【解決手段】電子機器10は、本体筐体16とディスプレイ筐体14との間を回動可能に連結するヒンジ装置12と、ヒンジ装置12の少なくとも一部と重なる位置で本体筐体16の底面16bに設けられ、底面16bの一部をその一縁部から他縁部側へと欠落させた切欠形状部46と、切欠形状部46の一部を覆うように設けられた樹脂製の支持台48と、支持台48に設けられ、切欠形状部46を通して本体筐体16の底面16bから突出するゴム足40と、を備える。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来、ゴム足は、電子機器の筐体の底面に設けた取付部に対して直接的に貼り付けていた。ところが、ゴム足の取付部は、凹凸を持った複雑な形状であることが多く、筐体の製造コストを増加させている。特に、軽量且つ高強度に構成するため、筐体がマグネシウム等の金属材料で構成される場合、ゴム足の取付部の製造に要する金型コストが増加する。
【0005】
また、上記のような電子機器は、通常、無線LAN(Local Area Network)や無線WAN(Wide Area Network)等の各種無線通信用のアンテナ装置を搭載している。アンテナ装置は、周囲が電波透過性を有する樹脂材料等で構成されている必要がある。ところが、例えば筐体が上記のような金属製の場合、ゴム足は電波透過性を有するものの、これを取り付けた底面全体が金属製のため、アンテナ装置の通信品質の向上に寄与することができない。
【0006】
本発明は、上記従来技術の課題を考慮してなされたものであり、製造コストを低減でき、アンテナ装置が搭載された構成の場合にはその通信品質を向上させることができる電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1態様に係る電子機器は、電子機器であって、第1筐体と、第2筐体と、前記第1筐体と前記第2筐体との間を回動可能に連結するヒンジ装置と、前記ヒンジ装置の少なくとも一部と重なる位置で前記第1筐体の底面に設けられ、前記底面の一部をその一縁部から他縁部側へと欠落させた切欠形状部と、前記切欠形状部の一部を覆うように設けられた樹脂製の支持台と、前記支持台に設けられ、前記切欠形状部を通して前記第1筐体の前記底面から突出するゴム足と、を備える。
【0008】
このような構成によれば、ゴム足の設置に際し、第1筐体の底面に切欠形状部と樹脂製の支持台を設ければよく、第1筐体の底面に直接的にゴム足を取り付けるための複雑な凹凸形状等を形成する必要がない。このため、当該電子機器は、筐体の製造コストを低減することができる。なお、当該電子機器は、アンテナ装置を搭載した構成としてもよい。この場合、例えば第1筐体の底面が金属製であったとしても、アンテナ装置が送受信する電波を切欠形状部と、ここに配置される樹脂製の支持台及びゴム足とで透過させることができ、良好な通信品質を得ることができる。
【0009】
電波を送受信するアンテナ装置を備え、前記アンテナ装置は、前記切欠形状部と重なる位置に配置された構成としてもよい。
【0010】
前記ヒンジ装置は、ヒンジ軸と、前記ヒンジ軸を回転可能に支持する軸受部と、樹脂材料で形成され、内部に前記軸受部を収容するヒンジ筐体と、を有し、前記ヒンジ装置は、少なくとも前記ヒンジ筐体が前記切欠形状部と重なる位置に配置され、前記アンテナ装置は、前記ヒンジ筐体の内部に収容された構成としてもよい。そうすると、アンテナ装置は、その一面側には部材が配置されず、その他面側は切欠形状部と支持台及びゴム足とで電波透過性が確保された配置構造となる。このため、アンテナ装置は、より高い通信品質を確保することができる。
【0011】
前記ヒンジ装置は、ヒンジ軸と、前記ヒンジ軸を回転可能に支持する軸受部と、樹脂材料で形成され、内部に前記軸受部を収容するヒンジ筐体と、を有し、前記ヒンジ筐体は、前記第1筐体に対して相対移動可能に設けられ、前記切欠形状部は、前記ヒンジ筐体が前記第1筐体に干渉することを回避するための逃げ部で構成されてもよい。
