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特開2020-190995監視装置、監視システムおよび監視方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-190995(P2020-190995A)
(43)【公開日】2020年11月26日
(54)【発明の名称】監視装置、監視システムおよび監視方法
(51)【国際特許分類】
   G06F 11/07 20060101AFI20201030BHJP
【FI】
   G06F11/07 196
   G06F11/07 140R
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2019-96902(P2019-96902)
(22)【出願日】2019年5月23日
(71)【出願人】
【識別番号】000237592
【氏名又は名称】株式会社デンソーテン
(71)【出願人】
【識別番号】000005348
【氏名又は名称】株式会社SUBARU
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】久永 将人
(72)【発明者】
【氏名】木下 貴博
【テーマコード(参考)】
5B042
【Fターム(参考)】
5B042GA37
5B042GB08
5B042JJ15
5B042JJ23
5B042KK04
(57)【要約】
【課題】低コストに安全性を確保すること。
【解決手段】実施形態に係る監視装置は、要求部と、判定部と、リレー制御部とを備える。要求部は、第1の電池の充放電経路をオンまたはオフする第1のリレーを制御する一の装置に対し、汎用の通信線を介して周期的に、特定の命令に対する回答を要求する。判定部は、一の装置から上記通信線を介して受信した回答の正誤を判定する。リレー制御部は、判定部によって回答が誤回答であると判定された場合に、専用の信号線を介し、第1のリレーに第1の電池の充放電経路をオフさせる。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の電池の充放電経路をオンまたはオフする第1のリレーを制御する一の装置に対し、汎用の通信線を介して周期的に、特定の命令に対する回答を要求する要求部と、
前記一の装置から前記通信線を介して受信した前記回答の正誤を判定する判定部と、
前記判定部によって前記回答が誤回答であると判定された場合に、専用の信号線を介し、前記第1のリレーに前記第1の電池の充放電経路をオフさせるリレー制御部と
を備えることを特徴とする監視装置。
【請求項2】
前記要求部は、
前記命令として前記一の装置の演算機能を利用する演算命令を前記一の装置へ送信する
ことを特徴とする請求項1に記載の監視装置。
【請求項3】
前記要求部は、
前記演算命令を毎回異ならせて前記一の装置へ送信する
ことを特徴とする請求項2に記載の監視装置。
【請求項4】
前記リレー制御部はさらに、
前記判定部が前記回答を所定時間以内に受け取れなかった場合に、前記第1のリレーに前記第1の電池の充放電経路をオフさせる
ことを特徴とする請求項1、2または3に記載の監視装置。
【請求項5】
前記一の装置はさらに、
第2の電池の充放電経路をオンまたはオフする第2のリレーを制御可能であって、
前記リレー制御部は、
前記第1のリレーに前記第1の電池の充放電経路をオフさせる場合に、あわせて前記第2のリレーに前記第2の電池の充放電経路をオンさせる
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の監視装置。
【請求項6】
前記リレー制御部は、
前記信号線におけるリレー操作信号の実際の状態と、当該リレー制御部が前記第1のリレーおよび前記第2のリレーに送信したリレー操作信号の状態とが異なる場合、前記一の装置に対し、前記第1の電池の充放電経路をオフさせるとともに、前記第2の電池の充放電経路をオンさせる
ことを特徴とする請求項5に記載の監視装置。
【請求項7】
車両に搭載される請求項1に記載の監視装置と、
前記一の装置、前記第1の電池、および、前記第1のリレーを少なくとも含み、前記車両に搭載される電池パックと
を備えることを特徴とする監視システム。
【請求項8】
第1の電池の充放電経路をオンまたはオフする第1のリレーを制御する一の装置に対し、汎用の通信線を介して周期的に、特定の命令に対する回答を要求する要求工程と、
前記一の装置から前記通信線を介して受信した前記回答の正誤を判定する判定工程と、
前記判定工程によって前記回答が誤回答であると判定された場合に、専用の信号線を介し、前記第1のリレーに前記第1の電池の充放電経路をオフさせるリレー制御工程と
