特開2020-190718(P2020-190718A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-190718(P2020-190718A)
(43)【公開日】2020年11月26日
(54)【発明の名称】光反射板
(51)【国際特許分類】
   G02B 5/08 20060101AFI20201030BHJP
   F21S 2/00 20160101ALI20201030BHJP
   F21V 7/24 20180101ALI20201030BHJP
   B32B 7/023 20190101ALI20201030BHJP
   B32B 27/32 20060101ALI20201030BHJP
   B32B 5/18 20060101ALI20201030BHJP
【FI】
   G02B5/08 A
   F21S2/00 495
   F21V7/24
   B32B7/023
   B32B27/32 E
   B32B5/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2020-60145(P2020-60145)
(22)【出願日】2020年3月30日
(31)【優先権主張番号】特願2019-92757(P2019-92757)
(32)【優先日】2019年5月16日
(33)【優先権主張国】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000119232
【氏名又は名称】株式会社イノアックコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100098752
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 吏規夫
(72)【発明者】
【氏名】横田 佳弘
(72)【発明者】
【氏名】志村 繁康
【テーマコード(参考)】
2H042
3K244
4F100
【Fターム(参考)】
2H042DA01
2H042DA06
2H042DA11
2H042DC07
3K244AA01
3K244BA50
3K244CA02
3K244FA12
3K244LA07
4F100AA21C
4F100AB01C
4F100AK01C
4F100AK03A
4F100AK03B
4F100AK06A
4F100AK07A
4F100AK07C
4F100AK12A
4F100AK12B
4F100AK15C
4F100AK73A
4F100AK75A
4F100AL09A
4F100AL09B
4F100BA02
4F100BA03
4F100BA10A
4F100BA10C
4F100DE01C
4F100DJ01A
4F100DJ01B
4F100EH17
4F100EH66C
4F100EJ17
4F100GB41
4F100JA04A
4F100JB16A
4F100JB16B
4F100JN06
4F100JN06C
4F100YY00A
4F100YY00B
(57)【要約】
【課題】優れた光反射性を有し、光が筐体内で反射拡散するバックライト方式の面照射装置に好適な光反射板の提供を目的とする。
【解決手段】ポリオレフィンと、ゴム成分及び/またはポリスチレン系熱可塑性エラストマーとを含むポリマー組成物の樹脂発泡体からなり、樹脂発泡体にオレフィン系樹脂フィルムが積層され、樹脂発泡体は、気泡径が5〜250μmであり、樹脂発泡体の表面から内部に向うにつれて気泡径が大きくなっており、超臨界発泡体からなる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリオレフィンと、
ゴム成分及び/またはポリスチレン系熱可塑性エラストマーとを含むポリマー組成物の樹脂発泡体からなることを特徴とする光反射板。
【請求項2】
前記樹脂発泡体は、圧縮固定されていることを特徴とする請求項1に記載の光反射板。
【請求項3】
前記樹脂発泡体は、2枚積層されて圧縮固定されていることを特徴とする請求項1に記載の光反射板。
【請求項4】