【0012】
前記ヒンジ装置は、ヒンジ軸と、前記ヒンジ軸を回転可能に支持する軸受部と、内部に前記軸受部を収容するヒンジ筐体と、を有し、前記ヒンジ筐体は、前記第1筐体に対して相対移動可能に設けられ、前記切欠形状部は、前記ヒンジ筐体が前記第1筐体に干渉することを回避するための逃げ部であってもよい。そうすると、ヒンジ筐体の筐体への干渉回避用の逃げ部を利用してゴム足を設置することができる。
【0013】
前記切欠形状部は、前記第1筐体の前記底面を構成する筐体部材に形成されており、前記支持台は、前記筐体部材の内面に固定される固定部と、前記固定部から前記切欠形状部に向かって延びることで、前記切欠形状部の一部を覆うように形成され、前記ゴム足が設けられる脚支持部と、を有する構成としてもよい。そうすると、支持台は、第1筐体の底面を構成する筐体部材とは別部品として製造しておき、後工程で必要な位置に固定するだけでよい。このため、部品の共通化によるコスト削減が可能となる。
【0014】
前記第1筐体の前記底面は、金属材料で形成された第1筐体部材と、樹脂材料で形成され、前記第1筐体部材の縁部に接合された第2筐体部材と、を有し、前記切欠形状部及び前記支持台は、前記第2筐体部材に形成された構成としてもよい。そうすると、第1筐体部材の縁部に例えばインサート成形によって接合された樹脂製の第2筐体部材を介してゴム足を支持することができる。このため、金属製の第1筐体部材の縁部のうち、例えば支持台以外の部分にも樹脂製の第2筐体部材を設ける必要がある場合等に有効に利用できる。
【0015】
前記支持台は、前記ゴム足の設置面の裏面に設けられ、前記第1筐体の上面を構成する上部筐体部材に向かって突出した支柱部材を有し、前記支柱部材は、前記上部筐体部材に当接した構成としてもよい。そうすると、ゴム足に対する外力や衝撃を支柱部材を介してより確実に受け止めることができ、ゴム足の支持強度が向上する。
【発明の効果】
【0016】
本発明の上記態様によれば、製造コストを低減でき、アンテナ装置が搭載された構成の場合にはその通信品質を向上させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係る電子機器について好適な実施の形態を挙げ、添付の図面を参照しながら詳細に説明する。
【0019】
図1は、第1の実施形態に係る電子機器10の平面図である。
図1は、ヒンジ装置12によってディスプレイ筐体14を本体筐体16から開いた状態(使用形態)を示している。
【0020】
本実施形態の電子機器10は、ノート型PC及びタブレット型PCとして使用可能なコンバーチブル型PCである。ディスプレイ筐体14は、本体筐体16に対してディスプレイ18を閉じた0度位置(
図4A参照)から反転した360度位置(
図4B参照)まで回動可能である。電子機器10は、ディスプレイ筐体14を本体筐体16に対して90度〜180度程度の角度位置に回動させた状態ではノート型PCとして好適に使用できるノートモードとなる(
図1参照)。電子機器10は、ディスプレイ筐体14を本体筐体16に対して360度位置まで回動させた状態ではタブレット型PCとして好適に使用できるタブレットモードとなる(
図4B参照)。電子機器10は、ディスプレイ筐体14を本体筐体16に対して0度〜180度程度の角度範囲で回動可能な一般的なノート型PCでもよい。電子機器10はコンバーチブル型PCやノート型PC以外、例えば携帯電話、スマートフォン又は電子手帳等、2つの筐体を回動可能に連結した構成であれば好適に適用できる。
【0021】
以下、
図1に示すノートモードを基準とし、ディスプレイ18を視認しながらキーボード装置20を操作する使用者から見た方向で、手前側を前、奥側を後と呼び、本体筐体16の厚み方向を上下、幅方向を左右と呼んで説明する。
【0022】