を含むことを特徴とする監視方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示の実施形態は、監視装置、監視システムおよび監視方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、HEV(Hybrid Electric Vehicle)やEV(Electric Vehicle)に搭載されるリチウムイオン二次電池(LiB:Lithium-Ion rechargeable Battery)を含む電池パックが知られている。
【0003】
かかる電池パックの制御部であるマイコンは、上位ECU(Electronic Control Unit)からの指示に従い、たとえばLiBまたは鉛バッテリへ充放電経路を切り替えるためのリレーのオン/オフ操作を行う。なお、ここで、マイコンが暴走した場合、リレーの操作が正常に行えずに、LiBが過充電されて発煙または発火の危険性があるため、通常はマイコンを監視する必要がある。
【0004】
かかる監視の方法としては、マイコンから出力されるウォッチドッグパルスを監視する方法が一般によく知られている(たとえば、特許文献1参照)。また、たとえばメインおよびサブの2つのマイコンを設け、メインマイコンで主処理を行いつつ、メインマイコンとサブマイコンとの間で「宿題」と「回答」を周期的にやり取りするQ&A方式が知られている。
【0005】
Q&A方式では、たとえばサブマイコンからメインマイコンへ「宿題」を送信し、マインマイコンからは「宿題」に対応した「回答」をサブマイコンへ送信する。サブマイコンは、受け取った「回答」が正答であるか否かを判定し、正答でない場合はメインマイコンの演算器が故障したとして、LiBを充電する充電経路を遮断したり、メインマイコンをリセットさせたりする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平10−247153号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述した従来技術には、低コストに安全性を確保するうえで、更なる改善の余地がある。
【0008】
具体的には、上述した従来技術のうちのたとえばQ&A方式を用いた場合、そもそもサブマイコンが必要であり、さらにはかかるサブマイコンを駆動する電源等も必要となるため、コストが嵩むという問題があった。
【0009】
また、ウォッチドッグパルスを監視する方式を用いる場合、たとえばマイコンの演算器が故障しているものの、ウォッチドッグパルスを周期的に出力するといった周期処理は正常に行える場合、演算器の故障を検出することができない。したがって、安全性を確保することができない。
【0010】
実施形態の一態様は、上記に鑑みてなされたものであって、低コストに安全性を確保することができる監視装置、監視システムおよび監視方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
実施形態の一態様に係る監視装置は、要求部と、判定部と、リレー制御部とを備える。前記要求部は、第1の電池の充放電経路をオンまたはオフする第1のリレーを制御する一の装置に対し、汎用の通信線を介して周期的に、特定の命令に対する回答を要求する。前記判定部は、前記一の装置から前記通信線を介して受信した前記回答の正誤を判定する。前記リレー制御部は、前記判定部によって前記回答が誤回答であると判定された場合に、専用の信号線を介し、前記第1のリレーに前記第1の電池の充放電経路をオフさせる。
【発明の効果】
【0012】
実施形態の一態様によれば、低コストに安全性を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、比較例に係る監視システムのブロック図である。
図2図2は、実施形態に係る監視システムのブロック図である。
図3図3は、実施形態に係る上位ECUおよびメインマイコンのブロック図である。
図4A図4Aは、宿題テーブルの一例を示す図である。
図4B図4Bは、回答テーブルの一例を示す図である。
図5図5は、上位ECUおよび電池パック間の処理シーケンス図である。
図6A図6Aは、実施形態に係る上位ECUが実行する処理手順を示すフローチャート(その1)である。
図6B図6Bは、実施形態に係る上位ECUが実行する処理手順を示すフローチャート(その2)である。
図7図7は、実施形態に係る電池パックのメインマイコンが実行する処理手順を示すフローチャートである。
図8図8は、その他の実施形態に係る監視システムのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付図面を参照して、本願の開示する監視装置、監視システムおよび監視方法の実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0015】
また、以下では、実施形態に係る監視装置が、車両に搭載される電池パック20(図2A参照)の上位ECU10である場合を例に挙げて説明する。
【0016】
まず、説明を分かりやすくするために、実施形態に係る監視システム1の構成例の説明に先立って、比較例に係る監視システム1’の構成例について図1を用いて説明しておく。図1は、比較例に係る監視システム1’のブロック図である。