前記樹脂発泡体に光反射樹脂フィルムが積層されてなることを特徴とする請求項1から3の何れか一項に記載の光反射板。
【請求項5】
前記光反射樹脂フィルムは、樹脂フィルムに酸化チタンが分散又は金属層が蒸着されていることを特徴とする請求項4に記載の光反射板。
【請求項6】
前記樹脂発泡体は、気泡径が5〜250μmであり、表面から内部に向うにつれて気泡径が大きくなっていることを特徴とする請求項1から5の何れか一項に記載の光反射板。
【請求項7】
前記樹脂発泡体は、超臨界発泡体であることを特徴とする請求項1から6の何れか一項に記載の光反射板。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光反射性に優れる光反射板に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、結晶性ポリエステル樹脂の発泡体からなる光反射板がある(特許文献1)。
【0003】
しかしながら、光反射性をさらに高くすることが求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015−197449号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は前記の点に鑑みなされたものであって、光反射性に優れる光反射板の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の発明は、ポリオレフィンと、ゴム成分及び/またはポリスチレン系熱可塑性エラストマーとを含むポリマー組成物の樹脂発泡体からなることを特徴とする光反射板に係る。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1において、前記樹脂発泡体は、圧縮固定されていることを特徴とする。
【0008】
請求項3の発明は、請求項1において、前記樹脂発泡体は、複数積層されて圧縮固定されていることを特徴とする。
【0009】
請求項4の発明は、請求項1から3の何れか一項において、前記樹脂発泡体に光反射樹脂フィルムが積層されてなることを特徴とする。
【0010】
請求項5の発明は、請求項4において、前記光反射樹脂フィルムは、樹脂フィルムに酸化チタンが分散又は金属層が蒸着されていることを特徴とする。
【0011】
請求項6の発明は、請求項1から5の何れか一項において、前記樹脂発泡体は、気泡径が5〜250μmであり、表面から内部に向うにつれて気泡径が大きくなっていることを特徴とする。
【0012】
請求項7の発明は、請求項1から6の何れか一項において、前記樹脂発泡体は、超臨界発泡体であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、光反射性に優れる光反射板が得られる。また、樹脂発泡体に光反射樹脂フィルムを積層することにより、光反射板の光反射性をさらに高くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】第1実施形態の光反射板の断面図である。
図2】第2実施形態の光反射板の断面図である。
図3】樹脂発泡体の気泡状態を示す模式図である。
図4】実施例1〜7と比較例1、2の構成及び光反射率を示す表である。
図5】実施例1〜12の配合を示す表である。
図6】実施例1、3、5、7、比較例1、2、及び実施例13〜17の構成と光反射率等を示す表である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1に示す第1実施形態の光反射板10は、(A1)ポリオレフィンと、(A2)ゴム成分及び/またはポリスチレン系熱可塑性エラストマーとを含むポリマー組成物の樹脂発泡体11で構成されている。樹脂発泡体11は、気泡構造を有し、超臨界発泡成形法により形成されている。
【0016】
超臨界発泡成形法は、温度及び圧力が臨界状態を超えた超臨界状態のガス(窒素や二酸化炭素)を溶融樹脂に溶解させ、急に減圧することにより微細な気泡を発生させる公知の発泡成形法である。