電子機器10は、ディスプレイ筐体14の下端部と本体筐体16の後端部とを左右一対のヒンジ装置12,12によって回動可能に連結した構成である。
【0023】
ディスプレイ筐体14は、薄い矩形状の箱体である。ディスプレイ18は、ディスプレイ筐体14の前面に設けられている。ディスプレイ18は、例えばタッチパネル式の液晶ディスプレイである。
【0024】
本体筐体16は、薄い矩形状の箱体である。本体筐体16の上面には、キーボード装置20、ポインティングスティック22、及びタッチパッド23が設けられている。本体筐体16の内部には、マザーボード39(
図3参照)、演算装置、及びメモリ等の各種電子部品が収納されている。
【0025】
図2は、ヒンジ装置12に対するアンテナ装置24の取付構造の一例を示す分解斜視図である。
【0026】
図2に示すように、ヒンジ装置12は、第1ヒンジ軸26と、第2ヒンジ軸27と、軸受部28と、ヒンジ筐体30とを備える。第1ヒンジ軸26、第2ヒンジ軸27、及び軸受部28は、ステンレスやスチール、アルミニウム等の金属材料で形成されている。ヒンジ筐体30は、電波透過性を有する材料、例えばポリフェニレンサルファイド(PPS)等の樹脂材料で形成されている。左右のヒンジ装置12,12は、左右対称構造である以外は同一構造である。アンテナ装置24は、左右のヒンジ装置12,12のそれぞれのヒンジ筐体30内に収容されている(
図1参照)。アンテナ装置24は、左右一方のヒンジ装置12のみに設けられてもよい。
【0027】
第1ヒンジ軸26は、左右方向に延びたピン状部材である。第1ヒンジ軸26の一端部は、軸受部28で回転可能に支持されている。第1ヒンジ軸26の他端部は、ヒンジ筐体30の外部へと突出し、第1筐体取付部材32を介して本体筐体16に固定されている。これにより本体筐体16は、第1ヒンジ軸26と一体に構成され、軸受部28に対して相対的に回転可能である。
【0028】
第2ヒンジ軸27は、左右方向に延びたピン状部材である。第2ヒンジ軸27の一端部は、軸受部28で回転可能に支持されている。第2ヒンジ軸27の他端部は、ヒンジ筐体30の外部へと突出し、第2筐体取付部材33を介してディスプレイ筐体14に固定されている。これによりディスプレイ筐体14は、第2ヒンジ軸27と一体に構成され、軸受部28に対して相対的に回転可能である。
【0029】
軸受部28は、ヒンジ筐体30の断面形状と略同一の断面形状を有するブロック状部材である。軸受部28は、各ヒンジ軸26,27をそれぞれ回転可能に支持している。軸受部28の内部には、第1ヒンジ軸26の回転と第2ヒンジ軸27の回転とを同期させるギヤ機構が収納されている。ヒンジ装置12は、ヒンジ軸26,27が同期回転する構成ではなく、ディスプレイ筐体14の回動範囲に応じて回転軸を切り替える構成としてもよい。軸受部28には、ヒンジ軸26,27に所定の回転トルクを発生させるトルク発生機構が連結されている。
【0030】
ヒンジ筐体30は、各ヒンジ軸26,27と、軸受部28と、アンテナ装置24とを収容する筒状のキャップである。ヒンジ筐体30は、略楕円形状の断面形状を有する。ヒンジ筐体30は、ディスプレイ筐体14及び本体筐体16の後端部に設けられた凹状のヒンジ配置部14a,16aに配置され(
図3参照)、ヒンジ配置部14a,16a内で回動する。
【0031】
ヒンジ筐体30は、筒状の内部空間の左右方向略中央部が取付板30aで仕切られている。ヒンジ筐体30は、取付板30aの貫通孔を挿通したねじ部品36を用いて軸受部28と締結される。ねじ部品36の頭部には、雌ねじが形成されている。この頭部の雌ねじには、ねじ38を用いてアンテナ装置24が締結される。これによりヒンジ筐体30及びアンテナ装置24は、軸受部28と一体に構成され、各ヒンジ軸26,27に対して相対回転可能となる。
【0032】
