飾部品。
【請求項2】
前記被覆部は前記透明被覆部のみにより構成されている請求項1に記載の車両用装飾部品。
【請求項3】
前記導線として、20μm以下の線径を有するものが用いられている請求項2に記載の車両用装飾部品。
【請求項4】
前記装飾本体部は、透明な基材と、前記送信方向における前記基材の後面に形成された加飾層とを備え、
前記ヒータ線は、前記送信方向における前記加飾層よりも前方に配置されており、
前記被覆部は、前記透明被覆部の内周側に有色被覆部を有している請求項1に記載の車両用装飾部品。
【請求項5】
前記被覆部の直径から前記導線の線径を差引いた値を、同被覆部の被覆径とした場合、前記被覆径は、30μm以上に設定されている請求項1〜4のいずれか1項に記載の車両用装飾部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は車両用装飾部品に関する。
【背景技術】
【0002】
ミリ波レーダ装置が組み込まれた車両では、同装置からミリ波が車外へ向けて送信される。先行車両、歩行者等を含む車外の物体に当たって反射されたミリ波は、上記ミリ波レーダ装置によって受信される。送信及び受信されたミリ波により、上記物体が認識されたり、車両と物体との距離が検出されたり、車両と物体との相対速度が検出されたりする。
【0003】
上記車両では、ミリ波の送信方向におけるミリ波レーダ装置の前方に、フロントグリル、エンブレム等の車両用装飾部品が設置される。車両用装飾部品における装飾本体部は、透明な樹脂材料により形成された基材と、上記送信方向における基材の後面に形成された加飾層とを備える。基材及び加飾層としては、ミリ波の透過性を有するものが用いられる。
【0004】
上記車両用装飾部品は、ミリ波レーダ装置から送信されたミリ波、及び車外の物体に当って反射されたミリ波の妨げとなりにくい。そのため、ミリ波レーダ装置に上記検出等の機能を適正に発揮させることができる。また、上記送信方向における前方から車両用装飾部品に可視光が照射されると、その可視光は透明な基材を透過し、加飾層で反射される。上記送信方向における車両用装飾部品の前方からは基材を通して加飾層が見えるため、加飾層によって装飾本体部が装飾される。また、可視光の加飾層での反射が、上記送信方向におけるミリ波レーダ装置よりも前側で行われるため、加飾層によってミリ波レーダ装置が覆い隠され、ミリ波レーダ装置が見えにくくなる。
【0005】
一方、上記車両用装飾部品に氷雪が付着するとミリ波が減衰され、ミリ波レーダ装置の検出性能が低下する問題がある。そこで、例えば、特許文献1では、通電により発熱する電気導体路が、上記送信方向における加飾層よりも前側に設けられている。この車両用装飾部品によると、氷雪が付着しても、電気導体路が発した熱によって氷雪を融解させ、氷雪の付着に起因するミリ波の減衰を抑制することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第4813726号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、電気導体路として一般的なヒータ線が用いられると、すなわち、通電により発熱する金属製の導線を、黒色等の有色の合成樹脂製の被覆部によって被覆したものが用いられると、次の問題が起り得る。それは、上記送信方向における前方から車両用装飾部品を見た場合、被覆部が視認の対象となり、ヒータ線が太く見えてしまい、車両用装飾部品の外観を低下させることである。
【0008】
こうした問題は、ミリ波レーダ装置に限らず、車外の物体を検出するための電磁波を送信及び受信する装置が搭載された車両において、電磁波の送信方向における上記装置の前方に配置される車両用装飾部品であって、電気導体路としてヒータ線が用いられたものであれば、同様に起り得る。
【0009】