光反射板10を構成する樹脂発泡体11は、超臨界発泡成形法を用いる押出成形によって形成された気泡構造を有するシート状からなる。
【0017】
超臨界発泡成形法を用いて押出成形された樹脂発泡体11は、気泡の径(気泡径)が5〜250μmであるのが好ましい。また、図3に示すように、気泡13の径は、樹脂発泡体11の表面から内部に向かって気泡径が大きくなっている。樹脂発泡体11の表面から内部に向かって気泡径が大になっていることにより、樹脂発泡体11内に進入した光の乱反射が大きくなって光反射性が高くなる。なお、気泡径は、樹脂発泡体11を厚み方向に沿って切断した断面をマイクロスコープにより撮影し、得られた画像から気泡の直径を30個測定し、その平均した値である。また、樹脂発泡体11の両面には薄膜のスキン層15を有する。スキン層15は、超臨界発泡成形時に形成される緻密な表面構造であり、光反射性を高くできる。
【0018】
(A1)ポリオレフィン(ただし、エチレン−プロピレンゴムを除く)としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン−1、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−α−オレフィン共重合体、およびこれら相互のポリマーブレンド等が挙げられる。
【0019】
ポリエチレンは、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレンなどのいずれでもよい。ポリプロピレンは、アタクチック、イソタクチック、シンジオタクチック、ランダムなどのいずれでもよい。また、発泡に適するとされる主鎖骨格中に長鎖分岐を有するポリプロピレン(HMS−PP)や高分子量成分を含んで分子量分布の広いポリプロピレンなどの伸長粘度が高いポリプロピレンを使用してもよい。共重合体は、ランダム共重合体でもブロック共重合体でもよく、熱可塑性樹脂でも熱可塑性エラストマーでもよい。なお、エチレン−プロピレン共重合体には、硬化してゴム状弾性体となるエチレン−プロピレン共重合体(EPR)があるが、これはゴム成分に包含されるので、本発明ではポリオレフィンから除外され、本発明のポリオレフィンには、樹脂状のエチレン−プロピレン共重合体が包含される。また、本発明の樹脂発泡体の性質を損ねない範囲で、他の熱可塑性ポリマーが存在してもよい。
【0020】
(A2)のゴム成分は、エチレンとプロピレンの共重合体であるEPR(EPM)、スチレン−エチレン−ブタジエン−スチレンゴム(SEBS)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、スチレン−ブタジエン−スチレンゴム(SBS)、スチレン−エチレン−プロピレンゴム(SEP)、イソプレン−ブタジエンゴム、スチレン−イソプレン−ブタジエンゴム、スチレン−イソプレンゴム、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体ゴム(EPDM)などを挙げることができる。
【0021】
ゴム成分は、低分子量の場合、超臨界状態から減圧する方法により発泡体を成形するのが難しいため、重量平均分子量が200,000以上の高分子量のものが好ましい。特に、重量平均分子量が200,000以上のエチレン−プロピレン−ジエン共重合体ゴム(EPDM)やスチレン−エチレン−ブタジエン−スチレンゴム(SEBS)は、好ましいゴム成分であり、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体ゴム(EPDM)を、ポリプロピレン及びポリエチレンと共に使用するのが好ましい。
【0022】