アンテナ装置24は、例えば無線LANの電波を送受信するアンテナである。アンテナ装置24は、無線LAN以外、無線WAN等に対応したものでもよい。アンテナ装置24は、樹脂製のホルダ部品24aにアンテナエレメント24bを設けた構成である。アンテナエレメント24bは、電波の送受信を行うための導電パターンである。アンテナエレメント24bは、例えばスクリーン印刷や貼付等によってホルダ部品24aの表面に設けられている。本実施形態では、アンテナエレメント24bは、ホルダ部品24aの後方を向いた外面に設けられている。アンテナ装置24には、グランドエレメントも設けられている。ホルダ部品24aは、ねじ38の締結部にグランドエレメントをねじ部品36を介して軸受部28と電気的に接続するための金属板24cが装着されている。つまりグランドエレメントは、金属板24c、ねじ38、ねじ部品36、軸受部28、ヒンジ軸26,27、筐体取付部材32,33を介して本体筐体16及びディスプレイ筐体14と電気的に接続されている。これによりアンテナ装置24は、フレームグランドされている。アンテナエレメント24bは、本体筐体16内のマザーボード39や通信回路等とアンテナケーブル24dを介して電気的に接続される。
【0033】
図3は、0度位置にした電子機器10のヒンジ装置12に重なる位置を上下方向及び前後方向に沿う平面で切断した要部拡大断面図である。
図4Aは、
図3に示す電子機器10の側面断面図である。
図4Bは、
図4Aに示す電子機器10を360度位置にした状態での側面断面図である。
【0034】
図3、
図4A及び
図4Bに示すように、本体筐体16の底面16bには、ゴム足40が設けられている。ゴム足40は、左右のヒンジ装置12,12のそれぞれに近接するように左右一対設けられている(
図1参照)。ゴム足40は、例えば左右方向に延びた断面略ドーム形状に形成されたゴム部材である。底面16bには、その前縁部にも左右一対のゴム足42,42が設けられている。ゴム足42は、例えば前後方向に延びた断面略ドーム形状のゴム部材である。ゴム足40,42は、電子機器10を机上等に載置した際、机の天板に当接するクッション材である。
【0035】
本体筐体16は、底面16bを構成する下部筐体部材44と、上面を構成する上部筐体部材45とを連結して箱状に形成されている。下部筐体部材44は、例えばマグネシウム等の金属材料や樹脂材料で形成されたプレート状部材である。本実施形態の下部筐体部材44は、マグネシウムで形成されている。上部筐体部材45は、例えばマグネシウム等の金属材料や樹脂材料等で形成されたプレート状部材である。ディスプレイ筐体14は、ディスプレイ18のベゼルとして機能する前部筐体部材14bと、背部筐体部材14cとを連結して箱状に形成されている。
【0036】
下部筐体部材44には、切欠形状部46と、支持台48とが設けられている。
【0037】
切欠形状部46は、下部筐体部材44の後縁部44aの一部を前側に切り欠くことで、下部筐体部材44の一部を欠落させたものである。切欠形状部46は、左右一対設けられ、それぞれ左右のヒンジ配置部16aの一部を構成している。これにより切欠形状部46は、ヒンジ筐体30に収容されたアンテナ装置24と上下方向で重なる位置に配置されている。つまり切欠形状部46は、本体筐体16に対して相対的に回動するヒンジ筐体30が本体筐体16に対して干渉することを回避するための逃げ部として機能する。切欠形状部46は、後縁部44aの一部をヒンジ筐体30の厚みの2倍程度切り欠いた構造であり、平面視で略矩形状を成している。
【0038】
図5は、下部筐体部材44の一部を拡大した平面図であり、下部筐体部材44を内面44b側から見た図である。支持台48は、電波透過性を有する樹脂材料で形成されている。
図3〜
図5に示すように、支持台48は、固定部50と、脚支持部52と、支柱部材54とを有する。
【0039】
固定部50は、切欠形状部46の左右縁部と前縁部の3方を囲むように設けられ、下部筐体部材44の内面44bに固定されるフランジ部である。固定部50は、例えば接着剤やねじ等で内面44bに固定される。
【0040】