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであって、その目的は、ヒータ線による外観の低下を抑制することのできる車両用装飾部品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決する車両用装飾部品は、車外の物体を検出するための電磁波を送信及び受信する装置が搭載された車両において、前記電磁波の送信方向における前記装置の前方に配置されて、同車両を装飾し、かつ前記電磁波の透過性を有する装飾本体部と、ヒータ線とを備え、前記送信方向における前面に意匠面を有するとともに、前記意匠面から前記送信方向における後方へ離れた箇所までの領域が、前記電磁波の透過性を有する透明部材により構成される車両用装飾部品であって、前記ヒータ線は、前記送信方向における前記透明部材の後面に配置されており、前記ヒータ線は、通電により発熱する金属製の導線と、前記導線を被覆し、かつ同ヒータ線の外周部を構成する合成樹脂製の被覆部とを備え、前記被覆部の少なくとも外周部は、透明な合成樹脂により形成された透明被覆部により構成されている。
【0011】
車両用装飾部品のうちヒータ線が配線されている箇所に対し、電磁波の送信方向における前方から可視光が照射されると、その可視光は、ヒータ線よりも前側の透明部材を透過する。
【0012】
ここで、仮に、ヒータ線における被覆部の少なくとも外周部が有色被覆部によって構成される場合には、上記可視光は被覆部の外周面で反射される。上記送信方向における前方から車両用装飾部品を見たときには、有色被覆部の全体が視認の対象となる。
【0013】
これに対し、上記の構成によるように、ヒータ線における被覆部の少なくとも外周部が透明被覆部によって構成されている場合には、上記可視光は透明被覆部を透過し、同透明被覆部の内周側に隣接する部材で反射される。
【0014】
そのため、ヒータ線のうち、透明被覆部を除いた部分、すなわち、透明被覆部の内周側に隣接する部材が視認の対象となる。被覆部のうち、透明被覆部の分だけ視認の対象が細くなる。従って、被覆部の少なくとも外周部が有色被覆部によって構成される場合に比べ、ヒータ線が見えにくくなり、ヒータ線が見えることによる車両用装飾部品の外観低下が抑制される。
【0015】
上記車両用装飾部品において、前記被覆部は前記透明被覆部のみにより構成されていることが好ましい。
上記の構成によれば、被覆部が透明被覆部のみによって構成され、同透明被覆部の内周側に導線が隣接する。そのため、上記送信方向における前方から、車両用装飾部品のうち、ヒータ線が配線されている箇所に対し可視光が照射されると、その可視光は、ヒータ線よりも前側の透明部材を透過した後に、透明被覆部を透過し、導線で反射される。
【0016】
従って、ヒータ線のうち、透明被覆部を除いた部分、すなわち、導線が視認の対象となる。ヒータ線における視認の対象が、被覆部の分だけ細くなる。被覆部の外周部のみが透明被覆部によって構成される場合に比べ、視認の対象が細くなってヒータ線が見えにくくなり、ヒータ線が見えることによる車両用装飾部品の外観低下が抑制される。
【0017】
上記車両用装飾部品において、前記導線として、20μm以下の線径を有するものが用いられていることが好ましい。
上記の構成によるように、20μm以下の線径を有する導線は、一般に目視が困難である。そのため、被覆部が透明被覆部のみによって構成されることと相俟って、ヒータ線が一層見えにくくなり、車両用装飾部品の外観低下が一層抑制される。
【0018】
上記車両用装飾部品において、前記装飾本体部は、透明な基材と、前記送信方向における前記基材の後面に形成された加飾層とを備え、前記ヒータ線は、前記送信方向における前記加飾層よりも前方に配置されており、前記被覆部は、前記透明被覆部の内周側に有色被覆部を有していることが好ましい。
【0019】
上記の構成によれば、車両用装飾部品に対し、上記送信方向における前方から可視光が照射されると、ヒータ線が配線されていない箇所では、上記可視光の一部が、ヒータ線よりも前側の透明部材及び基材を順に透過し、加飾層で反射される。
【0020】
また、ヒータ線が配線されている箇所では、車両用装飾部品に対し、上記送信方向における前方から照射された可視光の一部が、ヒータ線よりも前側の透明部材、透明被覆部及び基材を透過し、加飾層で反射される。
【0021】
そのため、上記送信方向における車両用装飾部品の前方からは、ヒータ線よりも前側の透明部材及び基材を通して、又は、上記透明部材、透明被覆部及び基材を通して加飾層が見える。
【0022】
ここで、仮に、被覆部が透明被覆部のみによって構成されていると、導線が視認の対象となる。導線が加飾層の色と大きく異なる色を有している場合、その導線が目立つおそれがある。
【0023】