(A2)のポリスチレン系熱可塑性エラストマーとしては、炭化水素鎖からなるポリマーの一端または両端にポリスチレンが結合したブロックコポリマーであればよく、例えば、スチレンとブタジエン、イソプレン、イソブチレンなどとのブロックコポリマー、あるいはそれらのブロックコポリマーをさらに水素添加したものが挙げられ、例えば、スチレンブタジエンスチレンブロックコポリマー(SBS)、及びSBSを水素添加したスチレンエチレンブチレンスチレンブロックコポリマー(SEBS)、スチレンイソプレンスチレンブロックコポリマー(SIS)、及びSISを水素添加したスチレンエチレンプロピレンスチレンブロックコポリマー(SEPS)、スチレンイソプレンブタジエンイソプレンスチレンブロックコポリマー、及びそれを水素添加したスチレンエチレンエチレンプロピレンスチレンブロックコポリマー(SEEPS)、スチレンビニルイソプレンスチレンブロックコポリマー、及びその水素添加物、スチレンイソブチレンスチレンブロックコポリマー、スチレンブタジエンブロックコポリマー、及びその水素添加物、スチレンイソブチレンブロックコポリマー、及びその水素添加物などが挙げられ、単独で用いてもよいが、混合して用いることもできる。ポリスチレン系熱可塑性エラストマーは、その平均分子量は、高い方が好ましい。また、プロセスオイルなどで油展して用いてもよい。ポリスチレン系熱可塑性エラストマーは、架橋反応を行わずにそのまま用いられる。
【0023】
ポリマー組成物100重量部あたり、(A1)ポリオレフィンは70〜90重量部、(A2)ゴム成分及び/またはポリスチレン系熱可塑性エラストマーは30〜10重量部が好ましい。
なお、(A1)のポリオレフィンにポリプロピレンとポリエチレンを用い、(A2)をゴム成分とする場合、ポリプロピレンが45〜70重量部、ポリエチレンが33〜5重量部(ポリプロピレンとポリエチレンの合計量は75〜85重量部)、ゴム成分が15〜25重量部であるのが好ましい。
【0024】
また、ポリマー組成物にノニオン系界面活性剤を配合してもよい。ノニオン系界面活性剤としては、ポリオキシエチレン(ポリオキシプロピレン)アルキルエーテルなどのアルキルポリエーテル類、ポリオキシエチレン(ポリオキシプロピレン)脂肪酸エステルなどの脂肪酸ポリエーテルエステル類、ジポリオキシエチレン(ジポリオキシプロピレン)アルキルアミン、例えばジ(ジオキシエチレン)ステアリルアミンなど、ポリオキシエチレン(ポリオキシプロピレン)ジアルキルアミン、ポリオキシエチレン(ポリオキシプロピレン)アルキルアルキレンジアミンなどのアルキルポリエーテルアミン類、ポリオキシエチレン(ポリオキシプロピレン)ソルビタンエステル、ソルビタンアルキルエステルなどのソルビタンエステル類、ポリオキシエチレン(ポリオキシプロピレン)アルキルグリセリルエーテル、脂肪酸(ポリ)グリセリル、例えばステアリン酸モノグリセリル、ポリオキシエチレン(ポリオキシプロピレン)脂肪酸グリセリルなどのアルキルグリセリルポリエーテルまたはエステル類、脂肪酸(ジ)エタノールアミドなどのアルカノールアミド類や、それら複数の混合物などが挙げられる。アルキル、脂肪酸、及びアルキレンの炭素数は、ポリオレフィン系ポリマー組成物との相溶性の点から、10以上の炭素数が好ましく、例えばC12(ラウリルまたはラウリレートなど)、C18(ステアリルまたはステアレートなど)、C22(ベヘニルまたはベヘニレートなど)などが挙げられる。また、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレンなどのオキシアルキルの繰返し単位数は、1〜20が好ましく、更には10以下である。ポリグリセリルの繰り返し単位数も、1〜20が好ましく、更には10以下である。
更には、アルキルポリエーテルアミン、脂肪酸グリセリル、脂肪酸(ジ)エタノールアミドから選ばれた1種または混合物が好ましく使用でき、またステアリルアルコールなどの高級アルコールなどを添加してもよい。
一方、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤は、連続気泡化が得られなかったり、分解性が悪かったり、蛋白変性、皮膚障害など毒性が高く人体・環境汚染問題が発生したりする問題がある。
【0025】
ノニオン系界面活性剤を配合する場合、ノニオン系界面活性剤の量は、ポリマー組成物100重量部当たり0.2〜10重量部が好ましく、より好ましくは0.3〜5重量部、さらに好ましくは0.5〜3重量部である。
【0026】