脚支持部52は、固定部50から切欠形状部46に向かって張り出すように延びることで、切欠形状部46の一部を覆うベランダ状のプレート部である。脚支持部52は、固定部50から上方(上部筐体部材45側)へと屈曲した後、内面44bと平行に延在している。これにより脚支持部52は、切欠形状部46による下部筐体部材44の欠落領域の一部(略前半分の領域)を覆っている。脚支持部52の下面(設置面52a)には、ゴム足40が設けられている。ゴム足40は、例えば接着剤や両面テープ等によって設置面52aに固定される。ゴム足40は、切欠形状部46の略前半分の領域を埋めるように設けられ、切欠形状部46を通って底面16bから下方に突出している。切欠形状部46の略後半分の領域には、ヒンジ筐体30が配置されている。支持台48は、ゴム足40と2色成形等によって一体に成形してもよい。なお、ゴム足40は、ヒンジ筐体30と略一の幅寸法で構成されるため、シンプル且つ良好な外観品質が得られる。
【0041】
支柱部材54は、設置面52aの裏面から上方(上部筐体部材45側)へと突出した壁状のリブである。支柱部材54の頂部は、上部筐体部材45の内面から下方へと突出した受け部54aに当接している。受け部54aは省略されてもよい。この場合、支柱部材54は、上部筐体部材45の内面に直接的に当接させればよい。支柱部材54は、切欠形状部46による欠落領域内で後縁部が浮いた状態にある脚支持部52を支持し、ゴム足40に対する外力や衝撃をより確実に受け止めるための補強部材である。支柱部材54は、省略されてもよい。
【0042】
以上のように、本実施形態の電子機器10は、ヒンジ装置12と、本体筐体16の底面16b(下部筐体部材44)に設けられ、その一縁部を凹ませた形状を有する切欠形状部46と、切欠形状部46に張り出すように設けられた樹脂製の支持台48と、ゴム足40とを備える。ゴム足40は、支持台48に設けられ、切欠形状部46を通して本体筐体16の底面16bから突出している。
【0043】
従って、当該電子機器10では、ゴム足40の設置に際し、本体筐体16の底面16b(下部筐体部材44)に切欠形状部46と樹脂製の支持台48を設ければよく、底面16bに直接的にゴム足40を取り付けるための複雑な凹凸形状等を形成する必要がない。このため、当該電子機器10は、底面16bを成形するための金型の構造が簡素化され、製造コストを低減することができる。また、ゴム足40は、可及的に底面16bの後縁部44aに近接配置されるため、ディスプレイ筐体14を開いた際の重心に対する配置バランスもよい。
【0044】
しかも当該電子機器10は、アンテナ装置24をヒンジ筐体30に収容している。そして、本体筐体16の底面16b(下部筐体部材44)の後縁部44aに切欠形状部46を設け、この切欠形状部46をヒンジ筐体30を配置するヒンジ配置部14aの一部に用いている。つまりアンテナ装置24の下部前方には、切欠形状部46と、切欠形状部46にベランダ状に張り出した樹脂製の支持台48と、支持台48に設けられたゴム製のゴム足40とが配置されている。このため、アンテナ装置24は、その下部前方には金属材料のような電波を遮断する部材が配置されず、その後方には部材自体が配置されない設置構造となっている。その結果、アンテナ装置24は、高い通信品質で電波の送受信を行うことができる。
【0045】
なお、切欠形状部46は、ヒンジ筐体30と、支持台48及びゴム足40とで埋められるため、切欠形状部46の開口面積を拡大したとしても切欠形状部46が底面16bで目立つことがない。このため、切欠形状部46を可及的に拡大して、アンテナ装置24の電波透過窓の面積をより大きく確保することもできる。
【0046】
アンテナ装置24は、ヒンジ筐体30の内部に搭載せず、例えば本体筐体16内で他の位置に配置されてもよい。但し、この場合にも、アンテナ装置24は、支持台48及びゴム足40に重なる位置に設けられると、上記と同様に高い通信品質を得ることができる。