この点、被覆部が、透明被覆部の内周側に有色被覆部を有している上記の構成によれば、ヒータ線が配線されている箇所では、車両用装飾部品に対し、上記送信方向における前方から照射された可視光の一部が、上記透明部材及び透明被覆部を透過した後に、有色被覆部で反射される。
【0024】
そのため、ヒータ線のうち透明被覆部を除いた部分、すなわち、透明被覆部の内周側に隣接する有色被覆部が視認の対象となる。ヒータ線のうち、透明被覆部の分だけ視認の対象が細くなる。従って、この場合にも、被覆部の少なくとも外周部が有色被覆部によって構成される場合に比べ、ヒータ線を見えにくくする効果が得られる。
【0025】
さらに、有色被覆部として、導線よりも加飾層の色に近い色を有するものが用いられれば、被覆部の全体が透明被覆部によって構成されていて、導線が視認の対象となる場合に比べて、ヒータ線を目立ちにくくすることが可能となる。
【0026】
上記車両用装飾部品において、前記被覆部の直径から前記導線の線径を差引いた値を、同被覆部の被覆径とした場合、前記被覆径は、30μm以上に設定されていることが好ましい。
【0027】
上記の構成によるように、30μm以上の被覆径を有する被覆部によって導線が被覆されることにより、導線が被覆部によって保護され、ヒータ線を配線する際の導線の断線が起りにくくなる。
【発明の効果】
【0028】
上記車両用装飾部品によれば、ヒータ線による外観の低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】第1実施形態におけるエンブレムの正面図。
図2】第1実施形態におけるエンブレムの断面図。
図3】(a)は第1実施形態における加熱シートの部分背面図、(b)は図3(a)の一部を拡大して示す部分背面図。
図4図2におけるX部を拡大して示す部分断面図。
図5】第1実施形態におけるヒータ線の部分断面斜視図。
図6】第1実施形態において、ヒータ線を配線する際に用いられる加工機の一部と、ヒータ線との関係を示す説明図。
図7】第2実施形態におけるヒータ線の部分断面斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0030】
(第1実施形態)
以下、車両用装飾部品をエンブレムに具体化した第1実施形態について、図1図6を参照して説明する。
【0031】
なお、以下の記載に関し、車両の前進方向を前方とし、後進方向を後方として説明する。また、上下方向は車両の上下方向を意味し、左右方向は車幅方向であって車両の前進時の左右方向と一致するものとする。また、一部の図では、エンブレムにおける各部を認識可能な大きさとするために、各部の縮尺を適宜変更して図示している。
【0032】
図2に示すように、車両10の前部の車幅方向における中央部分であって、フロントグリル11の後方には、前方監視用のミリ波レーダ装置13が配置されている。ミリ波レーダ装置13は、電磁波におけるミリ波14を車外のうち、前方へ向けて送信し、かつ、車外の物体に当たって反射されたミリ波14を受信するセンサ機能を有する。ミリ波14とは、波長が1mm〜10mmであり、周波数が30GHz〜300GHzである電波をいう。
【0033】
上記フロントグリル11の厚み(前後方向の寸法)は、一般的なフロントグリルと同様、一定ではない。また、フロントグリル11では、樹脂製基材の表面に金属めっき層が形成されることがある。従って、フロントグリル11は、送信又は反射されたミリ波14と干渉する。そこで、フロントグリル11において、ミリ波14の送信方向におけるミリ波レーダ装置13の前方に窓部12が設けられ、装飾本体部16及び加熱シート35を備えるエンブレム15が上記窓部12に配置されている。次に、エンブレム15を構成する各部材について説明する。
【0034】
<装飾本体部16>
図1及び図2に示すように、装飾本体部16は、前基材17、後基材21、連結部24及び加飾層25を備えている。装飾本体部16は、全体として略楕円の板状をなし、前方へ膨らむように緩やかに湾曲している。
【0035】
図2及び図4に示すように、前基材17は、装飾本体部16の前側部分を構成する部材である。前基材17は、誘電正接(誘電体内での電気エネルギ損失の度合いを表す指標値)の小さな樹脂材料であるPC(ポリカーボネート)樹脂等の樹脂材料によって透明に形成されている。PC樹脂の誘電正接は、0.006である。誘電正接が小さければ、ミリ波14が熱エネルギに変換され難いため、ミリ波14の減衰を抑制可能である。