任意に配合する成分として、得られる発泡体に適切な性質を与え、または発泡体の作製や加工を容易にするために、流動パラフィン、炭化水素系プロセスオイル、高級脂肪酸グリセリンエステル、高級脂肪酸アミドのような滑剤;リン酸エステル、リン酸メラミンまたはリン酸ピペラジン、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、酸化アンチモン、炭酸亜鉛、塩素化パラフィン、ヘキサクロロシクロペンタジエンのような難燃剤;芳香族アミン類、ベンゾイミダゾール類、ジチオカルバミン酸塩類、フェノール化合物、亜リン酸エステル類のような老化防止剤;2,6−ジ−t−ブチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、4,4′−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタンのような酸化防止剤;導電性カーボンブラック、銅粉、ニッケル粉、酸化スズのような導電材;カーボンブラック、有機顔料、染料、それらを含有するマスターバッチのような着色剤;ならびにシリカ、アルミナ、酸化チタンおよび前記の各種添加剤のうち充填剤の機能を有するもののような充填剤などを配合することができる。
【0027】
樹脂発泡体11は、非圧縮あるいは圧縮固定されたものの何れでもよいが、圧縮固定されたものがより好ましい。樹脂発泡体11の圧縮固定によって、光反射性をさらに高めることができる。樹脂発泡体11の圧縮固定は、樹脂発泡体を圧縮し、その後に冷却することにより、圧縮時の厚みを固定する。加熱温度を140〜160℃にし、ロールによる熱圧縮加工を行う。ロールの送出し速度は、4〜6m/minが好ましい。また、成形後の厚み/元厚み×100で計算される圧縮率(%)は、40%以下が好ましく、より好ましくは10〜30%である。ロール間のクリアランスは、0.4mm以上が好ましい。
【0028】
樹脂発泡体11は、単層(1層)あるいは複層(2層以上)からなる。複層の場合、複数の樹脂発泡体を重ねた状態で熱圧縮し、その際の融着によって一体化させ、圧縮固定する。
【0029】
非圧縮あるいは圧縮固定された樹脂発泡体11からなる光反射板10の厚みは、適宜決定されるが、0.2〜2.0mmが好ましい。
【0030】
図2に示す第2実施形態の光反射板20は、前記の樹脂発泡体11の表面に光反射樹脂フィルム21が積層されている。樹脂発泡体11は、第1実施形態の光反射板10の場合と同様であり、非圧縮あるいは圧縮固定されたものの何れでもよく、また単層(1層)あるいは複層(2層以上)の何れでもよい。
【0031】
光反射樹脂フィルム21を、光反射板20の片面に設けて、光反射樹脂フィルム21の存在しない側の表面から樹脂発泡体11内に進入した光を反対側の表面の光反射樹脂フィルム21によって反射させ、光反射板20の反射性を高めるのが好ましい。
【0032】
光反射樹脂フィルム21としては、樹脂に白色顔料が分散し、又は樹脂フィルムに金属層が蒸着されて光反射性が付与されたものが好ましい。白色顔料の例として、酸化チタンが挙げられる。また、樹脂フィルムを構成する樹脂としては、塩化ビニル樹脂やオレフィン系樹脂などの熱可塑性樹脂が好ましい。なお、難燃性向上の点からは、塩化ビニル樹脂が好ましい。また、白色顔料の含有量は、1〜10重量部が好ましい。光反射樹脂フィルム21の厚みは50〜200μmが好ましい。光反射樹脂フィルム21の厚みが薄過ぎると光透過性が大きくなり、逆に厚すぎると光拡散性が小さくなる。
【0033】
光反射樹脂フィルム21を樹脂発泡体11に積層する方法としては、ダイレクトラミネート、ホットメルトラミネート、押出ラミネートのいずれでもよい。
ダイレクトラミネートは、押出機から押し出した樹脂発泡体11の上に、光反射樹脂をフィルム状に押出して直接積層する方法である。
ホットメルトラミネートは、積水フーラー株式会社 オレフィン系ホットメルト JM−5009−F である。
押出ラミネートは、サンアロマー株式会社 PA03Aを使用した。
なお、前記樹脂発泡体11が圧縮固定されたものである場合、前記樹脂発泡体11の圧縮固定は、光反射樹脂フィルム21の積層前あるいは積層後のいずれでもよい。
【実施例】
【0034】
<第1実施形態の実施例>