【0017】
図1に示すように、比較例に係る監視システム1’は、ISG(Integrated Starter Generator)2と、鉛バッテリ3と、補機類4と、上位ECU10’と、電池パック20’とを含む。
【0018】
ISG2は、モータ機能付き発電機である。ISG2は、たとえば上位ECU10’からの発電指示に応じて電力を生成し、生成した電力を鉛バッテリ3および後述するLiB23に供給することで、鉛バッテリ3およびLiB23を充電する。
【0019】
補機類4は、車両に搭載される補機類であって、鉛バッテリ3と接続される。上位ECU10’は、電池パック20’の上位のECUであり、CAN(Controller Area Network)等の汎用の通信線を介して電池パック20’と通信可能に設けられている。
【0020】
また、上位ECU10’は、電池パック20’から電池状態を随時取得し、これに応じて後述する第1リレー24および第2リレー25の切替指示を電池パック20’へ送信する。
【0021】
電池パック20’は、メインマイコン21と、サブマイコン22と、LiB23と、第1リレー24と、第2リレー25と、ANDゲート26とを有する。
【0022】
メインマイコン21とサブマイコン22とは、シリアル線等を介して通信可能に接続される。第1リレー24は、ISG2とLiB23との間に接続される。第2リレー25は、ISG2と鉛バッテリ3との間に接続される。また、第1リレー24と第2リレー25とは、互いに一端が接続される。
【0023】
ANDゲート26は、メインマイコン21およびサブマイコン22と、第1リレー24との間に接続される。このような接続形態において、第1リレー24および第2リレー25は、メインマイコン21によってオン/オフ操作される。また、第1リレー24は、サブマイコン22によってオフ操作される。
【0024】
メインマイコン21は、電池パック20’の主処理部であり、上位ECU10’へ随時LiB23の電池状態を通知する。また、メインマイコン21は、上位ECU10’からのリレー切替指示に応じて、第1リレー24および第2リレー25をオン/オフ操作するリレー操作信号を、第1リレー24および第2リレー25へ送信する。
【0025】
サブマイコン22は、メインマイコン21をQ&A方式で監視する制御部であり、周期的にメインマイコン21へ宿題を送信する。一方で、メインマイコン21は、かかる宿題に対応する演算を実行して、その演算結果を回答としてサブマイコン22へ送信する。
【0026】
サブマイコン22は、受け取った回答が正答であるか否かを判定し、正答でない場合はメインマイコンの演算器が故障したとして、LiB23の充電経路を遮断させるために、第1リレー24をオフさせるリレー操作信号をANDゲート26へ向けて送信する。
【0027】
あるいは、サブマイコン22は、受け取った回答が正答でない場合に、メインマイコン21をリセットさせるリセット信号をメインマイコン21へ送信する。
【0028】
このような比較例に係る監視システム1’によれば、ウォッチドッグパルスだけでは検出しきれない、たとえばメインマイコン21の演算器の故障を検出できるメリットはあるものの、サブマイコン22が必要なことによりコスト高となってしまうデメリットも存在する。
【0029】
こうした点を踏まえ、実施形態に係る監視システム1は、サブマイコン22を設けることなく、サブマイコン22を設けた場合と同等のメインマイコン21の監視を実現可能にしようとするものである。以下、実施形態に係る監視システム1の構成例について、具体的に説明する。
【0030】
図2は、実施形態に係る監視システム1のブロック図である。また、図3は、実施形態に係る上位ECU10およびメインマイコン21のブロック図である。なお、図2および図3では、本実施形態の特徴を説明するために必要な構成要素のみを機能ブロックで表しており、一般的な構成要素についての記載を省略している。
【0031】
換言すれば、図2および図3に図示される各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。例えば、各機能ブロックの分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することが可能である。
【0032】
なお、図2は既に示した図1に対応しているため、図2を用いた説明では、主に図1と異なる点について説明する。図2に示すように、実施形態に係る監視システム1は、電池パック20がサブマイコン22を備えない点が、図1の場合とは異なる。
【0033】
また、監視システム1は、上位ECU10がメインマイコン21の監視装置であり、Q&A方式で、かかる上位ECU10とメインマイコン21との間で周期的に宿題および回答がやり取りされる点が、図1の場合とは異なる。
【0034】
なお、かかる宿題および回答のやり取りは、元々設けられている上位ECU10とメインマイコン21との間の通信経路(CAN等の汎用の通信線)を介して行うことができる。