【0036】
前基材17の後部には、前後方向に対し略直交する一般部18と、その一般部18よりも前方へ凹む凹部19とが形成されている。一般部18は、図1におけるエンブレム15の背景領域15aに対応し、凹部19はエンブレム15の模様領域15bに対応している。ここでは、文字(A)とその周りの環状部分とにより模様領域15bが構成されている。なお、前基材17は、上記PC樹脂と同様に、誘電正接の小さな樹脂材料であるPMMA(ポリメタクリル酸メチル)樹脂によって形成されてもよい。
【0037】
図2及び図4に示すように、後基材21は、装飾本体部16の後側部分を構成する部材であり、誘電正接の小さな樹脂材料であるAES(アクリロニトリル−エチレン−スチレン共重合)樹脂等の樹脂材料によって、有色に形成されている。AES樹脂の誘電正接は、0.007であり、比誘電率はPC樹脂の比誘電率と略同じである。後基材21の前部は、上記前基材17の後部の形状に対応した形状に形成されている。すなわち、後基材21の前部であって、前基材17の一般部18の後方となる箇所には、前後方向に対し略直交する一般部22が形成されている。後基材21の前部であって、前基材17の凹部19の後方となる箇所には、一般部22よりも前方へ突出する凸部23が形成されている。
【0038】
なお、後基材21は、AES樹脂に代えて、前基材17と比誘電率が近い樹脂、例えば、ASA(アクリロニトリル−スチレン−アクリレート共重合)樹脂、PC樹脂、PC/ABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合)樹脂等によって形成されてもよい。
【0039】
連結部24は、装飾本体部16の外周部に沿って設けられることで略楕円形の環状をなしている。連結部24は、例えば、PC樹脂とカーボンブラックとの混合樹脂材料によって黒色に形成されている。連結部24は、前基材17及び後基材21に対し溶着されることで、それらの前基材17及び後基材21を連結している。
【0040】
加飾層25は、前基材17と後基材21との間であって、連結部24によって囲まれた領域に形成されており、ミリ波透過性を有している。加飾層25は、例えば、黒色、青色等の有色加飾層26と、金属光沢を有する光輝加飾層27との組合わせによって構成されている。有色加飾層26は、一般部18の後面に対し、スクリーン印刷等の印刷、ホットスタンプ等が行なわれることにより、形成されている。
【0041】
光輝加飾層27は、前基材17の凹部19の壁面及び有色加飾層26の後面全体に対し、インジウム(In)等の金属材料がスパッタリング又は蒸着されることにより、島状構造をなすように形成されている。島状構造は、金属皮膜が一面に連続しておらず、多数の微細な金属皮膜が島状に互いに僅かに離間し、又は一部接触した状態で敷き詰められてなる構造である。この構造を採用することにより、光輝加飾層27は、不連続構造となり、電気抵抗が高くなり、ミリ波透過性を有する。
【0042】
装飾本体部16において、ミリ波が透過される領域は、前後方向の厚みが一定となるように形成されている。
上記装飾本体部16の後面の周縁部における複数箇所には、窓部12に配置された装飾本体部16をフロントグリル11に取付けるための取付部(図示略)が形成されている。取付部は、クリップ、ビス、係合爪等によって構成されている。
【0043】
図2に示すように、上記装飾本体部16の下部の後側には、車両10の電源(図示略)に接続された回路基板(プリント基板)32が配置されている。回路基板32は、図示しない電源線を有している。電源線は、後述する加熱シート35における接続部41(図3(a)参照)を介してヒータ線37に電力を供給するための電力供給経路の一部を構成するものである。
【0044】
<加熱シート35>
図3(a),(b)に示すように、加熱シート35は、ミリ波透過性を有する透明な合成樹脂材料、例えばPC樹脂等によって形成されたシート36と、そのシート36にそれぞれ配線されたヒータ線37及び一対の接続部41とを備えている。
【0045】