図1に示した樹脂発泡体11からなる第1実施形態の光反射板10について、その実施例を次に示す。
ポリプロピレンとしてホモポリプロピレン、融点;162℃、品名;EA9、日本ポリプロ社製、50重量部と、ポリエチレンとして低密度ポリエチレン、融点;110℃、品名;NUC8042、NUC社製、33重量部と、ゴム成分としてEPDM、17重量部とからなるポリマー組成物を用い、超臨界発泡成形法を用いる押出成形により、厚み1.8mm、0.9mmの2種類の樹脂発泡体を形成し、図4に示す層構成からなる実施例1〜6の光反射板を構成した。
【0035】
また、ポリプロピレンとしてランダムポリプロピレン、融点;160℃、品名;PC630S、サンアロマー社製、70重量部と、ポリエチレンとして低密度ポリエチレン、融点;110℃、品名;NUC8042、NUC社製、5重量部と、ポリスチレン系熱可塑性エラストマーとして、SEBS;スチレンブタジエントリブロックポリマーの水素添加物(スチレン比率20%、数平均分子量10万)、品名;タフテック H1062、旭化成社製、25重量部とからなるポリマー組成物を用いた。前記ポリマー組成物を、超臨界発泡成形法を用いる押出成形により、厚み1.8mmの樹脂発泡体を形成し、図4に示す層構成からなる実施例7の光反射板を構成した。実施例7は、実施例1〜6のEPDM(ゴム成分)に代えて、ポリスチレン系熱可塑性エラストマー(SEBS)を配合した場合の一例である。
【0036】
また、比較例1の光反射板として超微細発泡光反射板、品名;:MCPET、古河電機工業社製と、比較例2の光反射板として反射用フィルム、品名;:ルミラーE60V、東レ社製を用意した。
【0037】
各実施例の光反射板と各比較例の光反射板について、300〜780μmの波長領域にて光反射率を測定した。光反射率の測定は、紫外可視近赤外分光光度計 V−650(日本分光社製)を使用し、測定波長範囲:300〜780nm、光源:重水素(D2)ランプおよびタングステン(WI)ランプ、標準白色板:硫酸バリウムを用いた。サンプル数は3である。
【0038】
実施例1は、成形後の厚みが1.8mm、圧縮固定が無、層構成が元厚み1.8mmの単層であり、光反射率の最大値(MAX)が92.49%、最小値(MIN)が82.10%、最大値と最小値の差(R)が10.39、光反射率の平均が89.87%、標準偏差σが2.09、標準偏差3σが6.27である。
【0039】
実施例2は、成形後の厚みが0.9mm、圧縮固定が無、層構成が元厚み0.9mmの単層であり、光反射率のMAXが83.02%、MINが77.81%、Rが5.20、光反射率の平均が80.23%、標準偏差σが1.14、標準偏差3σが3.42である。
【0040】
実施例3は、成形後の厚みが0.5mm、圧縮固定が有り、層構成が元厚み1.8mmの単層、圧縮率が28%であり、光反射率のMAXが93.81%、MINが83.90%、Rが9.91、光反射率の平均が91.09%、標準偏差σが1.87、標準偏差3σが5.61である。
【0041】
実施例4は、成形後の厚みが0.25mm、圧縮固定が有り、層構成が元厚み1.8mmの単層、圧縮率が14%であり、光反射率のMAXが91.70%、MINが81.28%、Rが10.43、光反射率の平均が87.99%、標準偏差σが1.82、標準偏差3σが5.46である。
【0042】
実施例5は、成形後の厚みが0.5mm、圧縮固定が有り、層構成が元厚み1.8mm+1.8mmの2層、圧縮率が13%であり、光反射率のMAXが98.12%、MINが84.59%、Rが13.53、光反射率の平均が94.92%、標準偏差σが2.71、標準偏差3σが8.13である。
【0043】
実施例6は、成形後の厚みが0.25mm、圧縮固定が有り、層構成が元厚み1.8mm+0.9mmの2層、圧縮率が9%であり、光反射率のMAXが88.11%、MINが74.57%、Rが13.54、光反射率の平均が84.76%、標準偏差σが2.58、標準偏差3σが7.73である。
【0044】
実施例7は、成形後の厚みが0.5mm、圧縮固定が有り、層構成が元厚み1.8mmの単層、圧縮率が28%であり、光反射率のMAXが5.76%、MINが35.59%、Rが46.16、光反射率の平均が80.35%、標準偏差σが10.64、標準偏差3σが31.91である。