【0047】
支持台48は、下部筐体部材44の内面44bに固定される固定部50と、固定部50から切欠形状部46へと張り出すように延び、ゴム足40が設けられる脚支持部52とを有する。これにより支持台48は、例えば金属材料で形成された下部筐体部材44に対して後付けで固定することができる。このため、左右の切欠形状部46,46に対して、ユニット化された支持台48及びゴム足40をそれぞれ用いることができるため、部品共通化によるコスト削減が可能となる。
【0048】
図6は、第2の実施形態に係る電子機器10Aを0度位置にして、ヒンジ装置12に重なる位置を上下方向及び前後方向に沿う平面で切断した要部拡大断面図である。
図7は、
図6に示す電子機器10Aの下部筐体部材60の一部を拡大した平面図であり、下部筐体部材60を内面60a側から見た図である。第2の実施形態に係る電子機器10Aにおいて、上記第1の実施形態に係る電子機器10と同一又は同様な機能及び効果を奏する要素には同一の参照符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0049】
図6及び
図7に示すように、電子機器10Aは、上記した電子機器10の下部筐体部材44とは構成の異なる下部筐体部材60を備える。下部筐体部材60は、第1筐体部材62に第2筐体部材63を接合した構成である。
【0050】
第1筐体部材62は、例えばマグネシウム等の金属材料で形成されている。第2筐体部材63は、電波透過性を有する樹脂材料で形成され、第1筐体部材62の縁部62aの端面に対してインサート成形によって接合されている。
図7に示すように、第2筐体部材63は、例えば第1筐体部材62の後側の縁部62aだけでなく、前角部の縁部62aにも接合されている。
【0051】
第2筐体部材63には、切欠形状部46と、支持台64とが設けられている。支持台64は、上記した電子機器10の支持台48の固定部50とは構成が異なる固定部66を有する。固定部66は、第1筐体部材62の縁部62aの端面に接合されている。これにより固定部66は、第1筐体部材62と共に本体筐体16の底面16bの一部を構成している。
【0052】
以上のように、本実施形態の電子機器10Aでは、金属製の第1筐体部材62に対して樹脂製の第2筐体部材63をインサート成形によって接合している。そして、第2筐体部材63に支持台64を設け、この支持台64でゴム足40を支持している。
【0053】
従って、当該電子機器10Aにおいても、上記した電子機器10と同様に、底面16bの構造が簡素化されると共に、アンテナ装置24の通信品質を確保することができる。ところで、当該電子機器10Aの支持台64は、インサート成形による金型成形で形成されるため、上記した電子機器10の支持台48よりも製造コストは大きい。しかしながら、支持台64は、第1筐体部材62の縁部の端面に接合されるため、支持台48の固定部50のように下部筐体部材44の内面44bに重ねて配置されることがなく、本体筐体16の薄型化に貢献する。
【0054】
当該電子機器10Aは、第2筐体部材63を第1筐体部材62に対してインサート成形によって接合する構成となっている。このため、支持台64の形成工程と同時に、第1筐体部材62の周縁部に適宜樹脂製の第2筐体部材63を接合することができる。その結果、例えばアンテナ装置24とは別のアンテナ装置68を本体筐体16の前角部等に設置する際、このアンテナ装置68を樹脂製の第2筐体部材63に設けることができ、その通信品質を確保することができる。
【0055】
なお、本発明は、上記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で自由に変更できることは勿論である。
【0056】
上記では、ヒンジ装置12として2軸構造のものを例示した。しかしながら、ヒンジ装置12は、第1ヒンジ軸26又は第2ヒンジ軸27の一方のみを用いた1軸構造のものでもよい。