図3(b)及び図5に示すように、ヒータ線37は、通電により発熱する金属材料からなる導線38と、導線38を被覆して保護する合成樹脂製の被覆部C1とによって構成されている。導線38は単線によって構成されている。被覆部C1の少なくとも外周部は、無色透明な合成樹脂により形成された透明被覆部39により構成されている。第1実施形態では、被覆部C1の全体が、透明被覆部39によって構成されている。
【0046】
導線38としては、20μm以下の線径D1を有するものが用いられることが好ましい。線径D1の最小値に特に制約はなく、形成が可能な最小径がこれに該当する。被覆部C1の直径D2から導線38の線径D1を差引いた値を、被覆部C1の被覆径D3とすると、この被覆径D3は、30μm以上に設定されることが好ましい。被覆径D3の最大値に特に制約はない。被覆径D3が大きくても、被覆部C1が透明であるため、外観の点では特に問題とはならない。図5では、被覆径D3の半分(D3/2)が、ヒータ線37の径方向における導線38の両側に図示されている。
【0047】
第1実施形態では、導線38として、銅によって形成されたものが用いられている。また、導線38の線径D1が20μmに設定され、被覆部C1の被覆径D3が30μmに設定されており、ヒータ線37の全体の直径、この場合、被覆部C1の直径D2が50μmになっている。
【0048】
図3(a)に示すように、各接続部41は、導電性を有する金属材料によって形成されており、ヒータ線37の両端部に繋がれている。
加熱シート35は、発熱本体部42及び延出部43を備えている。発熱本体部42は、装飾本体部16と同様の外形形状である横長の略楕円形状に形成されている。発熱本体部42では、ヒータ線37が波形状に繰り返し屈曲された状態で配線されている。なお、発熱本体部42では、図示はしないが、シート36が前後一対のシート材36aによって構成されて、両シート材36aの間にヒータ線37が配線されてもよい。この場合、ヒータ線37は、前側のシート材36aの後面に配線される。また、発熱本体部42では、シート36が単一のシート材36aによって構成されて、そのシート材36aの後面にヒータ線37が配線されてもよい。上記いずれの場合にも、発熱本体部42では、ヒータ線37よりも前側にシート材36aの一部又は全部が位置する。
【0049】
図4に示すように、発熱本体部42は、装飾本体部16の前側に配置されている。発熱本体部42は、前基材17の前面に貼合わせられることにより、装飾本体部16に固定されている。発熱本体部42の前面は、エンブレム15の意匠面15cを構成している。
【0050】
図3(a)に示すように、延出部43は、発熱本体部42の下端部から下方へ延びている。延出部43には、両接続部41が配線されている。図2に示すように、延出部43は、装飾本体部16の下端部を経由して後側に回り込むように、同装飾本体部16の下面及び後面に沿って折曲げられている。このように折曲げられた延出部43における接続部41が、装飾本体部16の後側の上記回路基板32の電源線に対して電気的に接続されている。なお、図3(a)では、延出部43は、一部のみ図示され、しかも折曲げられる前の状態で図示されている。
【0051】
図4に示すように、上記構成のエンブレム15では、意匠面15cから後方へ離れた箇所までの領域に、発熱本体部42におけるシート36が位置しており、このシート36のうち、ヒータ線37よりも前側に位置するシート材36aが、特許請求の範囲における「透明部材」に該当する。
【0052】
そして、上記エンブレム15は、起立させられた状態で窓部12内に配置され、取付部においてフロントグリル11に取り付けられている。
次に、上記のように構成された第1実施形態の作用について説明する。また、上記作用に伴う効果についても併せて説明する。
【0053】
図2及び図4に示すように、ミリ波レーダ装置13からミリ波14が送信されると、そのミリ波14は、装飾本体部16における後基材21、加飾層25及び前基材17と、加熱シート35における発熱本体部42とを順に透過する。透過したミリ波14は、先行車両、歩行者等を含む車両前方の物体に当たって反射された後、上記発熱本体部42、前基材17、加飾層25及び後基材21を順に透過する。上記ミリ波14は、ミリ波レーダ装置13によって受信される。ミリ波レーダ装置13では、送信及び受信されたミリ波14に基づき、上記物体の認識や、車両10と同物体との距離、相対速度等の検出が行われる。
【0054】