【0035】
また、監視システム1は、上位ECU10から、ANDゲート26を介して第1リレー24を強制的にオフするリレー操作信号の送信経路が設けられている点が、図1の場合とは異なる。ANDゲート26は、上位ECU10から第1リレー24をオフさせるリレー操作信号が入力された場合に、かかるオフ操作指示を優先させる。
【0036】
また、監視システム1は、電池パック20がORゲート27を備え、上位ECU10から、かかるORゲート27を介して第2リレー25を強制的にオンするリレー操作信号の送信経路が設けられている点が、図1の場合とは異なる。ORゲート27は、上位ECU10から第2リレー25をオンさせるリレー操作信号が入力された場合に、かかるオン操作指示を優先させる。なお、上位ECU10からのリレー操作信号の送信経路は、専用の信号線としてたとえばジカ線で配線される。
【0037】
次に、図3に示すように、上位ECU10は、記憶部11と、制御部12とを備える。記憶部11は、たとえば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ(Flash Memory)等の半導体メモリ素子、または、ハードディスク、光ディスク等の記憶装置によって実現され、図3の例では、回答テーブル11aを記憶する。回答テーブル11aは、宿題の識別情報と、回答とが対応付けられたテーブルである。
【0038】
制御部12は、コントローラ(controller)であり、たとえば、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)等によって、上位ECU10内部の記憶デバイスに記憶されている各種プログラムがRAMを作業領域として実行されることにより実現される。また、制御部12は、たとえば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路により実現することができる。
【0039】
制御部12は、回答要求部12aと、受信部12bと、回答判定部12cと、リレー制御部12dとを有し、以下に説明する情報処理の機能や作用を実現または実行する。
【0040】
回答要求部12aは、電池パック20のメインマイコン21へ、宿題の識別情報である宿題番号を、回答要求として周期的に送信する。受信部12bは、メインマイコン21から送られてきた回答を受信する。
【0041】
回答判定部12cは、受信部12bによって受信されたメインマイコン21からの回答の正誤を、回答テーブル11aに照らして判定する。リレー制御部12dは、回答判定部12cの判定結果に応じて第1リレー24および第2リレー25をリレー操作する。
【0042】
たとえばリレー制御部12dは、回答判定部12cによって回答が誤回答であると判定された場合に、LiB23側のリレーである第1リレー24を強制的にオフさせる。
【0043】
なお、リレー制御部12dは、回答要求部12aによって送信された回答要求に対し、対応する回答が所定時間以内に返ってこなかった場合にも、第1リレー24を強制的にオフさせる。
【0044】
電池パック20のメインマイコン21は、記憶部211と、制御部212とを備える。記憶部211は、たとえば、ROM(Read Only Memory)やRAM等の半導体メモリ素子によって実現され、図3の例では、宿題テーブル211aを記憶する。宿題テーブル211aは、上述した宿題番号と、宿題の内容とが対応付けられたテーブルである。
【0045】
ここで、宿題テーブル211aおよび上述した回答テーブル11aの各例を、図4Aおよび図4Bに示しておく。図4Aは、宿題テーブル211aの一例を示す図である。また、図4Bは、回答テーブル11aの一例を示す図である。
【0046】
図4Aに示すように、宿題テーブル211aは、宿題番号ごとに宿題の内容が予め定義づけられている。宿題の内容は、メインマイコン21の各機能を用いた演算であることが好ましい。演算結果は、図中に回答として示すように、宿題番号ごとに特定値となるように設定される。
【0047】
また、図4Bに示すように、回答テーブル11aは、宿題番号ごとに図4Aに示した回答が予め定義づけられている。なお、図4Aおよび図4Bでは、宿題およびこれに対応する回答が8個である場合を例に挙げたが、無論、その個数を限定するものではない。
【0048】
図3の説明に戻る。制御部212は、制御部12と同様に、コントローラであり、たとえば、CPUやMPU等によって、メインマイコン21内部の記憶デバイスに記憶されている各種プログラムがRAMを作業領域として実行されることにより実現される。また、制御部212は、たとえば、ASICやFPGA等の集積回路により実現することができる。
【0049】
制御部212は、宿題実行部212aと、送信部212bとを有し、以下に説明する情報処理の機能や作用を実現または実行する。
【0050】