【0045】
比較例1は、厚み0.5mm、光反射率のMAXが98.87%、MINが−3.95%、Rが102.82、光反射率の平均が80.84%、標準偏差σが34.84、標準偏差3σが104.51である。なお、光反射率の最小値(MIN)がマイナスの値であるのは光が透過していることを示唆している。
【0046】
比較例2は、厚み0.25mm、光反射率のMAXが100.98%、MINが4.52%、Rが96.46、光反射率の平均が81.62%、標準偏差σが33.79、標準偏差3σが101.36である。
【0047】
実施例1〜7の光反射板は、比較例1〜2の光反射板に比べ、300〜780μmの波長領域で光反射率の平均値が同等あるいはそれ以上であり、光反射性に優れている。さらに、実施例1〜7の光反射板は、比較例1〜2の光反射板よりも光反射率の標準偏差3σが小さいことから、反射した光が均一な照度で散乱しており、良質な反射光が得られる。
【0048】
また、実施例1〜6におけるポリプロピレンとポリエチレンの配合割合を変化させて、図5に示す実施例8〜12の樹脂発泡体からなる光反射板を形成した。ポリプロピレンであるホモポリプロピレンは、45〜65重量部、ポリエチレンである低密度ポリエチレンは、20〜40重量部、ゴム成分としてEPDMは、15〜35重量部で変量した。いずれも厚み1.8mmで圧縮固定することなく光反射率を測定したところ、いずれも光反射率のMAX(最大値)は90%以上であり、MIN(最小値)は80%以上、3σは10以下であった。なお、実施例12のブロックポリプロピレンは、融点162℃、品名;EC9、日本ポリプロ社製である。
【0049】
なお、実施例1〜12の樹脂発泡体(圧縮前)について、厚み方向に沿って切断した断面をマイクロスコープにより撮影し、得られた画像から気泡の直径を30個測定し、平均した値は何れも5〜250μmであり、かつ、樹脂発泡体の表面から内部に向かって気泡径が大になっていた。
【0050】
<第2実施形態の実施例>
図2に示した樹脂発泡体11と光反射樹脂フィルム21との積層体からなる第2実施形態の光反射板20について、その実施例を次に示す。
第1実施形態の実施例1〜6と同じ配合のポリマー組成物から、超臨界発泡成形法を用いる押出成形により、厚み1.8mm、0.9mmの2種類の樹脂発泡体を形成し、その樹脂発泡体に、光反射樹脂フィルムをダイレクトラミネートによって積層し、図6に示す実施例13〜17の光反射板を得た。樹脂発泡体の圧縮固定が必要な実施例については、光反射樹脂フィルム積層後の樹脂発泡体に対して圧縮固定を行った。なお、図6には、比較のため、光反射樹脂フィルム非積層である第1実施形態の実施例1、3、5、7及び比較例1、2についても示した。
【0051】
光反射樹脂フィルムとしてA、B、Cの3種類を用いた。光反射樹脂フィルムAは、白色顔料が10重量%配合されたポリプロピレン樹脂のフィルム、厚み100μm、アイシート社製 試作品である。光反射樹脂フィルムBは、塩化ビニル樹脂のフィルム、厚み60μm、品名;ディフューザーフィルム 3635−70、3M社製である。光反射樹脂フィルムCは、酸化チタンが塩化ビニル樹脂のフィルム、厚み60μm、品名;ディフューザーフィルム 3635−300、3M社製である。
【0052】
実施例13〜17の光反射板について、300〜780μmの波長領域にて光反射率を測定した。光反射率の測定は、紫外可視近赤外分光光度計 V−650(日本分光社製)を使用し、測定波長範囲:300〜780nm、光源:重水素(D2)ランプおよびタングステン(WI)ランプ、標準白色板:硫酸バリウムを用いた。サンプル数は3である。光反射率に基づいて光反射性を評価した。光反射率が300nm、555nm、780nmの各領域の全ての領域で80%以上の場合は評価「◎」、光反射率が300nm、555nm,780nmの各領域の全ての領域で30%以上であって、かつ、いずれかの領域で80%未満である場合は評価「〇」、光反射率が300nm、555nm,780nmの各領域のいずれかの領域で30%未満である場合は評価「×」とした。