上記のように、それぞれミリ波透過性を有する装飾本体部16及び加熱シート35からなるエンブレム15は、送信及び反射されたミリ波14が透過する際の妨げとなりにくい。ミリ波14のうち、エンブレム15によって減衰される量を許容範囲にとどめることができる。そのため、ミリ波レーダ装置13に、上記検出等の機能を適正に発揮させることができる。
【0055】
エンブレム15の意匠面15cに氷雪が付着した場合には、電源から電力が、回路基板32の電源線及び接続部41を介してヒータ線37に供給される。ヒータ線37が通電により発熱する。ヒータ線37が発した熱の一部は、エンブレム15の意匠面15cに伝わる。この熱により、意匠面15cに付着している氷雪が融解され、氷雪によるミリ波14の減衰が抑制される。特に、第1実施形態では、発熱本体部42が装飾本体部16の前側に配置されている。表現を変えると、ヒータ線37がエンブレム15の最前部であって、意匠面15cに近い箇所に配置されている。そのため、ヒータ線37の発した熱が意匠面15cに伝わりやすく、氷雪を効率よく融解させることができる。
【0056】
ところで、図2及び図4に示すように、エンブレム15に対し前方から可視光L1が照射されると、ヒータ線37が配線されていない箇所では、可視光L1の一部が、発熱本体部42におけるシート36と、前基材17とを順に透過した後に、加飾層25で反射される。
【0057】
また、ヒータ線37が配線されている箇所では、エンブレム15に対し前方から照射された可視光L1の一部が、シート36、透明被覆部39及び前基材17を透過した後に、加飾層25で反射される。
【0058】
そのため、前方からエンブレム15を見ると、上記シート36及び前基材17を通して、又は、シート36、透明被覆部39及び前基材17を通して、それらの後側(奥側)に加飾層25が位置するように見える。加飾層25のうち有色加飾層26については、その有色加飾層26の有する色が見える。また、加飾層25のうち光輝加飾層27については、金属のように光り輝いて見える。このように、加飾層25によって装飾本体部16が装飾され、エンブレム15及びその周辺部分の外観が向上する。
【0059】
特に、加飾層25は、前基材17及び後基材21の間に形成されていて、凹凸状をなしている。そのため、エンブレム15の前方からは、光輝加飾層27が、有色加飾層26よりも前側(手前)に位置しているように見える。従って、エンブレム15及びその周辺部分の外観が一層向上する。
【0060】
さらに、フロントグリル11において、樹脂製基材の表面に金属めっき層が形成されている場合には、光輝加飾層27で反射され、かつ金属のような輝きを伴う色が、上記金属めっき層の色に合わせられることで、エンブレム15のフロントグリル11との一体感が得られ、車両10の前部の意匠性が高められる。
【0061】
なお、図2及び図4に示す可視光L1の加飾層25での上記反射は、ミリ波レーダ装置13よりも前側で行われる。加飾層25は、ミリ波レーダ装置13を覆い隠す機能を発揮する。そのため、エンブレム15の前方からは、ミリ波レーダ装置13が見えにくい。従って、ミリ波レーダ装置13がエンブレム15を介して透けて見える場合に比べて意匠性が向上する。
【0062】
また、ヒータ線37が配線されている箇所では、エンブレム15に対し前方から照射された可視光L1の一部が、発熱本体部42のシート36のうち、ヒータ線37よりも前側に位置するシート材36aを透過する。
【0063】
この際、仮に、ヒータ線37における被覆部C1の少なくとも外周部が有色被覆部によって構成される場合には、上記可視光L1は被覆部C1の外周面で反射される。前方からエンブレム15を見たときには、ヒータ線37の全体、この場合、被覆部C1が視認の対象となる。
【0064】
これに対し、被覆部C1が透明被覆部39のみによって構成され、かつ同透明被覆部39の内周側に導線38が隣接する第1実施形態では、上記可視光L1は、図5に示すように、透明被覆部39の一部(導線38よりも前方部分)を透過した後に導線38で反射される。
【0065】
従って、ヒータ線37のうち、透明被覆部39を除いた部分、この場合、導線38が視認の対象となる。ヒータ線37のうち、被覆部C1の分だけ視認の対象が細くなる。被覆部C1の少なくとも外周部が有色被覆部によって構成される場合に比べ、ヒータ線37が見えにくくなる。
【0066】