宿題実行部212aは、上位ECU10から送信された回答要求を受信し、これに含まれる宿題番号を宿題テーブル211aに照らして、該当する宿題を実行する。送信部212bは、宿題実行部212aによって実行された演算結果である宿題の回答を上位ECU10へ送信する。
【0051】
次に、これまでの説明を踏まえ、上位ECU10および電池パック20間の処理シーケンスについて図5を用いて説明する。図5は、上位ECU10および電池パック20間の処理シーケンス図である。
【0052】
図5に示すように、まず上位ECUが、回答要求である宿題番号をメインマイコン21へ送信する(ステップS1)。
【0053】
メインマイコン21は、かかる回答要求に応じ、宿題テーブル211aにおいて該当する宿題を実行する(ステップS2)。そして、メインマイコン21は、その宿題の宿題番号および回答を上位ECU10へ送信する(ステップS3)。
【0054】
そして、上位ECU10は、受け取った宿題番号および回答を、回答テーブル11aに照らして判定する(ステップS4)。ここで、「正回答時」には、上位ECU10およびメインマイコン21は、ステップS1〜S3と同様のやり取りを繰り返す(ステップS5〜S7)。ただし、宿題番号は、たとえば1加算する等、前回とは異なるものにする。
【0055】
一方、「誤回答時」には、上位ECU10は、LiB側のリレーである第1リレー24に対し、「オフ」のリレー操作信号を送信し、第1リレー24を強制的にオフさせる(ステップS8)。
【0056】
また、回答が所定時間以内に返されない「回答途絶時」にも、上位ECU10は、第1リレー24に対し、「オフ」のリレー操作信号を送信し、第1リレー24を強制的にオフさせる(ステップS9)。
【0057】
次に、実施形態に係る上位ECU10および電池パック20のメインマイコン21が実行する処理手順について、図6A図7を用いて説明する。
【0058】
図6Aおよび図6Bは、実施形態に係る上位ECU10が実行する処理手順を示すフローチャート(その1)および(その2)である。また、図7は、実施形態に係る電池パック20のメインマイコン21が実行する処理手順を示すフローチャートである。
【0059】
図6Aに示すように、上位ECU10では、回答要求部12aが宿題番号へ初期値(ここでは、1)をセットする(ステップS101)。そして、回答要求部12aは、宿題番号を電池パック20へ送信する(ステップS102)。
【0060】
そして、回答要求部12aは、たとえば宿題番号を1加算し(ステップS103)、宿題番号が最大値を超える否かを判定する(ステップS104)。ここで、宿題番号が最大値を超える場合(ステップS104,Yes)、回答要求部12aは、ステップS101からの処理を繰り返す。
【0061】
一方、宿題番号が最大値を超えない場合(ステップS104,No)、回答要求部12aは、ステップS102からの処理を繰り返す。なお、図6Aでは、宿題番号を1ずつ加算する場合を例に挙げたが、これに限られるものではなく、宿題番号がとりうる値の範囲内でランダムに宿題番号を選択するようにしてもよい。このとき、少なくとも前回の宿題番号とは値が異なるようにするとよい。
【0062】
つづいて図6Bであるが、図6Bは、回答1個分の処理手順である。図6Bに示すように、上位ECU10では、受信部12bが、電池パック20から回答を受信し(ステップS201)、回答判定部12cが、かかる回答を判定する。
【0063】
ここで、回答が誤りである場合(ステップS202,Yes)、リレー制御部12dが、第1リレー24を強制的にオフにし(ステップS203)、処理を終了する。一方、回答が誤りでない場合(ステップS202,No)、そのまま、すなわち第1リレー24はオンのまま、処理を終了する。
【0064】
つづいて図7であるが、図7は、宿題1回分の処理手順である。図7に示すように、電池パック20では、宿題実行部212aが上位ECU10から宿題番号を受信して(ステップS301)、かかる宿題番号に対応する宿題を演算する(ステップS302)。
【0065】
そして、送信部212bが、その演算結果を上位ECU10へ送信し(ステップS303)、処理を終了する。
【0066】
上述してきたように、実施形態に係る上位ECU10(「監視装置」の一例に相当)は、回答要求部12a(「要求部」の一例に相当)と、回答判定部12cと(「判定部」の一例に相当)と、リレー制御部12dとを備える。回答要求部12aは、LiB23(「第1の電池」の一例に相当)の充放電経路をオンまたはオフする第1リレー24(「第1のリレー」の一例に相当)を制御するメインマイコン21(「一の装置」の一例に相当)に対し、汎用の通信線を介して周期的に、特定の宿題(「命令」の一例に相当)に対する回答を要求する。回答判定部12cは、メインマイコン21から上記通信線を介して受信した回答の正誤を判定する。リレー制御部12dは、回答判定部12cによって回答が誤回答であると判定された場合に、専用の信号線を介し、第1リレー24にLiB23の充放電経路をオフさせる。
【0067】