【0053】
また、実施例13〜17の光反射板と、第1実施形態の実施例1、3、5、7及び比較例1、2について、難燃性を測定した。難燃性の測定は、難燃規格UL94のHBF試験に基づいて行い、HBF試験の判定基準を満足するもの(100mm標線間の燃焼速度が40mm/分以下、または、燃焼距離が125mm未満)を合格、:HBF試験の判定基準を満たさないものを不合格とした。
【0054】
実施例13は、光反射樹脂フィルムA、光反射樹脂フィルムの厚み100μmであり、樹脂発泡体は、実施例3と同様であり、成形後の厚みが0.5mm、圧縮固定が有り、層構成が元厚み1.8mmの単層、圧縮率が28%である。
実施例13の光反射率は、300nmが85%、555nmが97%、780nmが98%であり、光反射性の評価が「◎」、難燃性の判定が「合格」であった。
実施例13の光反射板は、樹脂発泡体が同じ構成で、光反射樹脂フィルムが非積層の実施例3の光反射板と比べて光反射率が高く、かつ難燃性に優れていた。
【0055】
実施例14は、光反射樹脂フィルムA、光反射樹脂フィルムの厚み100μmであり、樹脂発泡体は、実施例5と同様であり、成形後の厚みが0.5mm、圧縮固定が有り、層構成が元厚み1.8mm+1.8mmの2層、圧縮率が13%である。
実施例14の光反射率は、300nmが85%、555nmが98%、780nmが99%であり、光反射性の評価が「◎」、難燃性の判定が「合格」であった。
実施例14の光反射板は、樹脂発泡体が同じ構成で、光反射樹脂フィルムが非積層の実施例5の光反射板と比べて光反射率が高く、かつ難燃性に優れていた。
【0056】
実施例15は、光反射樹脂フィルムB、光反射樹脂フィルムの厚み70μmであり、樹脂発泡体は、実施例3と同様であり、成形後の厚みが0.5mm、圧縮固定が有り、層構成が元厚み1.8mmの単層、圧縮率が28%である。
実施例15の光反射率は、300nmが94%、555nmが98%、780nmが98%であり、光反射性の評価が「◎」、難燃性の判定が「合格」であった。
実施例15の光反射板は、樹脂発泡体が同じ構成で、光反射樹脂フィルムが非積層の実施例3の光反射板と比べて光反射率が高く、かつ難燃性に優れていた。
【0057】
実施例16は、光反射樹脂フィルムB、光反射樹脂フィルムの厚み70μmであり、樹脂発泡体は、実施例5と同様であり、成形後の厚みが0.5mm、圧縮固定が有り、層構成が元厚み1.8mm+1.8mmの2層、圧縮率が13%である。
実施例16の光反射率は、300nmが85%、555nmが98%、780nmが99%であり、光反射性の評価が「◎」、難燃性の判定が「合格」であった。
実施例16の光反射板は、樹脂発泡体が同じ構成で、光反射樹脂フィルムが非積層の実施例5の光反射板と比べて光反射率が高く、かつ難燃性に優れていた。
【0058】
実施例17は、光反射樹脂フィルムC、光反射樹脂フィルムの厚み30μmであり、樹脂発泡体は、実施例3と同様であり、成形後の厚みが0.5mm、圧縮固定が有り、層構成が元厚み1.8mmの単層、圧縮率が28%である。
実施例16の光反射率は、300nmが83%、555nmが95%、780nmが95%であり、光反射性の評価が「◎」、難燃性の判定が「合格」であった。
実施例16の光反射板は、樹脂発泡体が同じ構成で、光反射樹脂フィルムが非積層の実施例3の光反射板と比べて光反射率が高く、かつ難燃性に優れていた。
【0059】
なお、図6に示すように、光反射樹脂フィルム非積層の実施例1、3、5、7は、何れも難燃性が「不合格」となった。また、比較例1、2は、難燃性については「合格」になったが、300nmの光反射性に劣り、光反射性の評価が「×」であった。
【0060】
このように、本発明の光反射板は、光反射性に優れ、良質な反射光が得られる。
優れた光反射性を有する本発明の光反射板は、光が筐体内で反射拡散するバックライト方式の面照射装置に好適である。
【符号の説明】
【0061】
10、20 光反射板
11 樹脂発泡体
13 気泡
15 スキン層
21 光反射樹脂フィルム

図1
図2
図3
図4
図5
図6