また、仮に、被覆部C1の外周部のみが透明被覆部39によって構成される場合には、同透明被覆部39の内周側に隣接する部材が視認の対象となる。しかし、第1実施形態において視認の対象となる導線38は、上記透明被覆部39の内周側に隣接する部材よりも細いため、ヒータ線37が見えにくくなる。その結果、ヒータ線37が見えることによるエンブレム15の外観低下を抑制することができる。
【0067】
加えて、20μm以下の線径D1を有する導線38は、一般に目視が困難である。そのため、被覆部C1が上記のように透明被覆部39のみによって構成されることと相俟って、ヒータ線37が一層見えにくくなり、エンブレム15の外観低下を一層抑制することができる。
【0068】
さらに、30μm以上の被覆径D3を有する被覆部C1によって導線38が被覆されているため、導線38が被覆部C1によって保護され、ヒータ線37を配線する際の導線38の断線が起りにくくなる。具体的には、シート36にヒータ線37を配線して加熱シート35を製造する場合には、図6において一部が示された加工機51が用いられる。この加工機51の先端部にあけられた送出し孔52を通してヒータ線37が、加熱シート35のシート36に送出される。この送出しの際、被覆部C1の被覆径D3が小さく直径D2が小さいと、ヒータ線37が送出し孔52の内部で径方向へ動いて導線38が断線を起すおそれがある。また、ヒータ線37が送出し孔52内で径方向へ動きながら送出されることから、ヒータ線37の配線精度が低下するおそれもある。
【0069】
この点、上記のように被覆部C1の被覆径D3が30μm以上であると、直径D2が大きく、ヒータ線37が送出し孔52内で径方向への動きを規制されながら送り出される。そのため、導線38の断線が起りにくくなるとともに、導線38が送出し孔52内で径方向へ動くことに起因する配線精度の低下が抑制される。
【0070】
(第2実施形態)
次に、車両用装飾部品の第2実施形態について、上記図2及び図4に加え、図7を参照して説明する。
【0071】
第2実施形態は、図2及び図4に示すように、装飾本体部16が、透明な樹脂材料により形成された前基材17と、前基材17の後面に形成された加飾層25とを備えている点、及び、ヒータ線37が加飾層25よりも前方に配置されている点で、第1実施形態と共通している。加熱シート35が装飾本体部16の前側に配置されている点と、発熱本体部42では、ヒータ線37よりも前側にシート材36aの一部又は全部が位置する点も、第1実施形態と共通している。
【0072】
第2実施形態は、図7に示すように被覆部C1が、透明被覆部39の内周側に、合成樹脂によって形成された有色被覆部40を有している点で、被覆部C1の全体が透明被覆部39によって構成されている第1実施形態(図5参照)と相違している。透明被覆部39は、被覆部C1の外周部を構成し、有色被覆部40は同被覆部C1の内周部を構成している。有色被覆部40は導線38を被覆し、透明被覆部39は有色被覆部40を被覆している。導線38の線径D1と、被覆部C1の直径D2及び被覆径D3とは、第1実施形態と同様である。さらに、有色被覆部40として、導線38の色よりも加飾層25の色(有色加飾層26の色、又は光輝加飾層27の色)に近い色を有するものが用いられている。
【0073】
上記以外の構成は第1実施形態と同様である。そのため、第1実施形態で説明したものと同様の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
従って、第2実施形態によると、第1実施形態と同様の作用及び効果が得られる。さらに、第2実施形態によると、次の作用及び効果も得られる。
【0074】
図2及び図4に示すように、エンブレム15に対し前方から可視光L1が照射されると、ヒータ線37が配線されていない箇所では、上記可視光L1の一部が、発熱本体部42におけるシート36と、装飾本体部16における前基材17とを順に透過した後に、加飾層25で反射される。
【0075】
また、ヒータ線37が配線されている箇所では、エンブレム15に対し前方から照射された可視光L1の一部が、シート36、透明被覆部39及び前基材17を透過した後に、加飾層25で反射される。
【0076】
そのため、前方からエンブレム15を見ると、上記シート36及び前基材17を通して、又は、シート36、透明被覆部39及び前基材17を通して、それらの後側(奥側)に加飾層25が位置するように見える。