したがって、実施形態に係る上位ECU10によれば、低コストに安全性を確保することができる。
【0068】
また、回答要求部12aは、宿題としてメインマイコン21の演算機能を利用する演算命令をメインマイコン21へ送信する。
【0069】
したがって、実施形態に係る上位ECU10によれば、ウォッチドッグパルス監視する方式では検出できないようなメインマイコン21の演算器の故障を検出することが可能となる。
【0070】
また、回答要求部12aは、上記演算命令を毎回異ならせてメインマイコン21へ送信する。
【0071】
したがって、実施形態に係る上位ECU10によれば、メインマイコン21の演算器の故障を精度よく検出することが可能となる。
【0072】
また、リレー制御部12dはさらに、回答判定部12cが回答を所定時間以内に受け取れなかった場合に、第1リレー24にLiB23の充放電経路をオフさせる。
【0073】
したがって、実施形態に係る上位ECU10によれば、メインマイコン21の暴走が懸念される場合にLiB23の充放電経路を遮断し、安全性を確保することができる。
【0074】
また、メインマイコン21はさらに、鉛バッテリ3(「第2の電池」の一例に相当)の充放電経路をオンまたはオフする第2リレー25(「第2のリレー」の一例に相当)を制御可能であって、リレー制御部12dは、第1リレー24にLiB23の充放電経路をオフさせる場合に、あわせて第2リレー25に鉛バッテリ3の充放電経路をオンさせる。
【0075】
したがって、実施形態に係る上位ECU10によれば、異常時に、車両をコンベンショナルな状態、すなわち第1リレー24がオフされ、第2リレー25がオンされて、鉛バッテリ3の充放電経路は確保されつつ、LiB23への充放電経路が遮断された状態に戻すことができる。
【0076】
なお、上述した実施形態では、誤回答時や回答途絶時において、リレー制御部12dが、第1リレー24を強制的にオフさせることとしたが、その際に、第1リレー24を強制的にオフさせるだけでなく、鉛バッテリ3側のリレーである第2リレー25を強制的にオンさせてもよい。これにより、ISG2および鉛バッテリ3間の充電経路を確実に維持することができる。
【0077】
(その他の実施形態)
また、その他の実施形態として、電池パック20が、上位ECU10が強制的にオン/オフするリレー操作信号のレベルをモニタして、異常検出に役立てるようにしてもよい。かかる場合の構成例を図8に示す。図8は、その他の実施形態に係る監視システム1Aのブロック図である。
【0078】
なお、図8は、既に示した図2に対応しているため、ここでは異なる点について主に説明する。図8に示すように、その他の実施形態に係る監視システム1Aは、電池パック20が、レベルモニタ部28をさらに備える点が、図2の場合とは異なる。
【0079】
レベルモニタ部28は、上位ECU10から送信されるリレー操作信号のレベルをモニタする。また、レベルモニタ部28は、モニタ結果を上位ECU10へ通知する。
【0080】
そして、上位ECU10は、受け取ったモニタ結果と、自身が送信したリレー操作信号の状態とを照らし、その結果が一致しなければ、上位ECU10からのリレー操作信号の送信経路に異常があると判定する。そして、かかる場合に上位ECU10は、電池パック20に対し、上記したコンベンショナルな車両の状態に戻すように指示する。
【0081】
すなわち、その他の実施形態に係る監視システム1Aは、リレー制御部12dが、専用の信号線におけるリレー操作信号の実際の状態と、当該リレー制御部12dが第1リレー24および第2リレー25に送信したリレー操作信号の状態とが異なる場合、メインマイコン21に対し、LiB23の充放電経路をオフさせるとともに、鉛バッテリ3の充放電経路をオンさせる。
【0082】
したがって、その他の実施形態に係る監視システム1Aによれば、少なくとも上位ECU10からのリレー操作信号の送信経路に異常がある場合の安全性を確保することができる。
【0083】
なお、同様の効果が得られる方法として、レベルモニタ部28を設けることなく、上位ECU10の方からリレー操作信号の状態を通信で電池パック20へ通知するようにし、電池パック20側で経路の異常診断を行うようにしてもよい。
【0084】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0085】
1,1A 監視システム
2 ISG
3 鉛バッテリ
4 補機類
10 上位ECU
11 記憶部
11a 回答テーブル
12 制御部
12a 回答要求部
12b 受信部
12c 回答判定部
12d リレー制御部
20 電池パック
21 メインマイコン
24 第1リレー
25 第2リレー
26 ANDゲート
27 ORゲート
28 レベルモニタ部
211 記憶部
211a 宿題テーブル
212 制御部
212a 宿題実行部
212b 送信部
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6A
図6B
図7
図8