【0077】
ここで、仮に、被覆部C1が透明被覆部39のみによって構成されていると、導線38が視認の対象になる。導線38の色と、加飾層25の色との関係によっては、すなわち、導線38が加飾層25の色と大きく異なる色を有していると、導線38が目立つおそれがある。
【0078】
この点、第2実施形態によれば、ヒータ線37が配線されている箇所では、エンブレム15に対し前方から照射された可視光L1の一部が、ヒータ線37よりも前側のシート材36aと、透明被覆部39のうち有色被覆部40よりも前側の部分とを透過した後に、同有色被覆部40で反射される(図7参照)。
【0079】
そのため、被覆部C1のうち、透明被覆部39を除いた部分、すなわち、透明被覆部39の内周側に隣接する有色被覆部40が視認の対象となる。ヒータ線37のうち、透明被覆部39の分だけ視認の対象が細くなる。従って、この場合にも、被覆部C1の少なくとも外周部が有色被覆部によって構成される場合に比べ、ヒータ線37を見えにくくする効果が得られる。
【0080】
さらに、第2実施形態では、有色被覆部40として、導線38よりも加飾層25の色に近い色を有するものが用いられていることから、被覆部C1の全体が透明被覆部39によって構成されていて、導線38が視認の対象となる場合に比べて、ヒータ線37を目立ちにくくすることが可能である。
【0081】
なお、上述した各実施形態は、これを以下のように変更した変形例として実施することもできる。上記実施形態及び以下の変形例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0082】
<エンブレム15について>
・エンブレム15は、楕円とは異なる形状の板状に形成されてもよい。
・窓部12に配置されたエンブレム15は、フロントグリル11に代えて、車体に取り付けられてもよい。
【0083】
<ヒータ線37について>
・エンブレム15における発熱本体部42の前後方向の位置が、加飾層25よりも前側であることを条件に、装飾本体部16の前側とは異なる箇所、すなわち、前後方向における中間部分に変更されてもよい。
【0084】
例えば、前基材17が、前後方向に配置された2つの部材によって構成される場合には、両部材の間に発熱本体部42が配置されてもよい。この場合、前基材17のうち、ヒータ線37よりも前側の部材と、シート36のうちヒータ線37よりも前側のシート材36aとが、上記透明部材に該当する。
【0085】
・導線38として、通電により発熱する材料であることを条件に、銅とは異なる金属材料によって形成されたものが用いられてもよい。
・ヒータ線37は、上記第1及び第2実施形態のように、加熱シート35の一構成部材として配線されてもよいが、シート36を用いることなく、単独で装飾本体部16に配線されてもよい。
【0086】
<その他>
・エンブレム15の構成部材のうち、ヒータ線37の透明被覆部39とは異なる透明な部材については、無色透明及び着色透明(有色透明)のいずれであってもよい。
【0087】
・上記車両用装飾部品は、車両において、エンブレムとは異なる箇所に配置されて、同車両を装飾する部品に適用されてもよい。
・車外の物体を検出するための電磁波を送信及び受信する装置は、前方監視用以外にも、後方監視用、前側方監視用、及び後側方監視用の装置であってもよい。この場合、車両用装飾部品は、電磁波の送信方向における上記装置の前方に配置される。
【0088】
ここでの電磁波には、上記ミリ波をはじめとする電波が含まれるほか、赤外線をはじめとする光も含まれるものとする。
【符号の説明】
【0089】
10…車両、13…ミリ波レーダ装置(装置)、14…ミリ波(電磁波)、15…エンブレム(車両用装飾部品)、15c…意匠面、16…装飾本体部、17…前基材(基材)、25…加飾層、36…シート、37…ヒータ線、38…導線、39…透明被覆部、40…有色被覆部、C1…被覆部、D1…線径、D2…直径、D3…被覆径。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【手続補正書】
【提出日】2020年8月12日
【手続補正1】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図7
【補正方法】変更
【補正の内容】
図7